つぎに、本発明の実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明による光学フィルムの製造方法は、溶液流延製膜法によるもので、流延支持体の幅手方向中央部の流延面に流延するドープの粘度よりも、流延支持体の幅手方向両端部の流延面に流延するドープの粘度を低くすることを特徴としている。
本発明の光学フィルムの製造方法によれば、溶液流延製膜法により流延支持体上に流延する熱可塑性ドープとして、相互に異なる粘度を有する複数種類のドープを用るとともに、流延支持体の幅手方向中央部の流延面に流延するドープの粘度よりも、流延支持体の幅手方向両端部の流延面に流延するドープの粘度を低くすると、流延された流延リボン(リボン状の流延膜)が振動しにくくなり、振動により発生するフィルム幅手方向の横段状のスジ(横段状の膜厚ムラ)が目立たなくなり、平面性を均一に保ちながらも、広幅化に対応したフィルム幅手方向の両端部まで使用可能な光学フィルムの製造することができ、これによって、光学フィルムの生産性を大幅に向上させることができるうえに、偏光板に加工しても、視認性等の全く問題が生じないものである。
ここで、流延支持体の幅手方向両端部の流延面とは、流延支持体の幅手方向の両端からそれぞれ内側に、流延支持体の全幅の10〜20%に相当する流延面をいゝ、流延支持体の幅手方向中央部の流延面とは、流延支持体の幅の残部をいうものとする。
本発明による光学フィルムの製造方法においては、流延支持体の幅手方向中央部の流延面に流延するドープの粘度(Pa・秒)をV1とし、流延支持体の幅手方向両端部の流延面に流延するドープの粘度(Pa・秒)をV2とするとき、下記式の関係が成り立つ。
0.5×(V1)≦V2≦0.9×(V1)
ここで、幅手方向両端部に流延するドープの粘度V2が、0.5×(V1)未満であれば、流延リボンが伸びて波打つため、ベルトとの隙間から泡を巻き込み、最悪の場合は破断して製膜を停止させてしまうので、好ましくない。また、幅手方向両端部に流延するドープの粘度V2が、0.9×(V1)を超えると、改善効果はあるが、フィルム幅手方向の横段状のスジが確認できる程度に発生するため、好ましくない。
ここで、ドープの粘度を低く設定するには、固形分を溶解する溶媒の量を増やす必要がある。そのため、全幅でドープの粘度を低くすると、フィルム幅手方向の横段状のスジの無いフィルムの生産は可能であるが、揮発した溶媒を回収する設備が大型化するので、好ましくない。よって、使用する溶媒を少なくするため、フィルムの幅手方向両端部に使用するドープの粘度のみを低くすることにより、本発明を完成するに至ったものである。
本実施の形態において、光学フィルムを製造するためのドープは、主材としてセルロースエステル樹脂等の樹脂を含み、これらに、可塑剤、リタデーション調整剤、紫外線吸収剤、微粒子、及び低分子量物質のうちの少なくとも1種以上の物質と、溶媒とを含むものである。
本実施の形態の光学フィルムの製造方法においては、フィルム材料として、種々の樹脂を用いることができるが、中でもセルロースエステルが好ましい。
セルロースエステルは、セルロース由来の水酸基がアシル基などで置換されたセルロースエステルである。例えば、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートなどのセルロースアシレートや、脂肪族ポリエステルグラフト側鎖を有するセルロースアセテートなどが挙げられる。中でも、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、脂肪族ポリエステルグラフト側鎖を有するセルロースアセテートが好ましい。本実施の形態の効果を阻害しない範囲であれば、その他の置換基が含まれていてもよい。
セルローストリアセテートの例としては、アセチル基の置換度が2.0以上3.0以下であることが好ましい。置換度をこの範囲にすることで、良好な成形性が得られ、かつ所望の面内リタデーション(Ro)、及び厚み方向リタデーション(Rt)を得ることができる。アセチル基の置換度が、この範囲より低いと、位相差フィルムとしての耐湿熱性、特に湿熱下での寸法安定性に劣る場合があり、置換度が大きすぎると、必要なリタデーション特性が発現しなくなる場合がある。
本実施の形態に用いられるセルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることができる。また、それらから得られたセルロースエステルは、それぞれ任意の割合で混合使用することができる。
本実施の形態において、セルロースエステルの数平均分子量は、60,000〜300,000の範囲が、得られるフィルムの機械的強度が強く好ましい。さらに70,000〜200,000が好ましい。
本実施の形態において、セルロースエステルには、種々の添加剤を配合することができる。
本発明の方法において、好ましく用いられるセルロースエステル系樹脂としては、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のアシル基の置換度が1.80〜2.80、好ましくは2.40〜2.50のセルロースエステル系樹脂を挙げることができ、これらから選ばれる少なくとも一つを含有することが好ましい。
中でも、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどが特に好ましい。また、相溶性のあるポリマーを2種類以上ブレンドして後で述べるドープ溶解を行なっても良いが、本発明はこれらに限定されるものではない。
セルロースエステルの溶媒としては、セルロースエステルを溶解できる溶媒であれば特に限定はされないが、また単独で溶解できない溶媒であっても他の溶媒と混合することにより、溶解できるものであれば使用することができる。一般的には、良溶媒であるメチレンクロライドとセルロースエステルの貧溶媒からなる混合溶媒を用い、かつ混合溶媒中には貧溶媒を4〜30重量%含有するものが好ましく用いられる。
この他、使用できる良溶媒としては、例えばメチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができるが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオキソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等が好ましい有機溶媒(すなわち、良溶媒)として挙げられる。酢酸メチルを用いると、得られるフィルムのカールが少なくなるため特に好ましい。
