JP2003170454A - ビニルアルコール系重合体フィルムの製造法および偏光フィルム - Google Patents
ビニルアルコール系重合体フィルムの製造法および偏光フィルムInfo
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- JP2003170454A JP2003170454A JP2001375274A JP2001375274A JP2003170454A JP 2003170454 A JP2003170454 A JP 2003170454A JP 2001375274 A JP2001375274 A JP 2001375274A JP 2001375274 A JP2001375274 A JP 2001375274A JP 2003170454 A JP2003170454 A JP 2003170454A
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- roll
- pva
- vinyl alcohol
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 水中に浸漬した場合のカールが少なく、均一
な延伸が可能なビニルアルコール系重合体フィルムを得
ることができ、特に偏光フィルム用ビニルアルコール系
重合体フィルムの製造法として有用で、偏光性能が均一
な偏光フィルムとなりうるビニルアルコール系重合体フ
ィルムを得る。 【解決手段】 ビニルアルコール系重合体を含有する製
膜原料を、二本以上のロール間に架け渡されたエンドレ
スベルト上に流延または吐出させて製膜する際に、スリ
ット状開口部から流延または吐出させる位置に一番近い
ロールのみが駆動されていると共に加熱されており、他
のロールは追従して回転していてそのうちの少なくとも
1本のロールが冷却されていることを特徴とするビニル
アルコール系重合体フィルムの製造法。
な延伸が可能なビニルアルコール系重合体フィルムを得
ることができ、特に偏光フィルム用ビニルアルコール系
重合体フィルムの製造法として有用で、偏光性能が均一
な偏光フィルムとなりうるビニルアルコール系重合体フ
ィルムを得る。 【解決手段】 ビニルアルコール系重合体を含有する製
膜原料を、二本以上のロール間に架け渡されたエンドレ
スベルト上に流延または吐出させて製膜する際に、スリ
ット状開口部から流延または吐出させる位置に一番近い
ロールのみが駆動されていると共に加熱されており、他
のロールは追従して回転していてそのうちの少なくとも
1本のロールが冷却されていることを特徴とするビニル
アルコール系重合体フィルムの製造法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏光フィルムの製
造原料として有用で、厚さ均一性に優れ水中でのカール
が少ないビニルアルコール系重合体フィルムの製造法、
およびそれを用いて作製した偏光フィルムに関するもの
である。
造原料として有用で、厚さ均一性に優れ水中でのカール
が少ないビニルアルコール系重合体フィルムの製造法、
およびそれを用いて作製した偏光フィルムに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】光の透過および遮蔽機能を有する偏光板
は、光のスイッチング機能を有する液晶とともに、液晶
ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。こ
のLCDの適用分野も、開発初期の頃の電卓および腕時
計等の小型機器から、近年ではラップトップパソコン、
ワープロ、液晶カラープロジェクター、車載用ナビゲー
ションシステム、液晶テレビ等の広範囲に広がり、従来
以上に光学特性の均一性に優れた偏光板が求められてい
る。
は、光のスイッチング機能を有する液晶とともに、液晶
ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。こ
のLCDの適用分野も、開発初期の頃の電卓および腕時
計等の小型機器から、近年ではラップトップパソコン、
ワープロ、液晶カラープロジェクター、車載用ナビゲー
ションシステム、液晶テレビ等の広範囲に広がり、従来
以上に光学特性の均一性に優れた偏光板が求められてい
る。
【0003】一般に偏光板は、ビニルアルコール系重合
体フィルム(以下、これを「PVAフィルム」と略記
し、また、これの原料であるビニルアルコール系重合体
を「PVA」と略記することがある)を一軸延伸し、染
色することにより製造した偏光フィルムの両面に、三酢
酸セルロース(TAC)フィルムや酢酸・酪酸セルロー
ス(CAB)フィルムなどの保護フィルムを貼り合わせ
た構成をしている。
体フィルム(以下、これを「PVAフィルム」と略記
し、また、これの原料であるビニルアルコール系重合体
を「PVA」と略記することがある)を一軸延伸し、染
色することにより製造した偏光フィルムの両面に、三酢
酸セルロース(TAC)フィルムや酢酸・酪酸セルロー
ス(CAB)フィルムなどの保護フィルムを貼り合わせ
た構成をしている。
【0004】特開平5−337967号公報や特開平5
−305642号公報には、乾燥室に仕切壁を設置し
て、エンドレスベルト上のPVAフイルムに吹き付ける
熱風の温度を変化させるPVAフィルムの製造法が開示
されている。しかし、製膜原料をエンドレスベルト上に
流延または吐出させる位置に一番近いロールのみが駆動
されかつ加熱されており、他のロールは追従して回転し
ており、少なくとも1本のロールを冷却することで水中
に浸漬した時にカールが少ないPVAフィルムが得られ
ることに関する開示はない。
−305642号公報には、乾燥室に仕切壁を設置し
て、エンドレスベルト上のPVAフイルムに吹き付ける
熱風の温度を変化させるPVAフィルムの製造法が開示
されている。しかし、製膜原料をエンドレスベルト上に
流延または吐出させる位置に一番近いロールのみが駆動
されかつ加熱されており、他のロールは追従して回転し
ており、少なくとも1本のロールを冷却することで水中
に浸漬した時にカールが少ないPVAフィルムが得られ
ることに関する開示はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】偏光板の偏光性能を均
一化させるためには、PVAフィルムの厚さを均一にす
ること、ムラなく貼り合わせることなど多くの注意点が
あるが、最も重要な点はPVAフィルムを均一に延伸す
ることである。PVAフィルムを均一に延伸できない場
合には、得られる偏光板の偏光性能を均一化させること
