JP2003170450A - ビニルアルコール系重合体フィルムの製造法および偏光フィルム - Google Patents

ビニルアルコール系重合体フィルムの製造法および偏光フィルム

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JP2003170450A
JP2003170450A JP2001375270A JP2001375270A JP2003170450A JP 2003170450 A JP2003170450 A JP 2003170450A JP 2001375270 A JP2001375270 A JP 2001375270A JP 2001375270 A JP2001375270 A JP 2001375270A JP 2003170450 A JP2003170450 A JP 2003170450A
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film
drying chamber
endless belt
pva
vinyl alcohol
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JP2001375270A
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English (en)
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Shigeyuki Harita
滋行 榛田
Akira Shiraishi
旭 白石
Toru Saneto
徹 実藤
Takanori Isozaki
孝徳 磯▲ざき▼
Satoshi Fujita
聡 藤田
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水中に浸漬した場合のカールが少なく、均一
な延伸が可能で、偏光性能が均一な偏光フィルムとなり
うるビニルアルコール系重合体フィルムの製造法を提供
する。 【解決手段】 ビニルアルコール系重合体を含有する製
膜原料をエンドレスベルト上に流延または吐出させたの
ち乾燥させるビニルアルコール系重合体フィルムの製造
法において、エンドレスベルト全体を囲むように設置さ
れた乾燥室が隔壁により四室以上に分割され、製膜原料
をエンドレスベルト上に流延または吐出させる位置にあ
る乾燥室とフィルムがエンドレスベルトから剥離される
位置にある乾燥室を除き、130℃乃至180℃の温風
を送風する乾燥室と50℃乃至100℃の温風を送風す
る乾燥室が各一室以上あることを特徴とするビニルアル
コール系重合体フィルムの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏光フィルムの製
造原料として有用で、水中に浸漬したときにカールが発
生しにくいビニルアルコール系重合体フィルムの製造
法、およびそれを用いて作製した偏光フィルムに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】光の透過および遮蔽機能を有する偏光板
は、光のスイッチング機能を有する液晶とともに、液晶
ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。こ
のLCDの適用分野も、開発初期の頃の電卓および腕時
計等の小型機器から、近年ではラップトップパソコン、
ワープロ、液晶カラープロジェクター、車載用ナビゲー
ションシステム、液晶テレビ等の広範囲に広がり、従来
以上に光学特性の均一性に優れた偏光板が求められてい
る。
【0003】一般に偏光板は、ビニルアルコール系重合
体フィルム(以下、これを「PVAフィルム」と略記
し、また、これの原料であるビニルアルコール系重合体
を「PVA」と略記することがある)を一軸延伸し、染
色することにより製造した偏光フィルムの両面に、三酢
酸セルロース(TAC)フィルムや酢酸・酪酸セルロー
ス(CAB)フィルムなどの保護フィルムを貼り合わせ
た構成をしている。
【0004】特開平5−337967号公報や特開平5
−305642号公報には、乾燥室に仕切壁を設置し
て、エンドレスベルト上のPVAフイルムに吹き付ける
熱風の温度を変化させるPVAフィルムの製造法が開示
されている。しかしながら、これらの先行文献には、水
中に浸漬したときにカールが発生しにくいPVAフィル
ムを得るために、乾燥室に送風する温風の温度を特定す
ることに関する開示はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】偏光板の偏光性能を均
一化させるためには、PVAフィルムの厚さを均一にす
ること、ムラなく貼り合わせることなど多くの注意点が
あるが、重要な点はPVAフィルムを均一に延伸するこ
