JP2005212193A - 光学フィルムの製造方法及び光学フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 液晶画像表示装置等の偏光板用保護フィルム、位相差フィルム、またプラズマディスプレイの反射防止フィルム、あるいは有機ELディスプレイ等の各種機能フィルムにも利用し得る光学フィルムについて、製膜速度や膜厚の広い範囲での適用が可能であり、生産性に優れかつ品質の良好な光学フィルムを製造する。また、長手方向及び幅手方向の膜厚がいずれも非常に安定していて、厚みムラが無く、かつそれに起因した色ムラ等の欠陥がない平面性の良好な光学的に優れた品質を有する光学フィルムを提供する。
【解決手段】 光学フィルムの製造方法は、支持体1上にアセチル基及びプロピオニル基を有する脂肪酸セルロースエステルのドープを流延ダイ2によって流延する。流延ダイ2のスリット両端部にノズル3の先端部より溶剤を流下させ、流延ダイ2両側のノズル3の先端部の内径をそれぞれ0.5〜4mmとし、かつ流下する溶剤の溶媒和パラメーター(−△HD−BF3)を15〜100[kJ/mol]とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光学用途に利用される光学フィルムの製造方法及び光学フィルム、特に液晶画像表示装置(LCD)等に用いられる偏光板用保護フィルム、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、プラズマディスプレイに用いられる反射防止フィルム、あるいはまた有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ等で使用される各種機能フィルムなどにも利用することができる光学フィルムの製造方法及び光学フィルムに関するものである。
近年、液晶画像表示装置が発展し、セルロースエステルフィルムが偏光板用保護フィルムや有機エレクトロルミネッセンス用フィルムなどに使用されるようになり、益々薄手のフィルムが求められるようになってきた。
従来からの溶液流延製膜法によるセルロースエステルフィルムの製造方法は、セルロースエステル溶液(以下ドープとも呼ぶ)を、鏡面処理された表面を有する無限移行する無端の支持体(ステンレス鋼製ベルトあるいはドラム)上に流延ダイから流延し、ドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を剥離ロール(剥離点)で剥離し、ついでウェブを乾燥装置に導入して乾燥風により乾燥し、さらに、巻取り機により巻き取ることにより、セルロースエステルフィルムを製造していた。
ここで、従来の偏光板用保護フィルム等に用いられるセルロースエステルフィルムの溶液流延製膜法に関わる先行特許文献には、つぎのようなものがある。
特開2002−337173号公報 この特許文献1は、溶液流延製膜における流延ダイの幅方向両端部に発生する皮張りを防止する溶液製膜用流延ダイ、およびその流延ダイを用いた溶液流延製膜法、並びにこの方法で製膜されたフイルムを用いた偏光板に関わる技術が開示されている。
特許文献1には、つぎのように記載されている。すなわち、一般に、セルロースアセテート等のフイルムを溶液流延製膜法で製造されているが、ほとんどの場合、流延ダイリップ両端部はポリマー溶液(以下、ドープと称する)が乾燥することにより「皮張り」が発生した。この皮張りは、リップ先端両端部にツララ状に成長し、リップからのドープの流れを乱し、安定な膜形成を阻害する。この皮張りが発生した場合は、外乱により流延膜が不安定になっても切断しない速度まで流延速度を減速し、皮張りを除去しなければならず、生産性を著しく低下させる原因となっていた。
そして、この対策として、特許文献1では、溶液を流延して溶液流延製膜する溶液流延製膜用流延ダイにおいて、前記溶液の吐出端より外側に0.5〜3.0mmの間隔をおいて、溶剤の給液ノズルを備えていることを特徴とする溶液流延製膜用流延ダイが提案されている。
しかしながら、上記特許文献1記載の溶液流延製膜用の流延ダイを用いたセルロースエステルフィルムの製造方法では、溶液の流量を精密にコントロールしないと、流下するドープの端部が乱れたり、スリット端部に皮張り(端部余剰皮膜)が発生する場合があり、製膜速度や膜厚の広い範囲での長期的に安定な状態での適用は、困難であるという問題があった。