が困難である。
一化させるためには、PVAフィルムの厚さを均一にす
ること、ムラなく貼り合わせることなど多くの注意点が
あるが、最も重要な点はPVAフィルムを均一に延伸す
ることである。PVAフィルムを均一に延伸できない場
合には、得られる偏光板の偏光性能を均一化させること
が困難である。
【0006】そこで本発明の目的は、水中に浸漬した場
合のカールが少なく、均一な延伸が可能なPVAフィル
ムを得ることができ、特に偏光フィルム用PVAフィル
ムの製造法として有用で、偏光性能が均一な偏光フィル
ムとなりうるPVAフィルムの製造法を提供することに
ある。
合のカールが少なく、均一な延伸が可能なPVAフィル
ムを得ることができ、特に偏光フィルム用PVAフィル
ムの製造法として有用で、偏光性能が均一な偏光フィル
ムとなりうるPVAフィルムの製造法を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明にかかるPVAフィルムの製造法は、ビニル
アルコール系重合体を含有する製膜原料を、二本以上の
ロール間に架け渡されたエンドレスベルト上に流延また
は吐出させて製膜する際に、スリット状開口部から流延
または吐出させる位置に一番近いロールのみが駆動され
ていると共に加熱されており、他のロールは追従して回
転していてそのうちの少なくとも1本のロールが冷却さ
れていることとしている。
め、本発明にかかるPVAフィルムの製造法は、ビニル
アルコール系重合体を含有する製膜原料を、二本以上の
ロール間に架け渡されたエンドレスベルト上に流延また
は吐出させて製膜する際に、スリット状開口部から流延
または吐出させる位置に一番近いロールのみが駆動され
ていると共に加熱されており、他のロールは追従して回
転していてそのうちの少なくとも1本のロールが冷却さ
れていることとしている。
【0008】この時、駆動されているロールの軸が固定
されており、追従して回転しているロールのうち少なく
とも1本の軸が製膜中においても駆動されているロール
の軸に対し水平方向の距離と水平方向の角度を変化させ
ることができ、かつ駆動されているロールの頂点が追従
して回転しているロールの頂点と同じ高さであるかまた
はそれよりも高い位置にあることが好ましい。この偏光
フィルム用PVAフィルムを用いて偏光フィルムが得ら
れる。
されており、追従して回転しているロールのうち少なく
とも1本の軸が製膜中においても駆動されているロール
の軸に対し水平方向の距離と水平方向の角度を変化させ
ることができ、かつ駆動されているロールの頂点が追従
して回転しているロールの頂点と同じ高さであるかまた
はそれよりも高い位置にあることが好ましい。この偏光
フィルム用PVAフィルムを用いて偏光フィルムが得ら
れる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。図1は、本発明の製造法に用いる
PVAフィルムのベルト製膜装置の一例として、含水P
VA(有機溶剤を含んでいても良い。以下同じ)を溶融
して押し出す溶融押出製膜機を示している。この製膜機
は、エンドレスベルトの幅方向に細長いスリット状開口
部から定量の製膜原料(溶融PVA)2を定速で移動す
るエンドレスベルト4上に位置1で接触させている。こ
のエンドレスベルト4の一部を通過させて、PVAフィ
ルム6を乾燥させる。この時、エンドレスベルト4全体
を囲むように設置された乾燥室10は隔壁8により分割
されている。この後、このPVAフィルムは、図示しな
いフローティングドライヤーや乾燥用金属ロールや検査
機などを通過してワインダーに巻き取られる。
に基づいて説明する。図1は、本発明の製造法に用いる
PVAフィルムのベルト製膜装置の一例として、含水P
VA(有機溶剤を含んでいても良い。以下同じ)を溶融
して押し出す溶融押出製膜機を示している。この製膜機
は、エンドレスベルトの幅方向に細長いスリット状開口
部から定量の製膜原料(溶融PVA)2を定速で移動す
るエンドレスベルト4上に位置1で接触させている。こ
のエンドレスベルト4の一部を通過させて、PVAフィ
ルム6を乾燥させる。この時、エンドレスベルト4全体
を囲むように設置された乾燥室10は隔壁8により分割
されている。この後、このPVAフィルムは、図示しな
いフローティングドライヤーや乾燥用金属ロールや検査
機などを通過してワインダーに巻き取られる。
【0010】以上の製膜機において、本発明では、製膜
原料2がスリット状開口部から流延または吐出させる位
置1に一番近いロール3のみが駆動されてかつ加熱され
ており、他のロールは追従して回転しており少なくとも
1本のロール3’は冷却されていることが重要である。
製膜原料2が流延または吐出される位置1に一番近いロ
ール3が追従して回転している場合や、複数のロールが
駆動されている場合には、得られるPVAフィルム6の
厚み斑が大きくなる。また、製膜原料2が流延または吐
出される位置1に一番近いロール3が冷却されている場
合には、エンドレスベルト4の繋ぎ目に相当する部分の
位置でPVAフィルム6の局部的な厚み斑が大きくな
る。追従して回転しているロールのすべてが加熱されて
いる場合には、得られるPVAフィルム6を水中に浸漬
した時のカールが大きくなる。
原料2がスリット状開口部から流延または吐出させる位
置1に一番近いロール3のみが駆動されてかつ加熱され
ており、他のロールは追従して回転しており少なくとも
1本のロール3’は冷却されていることが重要である。
製膜原料2が流延または吐出される位置1に一番近いロ
ール3が追従して回転している場合や、複数のロールが
駆動されている場合には、得られるPVAフィルム6の
厚み斑が大きくなる。また、製膜原料2が流延または吐
出される位置1に一番近いロール3が冷却されている場
合には、エンドレスベルト4の繋ぎ目に相当する部分の
位置でPVAフィルム6の局部的な厚み斑が大きくな
る。追従して回転しているロールのすべてが加熱されて
いる場合には、得られるPVAフィルム6を水中に浸漬
した時のカールが大きくなる。
【0011】なお、ここで言う加熱および冷却とは、室
温に対して高温物や低温物による加熱や冷却でなく、対
象となるロールが該ロールと接触するエンドレスベルト
4よりも高温か低温かで判断しており、例えば対象とな
るロールが100℃で、150℃のエンドレスベルト4
に触れる場合は冷却ロールとなる。
温に対して高温物や低温物による加熱や冷却でなく、対
象となるロールが該ロールと接触するエンドレスベルト
4よりも高温か低温かで判断しており、例えば対象とな
るロールが100℃で、150℃のエンドレスベルト4
に触れる場合は冷却ロールとなる。
