【発明の詳細な説明】
細菌接着阻害剤としてのフコシル化グリコシド
発明の分野
本発明はヘリコバクターピロリによる胃腸の感染などの症状の治療または予防
のための医薬組成物の製造に使用されるL−フコース含有グリコシド誘導体、こ
れらの誘導体を使用してこのような症状を治療する方法、および新規なグリコシ
ド誘導体に関する。
発明の背景
ヘリコバクターピロリは胃の中に存在する微好気性のらせん形生物(もともと
カンピロバクター(Campylobacter)属に帰する)であり、一般に人間の胃粘膜
に排他的な生息地を有することがわかっている。この細菌は60才になるまで60%
以上の成人の胃粘膜に感染すると推定されている。さらに、H.ピロリは急性(
B型)胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎および胃の腺ガンを含む多くの
病理学的な症状に寄与する因子として関係がある。
細菌の組織向性はその特定の生息地における局所的な科学環境に適応する細菌
株の能力により部分的に支配される。その上、接着は例えば胃腸管の蠕動による
、新しい生息地からの移動を防止するためコロニー形成に必要な前提条件である
。哺乳動物において、細菌は上皮細胞の表面付近(粘膜)のタンパク質または複
合糖質(スフィンゴ糖脂質、糖タンパク質)に接着し、また幾つかの特定の細菌
接着タンパク質および接着炭水化物相互作用が文献に記載されている。
H.ピロリに関して、マウスの副腎Y−1細胞のようなモデル系における研究
(D.G.Evans,D.J.,Jr.EvansおよびD.Y.Grahamの
Infect.Immun.,57,2272〜2278(1989年)を参照)は、この細菌を取り囲む、
表面が会合した軟質の原線維構造が接着剤またはコロニー形成因子抗原として機
能してH.ピロリと細胞のシアル酸含有糖タンパク質受容体の結合を媒介するこ
とを示唆している。
発明の要約
本発明は治療、特に人間の胃粘膜のヘリコバクターピロリによる感染を含む症
状の人間の治療または予防におけるL−フコースから誘導された、下記で定義さ
れるような末端基Yを少なくとも1個有する単糖、二糖、三糖またはオリゴ糖グ
リコシド誘導体の使用に関し、前記誘導体は一般式Ia、Ib、Ic、Id、Ieま
たはIf
〔式中、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9、Z10、Z11、Z12、Z13、Z14、Z15
およびZ16は独立してO、S、CH2またはNR25であり、ここでR25は水素、C1〜24
−アルキル、C2〜24−アルケニル、C1〜24−アルキルカルボニル、または場合に
よりヒドロキシ、アミノ、C1〜4−アルキル、C1〜4−アルコキシ、ニトロ、ハロ
ゲン、フェノキシ、モノ−もしくはジ−ハロゲン−C1〜4−アルキルで置換され
たベンゾイルであり;
Y、A、B、C、DおよびEにおける波線はα−またはβ−配置の結合を表わ
し;
R1、R2およびR3はそれぞれ独立してH、ハロゲン、アジド、グアニジニル、場
合によりヒドロキシ、アミノ、ハロゲンまたはオキソで置換された分枝状または
非分枝状のC1〜24−アルキル、C2〜24−アルケニル、C2〜24−アルキニル、C3〜 8
−シクロアルキル、C3〜8−シ
クロアルキル−C1〜24−アルキルまたはC1〜12−アルコキシ−C1〜12−アルキル
基;場合によりアリール部分がヒドロキシ、アミノ、C1〜4−アルキル、C1〜4−
アルコキシ、ニトロ、ハロゲン、フェノキシ、またはモノ−もしくはジ−ハロゲ
ン−C1〜4−アルキルで置換されたアリールまたはアリール−C1〜4−アルキル;
トリ(C1〜4−アルキル)シリルエチル;オキソ;=CR4R5基(ここで、R4およびR5
は独立してHまたはC1〜4−アルキルである);あるいはXR10基であり、ここで
XはO、S、NR20または=N-であり、R10はH、場合によりヒドロキシ、アミノ、
ハロゲンまたはオキソで置換された分枝状または非分枝状のC1〜24−アルキル、
C2〜24−アルケニル、C2〜24−アルキニル、C3〜8−シクロアルキル、C3〜8−シ
クロアルキル−C1〜24−アルキルまたはC1〜12−アルコキシ−C1〜12−アルキル
基;場合によりアリールまたはヘテロシクリル部分がヒドロキシ、アミノ、C1〜 4
−アルキル、C1〜4−アルコキシ、ニトロ、ハロゲン、フェノキシ、またはモノ
−もしくはジ−ハロゲン−C1〜4−アルキルで置換されたアリール、アリール−C1〜4
−アルキルまたはヘテロシクリル−C1〜4−アルキル;トリ(C1〜4−アルキ
ル)シリルエチル;トリ(C1〜4−アルキル)シリル;トリ(C1〜4−アルキル)
シリルエトキシメチル;天然に存在するアミノ酸のアシル残基;C1〜24−アルキ
ルカルボニル:C2〜24−アルケニルカルボニル;C3〜8−シクロアルキル−C1〜2 4
−アルキルカルボニル;アリールカルボニル;またはテルペニルであり、そし
てR20はH、C1〜24−アルキル、C2〜24−アルケニル、C1〜24−アルキルカルボ
ニル、または場合によりベンゼン環がヒドロキシ、アミノ、C1〜4−アルキル、C1〜4
−アルコキシ、ニトロ、ハロゲン、フェノキシまたはモノ−もしくはジ−ハ
ロゲン−C1〜4−
アルキルで置換されたベンゾイルまたはフタロイルであり;R1A、R2A、R3A、R4A
、R1B、R2B、R3B、R4B、R1C、R2C、R3C、R4C、R1D、R2D、R3D、R4D、R1E、R2E、
R3E、およびR4Eはそれぞれ独立して上記のR1、R2およびR3について定義された通
りであるか、または式VII
YZ1 (VII)
(式中、YおよびZ1は上記で定義された通りである)
の基であるが、但しR1B、R2B、R3BまたはR4Bのうち1つはZ3、Z5、Z8、またはZ1 2
であり、R1C、R2C、R3CまたはR4Cのうち1つはZ6、Z9またはZ13であり、R1D、R2D
、R3DまたはR4Dのうち1つはZ10またはZ14であり、R1E、R2E、R3E、またはR4E
のうち1つはZ15であり、R1A、R2A、R3A、R4A、R1B、R2B、R3B、R4B、R1C、R2C
、R3C、R4C、R1D、R2D、R3D、R4、R1E、R2E、R3EおよびR4Eのうち少なくとも1
つ、多くて5つは式VIIの基であり、そしてAの置換基R1A、R2A、R3AおよびR4AC
H2の配置、Bの置換基R1B、R2B、R3BおよびR4BCH2の配置、Cの置換基R1C、R2C
、R3CおよびR4CCH2の配置、Dの置換基R1D、R2D、R3DおよびR4DCH2の配置、Eの
置換基R1E、R2E、R3EおよびR4ECH2の配置は独立してD−グルコ、L−グルコ、
D−ガラクト、L−ガラクト、D−マンノ、L−マンノ、D−タロ、L−タロ、
D−アロ、L−アロ、D−アルトロ、L−アルトロ、D−グロ、L−グロ、D−
イドまたはL−イドであり;
Rは場合によりヒドロキシ、アミノ、ハロゲンまたはオキソで置換された分枝
状または非分枝状のC1〜24−アルキル、C2〜24−アルケニル、C2〜24−アルキニ
ル、C3〜8−シクロアルキル、C3〜8−シクロアルキル−C1〜24−アルキル、C1〜 12
−アルコキシ−C1〜12−アルキル、C1〜24−アルキルカルボニル、C2〜24−ア
ルケニルカルボニルま
たはC3〜8−シクロアルキル−C1〜24−アルキルカルボニル基;場合によりアリ
ール部分がヒドロキシ、アミノ、C1〜4−アルキル、C1〜4−アルコキシ、ニトロ
、ハロゲン、フェノキシ、またはモノ−もしくはジ−ハロゲン−C1〜4−アルキ
ルで置換されたアリール、アリール−C1〜4−アルキル、アリールカルボニルま
たはアリール−C1〜4−アルキルカルボニル基;テルペニル;トリ(C1〜4−アル
キル)シリルエチル;ヘテロシクリル;ヘテロシクリル−C1〜4−アルキル;ヘ
テロシクリル−C1〜4−アルキルカルボニル;式IIまたはIIa
R30-(CH2)q-S(O)m-CH2CH2- (II)
〔R30-(CH2)q-S(O)m-CH2〕2CH-CH2- (IIa)
(式中、R30はH、カルボキシ、C1〜4−アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、ア
ミノまたはマトリックスMAであり、qは1〜24の整数であり、そしてmは0また
は2である)の基;式IIIまたはIIIa
Phe-S(O)m-CH2CH2- (III)
〔Phe-S(O)m-CH2〕2CH-CH2- (IIIa)
(式中、mは上記で定義された通りであり、そしてPheはそれぞれ場合によりヒ
ドロキシ、アミノ、C1〜4−アルキル、C1〜4−アルコキシ、ニトロ、ハロゲン、
フェノキシ、またはモノ−もしくはジ−ハロゲン−C1〜4−アルキルで置換され
たフェニル;あるいは場合によりフェニル部分がヒドロキシ、アミノ、C1〜4−
アルキル、C1〜4−アルコキシ、ニトロ、ハロゲン、フェノキシ、またはモノ−
もしくはジ−ハロゲン−C1〜4−アルキルでモノ置換されたフェニル−C1〜4−ア
ルキルである)の基;式VI
R40CH2CH(CH2R50)CH2- (IV)
(式中、R40およびR50は独立してハロゲンである)の基;あるいは
Q−(スペーサー)r−基(ここで、rは0または1の整数であり、そしてQは
マトリックスMAまたは-COO-MA基である)である〕の化合物である。本発明の別
の局面は上記の症状に対して使用される医薬組成物の製造における前記化合物の
使用に関する。
発明の詳述
本明細書において、個々の基または基の一部としての「C1〜4−アルキル」、
「C1〜8−アルキル」および「C1〜24−アルキル」なる用語は1〜4、1〜8ま
たは1〜24個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状のアルキル基、例えばメチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ジメ
チルブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウン
デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどを表わす。
本明細書では、「C1〜24−アルキル」の定義は炭素鎖で使用されるが、より少
ない数の炭素原子の炭素鎖もまた「C1〜8−アルキル」または「C1〜4−アルキル
」として可能である。本明細書では、置換基が定義される時、「C1〜4−アルキ
ル」なる用語が使用される。
基または基の一部としての「C3〜8−シクロアルキル」なる用語は3〜8個の
炭素原子を有する環状アルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シク
ロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルを表わす。
「C2〜24−アルケニル」なる用語は2〜24個の炭素原子を有し、炭素鎖のどこ
かに2重結合が存在する直鎖状または分枝状、好ましくは直鎖状の不飽和アルキ
ル基、例えばビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、ヘキセニル、デセニル
、ヘキサデセニル、オクタデセニルを表わす。「C2〜24−アルキニル」なる用語
は2〜24個の炭素
原子を有し、3重結合を含むアルキル基、例えばエチニル、1−プロピニル、2
−プロピニル、2−ブチニルなどを表わす。「ハロゲン」なる用語はCl、Br、I
およびF、好ましくはFおよびClを表わす。「C1〜4−アルコキシ」および「C1 〜24
−アルコキシ」なる用語は上記で定義されたようなアルキル基で置換された
オキサ可能基からなる基を表わす。
個々の基または基の一部としての「アリール」および「アリールオキシ」なる
用語はフェニルまたはナフチル、好ましくはフェニルを表わす。
「アリール−アミド」なる用語はアリール−NH-C(O)-、例えばアニリド、また
はアリール−C(O)-NH-、例えばベンズアミドを表わす。
「テルペニル部分」なる用語は一般にテルペンとして知られている様々な不飽
和炭化水素化合物の幾つかから誘導された基、すなわちモノテルペン、セスキテ
ルペン、およびこれらのヒドロキシまたはオキソ誘導体を表わす。このような基
の例はミルセニル、(−)−リモネニル、テルピネロイル、(+)−α−ピネニル、
ゲラニオリル、(−)−メントリル、(−)−カンフォリル、ファルネソリル、β−
ユーデスモリルおよびマヌーリルである。
本明細書において、「オリゴ糖」なる用語は4〜10個の単糖単位、好ましくは
4〜7個の単糖単位を含有するオリゴ糖を表わし、単糖単位はアルドヘキソース
(すなわち、D−グルコース、L−グルコース、D−ガラクトース、L−ガラク
トース、D−マンノース、L−マンノース、D−タロース、L−タロース、D−
アロース、L−アロース、D−アルトロース、L−アルトロース、D−グロース
、
L−グロース、D−イドースまたはL−イドース)またはこれらの誘導体から選
択される。ここで、オリゴ糖は直鎖状または分枝状であるが、オリゴ糖の最長の
炭素鎖に存在する単糖単位は7個以下である。
上記したように、Y、A、B、C、DおよびE基の環酸素原子に隣接する炭素
原子上の波線は、グリコシド結合である問題の結合がα−またはβ−配置を有す
ることを表わす。特定の基Y、A、B、C、DおよびEにおける問題の結合がそ
れぞれ、他の基の対応する結合とは関係なくα−またはβ−配置を有することは
明らかである。
モノ−またはジ−ハロゲン−C1〜4−アルキル基はどの位置で置換されていて
もよく、また2個のハロゲン原子で置換されている場合、そのハロゲン原子は同
一でも、異なっていてもよい。
「ヘテロシクリル」なる用語は環あたり1〜4個のヘテロ原子を含有する、単
環式で5−または6−員の、あるいは縮合された二環式(それぞれの環は5−ま
たは6−員である)の、芳香族または部分もしくは完全飽和複素環基を表わし、
ヘテロ原子は独立してO、SおよびNから選択され、炭素原子または窒素原子を
介して結合される。このような基の典型的な例はピロリル、ピラゾリル、ピリジ
ニル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル
、イソチアゾリル、フリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、2H−1,
3−オキサジニル、4H−1,3−オキサジニル、6H−1,3−オキサジニル、2H−1,3−
チアジニル、4H−1,3−チアジニル、6H−1,3−チアジニル、1H−1,2,3−トリア
ゾリル、2H−1,2,3−トリアゾリル、1H−1,2,4−トリアゾリル、4H−1,2,4−ト
リアゾリル、インドリル、プリニル、ピペリジルまたはピペリジノ、モルホリニ
ルまたはモルホリノ、ピペラジニル、テトラヒドロフリル、チアゾリジニル、オ
キサゾリジニル、イミダゾリジニル、イソキサゾリジニル、イソチアゾリジニル
、ピロリジニル、1H−テトラゾリル、または2H−テトラゾリルであるが、これら
に限定されない。
「天然に存在するアミノ酸のアシル残基」なる用語は天然のタンパク質に存在
するL−アミノ酸のアシル残基、例えばアラニル、バリル、ロイシル、イソロイ
シル、プロリニル、フェニルアラニル、トリプトファニル、メチオニル、グリシ
ル、セリル、トレオニル、システィニル、チロシル、アスパラギル、グルタミル
、リシル、アルギニル、ヒスチジル;アスパラギン酸およびグルタミン酸のアシ
ル残基を表わし、アシル残基はアミノ官能基の隣りのカルボキシ基およびそれぞ
れの側鎖の末端のカルボキシ基の両方を意味するが、好ましくはアミノ官能基の
隣りのカルボキシ基である。
「スフィンゴイド」なる用語はD−エリトロ−2−アミノ−1,3−オクタデカ
ンジオール、その同族体および立体異性体、並びにそのヒドロキシおよび不飽和
誘導体、例えばセラミドを意味する(Journ.of Lipid Research,第19巻、617〜6
31(1978年)における定義を参照)。
「ステロイド」なる用語はコレステロール、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、
コルチコステロン、ベータメタゾン、プレドニソロン、プレドニソンなどのよう
なよく知られているステロイドを意味する。
本明細書で使用され、「MA」として表わされる「マトリックス」
なる用語はそれに式Ia、Ib、Ic、Id、IeまたはIfのO−、S−、C−また
はN−グリコシド化合物のアグリコン部分が共有結合的に、または例えば疎水性
相互作用により結合される有機または無機の、ポリマーまたは高分子構造を表わ
す。このようなマトリックスの例はタンパク質の残基、糖タンパク質、ポリペプ
チド、多糖、リポソーム、エマルジョン、可塑性ポリマーおよび無機材料である
。タンパク質の残基は好ましくはタンパク質の求核性基、例えばアミノ、ヒドロ
キシルおよびメルカプト基のような基を通して結合される。タンパク質またはポ
リペプチドそれら自体は多種多様の物質、特に生物学的に適合しうるタンパク質
、例えばグロブリン;アルブミン、例えばヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清
アルブミン(BSA)またはヒツジ血清アルブミン(SSA)、オボアルブミン;フィブリ
ン、または「鍵−穴」のカサガイヘモシアニン(KLH);糖タンパク質、例えばウ
シまたはヒトの全カゼインまたはレクチンなどであってよい。このようなマトリ
ックスの他の例は1個または数個のアミノ酸が所定の大きさのポリマーに結合さ
れる合成ポリマー、例えばポリリシンまたはオリゴリシンである。種々のタンパ
ク質またはポリペプチドにおいて、R基の残部との結合はアミノ基またはカルボ
キシル基を通した結合であってよい。
それにO−、S−、C−またはN−グリコシド化合物が結合される多糖は多種
多様の多糖であってよい。式Ia、Ib、Ic、Id、IeまたはIfの化合物のアグ
リコン部分はセルロース、セファロース、スターチまたはグリコーゲンのような
普通の多糖のヒドロキシル基を通して、キトサンまたはアミノ化セファロースの
ようなアミノ糖のアミノ基を通して、またチオ修飾多糖のメルカプト基を通し
て結合されうる。
リポソームはその中に様々な薬剤を封入することのできる、すなわち疎水性薬
剤を脂質二重層中に、そして親水性薬剤を内部の水性区域に封入することのでき
る、水性の区分を取り囲む1つまたは幾つかの二重層からなる生体適合性で生物
分解性の微小胞系であってよい。リポソームの物理化学的性質は主として脂質の
組成に依存する。
リポソームは卵黄リン脂質、大豆リン脂質のようなリン脂質;合成ホスファチ
ジルコリン、例えばジミリトイルホスファチジルコリン(DMPC)および/または
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、または植物由来の精製ホスファチ
ジルコリン;あるいは他の脂質、例えばガラクト脂質、スフィンゴ脂質またはス
フィンゴ糖脂質で構成される。
エマルジョンは2種以上の不混和性液体からなる不均一混合物である。これら
の系を安定化するため、乳化剤が加えられる。乳化剤は不混和性液体の界面で配
向され、通常は1つの相だけが液滴形態を維持する。
エマルジョンは一般に2つの種類に分類される。有機液体の小滴が連続水相中
に分散した不均一系は水中油形(o/w)エマルジョンと呼ばれる。また、水の小
滴が連続油相中に分散した不均一系は油中水形(w/o)エマルジョンと呼ばれる
。
植物油、例えば大豆油、べにばな油、ゴマ油、落花生油、綿実油、ルリヂサ油
、ヒマワリ油、コーン油、オリーブ油、中鎖トリグリセリド(例えばミグリオー
ル(登録商標))またはアセチル化モノグリセリドは内部または連続相として使用
されうる。
それに式Ia、Ib、Ic、Id、IeまたはIfの化合物のアグリコン部分が結合
されうるプラスチックの例はアミノ化ラテックス、チオール化、アミノ化または
ヒドロキシル化ポリスチレン、ポリアクリルアミドおよびポリビニルアルコール
である。他の考えられる担体は炭水化物由来の、または炭水化物がセファクリル
のような他のポリマー材料と組み合わせて使用されるポリマーのビーズおよびゲ
ルである。これらのゲルはさらにアミノ、チオール、シアノ、活性エステルおよ
びジスルフィドのような基で置換される。問題のプラスチックは例えばビーズま
たはフィルムの形態である。
それに式Ia、Ib、Ic、Id、IeまたはIfの化合物のアグリコン部分が結合
されうる無機材料の例はシリカゲル、ゼオライト、ケイ藻土のような酸化ケイ素
材料、あるいは様々なガラスまたはシリカゲルガラス、例えばチオール化または
アミノ化ガラスの表面であり、シリカゲルまたはガラスは例えばビーズの形態で
ある。無機材料の他の例は酸化アルミニウムである。
特に好ましいマトリックスMAはヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブ
ミン(BSA)およびポリアクリルアミド(PAA)である。
本発明の興味ある態様は、式Ia、Ib、Ic、Id、IeまたはIfの化合物がマ
トリックスMAを含む場合、そのマトリックスは多数の(すなわち、マトリックス
がBSAまたはHSAのようなタンパク質である場合、2以上、例えば2〜100、ある
いはマトリックスがポリアクリルアミドのようなポリマーである場合、10〜10,0
00)式Ia、Ib、Ic、Id、IeまたはIfの部分を組み込む。このような部分が
幾つか存在することは細菌に対するその多価作用により全化合物の阻害作用を実
質的に高めると考えられる。また、式Ia、Ib、
Ic、Id、IeおよびIfの部分が幾つか存在することは細菌の凝集さえもたらす
ことができる。
式Ia、Ib、Ic、Id、IeおよびIfの定義に関して、Aの置換基R1A、R2A、
R3AおよびR4ACH2、Bの置換基R1B、R2B、R3BおよびR4BCH2、Cの置換基R1C、R2C
、R3CおよびR4CCH2、Dの置換基R1D、R2D、R3DおよびR4DCH2、そしてEの置換基