セルロースエステルの貧溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等の炭素原子数1〜8のアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、モノクロルベンゼン、ベンゼン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができ、これらの貧溶媒は、単独もしくは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明において、セルロースエステルには、種々の添加剤を配合することができる。
本発明では、可塑剤を配合することが好ましい。可塑剤としては、従来公知のセルロースエステル用の可塑剤が好ましく使用できる。特に相溶性に優れたものが好ましく、例えばリン酸エステルやカルボン酸エステルが好ましい。リン酸エステルとしては、例えばトリフェニルホスフェイト、トリクレジルホスフェート、フェニルジフェニルホスフェート等を挙げることができる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステル等、フタル酸エステルとしては、例えばジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジオクチルフタレート及びジエチルヘキシルフタレート等、またクエン酸エステルとしてはクエン酸アセチルトリエチル及びクエン酸アセチルトリブチルを挙げることができる。またその他、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバチン酸ジブチル、トリアセチン、等も挙げられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートもこの目的で好ましく用いられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートのアルキルは炭素原子数1〜8のアルキル基である。アルキルフタリルアルキルグリコレートとしてはメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、プロピルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等を挙げることができ、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートが好ましく、特にエチルフタリルエチルグリコレートが好ましく用いられる。分子量の大きい可塑剤は、押し出し成形の際の揮発が抑制でき好ましい。これらの例としては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートなどのグリコールと二塩基酸とからなる脂肪族ポリエステル類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸などのオキシカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル類、ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトン、ポリバレロラクトンなどのラクトンからなる脂肪族ポリエステル類、ポリビニルピロリドンなどのビニルポリマー類などが挙げられる。上記可塑剤は、これらを単独もしくは併用して使用することができる。
上述した可塑剤の含有量は、セルロースエステルに対して1〜30重量%含有させることが好ましい。可塑剤をこの範囲含有させることで、セルロースエステルフィルムの湿熱下での寸法安定性を向上することができる。
本発明において、使用し得る紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
本発明に有用な紫外線吸収剤の具体例として、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)326(何れもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を好ましく使用できる。
ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
これらの紫外線吸収剤の配合量は、セルロースエステルに対して、0.01〜10重量%の範囲が好ましく、さらに0.1〜5重量%が好ましい。使用量が少なすぎると、紫外線吸収効果が不十分の場合があり、多すぎると、フィルムの透明性が劣化する場合がある。紫外線吸収剤は熱安定性の高いものが好ましい。
なお、本発明において、上述の可塑剤、及び紫外線吸収剤が、厚み方向リタデーション(Rt)を低減する添加剤としての役割をあわせ有していても良い。
セルロースエステルのアセチル基の置換度が低いと、耐熱性が低下する場合がある。この場合、酸化防止剤を配合することが有効である。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等が挙げられる。特に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
本発明におけるセルロース誘導体には、滑り性を付与するために、マット剤等の微粒子を添加するのが好ましい。微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。
無機化合物の微粒子の例としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化錫等の微粒子が挙げられる。この中では、ケイ素原子を含有する化合物の微粒子であることが好ましく、特に二酸化ケイ素微粒子が好ましい。二酸化ケイ素微粒子としては、例えばアエロジル株式会社製のAEROSIL 200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812,R805、OX50、TT600などが挙げられる。
有機化合物の微粒子の例としては、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素化合物樹脂、ウレタン樹脂等の微粒子が挙げられる。
微粒子の1次粒径は、特に限定されないが、最終的にフィルム中での平均粒径は、0.05〜5.0μm程度が好ましい。さらに好ましくは、0.1〜1.0μmである。