【0012】本発明において、駆動されているロール3
の軸が固定されており、追従して回転しているロール
3’のうち少なくとも1本の軸が製膜中においても駆動
されているロール3の軸に対し水平方向の距離と水平方
向の角度を変化させることができることが好ましい。駆
動されているロール3の軸が固定されていない場合、ロ
ール3の軸の水平方向の角度が変化すると、スリット状
開口部とエンドレスベルトの間隔が変化して、得られる
PVAフィルムの厚み斑が大きくなる場合がある。ま
た、すべてのロールの軸が固定されている場合には、エ
ンドレスベルトが一方向に斜行したり、ベルト製膜機の
下側でタルミが発生して安定した製膜ができない場合が
ある。
の軸が固定されており、追従して回転しているロール
3’のうち少なくとも1本の軸が製膜中においても駆動
されているロール3の軸に対し水平方向の距離と水平方
向の角度を変化させることができることが好ましい。駆
動されているロール3の軸が固定されていない場合、ロ
ール3の軸の水平方向の角度が変化すると、スリット状
開口部とエンドレスベルトの間隔が変化して、得られる
PVAフィルムの厚み斑が大きくなる場合がある。ま
た、すべてのロールの軸が固定されている場合には、エ
ンドレスベルトが一方向に斜行したり、ベルト製膜機の
下側でタルミが発生して安定した製膜ができない場合が
ある。
【0013】また、駆動されているロール3の頂点11
が、追従して回転しているロール3’の頂点12と同じ
高さであるかまたはより高い位置にあることが好まし
く、追従して回転しているロールの頂点の内一番高い位
置よりも50cm以下で高いことがより好ましい。駆動
されているロールの頂点11が追従して回転しているロ
ールの頂点12よりも低い場合には、得られるPVAフ
ィルムの厚み斑が大きくなる場合がある。
が、追従して回転しているロール3’の頂点12と同じ
高さであるかまたはより高い位置にあることが好まし
く、追従して回転しているロールの頂点の内一番高い位
置よりも50cm以下で高いことがより好ましい。駆動
されているロールの頂点11が追従して回転しているロ
ールの頂点12よりも低い場合には、得られるPVAフ
ィルムの厚み斑が大きくなる場合がある。
【0014】前記エンドレスベルト4は、金属製が好ま
しく、特に鏡面仕上げされたステンレス鋼製のものが好
ましい。エンドレスベルト4の幅は、駆動ロールや追従
して回転しているロールの幅と同じであるかまたはより
狭く、より好ましくは1cm狭く、さらに好ましくは5
cm狭い方が好ましい。エンドレスベルト4の幅がロー
ルの幅より広い場合には、PVAフィルムの幅方向の両
端部付近の厚み斑が大きくなる傾向がある。
しく、特に鏡面仕上げされたステンレス鋼製のものが好
ましい。エンドレスベルト4の幅は、駆動ロールや追従
して回転しているロールの幅と同じであるかまたはより
狭く、より好ましくは1cm狭く、さらに好ましくは5
cm狭い方が好ましい。エンドレスベルト4の幅がロー
ルの幅より広い場合には、PVAフィルムの幅方向の両
端部付近の厚み斑が大きくなる傾向がある。
【0015】前記加熱ロール3は、スチーム・熱媒・温
水・電気ヒーターなどにより加熱する。また、エンドレ
スベルト4を囲むように設置された乾燥室10の分割さ
れた各部屋ごとに、温風9を吹き込み、PVAフィルム
周囲の空気や蒸気などを吸引することが好ましい。
水・電気ヒーターなどにより加熱する。また、エンドレ
スベルト4を囲むように設置された乾燥室10の分割さ
れた各部屋ごとに、温風9を吹き込み、PVAフィルム
周囲の空気や蒸気などを吸引することが好ましい。
【0016】本発明において用いることができるPVA
は、たとえば、ビニルエステル系モノマーを重合して得
られたポリビニルエステルのエステル基の一部またはす
べてを、けん化反応、加アルコール分解反応、エステル
交換反応などにより水酸基に変換することで製造され
る。またPVAを不飽和カルボン酸またはその誘導体、
不飽和スルホン酸またはその誘導体、オレフィンなどで
グラフト共重合した変性PVAや、ビニルエステル系モ
ノマーと不飽和カルボン酸またはその誘導体、不飽和ス
ルホン酸またはその誘導体、オレフィンなどで共重合し
た変性ポリビニルエステルをけん化することにより製造
される変性PVAや、未変性または変性PVAをアルデ
ヒド類で水酸基の一部を架橋したいわゆるポリビニルア
セタール樹脂などを挙げることができる。
は、たとえば、ビニルエステル系モノマーを重合して得
られたポリビニルエステルのエステル基の一部またはす
べてを、けん化反応、加アルコール分解反応、エステル
交換反応などにより水酸基に変換することで製造され
る。またPVAを不飽和カルボン酸またはその誘導体、
不飽和スルホン酸またはその誘導体、オレフィンなどで
グラフト共重合した変性PVAや、ビニルエステル系モ
ノマーと不飽和カルボン酸またはその誘導体、不飽和ス
ルホン酸またはその誘導体、オレフィンなどで共重合し
た変性ポリビニルエステルをけん化することにより製造
される変性PVAや、未変性または変性PVAをアルデ
ヒド類で水酸基の一部を架橋したいわゆるポリビニルア
セタール樹脂などを挙げることができる。
【0017】前記のビニルエステル系モノマーとして
は、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪
酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニ
ル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸
ビニルなどが例示され、これらの1種または2種以上を
使用することができるが、酢酸ビニルが好ましい。
は、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪
酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニ
ル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸
ビニルなどが例示され、これらの1種または2種以上を
使用することができるが、酢酸ビニルが好ましい。
【0018】一方、変性PVAに使用されるコモノマー
は、主としてPVAの変性を目的に共重合させるもの
で、本発明の趣旨を損なわない範囲で使用される。この
ようなコモノマーとして、たとえば、オレフィン類、ア
クリル酸およびその誘導体、メタクリル酸およびその誘
導体、マレイン酸およびその誘導体、イタコン酸および
その誘導体、アクリルアミド誘導体、メタクリルアミド
