JP5682522B2 - 液晶表示装置用光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば液晶表示装置(LCD)に用いられる偏光板用保護フィルム、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、プラズマディスプレイに用いられる反射防止フィルムなどの各種機能フィルム等にも利用することができる光学フィルムに関するものである。
近年、ノートパソコン、テレビや大型モニター等の液晶表示装置の薄型軽量化、大型画面化、高精細化の開発が進んでいる。それに伴って、液晶偏光板用保護フィルムなどに用いられる光学フィルムも、ますます薄膜化、広幅化、高品質化の要求が強くなってきている。
特に、保護フィルムとして用いられてきた光学フィルム自体に適切な位相差を付与することで液晶表示装置における光学補償フィルムとして用いる技術が検討されており、さらなる高品質化が求められている。近年の液晶表示装置の高精細化に伴い、光学フィルムのわずかな位相差のバラツキに起因する位相差のバラツキによる表示品質への影響が無視できなくなってきている。そのため、従来は無視できるレベルであった光学フィルムの位相差のバラツキを厳密に制御することが必要とされている。
一方、光学フィルムの低コスト化が進む中、製膜の更なる高速化の技術が求められている。
また、液晶表示装置の大型化に伴い、液晶パネルも大型化が進められており、それに用いられる偏光板および偏光板保護フィルム、光学フィルム等も更なる広幅化が求められている。そのため、光学フィルムの作製においては、高倍率の延伸処理が必要となっている。
従って、近年の光学フィルムの製造においては、高速かつ高倍率の延伸処理を経て製造することが必要である一方、位相差等の光学特性のバラツキを厳密に制御することも求められており、益々製造上の難易度が高まっている。
一般に、液晶表示装置用の光学フィルムは、樹脂材料を溶媒に溶解させた樹脂溶液(ドープ)を金属製ベルトや金属製ドラム等の支持体上に流延して流延膜(ウェブ)を形成し、ウェブを支持体上である程度乾燥させた後、剥離して製膜する溶液流延製膜法や、熱により溶融した樹脂をフィルム状に押し出して製膜する溶融押出製膜法(溶融流延製膜法と呼ぶ場合もある)により製造される。
特に、溶液流延製膜法は、光学フィルムの厚みのバラツキを抑制し、面精度を高めることができるため、高い面精度が求められる液晶表示装置用の光学フィルムの製造に適しており、広く採用されている。
しかしながら、光学フィルムの製膜速度の高速化に伴い、従来の設備ではウェブを支持体から剥離するために必要な溶媒量まで乾燥させることが困難となる一方、乾燥するための金属製ベルトの全長を長くすると設備の大型化を招くという問題があった。
このような問題に対し、設備を大型化せずに十分にウェブを乾燥するための方法として、2つの駆動ロールに掛け回されたエンドレスに走行するベルト(以下、単に支持体、エンドレスベルトという場合もある)上の、上流側ドラム(第1のドラム)上または近傍の位置に、ドープを流延し、下流側ドラム(第2のドラム)で折り返して、ウェブを該ベルト上で約1周させて、上流側ドラム上または上流側ドラム近傍の位置に該当する剥離点でウェブを剥離する方法が検討されている。この際、乾燥速度を高めるため、下流側ドラムは加熱ドラムとされており、上流側ドラムは剥離性を高めるため、冷却ドラムとされている。
さらに、流延ダイからエンドレスベルト上にドープを流延することによって生じるウェブの乾燥速度を高めるために、エンドレスベルト上のドープに乾燥風の吹付温度のアップや吹付量のアップにより、乾燥を促進してきたが、溶媒量が必然的に多くなる高速製膜品に対し、吹付風量をアップしすぎると、面品質の良好な光学フィルムを得ることができないという問題があった。
下記の特許文献1では、このような吹付風量のアップによる光学フィルムの面品質の悪化を、残留溶媒量の多い上流側に防風板を設けることで解決しようとしていた。
特許第4517581号公報
上記特許文献1に記載の方法によれば、面品質の問題はある程度解決することが可能となる。ところが、溶液流延製膜法において、高速製膜、高倍率延伸を行う場合に、面内の光学特性が均一な光学フィルムを得るためには、上記の方法では不十分であることがわかった。
高速製膜を行い、高倍率に延伸する場合において生じる新たな問題として、得られたフィルムの端部と中央部において、ヘイズが異なっている問題が新たに見出され、更に得られたフィルムを長時間使用した場合において、画像ムラが発生し、視認性に影響が発生する場合があることが明らかになった。
そこで、本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、光学フィルム製造時の高速化に加え、薄膜化、広幅化、高品質化の要求に応える溶液流延製膜法において、光学フィルムの幅手方向端部でのヘイズの上昇を防止することができ、液晶表示装置用の光学フィルムとして長期間用いられた場合においても、画像ムラの発生の抑制が可能な液晶表示装置用光学フィルムの製造方法を提供することにある。
また、高延伸流延製膜法において、得られた光学フィルムの幅手方向の端部で、ヘイズが高くなる原因を調査すると、延伸前のウェブの幅手方向の端部膜厚が、従来品の場合よりも厚くなっていることが分かった。通常は、延伸時にウェブの幅手方向の端部が伸びにくいために、ヘイズを低く保つには、端部膜厚を薄くする必要がある。
高延伸流延製膜法において、延伸前のウェブの幅手方向の端部膜厚が厚くなる理由を調査すると、ウェブを剥離ロールによってエンドレスベルトから剥離した直後に、ウェブの幅手方向の端部が収縮することが原因であることが分かった。高延伸流延製膜法では、流延ダイから流延するドープの流量を多くする必要があるため、ベルト上でのウェブの乾燥が充分に進まず、剥離直後に、急激にウェブの乾燥が進むことが原因であると推定された。
上記の目的を達成するために、本発明は、熱可塑性樹脂と溶剤とを含有するドープ(樹脂溶液)を、相互に所定間隔をおいて配置された一対の第1のドラムと第2のドラムに巻き回されて搬送されるエンドレスベルト上の、上部移送部上の第1のドラム上又は近傍に該当する位置に流延し、流延されたドープは、エンドレスベルト上で第2のドラムにより折り返され、第1のドラム上まで搬送されることで乾燥されてウェブが形成された後、ウェブを第1のドラム上でエンドレスベルトから剥離し、ウェブを更に乾燥する工程および幅手方向に延伸する工程を経て、フィルムとなし、得られたフィルムを巻き取る溶液流延製膜法による液晶表示装置用光学フィルムの製造方法であって、第1のドラムは加熱手段を設けられない冷却ドラムであり、第2のドラムは加熱手段が設けられた加熱ドラムであり、第2のドラムの直径が第1のドラムの直径よりも大きくなされていて、第2のドラムとエンドレスベルトとの接触時間が、第1のドラムとエンドレスベルトとの接触時間よりも長いことを特徴としている。
本発明者の検討の結果、高速製膜され、かつ、高倍率の延伸処理を有する場合においては、下記の問題が発生することが明らかになった。
(1)高倍率の延伸処理を行う場合は、流延時の膜厚を厚くする必要があり、それを高速製膜する場合には、剥離時の残留溶媒量が多くなる。そのため、剥離後に残留溶媒の乾燥に伴い、端部で大きな収縮が発生し、ウェブの端部の厚みが大きくなる。
(2)その後、剥離されたフィルムは延伸処理されるが、その際、フィルムの厚みを均一とするためには、厚くなった端部の延伸倍率を中央部よりも大きくする必要がある。
(3)端部の延伸倍率を大きくすると、延伸によるヘイズの発生により端部のヘイズが大きくなる。また、端部の延伸倍率が大きいため、液晶表示装置に組み込まれた後、長時間使用された場合においては、フィルム端部で収縮が発生しやすくなり、表示ムラが発生する場合がある。
そこで、本発明者は、これらの問題を解決するため、端部での収縮を抑制するための方法として、エンドレスベルトの加熱条件を調整することを検討した。上述のような温風等による乾燥条件を強めた場合は、フィルムの面品質を劣化させる場合があるため、エンドレスベルトの駆動ドラムとして用いられる加熱ドラムを大きくすることを検討した。また、一般的にエンドレスベルトを回転させる一対のドラムは、搬送速度調整の際の回転速度の調整や搬送条件の安定性を鑑みて、同じ直径とするのが一般的であるため、両ドラムの直径を大きくすることで、乾燥を加速することを検討した。
しかしながら、両方のドラムの直径を大きくした場合、第1のドラムである冷却ドラムとエンドレスベルトとの接触時間が長くなり、エンドレスベルト上でのフィルムの冷却が過剰となり、エンドレスベルト上で端部の収縮が発生することが明らかになった。このような問題は、高速流延成膜において、延伸倍率を高めるために流延時の膜厚が大きくなったことに伴い顕在化した問題であり、従来は課題として認識されていなかったものである。
そこで本発明者は、第1のドラムである冷却ドラムと、第2のドラムである加熱ドラムの直径を異ならせ、第2のドラムの直径を第1のドラムの直径よりも大きくし、第2のドラムとエンドレスベルトとの接触時間が、第1のドラムとエンドレスベルトとの接触時間よりも長くすることで、フィルムの端部の収縮を抑制し、結果として端部のヘイズ上昇を抑制するとともに、液晶表示装置用の光学フィルムとして長期間用いられた場合であっても画像ムラの発生しない光学フィルムの製造方法を提供することができた。
本発明は、熱可塑性樹脂と溶剤とを含有するドープ(樹脂溶液)を、相互に所定間隔をおいて配置された一対の第1のドラムと第2のドラムに巻き回されて搬送されるエンドレスベルト上の、上部移送部上の第1のドラム上又は近傍に該当する位置に流延し、流延されたドープは、エンドレスベルト上で第2のドラムにより折り返され、第1のドラム上まで搬送されることで乾燥されてウェブが形成された後、ウェブを第1のドラム上でエンドレスベルトから剥離し、ウェブを更に乾燥する工程および幅手方向に延伸する工程を経て、フィルムとなし、得られたフィルムを巻き取る溶液流延製膜法による液晶表示装置用光学フィルムの製造方法である。また、第1のドラムは加熱手段を設けられない冷却ドラムであり、第2のドラムは加熱手段が設けられた加熱ドラムであり、第2のドラムの直径が第1のドラムの直径よりも大きくなされていて、第2のドラムとエンドレスベルトとの接触時間が、第1のドラムとエンドレスベルトとの接触時間よりも長いことを特徴とするものある。このような構成により、光学フィルムの幅手方向端部でのヘイズの上昇を防止することができ、高倍率の延伸処理を行った場合においても、光学フィルムの面内の光学特性の均一性を保つことが可能となり、液晶表示装置用光学フィルムを高速製膜することができ、光学フィルムの薄膜化、広幅化、高品質化の要求に応える得る光学フィルムの製造方法を実現し得るという効果を奏する。
