JP2003170453A - ビニルアルコール系重合体フィルムおよび偏光フィルム - Google Patents

ビニルアルコール系重合体フィルムおよび偏光フィルム

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JP2003170453A
JP2003170453A JP2001375273A JP2001375273A JP2003170453A JP 2003170453 A JP2003170453 A JP 2003170453A JP 2001375273 A JP2001375273 A JP 2001375273A JP 2001375273 A JP2001375273 A JP 2001375273A JP 2003170453 A JP2003170453 A JP 2003170453A
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endless belt
pva
vinyl alcohol
roll
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JP2001375273A
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Shigeyuki Harita
滋行 榛田
Akira Shiraishi
旭 白石
Toru Saneto
徹 実藤
Takanori Isozaki
孝徳 磯▲ざき▼
Satoshi Fujita
聡 藤田
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 偏光フィルムの製造原料として有用で、エン
ドレスベルトの繋ぎ目に対応する部分のビニルアルコー
ル系重合体フィルムの局部的な厚さ斑が小さいビニルア
ルコール系重合体フィルムを提供する。 【解決手段】 ビニルアルコール系重合体を含有する製
膜原料を、エンドレスベルトの幅方向に細長いスリット
状開口部から二本以上のロール間に架け渡されたエンド
レスベルト上に流延または吐出させて製膜され、エンド
レスベルトの繋ぎ目付近に相当する部分のビニルアルコ
ール系重合体フィルムの厚み斑が15μm以下であるビ
ニルアルコール系重合体フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色斑の少ない偏光
フィルムの製造原料として有用な、エンドレスベルトの
繋ぎ目に対応する部分のビニルアルコール系重合体フィ
ルムの局部的な厚さ均一性に優れたビニルアルコール系
重合体フィルム、およびそれを用いて作製した偏光フィ
ルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】光の透過および遮蔽機能を有する偏光板
は、光のスイッチング機能を有する液晶とともに、液晶
ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。こ
のLCDの適用分野も、開発初期の頃の電卓および腕時
計等の小型機器から、近年ではラップトップパソコン、
ワープロ、液晶カラープロジェクター、車載用ナビゲー
ションシステム、液晶テレビ等の広範囲に広がり、従来
以上に光学特性の均一性に優れた偏光板が求められてい
る。
【0003】一般に偏光板は、ビニルアルコール系重合
体フィルム(以下、これを「PVAフィルム」と略記
し、また、これの原料であるビニルアルコール系重合体
を「PVA」と略記することがある)を一軸延伸し、染
色することにより製造した偏光フィルムの両面に、三酢
酸セルロース(TAC)フィルムや酢酸・酪酸セルロー
ス(CAB)フィルムなどの保護フィルムを貼り合わせ
た構成をしている。
【0004】ドラム製膜機を用いるPVAフィルムの製
造においては、ドラム製膜機の表面の温度変化が小さい
ので、繋ぎ目に起因する支障はないが、ロールの製造装
置や輸送環境による制約から、直径4m以上のドラム製
膜機を得ることは困難である。よって、ドラム製膜機を
用いるPVAフィルムの製造では乾燥長を極端に長くす
ることはできず、製膜速度を遅くするなどの方法で対応
していた。一方、エンドレスベルトを用いるPVAフィ
ルムの製造では、長尺のエンドレスベルトの入手が容易
であり、乾燥時間を長くしても製膜速度を遅くする必要
がないという利点がある。しかし、エンドレスベルトを
用いるPVAフィルムの製造は、エンドレスベルトの温
度変化が大きいため、繋ぎ目に相当する部分のフィルム
に局部的な厚み斑が発生するという問題を抱えていた。
【0005】特開平5−337967号公報や特開平5
−305642号公報には、乾燥室に仕切壁を設置し
て、エンドレスベルト上のPVAフイルムに吹き付ける