微粒子の平均粒径は、セルロースエステルフィルムを電子顕微鏡や光学顕微鏡で観察した際に、フィルムの観察場所における、粒子の長軸方向の長さの平均値を指す。フィルム中で観察される粒子であれば、1次粒子であっても、1次粒子が凝集した2次粒子であってもよいが、通常観察される多くは2次粒子である。
測定方法の一例としては、1つのフィルムにつき、ランダムに10箇所の垂直断面写真を撮影し、各断面写真について、長軸長さが、0.05〜5μmの範囲にある100μm2中の粒子個数をカウントする。このときカウントした粒子の長軸長さの平均値を求め、10箇所の平均値を平均した値を平均粒径とする。
微粒子の場合は、1次粒径、溶媒に分散した後の粒径、フィルムに添加されたの粒径が変化する場合が多く、重要なのは、最終的にフィルム中で微粒子がセルロースエステルと複合し凝集して形成される粒径をコントロールすることである。
上記微粒子の平均粒径が、5μmを超えた場合は、ヘイズの劣化等が見られたり、異物として巻状態での故障を発生する原因にもなる。また、微粒子の平均粒径が、0.05μm未満の場合は、フィルムに滑り性を付与するのが難しくなる。
上記の微粒子は、セルロースエステルに対して、0.04〜0.5重量%添加して使用される。好ましくは、0.05〜0.3重量%、さらに好ましくは0.05〜0.25重量%添加して使用される。微粒子の添加量が0.04重量%以下では、フィルム表面粗さが平滑になりすぎて、摩擦係数の上昇によりブロッキングを発生する。微粒子の添加量が0.5重量%を超えると、フィルム表面の摩擦係数が下がりすぎて、巻き取り時に巻きズレが発生したり、フィルムの透明度が低く、ヘイズが高くなるため、液晶表示装置用フィルムとしての価値を持たなくなるので、上記の範囲が必須である。
微粒子の分散は、微粒子と溶剤を混合した組成物を高圧分散装置で処理することが好ましい。本発明で用いる高圧分散装置は、微粒子と溶媒を混合した組成物を、細管中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態など特殊な条件を作りだす装置である。
高圧分散装置で処理することにより、例えば、管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が980N/cm2以上であることが好ましい。さらに好ましくは、装置内部の最大圧力条件が1960N/cm2以上である。またその際、最高到達速度が100m/sec以上に達するもの、伝熱速度が100kcal/hr以上に達するものが、好ましい。
上記のような高圧分散装置としては、例えばMicrofluidics Corporation社製の超高圧ホモジナイザー(商品名マイクロフルイダイザー)あるいはナノマイザー社製ナノマイザーが挙げられ、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えばイズミフードマシナリ製ホモゲナイザーなどが挙げられる。
溶液流延製膜法による光学フィルムの製造方法は、セルロースエステルと添加剤とを含有するドープ(樹脂溶液)を、金属製回転ドラムまたは金属製回転エンドレスベルト(支持体)上に流延してウェブを形成する流延工程と、支持体から剥離されたウェブをテンター装置により延伸する延伸工程と、延伸後にウェブを乾燥させる乾燥工程と、乾燥したフィルムを巻き取る巻き取り工程を有するものである。
溶液流延製膜法による光学フィルムの製造方法において、まず、セルロースエステルの溶解は、溶解釜中での撹拌溶解方法、加熱溶解方法、超音波溶解方法等の手段が、通常用いられ、加圧下で、溶剤の常圧での沸点以上でかつ溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱し、攪拌しながら溶解する方法が、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため、より好ましい。また、特開平9−95538号公報記載の冷却溶解方法、あるいはまた特開平11−21379号公報記載の高圧下で溶解する方法なども用いてもよい。
セルロースエステルを貧溶剤と混合して湿潤、あるいは膨潤させた後、さらに良溶剤と混合して溶解する方法も好ましく用いられる。このとき、セルロースエステルを貧溶媒と混合して湿潤あるいは膨潤させる装置と、良溶剤と混合して溶解する装置を別々に分けてもよい。
セルロースエステルの溶解に用いる加圧容器の種類は、特に問うところではなく、所定の圧力に耐えることができ、加圧下で加熱、攪拌ができればよい。加圧容器には、その他、圧力計、温度計などの計器類を適宜配設する。加圧は窒素ガスなどの不活性気体を圧入する方法や、加熱による溶剤の蒸気圧の上昇によって行なってもよい。加熱は外部から行なうことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、使用する溶剤の沸点以上で、2種類以上の混合溶剤の場合は、沸点が低い方の溶剤の沸点以上の温度に加温しかつ該溶剤が沸騰しない範囲の温度が好ましい。加熱温度が高すぎると、必要とされる圧力が大きくなり、生産性が悪くなる。好ましい加熱温度の範囲は20〜120℃であり、30〜100℃が、より好ましく、40〜80℃の範囲がさらに好ましい。また圧力は、設定温度で、溶剤が沸騰しないように調整される。
セルロースエステルと溶剤の他に、必要な可塑剤、紫外線吸収剤等の添加剤は、予め溶剤と混合し、溶解または分散してからセルロースエステル溶解前の溶剤に投入しても、セルロースエステル溶解後のドープへ投入してもよい。
セルロースエステルの溶解後は、冷却しながら容器から取り出すか、または容器からポンプ等で抜き出して、熱交換器などで冷却し、得られたポリマーのドープを製膜に供するが、このときの冷却温度は、常温まで冷却してもよい。
原料としてのセルロースエステルの粒径dは、0.1mm≦d≦20mmの粒子が60重量%以上の比率で構成されることが、セルロースエステルの凝集塊を発生させることなく、良好な溶解性を得るために、望ましい。
原料セルロースエステルと溶媒の混合物は、撹拌機を有する溶解釜で溶解し、このとき、撹拌翼の周速は少なくとも0.5m/秒以上で、かつ30分以上撹拌して溶解することが好ましい。
本発明の方法において、溶解釜で溶解したセルロースエステルのドープを、ポンプにより濾過機に送り、濾過機において濾過する。この濾過は、通常の方法で行なうことができるが、溶剤の常圧での沸点以上でかつ溶剤が沸騰しない範囲の温度で加圧下加熱しながら濾過する方法が、濾過材前後の差圧(以下、濾圧というることがある)の上昇が小さく、好ましい。