本発明の光学フィルムの製造方法を実施する装置の1例を示す概略フローシートで、エンドレスベルトの上部移送部が水平である状態を示している。 図1の光学フィルム製造装置におけるエンドレスベルト部分の拡大概略側面図である。 本発明の光学フィルムの製造方法を実施する装置のいま1つの例を示すエンドレスベルト部分の拡大概略側面図で、エンドレスベルトの上部移送部が搬送方向に向かって上向きに傾斜した状態を示している。 本発明の光学フィルムの製造方法を実施する装置における流延ダイからのウェブ(流延膜)がエンドレスベルトに接地する状態を説明するための部分拡大概略側面図で、実線部分は、エンドレスベルトの上部移送部が搬送方向に向かって上向きに傾斜した状態を示し、二点鎖線部分は、エンドレスベルトの上部移送部が水平である状態を示している。
つぎに、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明は、熱可塑性樹脂と溶剤とを含有するドープ(樹脂溶液)を、相互に所定間隔をおいて配置された一対の第1のドラムと第2のドラムに巻き回されて搬送されるエンドレスベルト上の、上部移送部上の第1のドラム上又は近傍に該当する位置に流延し、流延されたドープは、エンドレスベルト上で第2のドラムにより折り返され、第1のドラム上まで搬送されることで乾燥されてウェブが形成された後、ウェブを第1のドラム上でエンドレスベルトから剥離し、ウェブを更に乾燥する工程および幅手方向に延伸する工程を経て、フィルムとなし、得られたフィルムを巻き取る溶液流延製膜法による液晶表示装置用光学フィルムの製造方法であって、第1のドラムは加熱手段を設けられない冷却ドラムであり、第2のドラムは加熱手段が設けられた加熱ドラムであり、第2のドラムの直径が第1のドラムの直径よりも大きくなされていて、第2のドラムとエンドレスベルトとの接触時間が、第1のドラムとエンドレスベルトとの接触時間よりも長いことを特徴としている。
本発明の光学フィルムの製造方法においては、第2のドラム(加熱ドラム)の直径が、第1のドラム(冷却ドラム)の直径に対して1.1〜5.0倍であることが好ましい。このような範囲とすることで、上述の本発明の効果が顕著に得られる。
本発明の光学フィルムの製造方法においては、エンドレスベルトの長さが、40〜180mであることが好ましい。このような長尺の搬送ベルトを用いるような製造方法において本発明は特に有効に用いられる。
本発明の光学フィルムの製造方法においては、第1のドラム(冷却ドラム)から第2のドラム(加熱ドラム)に至るエンドレスベルトの上部移送部が、搬送方向に向かって上向きに傾斜せしめられており、ドープを、傾斜したベルト上面に流延することが好ましい。上向きの傾斜とすることで、ドープの流延方向(垂直下向き)に対して、流延方向が直角よりも小さくなるため、ドープにおける搬送方向への樹脂の配向が進みやすくなり、搬送方向の屈折率を大きくして位相差を発生させることができる。これを後の幅手方向の延伸処理によってキャンセルすることで、高倍率延伸した場合に位相差の大きさを制御(小さくする)ことが可能となる。
このような効果を好適に得る上で、エンドレスベルトの上部移送部の搬送方向に向かって上向きの傾斜角度が、1〜30°であることが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法においては、エンドレスベルトの走行速度が、80〜200m/minであることが好ましい本発明は、溶液流延製膜の中でもこのような高速製膜の条件において特に有効に用いることができる。
また、本発明の光学フィルムの製造方法においては、得られる光学フィルムの幅が、1800〜2500mmであることが好ましい。このように光学フィルムの幅が非常に広い場合においては、高倍率の延伸処理が好適に用いられるため、本発明の構成が特に好ましく用いられる。
本発明の光学フィルムの製造方法においては、幅手方向の延伸処理が、延伸倍率1.5倍以上であることが好ましい。更に1.5倍以上5.0倍以下の範囲であることが好ましく、1.8倍以上、3.0倍以下の延伸倍率であることが好ましい。このような高倍率の延伸処理を行う場合において、本発明は特に好適に用いられる。
図1は、本発明の光学フィルムの製造方法を実施する装置の1例を示す概略フローシートで、エンドレスベルトの上部移送部が水平である状態を示している。図2は、その装置のエンドレスベルト部分の拡大概略側面図である。
図1と図2を参照すると、本発明による光学フィルムの製造方法は、溶液流延製膜法によるものであり、熱可塑性樹脂と溶剤とを含有するドープ(樹脂溶液)を、相互に所定間隔をおいて配置された一対のドラムである第1のドラム(冷却ドラム)(11)、第2のドラム(加熱ドラム)(12)に巻き回された金属製回転エンドレスベルト(単にエンドレスベルトとも言う)(1)の上部移送部(1a)上の第1のドラム(11)上又は近傍に該当する位置に流延する。第1のドラム(11)の近傍とは、第1のドラム(11)と第2のドラム(12)の中間点より第1のドラム(11)に近い位置を意味するが、エンドレスベルト(1)上におけるウェブ(W)の移送距離を大きくする観点から、第1のドラム(11)に近い方が好ましく、具体的には、エンドレスベルト(1)の上部移送部(1a)を5つの領域に分割した場合に、最も第1のドラム(11)の領域に含まれる位置を流延位置とすることが好ましい。ドープの流延によって形成されたウェブ(流延膜)(W)は、エンドレスベルト(1)の上部移送部(1a)、第2ドラムの巻回移送部(1d)および下部移送部(1b)をめぐって乾燥させられた後、剥離ロール(6)によってウェブ(W)をエンドレスベルト(1)の第1のドラム上に当たる第1のドラム巻回移送部(1c)で剥離され、ついでウェブ(W)を初期乾燥装置(3)で乾燥した後、テンター延伸装置(4)により幅手方向に延伸し、更に後期乾燥装置(5)で乾燥して、フィルム(F)となし、得られたフィルム(F)を巻き取る溶液流延製膜法による光学フィルムの製造方法である。
なお、流延ダイ(2)からエンドレスベルト(1)上にドープを流延することによって生じるウェブ(流延膜)(W)を乾燥するために、エンドレスベルト(1)の上部移送部(1a)の上方(ウェブ側)および下方(ベルト裏面側)に乾燥機(13)(14)が設置され、乾燥風の吹き付けにより、乾燥を促進している。
本発明による光学フィルムの製造方法は、第1のドラム(冷却ドラム)(11)および第2のドラム(加熱ドラム)(12)のうち、加熱ドラム(12)の直径が冷却ドラム(11)の直径よりも大きくなされていて、エンドレスベルト(1)の第2のドラム(12)との接触時間が、エンドレスベルト(1)の第1のドラム(11)との接触時間よりも長いものとなされていることを特徴としている。
本発明の光学フィルムの製造方法においては、幅手方向の延伸処理が、延伸倍率1.5倍以上であることが好ましい。更に1.5倍以上5.0倍以下の範囲であることが好ましく、特に1.8倍以上、3.0倍以下の延伸倍率であることが好ましい。
また、本発明の光学フィルムの製造方法においては、かつ第2のドラム(加熱ドラム)の直径が、第1のドラム(冷却ドラム)の直径に対して1.1〜5.0倍であることが好ましく、更に好ましくは1.5〜4.0倍である。
また、本発明による光学フィルムの製造方法においては、エンドレスベルト(1)の周方向の全長長さが、40〜180mであることが好ましく、更に好ましくは50〜150mである。
図3は、本発明の光学フィルムの製造方法を実施する装置のいま1つの例を示すエンドレスベルト部分の拡大概略側面図で、エンドレスベルト(1)の上部移送部(1a)が搬送方向に向かって上向きに傾斜した状態を示している。
図4は、本発明の光学フィルムの製造方法を実施する装置における流延ダイからのウェブ(流延膜)がエンドレスベルトに接地する状態を説明するための部分拡大概略側面図で、実線部分は、エンドレスベルトの上部移送部が搬送方向に向かって上向きに傾斜した状態を示し(図3に対応)、二点鎖線部分は、エンドレスベルトの上部移送部が水平である状態を示している(図1と図2に対応)。
本発明による光学フィルムの製造方法においては、図3と図4に詳しく示すように、径小の第1のドラム(11)から径大の第2のドラム(12)に至るエンドレスベルト(1)の上部移送部(1a)が、搬送方向に向かって上向きに傾斜せしめられており、ドープを、エンドレスベルト(1)の上部移送部(1a)の第1ドラム寄り部分の搬送方向に向かって上向きに傾斜したベルト上面に流延することが好ましい。この時の傾斜角度θは、図4に示されるように、水平方向に対する角度を意味しており、搬送方向に対して上向きの傾斜を正の値として表す。このように、流延ダイ(2)からのドープの流延リボンのベルト接地点を、搬送方向に向かって上向きに傾けると、ベルト(1)上面と流延ダイ(2)からの流延膜(ウェブ)(W)との接地角度が、搬送方向後側からみて大きいものとなり、搬送方向に樹脂が配向し易くなるため、搬送方向の屈折率を大きくして位相差を発生させることができる。これを後の幅手方向の延伸処理によってキャンセルすることで、高倍率延伸した場合に位相差の大きさを制御(小さくする)ことが可能となる。
なお、図4に示すように、エンドレスベルト(1)の上部移送部(1a)上に流延ダイ(2)からドープを流延してウェブ(W)を形成する際、ウェブ(W)がベルトと(1)上に密着して形成されるように流延上流側から減圧する手段として減圧チャンバ(9)が設けられている。
また、このような効果を好適に得る上で、本発明による光学フィルムの製造方法において、エンドレスベルト(1)の上部移送部(1a)の搬送方向に向かって上向きの傾斜角度が、1〜30°であることが好ましく、更に好ましくは、3〜25°である。
本発明による光学フィルムの製造方法において、エンドレスベルト(1)の上部移送部(1a)の走行速度が、80〜200m/minであることが好ましい。本発明は、溶液流延製膜の中でもこのような高速製膜の条件において特に有効に用いることができる。
本発明による光学フィルムの製造方法において、流延ダイ(2)からエンドレスベルト(1)の上部移送部(1a)上に流延するウェブ(W)の幅が、1800〜2500mmであることが好ましい。このように光学フィルムの幅が非常に広い場合においては、高倍率の延伸処理が好適に用いられるため、本発明の構成が特に好ましく用いられる。