R1E、R2E、R3EおよびR4ECH2が独立してD−グルコ、L−グルコ、D−ガラクト
、L−ガラクト、D−マンノ、L−マンノ、D−タロ、L−タロ、D−アロ、L
−アロ、D−アルトロ、L−アルトロ、D−グロ、L−グロ、D−イドまたはL
−イドである場合、これは環状の基A、B、C、DおよびEの様々なR−基また
はR−基を含有する基がとりうる立体科学置換配置はそれぞれD−グルコース、
L−グルコース、D−ガラクトース、L−ガラクトース、D−マンノース、L−
マンノース、D−タロース、L−タロース、D−アロース、L−アロース、D−
アルトロース、L−アルトロース、D−グロース、L−グロース、D−イドース
またはL−イドースの2−、3−および4−ヒドロキシ基と5−ヒドロキシメチ
ル基が形成する立体化学配置に対応することを意味する。
Y基のR1、R2、R3およびCH3基はL−ガラクト−ピラノシル単位を与えるよう
な配置をとり、そのためY基はL−フコース単位またはその誘導体であることは
明らかである。
式Ia、Ib、Ic、Id、IeまたはIfの化合物において、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5
、Z6、Z7、Z8、Z9、Z10、Z11、Z12、Z13、Z14、Z15およびZ16はOであることが
好ましい。
R1A、R2A、R3A、R4A、R1B、R2B、R3B、R4B、R1C、R2C、R3C、R4C、
R1D、R2D、R3D、R4D、R1E、R2E、R3EまたはR4Eのうち多くて4個、より好ましく
は多くて3個、特に1または2個は式VIIの基であることもまた好ましい。
R1Aはα−配置の基VIIであることもまた好ましい。
AのR1A、R2A、R3AおよびR4ACH2の配置はD−ガラクトであり、Aはβ−配置
であることもまた好ましい。
特に好ましい化合物はR1Aがα−配置の基VIIであり、AのR1A、R2A、R3Aおよ
びR4ACH2の配置がD−ガラクトであり、Aはβ−配置であり、特にAがFucα1−
2Galβである化合物である。
R2BはZ3、Z5、Z8またはZ12であり、BのR1B、R2B、R3BおよびR4BCH2の配置は
D−グルコであり、Bはβ−配置であることもまた好ましい。
R1Bはアセトアミド基であることもまた好ましい。
特に好ましい化合物はR1Aがα−配置の基VIIであり;AのR1A、R2A、R3Aおよ
びR4ACH2の配置がD−ガラクトであり、Aがβ−配置であり;R2BがZ3、Z5、Z8
またはZ12であり;そしてBのR1B、R2B、R3BおよびR4BCH2の配置がD−グルコで
あり、Bがβ−配置であり、R1Bがアセトアミド基である化合物である。
特に興味深いのは、A-Z3-BがFucα1-2Galβ1-3GlcNAcβまたはFucα1-2Galβ1
-3(Fucα1-4)GlcNAcβである化合物、A-Z5-B-Z6-CがFucα1-2Galβ1-3GlcNAcβ1
-3GalβまたはFucα1-2Galβ1-3(Fucα1-4)GlcNAcβ1-3Galβである化合物、A-Z8
-B-Z9-C-Z10-DがGalNAcα1-3(Fucα1-2)Galβ1-3(Fucα1-4)GlcNAcβ1-3Galβ
またはFucα1-2Galβ1-3(Fucα1-4)GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβである化合物、お
よびA-Z12-B-Z13-C-Z14-D-Z15-EがGalNAcα1-3(Fucα1-2)
Galβ1-3(Fucα1-4)GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβである化合物である。
R3Bはα−配置の式VIIの基であることもまた好ましい。
特に好ましい化合物はAのR1A、R2A、R3AおよびR4ACH2とBのR1B、R2B、R3Bお
よびR4BCH2の配置がD−ガラクトであり、CのR1C、R2C、R3CおよびR4CCH2の配
置がD−グルコであり、Aがα−配置であり、BおよびCがβ−配置であり、そ
してR1BおよびR3Cがα−配置の式VIIの基であり、R1AおよびR1Cがアセトアミド
基であり、R2BがZ5、Z8またはZ12であり、R2CがZ6、Z9またはZ13である化合物で
ある。
興味ある化合物群は炭水化物部分が構造式Y−Z1−A−(ここで、Z1はOであ
り、L−フコース単位YはAの2−位に結合される)を含有する。この群の興味
ある基本炭水化物構造の例は置換基R1、R2、R3、R1A、R2A、R3AおよびR4Aがそれ
ぞれOHとして示されている次式を有するものであるが、このようなR−置換基の
定義には限定されず、むしろR1、R2、R3、R1A、R2A、R3AおよびR4Aは式Ia、Ib
、Ic、Id、IeおよびIfに関して上記で定義されたすべての意味を有すること
ができると解釈されるべきである。したがって、構造式Y-Z1-A-は
Fucα1-2Allβ1→
Fucα1-2Altβ1→
Fucα1-2Glcβ1→
Fucα1-2Manβ1→
Fucα1-2Gulβ1→
Fucα1-2Idoβ1→
Fucα1-2Galβ1→
Fucα1-2Talβ1→
であってよい。
Y、A、B、C、DおよびEの基R1、R2、R3、R1A、R2A、R3A、R4A、R1B、R2B
、R3B、R4B、R1C、R2C、R3C、R4C、R1D、R2D、R3D、R4D、R1E、R2E、R3E、また
はR4Eがヒドロキシルでない場合、それらは好ましくは下記の中から選択されう
る:H、Cl、F、アジド、グアニジル、メチル、エチル、プロピル、ビニル、ア
リル、プロパ−1−エニル、エチニル、プロパ−2−イニル、プロパ−1−イニ
ル、アセチル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、メトキシメチル、ヒド
ロキシメチル、フェニル、オキソ、メチレン、チオール、アミノ、メトキシ、エ
トキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、デシルオキシ、テトラデシル
オキシ、オクタデシルオキシ、ビニルオキシ、アリルオキシ、1−プロペン−1
−イルオキシ、クロチルオキシ、3−ブテン−1−イルオキシ、2−ヘキセン−
1−イルオキシ、5−ヘキセン−1−イルオキシ、5−デセン−1−イルオキシ
、9−デセン−1−イルオキシ、11−テトラデセン−1−イルオキシ、オレオイ
ル、エチニルオキシ、2−プロピン−1−イルオキシ、1−プロピン−1−イル
オキシ、メチルチオ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、シクロプロポキシ、シク
ロプロピルメトキシ、メトキシメトキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、2−フ
リルメトキシ、2−チエニルメトキシ、2−ピリジルメトキシ、トリメチルシリ
ルオキシ、トリメチルシリルエトキシ、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチ
リルオキシ、ヘキサノイルオキシ、デカノイルオキシ、テトラデカノイルオキシ
、オクタデカノイルオキシ、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、アセチル
チオ、グリシルオ
キシまたはアラニルオキシ。
アグリコン基Rの興味ある例は次の通りである:メチル、エチル、プロピル、
イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イ
ソペンチル、2−メチルブチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、ヘキ
シル、イソヘキシル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペ
ンチル、2−エチルブチル、1−エチルブチル、ヘプチル、イソヘプチル、4−
メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル、1−メチルヘキシ
ル、3−エチルペンチル、2−エチルペンチル、1−エチルペンチル、1−プロ
ピルブチル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オク
タデシル、テトラコシル、シクロプロピル、シクロプロピルエチル、シクロブチ
ル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルプロパ−3−
イル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルプロパ−3−イ
ル、シクロヘプチル、フェニル、4−ニトロフェニル、ベンジル、4−フェニル
プロパ−1−イル、3−ヘキシルチオ−2−(ヘキシルチオ)メチルプロパ−1
−イル、3−ヘキシルスルホニル−2−(ヘキシルスルホニル)メチルプロパ−
1−イル、3−デシルチオ−2−(デシルチオ)メチルプロパ−1−イル、3−
デシルスルホニル−2−(デシルスルホニル)メチルプロパ−1−イル、8−ア
ミノ−3,6−ジオキサオクタ−1−イル、1,3−ジヒドロキシプロパ−2−イル、
1,3−ジアミノプロパ−2−イル、3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)
プロパ−1−イル、2−フエニルチオエチルまたはトリメチルシリルエチル。
マトリックスMAを含む基Rにおいて、マトリックスMAとRの残基
との結合は典型的に複合タンパク質の分野でよく知られているスペーサーを介し
たものである〔例えばJ.H.PazurのAdv.Carbohydr.Chem.Biochem.,第39巻、
第405〜447頁(1980年);Y.C.LeeおよびR.T.Leeの「複合糖質」、第4巻、パ
ートB、第57〜83頁、Horowitz編、Academic Press(1982年);およびG.Magnu
ssonのFEMSシンポジウム、第215〜228頁(1986年)を参照〕。
本明細書において、「スペーサー」なる用語は活性物質を担体に結合する分子
部分を意味する。スペーサー分子はそれぞれ他の官能基と特異的に反応する2つ
の異なる官能基を有し、線状部分がこれらの2つの官能基の間に位置するように
設計される。スペーサーを介して活性物質を担体に結合することにより、活性物
質を例えばH.ピロリ接着またはコロニー化因子抗原により近づきやすくする。
スペーサーは(W)v-S′-P′(ここで、S′はカルボニル、チオカルボニル、オ
キシカルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルアミノ、アミノカルボニル、ア
ザ、オキサまたはチア基により中断させることのできるC1〜24アルキル、C2〜24
アルケニル、C1〜24アルキルアリール、アリールC1〜24アルキル、アリールC1〜 24
アルキルアリール、C1〜24アルキルアリールC1〜24アルキル基;アリール基、
アリールオキシ、C1〜24アルコキシ、ポリエチレングリコール基、ステロイド基
、スフィンゴイド基であり;すべての基は、カルボキシル、C1〜4アルキルカル
ボニル、アミド、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、フェノキシで置換
することができ;
P′はNH-C(S)、NH-C(O)、C(O)、NH、C(S)、C(O)O、(O)CO、SO、SO2、SO3、SO4
、PO3、PO4であり;
WはNH-C(S)、NH-C(O)、C(O)、C(S)、C(O)O、(O)CO、SO、SO2、SO3、SO4、PO2
、PO3、PO4であるが、但しZ1、Z2、Z4、Z7、Z11またはZ16がCH2ならばWはPO2で
はなく、
Z1、Z2、Z4、Z7、Z11またはZ16がOまたはSならばWは(O)CO、SO4またはPO4
ではなく、
Z1、Z2、Z4、Z7、Z11またはZ16がNHならばWはNH-C(S)、NH-C(O)、(O)CO、SO4
、PO4ではなく;そしてvは0または1の整数である)として定義されうる。
スペーサーと結合する糖部分の原子は-O-、-S-、-NH-、-CH2-の中から選択さ
れ、好ましくは-O-である。
式Ia、Ib、Ic、Id、IeおよびIfの化合物において、マトリックスMAを有
する様々な基Rはそれら自体スペーサーおよび結合を含むことができる。結合の
特異的および典型的な例はマトリックスを含有するアミノ基またはケト基を通し
て生成されるものである。スペーサーとマトリックスの間のこのような結合は次
の一般構造式-NH-C(S)-NH-、-C(O)-NH-または-NH-C(O)-(式中、肉太のイタリッ
ク体で記した原子は与えられたマトリックスからのものである)を有する。
それぞれのマトリックス単位における式Ia、Ib、Ic、Id、IeまたはIfの
構造の数は1または多数であり、マトリックスの性質に応じて1〜10,000の間で
変化する。
QとRの残基との間に適したスペーサーの例を下記に示すが、これらに限定さ
れない。
上記および下記のスペーサーのリストにおいて、肉太のイタリック体で記した
原子は問題のマトリックスからのものである。上記のスペーサーの左端および右
端における垂直方向の波線は端部に結合があることを表わしている。マトリック
ス部分を含む一般式Ia、Ib、Ic、Id、IeまたはIfの化合物の例として、下
記の化合物を挙げることができる。
細書で特定されたような単糖、二糖、三糖またはオリゴ糖の意味を有し、m′は
0〜5の整数であり、そしてpは0〜13の整数である。
上記のマトリックスがBSA、HSAおよびポリアクリルアミド(PAA)により例示
される場合、これは他のタンパク質またはペプチド、あるいは本明細書で特定さ
れた他のマトリックスであってよい。
式Ia、Ib、Ic、Id、IeまたはIfの興味ある化合物の特定例は次の通りで
ある:
Fucα1−2Galβ1−O−プロピル
Fucα1−2Galβ1−O−イソプロピル
Fucα1−2Galβ1−O−ブチル
Fucα1−2Galβ1−O−t−ブチル
Fucα1−2Galβ1−O−ヘキシル
Fucα1−2Galβ1−O−オクチル
Fucα1−2Galβ1−O−デシル
Fucα1−2Galβ1−O−テトラデシル
Fucα1−2Galβ1−O−オクタデシル
Fucα1−2Galβ1−O−(C6ビススルフィド)
Fucα1−2Galβ1−O−(C10ビススルフィド)
Fucα1−2Galβ1−O−(C6ビススルホン)
Fucα1−2Galβ1−O−(C10ビススルホン)
Fucα1−2Galβ1−O−(8−アミノ−3,6−ジオキサオクタ)−1−イル)
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−O−プロピル
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−O−イソプロピル
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−O−ブチル
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−O−t−ブチル
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−O−ヘキシル
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−O−オクチル
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−O−デシル
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−O−テトラデシル
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−O−オクタデシル
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ−1−O−(C6ビススルフィド)
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ−1−O−(C6ビススルホン)
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−1−O−(8−アミノ−3,6−ジオキサオクタ
−1−イル)
Fucα1−2Galβ1−3Glcβ1−O−プロピル
Fucα1−2Galβ1−3Glcβ1−O−イソプロピル
Fucα1−2Galβ1−3Glcβ1−O−ブチル
Fucα1−2Galβ1−3Glcβ1−O−t−ブチル
Fucα1−2Galβ1−3Glcβ1−O−ヘキシル
Fucα1−2Galβ1−3Glcβ1−O−オクチル
Fucα1−2Galβ1−3Glcβ1−O−テトラデシル
Fucα1−2Galβ1−3Glcβ1−O−オクタデシル
Fucα1−2Galβ1−3Glcβ1−O−(C6ビススルフィド)
Fucα1−2Galβ1−3Glcβ1−O−(C6ビススルホン)
Fucα1−2Galβ1−3Glcβ1−O−(8−アミノ−3,6−ジオキサオクチル)
〔ここで、C6ビススルフィド=3−ヘキシルチオ−2−(ヘキシルチオ)メチル
プロパ−1−イル−、
C10ビススルフィド=3−デシルチオ−2−(デシルチオ)メチルプロパ−1
−イル−、
C6ビススルホン=3−ヘキシルスルホニル−2−(ヘキシルスルホニル)メチ
ルプロパ−1−イル−、
C10ビススルホン=3−デシルチオ−2−(デシルチオ)メチルプロパ−1−
イル−である〕。
さらに興味ある化合物は次の通りである。
Fucα1−2Galβ1−O−Me
Fucα1−3Glcβ1−O−Me
Fucα1−3GlcNAcβ1−O−Me
Fucα1−3GlcNAcβ1−O−スペーサー1−BSA
Fucα1−3GlcNAcβ1−O−テトラデシル
Fucα1−4GlcNAcβ1−O−Me
Fucα1−4GlcNAcβ1−スペーサー2−ポリアクリルアミド
Fucα1−4GlcNAcβ1−O−テトラデシル
Fucα1−4Galβ1−O−Me
Fucα1−6Galβ1−O−Me
Fucα1−6Galβ1−スペーサー2−ポリアクリルアミド
Fucα1−2Galβ1−スペーサー2−ポリアクリルアミド
Fucα1−2Galβ1−スペーサー1−BSA
Fucα1−2Galβ1−スペーサー1−HSA
Fucα1−2Galβ1−スペーサー4−BSA
Fucα1−2Galβ1−スペーサー4−HSA
Fucα1−2Galβ1−スペーサー5−ポリアクリルアミド
Fucα1−2Galβ1−O−テトラデシル
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−スペーサー5−ポリアクリルアミド
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−スペーサー4−BSA
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−スペーサー4−HSA
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−スペーサー2−ポリアクリルアミド
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−スペーサー1−HSA
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−スペーサー1−BSA
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−O−テトラデシル
Fucα1−2Galβ1−3Glcβ1−スペーサー1−HSA
Fucα1−2Galβ1−3Glcβ1−スペーサー1−BSA
Fucα1−2Galβ1−3Glcβ1−スペーサー4−HSA
Fucα1−2Galβ1−3Glcβ1−スペーサー4−BSA
Fucα1−2Galβ1−3Glcβ1−スペーサー2−ポリアクリルアミド
Fucα1−2Galβ1−3Glcβ1−スペーサー5−ポリアクリルアミド
Fucα1−2Galβ1−3(Fucα1−4)Glcβ1−スペーサー1−HSA
Fucα1−2Galβ1−3(Fucα1−4)Glcβ1−スペーサー1−BSA
Fucα1−2Galβ1−3(Fucα1−4)Glcβ1−スペーサー4−HSA
Fucα1−2Galβ1−3(Fucα1−4)Glcβ1−スペーサー4−BSA
Fucα1−2Galβ1−3(Fucα1−4)Glcβ1−スペーサー2−ポリアクリルアミド
Fucα1−2Galβ1−3(Fucα1−4)Glcβ1−スペーサー5−ポリアクリルアミド
Fucα1−2Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−3Galβ1−スペーサー3−BSA
Fucα1−2Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−3Galβ1−スペーサー2−ポリア
クリルアミド
Fucα1−2Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−3Galβ1−スペーサー5−ポリア
クリルアミド
Fucα1−2Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−3Galβ1−O−テトラデシル
Fucα1−2Galβ1−4Glcβ1−スペーサー1−BSA
Fucα1−2Galβ1−4Glcβ1−スペーサー2−ポリアクリルアミド
Fucα1−2Galβ1−4Glcβ1−O−テトラデシル
Galβ1−4(Fucα1−3)GlcNAcβ1−スペーサー1−BSA
Galβ1−4(Fucα1−3)GlcNAcβ1−スペーサー2−ポリアクリルアミド
Galβ1−4(Fucα1−3)GlcNAcβ1−O−テトラデシル
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1−スペーサー3−BSA