熱風の温度を変化させるPVAフィルムの製造法が開示
されている。しかしながら、製膜原料をエンドレスベル
ト上に流延または吐出させる位置のエンドレスベルトの
裏側がロールと接触しており、エンドレスベルトがロー
ルと接触する位置から製膜原料が流延または吐出される
位置までのロールとの接触長を1.5m以上にすること
で、エンドレスベルトの繋ぎ目に対応する部分のPVA
フィルムの局部的な厚さ均一性が改善されることに関す
る開示はない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】偏光板の偏光性能を均
一化させるためには、PVAフィルムを均一に延伸する
こと、ムラなく貼り合わせることなど多くの注意点があ
るが、重要な点は偏光フィルムの素材となるPVAフィ
ルムの厚さを均一にすることである。PVAフィルムの
厚さが不均一な場合には、得られる偏光板の偏光性能を
均一化させることが困難である。
【0007】そこで本発明の目的は、厚さが均一なPV
Aフィルムを得ることができ、特に偏光フィルム用PV
Aフィルムの製造法として有用で、偏光性能が均一な偏
光フィルムとなりうるPVAフィルムを提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明にかかるPVAフィルムは、ビニルアルコー
ル系重合体を含有する製膜原料を、スリット状開口部か
ら二本以上のロール間に架け渡されたエンドレスベルト
上に流延または吐出させて製膜され、エンドレスベルト
の繋ぎ目付近に相当する部分のビニルアルコール系重合
体フィルムの厚み斑が15μm以下であることを特徴と
する。このPVAフィルムを用いて偏光フィルムが得ら
れる。
【0009】このPVAフィルムの製造において、製膜
原料をエンドレスベルト上に流延または吐出させる位置
のエンドレスベルトの裏面はロールと接触しており、エ
ンドレスベルトがロールと接触する位置から製膜原料が
流延または吐出される位置までのロールとの接触長は
1.5m以上に設定されている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。図1は、本発明の製造法に用いる
PVAフィルムのベルト製膜装置の一例として、含水P
VA(有機溶剤を含んでいても良い。以下同じ)を溶融
して押し出す溶融押出製膜機を示している。この製膜機
は、エンドレスベルトの幅方向に細長いスリット状開口
部から定量の製膜原料(溶融PVA)2を定速で移動す
るエンドレスベルト4上に位置1で接触させている。こ
のエンドレスベルト4の一部を通過させて、PVAフィ
ルムを乾燥させる。この時、エンドレスベルト4全体を
囲むように設置された乾燥室10は隔壁8により分割さ
れている。この後、このPVAフィルム6は、図示しな
いフローティングドライヤーや乾燥用金属ロールや検査
機などを通過してワインダーに巻き取られる。
【0011】以上の製膜機において、本発明では、製膜
原料2をエンドレスベルト4上に流延または吐出させる
位置1のエンドレスベルト4の裏側がロール3と接触し
ていることが重要である。製膜原料2がエンドレスベル
ト4と接触する位置1のエンドレスベルト4の裏側がロ
ール3と接触していない場合には、得られるPVAフィ
ルムの表面平滑性が悪化する。
【0012】また、本発明において、エンドレスベルト
4がロール3と接触する位置から、製膜原料2が流延ま
たは吐出される位置1までのロール3との接触長を1.
5m以上、より好ましくは2m以上、さらに好ましくは
2.5m以上に設定する。該接触長が1.5m未満であ
る場合には、エンドレスベルト4の繋ぎ目付近に相当す
る部分のPVAフィルムの局部的な厚み斑を小さくする
ことができない。
【0013】本発明のPVAフィルムは、エンドレスベ
ルト4の繋ぎ目付近に相当する部分の局部的な厚み斑が
15μm以下、より好ましくは10μm以下、特に好ま
しくは5μm以下とすることが重要である。エンドレス
ベルト4の繋ぎ目付近に相当する部分のPVAフィルム
の局部的な厚み斑が15μmを超える場合には、均一な
偏光性能の偏光フィルムが得られない。この厚み斑は、
アンリツ株式会社製フィルムシックネステスタKG60
1Aを用いて、エンドレスベルト4の繋ぎ目を跨ぐよう
に10cm長さの試料を、エンドレスベルト4の繋ぎ目
方向に25cm間隔で3点測定し、最大値と最小値の差
を算出することにより求めることができる。
【0014】前記エンドレスベルト4は、金属製が好ま
しく、特に鏡面仕上げされたステンレス鋼製のものが好
ましい。エンドレスベルト4の幅は、ロール3の幅と同
じであるかまたはより狭く、より好ましくは1cm狭
く、さらに好ましくは5cm狭い方が好ましい。エンド
レスベルト4の幅がロール3の幅より広い場合には、P