とである。PVAフィルムを均一に延伸できない場合に
は、得られる偏光板の偏光性能を均一化させることが困
難である。
【0006】そこで本発明の目的は、水中に浸漬した場
合のカールが少なく、均一な延伸が可能で、偏光性能が
均一な偏光フィルムとなりうるPVAフィルムの製造法
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明にかかるPVAフィルムの製造法は、PVA
を含有する製膜原料をエンドレスベルト上に流延または
吐出させたのち乾燥させるPVAフィルムの製造法にお
いて、エンドレスベルト全体を囲むように設置された乾
燥室が隔壁により四室以上に分割され、製膜原料をエン
ドレスベルト上に流延または吐出させる位置にある乾燥
室とフィルムがエンドレスベルトから剥離される位置に
ある乾燥室を除き、130℃乃至180℃の温風を送風
する乾燥室と50℃乃至100℃の温風を送風する乾燥
室が各一室以上あることとしている。
【0008】この時、製膜原料をエンドレスベルト上に
流延または吐出させる位置にある乾燥室とフィルムがエ
ンドレスベルトから剥離される位置にある乾燥室を除
き、隣接する乾燥室に送風する温風の温度差を80℃以
下であることが好ましい。この方法により、偏光フィル
ムの製造に好適なPVAフィルムが得られる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。図1は、本発明の製造法に用いる
PVAフィルムのベルト製膜装置の一例として、含水P
VA(有機溶剤を含んでいても良い。以下同じ)を溶融
して押し出す溶融押出製膜機を示している。この製膜機
は、エンドレスベルトの幅方向に細長いスリット状開口
部1から定量の製膜原料(溶融PVA)2を定速で移動
するエンドレスベルト4上に押し出し、このエンドレス
ベルト4の一部を通過させて、PVAフィルムを乾燥さ
せる。この時、エンドレスベルト4全体を囲むように設
置された乾燥室10を隔壁8により乾燥室11から乾燥
室22の12室に分割してある。この後、このPVAフ
ィルム6は、図示しないフローティングドライヤーや乾
燥用金属ロールや検査機などを通過してワインダーに巻
き取られる。
【0010】以上の製膜機において、本発明では、製膜
原料2をエンドレスベルト4上に流延または吐出させる
位置の乾燥室11とPVAフィルム6がエンドレスベル
ト4から剥離される位置の乾燥室22(乾燥室11と乾
燥室22の間に隔壁が無く、同一の乾燥室になっていて
も良い。以下同じ)を除き、130℃乃至180℃、よ
り好ましくは140℃乃至170℃の温風を送風する乾
燥室と、50℃乃至100℃、より好ましくは60℃乃
至80℃の温風を送風する乾燥室を各一室以上とするこ
とが重要である。180℃を超える温度の温風で乾燥し
た場合は、延伸性が悪化し、130℃未満の温度の温風
だけでは乾燥が遅くなり、大きな設備が必要となり経済
的でない。また、50℃乃至100℃の温風を送風する
乾燥室がない場合には、水中に浸漬したときにカールが
少ないPVAフィルムが得られない。なお、本発明にお
いては、隣接する分割された乾燥室に送風する温風9の
温度が同じ場合は、たとえ隔壁で幾つに分割されていて
も1つの乾燥室と見なす。
【0011】さらに、本発明において、乾燥室11と乾
燥室22を除いた隣接する乾燥室に送風する温風の温度
差は80℃以下であることが好ましく、50℃乃至70
℃であることがより好ましい。隣接する乾燥室の温風9
の温度差が80℃を超える場合には、得られるPVAフ
ィルムに皺が発生しやすい場合がある。
【0012】さらにまた、前記スリット状開口部1から
吐出された製膜原料2が定速で移動するエンドレスベル
ト4に接触する位置のエンドレスベルトの裏面が、ロー
ル3に接触していることが好ましい。裏面がロール3に
接触していない場合は、得られるPVAフィルム6の厚
み均一性が悪化する場合がある。
【0013】前記ロール3は、スチーム・熱媒・温水・
電気ヒーターなどにより加熱する。また、エンドレスベ
ルト4を囲むように設置された乾燥室10の分割された
各部屋ごとに、PVAフィルムの周囲の空気や蒸気など
を吸引することが好ましい。
【0014】前記エンドレスベルト4は、金属製が好ま
しく、特に鏡面仕上げされたステンレス鋼製のものが好
ましい。エンドレスベルト4の幅は、ロールの幅と同じ
であるかまたはこれよりも狭く、より好ましくは1cm
狭く、さらに好ましくは5cm狭い方が好ましい。エン
ドレスベルト4の幅がロールの幅より広い場合には、P
VAフィルムの幅方向の両端部付近の厚み斑が大きくな
る傾向がある。
【0015】前記PVAは、たとえば、ビニルエステル
系モノマーを重合して得られたポリビニルエステルのエ
ステル基の一部またはすべてを、けん化反応、加アルコ
ール分解反応、エステル交換反応などにより水酸基に変
換することで製造される。またPVAを不飽和カルボン