本発明の方法において、セルロースエステルドープは、これを濾過することによって、異物、特に液晶画像表示装置において、画像と認識し間違う異物は、これを除去しなければならない。偏光板用保護フィルムの品質は、この濾過によって決まるといってもよい。
濾過に使用する濾材は、絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さすぎると、濾過材の目詰まりが発生しやすく、濾材の交換を頻繁に行なわなければならず、生産性を低下させるという問題点ある。
このため、本発明の方法において、セルロースエステルドープに使用する濾材は、絶対濾過精度0.020mm以下のものが好ましい。濾紙としては、例えば市販品の安積濾紙株式会社のNo.244や277等を挙げることができ、好ましく用いられる。
濾材の材質には、特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック繊維製の濾材やステンレス繊維等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
ドープ濾過の好ましい温度範囲は、45〜120℃であり、45〜70℃が、より好ましく、45〜55℃の範囲であることがさらに好ましい。
濾圧は、3500kPa以下であることが好ましく、3000kPa以下が、より好ましく、2500kPa以下であることがさらに好ましい。なお、濾圧は、濾過流量と濾過面積を適宜選択することで、コントロールできる。こうして得られたドープは、ストックタンクに保管され、脱泡された後、流延に用いられる。
このように、溶解釜中で、あらかじめドメイン形成材料とセルロースエステルと溶媒とを混合してドープを調製する場合は、通常、ドメイン形成材料をインライン添加する必要はない。しかしながら、必要に応じて、ドメイン形成材料の全部もしくは一部をインラインで混合することができる。
例えば、溶解釜中で適当な溶媒に混合または分散された不定形粒子分散液は、ポンプにより濾過機に送り、濾過機において濾過する。得られたドープは、第2ストックタンクに保管され、脱泡される。
第1ストックタンクからポンプによって導管中を移送したセルロースエステル溶液(もしくはドープ原液と称する場合がある)と、第2ストックタンクからポンプによって導管中を移送したドメイン形成材料溶液(不定形粒子分散液)とは、合流管で合流させる。
合流管の直前には、濾過器が配置されており、例えば濾材交換等に伴い経路から発生する、塊や大きな異物を、送液中の不定形粒子分散液あるいはドープ原液から除去することができる。ここでは、耐溶剤性を有する金属製の濾過器が好ましく用いられる。
濾材としては、耐久性の観点から金属、特にステンレス鋼が好ましい。目詰まりの観点から60〜80%の空孔率を有していることが好ましい。最も好ましくは、絶対濾過精度30〜60μmであって、かつ空孔率60〜80%の金属製濾材で濾過することであり、これにより、長期に亘り、確実に粗大な異物を除くことができ好ましい。絶対濾過精度30〜60μmでかつ空孔率60〜80%の金属製濾材としては、例えば日本精線株式会社製ファインポアNFシリーズのNF−10、同NF−12、同NF−13等を挙げることができる。
上記のようにして合流した両液は、導管内を層状で移送するためそのままでは混合しにくい。そこで、両液を合流後、インラインミキサーのような混合機で十分に混合しながら次工程に移送する。
本発明で使用できるインラインミキサーとしては、例えば、スタチックミキサーSWJ(東レ静止型管内混合器、Hi−Mixer、東レエンジニアリング製)が好ましい。
図1は、本発明の溶液流延製膜方法により光学フィルムを製造する装置の一例を示すものである。
同図を参照すると、溶解釜で調整されたドープを、導管によって流延ダイ(2)に送液し、無限に移送する例えば回転駆動ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる流延支持体(1)上の流延位置に、流延ダイ(2)からドープを流延する工程である。
本発明による光学フィルムの製造方法は、流延ダイ(2)から流延支持体(1)の幅手方向中央部の流延面に流延するドープの粘度よりも、流延支持体(1)の幅手方向両端部の流延面に流延するドープの粘度を低くすることを特徴としている。
本発明による光学フィルムの製造方法においては、流延支持体(1)の幅手方向中央部の流延面に流延するドープの粘度(Pa・秒)をV1とし、流延支持体(1)の幅手方向両端部の流延面に流延するドープの粘度(Pa・秒)をV2とするとき、下記式の関係が成り立つ。
0.5×(V1)≦V2≦0.9×(V1)
ここで、幅手方向両端部に流延するドープの粘度V2が、0.5×(V1)未満であれば、流延リボンが伸びて波打つため、ベルトとの隙間から泡を巻き込み、最悪の場合は破断して製膜を停止させてしまうので、好ましくない。また、幅手方向両端部に流延するドープの粘度V2が、0.9×(V1)を超えると、改善効果はあるが、フィルム幅手方向の横段状のスジが確認できる程度にするために、好ましくない。
図3は、本発明の光学フィルムの製造方法の具体的な実施形態を示す説明図である。
本発明において、流延支持体(1)の幅手方向両端部の流延面とは、流延支持体(1)の幅手方向の両端からそれぞれ内側に、流延支持体(1)の全幅の10〜20%に相当する流延面をいゝ、流延支持体(1)の幅手方向中央部の流延面とは、流延支持体(1)の幅の残部をいうものである。
つまり、本発明においては、流延支持体(1)の幅手方向両端部の流延面は、最も狭い場合で、流延支持体(1)の幅手方向の両端からそれぞれ内側に、流延支持体(1)の全幅の0〜10%を占めるものであり、従って、この場合には、流延支持体(1)の幅手方向中央部の流延面は、流延支持体(1)の幅の残部、すなわち、流延支持体(1)の全幅の80%を占めることになる。
また、逆に最も広い場合は、流延支持体(1)の幅手方向両端部の流延面は、流延支持体(1)の幅手方向の両端からそれぞれ内側に、流延支持体(1)の全幅の0〜20%を占め、従って、この場合には、流延支持体(1)の幅手方向中央部の流延面は、流延支持体(1)の幅の残部、すなわち、流延支持体(1)の全幅の60%を占めることになる。
そして、図3に示すように、具体的には、本発明の光学フィルムの製造方法では、溶液流延製膜法により流延支持体(1)上に流延する熱可塑性樹脂ドープとして、流延支持体(1)の幅手方向中央部の流延面に、高粘度のドープを流延し、流延支持体(1)の幅手方向両端部の流延面に、低粘度のドープを流延するものである。