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1−スペーサー3−HSA
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1−スペーサー5−ポリアクリルアミド
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1−スペーサー1−HSA
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1−スペーサー5−BSA
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1−スペーサー4−HSA
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1−スペーサー4−BSA
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1−スペーサー2−ポリアクリルアミド
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1−O−テトラデシル
GalNAcα1−3(Fucα1−2)3Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−3Galβ1−スペー
サー3−BSA
GalNAcα1−3(Fucα1−2)3Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−3Galβ1−スペー
サー2−ポリアクリルアミド
GalNAcα1−3(Fucα1−2)3Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−3Galβ1−O−テ
トラデシル
Fucα1−2Galβ1−4(Fucα1−3)Glcβ1−スペーサー1−BSA
Fucα1−2Galβ1−(Fucα1−3)Glcβ1−スペーサー2−ポリアクリルアミド
Fucα1−2Galβ1−4(Fucα1−3)Glcβ1−0−テトラデシル
Fucα1−2(3−O−メチル)Galβ1−0−テトラデシル
Fucα1−2(3−O−メチル)Galβ1−スペーサー1−BSA
Fucα1−2(3−O−メチル)Galβ1−スペーサー2−ポリアクリルアミド
Fucα1−2(3−O−アリル)Galβ1−スペーサー1−BSA
Fucα1−2(3−O−アリル)Galβ1−スペーサー2−ポリアクリルアミド
Fucα1−2(3−O−アリル)Galβ1−O−テトラデシル
Fucα1−2(3−O−プロピル)Galβ1−スペーサー1−HSA
Fucα1−2(3−O−プロピル)Galβ1−スペーサー1−BSA
Fucα1−2(3−O−プロピル)Galβ1−スペーサー2−ポリアクリルアミド
Fucα1−2(3−O−プロピル)Galβ1−スペーサー4−HSA
Fucα1−2(3−O−プロピル)Galβ1−スペーサー4−BSA
Fucα1−2(3−O−プロピル)Galβ1−スペーサー5−ポリアクリルアミド
Fucα1−2(3−O−ブチル)Galβ1−スペーサー1−BSA
Fucα1−2(3−O−ブチル)Galβ1−スペーサー2−ポリアクリルアミド
Fucα1−2(3−O−ブチル)Galβ1−0−テトラデシル
Fucα1−2(3−O−メチル)Galβ1−3GlcNAcβ1−スペーサー1−BSA
Fucα1−2(3−O−メチル)Galβ1−3GlcNAcβ1−スペーサー2−ポリアクリル
アミド
Fucα1−2(3−O−メチル)Galβ1−3GlcNAcβ1−O−テトラデシル
Fucα1−2(3−O−アリル)Galβ1−3GlcNAcβ1−スペーサー1−BSA
Fucα1−2(3−O−アリル)Galβ1−3GlcNAcβ1−スペーサー2−ポリアクリル
アミド
Fucα1−2(3−O−アリル)Galβ1−3GlcNAcβ1−O−テトラデシル
Fucα1−2(3−O−プロピル)Galβ1−3GlcNAcβ1−スペーサー1−HSA
Fucα1−2(3−O−プロピル)Galβ1−3GlcNAcβ1−スペーサー1−BSA
Fucα1−2(3−O−プロピル)Galβ1−3GlcNAcβ1−スペーサー2−ポリアクリ
ルアミド
Fucα1−2(3−O−プロピル)Galβ1−3GlcNAcβ1−スペーサー4−HSA
Fucα1−2(3−O−プロピル)Galβ1−3GlcNAcβ1−スペーサー4−BSA
Fucα1−2(3−O−プロピル)Galβ1−3GlcNAcβ1−スペーサー5−ポリアクリ
ルアミド
Fucα1−2(3−O−ブチル)Galβ1−3GlcNAcβ1−スペーサー1−BSA
Fucα1−2(3−O−ブチル)Galβ1−3GlcNAcβ1−スペーサー2−ポリアクリル
アミド
Fucα1−2(3−O−ブチル)Galβ1−3GlcNAcβ1−O−テトラデシ
ル
Fucα1−2(3−O−プロピル)Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−スペーサー1
−HSA
Fucα1−2(3−O−プロピル)Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−スペーサー1
−BSA
Fucα1−2(3−O−プロピル)Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−スペーサー2
−ポリアクリルアミド
Fucα1−2(3−O−プロピル)Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−スペーサー4
−HSA
Fucα1−2(3−O−プロピル)Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−スペーサー4
−BSA
Fucα1−2(3−O−プロピル)Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−スペーサー5
−ポリアクリルアミド
Fucα1−2(3−O−メチル)Galβ1−4GlcNAcβ1−スペーサー1−BSA
Fucα1−2(3−O−メチル)Galβ1−4GlcNAcβ1−スペーサー2−ポリアクリル
アミド
Fucα1−2(3−O−メチル)Galβ1−4GlcNAcβ1−O−テトラデシル
Fucα1−2(3−O−アリル)Galβ1−4GlcNAcβ1−スペーサー1−BSA
Fucα1−2(3−O−アリル)Galβ1−4GlcNAcβ1−スペーサー2−ポリアクリル
アミド
Fucα1−2(3−O−アリル)Galβ1−4GlcNAcβ1−O−テトラデシル
Fucα1−2(3−O−ブチル)Galβ1−4GlcNAcβ1−スペーサー1−BSA
Fucα1−2(3−O−ブチル)Galβ1−4GlcNAcβ1−スペーサー2−ポリアクリル
アミド
Fucα1−2(3−O−ブチル)Galβ1−4GlcNAcβ1−O−テトラデシル
Fucα1−2(3−O−メチル)Galβ1−3Glcβ1−スペーサー1−BSA
Fucα1−2(3−O−メチル)Galβ1−3Glcβ1−スペーサー2−ポリアクリルア
ミド
Fucα1−2(3−O−メチル)Galβ1−3Glcβ1−O−テトラデシル
Fucα1−2(3−O−アリル)Galβ1−3Glcβ1−スペーサー1−BSA
Fucα1−2(3−O−アリル)Galβ1−3Glcβ1−スペーサー2−ポリアクリルア
ミド
Fucα1−2(3−O−アリル)Galβ1−3Glcβ1−O−テトラデシル
Fucα1−2(3−O−ブチル)Galβ1−3Glcβ1−スペーサー1−BSA
Fucα1−2(3−O−ブチル)Galβ1−3Glcβ1−スペーサー2−ポリアクリルア
ミド
Fucα1−2(3−O−ブチル)Galβ1−3Glcβ1−O−テトラデシル
Fucα1−2Galβ1−4GlcNAcβ1−スペーサー1−BSA
Fucα1−2Galβ1−4GlcNAcβ1−スペーサー2−ポリアクリルアミド
Fucα1−2Galβ1−4GlcNAcβ1−O−テトラデシル
Galα1−3(Fucα1−2)Galβ1−スペーサー1−BSA
Galα1−3(Fucα1−2)Galβ1−スペーサー2−ポリアクリルアミド
Galα1−3(Fucα1−2)Galβ1−O−テトラデシル
GalNAcα1−3(Fucα1−2)Galβ1−4Glcβ1−スペーサー1−BSA
GalNAcα1−3(Fucα1−2)Galβ1−4Glcβ1−スペーサー2−ポリアクリルアミ
ド
GalNAcα1−3(Fucα1−2)Galβ1−4Glcβ1−O−テトラデシル
Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glcβ1−スペーサー1−BSA
Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glcβ1−スペーサー2−ポリア
クリルアミド
Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−3Glcβ1−4Glcβ1−O−テトラデシル
Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−スペーサー1−BSA
Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−スペーサー2−ポリアクリルアミド
Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−O−テトラデシル
本発明においては、上記したような特定の化合物または化合物の一部は純粋お
よび応用化学の国際連合並びに生化学の国際連合の下、生化学命名法の共同委員
会(the Joint Commission on Biochemical Nomenclature)によりなされた糖タ
ンパク質、糖ペプチドおよびペプチドグリカンの命名に関する推奨基準に応じて
短縮形で名付ける、または表わすことができる(Pure & Applied Chem.,第60巻
,第9号,第1389〜1394頁(1988年)を参照)。
他の見地において、本発明は上記で定義されたような式Ia、Ib、Ic、I
d、IeまたはIfの化合物またはこれらの混合物を少なくとも1種の抗潰瘍剤
、少なくとも1種の抗菌活性化合物またはこれらの混合物、および薬学的に許容
しうる担体と一緒に含有する医薬組成物に関する。
「抗潰瘍剤」なる用語は胃腸の潰瘍形成、特に胃または十二指腸の潰瘍形成を
減少することができる、またはその減少に関係がある物質または組成物を意味す
る。このような物質または組成物を含有する本発明の医薬組成物は潜在的な利点
を有し、一方で潰瘍形成を減少し、他方で細菌の胃または十二指腸の粘膜への接
着を防止または阻害することにより胃中のH−ピロリの感染度を同時に低下させ
て、さらに潰瘍の治療を促進するという二重の効果を与えることができる。適当
な種類の抗潰瘍剤は胃液分泌を抑制する化合物(主に酸分泌を抑制する化合物)
および制酸剤である。
本発明の使用の好ましい局面において、製造される医薬組成物は例えばオメプ
ラゾール、シメチジン、ラニチジン、ランソプラゾール、パントプラゾール、ス
クラルフェート、ファモチジンまたはニザチジンのような胃液分泌を抑制する化
合物、あるいは水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭
酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、シメチコンまたは水酸化マグネシウムアル
ミニウム、またはその水和物(例えばマガルドレートとして知られている一水和
物)のような制酸剤の中から選択される、抗潰瘍剤または抗胃炎剤を含有する製
剤のような胃炎または潰瘍の標準治療のための製剤と組み合わせて投与されるよ
うに適合される。
本発明の使用の別の好ましい局面において、製造される医薬組成
物は抗菌剤、例えば上記で挙げたものから選択される抗菌剤を含む治療のための
製剤、特にアモキシリン、アンピシリン、セファロシン、セファクロルまたはセ
フィキシムのようなβ−ラクタム抗生物質;エリスロマイシンまたはクラリスロ
マイシンのようなマクロライド;テトラサイクリンまたはドキシサイクリンのよ
うなテトラサイクリン;ゲンタマイシン、カナマイシンまたはアミカシンのよう
なアミノグリコシド;ノルフロキサシン、シプロフロキサシンまたはエノキサシ
ンのようなキノロン;またはメトロニダゾール、ニトロフラントインもしくはク
ロラムフェニコールのような他の抗生物質を含有する製剤、あるいは次クエン酸
ビスマス、次サリチル酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次硝酸ビスマスまたは次没
食子酸ビスマスのようなビスマス塩を含有する製剤と組み合わせて投与されるよ
うに適合される。
別の局面において、本発明は上記で定義された式Ia,Ib,Ic、Id、I
eまたはIfを有するものの中の、すべての新規化合物に関する。
式Ia、Ib、Ic、Id、IeまたはIfの化合物は出発物質として単糖ま
たはオリゴ糖を使用して幾つかの一般法に従って製造することができる。官能基
の変換はグリコシド結合の生成の前または後に行なうことができる。特定の位置
の官能基の変換を確実にするため、位置特異的反応の使用または保護基を用いた
保護が場合により必要である。保護基は除去することができ、または問題の化合
物の一部をなすことができる。
本発明の化合物は例えば下記のスキームに示されるようにして製造することが
できる。スキームにおいて、特定の置換基または配置
を表わすことができるが、図示した様々な基は適当に一般式Ia、Ib、Ic、
Id、IeおよびIfについて定義された全変動範囲内にあることは理解されよ
う。
最初の工程(工程1)において、単糖、例えばL−フコース、D−ガラクトー
ス、D−グルコース、2−デオキシ−2−フタルイミド−D−グルコース、2−
デオキシ−2−フタルイミド−D−ガラクトース、D−マンノースはアグリコン
(Ra)、例えばSEt、SPh、OTMSEt、O−アリルまたはOBn(当該技術分野でアグ
リコンとして知られている)を有するグリコシドに変換され、Ra−グリコシドが
アノマー中心の活性化によりグリコシル供与体に変換することができるようなRa
−グリコシド誘導体を生成する。Ra−グリコシドは次のようにして製造すること
ができる;上記のような単糖をピリジン中無水酢酸で、無水酢酸−酢酸ナトリウ
ムで、またはピリジン中塩化ベンゾイルで過−O−アシル化する。単糖の過−O
−アシレートを例えば酢酸またはジクロロメタンのような適当な溶媒中、例えば
臭化水素または塩化水素と反応させて過−O−アシル化グリコシルブロミドまた
はクロリドを生成する〔例えばO−アシル化およびハロゲン化グリコシル合成に
よる;M.L.WolfromおよびA.Thompsonの「炭水化物化学の方法」,第2巻,第2
11〜215頁,R.L.WhistlerおよびM.L.Wolfrom編,Academic Press(1963年);
G.HewitおよびG.Fletcher Jr.の同書,第226〜228頁;およびR.U.Lemieuxの
同書,第223〜224頁を参照〕。促進剤として三フッ化ホウ素エテラート(例えば
R.J.FerrierおよびR.H.FurneauxのCarbohydr.Res,52,
G.MagnussonおよびG.NooriのCarbohydr.Res.,116,303〜307(1983年)を参
照)またはトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(例えばT.Ogawa
,K.Beppu,S.NakabayashiのCarbohydr.Res.,93,C6〜C9(1981年)を参照)
のようなルイス酸を使用して適
当なチオールまたはアルコール、例えばHSEt、HSPh、HOTMSEt、HO−アリルまた
はHOBnを単糖の過−O−アシレートと反応させることによりアグリコン(Ra)を
単糖に移す。反応はクロロホルム、ジクロロメタンおよび/またはトルエンのよ
うな適当な溶媒中で行なわれる。問題の単糖誘導体が過−O−アシル化グリコシ
ルブロミドまたはクロリドである場合、銀トリフルオロメタンスルホネートまた
は水銀(II)塩(例えばH.PaulsenのAngew.Chem.Int.Ed.Engl.,21,155〜
173(1982年)を参照)のような促進剤を使用することができ、またその反応は
ジクロロメタンおよび/またはトルエンのような適当な溶媒中で行なわれる。メ
タノール、あるいはジクロロメタンまたはテトラヒドロフランのような補助溶媒
を含有するメタノール中、ナトリウムメトキシドを使用して脱−O−アシル化(
例えばA.Thompson,M.L.WolfromおよびE.Pascuの「炭水化物化学の方法」,
第2巻,第215〜220頁,R.L.WhistlerおよびM.L.Wolfrom編,Academic Press
(1963年)を参照)した後、単糖Ra−グリコシドを得る。
第2の工程(工程2)において、単糖Ra−グリコシドはさらに誘導化される。
最終生成物の一部をなす、または次のグリコシル化工程の間保護基として働く新
規な官能基(Rb)が導入される。官能基変換の例はOH−基からエーテルまたはエ
ステルヘ(例えばT.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts編の「有機合成の保護基」,Jo
hn Wiley & Sons(1991年)を参照)、OH-基からカーボネートへ(例えばJ.Mar
chの「最新の有機化学−反応機構および構造」,第347頁,第3版,John Wiley
& Sons(1985年)およびそれに記載の引用文献を参照)、ハロゲン化物、スルホ
ネートまたは他のルートを経るOH-基の還元
的除去(例えばJ.Marchの「最新の有機化学−反応機構および構造」,第389〜3
92頁,第394頁,第3版,John Wiley & Sons(1985年)およびそれに記載の引用
文献,並びにH.H.BaerのPure Appl.Chem.,61(7),1217〜1234(1989年)およ
びそれに記載の引用文献を参照)、OH-基からハロゲンへ(例えばJ.Marchの「
最新の有機化学−反応機構および構造土第381〜286頁,第3版,John Wiley & S
ons(1985年)およびそれに記載の引用文献を参照)、OH-基からアジド基へ(例
えばJ.Marchの「最新の有機化学−反応機構および構造」,第380頁,第3版,J
ohn Wiley & Sons(1985年)およびそれに記載の引用文献,並びにH.H.BaerのP
ure Appl.Chem.,61(7),1217〜1234(1989年)およびそれに記載の引用文献を
参照)、アジドまたは他のルートを経てOH-基からアミノ基へ(例えばJ.March
の「最新の有機化学−反応機構および構造」,第798〜800頁,第1106頁,第3版
,John Wiley & Sons(1985年)およびそれに記載の引用文献、並びにH.H.Baer
のPure Appl.Chem.,61(7),1217〜1234(1989年)およびそれに記載の引用文
献を参照)、OH基からケト基(オキソ)へ(例えばJ.Marchの「最新の有機化学
−反応機構および構造」,第1048〜1120頁,第3版,John Wiley & Sons(1985
年)およびそれに記載の引用文献を参照)、ケト基または他のルートを経てOH基
からエキソメチレン誘導体へ(例えばJ.Marchの「最新の有機化学−反応機構お
よび構造」,第400〜404頁,第407頁,第845〜854頁,第3版,John Wiley & So
ns(1985年)およびそれに記載の引用文献を参照)、エキソメチレン誘導体およ
びその後の水素化を経て、または他のルートを経てOH基からアルキル基へ(例え
ばH.O.H.Houseの「現代の合成反応」,第1〜130頁,第2版,W.A.Benjamin,
Inc.
(1972年)およびそれに記載の引用文献,またはJ.YoshimuraのAdv.Carbohydr
.Chem.Biochem.,42,69〜134(1984年)を参照)、および様々なルートを経
るOH基と複素環式基の交換(例えばA.R.Katrizkyの「複素環化学のハンドブッ
ク」,Pergamon Press(1985年)を参照)である。
第3の工程(工程3)において、上記の官能基(Rb)(当該技術分野で知られ
ている保護基)で置換されたRa−グリコシドの縮合が行なわれる。O−グリコシ
ド結合について;アノマー中心を活性化して一方のRa−グリコシド誘導体をグリ
コシル供与体に変換し、そして1個または数個の保護基を除去することによりグ
リコシル受容体に変換された他方のRa−グリコシドと反応させる(例えばH.Pau
lsenのAngew.Chem.Int.Ed.Engl.,21,155〜173(1982年);R.R.Schmidt
のAngew.Chem.Int.Ed.Engl.,25,212〜235(1986年);
J.,4,97〜108(1987年);T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts編の「有機合成の保
護基」,John Wiley & Sons(1991年)を参照)。C−グリコシド結合について
は、例えばR.R.SchmidtおよびG.EffenbergerのLiebigs Ann.Chem.,825〜831
(1987年);S.CzerneckiおよびG.VilleのJ.Org.Chem.,54,610〜612(198
9年);R.PreussおよびR.R.SchmidtのJ.Carbohydr.Chem.,10(5),887〜900
(1992年);O.MartinおよびW.LaiのJ.Org.Chem.,58,176〜185(1993年)
;またはC.R.Bertozzi,P.D.Hoeprich,Jr.およびM.D.BednarskiのJ.Org.