酸またはその誘導体、不飽和スルホン酸またはその誘導
体、オレフィンなどでグラフト共重合した変性PVA
や、ビニルエステル系モノマーと不飽和カルボン酸また
はその誘導体、不飽和スルホン酸またはその誘導体、オ
レフィンなどで共重合した変性ポリビニルエステルをけ
ん化することにより製造される変性PVAや、未変性ま
たは変性PVAをアルデヒド類で水酸基の一部を架橋し
たいわゆるポリビニルアセタール樹脂などを挙げること
ができる。
【0016】前記のビニルエステル系モノマーとして
は、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪
酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニ
ル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸
ビニルなどが例示され、これらの1種または2種以上を
使用することができるが、酢酸ビニルが好ましい。
【0017】一方、変性PVAに使用されるコモノマー
は、主としてPVAの変性を目的に共重合させるもの
で、本発明の趣旨を損なわない範囲で使用される。この
ようなコモノマーとして、たとえば、オレフィン類、ア
クリル酸およびその誘導体、メタクリル酸およびその誘
導体、マレイン酸およびその誘導体、イタコン酸および
その誘導体、アクリルアミド誘導体、メタクリルアミド
誘導体、N−ビニルアミド類、ビニルエーテル類、ニト
リル類、ハロゲン化ビニル類、アリル化合物類、ビニル
シリル化合物類、酢酸イソプロペニルなどが挙げられ、
これらの1種または2種以上を使用することができる。
【0018】変性PVAを用いる場合は、変性量は15
モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましい。
またコモノマーとしては、炭素数2〜30のα−オレフ
ィンが好ましく、特にエチレンが好ましい。
【0019】PVAのけん化度は、得られる偏光フィル
ムの偏光性能と耐久性の点から95モル%以上が好まし
く、98モル%以上がより好ましく、99モル%以上が
さらに好ましく、特に99.5モル%以上が最も好まし
く、PVAフィルムの染色性の点からは99.99モル
%以下が好ましい。
【0020】前記けん化度とは、けん化反応などにより
ビニルアルコール単位に変換され得る単位の中で、実際
にビニルアルコール単位に変換されている単位の割合を
示したものである。なお、PVAのけん化度は、JIS
記載の方法により測定を行った。
【0021】PVAの重合度は、得られる偏光フィルム
の偏光性能と耐久性の点から1000以上が好ましく、
2500以上がより好ましく、特に3500以上が最も
好ましい。PVA重合度の上限は8000以下が好まし
く、6000以下がより好ましい。
【0022】前記PVAの重合度は、JIS K 67
26に準じて測定される。すなわちPVAを再けん化
し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度から
求められる。
【0023】以上のPVAを使用してPVAフィルムを
製造する方法として、図1の実施形態で示した含水PV
A(有機溶剤などを含んでいてもよい)を溶融して行う
溶融押出製膜法や、PVAを水などの溶剤に溶解したP
VA溶液を使用して流延させる流延製膜法を採用するこ
とができる。インフレ製膜法などの他の方法では、良好
な偏光フィルムが得られない。
【0024】PVAフィルムを製造する際に使用される
PVAを溶解する溶剤としては、たとえば、ジメチルス
ルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、グ
リセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ル、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ジエ
チレントリアミン、ジグリセリン、水などを挙げること
ができ、これらのうち1種または2種以上を使用するこ
とができる。これらのなかでも、ジメチルスルホキシ
ド、水、またはグリセリンと水の混合溶媒が好適に使用
される。
【0025】PVAフィルムを製造する際に使用される
PVA溶液または含水PVAのPVA濃度は、10重量
%〜70重量%が好適であり、10重量%〜60重量%
がより好適であり、13重量%〜55重量%がさらに好
適であり、15重量%〜50重量%が最も好適である。
このPVA溶液または含水PVAには、必要に応じて可
塑剤、界面活性剤、二色性染料などを含有させてもよ
い。
【0026】PVAフィルムを製造する際には、可塑剤
として多価アルコールを添加することが好ましい。この
多価アルコールとしては、たとえば、エチレングリコー