本発明による光学フィルムの製造方法は、溶液流延製膜法により実施されるものであり、以下、これを詳しく説明する。
本発明による光学フィルムの製造方法においては、フィルム材料として、種々の樹脂を用いることができる。
本発明の方法において、好ましく用いられる樹脂としては、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のアシル基の置換度が1.8〜2.80のセルロースエステル系樹脂、またセルロースメチルエーテル、セルロースエチルエーテル、セルロースプロピルエーテル等のアルキル基置換度2.0〜2.80のセルロースエーテル樹脂、ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、またアルキレンジカルボン酸とジアミンとの重合物のポリアミド樹脂、またアルキレンジカルボン酸とジオールとの重合物、アルキレンジオールとジカルボン酸との重合物、シクロヘキサンジカルボン酸とジオールとの重合物、シクロヘキサンジオールとジカルボン酸との重合物、芳香族ジカルボン酸とジオールとの重合物等のポリエステル樹脂、またポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル樹脂、またポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、ケトン樹脂、アルキレンジイソシアナートとアルキレンジオールの線状重合物等のポリウレタン樹脂等を挙げることができ、これらから選ばれる少なくとも一つを含有することが好ましい。
中でも、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースエステル系樹脂、シクロオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート樹脂が特に好ましい。また、相溶性のあるポリマーを2種類以上ブレンドして後で述べるドープ溶解を行なっても良いが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明において好ましく用いられるその他の樹脂としては、エチレン性不飽和単量体単位を有する単独重合体または共重合体を挙げることができる。より好ましくは、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸プロピル、ポリアクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸アルキルの共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸アルキルエステル共重合体等のアクリル酸またはメタクリル酸エステルの単独重合体または共重合体が挙げられる。さらにアクリル酸またはメタクリル酸のエステルは、透明性、相溶性に優れるので、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル単位を有する単独重合体または共重合体、特に、アクリル酸またはメタクリル酸メチル単位を有する単独重合体または共重合体が好ましい。具体的にはポリメタクリル酸メチルが好ましい。ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸シクロヘキサンのようなアクリル酸またはメタクリル酸の脂環式アルキルエステルは、耐熱性が高く、吸湿性が低い、複屈折が低い等の利点を有しているものが、好ましい。
以下、セルロースエステルを例に挙げて、本発明を説明する。
本発明において、セルロースエステルおよび有機溶剤を含有するセルロースエステル溶液をドープといい、これをもって溶液流延製膜し、セルロースエステルフィルムを形成せしめるものである。
セルロースエステルは、セルロース由来の水酸基がアシル基などで置換されたセルロースエステルである。例えば、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートなどのセルロースアシレートや、脂肪族ポリエステルグラフト側鎖を有するセルロースアセテートなどが挙げられる。中でも、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、脂肪族ポリエステルグラフト側鎖を有するセルロースアセテートが好ましい。本発明の効果を阻害しない範囲であれば、その他の置換基が含まれていてもよい。
セルローストリアセテートの例としては、アセチル基の置換度が2.0以上3.0以下であることが好ましい。置換度をこの範囲にすることで、良好な成形性が得られ、かつ所望の面内リタデーション(Ro)、および厚み方向リタデーション(Rt)を得ることができるのである。アセチル基の置換度が、この範囲より低いと、位相差フィルムとしての耐湿熱性、特に湿熱下での寸法安定性に劣る場合があり、置換度が大きすぎると、必要なリタデーション特性が発現しなくなる場合がある。
本発明に用いられるセルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることができる。また、それらから得られたセルロースエステルは、それぞれ任意の割合で混合使用することができる。
本発明において、セルロースエステルの数平均分子量は、60000〜300000の範囲が、得られるフィルムの機械的強度が強く好ましい。さらに70000〜200000が好ましい。
本発明において、セルロースエステルには、種々の添加剤を配合することができる。
セルロースエステルの溶媒としては、セルロースエステルを溶解できる溶媒であれば特に限定はされないが、また単独で溶解できない溶媒であっても他の溶媒と混合することにより、溶解できるものであれば使用することができる。一般的には、良溶媒であるメチレンクロライドとセルロースエステルの貧溶媒からなる混合溶媒を用い、かつ混合溶媒中には貧溶媒を4〜30重量%含有するものが好ましく用いられる。
この他、使用できる良溶媒としては、例えばメチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができるが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオキソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等が好ましい有機溶媒(すなわち、良溶媒)として挙げられる。酢酸メチルを用いると、得られるフィルムのカールが少なくなるため特に好ましい。
セルロースエステルの貧溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等の炭素原子数1〜8のアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、モノクロルベンゼン、ベンゼン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができ、これらの貧溶媒は、単独もしくは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明では、湿熱下での寸法安定性向上のために、いわゆる可塑剤を配合することが好ましい。可塑剤に湿熱下での寸法安定性改良効果があることは、これまで知られていなかった。可塑剤としては、従来公知のセルロースエステル用の可塑剤が好ましく使用できる。特に相溶性に優れたものが好ましく、例えばリン酸エステルやカルボン酸エステルが好ましい。リン酸エステルとしては、例えばトリフェニルホスフェイト、トリクレジルホスフェート、フェニルジフェニルホスフェート等を挙げることができる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステル等、フタル酸エステルとしては、例えばジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジオクチルフタレートおよびジエチルヘキシルフタレート等、またクエン酸エステルとしてはクエン酸アセチルトリエチルおよびクエン酸アセチルトリブチルを挙げることができる。またその他、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバチン酸ジブチル、トリアセチン、等も挙げられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートもこの目的で好ましく用いられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートのアルキルは炭素原子数1〜8のアルキル基である。アルキルフタリルアルキルグリコレートとしてはメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、プロピルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等を挙げることができ、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートが好ましく、特にエチルフタリルエチルグリコレートが好ましく用いられる。分子量の大きい可塑剤は、押し出し成形の際の揮発が抑制でき好ましい。これらの例としては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートなどのグリコールと二塩基酸とからなる脂肪族ポリエステル類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸などのオキシカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル類、ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトン、ポリバレロラクトンなどのラクトンからなる脂肪族ポリエステル類、ポリビニルピロリドンなどのビニルポリマー類などが挙げられる。上記可塑剤は、これらを単独もしくは併用して使用することができる。
上述した可塑剤の含有量は、セルロースエステルに対して1〜30重量%含有させることが好ましい。可塑剤をこの範囲含有させることで、セルロースエステルフィルムの湿熱下での寸法安定性を向上することができる。
本発明において、使用し得る紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