Chem.,57,6092〜6094(1992年)を参照。S−グリコシド結合については、例
えばL-X Wang,N.SakairiおよびH.KuzuharsのJ.Chem.Soc.Perkin Trans.,
1,1677〜1982(1990
年);M.Blanc-Meusser,L.Vigne,H.Driguez,J.Lehman,J.Streckおよび
K.VrbahnsのCarbohydr.Res.,224,59〜71(1982年)を参照。
さらに、第3の工程を繰り返すことによりグリコシド結合を導入することがで
きる。
第4の工程(工程4)において、還元末端に置換基(Rc)が導入される。Rcは
(Z1-Z16)-R(ここで、RおよびZ1-Z16は化合物Ia、Ib、Ic、Id、Ie
およびIfについて与えられた定義を有する)として定義される。「(Z1−Z16
)-R」なる用語はZ1-R、Z2-R、Z3-R・・・・・・Z16-Rと解釈される。工程3からのオ
リゴ糖Ra−グリコシド誘導体の還元末端のアノマー中心の活性化および適当な求
核試薬との反応はそれぞれO−、C−、S−またはN−グリコシド誘導体をもた
らす。必要に応じて、保護基を除去した後に最終生成物を得る。本発明の化合物
が特定のマトリックスとのコンジュゲートの形態である場合、Rc−グリコシド誘
導体はさらに様々なルートを経て最終生成物に変換される(例えばY.G.Leeおよ
びR.T.Leeの「複合糖質」,第121〜164頁,H.J.AllenおよびE.C.Kisailus編
,Dekker(1992年);R.Roy,F.D.TropperおよびA.RomanowskaのJ.Soc.,Ch
em.Commun.,1611〜1613(1992年);またはC.P.SotwellおよびY.C.LeeのAdv
.Carbohydr.Chem.Biochem.,第37巻,225〜281(1980年)を参照)。
スペーサーの有無に関係なくアクリルアミドとモノ−、ジ−、トリ−またはオ
リゴ糖グリコシドのコポリマーの製造のための共重合
のJ.Carbohydr.Chemistry 8(4),597〜611(1989年)またはM.
AnderssonおよびS.Oscarssonの「バイオコンジュゲート化学」,第4(3)巻
,246〜247(1993年)に記載されているような知られている方法により行なわれ
る。これらのコンジュゲートの製造の一般戦略はオレフィン基を炭水化物に結合
させ、次にこの誘導体をアクリルアミドと共重合させることである。オレフィン
基はモノ−、ジ−、トリ−またはオリゴ糖誘導体のアミノ基のアクリロイル化に
より初期の段階でアリルグリコシドとして、または他の知られている方法により
炭水化物分子に導入される。
上記したように、一般式Ia、Ib、Ic、Id、IeまたはIfの化合物を
含有する医薬製剤は本発明の別の局面を構成する。
本発明の化合物は全身的または局所的に投与することができ、また好ましくは
元の化合物またはその薬学的に許容しうる塩の形態の活性成分を固体、半固体ま
たは液体状の希釈剤、あるいは服用できるカプセルである薬学的に許容しうる担
体と共に含有する医薬製剤の形態で経口的に、注射により、経腸的に、経皮的に
注入により、または吸入により投与され、そしてこのような製剤は本発明の別の
局面を構成する。薬学的に許容しうる担体はもちろん、治療対象の人間または哺
乳動物に投与するのに適した、十分に高い純度および十分に低い毒性でなければ
ならない。本化合物はまた、担体物質がなくても使用することができる。医薬製
剤の例としては、錠剤、カプセル剤、糖剤、液剤、点鼻剤のような滴剤、吸入用
エアゾール剤、鼻用噴霧剤、リポソームなどを挙げることができる。通常、活性
物質は製剤の0.01〜99重量%であり、例えば注射用製剤の場合は0.5〜20重量%
であり、そして経口投与用製剤の場合は0.1〜50重量%である。
製剤は好ましくは単一投与単位または多数回投与単位の単位投与形態である。
本発明の化合物を含有する経口投与用単位投与形態の医薬製剤を製造するため
に、活性成分を慣用的に使用される固体、粉末状担体、例えばラクトース、サッ
カロース、ソルビトール、マンニトール;ポテトスターチ、コーンスターチのよ
うなスターチ、アミロペクチン、こんぶ粉末、柑橘類の果肉粉末、セルロース誘
導体またはゼラチンと混合することができ、またステアリン酸マグネシウムまた
はカルシウム、あるいはCarbowax(登録商標)や他のポリエチレングリコールろ
うのような潤滑剤を含むことができ、圧縮して錠剤、または糖剤の中核を成形す
ることができる。糖剤が所望ならば、その中核は例えばアラビアゴム、タルクお
よび/または二酸化チタンを含む濃縮糖溶液、あるいは揮発性の高い有機溶媒ま
たは有機溶媒の混合物に溶解した被膜生成剤で被覆することができる。例えば異
なる内容の活性物質を区別するために、染料をこれらのコーチングに加えること
ができる。ゼラチンおよび例えばグリセロールや可塑剤からなる軟質ゼラチンカ
プセル剤、または同様の密閉カプセル剤の製造において、活性物質はCarbowax(
登録商標)または適当な油、例えばゴマ油、オリーブ油または落花生油と混合す
ることができる。硬質ゼラチンカプセル剤は顆粒状の活性物質を固体、粉末状担
体、例えばラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール;スターチ
、例えばポテトスターチまたはコーンスターチ;アミロペクチン、セルロース誘
導体またはゼラチンと一緒に含有することができ、また潤滑剤としてステアリン
酸マグネシウムまたはステアリン酸を含有することができる。
本発明の組成物は当該技術分野でよく知られている方法を使用して、患者の投
与後活性物質がすぐに、徐々にまたは遅れて放出されるように製剤化することが
できる。
ゆっくりと溶解するコーチングにより隔てられた幾つかの層の活性薬剤を使用
することにより、持効性錠剤が得られる。持効性錠剤を製造する他の方法は投与
量の活性薬剤を異なる厚さのコーチングを有する顆粒に分割し、その顆粒を担体
物質と一緒に圧縮して錠剤とすることである。
活性物質はまた、例えば脂肪およびろう物質で作られたゆっくりと溶解する錠
剤に混合する、または生理学的に不活性の可塑性物質のような不溶性物質の錠剤
に均一に分配することができる。
経口投与用液状製剤はエリキシル剤、シロップ剤または懸濁剤、例えば約0.1
〜20重量%の活性物質、糖、並びに分散剤としてエタノール、水、グリセロール
、プロピレングリコール、場合により芳香、サッカリンおよび/またはカルボキ
シメチルセルロースの混合物を含有する溶液の形態であってよい。製剤はさらに
湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤および甘味剤を含んでもよい。
注射による非経口的投与のための製剤は望ましくは0.5〜20%濃度の活性薬剤
またはその生理学的に許容しうる塩の水溶液からなり、場合により水溶液中に安
定剤および/または緩衝物質を含んでもよい。溶液の投与単位は有利にアンプル
中に封入することができる。
ヘリコバクターピロリの粘膜表面への接着を阻害する化合物はヘリコバクター
ピロリによって生じるまたはそれが媒介する胃腸の障害および疾患の予防または
治療において有用であるという限られた知識がある。この限られた知識のため、
投与される活性成分の用量
は広範囲内で変わり、例えば感染の程度、患者の年令などのような様々な要因に
依存し、また個々別々に調整することができる。
本発明の医薬組成物は好ましくは1日あたり約1mg〜約50g、より好ましくは
約10mg〜約5gの活性成分を含有し、また多数回投与量に分割されうる。
以下の実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定
されない。
一般法
実施例1〜6の1Hおよび13C NMRスペクトルはVarian Gemini 300分光計および
Varian Unity 400 MHz分光計で記録した。実施例1〜6において、次の参照シグ
ナルを使用した:CHCl3,δ7.25(1H,CDCl3中);CHCl3,δ77.9(13C,CDCl3
中);(CH3)2CO,δ2.24またはCHD2OH,δ3.31(1H,D2O中);(CH3)2CO,
δ33.19またはCHD2OH,δ51.89(13C,D2O中);CHD2OH,δ3.31(1H,CD3OD中
)。他のすべての実施例の1Hおよび13C NMRスペクトルは25℃でCDCl3中(1Hにつ
いて内部基準としてテトラメチルシランを使用、13CについてCDCl3δ77.0)およ
びD2O中(1HについてHDOδ4.765、13Cについて内部基準としてアセトンδ30.0を
使用)において記録した。すべての化合物について記録したNMRスペクトルは仮
定した構造と一致した。抜粋したデータだけを記載する。炭水化物成分とタンパ
ク質の置換度を決定する質量スペクトルはVG TOFSPEC一次フライト時間質量分析
計で測定した。Fab-MSはIontech FABガンおよびチオグリセロールマトリックス
を用いてNermag 1010Lで行なった。旋光度はPerkin Elmer 241旋光計を使用し
て測定した。薄層クロマトグラフィー(TLC)はMerck DC-Fertig Platten(Kise
lgel 60 F2540.25mm)で行ない、そしてスポットはUVにより;10%硫酸をスプレ
ーし、次に高温で炭化することにより;あるいはリンモリブデン酸またはn−ブ
タノール中のニンヒドリン(0.5%)をスプレーすることにより可視化した。シ
リカゲル60(40〜63λm)およびAmicon Matrex(登録商標)シリカSi 0.35〜0.
70mをカラムクロマトグラフィーに使用した。
分離もまた、ギプスを含むシリカゲル60 PF254の1〜2mmの層を
使用してChromatotron(登録商標)回転TLCにより行なった。特に断りがなけれ
ば、すべてのBiogel(登録商標)P−2カラムは脱イオン水中の1%n−ブタノ
ールで溶離した。
実施例 1
メチル2−アセトアミド−2−デオキシ−3−O−α−L−フコピラノシル−β
−D−グルコピラノシド(4)
(i)メチル4,6−O−ベンジリデン−3−O−(トリ−O−ベンジル−α−L
−フコピラノシル)−2−デオキシ−2−フタルイミド−β−D−グルコピラノ
シド(2)
トリフルオロメタンスルホン酸(2μl、0.023ミリモル)を−30℃でジクロ
ロメタン−ジエチルエーテル(3ml、2:1)中におけるエチル3−O−(トリ
−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)−4,6−O−ベンジリデン−2−デ
オキシ−2−フタルイミド−1−チオ−β−D−グルコピラノシド(1)(100mg
、0.117ミリモル)(H.
メタノール(7μl、0.175ミリモル)、N−ヨードスクシンイミド(40mg、0.17
5ミリモル)および粉砕されたモレキュラーシーブ(100mg、3Å)の撹拌混合物
に加えた。45分後、反応混合物をセライト層を通して炭酸水素ナトリウムおよび
重亜硫酸ナトリウムの水溶液中に濾過した。有機層を分離し、塩化ナトリウム水
溶液で洗浄し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(トルエン−酢酸
エチル、20:1)に付して非晶物(2)(93mg、97%)を得た。〔α〕D−16.2°
(c1.0、CHCl3)。
1H NMRデータ(CDCl3,δ):7.80〜7.00(24H,ベンジルおよびフタロイル),
5.29(d,1H,J 8.6Hz,H-1),4.84〜4.25(5H CH2Ph),
4.84(bs,1H,H-1′),4.66(dd,1H,J8.5および10.3 Hz,H-3),4.48〜4.43(m
,1H,H-3′),4.35(dd,1H,J 8.6および10.3 Hz,H-2),4.08(bdd,1H,J6.4
および13.0 Hz,H-5′),3.91〜3.81(2H),3.78〜3.66(4H),3.51〜3.47(1H),3
.48(s,3H,OCH3),0.90(d,3H,CH3)
13C NMRデータ(CDCl3,δ):168.0(CO),138.8〜123.0(ベンジル),101.1(C
HPh),99.7(C-1′),99.4(C-1),82.1,79.5,78.0,75.7,75.5,74.6,73.0,
72.5,68.6,67.2(C-5′,66.1,56.9(OCH3),55.5(C-2),16.3(CH3)
(ii)メチル2−アセトアミド−3−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−
L−フコピラノシル)−4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−β−D−グル
コピラノシド(3)
水性95%エタノール中における(2)(1.13g、1.36ミリモル)およびヒドラ
ジン水和物(3.3ml、68ミリモル)の溶液を20時間還流下で煮沸し、冷却し、濃
縮した。残留物を一晩無水酢酸−ピリジン(50ml、1:1)でアセチル化した。
溶液を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン−酢酸エチル、1
:1)に付して粗生成物(3)を得、それを直接次の工程に使用した。
1H NMRデータ(CDCl3,δ):7.50〜7.25(20H,ベンジル),5.71(d,1H,J 7.
4NH),5.52(s,1H,CH2Ph),5.09(d,1H,H-1′),4.85〜4.58(6H,CH2Ph),4.8
2(d,1H,H-1),4.37(dd,1H,J 4.6および10.4 Hz,H-6),4.28(bt,1H,H-3)
,4.12〜4.05(2H,H-2′およびH-5′),3.95(dd,1H,J 2.6および10.2 Hz,H-3
′),3.78(bt,1H,H-6),3.63(bs,1H,H-4′),3.60(bt,1H,H-4),3.53(m,
1H,H-5),3.48(s,3H,OCH3),3.42(ddd,1H,J 7.2,8.2および9.5
Hz,H-2),1.67(s,3H,NHAc),0.84(d,3H,CH3)
13C NMRデータ(CDCl3,δ):170.6(CO),138.6〜126.2(ベンジル),101.8
(C-1),101.6(CHPh),98.4(C-1′),80.8(C-4),79.8(C-3′),77.6(C-4′),77
.0(C-2′またはC-5′),75.1(C-3),74.9(CH2Ph),72.5(CH2Ph),68.8(C-6),66
.9(C-2′またはC-5′),66.2(C-5),58.1(C-2),57.0(OCH3),23.2(NHAc),16.3
(CH3)
(iii)メチル2−アセトアミド−2−デオキシ−3−O−α−L−フコピラノ
シル−β−D−グルコピラノシド(4)
酢酸−酢酸エチル−水(9:5:1、120ml)中の粗生成物(3)(1.05g)の
溶液を10%Pd/C(1g)上、200kPaで一晩水添分解した。混合物をセライト層を
通して濾過し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−
メタノール−水、65:35:6)に付して非晶物(4)(469mg、90%〔(2)か
ら計算〕)を得た。〔α〕D−116.0°(c 1.0、水)。
1H NMRデータ(D2O,アセトン基準、δ):4.99(d,1H,J 4.0Hz,H-1′),4.
46(d,1H,J 8.7Hz,H-1),4.33(bdd,1H,H-5′),3.98〜3.45(9H),3.51(s,3
H,OCH3),2.03(s,3H,NHAc),1.17(d,3H,CH3)
13C NMRデータ(D2O,アセトン基準,δ):177.6(CO),104.7(C-1),102.9(C
-1′),83.5,78.8,74.7,72.5,71.6,70.9,69.9,63.7,60.0,59.1(C-2),
25.2(NHAc),18.1(CH3)
実施例 2
3,3−ジメチルブチル2−アセトアミド−2−デオキシ−3−O−α−L−フコ
ピラノシル−β−D−グルコピラノシド(7)
(i)3,3−ジメチルブチル3−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル
−α−L−フコピラノシル)−4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−フタ
ルイミド−β−D−グルコピラノシド(5)
トリフルオロメタンスルホン酸(30μl、0.35ミリモル)を−30℃でジクロロ
メタン−ジエチルエーテル(2:1、45ml)中における(1)、3,3−ジメチル−
ブタン−1−オール(317μl、2.62ミリモル)、N−ヨードスクシンイミド(60
2mg、2.62ミリモル)および粉砕されたモレキュラーシーブ(1.5g、3Å)の撹
拌混合物に加えた。45分後、反応混合物をセライト層を通して炭酸水素ナトリウ
ムおよび重亜硫酸ナトリウムの水溶液中に濾過した。有機層を分離し、塩化ナト
リウム水溶液で洗浄し、濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(ヘプタン−酢
酸エチル、6:1)に付して非晶物(5)(1.42g、90%)を得た。〔α〕D−2
2.2°(c 1.0、CHCl3)。
1H NMRデータ(CDCl3,δ):7.80〜7.0(24 H,ベンジルおよびフタロイル),
5.57(s,1H,CHPh),5.35(d,1H,J 8.5Hz,H-1),4.84(bs,1H,H-1′),4.83
〜4.24(5H,CH2Ph),4.65(dd,1H,8.3および10.3 Hz,H-3),4.34(dd,1H,J 8
.5および10.4Hz,H-2),4.07(dd,1H,J 5.5および10.4 Hz,H-5′),3.96〜3.6
6(7H,中でもOCH2),3.53〜3.45(2H,中でもOCH2),1.46〜1.29(m,2H,CH2C(C
H3)3),0.88(d,3H,J 6.4 Hz,CH3),0.73(s,9H,CH2C(CH3)3)
13C NMRデータ(CDCl3,δ):168.0(CO),138.8〜123.0(ベンジルおよびフ
タロイル),101.1(CHPh),99.4(C-1′),98.9(C-1),82.1,79.5,76.0,75.7(
C-3),75.6,74.6,73.0,72.6,68.7,67.3(OCH2),67.2(C-5),66.2,55.8(C-
2),42.4(CH2C(CH3)3),30.8(CH2C(CH3)3),29.4(CH2C(CH3)3),16.3(CH3)
(ii)3,3−ジメチルブチル3−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フ
コピラノシル)−2−アセトアミド−4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−
β−D−グルコピラノシド(6)
水性90%エタノール(100ml)中における(5)(1.42g、1.58ミリモル)お
よびヒドラジン水和物(3.9ml、79ミリモル)の溶液を20時間還流下で煮沸し、
冷却し、濃縮した。残留物を一晩無水酢酸−ピリジン(50ml、1:1)でアセチ
ル化した。溶液を濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン−酢
酸エチル、3:1、1%メタノールを含有する)に付して非晶物(6)(1.16g
、90%)を得た。〔α〕D−74.7°(c 1.0、CHCl3)。
1H NMRデータ(CDCl3,δ):7.50〜7.20(20H,ベンジル),5.63(d,1H,J 7.