誘導体、N−ビニルアミド類、ビニルエーテル類、ニト
リル類、ハロゲン化ビニル類、アリル化合物類、ビニル
シリル化合物類、酢酸イソプロペニルなどが挙げられ、
これらの1種または2種以上を使用することができる。
は、主としてPVAの変性を目的に共重合させるもの
で、本発明の趣旨を損なわない範囲で使用される。この
ようなコモノマーとして、たとえば、オレフィン類、ア
クリル酸およびその誘導体、メタクリル酸およびその誘
導体、マレイン酸およびその誘導体、イタコン酸および
その誘導体、アクリルアミド誘導体、メタクリルアミド
誘導体、N−ビニルアミド類、ビニルエーテル類、ニト
リル類、ハロゲン化ビニル類、アリル化合物類、ビニル
シリル化合物類、酢酸イソプロペニルなどが挙げられ、
これらの1種または2種以上を使用することができる。
【0019】変性PVAを用いる場合は、変性量は15
モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましい。
またコモノマーとしては、炭素数2〜30のα−オレフ
ィンが好ましく、特にエチレンが好ましい。
モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましい。
またコモノマーとしては、炭素数2〜30のα−オレフ
ィンが好ましく、特にエチレンが好ましい。
【0020】PVAのけん化度は、得られる偏光フィル
ムの偏光性能と耐久性の点から95モル%以上が好まし
く、98モル%以上がより好ましく、99モル%以上が
さらに好ましく、特に99.5モル%以上が最も好まし
く、PVAフィルムの染色性の点からは99.99モル
%以下が好ましい。
ムの偏光性能と耐久性の点から95モル%以上が好まし
く、98モル%以上がより好ましく、99モル%以上が
さらに好ましく、特に99.5モル%以上が最も好まし
く、PVAフィルムの染色性の点からは99.99モル
%以下が好ましい。
【0021】前記けん化度とは、けん化反応などにより
ビニルアルコール単位に変換され得る単位の中で、実際
にビニルアルコール単位に変換されている単位の割合を
示したものである。なお、PVAのけん化度は、JIS
記載の方法により測定を行った。
ビニルアルコール単位に変換され得る単位の中で、実際
にビニルアルコール単位に変換されている単位の割合を
示したものである。なお、PVAのけん化度は、JIS
記載の方法により測定を行った。
【0022】PVAの重合度は、得られる偏光フィルム
の偏光性能と耐久性の点から1000以上が好ましく、
2500以上がより好ましく、特に3500以上が最も
好ましい。PVA重合度の上限は8000以下が好まし
く、6000以下がより好ましい。
の偏光性能と耐久性の点から1000以上が好ましく、
2500以上がより好ましく、特に3500以上が最も
好ましい。PVA重合度の上限は8000以下が好まし
く、6000以下がより好ましい。
【0023】前記PVAの重合度は、JIS K 67
26に準じて測定される。すなわちPVAを再けん化
し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度から
求められる。
26に準じて測定される。すなわちPVAを再けん化
し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度から
求められる。
【0024】以上のPVAを使用してPVAフィルムを
製造する方法として、図1の実施形態で示した含水PV
A(有機溶剤などを含んでいてもよい)を溶融して行う
溶融押出製膜法や、PVAを水などの溶剤に溶解したP
VA溶液を使用して流延させる流延製膜法を採用するこ
とができる。インフレ製膜法などの他の方法では、良好
な偏光フィルムが得られない。
製造する方法として、図1の実施形態で示した含水PV
A(有機溶剤などを含んでいてもよい)を溶融して行う
溶融押出製膜法や、PVAを水などの溶剤に溶解したP
VA溶液を使用して流延させる流延製膜法を採用するこ
とができる。インフレ製膜法などの他の方法では、良好
な偏光フィルムが得られない。
【0025】PVAフィルムを製造する際に使用される
PVAを溶解する溶剤としては、たとえば、ジメチルス
ルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、グ
リセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ル、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ジエ
チレントリアミン、ジグリセリン、水などを挙げること
ができ、これらのうち1種または2種以上を使用するこ
とができる。これらのなかでも、ジメチルスルホキシ
ド、水、またはグリセリンと水の混合溶媒が好適に使用
される。
PVAを溶解する溶剤としては、たとえば、ジメチルス
ルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、グ
リセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ル、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ジエ
チレントリアミン、ジグリセリン、水などを挙げること
ができ、これらのうち1種または2種以上を使用するこ
とができる。これらのなかでも、ジメチルスルホキシ
ド、水、またはグリセリンと水の混合溶媒が好適に使用
される。
【0026】PVAフィルムを製造する際に使用される
PVA溶液または含水PVAのPVA濃度は、10重量
%〜70重量%が好適であり、10重量%〜60重量%
がより好適であり、13重量%〜55重量%がさらに好
適であり、15重量%〜50重量%が最も好適である。
このPVA溶液または含水PVAには、必要に応じて可
塑剤、界面活性剤、二色性染料などを含有させてもよ
い。
PVA溶液または含水PVAのPVA濃度は、10重量
%〜70重量%が好適であり、10重量%〜60重量%
がより好適であり、13重量%〜55重量%がさらに好
適であり、15重量%〜50重量%が最も好適である。
このPVA溶液または含水PVAには、必要に応じて可
塑剤、界面活性剤、二色性染料などを含有させてもよ
い。
【0027】PVAフィルムを製造する際には、可塑剤
として多価アルコールを添加することが好ましい。この
多価アルコールとしては、たとえば、エチレングリコー
ル、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレング
リコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テ
トラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペ
ンタエリスリトール、ソルビトールアセテート、ソルビ
トールのエチレンオキシド付加物、グリセリンのエチレ
ンオキシド付加物などが挙げられ、これらのうち1種ま
たは2種以上を使用することができる。これらのなかで
も延伸性の向上効果から、ジグリセリンやエチレングリ
コールやグリセリンが好適に使用される。
として多価アルコールを添加することが好ましい。この
多価アルコールとしては、たとえば、エチレングリコー
ル、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレング
リコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テ
トラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペ
ンタエリスリトール、ソルビトールアセテート、ソルビ
トールのエチレンオキシド付加物、グリセリンのエチレ
ンオキシド付加物などが挙げられ、これらのうち1種ま
たは2種以上を使用することができる。これらのなかで
も延伸性の向上効果から、ジグリセリンやエチレングリ
コールやグリセリンが好適に使用される。
【0028】多価アルコールの添加量としては、PVA
100重量部に対して30重量部以下が好ましく、3重
量部〜25重量部がより好ましく、5重量部〜20重量
部が最も好ましい。30重量部を超えると、PVAフィ
ルムが柔軟になりすぎて、取り扱い性が低下する場合が
ある。
100重量部に対して30重量部以下が好ましく、3重
量部〜25重量部がより好ましく、5重量部〜20重量
部が最も好ましい。30重量部を超えると、PVAフィ
ルムが柔軟になりすぎて、取り扱い性が低下する場合が
ある。
【0029】PVAフィルムを製造する際には、界面活
性剤を添加することが好ましい。界面活性剤の種類とし
ては特に限定はないが、アニオン性またはノニオン性の
界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤として
は、カルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型が好
適である。ノニオン性界面活性剤としては、アルキルエ
ーテル型、アルキルエステル型、アルキルアミド型、ポ
リプロピレングリコールエーテル型、アルカノールアミ
ド型、アリルフェニルエーテル型が好適であり、これら
を1種または2種以上の組み合わせで使用することがで
きる。
性剤を添加することが好ましい。界面活性剤の種類とし
ては特に限定はないが、アニオン性またはノニオン性の
界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤として
は、カルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型が好
適である。ノニオン性界面活性剤としては、アルキルエ
ーテル型、アルキルエステル型、アルキルアミド型、ポ
リプロピレングリコールエーテル型、アルカノールアミ
ド型、アリルフェニルエーテル型が好適であり、これら
を1種または2種以上の組み合わせで使用することがで
きる。
【0030】界面活性剤の添加量としては、PVA10
0重量部に対して0.01重量部〜1重量部が好まし
く、0.02重量部〜0.5重量部がより好ましく、
0.05重量部〜0.3重量部が最も好ましい。0.0
1重量部未満では、延伸性向上や染色性向上の効果が現
れにくく、1重量部を超えると、PVAフィルム表面に
溶出してブロッキングの発生原因になり、取り扱い性が
低下する場合がある。
0重量部に対して0.01重量部〜1重量部が好まし
く、0.02重量部〜0.5重量部がより好ましく、
0.05重量部〜0.3重量部が最も好ましい。0.0
1重量部未満では、延伸性向上や染色性向上の効果が現
れにくく、1重量部を超えると、PVAフィルム表面に
溶出してブロッキングの発生原因になり、取り扱い性が
低下する場合がある。
【0031】PVAフィルムの厚さは10μm〜150
μmであり、15μm〜100μmが好ましく、20μ
m〜80μmがさらに好ましい。PVAフィルムの厚さ
が10μm未満では延伸倍率を高くできず、得られる偏
光フィルムの偏光性能が低くなる。一方、PVAフィル
ムの厚さが150μmを超えても偏光性能の向上は見ら
れず経済的でないばかりでなく、延伸のための張力を大
きくする必要がある。
μmであり、15μm〜100μmが好ましく、20μ
m〜80μmがさらに好ましい。PVAフィルムの厚さ
が10μm未満では延伸倍率を高くできず、得られる偏
光フィルムの偏光性能が低くなる。一方、PVAフィル
ムの厚さが150μmを超えても偏光性能の向上は見ら
れず経済的でないばかりでなく、延伸のための張力を大
きくする必要がある。
【0032】このようにして得られたPVAフィルム
は、幅方向の両端部を除去した後に、金属またはプラス
チックでできた筒状のコアに巻き取られ、防湿包装の
上、宙吊り状態で保管することが好ましい。
は、幅方向の両端部を除去した後に、金属またはプラス
チックでできた筒状のコアに巻き取られ、防湿包装の
上、宙吊り状態で保管することが好ましい。
【0033】また、本発明の方法によって得られるPV
Aフィルムから、偏光フィルムを製造するには、たとえ
ばPVAフィルムを染色、一軸延伸、固定処理、乾燥処
理、さらに必要に応じて熱処理を行えばよく、染色、一
軸延伸、固定処理の操作順に特に制限はない。また、各
操作を二回またはそれ以上行ってもよい。
Aフィルムから、偏光フィルムを製造するには、たとえ
ばPVAフィルムを染色、一軸延伸、固定処理、乾燥処
理、さらに必要に応じて熱処理を行えばよく、染色、一
軸延伸、固定処理の操作順に特に制限はない。また、各
操作を二回またはそれ以上行ってもよい。
【0034】染色は、一軸延伸前、一軸延伸時、一軸延
伸後のいずれでも可能である。染色に用いる二色性染料
としては、ヨウ素−ヨウ化カリウム;ダイレクトブラッ
ク17、19、154;ダイレクトブラウン 44、1
06、195、210、223;ダイレクトレッド
2、23、28、31、37、39、79、81、24
0、242、247;ダイレクトブルー 1、15、2
2、78、90、98、151、168、202、23
6、249、270;ダイレクトバイオレット9、1