本発明に有用な紫外線吸収剤の具体例として、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖および側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)326(何れもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を好ましく使用できる。
ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
これらの紫外線吸収剤の配合量は、セルロースエステルに対して、0.01〜10重量%の範囲が好ましく、さらに0.1〜5重量%が好ましい。使用量が少なすぎると、紫外線吸収効果が不十分の場合があり、多すぎると、フィルムの透明性が劣化する場合がある。紫外線吸収剤は熱安定性の高いものが好ましい。
なお、本発明において、上述の可塑剤、および紫外線吸収剤が、厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤としての役割をあわせ有していても良い。
セルロースエステルのアセチル基の置換度が低いと、耐熱性が低下する場合がある。この場合、酸化防止剤を配合することが有効である。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等が挙げられる。特に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
本発明におけるセルロース誘導体には、滑り性を付与するために、マット剤等の微粒子を添加するのが好ましい。微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。
無機化合物の微粒子の例としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化錫等の微粒子が挙げられる。この中では、ケイ素原子を含有する化合物の微粒子であることが好ましく、特に二酸化ケイ素微粒子が好ましい。二酸化ケイ素微粒子としては、例えばアエロジル株式会社製のAEROSIL 200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812,R805、OX50、TT600などが挙げられる。
機化合物の微粒子の例としては、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素化合物樹脂、ウレタン樹脂等の微粒子が挙げられる。
微粒子の1次粒径は、特に限定されないが、最終的にフィルム中での平均粒径は、0.05〜5.0μm程度が好ましい。さらに好ましくは、0.1〜1.0μmである。
微粒子の平均粒径は、セルロースエステルフィルムを電子顕微鏡や光学顕微鏡で観察した際に、フィルムの観察場所における、粒子の長軸方向の長さの平均値を指す。フィルム中で観察される粒子であれば、1次粒子であっても、1次粒子が凝集した2次粒子であってもよいが、通常観察される多くは2次粒子である。
測定方法の一例としては、1つのフィルムにつき、ランダムに10箇所の垂直断面写真を撮影し、各断面写真について、長軸長さが、0.05〜5μmの範囲にある100μm中の粒子個数をカウントする。このときカウントした粒子の長軸長さの平均値を求め、10箇所の平均値を平均した値を平均粒径とする。
微粒子の場合は、1次粒径、溶媒に分散した後の粒径、フィルムに添加された後の粒径が変化する場合が多く、重要なのは、最終的にフィルム中で微粒子がセルロースエステルと複合し凝集して形成される粒径をコントロールすることである。
上記微粒子の平均粒径が、5μmを超えた場合は、ヘイズの劣化等が見られたり、異物として巻状態での故障を発生する原因にもなる。また、微粒子の平均粒径が、0.05μm未満の場合は、フィルムに滑り性を付与するのが難しくなる。
上記の微粒子は、セルロースエステルに対して、0.04〜0.5重量%添加して使用される。好ましくは、0.05〜0.3重量%、さらに好ましくは0.05〜0.25重量%添加して使用される。微粒子の添加量が0.04重量%以下では、フィルム表面粗さが平滑になりすぎて、摩擦係数の上昇によりブロッキングを発生する。微粒子の添加量が0.5重量%を超えると、フィルム表面の摩擦係数が下がりすぎて、巻き取り時に巻きズレが発生したり、フィルムの透明度が低く、ヘイズが高くなるため、液晶表示装置用フィルムとしての価値を持たなくなるので、上記の範囲が必須である。
微粒子の分散は、微粒子と溶剤を混合した組成物を高圧分散装置で処理することが好ましい。本発明で用いる高圧分散装置は、微粒子と溶媒を混合した組成物を、細管中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態など特殊な条件を作りだす装置である。
高圧分散装置で処理することにより、例えば、管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が980N/cm以上であることが好ましい。さらに好ましくは、装置内部の最大圧力条件が1960N/cm以上である。またその際、最高到達速度が100m/sec以上に達するもの、伝熱速度が100kcal/hr以上に達するものが、好ましい。
上記のような高圧分散装置としては、例えば Microfluidics Corporation社製の超高圧ホモジナイザー(商品名マイクロフルイダイザー)あるいはナノマイザー社製ナノマイザーが挙げられ、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えばイズミフードマシナリ製ホモゲナイザーなどが挙げられる。
本発明によるセルロースエステルフィルムの製造方法は、セルロースエステルと厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤(リタデーション低減添加剤)とを含有するドープ(樹脂溶液)を、金属製回転エンドレスベルト(支持体)上に流延してウェブを形成する流延工程と、エンドレスベルトから剥離されたウェブをテンター装置により延伸する延伸工程と、延伸後にウェブを乾燥させる乾燥工程と、乾燥したフィルムを巻き取る巻き取り工程を有するものである。
本発明による光学フィルムの製造方法は、ドープ調製工程(溶解工程)、流延工程、乾燥工程、および巻取り工程を具備するものである。
本発明による光学フィルムの製造方法において、光学フィルムが、セルロースエステルフィルムである場合を例にとると、まず、セルロースエステルの溶解は、溶解釜中での撹拌溶解方法、加熱溶解方法、超音波溶解方法等の手段が、通常用いられ、加圧下で、溶剤の常圧での沸点以上でかつ溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱し、攪拌しながら溶解する方法が、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため、より好ましい。また、特開平9−95538号公報記載の冷却溶解方法、あるいはまた特開平11−21379号公報記載の高圧下で溶解する方法なども用いてもよい。
セルロースエステルを貧溶剤と混合して湿潤、あるいは膨潤させた後、さらに良溶剤と混合して溶解する方法も好ましく用いられる。このとき、セルロースエステルを貧溶媒と混合して湿潤あるいは膨潤させる装置と、良溶剤と混合して溶解する装置を別々に分けても良い。
セルロースエステルの溶解に用いる加圧容器の種類は、特に問うところではなく、所定の圧力に耐えることができ、加圧下で加熱、攪拌ができればよい。加圧容器には、その他、圧力計、温度計などの計器類を適宜配設する。加圧は窒素ガスなどの不活性気体を圧入する方法や、加熱による溶剤の蒸気圧の上昇によって行なってもよい。加熱は外部から行なうことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、使用する溶剤の沸点以上で、2種類以上の混合溶剤の場合は、沸点が低い方の溶剤の沸点以上の温度に加温しかつ該溶剤が沸騰しない範囲の温度が好ましい。加熱温度が高すぎると、必要とされる圧力が大きくなり、生産性が悪くなる。好ましい加熱温度の範囲は20〜120℃であり、30〜100℃が、より好ましく、40〜80℃の範囲がさらに好ましい。また圧力は、設定温度で、溶剤が沸騰しないように調整される。
セルロースエステルと溶剤の他に、必要な可塑剤、紫外線吸収剤等の添加剤は、予め溶剤と混合し、溶解または分散してからセルロースエステル溶解前の溶剤に投入しても、セルロースエステル溶解後のドープへ投入しても良い。
セルロースエステルの溶解後は、冷却しながら容器から取り出すか、または容器からポンプ等で抜き出して、熱交換器などで冷却し、得られたポリマーのドープを製膜に供するが、このときの冷却温度は、常温まで冷却してもよい。
原料としてのセルロースエステルの粒径dは、0.1mm≦d≦20mmの粒子が60重量%以上の比率で構成されることが、セルロースエステルの凝集塊を発生させることなく、良好な溶解性を得るために、望ましい。
原料セルロースエステルと溶媒の混合物は、撹拌機を有する溶解釜で溶解し、このとき、撹拌翼の周速は少なくとも0.5m/秒以上で、かつ30分以上撹拌して溶解することが好ましい。
本発明の方法において、溶解釜で溶解したセルロースエステルのドープを、ポンプにより濾過機に送り、濾過機において濾過する。この濾過は、通常の方法で行なうことができるが、溶剤の常圧での沸点以上でかつ溶剤が沸騰しない範囲の温度で加圧下加熱しながら濾過する方法が、濾過材前後の差圧(以下、濾圧というることがある)の上昇が小さく、好ましい。
本発明の方法において、セルロースエステルドープは、これを濾過することによって、異物、特に液晶画像表示装置において、画像と認識し間違う異物は、これを除去しなければならない。偏光板用保護フィルムの品質は、この濾過によって決まるといってもよい。
濾過に使用する濾材は、絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さすぎると、濾過材の目詰まりが発生しやすく、濾材の交換を頻繁に行なわなければならず、生産性を低下させるという問題点ある。
このため、本発明の方法において、セルロースエステルドープに使用する濾材は、絶対濾過精度0.020mm以下のものが好ましい。濾紙としては、例えば市販品の安積濾紙株式会社のNo.244や277等を挙げることができ、好ましく用いられる。