これによって、流延支持体(1)の幅手方向両端部の流延面において流延された流延リボン(リボン状の流延膜)が振動しにくくなり、振動により発生するフィルム幅手方向の横段状のスジ(横段状の膜厚ムラ)が目立たなくなり、平面性を均一に保ちながらも、広幅化に対応したフィルム幅手方向の両端部まで使用可能な光学フィルムの製造することができて、光学フィルムの生産性を大幅に向上させることができるものである。そして、本発明の方法により製造した光学フィルムを偏光板に加工しても、視認性等の全く問題が生じないものである。
なお本発明において、流延支持体(1)の幅手方向中央部の流延面に流延する高粘度ドープとしては、例えば8000〜12000(Pa・秒)の粘度(V1)を有するものを使用するのが、望ましく、流延支持体(1)の幅手方向両端部の流延面に流延する低粘度ドープとしては、高粘度ドープの粘度(V1)に対し、下記式の関係が成り立つドープ粘度(V2)(Pa・秒)を有するドープを使用するものである。
0.5×(V1)≦V2≦0.9×(V1)
本発明において、流延ダイ(2)としては、図示は省略したが、低粘度ドープ、高粘度ドープ、低粘度ドープの3つの粘度が異なるドープが流延できるように、例えば口金部分が3つに分割された流延ダイ(2)を用いるのが、好ましい。
なお、高粘度ドープに対し、低粘度ドープを作製するには、例えば基準の高粘度ドープを作製した後、メチレンクロライドやエタノール等の溶剤の使用量を増やすことにより、所望の粘度値を有する低粘度のドープを作製することが可能である。
ここで、流延ダイ(2)としては、口金部分のスリット形状を調製でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイが、特に好ましい。
流延ダイ(2)は、内部スリット壁面と流延支持体(1)表面とのなす角度を40〜90°にするのが、好ましく、特に60〜75°が好ましい。
流延ダイ(2)のダイリップと流延支持体(1)表面との間隙は、0.2〜10mmの間隙を取って設置されるのが好ましく、さらに0.5〜5mmの間隙が、より好ましい。流延ダイ(2)のスリットのギャップは0.05〜1.5mmが好ましく、0.15〜1.0mmが、より好ましい。
流延支持体(1)の表面粗さRaは、0.0001〜1μmであり、0.0003〜0.1μmがより好ましく、0.0005〜0.05μmがさらに好ましい。
流延支持体(1)として回転駆動エンドレスベルトを具備する図示の製膜装置では、該ベルト支持体(1)は前後一対のドラムおよびその中間に配置されかつエンドレスベルト支持体(1)の上部移行部及び下部移行部をそれぞれ裏側より支えている複数のサポートロール(図示略)より構成される。
また、回転駆動エンドレスベルト支持体(1)の両端巻回部のドラムの一方、もしくは両方に、ベルト支持体(1)に張力を付与する駆動装置が設けられ、これによってベルト支持体(1)は張力が掛けられて張った状態で使用される。
流延支持体(1)としてエンドレスベルトを用いる場合には、製膜時のベルト温度は、一般的な温度範囲0℃〜溶剤の沸点未満の温度で流延することができ、さら1には5℃〜溶剤沸点−5℃の範囲が、より好ましい。このとき、周囲の雰囲気湿度は露点以上に制御する必要がある。
また、流延支持体(1)搬送速度が10m/分以上では、流延ダイ(2)のリップから出てくる流延膜に減圧を掛けてエア混入や、フィルム幅手方向の横段状のスジをつくる原因となる流延リボンのばたつきを抑制するため、流延ダイ(2)上流側に減圧チャンバを設け、10〜600Pa減圧するのが好ましく、さらに好ましくは10〜200Paである。
減圧チャンバの下部端面と、流延支持体(1)表面との間隙は、0.5〜5mmの範囲が吸引風量が大きくなり過ぎず、それにより、流延ダイリップ端部のドープ乾燥皮膜の発生が抑制されるため望ましい。
また、製膜速度を上げるために、加圧流延ダイ(2)を流延支持体(1)上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層製膜してもよい。
流延支持体(1)上へドープを流延する際は、原料ポリマーの溶解に用いた溶剤の沸点未満、混合溶剤では最も沸点の低い溶剤の沸点未満の温度に制御するのが好ましい。
流延支持体(1)としてエンドレスベルトを用いる方式においては、流延支持体(1)上では、ウェブ(10)が流延支持体(1)から剥離ロール(6)によって剥離可能な膜強度となるまで乾燥固化させるため、ウェブ(10)中の残留溶媒量が150重量%以下まで乾燥させるのが好ましく、80〜120重量%が、より好ましい。また、流延支持体(1)からウェブ(10)を剥離するときのウェブ温度は、0〜30℃が好ましい。また、ウェブ(10)は、流延支持体(1)からの剥離直後に、流延支持体(1)密着面側からの溶媒蒸発で温度が一旦急速に下がり、雰囲気中の水蒸気や溶剤蒸気など揮発性成分がコンデンスしやすいため、剥離時のウェブ温度は5〜30℃がさらに好ましい。
ここで、残留溶媒量は、下記の式で表わせる。
残留溶媒量(重量%)={(M−N)/N}×100
式中、Mはウェブの任意時点での重量、Nは重量Mのものを110℃で3時間乾燥させたときの重量である。
エンドレスベルト支持体(1)上に流延されたドープにより形成されたドープ膜(ウェブ)(10)を、流延支持体(1)上で加熱し、流延支持体(1)から剥離ロール(6)によってウェブ(10)が剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法、及び/または流延支持体(1)の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等がある。
流延支持体(1)にエンドレスベルトを用いる方式においては、ベルト支持体(1)とウェブ(10)を剥離ロール(6)によって剥離する際の剥離張力は、通常20〜25kg/mで剥離が行なわれるが、従来よりも薄膜化されている本発明により作製されたセルロースエステルフィルムでは、剥離の際にウェブ(10)にシワが入りやすいため、剥離できる最低張力〜17kg/mで剥離することが好ましく、さらに好ましくは、最低張力〜14kg/mで剥離することである。
流延支持体(1)にエンドレスベルトを用いる方式においては、剥離後のウェブ(10)は初期乾燥装置(3)に導入する。初期乾燥装置(3)内では、側面から見て千鳥配置せられた複数の搬送ロール(7)によってウェブ(10)が蛇行せられ、その間にウェブ(10)は初期乾燥装置(3)の底の前寄り部分から吹込まれ、初期乾燥装置(3)の天井の後寄り部分から排出せられる温風(11)によって乾燥される。