ル、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレング
リコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テ
トラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペ
ンタエリスリトール、ソルビトールアセテート、ソルビ
トールのエチレンオキシド付加物、グリセリンのエチレ
ンオキシド付加物などが挙げられ、これらのうち1種ま
たは2種以上を使用することができる。これらのなかで
も延伸性の向上効果から、ジグリセリンやエチレングリ
コールやグリセリンが好適に使用される。
【0027】多価アルコールの添加量としては、PVA
100重量部に対して30重量部以下が好ましく、3重
量部〜25重量部がより好ましく、5重量部〜20重量
部が最も好ましい。30重量部を超えると、PVAフィ
ルムが柔軟になりすぎて、取り扱い性が低下する場合が
ある。
【0028】PVAフィルムを製造する際には、界面活
性剤を添加することが好ましい。界面活性剤の種類とし
ては特に限定はないが、アニオン性またはノニオン性の
界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤として
は、カルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型が好
適である。ノニオン性界面活性剤としては、アルキルエ
ーテル型、アルキルエステル型、アルキルアミド型、ポ
リプロピレングリコールエーテル型、アルカノールアミ
ド型、アリルフェニルエーテル型が好適であり、これら
を1種または2種以上の組み合わせで使用することがで
きる。
【0029】界面活性剤の添加量としては、PVA10
0重量部に対して0.01重量部〜1重量部が好まし
く、0.02重量部〜0.5重量部がより好ましく、
0.05重量部〜0.3重量部が最も好ましい。0.0
1重量部未満では、延伸性向上や染色性向上の効果が現
れにくく、1重量部を超えると、PVAフィルム表面に
溶出してブロッキングの発生原因になり、取り扱い性が
低下する場合がある。
【0030】本発明において、PVAフィルムを製膜す
る時に、図示したベルト製膜機で乾燥した後に、熱ロー
ルとフローティングドライヤーで後乾燥または熱処理を
行うことがより望ましい。
【0031】PVAフィルムの厚さは10μm〜150
μmであり、15μm〜100μmが好ましく、20μ
m〜80μmがさらに好ましい。PVAフィルムの厚さ
が10μm未満では延伸倍率を高くできず、得られる偏
光フィルムの偏光性能が低くなる。一方、PVAフィル
ムの厚さが150μmを超えても偏光性能の向上は見ら
れず経済的でないばかりでなく、延伸のための張力を大
きくする必要がある。
【0032】このようにして得られたPVAフィルム
は、フィルム幅方向の両端部を除去してから、金属また
はプラスチックでできた筒状のコアに巻き取られ、防湿
包装の上、宙吊り状態で保管することが好ましい。
【0033】本発明の方法によって得られるPVAフィ
ルムから偏光フィルムを製造するには、たとえばPVA
フィルムを染色、一軸延伸、固定処理、乾燥処理、さら
に必要に応じて熱処理を行えばよく、染色、一軸延伸、
固定処理の操作順に特に制限はない。また、各操作を二
回またはそれ以上行ってもよい。
【0034】染色は、一軸延伸前、一軸延伸時、一軸延
伸後のいずれでも可能である。染色に用いる二色性染料
としては、ヨウ素−ヨウ化カリウム;ダイレクトブラッ
ク17、19、154;ダイレクトブラウン 44、1
06、195、210、223;ダイレクトレッド
2、23、28、31、37、39、79、81、24
0、242、247;ダイレクトブルー 1、15、2
2、78、90、98、151、168、202、23
6、249、270;ダイレクトバイオレット9、1
2、51、98;ダイレクトグリーン 1、85;ダイ
レクトイエロー8、12、44、86、87;ダイレク
トオレンジ 26、39、106、107などが挙げら
れ、1種または2種以上の混合物で使用できる。通常、
染色は、PVAフィルムを上記染料を含有する溶液中に
浸漬させることにより行うことが一般的であるが、PV
Aフィルムに塗工したり、PVAフィルムに混ぜて製膜
するなど、その処理条件や処理方法は特に制限されるも
のではない。
【0035】一軸延伸は、湿式延伸法または乾熱延伸法
が使用でき、温水中(前記染料を含有する溶液中や後記
固定処理浴中でもよい)または吸水後のPVAフィルム
を用いて空気中で行うことができる。延伸温度は特に限
定されないが、PVAフィルムを温水中で延伸(湿式延
伸)する場合は30℃〜90℃が、また乾熱延伸する場
合は50℃〜180℃が好適である。また一軸延伸の延
伸倍率(多段の一軸延伸の場合には合計の延伸倍率)