3 Hz,NH),5.51(s,1H CH2Ph),5.07(d,1H,J 3.1Hz,H-1′),4.93〜4.57(6H
,CH2Ph),4.92(d,1H,H-1),4.39〜4.29(2H,H-6およびH-3),4.11〜4.04(2H
,H-2′およびH-5′),3.98〜3.85(2H,H-3′およびOCH2),3.77(bt,1H,H-6)
,3.61(bs,1H,H-4′),3.55(bt,1H,H-4),3.59〜3.44(2H,H-5およびOCH2)
,3.33(bdd,1H,H-2),1.63(s,3H,OAc),1.56〜1.40(m,2H,CH2C(CH3)3),0
.89(s,9H,CH2C(CH3)3),0.82(d,3H,CH3)
13C NMRデータ(CDCl3,δ):170.4(CO),138.6〜126.0(ベンジル),101.6
(CHPh),100.7(C-1),98.1(C-1′),80.9(C-4),79.8(C-3′),77.6(C-4′),77
.0(C-2′またはC-5′),74.9(C-3),74.8(CH2Ph),74.0(CH2Ph),72.5(CH2Ph),
68.9(OCH2またはH-6),67.5(OCH2またはH-6),66.8(C-5′またはC-2′),66.2(C
-5),58.6(C-2),42.7(CH2C(CH3)3),29.7(CH2C(CH3)3),29.6(C(CH3)3)
,23.2(NHAc),16.2(CH3)
(iii)3,3−ジメチルブチル2−アセトアミド−2−デオキシ−3−O−α−L
−フコピラノシル−β−D−グルコピラノシド(7)
酢酸:酢酸エチル:水(9:5:1、120ml)中の化合物(6)(1.08g、1.3
3ミリモル)の溶液を木炭上の10%パラジウム(Pd/C)(1g)上、200kPaで一
晩水添分解した。混合物をセライト層を通して濾過し、濃縮した。残留物をカラ
ムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール−水、100:30:3)に付し
て非晶物(7)(566mg、94%を得た。〔α〕D−109.7°(c 1.0、水)。
1H NMRデータ(D2O,アセトン基準、δ):4.99(d,1H,H-1′),4.84(s,1H
,CHPh),4.34(bdd,1H H-5′),4.02〜3.43(11H),2.01(s,3H,NHAc),1.57〜
1.41(m,2H,CH2C(CH3)3),1.17(d,3H,CH3),0.90(s,9H,C(CH3)3)
13C NMRデータ(D2O,アセトン基準,δ):177.3(CO),103.6(C-1),102.8(C
-1′),83.6,78.8,74.8,72.5,71.6,70.9,69.8,63.7,58.1(C-2),44.9(
CHC(CH3)3),31.9(C(CH3)3),31.9(C(CH3)3),25.2(NHAc),18.1(CH3)
実施例 3
Fucα1-3GlcNAcβ1−O−スーペーサ−1-BSA−コンジュゲート(11)
(i)8−アジド−3,6−ジオキサオクチル3−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジ
ル−α−L−フコピラノシル)−4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−
フタルイミド−β−D−グルコピラノシド(8)
トリフルオロメタンスルホン酸(24μl、0.27ミリモル)を−30℃でジクロロ
メタン−ジエチルエーテル(30ml、2:1)中における
(1)(1.15g、1.34ミリモル)、8−アジド−3,6−ジオキサオクタン−1−
オール(352μl、2.01ミリモル)(P.H.Amvam-ZolloおよびP.SinaiのCarbohyd
r.Res.150,199〜212(1986年)に従って製造した)、N−ヨードスクシンイ
ミド(461mg、2.01ミリモル)および粉砕されたモレキュラーシーブ(1.15g、
3Å)の撹拌混合物に加えた。1時間後、反応混合物をセライト層を通して炭酸
水素ナトリウムおよび重亜硫酸ナトリウムの水溶液中に濾過した。有機層を分離
し、塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフ
ィー(ヘプタン−酢酸エチル、2:1)に付して非晶物(8)(1.03g、79%)
を得た。〔α〕D−21.7°(c 1.0、CHCl3)。
1H NMRデータ(CDCl3,δ):7.80〜7.05(24H,Bzl,Phth),5.59(s,1H,CHP
h),5.44(d,1H,J 8.6 Hz,H-1),4.83(bs,1H H-1′),4.83〜4.24(5H,CH2Ph
),4.65(dd,1H,J 8.5および10.3 Hz,H-3),4.45〜4.41(1H-3′),4.39(dd,1
H,J 8.6および10.3 Hz,H-2),4.09(dd,1H,J 6.4および12.6 Hz,H-5′),3.
99〜3.83(3H,中でもOCH2),3.81〜3.68(5H,中でもOCH2),3.61〜3.30(11H,中
でもOCH2およびCH2N3),0.90(d,3H,J 6.4 Hz,CH3)
13C NMRデータ(CDCl3,δ):169.0(CO),138.9〜123.1(Bzl,Phth),101.1(
CH2Ph),99.4(C-1′),98.9(C-1),82.1,79.6,78.0,75.6,75.5,74.7,73.1
,72.6,70.5,70.4,70.1,69.9,69.1,68.7,67.2,66.2,55.7(C-2),50.6(
CH2N3),16.4(CH3)
(ii)8−アジド−3,6−ジオキサオクチル 2−アセトアミド−3−O−(2,3,
4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)−4,6−O−ベンジリデン−
2−デオキシ−β−D−グルコピラノシ
ド(9)
水性90%エタノール(45ml)中における(8)(633mg、0.65ミリモル)およ
びヒドラジン水和物(1.6ml、33ミリモル)の溶液を24時間還流下で煮沸し、冷
却し、濃縮した。残留物を一晩無水酢酸−ピリジン(50ml、1:1)でアセチル
化した。溶液を濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−
アセトン、9:1)および再クロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘプタン、3:
1)に付して非晶物(9)(440mg、77%)を得た。〔α〕D−72.6°(c 1.0、C
HCl3)。
1H NMRデータ(CDCl3,δ):7.50〜7.25(20H,ベンジル),7.92(d,1H,J 5.
9 Hz,NH),5.51(s,1H,CHPh),5.16(d,1H,J 3.5Hz,H-1′),4.93(d,1H,J
7.7,H-1),4.95〜4.56(6H,CH2Ph),4.34(dd,1H,J 4.9および10.4Hz,H-6)
,4.26(bt,1H,H-3),4.12(bdd,1H,H-5′),4.06(dd,1H,J 3.5および10.1
Hz,H-2′),3.95(dd,1H,J 2.7および10.1 Hz,H-3′),3.90(bt,1H,H-6),
3.81〜3.45(14H,中でもOCH2),3.40(m,2H,CH2N3),1.74(s,3H,NHAc),0.84
(d,3H,J 6.4 Hz,CH3)
13C NMRデータ(CDCl3,δ):170.4(CO),138.7〜126.1(ベンジル),101.5(C
HPh),101.2(C-1),97.8(C-1′),80.6(C-4),79.6(C-3′),77.7(C-4′),76.7
(C-2′またはC-5′),74.9(C-3),74.6(CH2Ph),73.7(CH2Ph),72.2(CH2Ph),70
.6(CH2O),70.6(CH2O),70.4(CH2O),69.9(CH2O),68.8(CH2O),68.8(H-6),66.
7(C-2′またはC-5′),66.2(C-5),57.8(C-2),50.6(CH2N3),23.2(NHAc),16.2
(CH3)
(iii)8−アミノ−3,6−ジオキサオクチル 2−アセトアミド−2−デオキシ
−3−O−α−L−フコピラノシル−β−D−グルコピ
ラノシド酢酸塩(10)
酢酸−水(9:1、30ml)中の(9)(57mg、0.065ミリモル)の溶液を10%Pd
/C(100mg)上、200kPaで一晩水添分解した。混合物をセライト層を通して濾過
し、濃縮した。残留物を最初にシリカゲル(クロロホルム−メタノール−水、4
:4:1)次にAl2O3(Merck、塩基性、0.063〜0.200mm、クロロホルム−メタノ
ール−水、4:4:1)上のカラムクロマトグラフィーに付して非晶物(10)(
18mg、51%)を得た。〔α〕D−70.6°(c 0.2、水)。
1H NMRデータ(D2O,アセトン基準、δ):4.98(d,1H,J 4.0 Hz,H-1′),4
.53(d,1H,J 8.6 Hz,H-1),4.32(bdd,1H H-5′),4.05〜3.42(19H),3.19(m
,2H CH2NH2),2.01(s,3H NHAc),1.88(CH3COOH),1.14(d,3H,J 6.6Hz,CH3)
13C NMRデータ(D2O,アセトン基準,δ):184.2(CH3COOH),103.8(C-1),10
2.8(C-1′),83.3,78.8,74.8,72.6,72.5,72.4,72.0,71.5,70.9,69.8,
69.4,63.7,58.1(C-2),42.0(CH2NH2),26.3(CH3COOH),25.2(NHAc),18.1(CH3
)
(iv)Fucα1-3G1cNAcβ1−O−スーペーサ−1-BSA-コンジュゲート(11)
アセトン(6ml)中におけるチオホスゲン(67μl、0.856ミリモル)を水−エ
タノール−0.1Mホスフェート緩衝液(pH7、1:1:1、30ml)中における(10
)(120mg、0.214ミリモル)の氷冷溶液に滴加した。反応の間、pHを水酸化ナト
リウム水溶液(1M)で6〜7に保持した。20分後、混合物をジエチルエーテル
(30ml)で抽出し、10mlの容量まで濃縮し、炭酸水素ナトリウム水溶液(15ml、
0.1M、pH 9.3)中のウシ血清アルブミン(695mg、10.7ミリモル)の水
溶液に加えた。添加の間、pHを水酸化ナトリウム水溶液(1M)で9に調整した
。24時間後、反応混合物を限外濾過(Filtron、オメガセル150、10K)により脱
塩し、凍結乾燥して(11)(672mg)を得た。置換度を糖分析により測定(M.A
.Jermyn,Anal.Chem.68,332〜335(1975年)を参照)したところ、タンパク
質1モルあたり15〜18モルの二糖であった。
実施例 4
2−トリメチルシリルエチル 2−アセトアミド−2−デオキシ−4−O−α−
L−フコピラノシル−β−D−グルコピラノシド(16)(i)トリメチルシリル
エチル3,6−ジ−O−ベンゾイル−2−デオキシ−2−フタルイミド−β−D−
グルコピラノシド(13)
2−トリメチルシリルエチル−2−デオキシ−2−フタルイミド−β−D−グ
ルコピラノシド(12)(1.64g、4.0ミリモル)(K.Jansson,S.Ahlfors,T.
Frejd,J.Kilhberg,G.Magnusson,J.Dahmen,G.NooriおよびK.Stenvallの
J.Org.Chem.53,5629〜5647(1988年)に記載のようにして製造した)をピリ
ジン−ジクロロメタン(3:1、24ml)に溶解し、−45℃まで冷却した。塩化ベ
ンゾイル(1060ml、9.1ミリモル)およびピリジン(900ml)の混合物を30分間加
えた。反応を3時間後に終了し、メタノール(40ml)を加えた。溶媒を蒸発させ
、残留物をトルエンと一緒に3回共蒸発させた。残留物をクロマトグラフィー(
SiO2、ヘプタン/酢酸エチル2:1→1:1)に付して純粋な生成物(13)(2.
38g、96%)を
1H NMRデータ(CDCl3,δ):d7.3〜8.2(m,14H,2ベンジル,N−フタラモ
イル),5.88(dd,1H,J 7.1,8.3 Hz,H-3),5.46(d,
1H,J 8.5 Hz,H-1),4.79(dABq,1H,J 4.2,12.4 Hz,H-6),4.67(dABq,1H,
J 1.9,11.7 Hz,H-6),4.45(dd,1H,J 8.4,10.8Hz,H-2),3.8〜4.1(m,3H,
H-4,H-5,OCH2CH2),3.57(dt,1H J 7.2,9.7 Hz,OCH2CH2),0.7〜1.0(m,2H
,CH2Si),-0.15(s,6H,SiMe3)
(ii)2−トリメチルシリルエチル3,6−ジ−O−ベンゾイル−4−O−(2,3,4
−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)−2−デオキシ−2−フタル
イミド−β−D−グルコピラノシド(15)
化合物(13)をジクロロメタン−N,N−ジメチルホルムアミド(8ml、5:3
)および臭化テトラブチルアンモニウム(664mg、2.06ミリモル)に溶解し、モ
レキュラーシーブ(4Å、4g、活性化)を加えた。ジクロロメタン(8ml)中
におけるチオエチル2,3,4−トリ−O−ベンジル−1−チオ−β−L−フコピラ
ノシド(14)(986mg、
年)に従って製造した)の溶液に、ジクロロメタン(2ml)の臭素(122ml、2.3
7ミリモル)を加えた。15分間撹拌した後、シクロヘキセン(蒸留)を臭素の色
が消えるまで滴加した。次に、この溶液を化合物(13)を含有する上記の混合物
に加え、48時間撹拌した。次に、混合物をセライトを通して濾過し、溶媒を蒸発
させ、残留物をトルエンと一緒に3回共濃縮した。残留物をカラムクロマトグラ
フィー(ヘプタン/酢酸エチル、5:1→1:1)に付して(15)(896mg、
1H NMRデータ(CDCl3,δ):5.44(d,1H,J 8.5 Hz,H-1),4.80(d,1H,J 3
.6Hz,H-1′)
(iii)2−トリメチルシリルエチル2−アセトアミド−2−デオキシ−4−O
−(α−L−フコピラノシル)−β−D−グルコピラノシド(16)
化合物(15)(760mg、0.74ミリモル)をメタノール(7ml)に溶解し、ナト
リウムメトキシド(220ml、2M、メタノール中)を加えた。溶液を室温で一晩
撹拌し、次にアンバーライトIR-120(H)で中和した。濾過し、溶媒を蒸発させ
てシロップを得た。シロップを酢酸(15ml)に溶解し、10%Pd/C(860mg)を加
えた。1.5時間の水添分解(100kPa)後、混合物を濾過し、溶媒を蒸発させた。
得られるシロップをエタノール(18ml)に溶解し、ヒドラジン水和物を加えた。
溶液を3時間還流した。溶媒を蒸発させ、エタノールと一緒に5回共蒸発させて
シロップを得、それをメタノール−水混合物(5:1、60ml)に溶解した。無水
酢酸(5ml)を加え、溶液を1.5時間撹拌した。溶媒を蒸発させた。カラムクロ
マトグラフィー(SiO2、ジクロロメタン/メタノール、5:1)により(16)(
100mg、29%)を得た。
1H NMRデータ(D2O,δ):d4.93(d,1H,J 3.66Hz,H-1′),4.52(d,1H,J
8.06 Hz,H-1)
実施例 5
メチル2−アセトアミド−2−デオキシ−6−O−α−L−フコピラノシル−β
−D−グルコピラノシド(22)
(i)エチル2−デオキシ−2−フタルイミド−1−チオ−β−D−グルコピラ
ノシド(18)
エチル3,4,6−トリ−O−アセチル−2−デオキシ−2−フタルイミド−1−
チオ−β−D−グルコピラノシド(17)(5.79g、12ミ
リモル)(H.LonnのCarbohydr.Res.139,105〜113(1985年)に従って製造し
た)をメタノール(250ml)に溶解し、メタノール性ナトリウムメトキシド(0.2
M、2.5ml)を加えた。混合物を15時間撹拌した。酸性カチオン交換樹脂(Bio-R
ad AG(登録商標)50W-X8)で中和し、濾過し、蒸発させ、そして水から結晶さ
せて(18)(3.83g、
9.8°(c 0.9、メタノール)。
1H NMRデータ(CD3OD,CHD2OD基準,δ)d:7.91〜7.79(5H),5.32(d,1H,J
10.5Hz,H-1),4.28(dd,1H,J 10および8 Hz,H-3),4.05(t,1H,J 10.5Hz,H
-2),3.93(dd,1H,J 12および2 Hz,H-6),3.73(dd,1H,J 12および5.5 Hz,H
-6),3.46(ddd,1H,J10,5.5および2 Hz,H-5),3.40(dd,1H,J 10および8 Hz
,H-4),2.74(dq,1H,J 12.5および7.5 Hz,SCH),2.63(dq,1H,J 12.5および
7.5 Hz,SCH)および1.17(t,3H,J 7.5Hz,CH3CH2)
(ii)エチル3,4−ジ−O−アセチル−6−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−
α−L−フコピラノシル)−2−デオキシ−2−フタルイミド−1−チオ−β−
D−グルコピラノシド(19)
臭素(0.485ml、9.4ミリモル)を0℃でジクロロメタン(70ml)中におけるエ
チル2,3,4−トリ−O−ベンジル−1−チオ−β−L−フコピラノシド(14)(4
.5g、9.4ミリモル)の溶液に加えた。混合物を35分間撹拌し、次にベンゼンと
共に2回蒸発させた。シクロヘキセン(0.5ml)を加え、混合物を再びベンゼン
と共に蒸発させた。残留物をジクロロメタン(25ml)に溶解してから、1時間に
わたってジメチルホルムアミド(75ml)中における化合物(18)(3.32g、9.4
ミリモル)、粉末状モレキュラーシーブ(20g、4Å)および臭
化テトラエチルアンモニウム(3.5g)の撹拌混合物に加えた。反応混合物を0
℃で2時間、次に室温で2時間撹拌してセライトを通して濾過した。濾液をジク
ロロメタンおよび飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に分配した。水相をジクロロメ
タンで抽出し、合一した有機相を水で洗浄し、濃縮した。残留物をクロマトグラ
フィー(酢酸エチル−ヘプタン、1:1→3:1)に付して粗生成物を得、それ
を無水酢酸(50ml)およびピリジン(75ml)中、室温で17時間撹拌することによ
りO−アセチル化した。トルエンと共に蒸発させ、クロマトグラフィー(酢酸エ
チル−ヘプタン、1:2→1:3)に付
ム)。
1H-NMRデータ(CHCl3,δ):7.90〜7.83(2H),7.79〜7.71(2H),7.45〜7.24(
15H),5.83(dd,1H,J 10および9.5 Hz,H-3),5.43(d,1H,J 10.5 Hz,H-1),
5.09(dd,1H,J 10および9.5 Hz,H-4),4.99および4.67(2H AB-系,J 11.5 Hz
,ベンジルのH),4.97(d,1H,J 3.5 Hz,H-1′),4.89および4.77(2H,AB-系,
J 12 Hz,ベンジルのH),4.79および4.73(2H,AB-系,J 12 Hz,ベンジルのH),
4.39(t,1H,J 10.5 Hz),4.06(dd,1H,J 10および3.5Hz),3.97-3.87(3H),3.