濾材の材質には、特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック繊維製の濾材やステンレス繊維等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
ドープ濾過の好ましい温度範囲は、45〜120℃であり、45〜70℃が、より好ましく、45〜55℃の範囲であることがさらに好ましい。
濾圧は、3500kPa以下であることが好ましく、3000kPa以下が、より好ましく、2500kPa以下であることがさらに好ましい。なお、濾圧は、濾過流量と濾過面積を適宜選択することで、コントロールできる。こうして得られたドープは、ストックタンクに保管され、脱泡された後、流延に用いられる。
このように、溶解釜中で、あらかじめドメイン形成材料とセルロースエステルと溶媒とを混合してドープを調製する場合は、通常、ドメイン形成材料をインライン添加する必要はない。しかしながら、必要に応じて、ドメイン形成材料の全部もしくは一部をインラインで混合することができる。
例えば、溶解釜中で適当な溶媒に混合または分散された不定形粒子分散液は、ポンプにより濾過機に送り、濾過機において濾過する。得られたドープは、第2ストックタンクに保管され、脱泡される。
第1ストックタンクからポンプによって導管中を移行したセルロースエステル溶液(もしくはドープ原液と称する場合がある)と、第2ストックタンクからポンプによって導管中を移行したドメイン形成材料溶液(不定形粒子分散液)とは、合流管で合流させる。
合流管の直前には、濾過器が配置されており、例えば濾材交換等に伴い経路から発生する、塊や大きな異物を、送液中の不定形粒子分散液あるいはドープ原液から除去することができる。ここでは、耐溶剤性を有する金属製の濾過器が好ましく用いられる。
濾材としては、耐久性の観点から金属、特にステンレス鋼が好ましい。目詰まりの観点から60〜80%の空孔率を有していることが好ましい。最も好ましくは、絶対濾過精度30〜60μmであって、かつ空孔率60〜80%の金属製濾材で濾過することであり、これにより、長期に亘り、確実に粗大な異物を除くことができ好ましい。絶対濾過精度30〜60μmでかつ空孔率60〜80%の金属製濾材としては、例えば日本精線株式会社製ファインポアNFシリーズのNF−10、同NF−12、同NF−13等を挙げることができる。
上記のようにして合流した両液は、導管内を層状で移行するためそのままでは混合しにくい。そこで、両液を合流後、インラインミキサーのような混合機(19)で十分に混合しながら次工程に移送する。
本発明で使用できるインラインミキサーとしては、例えば、スタチックミキサーSWJ(東レ静止型管内混合器、Hi−Mixer、東レエンジニアリング製)が好ましい。
図1は、本発明の溶液流延製膜方法により光学フィルムを製造する装置の一例を示すものである。
同図を参照すると、溶解釜で調整されたドープを、導管によって流延ダイ(2)に送液し、無限に移行する例えば回転駆動ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなるエンドレスベルト(1)上の流延位置に、流延ダイ(2)からドープを流延する工程である。
流延ダイ(2)としては、口金部分のスリット形状を調製でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイが好ましい。
流延ダイ(2)は、内部スリット壁面とエンドレスベルト(1)表面とのなす角度を40〜90°にするのが、好ましく、特に60〜75°が好ましい。
流延ダイ(2)のダイリップとエンドレスベルト(1)表面との間隙は、0.2〜10mmの間隙を取って設置されるのが好ましく、さらに0.5〜5mmの間隙が、より好ましい。流延ダイ(2)のスリットのギャップは0.05〜1.5mmが好ましく、0.15〜1.0mmが、より好ましい。
エンドレスベルト(1)の表面粗さRaは、0.0001〜1μmであり、0.0003〜0.1μmが、より好ましく、0.0005〜0.05μmがさらに好ましい。
支持体(1)として回転駆動エンドレスベルトを具備する図示の製膜装置では、該エンドレスベルト(1)は前後一対のドラム(11)(12)およびその中間に配置されかつエンドレスベルト(1)の上部移送部(1a)および下部移送部(1b)をそれぞれ裏側より支えている複数のサポートロール(図示略)より構成される。
また、回転駆動エンドレスベルト(1)の両端ドラムの一方、もしくは両方に、エンドレスベルト(1)に張力を付与する駆動装置が設けられ、これによってエンドレスベルト(1)は張力が掛けられて張った状態で使用される。
製膜時のエンドレスベルト(1)の温度は、一般的な温度範囲0℃〜溶剤の沸点未満の温度で流延することができ、さら1には5℃〜溶剤沸点−5℃の範囲が、より好ましい。このとき、周囲の雰囲気湿度は露点以上に制御する必要がある。
また、エンドレスベルト(1)搬送速度が10m/分以上では、流延ダイ(2)のリップから出てくる流延膜に減圧を掛けてエア混入や、フィルム幅手方向に横段状のスジをつくる原因となる流延リボンのばたつきを抑制するため、図4に示すように、流延ダイ(2)上流側に減圧チャンバ(9)を設け、10〜600Pa減圧するのが好ましく、さらに好ましくは10〜200Paである。
減圧チャンバ(9)の下部端面と、エンドレスベルト(1)表面との間隙は、0.5〜5mmの範囲が吸引風量が大きくなり過ぎず、それにより、流延ダイリップ端部のドープ乾燥皮膜の発生が抑制されるため望ましい。
また、製膜速度を上げるために、加圧流延ダイ(2)をエンドレスベルト(1)上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層製膜してもよい。
エンドレスベルト(1)上へドープを流延する際は、原料ポリマーの溶解に用いた溶剤の沸点未満、混合溶剤では最も沸点の低い溶剤の沸点未満の温度に制御するのが好ましい。
エンドレスベルト(1)上では、ウェブ(W)がエンドレスベルト(1)から剥離ロール(6)によって剥離可能な膜強度となるまで乾燥固化させるため、ウェブ(W)中の残留溶媒量が210重量%以下まで乾燥させるのが好ましく、120〜210重量%が、より好ましい。また、エンドレスベルト(1)からウェブ(W)を剥離するときのウェブ温度は、0〜30℃が好ましい。また、ウェブ(W)は、エンドレスベルト(1)からの剥離直後に、エンドレスベルト(1)密着面側からの溶媒蒸発で温度が一旦急速に下がり、雰囲気中の水蒸気や溶剤蒸気など揮発性成分がコンデンスしやすいため、剥離時のウェブ温度は5〜30℃がさらに好ましい。
ここで、残留溶媒量は、下記の式で表わせる。
残留溶媒量(重量%)={(M−N)/N}×100
式中、Mはウェブの任意時点での重量、Nは重量Mのものを110℃で3時間乾燥させたときの重量である。
エンドレスベルト(1)上に流延されたドープにより形成されたウェブ(W)を、エンドレスベルト(1)上で加熱し、エンドレスベルト(1)から剥離ロール(6)によってウェブ(W)が剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法、および/またはエンドレスベルト(1)の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等も用いることが可能である。
エンドレスベルト(1)とウェブ(W)を剥離ロール(6)によって剥離する際の剥離張力は、通常20〜25kg/mで剥離が行なわれるが、従来よりも薄膜化されている場合には、剥離の際にウェブ(W)にシワが入りやすいため、剥離できる最低張力〜17kg/mで剥離することが好ましく、さらに好ましくは、最低張力〜14kg/mで剥離することである。
エンドレスベルト(1)から剥離後のウェブ(W)は、初期乾燥ゾーン(3)に導入する。初期乾燥ゾーン(3)内では、側面から見て千鳥配置せられた複数の搬送ロール(7)によってウェブ(W)が蛇行せられ、その間にウェブ(W)は初期乾燥ゾーン(3)の底の前寄り部分から吹込まれ、初期乾燥ゾーン(3)の天井の後寄り部分から排出せられる温風(15)によって乾燥される。
本発明による光学フィルムの製造方法においては、エンドレスベルト(1)からウェブ(W)を剥離する時のウェブ(W)の残留溶媒量を120〜210重量%、テンターに入る時のウェブの残留溶媒量を5〜40重量%とし、これらの間の初期乾燥ゾーン(3)の乾燥温度を60〜110℃とし、該初期乾燥ゾーン(3)において、ビッカース硬度(Hv)が1000以上、2000以下であり、かつ表面粗さRmaxが1.0〜3.0sである搬送ロール(7)を、少なくとも1箇所で、好ましくは1〜20箇所、望ましくは1〜10箇所、特に望ましくは剥離直後から初期乾燥の初期において使用するのが好ましい。
ここで、エンドレスベルトからウェブを剥離する時のウェブの残留溶媒量が120重量%未満であれば、エンドレスベルトからウェブの剥離力が高くなることによって剥離時の抵抗が生じフィルムに横段状故障の外観品質劣化が生じ生じ、また高い物理的強度のフィルムが得られにくくなるので、好ましくない。またエンドレスベルトからウェブを剥離する時のウェブの残留溶媒量が210重量%を越えると、ウェブが不安定となり搬送安定化に支障をきたし、またウェブが軟弱になりオサレ発生故障も起きやすくなるので、好ましくない。
また、テンターに入る時のウェブの残留溶媒量が5重量%未満であれば、所望の光学特性の安定性が得られず、また高い物理的強度のフィルムが得られず、また初期乾燥能力を上げる必要がありこの間でのフィルム収縮に伴う搬送性の劣化が生じるので、好ましくない。そして、テンターに入る時のウェブの残留溶媒量が40重量%を越えると、延伸時のフィルムが軟弱となるためフィルム対する延伸の効果が小さくなり所望の光学特性の安定性、また所望の光学特性値が得られないので、好ましくない。
また、初期乾燥ゾーンの乾燥温度が60℃未満であれば、乾燥能力が得られないので、好ましくない。そして、初期乾燥ゾーンの乾燥温度が110℃を越えると、その間のフィルム収縮に伴う搬送性の劣化が生じるうえ、生産設備の耐用温度を維持することが困難となるので、好ましくない。
また、初期乾燥ゾーンにおいて、ビッカース硬度(Hv)が1000未満であれば、搬送安定化が得られず、またロールに対する皮膜等の付着が起きやすくなり、さらにはロールにキズがつきやすくなるなど、ロール自体の剛性が得られないので、好ましくない。そして、初期乾燥ゾーンにおいて、ビッカース硬度(Hv)が2000を越えると、ロール製造コストアップが生じるので、好ましくない。