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、製膜速度や膜厚の広い範囲での適用が可能であり、生産性に優れかつ品質の良好な光学フィルムを溶液流延製膜法により製造することができる光学フィルムの製造方法、及びこの方法により製造された長手方向及び幅手方向の膜厚がいずれも非常に安定していて、厚みムラが無く、かつそれに起因した色ムラ等の欠陥がない平面性の良好な光学的に優れた品質を有する光学フィルムを提供しようとすることにある。
本発明者は、上記の点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、溶液流延製膜法により光学フィルムを製造する方法において、流延ダイのスリット両端部に溶剤を流下させる際に、溶媒和パラメーター(−△HD−BF3)が15[kJ/mol]以上でセルロースエステル等のポリマーを溶解する力がメチレンクロライドより弱い溶剤をスリット端部に流下する場合には、内径の大きなノズルを用いて広範囲に溶剤を流下する必要があると考えたが、実験を行なった結果、内径4mm以下のノズルを用いて溶剤を流下した場合に、良好な結果が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったものである。
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1記載の発明は、金属製回転エンドレスベルトまたは金属製回転ドラム(支持体)上に光学フィルムの原料溶液であるアセチル基及びプロピオニル基を有する脂肪酸セルロースエステルのドープを流延ダイによって流延し、支持体上からウェブを剥離後、ウェブを乾燥して、溶液流延製膜法により光学フィルムを製造する方法であって、流延ダイのスリット両端部に溶剤を流下させ、溶剤を流下させる流延ダイ両側のノズルの先端部の内径を4mm以下0.5mm以上とし、かつ流下する溶剤の溶媒和パラメーター(−△HD−BF3)を15[kJ/mol]以上100[kJ/mol]以下とすることを特徴としている。
ここで、溶媒和パラメーターは、P.C.Maria, J.F.Gal、J Phys.Chem.、89,1296(1985)、及びP.C.Maria, J.F.Gal、J.de Franceschi、E.Fargin、J.Am.Chem. Soc.,109,483(1987)に記載されたジクロロメタン溶媒中で気体状のBFとドナー性分子の1:1錯形成における標準モルエンタルピー[kJ/mol](−△HD−BF3 )とする。
本発明の請求項2記載の光学フィルムの製造方法の発明は、上記請求項1記載の光学フィルムの製造方法であって、流延ダイ両側のノズル内を流下させる溶剤を、酢酸メチルとすることを特徴としている。
本発明の請求項3記載の光学フィルムの発明は、上記請求項1または2記載の光学フィルムの製造方法により製造されたことを特徴としている。
本発明の請求項1記載の光学フィルムの製造方法の発明は、上述のように、溶液流延製膜法により光学フィルムを製造する方法において、流延ダイのスリット両端部に溶剤を流下させ、溶剤を流下させる流延ダイ両側のノズルの先端部の内径を4mm以下0.5mm以上とし、かつ流下する溶剤の溶媒和パラメーター(−△HD−BF3)を15[kJ/mol]以上100[kJ/mol]以下とすることを特徴とするもので、本発明の光学フィルムの製造方法によれば、製膜速度や膜厚の広い範囲での適用が可能であり、生産性に優れかつ品質の良好な光学フィルムを製造することができるという効果を奏する。
すなわち、本発明の光学フィルムの製造方法によれば、溶媒和パラメーターの大きい溶剤を使用すると、セルロースエステルに対する溶解度は小さくなるものの、皮張りの発生は抑えることができた。この要因は明確ではないが、溶媒和パラメーターの値によってセルロースエステルの膨潤、溶解状態が異なるため、このような現象が発生するのではないかと推測することができる。
また、本発明の請求項2記載の光学フィルムの製造方法の発明は、上記請求項1記載の光学フィルムの製造方法であって、流延ダイ両側のノズル内を流下させる溶剤を、酢酸メチルとすることを特徴とするもので、本発明の光学フィルムの製造方法によれば、非常に安定して製膜速度や膜厚の広い範囲での適用が可能であり、生産性に優れかつ品質の良好な光学フィルムを製造することができるという効果を奏する。
本発明の請求項3記載の光学フィルムの発明は、上記請求項1または2記載の光学フィルムの製造方法により製造されたことを特徴とするもので、本発明の光学フィルムによれば、フィルムの長手方向及び幅手方向の膜厚がいずれも非常に安定していて、厚みムラが無く、かつそれに起因した色ムラ等の欠陥がない平面性の良好な光学的に優れた品質を有しており、偏光板の保護フィルム等に適した品質の良い光学フィルムを提供することができるという効果を奏する。