2、51、98;ダイレクトグリーン 1、85;ダイ
レクトイエロー8、12、44、86、87;ダイレク
トオレンジ 26、39、106、107などが挙げら
れ、1種または2種以上の混合物で使用できる。通常、
染色は、PVAフィルムを上記染料を含有する溶液中に
浸漬させることにより行うことが一般的であるが、PV
Aフィルムに塗工したり、PVAフィルムに混ぜて製膜
するなど、その処理条件や処理方法は特に制限されるも
のではない。
伸後のいずれでも可能である。染色に用いる二色性染料
としては、ヨウ素−ヨウ化カリウム;ダイレクトブラッ
ク17、19、154;ダイレクトブラウン 44、1
06、195、210、223;ダイレクトレッド
2、23、28、31、37、39、79、81、24
0、242、247;ダイレクトブルー 1、15、2
2、78、90、98、151、168、202、23
6、249、270;ダイレクトバイオレット9、1
2、51、98;ダイレクトグリーン 1、85;ダイ
レクトイエロー8、12、44、86、87;ダイレク
トオレンジ 26、39、106、107などが挙げら
れ、1種または2種以上の混合物で使用できる。通常、
染色は、PVAフィルムを上記染料を含有する溶液中に
浸漬させることにより行うことが一般的であるが、PV
Aフィルムに塗工したり、PVAフィルムに混ぜて製膜
するなど、その処理条件や処理方法は特に制限されるも
のではない。
【0035】一軸延伸は、湿式延伸法または乾熱延伸法
が使用でき、温水中(前記染料を含有する溶液中や後記
固定処理浴中でもよい)または吸水後のPVAフィルム
を用いて空気中で行うことができる。延伸温度は特に限
定されないが、PVAフィルムを温水中で延伸(湿式延
伸)する場合は30℃〜90℃が、また乾熱延伸する場
合は50℃〜180℃が好適である。また一軸延伸の延
伸倍率(多段の一軸延伸の場合には合計の延伸倍率)
は、偏光性能の点から4倍以上が好ましく、4.5倍以
上がより好ましく、特に5倍以上が最も好ましい。延伸
倍率の上限は特に制限はないが、8倍以下であると均一
な延伸が得られやすいので好ましい。延伸後のフィルム
の厚さは、3μm〜75μmが好ましく、5μm〜50
μmがより好ましい。
が使用でき、温水中(前記染料を含有する溶液中や後記
固定処理浴中でもよい)または吸水後のPVAフィルム
を用いて空気中で行うことができる。延伸温度は特に限
定されないが、PVAフィルムを温水中で延伸(湿式延
伸)する場合は30℃〜90℃が、また乾熱延伸する場
合は50℃〜180℃が好適である。また一軸延伸の延
伸倍率(多段の一軸延伸の場合には合計の延伸倍率)
は、偏光性能の点から4倍以上が好ましく、4.5倍以
上がより好ましく、特に5倍以上が最も好ましい。延伸
倍率の上限は特に制限はないが、8倍以下であると均一
な延伸が得られやすいので好ましい。延伸後のフィルム
の厚さは、3μm〜75μmが好ましく、5μm〜50
μmがより好ましい。
【0036】PVAフィルムへの上記染料の吸着を強固
にすることを目的に、固定処理を行うことが多い。固定
処理に使用する処理浴には、通常、ホウ酸および/また
はホウ素化合物が添加される。また、必要に応じて処理
浴中にヨウ素化合物を添加してもよい。
にすることを目的に、固定処理を行うことが多い。固定
処理に使用する処理浴には、通常、ホウ酸および/また
はホウ素化合物が添加される。また、必要に応じて処理
浴中にヨウ素化合物を添加してもよい。
【0037】前記PVAフィルムの乾燥処理(熱処理)
は、30℃〜150℃で行うのが好ましく、50℃〜1
50℃で行うのがより好ましい。
は、30℃〜150℃で行うのが好ましく、50℃〜1
50℃で行うのがより好ましい。
【0038】以上のようにして得られた本発明の偏光フ
ィルムは、通常、その両面または片面に、光学的に透明
で、かつ機械的強度を有した保護フィルムを貼り合わせ
て偏光板として使用される。保護フィルムとしては、脂
肪酸セルロース系フィルム、アクリル系フィルム、ポリ
エステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリ
カーボネート系フィルム、ポリエーテルエーテルケトン
系フィルム、ポリスルホン系フィルムなどが挙げられる
が、三酢酸セルロースフィルムが好ましい。該保護フィ
ルムには、紫外線吸収剤を配合してもよい。偏光フィル
ムと保護フィルムの接着力を上げるため、両フィルムま
たは片方のフィルムの貼り合わせる面にコロナ処理、火
炎処理などの表面処理を行うことが好ましい。また、貼
り合わせのための接着剤としては、PVA系、ウレタン
系、アクリル系の各接着剤などを挙げることができる
が、なかでもPVA系の接着剤が好適である。
ィルムは、通常、その両面または片面に、光学的に透明
で、かつ機械的強度を有した保護フィルムを貼り合わせ
て偏光板として使用される。保護フィルムとしては、脂
肪酸セルロース系フィルム、アクリル系フィルム、ポリ
エステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリ
カーボネート系フィルム、ポリエーテルエーテルケトン
系フィルム、ポリスルホン系フィルムなどが挙げられる
が、三酢酸セルロースフィルムが好ましい。該保護フィ
ルムには、紫外線吸収剤を配合してもよい。偏光フィル
ムと保護フィルムの接着力を上げるため、両フィルムま
たは片方のフィルムの貼り合わせる面にコロナ処理、火
炎処理などの表面処理を行うことが好ましい。また、貼
り合わせのための接着剤としては、PVA系、ウレタン
系、アクリル系の各接着剤などを挙げることができる
が、なかでもPVA系の接着剤が好適である。
【0039】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものでは
ない。 実施例1 図1に記載したベルト製膜機を用いた。この実施例1で
は、加熱ロール3のみが98℃に加熱されかつ駆動され
ており、ロール3’は40℃に水冷されかつ追従して回
転しており、加熱ロール3の頂点はロール3’の頂点と
同じ高さである。また、加熱ロール3の軸は固定されて
おり、ロール3’の軸は加熱ロール3の軸に対して、水
平方向の距離と水平方向の角度を変化できるようにして
ある。さらに、スリット状開口部から吐出された製膜原
料2がエンドレスベルト4と接触する位置1の裏面が加
熱ロール3に接触するように設定されている。
するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものでは
ない。 実施例1 図1に記載したベルト製膜機を用いた。この実施例1で