また、搬送ロールの表面粗さRmaxが1.0s未満であれば、ロール製造コストアップが生じ、また搬送安定化が得られないので、好ましくない。
そして、搬送ロールの表面粗さRmaxが3.0sを越えると、ロールに対する皮膜等の付着が起きやすくなるので、好ましくない。
本発明による光学フィルムの製造方法において、初期乾燥ゾーンでのウェブ幅手方向の収縮率を、5%以下とするのが好ましい。
ここで、初期乾燥ゾーンでのウェブ幅手方向の収縮率が5%を越えると、フィルム搬送が不安定となり、ツレ故障、シワ発生故障などが生じるので、好ましくない。
本発明による光学フィルムの製造方法において、初期乾燥ゾーンにおいて用いる搬送ロール表面の純水による接触角が、50〜180度であることが好ましい。
ここで、初期乾燥ゾーンにおいて用いる搬送ロール表面の純水による接触角が50度未満であれば、ロールに対する皮膜等の付着が起きやすくなるので、好ましくない。また初期乾燥ゾーンにおいて用いる搬送ロール表面の純水による接触角が180度を越えると、ロール製造コストアップが生じるので、好ましくない。
本発明による上記の光学フィルムの製造方法によって製造された光学フィルムは、初期乾燥ゾーンの搬送張力が200〜350Nであるのが好ましい。
ここで、初期乾燥ゾーンの搬送張力が200N未満であれば、所望の光学特性や高い物理的強度が得られず、また安定なフィルム搬送ができないので、好ましくない。また初期乾燥ゾーンの搬送張力が350Nを越えると、所望の光学特性が得られず、また安定なフィルム搬送ができないので、好ましくない。
また、初期乾燥ゾーン(3)のウェブ(W)の幅手方向の収縮率を、5%以下とするのが好ましい。これにより、フィルムの搬送安定性が高まり、搬送時のトラブルによって生じる光学フィルムのツレ故障、シワ発生故障が起きなくなり、またフィルム幅方向の収縮率が抑制されることによって、搬送張力変化時のフィルムの光学特性値の変動が抑えられ、光学特性値が安定化する。
さらに、初期乾燥ゾーン(3)において用いる搬送ロール(7)表面の純水による接触角は、60〜180度であるのが好ましい。このように、搬送ロール(7)の純水接触角が60度以上である場合、表面エネルギーが70mN/mm以下と低くなっていることから、フィルム(ウェブ)搬送中に生じるセルロースエステル等のフィルム原料由来の皮膜などのロール付着が抑えられ、ロール付着に起因するフィルムのオサレ故障がなくなり、光学特性が安定する。
初期乾燥ゾーン(3)において用いる搬送ロール(7)の母材は、アルミニウム、ステンレスなどの金属であっても炭素繊維強化プラスチックなどのプラスチックであってもよい。またこれを表面処理したものであっても良い。表面処理はメッキ、溶射、塗膜形成など何れであってもよい。メッキとしては、ニッケル−リン複合メッキ、ニッケル−ホウ素複合メッキなどを使用することができる。溶射としては、タングステンカーバイド溶射、アルミナセラミック溶射などを使用することができる。塗膜形成としてはPVDコーティング、CVDコーティングなどを使用することができる。これらは一般的なロール製造メーカーによって製作することができ、それを購入することができる。
本発明において、フィルムのリタデーション値は自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器株式会社製)を用いて、590nmの波長において、三次元屈折率測定を行ない、得られた屈折率Nx、Ny、Nzから算出することができる。
Ro=(Nx−Ny)×d
Rt=((Nx+Ny)/2−Nz)×d
(式中、Nx、Ny、Nzはそれぞれ屈折率楕円体の主軸x、y、z方向の屈折率を表わし、かつ、Nx、Nyはフィルム面内方向の屈折率を、Nzはフィルムの厚み方向の屈折率を表わす。また、Nx≧Nyであり、dはフィルムの厚み(nm)を表わす。)
つぎに、本発明による光学フィルムの製造方法において、画像表示部材用フィルムの製造には、ウェブ(またはフィルム)(W)の両側縁部をクリップ等で固定して延伸するテンター方式が知られており、平面性や寸法安定性を向上させるために好ましい。
特に、エンドレスベルト(1)から剥離した後の初期乾燥ゾーン(3)では、溶媒の蒸発によってウェブ(またはフィルム)は幅手方向に収縮しようとする。高温度で乾燥するほど収縮が大きくなる。この収縮は可能な限り抑制しながら乾燥することが、でき上がったフィルムの平面性を良好にする上で好ましい。
本発明におけるテンター(4)による延伸工程においては、例えばセルロースエステルフィルムを製造する際の延伸倍率は、幅手方向に対して、1.5倍以上であることが好ましく、更に好ましくは1.5〜5.0倍であり、1.8倍〜3.0倍であることが特に好ましい。2軸方向に延伸する場合、高倍率で延伸する側が、1.5倍以上であり、好ましくは1.5〜5.0倍であり、もう一方の方向の延伸倍率は0.8〜1.5倍、好ましくは0.9〜1.2倍に延伸することができる。
製膜工程のこれらの幅手方向の延伸は、テンター(4)によって行なうことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
なお、テンター(4)による延伸工程においては、テンター(4)の底の前寄り部分から吹込まれ、テンター(4)の天井の後寄り部分から排出せられる温風(16)によってウェブ(W)が、延伸と共に乾燥されている。
テンター(4)による延伸工程の後に、後乾燥装置(5)を設けることが好ましい。後乾燥装置(5)内では、側面から見て千鳥配置せられた複数の搬送ロール(8)によってウェブ(W)が蛇行せられ、その間にウェブ(W)は、後乾燥装置(5)の底の前寄り部分から吹込まれ、後乾燥装置(5)の天井の後寄り部分から排出せられる温風(17)によって乾燥される。また、後乾燥装置(5)でのフィルム搬送張力は、ドープの物性、剥離時およびフィルム搬送工程での残留溶媒量、後乾燥装置(5)での温度等に影響を受けるが、30〜250N/mが好ましく、60〜150N/mがさらに好ましい。80〜120N/mが最も好ましい。
なお、ウェブ(またはフィルム)(W)を乾燥させる手段は、特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行なう。簡便さの点から熱風で乾燥するのが好ましい。乾燥温度は40〜160℃が好ましく、50〜160℃が平面性、寸法安定性を良くするためさらに好ましい。
これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。この場合、乾燥雰囲気を溶媒の爆発限界濃度を考慮して実施することは勿論のことである。
乾燥時のウェブ搬送張力は、30〜300N/幅mであり、40〜270N/幅mが、より好ましい。
乾燥工程および/又は熱矯正装置の前および/又は後に、ウェブ(またはフィルム)(W)表面のクリーン化装置が配置されるのが、好ましい。
クリーン化装置は、搬送途中のウェブ(またはフィルム)(W)に対し、超音波振動を与えると共に表面に高圧風を吹き当てて付着物を吹き飛ばして吸引し、付着している粉塵などを除去するものである。この他、火炎処理(コロナ処理、プラズマ処理)を行なう方式、粘着ロールを設置する方式など、公知の手段・方法を特別の制限なく用いることができる。
なお、配置するクリーン化手段は、単一であってもよいし、2以上の複数であってもよい。
ウェブ(W)に対する粉塵などの付着は、静電気の作用による場合が多いので、上記のクリーン化装置の前に除電手段、例えば、除電バーを配置してウェブ(W)の静電気を除去することが好ましい。除電バーとしては、公知のものを特別の制限なく用いることができる。
乾燥工程では、ウェブ(またはフィルム)(W)に含有される可塑剤が蒸発し、ロールや壁面においてコンデンスする現象を抑制する対策として、単位時間当たり供給風量に対して特定量以上の新鮮なガスを流入させることが好ましい。そして、供給する新鮮ガスの量は、全供給風量の5〜50%に設定することが好ましい。
新鮮ガス供給量を5〜50%にしているのは、5%未満では、新鮮ガス量が少なすぎて可塑剤コンデンスを抑制しきれないためであり、50%を超えると新鮮ガス量が多すぎ、ランニングコストで無駄が多くなるためである。
なお、乾燥工程あるいは熱矯正工程室あるいはそれらから出てきたフィルムの冷却工程から、フィルムを出す際のフィルム温度は、60℃以下とすることが好ましい。
ここで、60℃を超える温度で矯正、冷却工程ボックスから搬出した場合には、可塑剤のコンデンスが発生しやすい条件下にあるからである。
後乾燥装置(5)での搬送方向へフィルムの伸びを防止する目的で、テンションカットロールを設けることが好ましい。乾燥終了後、巻き取り前にスリッターを設けて端部を切り落とすことが良好な巻姿を得るため好ましい。
つぎに、搬送乾燥工程を終えた光学フィルムに対し、巻取工程に導入する前段において、エンボス加工装置によりフィルムにエンボスを形成する加工が行なわれる。エンボス加工装置としては、特開昭63−74850号公報に記載されている装置が利用できる。
ここで、エンボスの高さh(μm)は、フィルム膜厚の0.05〜0.3倍の範囲、エンボスの幅は、フィルム幅Lの0.005〜0.02倍の範囲に設定するのが好ましい。例えばフィルム膜厚40μm、フィルム幅100cmであるとき、エンボスの厚みは2〜12μm、エンボスの幅は5〜30mmに設定するのが好ましい。
エンボスは、フィルムの両面に形成してもよい。この場合、エンボスの高さh1+h2(μm)は、フィルム膜厚の0.05〜0.3倍の範囲、エンボスの幅は、フィルム幅の0.005〜0.02倍の範囲に設定するのが好ましい。例えばフィルム膜厚40μmであるとき、エンボスの高さh1+h2(μm)は2〜12μmに設定する。エンボスの幅は5〜30mmに設定するのが好ましい。
乾燥が終了したフィルム(F)を巻取り装置(18)によって巻き取り、光学フィルムの元巻を得る工程である。乾燥を終了するフィルム(F)の残留溶媒量は、0.5重量%以下、好ましくは0.1重量%以下とすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。
フィルムの巻き取り方法は、一般に使用されているワインダーを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の張力をコントロールする方法があり、それらを使い分ければよい。
巻取りコア(巻芯)への、フィルムの接合は、両面接着テープでも、片面接着テープでもどちらでも良い。