溶液流延製膜法によるセルロースエステルフィルムの製造方法においては、ベルト支持体(1)からウェブ(10)を剥離する時のウェブ(10)の残留溶媒量を80〜170重量%、テンター(4)に入る時のウェブ(10)の残留溶媒量を2〜20重量%とし、これらの間の初期乾燥装置(3)の乾燥温度を60〜110℃とするのが、好ましい。
ここで、流延支持体からウェブを剥離する時のウェブの残留溶媒量が80重量%未満であれば、流延支持体からウェブの剥離力が高くなることによって剥離時の抵抗が生じフィルムに横段状故障の外観品質劣化が生じるので、好ましくない。また流延支持体からウェブを剥離する時のウェブの残留溶媒量が170重量%を越えると、ウェブが不安定となり搬送安定化に支障をきたし、またウェブが軟弱になりオサレ発生故障も起きやすくなるので、好ましくない。
また、テンターに入る時のウェブの残留溶媒量が2重量%未満であれば、所望の光学特性の安定性が得られず、また初期乾燥能力を上げる必要がありこの間でのフィルム収縮に伴う搬送性の劣化が生じるので、好ましくない。そして、テンターに入る時のウェブの残留溶媒量が20重量%を越えると、延伸時のフィルムが軟弱となるためフィルム対する延伸の効果が小さくなり所望の光学特性の安定性、また所望の光学特性値が得られないので、好ましくない。
また、初期乾燥装置の乾燥温度が60℃未満であれば、乾燥能力が得られないので、好ましくない。そして、初期乾燥装置の乾燥温度が110℃を越えると、その間のフィルム収縮に伴う搬送性の劣化が生じるうえ、生産設備の耐用温度を維持することが困難となるので、好ましくない。
溶液流延製膜法によるセルロースエステルフィルムの製造方法において、前記初期乾燥装置(3)のウェブ(10)の幅手方向の収縮率を、5%以下とする。これにより、フィルムの搬送安定性が高まり、搬送時のトラブルによって生じるセルロースエステルフィルムのツレ故障、シワ発生故障が起きなくなり、またフィルム幅方向の収縮率が抑制されることによって、搬送張力変化時のフィルムの光学特性値の変動が抑えられ、光学特性値が安定化する。
本発明に用いるロールの母材は、アルミニウム、ステンレスなどの金属であっても炭素繊維強化プラスチックなどのプラスチックであってもよい。またこれを表面処理したものであっても良い。表面処理はメッキ、溶射、塗膜形成など何れであってもよい。メッキとしては、ニッケル−リン複合メッキ、ニッケル−ホウ素複合メッキなどを使用することができる。溶射としては、タングステンカーバイド溶射、アルミナセラミック溶射などを使用することができる。塗膜形成としてはPVDコーティング、CVDコーティングなどを使用することができる。これらは一般的なロール製造メーカーによって製作することができ、それを購入することができる。
図2は、本発明の溶液流延製膜方法によりセルロースエステルフィルムを製造する方法を実施する装置のいま1つの例を示すもので、流延支持体(21)としてドラムを用いている。
同図において、上記の方法と同様にドープを調製し、ドープを流延ダイ(2)からハードクロム鍍金が施されたドラムよりなる流延支持体(21)上に流延してウェブ(10)を得、ウェブ(10)がドラムよりなる流延支持体(21)の回転によってほぼ3/4周移動したところで、剥離ロール(6)により剥離する。
ドープは、加圧型定量ギヤポンプを通して流延ダイ(2)に送液され、流延位置においてドラムよりなる流延支持体(21)上に、流延ダイ(2)からドープを流延する。
また、流延支持体(21)としてドラムを用いる場合には、製膜時のドラムの温度は、10℃以下に冷却することが好ましく、0℃以下に冷却するとより好ましく、−10℃以下に冷却することがさらに好ましい。ドラム表面に流延されたドープは冷却ゲル化によりゲル膜の強度(フイルム強度)が増加して、さらに剥ぎ取りまでの間で乾燥が促進されることによってもゲル膜の強度(フイルム強度)が増加する。
流延支持体(21)としてドラムを用いる方式においては、流延支持体(21)上では、ウェブ(10)が流延支持体(21)から剥離可能な膜強度となるまで乾燥固化させるため、ドラムの温度は10℃以下に冷却することが、好ましく、0℃以下に冷却するとより好ましく、−10℃以下に冷却するのが、さらに好ましい。
溶液流延製膜法によるセルロースエステルフィルムの製造方法において、流延支持体(21)としてドラムを用いる方式においても、ドラムよりなる流延支持体(21)からウェブ(10)を剥離する時のウェブの残留溶媒量を80〜170重量%、テンター(4)に入る時のウェブの残留溶媒量を2〜20重量%とするのが、好ましい。
なお、図2において、その他の点は、上記図1の場合と同様であり、図面において同一のものには、同一の符号を付した。
つぎに、流延支持体としてエンドレスベルト(1)を用いる方式、あるいはまたドラム(21)を用いる方式のいずれにおいても、画像表示部材用フィルムの製造には、ウェブ(またはフィルム)(10)の両側縁部をクリップ等で固定して延伸するテンター方式が知られており、平面性や寸法安定性を向上させるために好ましい。
特に、流延支持体(1)(21)から剥離した後の初期乾燥装置(3)では、溶媒の蒸発によってウェブ(またはフィルム)は幅手方向に収縮しようとする。高温度で乾燥するほど収縮が大きくなる。この収縮は可能な限り抑制しながら乾燥することが、でき上がったフィルムの平面性を良好にする上で好ましい。
テンター(4)による延伸工程においては、例えばセルロースエステルフィルムを製造する際の延伸倍率は、製膜方向もしくは幅手方向に対して、1.01〜3倍であり、好ましくは1.5〜3倍である。2軸方向に延伸する場合、高倍率で延伸する側が、1.01〜3倍であり、好ましくは1.5〜3倍であり、もう一方の方向の延伸倍率は0.8〜1.5倍、好ましくは0.9〜1.2倍に延伸することができる。
製膜工程のこれらの幅保持あるいは横方向の延伸は、テンター(4)によって行なうことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
なお、テンター(4)による延伸工程においては、テンター(4)の底の前寄り部分から吹込まれ、テンター(4)の天井の後寄り部分から排出せられる温風(12)によってウェブ(10)が、延伸と共に乾燥されている。