は、偏光性能の点から4倍以上が好ましく、4.5倍以
上がより好ましく、特に5倍以上が最も好ましい。延伸
倍率の上限は特に制限はないが、8倍以下であると均一
な延伸が得られやすいので好ましい。延伸後のフィルム
の厚さは、3μm〜75μmが好ましく、5μm〜50
μmがより好ましい。
【0036】PVAフィルムへの上記染料の吸着を強固
にすることを目的に、固定処理を行うことが多い。固定
処理に使用する処理浴には、通常、ホウ酸および/また
はホウ素化合物が添加される。また、必要に応じて処理
浴中にヨウ素化合物を添加してもよい。
【0037】前記PVAフィルムの乾燥処理(熱処理)
は、30℃〜150℃で行うのが好ましく、50℃〜1
50℃で行うのがより好ましい。
【0038】以上のようにして得られた本発明の偏光フ
ィルムは、通常、その両面または片面に、光学的に透明
で、かつ機械的強度を有した保護フィルムを貼り合わせ
て偏光板として使用される。保護フィルムとしては、脂
肪酸セルロース系フィルム、アクリル系フィルム、ポリ
エステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリ
カーボネート系フィルム、ポリエーテルエーテルケトン
系フィルム、ポリスルホン系フィルムなどが挙げられる
が、三酢酸セルロースフィルムが好ましい。該保護フィ
ルムには、紫外線吸収剤を配合してもよい。偏光フィル
ムと保護フィルムの接着力を上げるため、両フィルムま
たは片方のフィルムの貼り合わせる面にコロナ処理、火
炎処理などの表面処理を行うことが好ましい。また、貼
り合わせのための接着剤としては、PVA系、ウレタン
系、アクリル系の各接着剤などを挙げることができる
が、なかでもPVA系の接着剤が好適である。
【0039】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものでは
ない。 実施例1 図1に記載した溶融押出製膜機を用いた。この実施例1
では、エンドレスベルト4を囲むように設置された乾燥
室10を乾燥室11から乾燥室22に分割してあり、各
乾燥室に送風する温風の温度は順に50℃、120℃、
150℃、140℃、90℃、70℃、100℃、16
0℃、150℃、130℃、100℃、50℃に設定し
た。また、製膜原料2がエンドレスベルトと接触する位
置の裏面はロール3と接触している。
【0040】けん化度99.9モル%、重合度2200
のPVA100重量部に対し、グリセリン12重量部を
含有する、PVA濃度が15重量%の水溶液をスリット
状開口部より金属製エンドレスベルトに流延製膜し、上
記条件で乾燥させ、フローティングドライヤーで後乾燥
させ、フィルムの幅方向両端部を除去して厚さ75μm
のPVAフィルムを得た。当該PVAフィルムの表面は
平滑であり、厚さ斑も見られなかった。
【0041】前記PVAフィルムを予備膨潤、染色、一
軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順に処理して偏光フ
ィルムを作製した。すなわち、前記PVAフィルムを3
0℃の水中に5分間浸漬させて予備膨潤し、ヨウ素濃度
0.4g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リッ
トルの35℃の水溶液中に3分間浸漬させた。続いて、
ホウ酸濃度4%の40℃の水溶液中で5.5倍に一軸延
伸を行い、ヨウ化カリウム濃度40g/リットル、ホウ
酸濃度40g/リットル、塩化亜鉛濃度10g/リット
ルの30℃の水溶液中に5分間浸漬させて固定処理を行
った。この後延伸フィルムを取り出し、定長下、40℃
で熱風乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行っ
た。
【0042】水中に浸漬した時にカールは見られず、均
一な延伸が可能であった。得られた偏光フィルムの厚み
は22μmであり、色斑は無かった。
【0043】実施例2 実施例1の装置で温風の温度を順に50℃、120℃、
150℃、160℃、70℃、60℃、100℃、16
0℃、140℃、120℃、90℃、50℃に設定し
た。
【0044】けん化度99.9モル%、重合度3500
のPVA100重量部と、グリセリン12重量部と、水
110重量部を、押出機で溶融混練させ、スリット状開
口部より金属製エンドレスベルトに流延製膜し、上記条
件で乾燥させ、フローティングドライヤーで後乾燥さ
せ、フィルムの幅方向両端部を除去して厚さ75μmの
PVAフィルムを得た。当該PVAフィルムには、細か
な皺が散見された。
【0045】前記PVAフィルムを、延伸倍率を5.6
倍に変更した以外は、実施例1と同様に処理を行い、偏
光フィルムを得た。水中に浸漬した時にカールは見られ
なかったが、延伸が短時間不安定になることがあった。
しかし、得られた偏光フィルムの厚みは22μmであ