つぎに、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の光学フィルムの製造方法において、対象となるセルロースエステルとしては、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。
このセルロースエステルを溶解する溶剤(溶媒)としては、単独でも併用でもよいが、良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが、生産効率の点で好ましい。
ここで、本発明の方法において用いる良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。そのため、セルロースエステルの結合酢酸量によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いるときには、セルロースエステルの結合酢酸量55%では良溶剤になり、結合酢酸量60%では貧溶剤となってしまう。
図1と図2を参照すると、本発明の請求項1記載の発明は、金属製回転エンドレスベルトまたは金属製回転ドラム(支持体)(1)上に、光学フィルムの原料溶液であるアセチル基及びプロピオニル基を有する脂肪酸セルロースエステルのドープを流延ダイ(2)によって流延し、支持体(1)上からウェブ(W)を剥離後、ウェブ(W)を乾燥して、溶液流延製膜法により光学フィルムを製造するものである。
本発明においては、例えば図1に示すように、ポンプ(P)の作動によって流延ダイ(2)両側のノズル(3)から流延ダイ(2)のスリット両端部に溶剤を流下させる。溶剤を流下させるノズル(3)の先端部の内径を4mm以下0.5mm以上、好ましくは3mm以下2mm以上とし、かつ流下する溶剤の溶媒和パラメーター(−△HD−BF3)を15[kJ/mol]以上100以下、好ましくは70[kJ/mol]以上80以下とすることを特徴としている。
ここで、溶剤を流下させる流延ダイ(2)両側のノズル(3)の先端部の内径が4mmを超えると、溶剤の流れが不安定になるので、好ましくない。また、溶剤を流下させるノズル(3)の先端部の内径が0.5mm未満であれば、異物などによりノズルが詰まることがあるので、好ましくない。
また、溶媒和パラメーターは、上記のように、P.C.Maria, J.F.Gal、J Phys.Chem.、89,1296(1985)、及びP.C.Maria, J.F.Gal、J.de Franceschi、E.Fargin、J.Am.Chem. Soc.,109,483 (1987) に記載されたジクロロメタン溶媒中で気体状のBFとドナー性分子の1:1錯形成における標準モルエンタルピー[kJ/mol](−△HD−BF3)とする。
本発明の方法において、流下する溶剤の溶媒和パラメーター(−△HD−BF3)が15[kJ/mol]未満である例えばメチレンクロライドでは、セルロースエステルに対する溶解性は高いものの、ダイスリップの両端部に流した場合に、ツララ状の皮張りは無くならず、発生場所を変えてやはり発生するので、好ましくない。また流下する溶剤の溶媒和パラメーター(−△HD−BF)が100[kJ/mol]を超えると、セルロースエステルに対する溶解性が低下するため、好ましくない。
本発明者は、溶媒和パラメーター(−△HD−BF3)が15[kJ/mol]以上でセルロースエステル等のポリマーを溶解する力がメチレンクロライドより弱い例えば酢酸メチル等の溶剤を、流延ダイ(2)両側のスリット端部に流下する場合には、内径の大きなノズル(3)を用いて広範囲に溶剤を流下する必要があると考えたが、実験を行なった結果、内径4mm以下のノズル(3)を用いて溶剤を流下した場合に、良好な結果が得られることが判った。
このようなセルロースエステルの溶剤としては、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、およびギ酸エチルなどを用いることができる。
ドープを調製する時のセルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができるが、好ましい方法としては、セルロースエステルを貧溶剤と混合し、湿潤あるいは膨潤させ、さらに良溶剤と混合する方法があげられる。このとき加圧下で、溶剤の常温での沸点以上でかつ溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱し、撹拌しながら溶解する方法が、「ゲル」や「ママコ」と呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため、より好ましい。