初期巻取開始時は、巻取り張力は280N/m幅以下、エンボス部のみタッチロール巻取の押圧力+巻取初期張力が60N/m幅以上となるよう巻取るのが好ましい。
光学フィルムの膜厚は、使用目的によって異なるが、仕上がりフィルムとして、通常35〜85μmの範囲が好ましく、特に液晶画像表示装置用フィルムとしては40〜80μmの範囲が用いられる。
膜厚の調節には、所望の厚さになるように、ドープ濃度、ポンプの送液量、ダイの口金のスリット間隙、ダイの押し出し圧力、流延用エンドレスベルトの速度等をコントロールするのがよい。
また、膜厚を均一にする手段として、膜厚検出手段を用いて、プログラムされたフィードバック情報を上記各装置にフィードバックさせて調節するのが、好ましい。
本発明の方法により製造された光学フィルムは、抗張力が、MD方向、TD方向共に90〜170N/mmであることが好ましく、特に120〜160N/mmであることが好ましい。
含水率としては0.1〜5%が好ましく、0.3〜4%がより好ましく、0.5〜2%であることがさらに好ましい。
本発明の方法により製造された光学フィルムは、透過率が90%以上であることが望ましく、さらに好ましくは92%以上であり、さらに好ましくは93%以上である。また、ヘイズは0.5%以下であることが好ましく、特に0.1%以下であることが好ましく、0%であることがさらに好ましい。
本発明の方法により製造された光学フィルムは、下記式で定義される面内リタデーション(Ro)が、温度23℃、湿度55%RHの条件下で30〜300nm、厚み方向リタデーション(Rt)が、温度23℃、湿度55%RHの条件下で70〜400nmであることが好ましい。
Ro=(nx−ny)×d
Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
式中、Roは面内リタデーション値、Rtは厚み方向リタデーション値、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率(屈折率は波長590nmで測定)、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。
なお、リタデーション値Ro、Rtは、自動複屈折率計を用いて測定することができる。例えば、KOBRA−WIS/RT(王子計測機器株式会社製)を用いて、温度23℃、湿度55%RHの環境下で、波長が590nmで求めることができる。
本発明の方法により製造された光学フィルムからなる偏光板用保護フィルムを用いることにより、薄膜化とともに、高い物理的強度、耐久性および寸法安定性、光学的等方性に優れた偏光板を提供することができる。
ここで、偏光フィルムは、従来から使用されている、例えば、ポリビニルアルコールフィルムのような延伸配向可能なフィルムを、沃素のような二色性染料で処理して縦延伸したものである。偏光フィルム自身では、十分な強度、耐久性がないので、一般的にはその両面に保護フィルムとしての異方性のないセルローストリアセテートフィルムを接着して偏光板としている。
上記において、偏光板は、上記偏光板に、本発明の方法により製造された光学フィルムを位相差フィルムとして、保護フィルム上に貼り合わせて作製してもよいし、また本発明の方法により製造された光学フィルムを位相差フィルムおよび保護フィルムも兼ねて、直接偏光フィルムと貼り合わせて偏光板を作製してもよい。貼り合わせる方法は、特に限定はないが、水溶性ポリマーの水溶液からなる接着剤により行なうことができる。この水溶性ポリマー接着剤は完全鹸化型のポリビニルアルコール水溶液が好ましく用いられる。さらに、若干前述したが、長手方向に延伸し、二色性染料処理した長尺の偏光フィルムと長尺の本発明の方法により製造された位相差フィルムとを貼り合わせることによって長尺の偏光板を得ることができる。偏光板はその片面または両面に感圧性接着剤層(例えば、アクリル系感圧性接着剤層など)を介して剥離性シートを積層した貼着型のもの(剥離性シートを剥すことにより、液晶セルなどに容易に貼着することができる)としてもよい。
上記の偏光板は、一般的な方法で作製することができる。例えば、セルロースエステルフィルムをアルカリケン化処理し、ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素溶液中に浸漬、延伸して作製した偏光膜の両面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリケン化処理とは、水系接着剤の濡れを良くし、接着性を向上させるために、セルロースエステルフィルムを高温の強アルカリ液中に漬ける処理のことをいう。
本発明の方法により製造された光学フィルムには、ハードコート層、防眩層、反射防止層、防汚層、帯電防止層、導電層、光学異方層、液晶層、配向層、粘着層、接着層、下引き層等の各種機能層を付与することができる。これらの機能層は塗布あるいは蒸着、スパッタ、プラズマCVD、大気圧プラズマ処理等の方法で設けることができる。
また偏光板は、上記本発明の方法により製造された光学フィルムが、偏光フィルムの両側に配置された2枚の偏光板保護フィルムのうちの少なくともいずれか一方を構成するもので、このようにして得られた偏光板が、液晶セルの片面または両面に設けられ、これを用いて、液晶表示装置が得られる。
本発明の方法により製造された光学フィルムからなる偏光板用保護フィルムを用いることにより、薄膜化とともに、耐久性および寸法安定性、光学的等方性に優れた偏光板を提供することができる。
さらに、この偏光板を用いた液晶表示装置は、長期間に亘って安定した表示性能を維持することができるものである。
本発明による液晶表示装置は、液晶層を挟持する一対の基板からなるIPSモードにて駆動される液晶セルと当該液晶セルの両側に直交状態に配置される一対の偏光板とを有する液晶表示装置であって、少なくとも一方の偏光板の液晶セル側に上記本発明の方法により製造された光学フィルムが備えられているものである。
また本発明は、特に、本発明の方法により製造された光学フィルムを用いた広範囲にわたり高コントラスト比を有する見やすい表示を実現可能な画像表示装置、特にIPSモードで動作する液晶表示装置を提供するものである。
なお、本発明の方法により製造された光学フィルムは、その他、反射防止用フィルムあるいは光学補償フィルムの基材としても使用できる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
実施例1
(ドープ組成)
セルローストリアセテート 100重量部
(Mn=148000、Mw=310000、Mw/Mn=2.1)
トリフェニルフォスフェート 8重量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2重量部
メチレンクロライド 440重量部
エタノール 40重量部
チヌビン109(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.5重量部
チヌビン171(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.5重量部
アエロジル972V(日本アエロジル株式会社製) 0.2重量部
上記のドープ組成の材料を、密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、濾過した。ついで、図1に示す溶液流延製膜装置を用い、流延ダイ(2)から温度30℃のドープを、幅2400mmのステンレス鋼製のエンドレスベルト(1)上に、幅2200mmで均一に流延した(流延工程)。エンドレスベルト(1)の走行速度は、100m/minとした。
またこのとき、ドープを、エンドレスベルト(1)の上部移送部(1a)の第1ドラム寄り部分のベルト上面に流延した。ここで、第2ドラム(加熱ドラム)(12)の直径を3000mm、第1ドラム(冷却ドラム)(11)の直径を2800mmとして、第2ドラム(12)の直径を第1ドラム(11)の直径よりも大きくした。第2ドラム(12)の直径は、第1ドラム(11)の直径に対して1.07倍であった。
なお、図4に示すように、エンドレスベルト(1)の上部移送部(1a)は、水平状とした。
そして、エンドレスベルト(1)上では、ウェブ(W)側の乾燥機からは温度45℃の温風を10m/秒の風速で送り、エンドレスベルト(1)裏面側の乾燥機からは温度40℃の温風を10m/秒の風速で送り、溶媒を蒸発させ、ウェブ(W)を乾燥した(溶媒蒸発工程)。
ウェブ(流延膜)(W)は、エンドレスベルト(1)の上部移送部(1a)、第2ドラムの巻回移送部(1d)および下部移送部(1b)をめぐって乾燥させられた後、ウェブ(W)をエンドレスベルト(1)の第1のドラム(11)上に当たる第1のドラム巻回移送部(1c)から剥離ロール(6)によって後方に剥離した(剥離工程)。剥離直前におけるウェブ(W)の残留溶媒量は80重量%であった。
ついで、剥離後のウェブ(W)は初期乾燥ゾーン(3)に導入する。初期乾燥ゾーン(3)内では、側面から見て千鳥配置せられた複数の搬送ロール(7)によってウェブ(W)が蛇行せられ、その間にウェブ(W)を80℃の温風(15)で1分間乾燥した(第1乾燥工程)。
乾燥後のフィルム(ウェブ)(F)を延伸工程の1軸延伸テンター(4)に導入し、フィルム(ウェブ)(F)の残留溶媒量が3〜10重量%にあるときに、100℃の温風(16)による雰囲気下で、フィルム(ウェブ)(F)を幅手方向に1.25倍に延伸するとともに、乾燥した。
つぎに、延伸後のフィルム(ウェブ)(F)を、後期乾燥装置(5)に導入した。後期乾燥装置(5)では、鏡面搬送ロールよりなる多数の非駆動のフリーロールによって構成される搬送ロール(8)により搬送しながら、温度125℃の乾燥風(17)によって乾燥させた(第2乾燥工程)。
後期乾燥装置(5)による乾燥後に、セルローストリアセテートフィルム(F)を巻取り装置(18)によって巻き取り、最終的に温度20℃に冷却して、膜厚40μm、および幅2200mmのセルローストリアセテートフィルム(F)を得た。このフィルムは、偏光板保護フィルムとして使用するものである。
実施例2〜5