テンター(4)による延伸工程の後に、後乾燥装置(5)を設けることが好ましい。後乾燥装置(5)内では、側面から見て千鳥配置せられた複数の搬送ロール(8)によってウェブ(10)が蛇行せられ、その間にウェブ(10)が乾燥せられるものである。また、後乾燥装置(5)でのフィルム搬送張力は、ドープの物性、剥離時及びフィルム搬送工程での残留溶媒量、後乾燥装置(5)での温度等に影響を受けるが、30〜250N/mが好ましく、60〜150N/mがさらに好ましい。80〜120N/mが最も好ましい。
なお、ウェブ(またはフィルム)(10)を乾燥させる手段は、特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行なう。簡便さの点から熱風で乾燥するのが好ましく、例えば後乾燥装置(5)の底の前寄り部分から吹込まれ、後乾燥装置(5)の天井の後寄り部分から排出せられる温風(13)によって乾燥される。乾燥温度は40〜160℃が好ましく、50〜160℃が平面性、寸法安定性を良くするため、さらに好ましい。 これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。この場合、乾燥雰囲気を溶媒の爆発限界濃度を考慮して実施することは勿論のことである。
乾燥時のウェブ搬送張力は、30〜300N/幅mであり、40〜270N/幅mが、より好ましい。
乾燥工程及び/又は熱矯正装置の前及び/又は後に、ウェブ(またはフィルム)(10)表面のクリーン化装置が配置されるのが、好ましい。
クリーン化装置は、搬送途中のウェブ(またはフィルム)(10)に対し、超音波振動を与えるとともに、表面に高圧風を吹き当てて付着物を吹き飛ばして吸引し、付着している粉塵などを除去するものである。この他、火炎処理(コロナ処理、プラズマ処理)を行なう方式、粘着ロールを設置する方式など、公知の手段・方法を特別の制限なく用いることができる。
なお、配置するクリーン化手段は、単一であってもよいし、2以上の複数であってもよい。
ウェブ(10)に対する粉塵などの付着は、静電気の作用による場合が多いので、上記のクリーン化装置の前に除電手段、例えば、除電バーを配置してウェブ(10)の静電気を除去することが好ましい。除電バーとしては、公知のものを特別の制限なく用いることができる。
乾燥工程では、ウェブ(またはフィルム)(10)に含有される可塑剤が蒸発し、ロールや壁面においてコンデンスする現象を抑制する対策として、単位時間当たり供給風量に対して特定量以上の新鮮なガスを流入させることが好ましい。そして、供給する新鮮ガスの量は、全供給風量の5〜50%に設定することが好ましい。
新鮮ガス供給量を5〜50%にしているのは、5%未満では、新鮮ガス量が少なすぎて可塑剤コンデンスを抑制しきれないためであり、50%を超えると新鮮ガス量が多すぎ、ランニングコストで無駄が多くなるためである。
上記の対策の他、例えば、つぎのような構成が採用可能である。第1に、乾燥・矯正工程室内の空気を一部循環させ、クーラーコイルなどに通すことにより可塑剤を強制的に除去した後、ヒーターで規定温度に上昇させる構成、第2に、可塑剤が金属面に接触する部分の温度を上げる構成、例えば、蒸気・面ヒーターなどにより金属面弥接触する部分の温度を上げる構成である。第3に、ロール面上での可塑剤の蒸気圧を下げるために、新鮮空気を供給する構成である。新鮮空気を供給する手段としては、ロールの近傍に幅手方向にスリットを設け、パンチ板箱からエア風を供給し、供給空気の風速分布を抑える構成などが採用されるが、これに限定されるものではない。
なお、乾燥工程あるいは熱矯正工程室あるいはそれらから出てきたフィルムの冷却工程から、フィルムを出す際のフィルム温度は、60℃以下とすることが好ましい。
ここで、60℃を超える温度で矯正、冷却工程ボックスから搬出した場合には、可塑剤のコンデンスが発生しやすい条件下にあるからである。
つぎに、ポリマーフィルムの両側縁部に設けるエンボスについて説明する。搬送乾燥工程を終えたポリマーフィルムに対し、巻取工程に導入する前段において、エンボス加工装置によりフィルムにエンボスを形成する加工が行なわれる。エンボス加工装置としては、特開昭63−74850号公報に記載されている装置が利用できる。
ここで、エンボスの高さh(μm)は、フィルム膜厚Tの0.05〜0.3倍の範囲、幅Wは、フィルム幅Lの0.005〜0.02倍の範囲に設定する。例えばフィルム膜厚40μm、フィルム幅100cmであるとき、エンボスの厚みは2〜12μm、エンボス幅は5〜30mmに設定する。
エンボスは、フィルムの両面に形成してもよい。この場合、エンボスの高さh1+h2(μm)は、フィルム膜厚Tの0.05〜0.3倍の範囲、幅Wはフィルム幅Lの0.005〜0.02倍の範囲に設定する。例えばフィルム膜厚40μmであるとき、エンボスの高さh1+h2(μm)は2〜12μmに設定する。エンボス幅は5〜30mmに設定する。
エンボス高さの下限については、フィルム間の部分的な密着ムラを防ぐために必要な高さから、一方、上限は、これ以上にするとエンボスが高すぎるため、ロール状製品形態が馬の背状に多角形状に変形し、故障を誘発するからである。
エンボスの幅については、エンボス部は最終的にロス部分となるため少なくしたいが、例えばフィルム厚みを80μmから40μmへと薄膜化していった際、フィルム〜ロール間の摩擦力が、50μmを境にグリップ力が極端に減少することが判明、さらにフィルム製膜速度を30m/分以上に高速化していった際、特に50m/分以上でフィルム〜ロール間の摩擦力が極端に減少することが判明した。このため、特に50μm以内の薄膜フィルムで、50m/分以上の高速製膜時において、フィルムのすべりを抑えるための最低限必要なエンボス幅である。但し、前述のエンボスの高さともリンクしており、ピラミッド状、馬の背、多角形状、巻きずれ故障を全てクリアーするエンボス高さ×エンボス幅を決定したものである。なお、エンボスは、フィルムの両端部だけでなく中央部部分にも配置することができる。
本発明において、巻取前及び巻取部直後に除電器を設置し、フィルムを除電するのが好ましい。
除電器は、元巻を再繰り出しした際の帯電電位が±2KV以下となるように、巻取時に除電装置あるいは強制帯電装置により逆電位を与える構成で行なうことができるが、強制帯電電位が、1〜150Hzで正負交互に変換される除電器により除電する構成とすることもできる。
また、上記の除電器に代えて、イオン風を発生させるイオナイザーや除電バーを利用することができる。ここで、イオナイザー除電は、エンボス加工装置から搬送ロールを経て巻き取られていくフィルムに向けてイオン風を吹き付けることによって行なわれる。イオン風は、除電器により発生される。除電器としては、公知のものを制限なく用いることができる。