溶剤比率としては、例えば酢酸メチル70〜95重量%、その他の溶剤は5〜30重量%が好ましい。またセルロースエステルの濃度は10〜50重量%が好ましい。溶剤を添加しての加熱温度は、使用溶剤の沸点以上で、かつ該溶剤が沸騰しない範囲の温度が好ましく例えば60℃以上、80〜110℃の範囲に設定するのが好適である。また、圧力は設定温度において、溶剤が沸騰しないように定められる。
溶解後、ドープは冷却しながら容器から取り出すか、または容器からポンプ等で抜き出して熱交換器などで冷却し、これを製膜に供する。
なお、流延ダイ(2)の両側に設置する円管状ノズル(3)の先端部の断面は、図1に示すように、円形状のままでもよいし、例えば図3に示すように、切断面に長円形ないし楕円形の切り口(3a)が現れるように斜めにカットされていても良い。また、先端部が斜めにカットされたノズル(3)の場合には、ノズル(3)の内径(d)はノズル(3)管部の内径と定義するものとする。
本発明において、セルロースエステルを溶解する溶剤と、流延ダイ(2)両側のノズル(3)から流延ダイ(2)のスリット両端部に流下する溶剤とは、通常、同じ溶剤にするが、異なる溶剤を使用しても構わない。
本発明の光学フィルムの製造方法の発明においては、流延ダイ(2)両側のノズル(3)内を流下させる溶剤を酢酸メチルとするのが、好ましい。
そして、本発明の光学フィルムの製造方法により製造された光学フィルムは、長手方向及び幅手方向の膜厚がいずれも非常に安定していて、厚みムラが無く、かつそれに起因した色ムラ等の欠陥がない平面性の良好な光学的に優れた品質を有するものである。
本発明においては、光学フィルム中に、紫外線吸収剤、可塑剤、酸化防止剤、加工安定剤、及びマット剤などを含有させることにより、光学フィルムに起因する液晶画像表示装置の性能を向上させることができる。
これらの可塑剤、紫外線吸収剤等の添加剤は、予め溶剤と混合し、溶解または分散してからセルロースエステル溶解前の溶剤に投入しても、セルロースエステル溶解後のドープへ投入しても良い。
本発明において、用いる可塑剤としては、特に限定しないが、リン酸エステル系では、トリフェニルホスフェート(TPP)、ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等、グリコール酸エステル系では、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等を単独あるいは併用するのが好ましい。上記の可塑剤は必要に応じて、2種類以上を併用して用いてもよい。これらの可塑剤を含有することにより、寸法安定性、耐水性に優れた光学フィルムが得られるため、特に好ましい。
本発明において、吸水率ならびに水分率を特定の範囲内にするために、好ましい可塑剤の添加量は、セルロースエステルに対して1〜15重量%である。液晶画像表示部材用としては、寸法安定性の観点から5〜15重量%がさらに好ましく、特に好ましくは、7〜12重量%である。また、セルロースエステルに対して凝固点が20℃以下の可塑剤の含有量は1〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは、3〜7重量%である。
本発明による光学フィルムの製造方法において、好ましく用いられる紫外線吸収剤は、透明性が高く、偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ効果に優れたもので、紫外線吸収剤としては、液晶の劣化防止の点より波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶画像表示性の点より波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものが好ましく用いられる。
一般に用いられるものとしては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などがあげられるが、これらに限定されない。
また本発明による光学フィルムの製造方法において、光学フィルムに滑り性の向上、巻取り後のブロッキング防止等の目的でマット剤として加える微粒子は、主ドープに添加してもよいが、添加液に加えるのが生産性の上からは好ましい。