VAフィルムの幅方向の両端部付近の厚み斑が大きくな
る傾向がある。
【0015】ロール3の表面温度がエンドレスベルトが
ロール3と接触を開始する部分のエンドレスベルト4の
温度と同じか、温度差が30℃以下でロール3の表面温
度が高くなるように、ロール3はスチーム・熱媒・温水
・電気ヒーターなどにより、加熱されることが好まし
い。また、エンドレスベルト4を囲むように設置された
乾燥室10の分割された各部屋ごとに、温風9を吹き込
み、PVAフィルム周囲の空気や蒸気などを吸引するこ
とが好ましい。
【0016】本発明において用いることができるPVA
は、たとえば、ビニルエステル系モノマーを重合して得
られたポリビニルエステルのエステル基の一部またはす
べてを、けん化反応、加アルコール分解反応、エステル
交換反応などにより水酸基に変換することで製造され
る。またPVAを不飽和カルボン酸またはその誘導体、
不飽和スルホン酸またはその誘導体、オレフィンなどで
グラフト共重合した変性PVAや、ビニルエステル系モ
ノマーと不飽和カルボン酸またはその誘導体、不飽和ス
ルホン酸またはその誘導体、オレフィンなどで共重合し
た変性ポリビニルエステルをけん化することにより製造
される変性PVAや、未変性または変性PVAをアルデ
ヒド類で水酸基の一部を架橋したいわゆるポリビニルア
セタール樹脂などを挙げることができる。
【0017】前記のビニルエステル系モノマーとして
は、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪
酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニ
ル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸
ビニルなどが例示され、これらの1種または2種以上を
使用することができるが、酢酸ビニルが好ましい。
【0018】一方、変性PVAに使用されるコモノマー
は、主としてPVAの変性を目的に共重合させるもの
で、本発明の趣旨を損なわない範囲で使用される。この
ようなコモノマーとして、たとえば、オレフィン類、ア
クリル酸およびその誘導体、メタクリル酸およびその誘
導体、マレイン酸およびその誘導体、イタコン酸および
その誘導体、アクリルアミド誘導体、メタクリルアミド
誘導体、N−ビニルアミド類、ビニルエーテル類、ニト
リル類、ハロゲン化ビニル類、アリル化合物類、ビニル
シリル化合物類、酢酸イソプロペニルなどが挙げられ、
これらの1種または2種以上を使用することができる。
【0019】変性PVAを用いる場合は、変性量は15
モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましい。
またコモノマーとしては、炭素数2〜30のα−オレフ
ィンが好ましく、特にエチレンが好ましい。
【0020】PVAのけん化度は、得られる偏光フィル
ムの偏光性能と耐久性の点から95モル%以上が好まし
く、98モル%以上がより好ましく、99モル%以上が
さらに好ましく、特に99.5モル%以上が最も好まし
く、PVAフィルムの染色性の点からは99.99モル
%以下が好ましい。
【0021】前記けん化度とは、けん化反応などにより
ビニルアルコール単位に変換され得る単位の中で、実際
にビニルアルコール単位に変換されている単位の割合を
示したものである。なお、PVAのけん化度は、JIS
記載の方法により測定を行った。
【0022】PVAの重合度は、得られる偏光フィルム
の偏光性能と耐久性の点から1000以上が好ましく、
2500以上がより好ましく、特に3500以上が最も
好ましい。PVA重合度の上限は8000以下が好まし
く、6000以下がより好ましい。
【0023】前記PVAの重合度は、JIS K 67
26に準じて測定される。すなわちPVAを再けん化
し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度から
求められる。
【0024】以上のPVAを使用してPVAフィルムを
製造する方法として、図1の実施形態で示した含水PV
A(有機溶剤などを含んでいてもよい)を溶融して行う
溶融押出製膜法や、PVAを水などの溶剤に溶解したP
VA溶液を使用して流延させる流延製膜法を採用するこ
とができる。インフレ製膜法などの他の方法では、良好
な偏光フィルムが得られない。
【0025】PVAフィルムを製造する際に使用される
PVAを溶解する溶剤としては、たとえば、ジメチルス
ルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、グ
リセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ル、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ジエ
チレントリアミン、ジグリセリン、水などを挙げること
ができ、これらのうち1種または2種以上を使用するこ
とができる。これらのなかでも、ジメチルスルホキシ
ド、水、またはグリセリンと水の混合溶媒が好適に使用
される。
【0026】PVAフィルムを製造する際に使用される
PVA溶液または含水PVAのPVA濃度は、10重量
%〜70重量%が好適であり、10重量%〜60重量%
がより好適であり、13重量%〜55重量%がさらに好
適であり、15重量%〜50重量%が最も好適である。
このPVA溶液または含水PVAには、必要に応じて可
塑剤、界面活性剤、二色性染料などを含有させてもよ
い。
【0027】PVAフィルムを製造する際には、可塑剤
として多価アルコールを添加することが好ましい。この
多価アルコールとしては、たとえば、エチレングリコー
ル、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレング
リコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テ
トラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペ
ンタエリスリトール、ソルビトールアセテート、ソルビ
トールのエチレンオキシド付加物、グリセリンのエチレ
ンオキシド付加物などが挙げられ、これらのうち1種ま
たは2種以上を使用することができる。これらのなかで
も延伸性の向上効果から、ジグリセリンやエチレングリ
コールやグリセリンが好適に使用される。
【0028】多価アルコールの添加量としては、PVA
100重量部に対して30重量部以下が好ましく、3重
量部〜25重量部がより好ましく、5重量部〜20重量
部が最も好ましい。30重量部を超えると、PVAフィ
ルムが柔軟になりすぎて、取り扱い性が低下する場合が
ある。
【0029】PVAフィルムを製造する際には、界面活
性剤を添加することが好ましい。界面活性剤の種類とし
ては特に限定はないが、アニオン性またはノニオン性の
界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤として
は、カルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型が好
適である。ノニオン性界面活性剤としては、アルキルエ
ーテル型、アルキルエステル型、アルキルアミド型、ポ
リプロピレングリコールエーテル型、アルカノールアミ
ド型、アリルフェニルエーテル型が好適であり、これら
を1種または2種以上の組み合わせで使用することがで
きる。
【0030】界面活性剤の添加量としては、PVA10
0重量部に対して0.01重量部〜1重量部が好まし
く、0.02重量部〜0.5重量部がより好ましく、
0.05重量部〜0.3重量部が最も好ましい。0.0
1重量部未満では、延伸性向上や染色性向上の効果が現
れにくく、1重量部を超えると、PVAフィルム表面に
溶出してブロッキングの発生原因になり、取り扱い性が
低下する場合がある。
【0031】PVAフィルムの厚さは10μm〜150
μmであり、15μm〜100μmが好ましく、20μ
m〜80μmがさらに好ましい。PVAフィルムの厚さ
が10μm未満では延伸倍率を高くできず、得られる偏
光フィルムの偏光性能が低くなる。一方、PVAフィル
ムの厚さが150μmを超えても偏光性能の向上は見ら
れず経済的でないばかりでなく、延伸のための張力を大
きくする必要がある。
【0032】このようにして得られたPVAフィルム
は、幅方向の両端部を除去した後に、金属またはプラス
チックでできた筒状のコアに巻き取られ、防湿包装の
上、宙吊り状態で保管することが好ましい。
【0033】また、本発明のPVAフィルムから偏光フ
ィルムを製造するには、たとえばPVAフィルムを染
色、一軸延伸、固定処理、乾燥処理、さらに必要に応じ
て熱処理を行えばよく、染色、一軸延伸、固定処理の操
作順に特に制限はない。また、各操作を二回またはそれ
以上行ってもよい。
【0034】染色は、一軸延伸前、一軸延伸時、一軸延
伸後のいずれでも可能である。染色に用いる二色性染料
としては、ヨウ素−ヨウ化カリウム;ダイレクトブラッ
ク17、19、154;ダイレクトブラウン 44、1
06、195、210、223;ダイレクトレッド
2、23、28、31、37、39、79、81、24
0、242、247;ダイレクトブルー 1、15、2
2、78、90、98、151、168、202、23
6、249、270;ダイレクトバイオレット9、1
2、51、98;ダイレクトグリーン 1、85;ダイ