は、加熱ロール3のみが98℃に加熱されかつ駆動され
ており、ロール3’は40℃に水冷されかつ追従して回
転しており、加熱ロール3の頂点はロール3’の頂点と
同じ高さである。また、加熱ロール3の軸は固定されて
おり、ロール3’の軸は加熱ロール3の軸に対して、水
平方向の距離と水平方向の角度を変化できるようにして
ある。さらに、スリット状開口部から吐出された製膜原
料2がエンドレスベルト4と接触する位置1の裏面が加
熱ロール3に接触するように設定されている。
【0040】けん化度99.9モル%、重合度1750
のPVA100重量部に対し、グリセリン10重量部を
含有する、PVA濃度が15重量%の水溶液を金属ベル
トを用いて流延製膜し、乾燥した後にフローティングド
ライヤーで後乾燥させ、フィルムの幅方向両端部を除去
して厚さ75μmの偏光フィルム用PVAフィルムを得
た。当該PVAフィルムの表面は平滑であり、厚さ斑も
見られなかった。
のPVA100重量部に対し、グリセリン10重量部を
含有する、PVA濃度が15重量%の水溶液を金属ベル
トを用いて流延製膜し、乾燥した後にフローティングド
ライヤーで後乾燥させ、フィルムの幅方向両端部を除去
して厚さ75μmの偏光フィルム用PVAフィルムを得
た。当該PVAフィルムの表面は平滑であり、厚さ斑も
見られなかった。
【0041】前記PVAフィルムを予備膨潤、染色、一
軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順に処理して偏光フ
ィルムを作成した。すなわち、前記PVAフィルムを3
0℃の水中に5分間浸漬させて予備膨潤し、ヨウ素濃度
0.4g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リッ
トルの35℃の水溶液中に3分間浸漬させた。続いて、
ホウ酸濃度4%の40℃の水溶液中で5.5倍に一軸延
伸を行い、ヨウ化カリウム濃度40g/リットル、ホウ
酸濃度40g/リットル、塩化亜鉛濃度10g/リット
ルの30℃の水溶液中に5分間浸漬させて固定処理を行
った。この後延伸フィルムを取り出し、定長下、40℃
で熱風乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行っ
た。
軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順に処理して偏光フ
ィルムを作成した。すなわち、前記PVAフィルムを3
0℃の水中に5分間浸漬させて予備膨潤し、ヨウ素濃度
0.4g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リッ
トルの35℃の水溶液中に3分間浸漬させた。続いて、
ホウ酸濃度4%の40℃の水溶液中で5.5倍に一軸延
伸を行い、ヨウ化カリウム濃度40g/リットル、ホウ
酸濃度40g/リットル、塩化亜鉛濃度10g/リット
ルの30℃の水溶液中に5分間浸漬させて固定処理を行
った。この後延伸フィルムを取り出し、定長下、40℃
で熱風乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行っ
た。
【0042】水中に浸漬した時にカールは見られず、均
一な延伸が可能であった。得られた偏光フィルムの厚み
は22μmであり、色斑は無かった。
一な延伸が可能であった。得られた偏光フィルムの厚み
は22μmであり、色斑は無かった。
【0043】実施例2
実施例1において用いたのと同じ装置を用い、加熱ロー
ル3の温度を110℃に、ロール3’の温度を30℃に
設定した。
ル3の温度を110℃に、ロール3’の温度を30℃に
設定した。
【0044】けん化度99.9モル%、重合度4000
のPVA100重量部と、グリセリン10重量部と、水
110重量部を、押出機で溶融混練させ、スリット状開
口部より金属製エンドレスベルトに流延製膜し、上記条
件で乾燥させ、フローティングドライヤーで後乾燥さ
せ、フィルムの幅方向両端部を除去して厚さ75μmの
PVAフィルムを得た。当該PVAフィルムの表面は平
滑であり、厚さ斑も見られなかった。
のPVA100重量部と、グリセリン10重量部と、水
110重量部を、押出機で溶融混練させ、スリット状開
口部より金属製エンドレスベルトに流延製膜し、上記条
件で乾燥させ、フローティングドライヤーで後乾燥さ
せ、フィルムの幅方向両端部を除去して厚さ75μmの
PVAフィルムを得た。当該PVAフィルムの表面は平
滑であり、厚さ斑も見られなかった。
【0045】前記PVAフィルムを、延伸倍率を5.6
倍に変更した以外は、実施例1と同様に処理を行い、偏
光フィルムを得た。水中に浸漬した時にカールは見られ
ず、均一な延伸が可能であった。得られた偏光フィルム
の厚みは22μmであり、色斑は無かった。
倍に変更した以外は、実施例1と同様に処理を行い、偏
光フィルムを得た。水中に浸漬した時にカールは見られ
ず、均一な延伸が可能であった。得られた偏光フィルム
の厚みは22μmであり、色斑は無かった。
【0046】実施例3
実施例1において用いたのと同じ装置で、加熱ロール3
の頂点をロール3’の頂点よりも10cm低く設定され
ている。また、両ロールの水平方向の軸間距離のみ、加
熱ロール3で調節できるようにした以外は、実施例1と
同様に処理を行い、偏光フィルムを得た。得られたPV
Aフィルムには厚み斑が長い周期で発生していたが、均
一な延伸が可能であった。得られた偏光フィルムの厚み
は23μmであり、色斑は変化の周期が長いので、問題
にされない程度となった。
の頂点をロール3’の頂点よりも10cm低く設定され
ている。また、両ロールの水平方向の軸間距離のみ、加
熱ロール3で調節できるようにした以外は、実施例1と
同様に処理を行い、偏光フィルムを得た。得られたPV
Aフィルムには厚み斑が長い周期で発生していたが、均
一な延伸が可能であった。得られた偏光フィルムの厚み
は23μmであり、色斑は変化の周期が長いので、問題
にされない程度となった。
【0047】比較例1
実施例1において、ロール3’を120℃に加熱した以
外は、実施例1と同様に処理を行い、偏光フィルムを得
ようとしたが、水中に浸漬した時にカールが激しく、均
一な延伸が不可能であった。
外は、実施例1と同様に処理を行い、偏光フィルムを得
ようとしたが、水中に浸漬した時にカールが激しく、均
一な延伸が不可能であった。
【0048】比較例2
実施例1において、ロール3’も駆動させ、水平方向の
距離と水平方向の角度も固定した以外は実施例1と同様
に処理を行い、PVAフィルムを得ようとしたが、エン
ドレスベルトが斜行してしまい、連続してPVAフィル
ムを得ることができなかった。