本発明に用いられる微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上、日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。その中でも、微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。これらの例としては、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されているものがあり、使用することができる。さらに、二酸化ケイ素微粒子の1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見掛比重が70g/リットル以上の二酸化ケイ素微粒子であることが好ましい。これらを満足する二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、アエロジル200V、アエロジルR972Vがあり、フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
本発明において、上記微粒子はセルロースエステルに対して、0.04〜0.4重量%添加して使用される。好ましくは、0.05〜0.3重量%、さらに好ましくは0.05〜0.2重量%である。
本発明においては、セルロースエステルのドープを濾過した後、ドープを支持体上に流延(キャスト工程)し、加熱して溶剤の一部を除去(支持体上乾燥工程)した後、支持体から剥離し、剥離したフィルムを乾燥(フィルム乾燥工程)して、セルロースエステルフィルムを得る。
キャスト工程における支持体はベルト状もしくはドラム状のステンレスを鏡面仕上げした支持体が使用される。キャスト工程の支持体の温度は一般的な温度範囲0℃から溶剤の沸点未満の温度で、流延することができるが、5〜30℃の支持体上に流延する方が、ドープをゲル化させ剥離限界時間をあげられるため、好ましく、5〜15℃の支持体上に流延することがさらに好ましい。
支持体上での乾燥は残留溶媒量60〜150%で支持体から剥離することが、支持体からの剥離強度が小さくなるため好ましく、80〜120%がより好ましい。
ここで、残留溶媒量は、下記の式で表わせる。
残留溶媒量(重量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での重量、Nは重量Mのものを110℃で3時間乾燥させたときの重量である。
支持体からフィルムを剥離するときのドープの温度は0〜30℃にすることが剥離時のベース強度をあげることができ、剥離時のベース破断を防止できるため好ましく、5〜20℃がより好ましい。
支持体とフィルムを剥離する際の剥離張力は、通常20〜25kg/mで剥離が行なわれるが、従来よりも薄膜化されている本発明の製造方法による光学フィルムは、剥離の際にシワが入りやすいため、剥離できる最低張力〜17kg/mで剥離することが好ましく、さらに好ましくは、最低張力〜14kg/mで剥離することである。
フィルムの乾燥工程においては支持体より剥離したフィルムをさらに乾燥し、残留溶媒量を3重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下であることが、寸法安定性が良好なフィルムを得る上で好ましい。フィルム乾燥工程では一般にロール懸垂方式か、ピンテンター方式または、クリップテンター方式でフィルムを搬送しながら乾燥する方式が採られる。
フィルムを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行なう。簡便さの点で熱風で行なうのが好ましい。乾燥温度は40℃〜150℃の範囲で3〜5段階の温度に分けて、段々高くしていくことが好ましく、80℃〜140℃の範囲で行なうことが寸法安定性を良くするためさらに好ましい。これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。
本発明のセルロースエステルフィルムの製造に係わる巻き取り機は、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
本発明によるセルロースエステルフィルムの厚みは、特に限定されないが、LCDに使用される液晶画像表示素子すなわち偏光板用の保護フィルムに用いられることから、通常、100μm以下であることが好ましく、中でも、厚み50μm以下のセルロースエステルフィルムが好ましい。その理由は、厚み50μm以下のセルロースエステルフィルムは、例えば偏光板用保護フィルムとして用いられる際に、より品質に対して厳しい性能が求められるためである。