76(dd,1H,J 12および6 Hz),3.70-3.62(2H),2.67(dq,1H,J 12および7.5 Hz
,SCH),2.56(dq,1H J 12および7.5Hz,SCH),1.98(s,3H,CH3CO),1.87(s,3
H,CH3CO),1.15(t,3H,J 7.5 Hz,CH3CH2),1.13(d,3H,J 7.5Hz,Fuc-CH3)
元素分析値(C47H51NO12Sとして)
計算値:C 66.1% H 6.02% N 1.64% S 3.75%
実測値:C 66.4% H 6.1% N 1.55% S 3.25%
(iii)メチル3,4−ジ−O−アセチル−6−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル
−α−L−フコピラノシル)−2−デオキシ−2−フタルイミド−β−D−グル
コピラノシド(20)
−30℃でジクロロメタン−ジエチルエーテル(2:1、25ml)中における(19
)(853mg、1ミリモル)、メタノール(0.102ml、2.5ミリモル)、N−ヨード
スクシンイミド(344mg、1.52mg)および粉末状モレキュラーシーブ(0.9g、4
Å)の混合物にトリフルオロメタンスルホン酸(0.030ml、0.3ミリモル)を加え
た。2.5時間後、反応混合物をセライトを通して炭酸水素ナトリウムおよび重亜
硫酸ナトリウムの水溶液中に濾過した。有機相を分離し、飽和塩化ナトリウム水
溶液で洗浄し、濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘプタン
、2:3)に付して(20)(778mg、94%)を得た。
1H-NMRデータ(CHCl3,δ):7.90〜7.82(2H),7.78〜7.70(2H),7.45〜7.24(
15H),5.79(dd,1H,J 11および9 Hz,H-3),5.26(d,1H,J 8.5Hz,H-1),5.08
(dd,1H,J 10および9 Hz,H-4),4.99および4.67(AB-系,2H,J 11.5 Hz,ベン
ジルのH),4.96(d,1H,J3.5 Hz,H-1′),4.88および4.77(AB-系,2H,J 12 Hz
,ベンジルのH),4.81および4.69(AB-系,2H,J=12Hz,ベンジルのH),4.28(dd
,1H,J 11および8.5 Hz,H-2),4.07(dd,1H,J 10および3.5 Hz),3.99-3.85(
3H),3.77(dd,1H,J 12および6 Hz),3.71-3.64(2H),3.34(s,3H CH3O),2.00
(s,3H,CH3CO),1.86(s,3H CH3CO),1.14(d,3H,J 6.5 Hz,Fuc-CH3)
元素分析値(C46H49NO13として)
計算値:C 67.06% H 5.99% N 1.70%
実測値:C 67.0% H 6.1% N 1.65%
(iv)メチル 2−アセトアミド−6−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−
L−フコピラノシル)−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド(21)
化合物(20)をメタノール性ナトリウムメトキシド(9.5mM、31.5ml)中で1.5
時間脱アセチル化した。酸性カチオン交換樹脂(Bio-RadAG(登録商標)50W-X8
)で中和し、濾過し、そして濃縮して残留物を得、それをメタノール(20ml)に
溶解した。ヒドラジン一水和物(0.8ml)を加え、混合物を4時間加熱還流し、
次に10℃まで冷却した。水(15ml)および無水酢酸(5ml)を加え、反応混合物
を室温で撹拌した。20分後、白色の沈殿物を得た。メタノール(10ml)を加えて
撹拌を容易にした。さらに2.5時間後、ピリジン(2ml)を加えて透明な溶液を
得た。次に混合物を30分間撹拌した。メタノールを蒸発させ、水性残留物をジク
ロロメタンで抽出した。有機相を1MHClおよび飽和炭酸水素ナトリウム溶液で
洗浄し、濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(酢酸エチルーメタノール、10
:1)に付して(21)(435mg、77%)を得た。分析試料をエタノールから結晶
さ
1H-NMRデータ(CDCl3-CD3OD,3:1,CHD2OD基準,δ)d:7.41〜7.20(15H)
,4.91および4.61(AB-系,2H,J 11.5 Hz,ベンジルのH),4.80および4.70(AB-
系,2H,J 11.5 Hz,ベンジルのH),4.78(d,1H,J 3 Hz,H-1′),4.75(s,2H
,ベンジルH),4.24(d,1H,J8.5Hz,H-1),4.09-3.97(2H),3.92(dd,1H,J 10
および2.5Hz),3.86(dd,1H,J 11および2 Hz),3.77〜3.56(3H),3.42(dd,1H
,J9.5および8.5Hz),3.36(s,3H,CH3O),1.97(s,3H,CH3CO),
1.07(d,3H,J 6.5Fuc-CH3)
(v)メチル2−アセトアミド−2−デオキシ−6−O−α−L−フコピラノシ
ル−β−D−グルコピラノシド(22)
酢酸(50ml)中の(21)(362mg、0.56ミリモル)の溶液を10%Pd/C(160mg)
上、230kPaで一晩水添分解した。混合物をセライト層を通して濾過し、濃縮した
。残留物をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール−水、65:40
:10)に付して非晶物(22)
1H NMRデータ(D2O,CH3OH基準、δ):4.95(d,1H,J 4 Hz,H-1′),4.46(d
,1H,J 8.5Hz,H-1),4.15(q,1H,J 6.5 Hz),4.02(dd,1H,J 12および1.5Hz
),3.92(dd,1H,J 10.5および3.5Hz),3.84〜3.67(4H),3.62〜3.49(6H),3.51
(s,CH3O),1.24(d,3H,J 6.5 Hz,Fuc-CH3)
13C NMRデータ(D2O,CH3OH基準、δ):177.7,105.0,102.4,78.0,76.9,
74.8,72.9,72.5,71.2,70.3,69.7,60.0,58.5,25.2,18.3
実施例 6
3,3−ジメチルブチル 2−アセトアミド−2−デオキシ−6−O−α−L−フコ
ピラノシル−β−D−グルコピラノシド(24)
(i)3,3−ジメチルブチル3,4−ジ−O−アセチル−6−O−(2,3,4−トリ−
O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)−2−デオキシ−2−フタルイミド−
β−D−グルコピラノシド(23)
−30℃でジクロロメタン−ジエチルエーテル(2:1、25ml)中における(19
)(853mg、1ミリモル)、3,3−ジメチルブタン−1−オール(0.182ml、1.5ミ
リモル)、N−ヨードスクシンイミド(344
mg、1.52ミリモル)および粉砕状モレキュラーシーブ(0.9g、4Å)の撹拌混
合物にトリフルオロメタンスルホン酸(0.017ml、0.19ミリモル)を加えた。1
時間後、さらに3,3−ジメチルブタン−1−オール(0.100ml、0.82ミリモル)お
よびトリフルオロメタンスルホン酸(0.015ml、0.17ミリモル)を加え、撹拌を2
.5時間続けた。次に反応混合物をセライト層を通して炭酸水素ナトリウムおよび
重亜硫酸ナトリウムの水溶液中に濾過した。有機相を塩化ナトリウム水溶液で洗
浄し、濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(酢酸エチル−
8.5°(c 1.3、CHCl3)。
1H NMRデータ(CHCl3,δ):7.89〜7.82(2H),7.78〜7.70(2H),7.44〜7.24(
15H),5.79(dd,1H,J 11および9Hz,H-3),5.32(d,1H,J 8.5 Hz,H-1),5.08
(dd,1H,J 10および9 Hz,H-4),4.99および4.66(AB-系,2H,J 11.5 Hz,ベン
ジルのH),4.91(d,1H,J3.5 Hz,H-1′),4.88および4.77(AB-系,2H,J 12Hz
,ベンジルのH),4.80および4.69(AB-系,2H,J=12 Hz,ベンジルのH),4.29(dd
,1H,J 11および8.5 Hz,H-2),4.05(dd,1H,J 10および3.5Hz),3.99〜3.73(
6H),3.70〜3.63(2H),3.38(m,1H),1.98(s,3H,CH3CO),1.87(s,3H,CH3CO)
,1.30(m,2H,OCH2CH2),1.13(d,3H,J 6.5 Hz,Fuc-CH3),0.69(s,9H)
元素分析値(C51H49NO13として)
計算値:C 69.3% H 5.59% N 1.59%
実測値:C 68.4% H 6.65% N 1.75%
(ii)3,3−ジメチルブチル 2−アセトアミド−2−デオキシ−6−O−α−L
−フコピラノシル−β−D−グルコピラノシド(24)
化合物(23)(680mg、76ミリモル)をメタノール(25ml)に溶解した。メタ
ノール性ナトリウムメトキシド(0.2M、1ml)を加え、混合物を3.5時間撹拌し
た。酸性カチオン交換樹脂(Bio-Rad AG(登録商標)50W-X8)で中和し、濾過し
、そして蒸発させて残留物を得、それをメタノール(20ml)に溶解した。ヒドラ
ジン一水和物(0.5ml、10.3ミリモル)を加え、混合物を3.5時間加熱還流し、次
に10℃まで冷却した。水(10ml)、メタノール(2ml)および無水酢酸(2.5ml
)を加え、混合物を室温で2.5時間撹拌し、その間さらに無水酢酸(2.0および0.
5ml)を加えた。次にメタノールを蒸発させ、水性残留物をジクロロメタンおよ
び水に分配した。水相をジクロロメタンで抽出し、有機相を濃縮した。残留物を
クロマトグラフィー(酢酸エチルーメタノール、20:1)に付して生成物を得、
それを酢酸(50ml)に溶解した。10%Pd/C(160mg)を加え、混合物を230kPaで
4時間、室温で水添分解した。混合物をセライト層を通して濾過し、濃縮した。
残留物をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム−メタノール−水、150:40
:3→65:40:10)に付して非晶物(24)(275mg、
1H NMRデータ(D2O,CH3OH基準,δ):4.94(d,1H,J 4Hz,H-1′),4.54(d
,1H,J 8.5 Hz,H-1),4.15(q,1H,J 6.5 Hz),4.03-3.88(8H),2.03(s,3H,
CH3CON),1.58〜1.40(2H,OCH2CH2),1.24(d,3H,J 6.5 Hz,Fuc-CH3),0.90(s
,9H)
13C NMRデータ(D2O,CH3OH基準,δ):177.5,104.0,102.4,77.9,76.9,
74.9,73.0,72.6,71.2,71.0,69.7,58.6,45.0,31.9,25.2,18.4
元素分析値(C20H37NO10として)
計算値:C 53.2% H 8.26% N 3.10%
実測値:C 51.2% H 8.25% N 3.2%
実施例 7
Fucα1-2Galβ1-O−スペーサ−4-HSA(31)
(i)エチル2−O−アセチル−3,4,6−トリ−O−ベンジル−1−チオ−β−
D−ガラクトピラノシド(25)
jugate J.,6,21〜34(1989年)に記載の手順に従ってアセトブロモガラクトー
ス(70.73g、0.172ミリモル)から製造した。(25)の収量は26.13g(28%)
であった。
TLC:Rf0.33(ヘプタン:酢酸エチル、9:2)
13C-NMR(CDCl3)δ:170.2(CO),139.2,138.6,138.4(芳香族のC),84.2,8
2.1,78.1,75.0,74.1,73.6,72.6,70.3,69.2,.(C-1,2,3,4,5,6,3
×CH2Ph),24.1(SCH2CH3),21.6(OCOCH3),15.4(SCH2CH3)
1H-NMR(CDCl3)δ:5.43(bt,1H,J2,3 9.7 Hz,H-2),(d 1H,J1,211.9 Hz
,H-1),4.01(bd,1H,J3,42.9 Hz,H-4),3.55(dd,1H,H-3)
(ii)エチル2−O−ベンゾイル−3,4,6−トリ−O−ベンジル−1−チオ−β
−D−ガラクトピラノシド(26)
エチル2−O−アセチル−3,4,6−トリ−O−ベンジル−1−チオ−β−D−
ガラクトピラノシド(25)をメタノール中のナトリウムメトキシド(50ml、pH
12)を用いて脱アセチル化し、次に標準法に従ってピリジン(20ml)中の塩化ベ
ンゾイル(1.96g、14ミリモル)を用いてベンゾイル化した。結晶26をほぼ定量
的収量で得た(3.44
g、97%)。
NMR(CDCl3)1H:δ5.70(1H,t,9.8 Hz,H-2),2.60〜2.80(2H,m,-CH2CH3)
13C:δ14.8,23.6(SEt),68.6,70.2,71.7,72.8,73.6,74.4,76.6,127.
5〜138.6(芳香族のC),165.4(C=0)
(iii)2−アジドエチル3,4,6−トリ−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノ
シド(28)
ジクロロメタン(25ml)中におけるチオグリコシド(26)(700mg、1.17ミリ
モル)、2−アジドエタノール(204mg、2.34ミリモル;A.Ya.Chernyakらおよ
びA.V.Rama RaoのCarbohydr.Res.,223,303〜309(1992年)に従って製造し
た)、N−ヨードスクシンイミド(395mg、1.75ミリモル)および粉末状モレキ
ュラーシーブ(3Å、400mg)の撹拌混合物に、トリフルオロメタンスルホン酸
(TfOH;35mg、0.23ミリモル;G.H.Veeneman,S.H.Van Leeuwen,J.H.Van
BoomのTetrahedron Lett.,31,1331(1990年)に記載の方法により製造した)
を0℃で加えた。TLC(トルエン:酢酸エチル、6:1)が完全な変換を示した
時(<15分)、0℃でトリエチルアミンを加えて反応混合物を急冷した。溶液を
セライト層を通して濾過し、ジクロロメタンで希釈し、水性Na2S2O3(10%)で
2回、最後に水で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濃
縮し、そして残留物を直ちにTLC(トルエン:酢酸エチル、15:1)に付した
。溶媒を除去して672mgの2−アジドエチル2−O−ベンゾイル−3,4,6−トリ−
O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシド(27)を無色の油状物(92%)とし
て得、それをメタノール中のナトリウムメトキシド(pH 11)を用いて室温で6
時間処理した。溶液をDowex
50 H+樹脂で中和し、濾過し、濃縮した。結晶性生成物(28)(540mg、89%(2
から))をさらに精製することなく二糖類(29)の製造に使用した。
化合物(27):NMR(CDCl3)1H:δ5.66(1H,dd,10.0,7.9Hz,H-2),4.57(1
H,d,7.8Hz,H-1)
13C:δ50.7(CH2N3),67.3,68.7,71.9,72.5,73.6,73.9,74.5,101.4(
C-1),127.6〜137.8(芳香族のC),165.3(C=0)
化合物(28):13C:δ50.7(CH2N3),68.4,68.7,71.4,72.6,73.0,73.6,
73.9,74.5,81.7,103.4(C-1),125.3〜138.4(芳香族のC)
(iv)2−アジドエチル3,4,6−トリ−O−ベンジル−2−O−(2,3,4−トリ−
O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)−β−D−ガラクトピラノシド(29)
ジクロロメタン(10ml)中におけるチオエチルグリコシド(14)(400mg、0.8
36ミリモル)の溶液に、0℃で臭素(134mg、0.836ミリモル)を加えた。0℃で
約5分後、溶液を室温にし、溶媒を蒸発させた。トルエンを用いて共蒸発させた
後、残留物をジクロロメタン(2ml)に溶解し、CH2Cl2:DMF(4:1、7ml)
中における臭化テトラエチルアンモニウム(176mg、0.836ミリモル;R.U.Lemi
eux,K.B.Hendriks,R.V.Stick,K.JamesのJ.Am.Chem.Soc.,97:14,4
056(1975年)に従って製造した)、化合物(28)(290mg、0.558ミリモル)お
よび粉末状モレキュラーシーブ(3Å、300mg)の懸濁液に室温で加えた。20時
間撹拌した後、TLC(トルエン:酢酸エチル、6:1)は完全な変換を示した。
混合物を濾過し、ジクロロメタンで希釈し、水で洗浄した。有機相を硫酸マグネ
シウム上で
乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した、分取用TLCにより表題化合物(29)を粘性
油状物(407mg、78%)として得た。
NMR(CDCl3)13C:δ16.5,33.6,50.9,66.4,66.9,68.8,71.4,72.0,72.
8,72.9,73.5,73.6,74.4,74.8,75.7,78.1,79.6,84.3,97.3,102.0,12
5.3〜129.0(芳香族のC),138.0,138.3,139.0
(v)2−アミノエチル2−O−α−L−フコピラノシル−β−D−ガラクトピ
ラノシド(30)
保護された二糖誘導体(29)(80mg、85μモル)をエタノール(無水、10ml)
および水(1ml)に溶解し、Pd/C(10%、100mg)を加えた。混合物を水素化し
、室温において50 psiで迅速に撹拌した。反応が60時間以内に終了しない時、混
合物を濾過し、生成物を単離した(TLC、酢酸エチル:メタノール:酢酸:水、
5:3:3:1、Rf=0.15)。真空中で濃縮した後、残留物を水性ピリジン/酢
酸(2.5%/1%、pH 5.4)の緩衝液に溶解し、Bio Gel P-2カラムを用いて溶離
した。蒸発および凍結乾燥により14mg(44%)に表題化合物(30)を白色の粉末
として得た。
NMR(CDCl3)13C:δ16.8,39.8,61.1,66.4,67.1,68.7,69.6,71.9,73.
0,75.0,78.4,100.0,101.7
(vi)Fucα1-2Galβ1−O−スペーサ−4-HSA(31)
テトラヒドロフラン(2ml)中におけるチオホスゲン(10当量)の撹拌された
氷冷溶液に、ホウ酸ナトリウム緩衝液(0.85M、2ml、pH 8.5)中のアミノ誘導
体(30)(30μモル)を加えた。溶液を室温で10分間撹拌し、次にジエチルエー
テル(3×2ml)で抽出した。イソチオシアネート誘導体を含有する水相を同じ
緩衝液(0.5ml)中
におけるヒト血清アルブミン(HSA)(1/30当量)の溶液に加えた。pHを水酸化
ナトリウム水溶液(0.25M)で8.5に調整し、混合物を室温で48時間撹拌した。
反応混合物を凍結乾燥し、Centriprep管(10 KO)を用いて超遠心分離により精
製した。精製した溶液を凍結乾燥してHSA−コンジュゲート(31)を優れた収量
(18mg)で得た。置換度をフライト時間(Time of Flight)質量分光分析法によ
り測定したところタンパク質1モルあたり8モルの二糖であった、
実施例 8
Fucα1-2Galβ1−O−スペーサ−1-HSA(36)
(i)8−アジド−3,6−ジオキサオクチル3,4,6−トリ−O−ベンジル−β−D
−ガラクトピラノシド(33)
アジド誘導体(33)を誘導体(28)の合成に使用されたものと同様の手順に従
ってチオグリコシド(26)(1004mg、1.68ミリモル)および1−アジド−8−ヒ
ドロキシ−3,6−ジオキサオクタン(686mg、3.35ミリモル,C.R.Bertozzi,M
.D.BednarskiのJ.Org.Chem.,56,4326〜4329(1991年)に従って製造した
)から合成した。TLC(トルエン:EtOAc6:1)は40分以内で完全な変換を示し
た。同様の後処理および8−アジド−3,6−ジオキサオクチル2−O−ベンゾイ
ル−3,4,6−トリ−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシド(32)の脱アシ
ル化により933mg(78%(26から))の表題化合物(33)を粘性の油状物として
得た。
化合物(32);NMR(CDCl3):1H:δ5.64(1H,dd,10.0,7.9Hz,H-2)
13C:δ50.6(CH2N3),68.7,68.9,69.8,70.3,70.5,70.7,71.8,71.9,
72.6,73.6,73.8,74.6,80.0,101.6(C-1)
化合物(33);13C:δ50.6(CH2N3),68.7,68.8,70.0,70.2,70.5,70.6
,71.4,72.6,73.3,73.5,73.8,74.5,81.0,103.8(C-1)
(ii)8−アジド−3,6−ジオキサオクチル3,4,6−トリ−O−ベンジル−2−O
−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)−β−D−ガラク
トピラノシド(34)
二糖(34)を対応する誘導体(29)について記載した手順に従って化合物(33
)(500mg、0.82ミリモル)およびチオエチルグリコシド(14)(512mg、1.07ミ
リモル)から合成した。分取用TLCにより683mg(81%)の表題化合物(34)を油
状物として得た。
NMR(CDCl3)13C:δ18.3,50.2,66.2,68.2,68.8,70.0,70.2,70.3,70.
6,71.2,72.0,72.3,72.5,73.0,73.3,73.6,74.4,74.6,75.8,78.0,79.