距離と水平方向の角度も固定した以外は実施例1と同様
に処理を行い、PVAフィルムを得ようとしたが、エン
ドレスベルトが斜行してしまい、連続してPVAフィル
ムを得ることができなかった。
【0049】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、水中に
浸漬した場合のカールが少なく、均一な延伸が可能なP
VAフィルムを得ることができ、特に偏光フィルム用P
VAフィルムの製造法として有用で、偏光性能が均一な
偏光フィルムとなりうるPVAフィルムが得られる。
浸漬した場合のカールが少なく、均一な延伸が可能なP
VAフィルムを得ることができ、特に偏光フィルム用P
VAフィルムの製造法として有用で、偏光性能が均一な
偏光フィルムとなりうるPVAフィルムが得られる。
【図1】本発明のPVAフィルムを製造するときの一実
施形態を示すベルト製膜機の概略構成図である。
施形態を示すベルト製膜機の概略構成図である。
1…製膜原料がエンドレスベルトと接触する位置、2…
製膜原料、3…駆動されている加熱ロール、3′…追従
して回転するロール、4…エンドレスベルト、5…剥が
しロール、6…PVAフィルム、7…ロール回転方向、
8…隔壁、9…温風、10…全体を囲むように設置され
た乾燥室、11:ロール3の頂点、12:ロール3′の
頂点。
製膜原料、3…駆動されている加熱ロール、3′…追従
して回転するロール、4…エンドレスベルト、5…剥が
しロール、6…PVAフィルム、7…ロール回転方向、
8…隔壁、9…温風、10…全体を囲むように設置され
た乾燥室、11:ロール3の頂点、12:ロール3′の
頂点。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
B29L 7:00 B29L 7:00
(72)発明者 磯▲ざき▼ 孝徳
岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ
レ内
(72)発明者 藤田 聡
愛媛県西条市朔日市892番地 株式会社ク
ラレ内
Fターム(参考) 2H049 BA02 BB43 BC03 BC09 BC22
2H091 FB02 FC01 LA18
4F205 AA19 AC05 AG01 AH73 AP05
AP06 GA07 GC07 GF03 GF24
GF41 GN13 GN18 GN21 GN24
Claims (4)
- 【請求項1】 ビニルアルコール系重合体を含有する製
膜原料を、二本以上のロール間に架け渡されたエンドレ
スベルト上に流延または吐出させて製膜する際に、スリ
ット状開口部から流延または吐出させる位置に一番近い
ロールのみが駆動されていると共に加熱されており、他
のロールは追従して回転していてそのうちの少なくとも
1本のロールが冷却されていることを特徴とするビニル
アルコール系重合体フィルムの製造法。 - 【請求項2】 駆動されているロールの軸が固定されて
おり、追従して回転しているロールのうち少なくとも1
本の軸が製膜中においても駆動されているロールの軸に
対し水平方向の距離と水平方向の角度を変化させること
ができ、かつ駆動されているロールの頂点が追従して回
転しているロールの頂点と同じ高さであるかまたはそれ
よりも高い位置にある請求項1に記載のビニルアルコー
ル系重合体フィルムの製造法。 - 【請求項3】 光学用フィルムである請求項1または2
に記載のビニルアルコール系重合体フィルムの製造法。 - 【請求項4】 請求項3に記載の製造法で得られた光学
用フィルムを用いて作製した偏光フィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001375274A JP2003170454A (ja) | 2001-12-10 | 2001-12-10 | ビニルアルコール系重合体フィルムの製造法および偏光フィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001375274A JP2003170454A (ja) | 2001-12-10 | 2001-12-10 | ビニルアルコール系重合体フィルムの製造法および偏光フィルム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003170454A true JP2003170454A (ja) | 2003-06-17 |
Family
ID=19183680
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001375274A Pending JP2003170454A (ja) | 2001-12-10 | 2001-12-10 | ビニルアルコール系重合体フィルムの製造法および偏光フィルム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003170454A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013059994A (ja) * | 2011-09-15 | 2013-04-04 | Konica Minolta Advanced Layers Inc | 液晶表示装置用光学フィルムの製造方法 |
JP2017219767A (ja) * | 2016-06-09 | 2017-12-14 | コニカミノルタ株式会社 | 偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置 |
-
2001
- 2001-12-10 JP JP2001375274A patent/JP2003170454A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013059994A (ja) * | 2011-09-15 | 2013-04-04 | Konica Minolta Advanced Layers Inc | 液晶表示装置用光学フィルムの製造方法 |
JP2017219767A (ja) * | 2016-06-09 | 2017-12-14 | コニカミノルタ株式会社 | 偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置 |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050531 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20051018 |