製膜巻取り時の除電は、元巻を再繰出しして機能性膜塗工する際、帯電電位が±2KV以上あると塗布ムラを誘発するためであり、特に薄膜、高速化を追求した場合、再繰り出し時のフィルム剥離帯電が高くなるため、製膜時除電は必須となる。
巻取り工程は、乾燥が終了したフィルム(20)を巻取り装置(14)によって巻き取り、セルロースエステルフィルムの元巻を得る工程である。乾燥を終了するフィルム(20)の残留溶媒量は、0.5重量%以下、好ましくは0.1重量%以下とすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。
フィルムの巻取り方法は、一般に使用されているワインダーを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の張力をコントロールする方法があり、それらを使い分ければよい。
巻取りコア(巻芯)への、フィルムの接合は、両面接着テープでも、片面接着テープでもどちらでもよい。
初期巻取開始時は、巻取り張力は280N/m幅以下、エンボス部のみタッチロール巻取の押圧力+巻取初期張力が60N/m幅以上となるよう巻き取るのが好ましい。
セルロースエステルフィルムの膜厚(T)は、使用目的によって異なるが、仕上がりフィルムとして、通常35〜85μmの範囲が好ましく、特に液晶画像表示装置用フィルムとしては40〜80μmの範囲が用いられる。
膜厚の調節には、所望の厚さになるように、ドープ濃度、ポンプの送液量、ダイの口金のスリット間隙、ダイの押し出し圧力、流延支持体の速度等をコントロールするのがよい。
また、膜厚を均一にする手段として、膜厚検出手段を用いて、プログラムされたフィードバック情報を上記各装置にフィードバックさせて調節するのが、好ましい。
本発明において、セルロースエステルフィルムは、抗張力がMD方向、TD方向共に90〜170N/mm2であることが好ましく、特に120〜160N/mm2であることが好ましい。
含水率としては0.1〜5%が好ましく、0.3〜4%がより好ましく、0.5〜2%であることがさらに好ましい。
本発明において、セルロースエステルフィルムは、透過率が90%以上であることが望ましく、さらに好ましくは92%以上であり、さらに好ましくは93%以上である。また、ヘイズは0.5%以下であることが好ましく、特に0.1%以下であることが好ましく、0%であることがさらに好ましい。
本発明において、セルロースエステルフィルムにおいては、カール値は絶対値が小さい方が好ましく、変形方向は、+方向でも、−方向でもよい。カール値の絶対値は30以下であることが好ましく、さらに好ましくは20以下であり、10以下であることが特に好ましい。なお、カール値は、曲率半径(1/m)で表わされる。
本発明の方法により製造されたセルロースエステルフィルムからなる偏光板用保護フィルムを用いることにより、薄膜化とともに、耐久性及び寸法安定性、光学的等方性に優れた偏光板を提供することができる。
ここで、偏光フィルムは、従来から使用されている、例えば、ポリビニルアルコールフィルムの如き延伸配向可能なフィルムを、沃素のような二色性染料で処理して縦延伸したものである。偏光フィルム自身では、十分な強度、耐久性がないので、一般的にはその両面に保護フィルムとしての異方性のないセルローストリアセテートフィルムを接着して偏光板としている。
上記において、偏光板は、上記偏光フィルムに、本発明の方法により製造されたセルロースエステルフィルムからなる位相差フィルムを貼り合わせて作製してもよいし、また位相差フィルムを保護フィルムも兼ねて、直接偏光フィルムと貼り合わせて作製してもよい。貼り合わせる方法は、特に限定はないが、水溶性ポリマーの水溶液からなる接着剤により行なうことができる。この水溶性ポリマー接着剤は完全鹸化型のポリビニルアルコール水溶液が好ましく用いられる。さらに、若干前述したが、長手方向に延伸し、二色性染料処理した長尺の偏光フィルムと長尺の位相差フィルムとを貼り合わせることによって長尺の偏光板を得ることができる。偏光板はその片面または両面に感圧性接着剤層(例えば、アクリル系感圧性接着剤層など)を介して剥離性シートを積層した貼着型のもの(剥離性シートを剥すことにより、液晶セルなどに容易に貼着することができる)としてもよい。
上記の偏光板は、一般的な方法で作製することができる。例えば、セルロースエステルフィルムをアルカリケン化処理し、ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素溶液中に浸漬、延伸して作製した偏光膜の両面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリケン化処理とは、水系接着剤の濡れを良くし、接着性を向上させるために、セルロースエステルフィルムを高温の強アルカリ液中に漬ける処理のことをいう。
本発明の方法により製造されたセルロースエステルフィルムには、ハードコート層、防眩層、反射防止層、防汚層、帯電防止層、導電層、光学異方層、液晶層、配向層、粘着層、接着層、下引き層等の各種機能層を付与することができる。これらの機能層は塗布あるいは蒸着、スパッタ、プラズマCVD、大気圧プラズマ処理等の方法で設けることができる。
また偏光板は、上記のセルロースエステルフィルムが、偏光フィルムの両側に配置された2枚の偏光板保護フィルムのうちの少なくともいずれか一方を構成するもので、このようにして得られた偏光板が、液晶セルの片面または両面に設けられ、これを用いて、液晶表示装置が得られる。
本発明の方法により製造されたセルロースエステルフィルムからなる偏光板用保護フィルムを用いることにより、薄膜化とともに、耐久性及び寸法安定性、光学的等方性に優れた偏光板を提供することができる。
さらに、この偏光板を用いた液晶表示装置は、長期間に亘って安定した表示性能を維持することができるものである。
液晶表示装置は、液晶層を挟持する一対の基板からなるIPSモードにて駆動される液晶セルと当該液晶セルの両側に直交状態に配置される一対の偏光板とを有する液晶表示装置であって、少なくとも一方の偏光板の液晶セル側に上記本発明による方法により製造されたセルロースエステルフィルムが備えられているものである。
また本発明は、特に、本発明の方法により製造されたセルロースエステルフィルムを用いた広範囲にわたり高コントラスト比を有する見やすい表示を実現可能な画像表示装置、特にIPSモードで動作する液晶表示装置を提供するものである。
なお、本発明の方法により製造されたセルロースエステルフィルムは、その他、反射防止用フィルムあるいは光学補償フィルムの基材としても使用できる。