7,84.2,98.6,102.0
(iii)8−アミノ−3,6−ジオキサオクチル2−O−α−L−フコピラノシル−
β−D−ガラクトピラノシド(35)
8−アジド−3,6−ジオキサオクチル3,4,6−トリ−O−ベンジル−2−O−(
2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)−β−D−ガラクトピ
ラノシド(34)(35mg、34μモル)を(S.NilssonのDoctoral dissertation,L
und University(1992年4月)に記載の方法に従って)1:2:2の酢酸エチル
:エタノール:水の混合物(容量、12ml)に溶解し、20μlのHOAcで酸性にした
。溶液を室温で一晩、10%Pd/C(140mg)上、50 psiで水素化し、そしてTLC(酢
酸エチル:メタノール:酢酸:水、5:3:3:1)が完全な脱保護を示した時
、混合物を濾過し、蒸発させた。Bio-Gel(登録商標)P-2カラム(水性ピリジン
:酢酸、容量で2.5:1、pH 5.4)
上の精製、濃縮、凍結乾燥により表題化合物(35)を白色の粉末(14mg、90%)
として得た。
NMR(CDCl3)13C:δ15.2(CH3),38.9,60.7,66.1,66.5,68.1,68.5,68.7
,69.2,69.3,69.4,69.6,71.7,73.4,74.8,76.6,99.2(C-1′),101.4(C-1
)
(iv)Fucα1−2Galβ1−O−スペーサ−1−HSA(36)
テトラヒドロフラン(2ml)中におけるチオホスゲン(10当量)の撹拌された
氷冷溶液に、ホウ酸ナトリウム緩衝液(0.85M、2ml、pH 8.5)中のアミノ誘導
体(35)(30μモル)を加えた。溶液を室温で10分間撹拌し、次にジエチルエー
テル(3×2ml)で抽出した。イソチオシアネート誘導体を含有する水相を同じ
緩衝液(0.5ml)中におけるヒト血清アルブミン(HSA)(1/30当量)の溶液に加
えた。pHを水酸化ナトリウム水溶液(0.25M)で8.5に調整し、混合物を室温で4
8時間撹拌した。反応混合物を凍結乾燥し、Centriprep管(10KO)を用いて超遠
心分離により精製した。精製した溶液を凍結乾燥してHSA−コンジュゲート(36
)を優れた収量(33mg)で得た。
置換度をフライト時間(Time of Flight)質量分光分析法により測定したとこ
ろタンパク質1モルあたり5モルの二糖であった。
実施例 9
Fucα1−2Galβ1−O−スペーサ−2−PAA(38)
(i)8−N−アクリルアミド−3,6−ジオキサオクチル2−O−α−L−フコピ
ラノシル−β−D−ガラクトピラノシド(37)
0.8mlの脱気した0.5Mホウ酸ナトリウム水性緩衝液(pH 8.5)および2.4mlの
脱気したメタノールを15mgの化合物(35)に加えた。反応混合物を窒素でフラッ
シュし、0℃まで冷却した。3.3μlの塩化
アクリロイルを加え、撹拌を10分間続けた。反応混合物を室温で元の容量の約3
分の1まで濃縮した。Bio-Gel(登録商標)P2カラム上で精製し、凍結乾燥して
表題化合物(37)(14mg、83%)を得た。
NMR−データ:13C(D2O):δ15.0(CH3),38.54(CH2N),60.51,66.31,67.87,
68.19,68.30,68.50,68.98,69.10,69.12,69.43,71.50,73.25,74.55,76
.08(C-2,3,4,5,6;C-2,3,4,5;5×CH2O)98.88(C-1′),101.16(C-1),1
26.95および129.43(CH=CH2)
(ii)Fucα1-2Galβ1-O−スペーサ−2−PAA(38)
脱気した水(1ml)中における化合物(37)(14mg、0.027ミリモル)および
アクリルアミド(9.7mg、0.1ミリモル)の溶液に、最初にN,N,N′,N′−テトラ
メチレンジアミン(6μl)、次に過硫酸アンモニウム(3.5mg)を加えた。混合
物を室温で一晩撹拌した。得られるポリマー(38)をBio-Gel(登録商標)P2カ
ラム上のゲルクロマトグラフィーにより精製した。精製した溶液を凍結乾燥して
PAA−コンジュゲートを優れた収量(17.9mg)で得た。1H-NMRにより平均組込み
がアクリルアミド単位7個あたり1個のオリゴ糖であることがわかった。
実施例 10
Fucα1-2Galβ1-3(Fucα1-4)GlcNAcβ-3Galβ1-4Glcβ1-NH-PAA(42)
(i)Fucα1-2Galβ1-3(Fucα1-4)GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-NH2(40)
重炭酸アンモニウム固体を水(1.25ml)中におけるFucα1-2Galβ1-3(Fucα1-
4)GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc-OH(Lewis B 六糖(39),Iso
Sep ABから購入した、25mg)の溶液に飽和するまで加えた。混合物を室温で6日
間、開放容器中で撹拌した。重炭酸アンモニウムを間隔を置いて加え、混合物中
に固体塩を常に存在させることにより飽和を確実にした。TLCがそれ以上の変換
を示さない時、混合物を水(5ml)で希釈し、元の容量の半分まで濃縮した。残
留物を水で20mlまで希釈し、そして5mlまで濃縮した。この工程を1回繰り返し
、次に残留物を10mlまで希釈し、凍結乾燥した。粗生成物をBio-Ge1 P2−カラム
に付し、Lewis Bグリコシルアミン(40)を含有するフラクションを集めた(20m
g、80%)。
NMRデータ:13C(D2O):δ84.66(C-NH2),97.54,99.33,100.39,100.72,102
.98(非還元糖単位のC-1炭素)、15.08,15.13(2×CH3−フコース)、21.95(CH3
-CON-GlcNAc)
(ii)Fucα1-2Galβ1-3(Fucα1-4)GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-NH-CO-CH=CH2
(41)
炭酸ナトリウム(50mg)および脱気したメタノール(0.5ml)を水(0.5ml)中
におけるグリコシルアミン(40)(20mg、0.02ミリモル)の溶液に加えた。混合
物を0℃で撹拌し、その間、テトラヒドロフラン(0.5ml)中の塩化アクリロイ
ル(60μl、0.74ミリモル)を5分で加えた。10分後、溶液を水(3ml)で希釈
し、2mlまで濃縮した。溶液を再び水(2ml)で希釈し、200μlのテトラヒドロ
フラン(阻害剤溶液)を加え、溶液を1〜2mlまで濃縮した。この溶液をBio-Ge
l(登録商標)P2カラム上のゲル濾過により精製した。適当なフラクションを集
め、凍結乾燥して表題化合物(41)(14mg、67%)を得た。
NMRデータ:13C(D2O):δ81.28(C-NHCOCHCH2),97.42,99.18,
100.25,102.59,102.85(非還元糖単位のC-1炭素)、14.99,15.06(2×CH3-
フコース)、21.92(CH3CON-GlcNAc),125.93,130.32(CH=CH2)
Fab ms:疑似分子イオンm/e;1053(M+H)および1075(M+Na)+
(iii)Fucα1-2Galβ1-3(Fucα1-4)GlcNAcβ-3Galβ1-4Glcβ1-NH-PAA(42)
N−アクリロイルグリコシルアミンとアクリルアミドの共重合。
蒸留水(200μl)中におけるN−アクリロイルグリコシルアミン(41)(13μ
モル)およびアクリルアミド(53μモル、3.7mg)の溶液を窒素でフラッシュし
て20分間脱気した。次に溶液を0℃で撹拌し、N,N,N′,N′−テトラメチルエチ
レンジアミン(2μl)および過硫酸アンモニウム(1mg)を加えた。混合物を
0℃で2時間、次に室温で一晩ゆっくりと撹拌した。粘性の溶液を水(1ml)で
希釈し、水性n−ブタノール(1%)で溶離するBio-Gel(登録商標)P2カラム
上のゲル濾過により精製した。ポリマーを含有するフラクションを集め、凍結乾
燥した。収量:3mg。
1H-NMRによりCHCH2単位5個あたり約1個のLewis-B単位が存在することがわか
った。
実施例 11
Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−O−スペーサ−5−PAA(50)
(i)2−アジドエチル4,6−Oベンジリデン−2−デオキシ−2−フタルイミ
ド−β−D−ギルコピラノシド(43)
エチル4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−2−フタルイミ
Res.,139,105〜113(1985年)に従って製造した)(0.5g、1.1
ミリモル)を20mlのジクロロメタンおよび2−アジドエタノール(Chernyak A.
Y.らのCarbohydr.Res.,223,303〜309(1992年)に従って製造した)(0.148
g、1.7ミリモル)に溶解し、粉砕した4Åモレキュラーシーブを加え、混合物
を30分間撹拌した。ジメチル(メチルチオ)スルホニウムトリフレート(DMTST
)(0.439g、1.7ミリモル;P.FugediおよびP.J GareggのCarbohydr.Res.,1
49,9〜12(1989年)に従って製造した)を室温で加え、撹拌を4時間続けた。T
LC(トルエン−酢酸エタル)分析により出発物質がないことがわかり、反応混合
物に1mlのトリエチルアミンを加え、撹拌をさらに30分間続けた。反応混合物を
シリカゲルカラムに移し、トルエン:酢酸エチル6:1で溶離して表題化合物(
43)を得た(372mg、72%)。
NMR-データ:13C(CDCl3):δ50.38(CH2-N);56.42(CH-N);66.2(CH-O);68.44
(CH2O);68.50(CH-O);68.53(CH2-O);82.05(CH-O);98.89(C-1);101.83(PhCH)
(ii)2−アジドエチル3−O−(2−O−アセチル−3,4,6−トリ−O−ベン
ジル−β−D−ガラクトピラノシル)−4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ
−2−フタルイミド−β−D−グルコピラノシド(44)
エチル2−O−アセチル−3,4,6−トリ−O−ベンジル−1−チオ−β−D−
ガラクトピラノシド(25)(818mg、1.5ミリモル)および化合物(43)(395mg
、0.85ミリモル)を30mlのジクロロメタンに溶解し、粉砕した4Åモレキュラー
シーブを加え、混合物を20分間撹拌した。反応混合物を窒素でフラッシュし、DM
TST(787mg、3.05ミリモル;5mlのジクロロメタンに溶解した)を反応混合物に
滴加し、
滴下漏斗を6mlのジクロロメタンで洗浄した。2時間後、1mlのトリエチルアミ
ンを加え、30分間撹拌し、濾過し、濃縮し、そしてカラムクロマトグラフィー(
トルエン:酢酸エチル10:1)により3つのフラクションを得た。フラクショ
ン1:α−生成物(97.32,98.89:C-1およびC-1′)。フラクション2:ほぼ純
粋な44(306mg、39%)。
NMR−データ:13C(CDCl3,基準,テトラメチルシラン0 ppm):δ20.32(CH3CO
),50.47(CH2N),55.13(CH-N),66.57,68.15,68.20,68.65,71.58,71.71,7
2.17,72.94,73.46,74.38,75.15,80.47,81.08(C-3,4,5,6;C-2,3,4,
5,6;3×CH2Ph;CH2-O),98.86(C-1),100.75,101.23(C-1およびCHPh),168.
84(C=0)
(iii)2−アジドエチル2−アセトアミド−3−O−(3,4,6−トリ−O−ベン
ジルーβ−D−ガラクトピラノシル)−4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ
ーβ−D−グルコピラノシド(45)
化合物(44)(525mg、0.56ミリモル)に50mlのエタノールを加え、1.1mlのヒ
ドラジン水和物を一晩還流した。TLC(トルエン:酢酸エチル1:2)は新しい
生成物であることを示した。濃縮し、トルエンと一緒に共蒸発させ、次に45mlの
ジクロロメタンに溶解し、同量の水で洗浄し、トルエンと一緒に共蒸発させ、粗
製モノヒドロキシアミンを得た。この粗生成物をジクロロメタン:メタノール(
1:1、15ml)に溶解し、1.5mlの無水酢酸を加えた。3時間後、出発物質は残
っていなかった(TLC)。濃縮し、クロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル
1:2)により表題化合物(45)を得た(204mg、45%)。
NMR-データ:13C(CDCl3):δ23.59(NHCOCH3),50.59(C-N),
56.89(C-N),66.40,68.28,68.56,70.55,72.44,73.21,73.40,73.53,74.6
0,76.08,79.75,81.71(C-3,4,5,6;C-2′,3′,4′,5′,6′;3×CH2
Ph;CH2O)100.97,101.25,103.48(C-1,C-1′およびCHPh),171.67(C=0)
(iv)2−アジドエチル 2−アセトアミド−3−O−〔3,4,6−トリ−O−ベン
ジル−2−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)−β
−D−ガラクトピラノシル〕−4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−β−D
−グルコピラノシド(46)
化合物(45)(137mg、0.17ミリモル)および化合物(14)(162mg、0.34ミリ
モル)をジクロロメタン(75ml)に溶解し、モレキュラーシーブ(4Å)を加え
、混合物を20分間撹拌した。DMTST(96mg、0.37ミリモル)を加え、撹拌を1.5時
間続けた。1mlのトリエチルアミンを加え、撹拌をさらに20分間続けた。セライ
トを通して濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル
、1:1)により(46)(101mg、49%)を得た。
NMR−データ:13C(CDCl3):δ16.83(CH3フコース),23.30(NHCOCH3),50.66(C
H2-N),57.40(C-2),66.55,67.17,67.96,68.60,72.31,72.91,72.99,73.0
4,73.10,73.51,74.48,74.65,76.05,76.29,76.62,77.60,79.43,79.53
,83.21(C-3,4,5,6;C-2′,3′,4′,5′,6′;C-2″,3″,4″,5″;6
×CH2Ph),97.67(C-1″),100.94,101.07,102.13(C-1,C-1′,CHPh),170.92
(C=0)
(v)2−トリフルオロアセトアミドエチル2−アセトアミド−3−O−〔3,4,
6−トリ−O−ベンジル−2−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコ
ピラノシル)−β−D−ガラクトピラ
ノシル〕−4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド
(47)
化合物(46)(135mg、0.11ミリモル)を11mlのエタノールに溶解し、10%Pd/
C(140mg)を加えた。反応混合物を大気圧で15分間水素化した。
TLC(酢酸エチル:メタノール:酢酸:水、12:3:3:1)により分析した
ところ出発物質はなかったが、ニンヒドリン陽性生成物があった。混合物をセラ
イトを通して濾過し、濃縮し、ジクロロメタン(7ml)およびピリジン(3.5ml
)に溶解し、窒素でフラッシュし、0℃まで冷却した。無水トリフルオロ酢酸(
31μl、0.22ミリモル)を加えた。1時間後、混合物を濃縮し、2mlのトルエン
と一緒に2回共蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル
、1:2)により47(73mg、52%)を得た。
NMR−データ:13C(CDCl3):δ17.06(CH3フコース),22.66(NHCOCH3),39.59(C
H2-N),54.83(C-2),65.56,66.77,67.78,68.44,68.69,72.80,73.05,73.2
4,2×73.46,74.46,74.66,76.38,77.08,77.80,78.91,79.96,80.01,82.