上記実施例1の場合と同様に、ドープ組成を用いて、最終製品幅2200mmのセルローストリアセテートフィルムを作製するが、上記実施例1の場合と異なる点は、実施例2では、第2ドラム(12)の直径を3000mm、および第1ドラム(11)の直径を2500mmとし、第2ドラム(12)の直径が、第1ドラム(11)の直径に対し1.2倍とした点、実施例3では、第2ドラム(12)の直径を3000mm、および第1ドラム(11)の直径を2000mmとし、第2ドラム(12)の直径が、第1ドラム(11)の直径に対し1.5倍とした点、実施例4では、第2ドラム(12)の直径を3000mm、および第1ドラム(11)の直径を800mmとし、第2ドラム(12)の直径が、第1ドラム(11)の直径に対し3.75倍とした点、また実施例5では、第2ドラム(12)の直径を3000mm、および第1ドラム(11)の直径を500mmとし、第2ドラム(12)の直径を、第1ドラム(11)の直径に対し6.0倍とした点にある。
また、実施例2〜5のすべての場合に、巻き取りフィルムの幅手膜厚分布が均一になるよう、延伸工程での幅手延伸倍率を1.20〜1.30倍の範囲で調整を行った。
比較例1
比較のために、上記実施例1の場合と同様に、セルローストリアセテートフィルムを作製するが、上記実施例1の場合と異なる点は、第2ドラム(12)の直径を2000mm、および第1ドラム(11)の直径を2000mmとし、第2ドラム(12)の直径を、第1ドラム(11)の直径に対し1.0倍とした点にある。
<幅収縮率の測定>
そして、実施例1〜5および比較例1のセルローストリアセテートフィルムの製造段階において、剥離ロール(6)によってエンドレスベルト(1)から剥離する直前におけるウェブ(W)の幅を測定して、その値をaとし、剥離してからテンター(4)に入る直前の位置でのウェブ(W)の幅を測定して、その値をbとした。このときの幅収縮率(R)(%)を下記式により算出し、得られた結果を下記の表1に示した。
R=b/a
<ヘイズの測定>
つぎに、実施例1〜35および比較例1で得られたセルローストリアセテートフィルムについて、JIS K 7136に規定される方法に従って、ヘイズ・メーター(NDH2000、日本電色工業株式会社製)を用いて測定した。
ここで、拡散光線透過率/全光線透過率×100として、評価した。得られた結果を、下記の表1に示した。
なお、ヘイズは、フィルムの幅手方向の収縮が少ないと、フィルム表面にシワなどの発生が少なく、その値が低下し、液晶表示装置用光学フィルムとして用いる場合、好ましい。
また、下記の表1には、第1ドラム(11)および第2ドラム(12)の直径をあわせて記載した。
(偏光膜の作製)
つぎに、上記実施例1〜5および比較例1によるセルローストリアセテートフィルムを用いて液晶表示装置を作製するために、まず、偏光膜を作製した。すなわち、厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、温度110℃、延伸倍率5倍で一軸延伸した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、ついでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し、偏光膜を得た。
(偏光板の作製)
ついで、下記の工程1〜工程5に従って、上記の偏光膜の両面に、上記実施例1〜5および比較例1で作製した膜厚40μmのセルローストリアセテートフィルム(偏光板保護フィルム)と、市販の位相差フィルムとを貼り合わせて偏光板を作製した。
工程1:上記偏光板保護フィルムおよび市販の位相差フィルムを、温度50℃の1モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に60秒間浸漬し、ついで水洗し乾燥して、偏光膜と貼合する側を鹸化した偏光板保護フィルムと、市販の位相差フィルムを得た。
工程2:偏光膜を固形分2重量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、この偏光膜の両側に、工程1で鹸化処理した偏光板保護フィルムおよび市販の位相差フィルムを積層して配置した。
工程4:工程3で積層した市販の位相差フィルムと、偏光膜と、裏面側偏光板保護フィルムを、圧力20〜30N/cm 、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:工程4で作製した偏光膜と市販の位相差フィルムおよび偏光板保護フィルムとを貼合わせた試料を、80℃の乾燥機中に2分間乾燥し、偏光板を作製した。
(液晶表示装置の作製)
ついで、市販の液晶TV(シャープ社製、アクオス32AD5)の偏光板を剥離し、上記作製した偏光板をそれぞれ液晶セルのガラス面に貼合して、液晶表示装置を作製した。
その際、上記作製した偏光板保護フィルムが液晶セル面側となるように、また偏光板の貼合の向きは、予め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように行なった。
(視認性評価)
上記実施例1〜5および比較例1によるセルローストリアセテートフィルムを用いて作製した各液晶表示装置について、視認性の性能を評価するために、液晶表示装置を、温度23℃、湿度55%RHの環境で、液晶表示装置の液晶TV表示装置のバックライトを点灯して30分間そのまま放置とした後、表示装置に光学的ムラが生じているか、どうかの視認性を、下記の基準により評価し、得られた結果を、下記の表1にあわせて示した。
視認性評価基準
◎:全くムラが無い
○:弱いムラが数個程度ある
×:規則性のある強いムラがある
Figure 0005682522
上記表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜5では、セルローストリアセテートフィルムの製造段階において、いずれも幅収縮率が小さく、端部ヘイズの値が低くいものであり、実施例1〜5で製造されたセルローストリアセテートフィルムを用いて作製した液晶表示装置では、視認性の評価において、全くムラが無いか、または弱いムラが数個程度あるだけであり、使用に問題がないものであった。
これに対し、比較例1では、セルローストリアセテートフィルムの製造段階において、幅収縮率が大きく、端部ヘイズの値が高いものであり、比較例1で製造されたセルローストリアセテートフィルムを用いて作製した液晶表示装置では、視認性の評価において、規則性のある強いムラがあり、使用に問題があるものであった。
実施例6〜9
上記実施例3の場合と同様に、ドープ組成を用いて、最終製品幅2200mmのセルローストリアセテートフィルムを作製するが、上記実施例3の場合と異なる点は、下記の表2に示すように、エンドレスベルト(1)の上部移送部(1a)の搬送方向に向かって上向きの傾斜角度を種々変更させた点にある。すなわち、
実施例3では、第2ドラム(12)の直径を3000mm、および第1ドラム(11)の直径を2000mmとし、エンドレスベルト(1)の上部移送部(1a)の搬送方向に向かって上向きの傾斜角度を0°としたのに対し、実施例6では、その傾斜角度を0.5°、実施例57では、その傾斜角度を2°、実施例8では、その傾斜角度を25°、実施例9では、その傾斜角度を35°とした。
<流延されたウェブ表面における薄皮状表層膜発生の評価>
実施例4〜7のセルローストリアセテートフィルムの製造段階において、流延ダイ(2)からエンドレスベルト(1)上にドープが流延されて形成されたウェブ(W)の表面に、薄皮状表層膜が発生しているか、どうかを、目視により確認し、下記の基準により評価した。得られた結果を、下記の表2に示した。
ウェブ表面における薄皮状表層膜発生の評価基準
◎:薄皮状表層膜の発生が確認されない
○:薄皮状表層膜の発生が確認されるが、フィルムの製造が阻害される問題があった
×:薄皮状表層膜の発生が確認され、フィルムの製造が阻害される問題はなかった
なお、下記の表2には、第1ドラム(11)および第2ドラム(12)の直径、並びにエンドレスベルト(1)の上部移送部(1a)の傾斜角度(°)を、あわせて記載した。
<フィルムの泡の巻き込みの評価>
つぎに、上記実施例6〜9で作製したセルローストリアセテートフィルムに、泡が巻き込まれているか、どうかを、目視により確認し、下記の基準により評価した。得られた結果を、下記の表2にあわせて示した。
フィルムの泡の巻き込みの評価基準
◎:泡の巻き込みが確認されない
○:泡の巻き込みがわずかに確認されるが、実用上問題のないレベル
×:泡の巻き込みによる面故障が確認され、実用上問題のあるレベル
Figure 0005682522
上記表2の結果から明らかなように、本発明の実施例6〜9で作製したセルローストリアセテートフィルムによれば、泡の巻き込みが確認されないか、または泡の巻き込みがわずかに確認されるが、偏光板の保護フィルムとして用いても、実用上問題のないレベルであった。
なお、実施例9では、エンドレスベルト(1)の上部移送部(1a)の上向きの傾斜角度を傾けすぎたことによって、流延膜が重力の影響により垂れてしまい、液だまりが発生し、フィルムの長期生産においては、流延された流延膜(ウェブ)表面に薄皮状表層膜が発生してしまうので、好ましくないものと考えられる。
1:ステンレス鋼製エンドレスベルト
1a:上部移送部
1b:下部移送部
1c:第1のドラム巻回移送部
1d:第2のドラム巻回移送部
2:流延ダイ
3:初期乾燥装置
4:テンター
5:後期乾燥装置
6:剥離ロール
7:搬送ロール
8:搬送ロール
11:第1のドラム
12:第2のドラム
13:乾燥機
14:乾燥機
W:ウェブ
15:温風
16:温風
17:温風
18:巻取り装置
F:セルローストリアセテートフィルム(光学フィルム)

Claims (1)

  1. 熱可塑性樹脂と溶剤とを含有するドープ(樹脂溶液)を、相互に所定間隔をおいて配置された一対の第1のドラムと第2のドラムに巻き回されて搬送されるエンドレスベルト上の、上部移送部上の第1のドラム上又は近傍に該当する位置に流延し、流延されたドープは、エンドレスベルト上で第2のドラムにより折り返され、第1のドラム上まで搬送されることで乾燥されてウェブが形成された後、ウェブを第1のドラム上でエンドレスベルトから剥離し、ウェブを更に乾燥する工程および幅手方向に延伸する工程を経て、フィルムとなし、得られたフィルムを巻き取る溶液流延製膜法による液晶表示装置用光学フィルムの製造方法であって、第1のドラムは加熱手段を設けられない冷却ドラムであり、第2のドラムは加熱手段が設けられた加熱ドラムであり、第2のドラムの直径が第1のドラムの直径よりも大きくなされていて、第2のドラムとエンドレスベルトとの接触時間が、第1のドラムとエンドレスベルトとの接触時間よりも長いことを特徴とする、液晶表示装置用光学フィルムの製造方法。
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