レクトイエロー8、12、44、86、87;ダイレク
トオレンジ 26、39、106、107などが挙げら
れ、1種または2種以上の混合物で使用できる。通常、
染色は、PVAフィルムを上記染料を含有する溶液中に
浸漬させることにより行うことが一般的であるが、PV
Aフィルムに塗工したり、PVAフィルムに混ぜて製膜
するなど、その処理条件や処理方法は特に制限されるも
のではない。
【0035】一軸延伸は、湿式延伸法または乾熱延伸法
が使用でき、温水中(前記染料を含有する溶液中や後記
固定処理浴中でもよい)または吸水後のPVAフィルム
を用いて空気中で行うことができる。延伸温度は特に限
定されないが、PVAフィルムを温水中で延伸(湿式延
伸)する場合は30℃〜90℃が、また乾熱延伸する場
合は50℃〜180℃が好適である。また一軸延伸の延
伸倍率(多段の一軸延伸の場合には合計の延伸倍率)
は、偏光性能の点から4倍以上が好ましく、4.5倍以
上がより好ましく、特に5倍以上が最も好ましい。延伸
倍率の上限は特に制限はないが、8倍以下であると均一
な延伸が得られやすいので好ましい。延伸後のフィルム
の厚さは、3μm〜75μmが好ましく、5μm〜50
μmがより好ましい。
【0036】PVAフィルムへの上記染料の吸着を強固
にすることを目的に、固定処理を行うことが多い。固定
処理に使用する処理浴には、通常、ホウ酸および/また
はホウ素化合物が添加される。また、必要に応じて処理
浴中にヨウ素化合物を添加してもよい。
【0037】前記PVAフィルムの乾燥処理(熱処理)
は、30℃〜150℃で行うのが好ましく、50℃〜1
50℃で行うのがより好ましい。
【0038】以上のようにして得られた本発明の偏光フ
ィルムは、通常、その両面または片面に、光学的に透明
で、かつ機械的強度を有した保護フィルムを貼り合わせ
て偏光板として使用される。保護フィルムとしては、脂
肪酸セルロース系フィルム、アクリル系フィルム、ポリ
エステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリ
カーボネート系フィルム、ポリエーテルエーテルケトン
系フィルム、ポリスルホン系フィルムなどが挙げられる
が、三酢酸セルロースフィルムが好ましい。該保護フィ
ルムには、紫外線吸収剤を配合してもよい。偏光フィル
ムと保護フィルムの接着力を上げるため、両フィルムま
たは片方のフィルムの貼り合わせる面にコロナ処理、火
炎処理などの表面処理を行うことが好ましい。また、貼
り合わせのための接着剤としては、PVA系、ウレタン
系、アクリル系の各接着剤などを挙げることができる
が、なかでもPVA系の接着剤が好適である。
【0039】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものでは
ない。 実施例1 図1に記載したベルト製膜機を用いた。この実施例1で
は、スリット状開口部から吐出された製膜原料2がエン
ドレスベルト4と接触する位置1の裏面が加熱ロール3
に接触するように設定されている。また、PVAフィル
ムが剥がされてから製膜原料が接触するまでの接触長が
2.5mに設定されている。
【0040】けん化度99.9モル%、重合度1750
のPVA100重量部に対し、グリセリン10重量部を
含有する、PVA濃度が15重量%の水溶液を金属ベル
トを用いて流延製膜し、乾燥した後にフローティングド
ライヤーで後乾燥させ、フィルムの幅方向両端部を除去
して厚さ75μmの偏光フィルム用PVAフィルムを得
た。当該PVAフィルムの表面は平滑であり、エンドレ
スベルトの繋ぎ目に対応する部分の局部的な厚さ斑は
1.8μmと良好であった。この時、加熱ロールの表面
温度は、エンドレスベルトよりも10℃高かった。
【0041】前記PVAフィルムを予備膨潤、染色、一
軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順に処理して偏光フ
ィルムを作成した。すなわち、前記PVAフィルムを3
0℃の水中に5分間浸漬させて予備膨潤し、ヨウ素濃度
0.4g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リッ
トルの35℃の水溶液中に3分間浸漬させた。続いて、
ホウ酸濃度4%の40℃の水溶液中で5.5倍に一軸延
伸を行い、ヨウ化カリウム濃度40g/リットル、ホウ
酸濃度40g/リットル、塩化亜鉛濃度10g/リット
ルの30℃の水溶液中に5分間浸漬させて固定処理を行
った。この後延伸フィルムを取り出し、定長下、40℃
で熱風乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行っ
た。
【0042】得られた偏光フィルムの厚さは22μmで