り、色斑も問題とされる程度ではなかった。
【0046】比較例1 実施例1において、温風の温度を順に50℃、120
℃、150℃、140℃、110℃、130℃、180
℃、190℃、180℃、170℃、160℃、120
℃に設定したこと以外は、実施例1と同様に処理を行
い、偏光フィルムを得ようとしたが、延伸性が悪化し
て、きれいな偏光フィルムは得られなかった。
【0047】比較例2 実施例1において、乾燥室を3部屋とし、温風の温度を
順に50℃、170℃、50℃に設定したこと以外は、
実施例1と同様に処理を行い、偏光フィルムを得ようと
したが、水中に浸漬した時にカールが激しく、均一な延
伸が不可能であった。
【0048】比較例3 実施例1において、温風の温度を順に40℃、60℃、
65℃、60℃、50℃、55℃、50℃、55℃、5
0℃、60℃、50℃、30℃に設定したこと以外は、
実施例1と同様に処理を行い、偏光フィルムを得ようと
したが、乾燥が不十分で、きれいなPVAフィルムが得
られなかった。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、水中に浸漬した時にカ
ールが少なく、均一に延伸しやすいPVAフィルムを得
ることができる。また、このPVAフィルムを用いて偏
光性能が均一な偏光フィルムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のPVAフィルムを製造するときの一実
施形態を示すベルト製膜機の概略構成図である。
【符号の説明】
1…スリット状開口部、2…製膜原料、3,3′…一対
のロール、4…エンドレスベルト、5…剥がしロール、
6…ビニルアルコール系重合体フィルム、7…ロール回
転方向、8…隔壁、9…温風、10…全体を囲むように
設置された乾燥室、11〜22…分割された乾燥室、1
1…製膜原料がエンドレスベルト上に流延または吐出さ
せる位置の乾燥室、22…フィルムがエンドレスベルト
から剥離される位置の乾燥室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 29:00 B29K 29:00 B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 29:04 C08L 29:04 Z (72)発明者 磯▲ざき▼ 孝徳 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 藤田 聡 愛媛県西条市朔日市892番地 株式会社ク ラレ内 Fターム(参考) 2H049 BA02 BB43 BC03 BC09 BC22 2H091 FA08X FA08Z FB02 FB12 FB13 FC01 FC05 FC08 FC22 FD06 LA12 LA30 4F071 AA14X AA23X AA29 AA30X AA31X AA36X AA39X AF35 AG27 AG34 BA02 BB02 BC01 BC12 4F205 AA19 AC05 AG01 AH73 AR06 GA07 GC07 GF24 GN21 GN24

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニルアルコール系重合体を含有する製
    膜原料をエンドレスベルト上に流延または吐出させたの
    ち乾燥させるビニルアルコール系重合体フィルムの製造
    法において、エンドレスベルト全体を囲むように設置さ
    れた乾燥室が隔壁により四室以上に分割され、製膜原料
    をエンドレスベルト上に流延または吐出させる位置にあ
    る乾燥室とフィルムがエンドレスベルトから剥離される
    位置にある乾燥室を除き、130℃乃至180℃の温風
    を送風する乾燥室と50℃乃至100℃の温風を送風す
    る乾燥室が各一室以上あることを特徴とするビニルアル
    コール系重合体フィルムの製造法。
  2. 【請求項2】 製膜原料をエンドレスベルト上に流延ま
    たは吐出させる位置にある乾燥室とフィルムがエンドレ
    スベルトから剥離される位置にある乾燥室を除き、隣接
    する乾燥室に送風する温風の温度差が80℃以下である
    請求項1に記載のビニルアルコール系重合体フィルムの
    製造法。
  3. 【請求項3】 光学用フィルムである請求項1または2
    に記載のビニルアルコール系重合体フィルムの製造法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の製造法で得られた光学
    用フィルムを用いて作製した偏光フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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