なお、溶液流延製膜法による流延工程における金属支持体は、エンドレスベルト状のステンレス鋼を鏡面仕上げしたものだけでなく、ドラム状のステンレス鋼を鏡面仕上げした支持体も、好ましく用いられる。
上記の本発明の光学フィルムの製造方法によれば、ウェブの膜厚が安定していて、長手方向及び幅手方向の膜厚ムラのほとんどない平面性の良好なかつ偏光板の保護フィルム等に適した品質の良い光学フィルムを製造することができるものである。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
(ドープの調製)
セルローストリアセテートのドープを、以下のように調製した。
セルロースアセテートプロピオネート(CAP) 120重量部
2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)
ベンゾトリアゾール(紫外線吸収剤) 1重量部
エチルフタリルエチルグリコレート(可塑剤) 4重量部
微粒子シリカ(AEROSIL−200、粒径0.016μm、
日本アエロジル株式会社製) 0.1重量部
酢酸メチル 300重量部
エタノール 45重量部
これらを加圧密閉容器に投入し、80℃に加温して容器内圧力を500kPaとし、保温、撹拌しながら完全に溶解させドープを得た。このドープの温度を40℃に下げて常圧に戻して一晩静置し、脱泡操作を行なった後、ドープを濾紙(商品名、安積濾紙No.244、安積濾紙株式会社製)を使用して濾過した。
つぎに、ドープを冷却して35℃に保ち、図1に示すように、2つの回転ドラムに張られたステンレス鋼製回転エンドレスベルトよりなる支持体(1)上に、流延ダイ(2)より均一に流延した。流延ダイ(2)下端のスリットの左右両端部には、それぞれ内径3mmのノズル(3)を用いて、溶媒和パラメーター(−△HD−BF3)が72.79[kJ/mol](P.C.Maria, J.F.Gal、J Phys.Chem.、89,1296(1985)より)の酢酸メチルを、0.3cc/minの速度で流下させた。
その結果、流延ダイ(2)のスリット端部からには、皮張り(端部余剰皮膜)の発生もなく、また流延されたドープの端部に乱れがなく、ウェブ(W)の厚みが非常に安定していて、フィルムの長手方向及び幅手方向に厚みムラが無く、かつそれに起因した色ムラ等の欠陥がない平面性の良好なセルロースアセテートプロピオネートフィルムを製造することができた。得られたセルロースアセテートプロピオネートフィルムは、偏光板の保護フィルムに適した光学フィルムとしての品質を有していた。
比較例1
比較のために、上記実施例1の場合と同様にして、セルロースアセテートプロピオネートフィルムを製造するが、流延ダイ下端のスリットの左右両端部に、それぞれ本発明の範囲外である内径5mmのノズルを用いて、同じ酢酸メチルを0.3cc/minの速度で流下させた。
その結果、流延によって形成されたドープの端部に乱れがあり、ステンレス鋼製回転エンドレスベルトよりなる支持体の表面を汚したため、ムラの発生数が非常に多く、フィルム製品の品質を大幅に低下させた。
本発明の光学フィルムの製造方法を実施する溶液流延製膜装置の具体例を示す一部切欠き要部側面図である。 同装置の要部平面図である。 図1の装置の溶剤流下ノズルの変形例を示す要部拡大正面図である。
符号の説明
1:金属製回転ドラム(支持体)
2:流延ダイ
3:溶剤流下ノズル

Claims (3)

  1. 金属製回転エンドレスベルトまたは金属製回転ドラム(以下、支持体という)上に光学フィルムの原料溶液であるアセチル基及びプロピオニル基を有する脂肪酸セルロースエステルのドープを流延ダイによって流延し、支持体上からウェブを剥離後、ウェブを乾燥して、溶液流延製膜法により光学フィルムを製造する方法であって、流延ダイのスリット両端部に溶剤を流下させ、溶剤を流下させる流延ダイ両側のノズルの先端部の内径を4mm以下0.5mm以上とし、かつ流下する溶剤の溶媒和パラメーター(−△HD−BF3)を15[kJ/mol]以上100[kJ/mol]以下とすることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 流延ダイ両側のノズル内を流下させる溶剤を、酢酸メチルとすることを特徴とする請求項1記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 請求項1または2記載の光学フィルムの製造方法により製造されたことを特徴とする光学フィルム。
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