あり、色斑も無かった。得られた偏光フィルムのエンド
レスベルトの繋ぎ目に対応する部分の局部的な色斑もな
く良好であった。
【0043】実施例2 実施例1と同じ乾燥装置を用い、けん化度99.9モル
%、重合度4000のPVA100重量部と、グリセリ
ン10重量部と、水110重量部を、押出機で溶融混練
させ、エンドレスベルト上に溶融押出して、乾燥した後
にフローティングドライヤーで後乾燥させ、フィルムの
幅方向両端部を除去して厚さ75μmの偏光フィルム用
PVAフィルムを得た。当該PVAフィルムの表面は平
滑であり、厚さ斑も2.7μmと良好であった。
【0044】前記PVAフィルムを、延伸倍率を5.6
倍に変更した以外は、実施例1と同様に処理を行い、偏
光フィルムを得た。得られた偏光フィルムの厚さは22
μmであり、色斑も無かった。得られた偏光フィルムの
エンドレスベルトの繋ぎ目に対応する部分の局部的な色
斑もなく良好であった。
【0045】実施例3 実施例1において、ロールの表面温度を、エンドレスベ
ルトの温度より15℃低く設定し、PVAフィルムが剥
がされてから製膜原料が接触するまでのエンドレスベル
トとロールの接触長を1mとした以外は、実施例1と同
様に処理を行なった。得られたPVAフィルムのエンド
レスベルトに対応する部分の局部的な厚み斑は8μmで
あり、偏光フィルムにはわずかな色斑が観察されたが、
使用可能な上限程度であった。
【0046】比較例1 実施例1において、スリット状開口部の位置を図1の左
方向にずらして、製膜原料がエンドレスベルト上に流延
させる位置の裏面を加熱ロールに接触していない位置と
し、PVAフィルムが剥がされてから製膜原料が接触す
るまでのエンドレスベルトとロールの接触長を0.5m
とした以外は、実施例1と同様に処理を行い、PVAフ
ィルムを得た。エンドレスベルトの繋ぎ目に対応する部
分の局部的な厚み斑は18μmとなり、全体的な表面平
滑性も劣っていたので、以降の操作を取り止めた。
【0047】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、色斑の
少ない偏光フィルムの製造原料として有用な、エンドレ
スベルトの繋ぎ目に対応する部分のPVAフィルムの局
部的な厚さ斑の小さいPVAフィルム、およびそれを用
いて作製した偏光フィルムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のPVAフィルムを製造するときの一実
施形態を示すベルト製膜機の概略構成図である。
【符号の説明】
1…製膜原料がエンドレスベルトと接触する位置、2…
製膜原料、3…ロール、3,3′…一対のロール、4…
エンドレスベルト、5…剥がしロール、6…ビニルアル
コール系重合体フィルム、7…ロール回転方向、8…隔
壁、9…温風、10…全体を囲むように設置された乾燥
室。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 磯▲ざき▼ 孝徳 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 藤田 聡 愛媛県西条市朔日市892番地 株式会社ク ラレ内 Fターム(参考) 2H049 BA02 BA27 BB43 BC01 BC09 BC22 4F205 AA19 AC05 AG01 AH73 AR20 GA07 GC07 GF03 GF24 GN30

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニルアルコール系重合体を含有する製
    膜原料を、スリット状開口部から二本以上のロール間に
    架け渡されたエンドレスベルト上に流延または吐出させ
    て製膜され、エンドレスベルトの繋ぎ目付近に相当する
    部分のビニルアルコール系重合体フィルムの厚み斑が1
    5μm以下であるビニルアルコール系重合体フィルム。
  2. 【請求項2】 製膜原料をエンドレスベルト上に流延ま
    たは吐出させる位置のエンドレスベルトの裏面がロール
    と接触しており、エンドレスベルトがロールと接触する
    位置から製膜原料が流延または吐出される位置までのロ
    ールとの接触長が1.5m以上に設定されている請求項
    1に記載のビニルアルコール系重合体フィルム。
  3. 【請求項3】 光学用フィルムである請求項1または2
    に記載のビニルアルコール系重合体フィルム。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の光学用ビニルアルコー
    ル系重合体フィルムを用いて作製した偏光フィルム。
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