07,(C-3,4,5,6;C-2′,3′,4′,5′,6′;C-2″,3″,4″,5″:6×
CH2Ph)98.61(C-1″),101.22,101.99,102.35(C-1,C-1′,CHPh),171.64(
NHCOCH3)
(vi)2−トリフルオロアセトアミドエチル2−アセトアミド−2−デオキシ−
3−O−〔2−O−(α−L−フコピラノシル)−β−D−ガラクトピラノシル
〕−β−D−グルコピラノシド(48)
三糖(47)(73mg、56.2μモル)を水(0.25ml)および氷酢酸(2μl)を含
む無水エタノール(7ml)に溶解した。溶液を室温で1時
間、10%Pd/C(152mg)上50 psiで水素化した。TLC(酢酸エチル:酢酸:メタノ
ール:水、12:3:3:1;化合物(48)についてRf=0.14)が完全な変換を示
した時、反応混合物をセライト層を通して濾過し、濃縮した。粗製固体残留物(
46mg)をさらに精製することなく次の反応に使用した。
NMR−データ:13C(D2O):δ16.59(CH3フコース),21.85(NHCOCH3),39.44(CH2
-N),54.56(C-2),60.45〜76.95(C3,4,5,6,C2′,3′,4′,5′,6′,2″
,3″,4″,5″)99.29,99.92,101.28(C-1,C-1′,C-1″),173.48(NHCOCH3)
(vii)2−アクリルアミドエチル2−アセトアミド−2−デオキシ−3−O−
2−O−α−L−フコピラノシル−β−D−ガラクトピラノシル−β−D−グル
コピラノシド(49)
粗製化合物(48)(46mg)をアンモニア水溶液(25%、4ml)に溶解し、室温
で撹拌した。反応は1時間以内に終了し、遊離アミノ誘導体を独占的に得た。(
TLC酢酸エチル:酢酸:メタノール:水、5:3:3:1)。濃縮し、トルエン
と一緒に共蒸発させ、次にBond-Elut(登録商標)(SCX、H+−形)カチオン交換
樹脂0.5gカートリッジで精製した。試料を3mlの水に溶解し、pHを水性酢酸でp
H6に調整した。試料をカラムに付し、メタノール:水、1:1(5ml)中の2
Mアンモニアを用いて溶離した。遊離アミンを含有するフラクション(ニンヒド
リン陽性)を集め、濃縮し、凍結乾燥して粗製アミン(30mg、0.05ミリモル)を
得た。
1mlの脱気した0.5Mホウ酸ナトリウム(水性緩衝液(pH8.5))および脱気し
たメタノール(3ml)を粗製アミンに加えた。反応混合物を窒素でフラッシュし
、0℃まで冷却し、6.4μl(0.078ミリモ
ル)の塩化アクリロイルを加え、撹拌を10分間続けた。反応混合物を室温で元の
容量の約3分の1まで濃縮した。Bio-Gel(登録商標)P2カラム上で精製し、凍
結乾燥して表題化合物(49)を得た(30mg、86%(47)から)。
NMR−データ:13C(D2O):δ14.99(-CH3フコース),21.99(NHCOCH3),39.10(CH2
N),54.58(C-2),99.25,99.93,101.39(C-1,C′-1,C″-1),127.27,129.65
(CH H2)
(viii)Fucα1-2Galβ1-3GlcNAcβ1−O−スペーサー5-PAA(50)
2−アクリルアミドエチル2−アセトアミド−2−デオキシ−3−O−2−O
−α−L−フコピラノシル−β−D−ガラクトピラノシル−β−D−グルコピラ
ノシド(49)とアクリルアミドの共重合
アクリルアミド(10mg、144μモル)に脱気した水(1ml)中における三糖(4
9)(18mg、29μモル)の溶液を室温で加えた。(暗所で窒素下に置いた)この
ゆっくりと撹拌した溶液に、最初にN,N,N′,N′−テトラメチルエレンジアミン
(6μl)、次に過硫酸アンモニウム(3.5mg)を0℃で加えた。混合物を室温で
一晩撹拌した。TLC(酢酸エチル:酢酸:メタノール:水、5:3:3:2)は
ほぼすべての化合物(49)が消費され、チャーリングベースライン生成物(aCha
rring baseline product)が生成したことを示した。ポリマーを水性n−ブタノ
ール(1%)で溶離するBio-Gel(登録商標)P-2カラム上のゲルクロマトグラフ
ィーにより精製した。ボイド容量(void volume)で溶離したポリマーフラクシ
ョンを凍結乾燥して13.1mgのポリマー(50)(生成物の1H NMR分析は平均組込み
がアクリルアミド単位7.6個あたり1個の三糖であることを示した)および
11.9mgのポリマー(50)(生成物の1H NMR分析は平均組込みがアクリルアミド単
位10.3個あたり1個の三糖であることを示した)を得た。
実施例 12
Fucα1−2Galβ1−3(Fucα1-4)GlcNAcβ1−O−スペーサー5−PAA(55)
(i)2−アジドエチル2−アセトアミド−6−O−ベンジル−3−O−(3,4,
6−トリ−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル)−2−デオキシ−β−
D−グルコピラノシド(51)
テトラヒドロフラン(20ml)中における2−アジドエチル2−アセトアミド−
3−O−3,4,6−トリ−O−ベンジル−β−D−ガラクトピラノシル−4,6−O−
ベンジリデン−2−デオキシ−β−D−グルコピラノシド(45)(420mg、0.52
ミリモル)、シアノホウ水素化ナトリウム(200mg、3.2ミリモル)およびモレキ
ュラーシーブ(3Å)の撹拌混合物に、混合物が酸性(試験紙で測定した;M.N
ilssonおよびT.NorbergのCarbohydr.Res.,183,71〜82(1988年)に記載の方
法)になるまで、塩化水素で飽和させたジエチルエーテルを室温で加えた。混合
物を室温で20分間撹拌し、トリエチルアミン(0.30ml)を加えた。混合物をセラ
イトを通して濾過し、水で洗浄し、乾燥し、そして蒸発させた。粗生成物をカラ
ムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル、6:1)により精製して純粋な
化合物(51)を得た(266mg、0.32ミリモル、65%)。
NMR−データ:13C(CDCl3):δ23.41(NHCOCH3),50.30(CH2N),56.81(C-N),66
.3〜81.9(C-3,4,5,6:C-2′,3′,4′,5′,6′;4×CH2Ph;CH2O)100.90
,103.21(C-1,C-1′),173.4(CO)
(ii)2−アジドエチル2−アセトアミド−2−デオキシ−4−O−(2,3,4−
トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)−3−O−〔3,4,6−トリ−O
−ベンジル−2−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジルーα−L−フコピラノシル
)−β−D−ガラクトピラノシル〕−β−D−グルコピラノシド(52)
化合物(51)(157mg、0.19ミリモル)および化合物(14)(362mg、0.76ミリ
モル)をジクロロメタン(100ml)に溶解し、39の4Åモレキュラーシーブ(M
S)を加え、20分間撹拌した。ジメチル(メチルチオ)スルホニウムトリフレー
ト(DMTST)(207mg、0.80ミリモル)を加え、撹拌を1.5時間続けた。2mlのト
リエチルアミンを加え、撹拌をさらに20分間続けた。セライトを通して濾過し、
濃縮し、カラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル、1:1)により表
題化合物(52)(142mg、0.086ミリモル)を得た。
NMR−データ:13C(CDCl3):δ17.01,16.81(2×CH3フコース),23.20(NHCOCH3
),50.35(CH2-N),57.21(C-2),98.31,99.70,101.14,102.30(C1,C1′,2×C
1−フコース),170.30(C=0)
(iii)2−トリフルオロアセトアミドエチル2−アセトアミド−2−デオキシ
−4−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−L−フコピラノシル)−3−O
−〔3,4,6−トリ−O−ベンジル−2−O−(2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−
L−フコピラノシル)−β−D−ガラクトピラノシル〕−β−D−グリコピラノ
シド(53)
化合物(52)(140mg、0.084ミリモル)を11mlのエタノールに溶解し、10%Pd
/C(150mg)を加えた。反応混合物を大気圧で15分間水素化した。TLC(酢酸エチ
ル:メタノール:酢酸:水、12:3:3:1)により分析したところ出発物質は
なかったが、ニンヒドリン陽性生成
物があった。混合物をセライトを通して濾過し、濃縮し、ジクロロメタン(10ml
)およびピリジン(3.5ml)に溶解し、窒素でフラッシュし、そして0℃になる
まで冷却した。無水トリフルオロ酢酸(31μl、0.22ミリモル)を加えた。1時
間後、混合物を濃縮し、2mlのトルエンと一緒に2回共蒸発させた。カラムクロ
マトグラフィー(トルエン:酢酸エチル、1:2)により化合物(53)(82.8mg
、0.053ミリモル、63%)を得た。
NMR−データ:13C(CDCl3):δ17.33,16.93(2×CH3フコース),22.30(NHCOCH3
),39.25(CH2-N),54.48(C-2),99.03,99.98,101.63,102.75(C1,C1′,2×C
1−フコース),171.73(NHCOCH3)
(iv)2−トリフルオロアセトアミドエチル2−アセトアミド−2−デオキシ−
3−O−(2−O−α−L−フコピラノシル−β−D−ガラクトピラノシル)−
4−O−α−L−フコピラノシル−β−D−グルコピラノシド(54)
四糖(53)(78mg、0.05ミリモル)を水(0.25ml)および氷酢酸(2μl)を
含む無水エタノール(8ml)に溶解した。溶液を室温で1時間、水素(50 psi)
下10%Pd/C(150mg)と一緒に迅速に撹拌した。TLC(酢酸エチル:酢酸:メタノ
ール:水、12:3:3:1)が完全な変換を示した時、反応混合物をセライト層
を通して濾過し、濃縮した。粗製化合物(54)(35mg)をさらに精製することな
く次の反応に使用した。
NMR−データ:13C(CDCl3):δ16.91,16.53(2×CH3フコース),22.15(NHCOCH3
),39.14(CH2N),54.20(C-2),99.33,100.03,101.73,102.95(C-1,C-1′,2
×C-1フコース),173.30(NHCOCH3)「芳香族領域」に13Cシグナルはなかった。
(v)2−アクリルアミドエチル2−アセトアミドエチル2−デオキシ−3−O
−(2−O−(α−L−フコピラノシル−β−D−ガラクトピラノシル)−4−
O−α−L−フコピラノシル−β−D−グルコピラノシド(55)
35mgの粗製化合物(54)をアンモニア水溶液(25%、4ml)に溶解し、室温で
撹拌した。反応は1時間以内に終了し、遊離アミノ誘導体を独占的に得た。TLC
(酢酸エチル:酢酸:メタノール:水、5:3:3:2)を行い、濃縮し、トル
エンと一緒に共蒸発させ、次にBond-Elut(登録商標)カートリッジ(SCX、H+−
形)カチオン交換樹脂で精製した。試料を3mlの水に溶解し、pHを水性酢酸で6
に調整した。試料をカラムに付し、メタノール:水、1:1(5ml)中の2Mア
ンモニアで溶離した。遊離アミンを含有するフラクション(ニンヒドリン陽性)
を集め、濃縮し、凍結乾燥して粗製アミン(20mg)を得た。1mlの脱気した0.5
Mホウ酸ナトリウム(水性)緩衝液(pH 8.5)および脱気したメタノール(3ml
)を粗製アミンに加えた。反応混合物を窒素でフラッシュし、0℃まで冷却しし
た。6μlの塩化アクリロイルを加え、撹拌を10分間続けた。反応混合物を室温
で元の容量の約3分の1まで濃縮した。Bio-Ge1(登録商標)P2カラム上で精製
し、凍結乾燥して純粋な表題化合物(55)を得た(15mg)。
NMR−データ:13C(D2O):δ16.90,16.45(2×CH3フコース),21.95(NHCOCH3
),39.51(CH2N),54.31(C-2),99.21,99.95,101.56,102.87(C-1,C-1′,2×
C-1フコース),127.21,129.57(CH=CH2),173.27(NHCOCH3)
(vi)Fucα1−2Galβ1−3(Fucα1-4)GlcNAcβ1−O−スペーサー5−PAA(56)
2−アクリルアミドエチル2−アセトアミド−2−デオキシ−3−O−2−O
−α−L−フコピラノシル−β−D−ガラクトピラノシル−4−O−α−L−フ
コピラノシル−β−D−グルコピラノシド(55)とアクリルアミドの共重合。
アクリルアミド(8.3mg、120μモル)に、脱気した水(1ml)中における四糖
(54)(15mg、20μモル)の溶液を室温で加えた。(暗所で窒素雰囲気下に置い
た)このゆっくりと撹拌した溶液に、最初にN,N,N′,N′−テトラメチルエチレ
ンジアミン(6μl)、次に過硫酸アンモニウム(3.5mg)を0℃で加えた。混合
物を室温で一晩撹拌した。TLC(酢酸エチル:酢酸:メタノール:水、5:3:
2)はすべての化合物(49)が消費され、チャーリングベースライン生成物が生
成したことを示した。ポリマーを水性n−ブタノール(1%)で溶離するBio-Ge
l(登録商標)P2カラム上のゲルクロマトグラフィーにより精製した。ボイド容
量で溶離したポリマーフラクションを凍結乾燥して20mgのポリマー(56)を得た
。
生成物の1H NMR分析は平均組込みがアクリルアミド単位6個あたり1個の三糖
であることを示した。
実施例 13
Fucα1−2Galβ1−O−スペーサー5−PAA(58)
(i)2−アクリルアミドエチル2−O−α−L−フコピラノシル−β−D−ガ
ラクトピラノシド(57)
0.3mlの脱気した0.5Mホウ酸ナトリウム(水性)緩衝液(pH 8.5)およびメタ
ノール(0.9ml)を6.4mgの化合物(30)に加えた。反応混合物を窒素でフラッシ
ュし、0℃まで冷却した。2μlの塩化アクリロイルを加え、撹拌を10分間続け
た。反応混合物を室温で元の容
量の約3分の1まで濃縮した。Bio-Gel(登録商標)P2カラム上で精製し、凍結
乾燥して化合物(57)を得た(4mg、57%)。
NMR−データ:1H(D2O):δ1.2(d,CH3フコース),4.52(dd,H-1),5.22(m,H-
1′),5(dd,CH=CH2),6.25(m,CH=CH2)
(ii)Fucα1-2Galβ1−O−スペーサー5-PAA(58)
脱気した水(0.75ml)中における化合物(57)(4mg、9μモル)およびア
クリルアミド(3.3mg、47μモル)の溶液に、最初にN,N,N′,N′−テトラメチ
レンジアミン(2μl)、次に過硫酸アンモニウム(1.5mg)を加えた。混合物を
室温で一晩撹拌した。ポリマー(58)をBio-Gel(登録商標)P2カラム上で精製
した(9.1mg)。
NMRデータ:1H(D2O)により平均組込みがアクリルアミド単位12.3個あたり1個
のオリゴ糖であることがわかった。
生物学的試験
物質および方法
発生部位のヘリコバクターピロリの接着試験
ヘリコバクターピロリの接着を調べるために、正常な成人の胃組織からの非感
染試料(Huddings Sjukhns(スウェーデン)から入手した)を使用した。すべて
の試料を4%ホルマリン中で固定し、次にパラフィンで包埋した。
厚さ4μmの切片をスライドガラスの上に置き、Steinerの銀染色法(胃単位に
存在する細胞種を識別し、組織試料に病理学的変化がないことを確かめるため)
および/またはその後の接着試験に使用した。
ヘリコバクターピロリの4つの臨床上分離体、A4、A5、A7およびA8(Huddings
Sjukhnsから入手した)を使用した。ヘリコバクター
ピロリを微好気性条件(5%O2、10%CO2、85%N2)および98%湿度下、10%の
ウシ血液および1%のIsoVitalex(Becton Dickinson Microbiology System,Coc
keyvill,MD)を補充したブルセラ寒天上、37℃で培養した。接種後5日してから
、1個の完全に成長したプレートからの細菌を25mlの0.1M NaCl/0.1M炭酸ナ
トリウム(pH9.0)中に静かにピペットで移して再懸濁した。250μlの新しく調製
した、ジメチルスルホキシド中におけるフルオレセインイソチオシアネート(FI
TC、Sigma Chemical社製)の10mg/ml溶液を細菌の懸濁液に加え、次にそれを暗
所において室温で1時間インキュベートした。細菌を3000×gで10分間遠心分離
することにより回収し、リン酸緩衝溶液(PBS)+0.05%ポリオキシエチレンソル
ビタンモノラウレート(Tween 20)中に静かにピペットで移して再懸濁し、そし
て上記のように遠心分離してペレットにした。洗浄を3回繰り返し、最後に懸濁
液を0.2の光学濃度となるまで再懸濁した。すべての細菌株のFITC−標識の強度
は蛍光顕微鏡法による比較できる数の微生物の検査で判断して類似していた。1
mlのアリコートを最終の懸濁液から採取し、そしてすぐに使用するか、または使
用するまで−20℃で保存した。標識し、すぐに使用した菌株と凍結し、使用前に
一度溶かした菌株との間に、結合パターンの違いは観察されなかった。
スライドに載せた組織切片をBio-C1ear(Bio-0ptical-SpA)および無水アルコー
ル、95%アルコール、次に70%アルコールでパラフィンを除去し、水、次にPBS
で洗浄し、そして阻止緩衝液(PBS中の1%ゼラチン/0.05%Tween 20)中で45
分間インキュベートした。FITC標識細菌懸濁液(OD:約0.200〜0.250)を当量の
化合物の濃縮溶液と混合した。混合物を暗所において室温で2時間プレインキュ
ベートし、200μlの混合物をスライドに載せた組織切片の上に置き、そして湿ら
れたチェンバー中、室温で1時間インキュベートした。次に、スライドをPBSで
6回洗浄した後蛍光顕微鏡で検査した。
分 析
発生部位の接着試験を使用してヘリコバクターピロリのヒトの胃組織への結合
を確認し、末端のL−フコース含有化合物、例えばLNFI-HSAを用いたヘリコバク
ターピロリの阻害を明らかに示した。
末端のL−フコース含有化合物の結合を阻害する能力を測定するために、FITC
標識細菌懸濁液(OD:約0.200〜0.250)を当量の化合物の濃縮溶液と混合した。
混合物を暗所において室温で2時間プレインキュベートした。スライドに載せた
組織切片の上にこの混合物200μlを置き、室温で1時間インキュベートした。イ
ンキュベーション後、処置した組織切片をPBSで6回洗浄した後分析した。
蛍光顕微鏡および画像分析(顕微鏡の可視画像をコンピュータースクリーンに
転送するNeotech Image Grabber 24/1.1および接着した細菌を計数するOptilab
24/2.11 Grafted)を使用して、試験化合物で処置した組織切片と未処置の組織
切片を比較した。
表中に記載の値は(化合物で)処置した組織切片と未処置の組織切片を比較し
て一切片につき3つの異なる領域上に接着した細菌の平均数である。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年1月20日
【補正内容】
請求の範囲
1.ヒトの胃粘膜のヘリコバクターピロリによる感染を含む症状のヒトの治療ま
たは予防のための医薬組成物の製造における一般式Ia、Ib、Ic、Id、Ieま
たはIf
〔式中、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9、Z10、Z11、Z12、Z13、Z14、Z15
およびZ16は独立してO、S、CH2またはNR25であり、ここでR25は水素、C1〜2 4
−アルキル、C2〜24−アルケニル、C1〜24−アルキルカルボニル、または場合
によりヒドロキシ、アミノ、C1〜4−アルキル、C1〜4−アルコキシ、ニトロ、ハ
ロゲン、フェノキシ、モノ−もしくはジ−ハロゲン−C1〜4−アルキルで置換さ
れたベンゾイルであり;
Y、A、B、C、DおよびEにおける波線はα−またはβ−配置の結合を表
わし;
R1、R2およびR3はそれぞれ独立してH、ハロゲン、アジド、グアニジニル、
場合によりヒドロキシ、アミノ、ハロゲンまたはオキソで置換された分枝状また
は非分枝状のC1〜24−アルキル、C2〜24−アルケニル、C2〜24−アルキニル、C3 〜8
−シクロアルキル、C3〜8−シクロアルキル−C1〜24−アルキルまたはC1〜12
−アルコキシ−C1〜12−アルキル基;場合によりアリール部分がヒドロキシ、ア
ミノ、C1〜4−アルキル、C1〜4−アルコキシ、ニトロ、ハロゲン、フェノキシ、
またはモノ−もしくはジ−ハロゲン−C1〜4−アルキルで置換されたアリールま
たはアリール−C1〜4−アルキル;トリ(C1〜4−アルキル)シリルエチル:オキ
ソ;=CR4R5基(ここで、
R4およびR5は独立してHまたはC1〜4−アルキルである);あるいはXR10基であ
り、ここでXはO、S、NR20または=N-であり、R10はH、場合によりヒドロキシ
、アミノ、ハロゲンまたはオキソで置換された分枝状または非分枝状のC1〜24−
アルキル、C2〜24−アルケニル、C2〜24−アルキニル、C3〜8−シクロアルキル
、C3〜8-シクロアルキル−C1〜24−アルキルまたはC1〜12−アルコキシ−C1〜1 2
−アルキル基;場合によりアリールまたはヘテロシクリル部分がヒドロキシ、
アミノ、C1〜4−アルキル、C1〜4−アルコキシ、ニトロ、ハロゲン、フェノキシ
、またはモノ−もしくはジ−ハロゲン−C1〜4−アルキルで置換されたアリール
、アリール−C1〜4-アルキルまたはヘテロシクリル−C1〜4−アルキル;トリ(C1〜4
-アルキル)シリルエチル;トリ(C1〜4−アルキル)シリル;トリ(C1〜4
−アルキル)シリルエトキシメチル;天然に存在するアミノ酸のアシル残基;C1 〜24
−アルキルカルボニル;C2〜24−アルケニルカルボニル;C3〜8−シクロア
ルキル−C1〜24−アルキルカルボニル;アリールカルボニル;またはテルペニル
であり、そしてR20はH、C1〜24−アルキル、C2〜24−アルケニル、C1〜24−ア
ルキルカルボニル、または場合によりベンゼン環がヒドロキシ、アミノ、C1〜4
−アルキル、C1〜4−アルコキシ、ニトロ、ハロゲン、フェノキシ、またはモノ
−もしくはジ−ハロゲン−C1〜4−アルキルで置換されたベンゾイルまたはフタ
ロイルであり;R1A、R2A、R3A、R4A、R1B、R2B、R3B、R4B、R1C、R2c、R3C、R4C
、R1D、R2D、R3D、R4D、R1E、R2E、R3EおよびR4Eはそれぞれ独立して上記のR1、
R2およびR3について定義された通りであるか、または式VII
YZ1 (VII)
(式中、YおよびZ1は上記で定義された通りである)
の基であるが、但しR1B、R2B、R3BまたはR4Bのうち1つはZ3、Z5、Z8またはZ1 2
であり、R1C、R2C、R3CまたはR4cのうち1つはZ6、Z9またはZ13であり、R1D、R2D
、R3DまたはR4Dのうち1つはZ10またはZ14であり、R1E、R2E、R3EまたはR4Eの
うち1つはZ15であり、R1A、R2A、R3A、R4A、R1B、R2B、R3B、R4B、R1C、R2C、R3C
、R4C、R1D、R2D、R3D、R4D、R1E、R2E、R3EおよびR4Eのうち少なくとも1つ
、多くて5つは式VIIの基であり、そしてAの置換基R1A、R2A、R3AおよびR4ACH2
の配置、Bの置換基R1B、R2B、R3BおよびR4BCH2の配置、Cの置換基R1C、R2C、R3C
およびR4CCH2の配置、Dの置換基R1D、R2D、R3DおよびR4DCH2の配置、Eの置
換基R1E、R2E、R3EおよびR4ECH2の配置は独立してD−グルコ、L−グルコ、D
−ガラクト、L−ガラクト、D−マンノ、L−マンノ、D−タロ、L−タロ、D
−アロ、L−アロ、D−アルトロ、L−アルトロ、D−グロ、L−グロ、D−イ
ド、またはL−イドであり;
Rは水素、場合によりヒドロキシ、アミノ、ハロゲンまたはオキソで置換さ
れた分枝状または非分枝状のC1〜24−アルキル、C2〜24−アルケニル、C2〜24−
アルキニル、C3〜8−シクロアルキル、C3〜8−シクロアルキル−C1〜24−アルキ
ル、C1〜12−アルコキシ−C1〜12−アルキル、C1〜24−アルキルカルボニル、C2 〜24
−アルケニルカルボニルまたはC3〜8−シクロアルキル−C1〜24−アルキル
カルボニル基;場合によりアリール部分がヒドロキシ、アミノ、C1〜4−アルキ
ル、C1〜4−アルコキシ、ニトロ、ハロゲン、フェノキシ、またはモノ−もしく
はジ−ハロゲン−C1〜4−アルキルで置
換されたアリール、アリール−C1〜4−アルキル、アリールカルボニルまたはア
リール−C1〜4−アルキルカルボニル基;テルペニル;トリ(C1〜4−アルキル)
シリルエチル;ヘテロシクリル;ヘテロシクリル−C1〜4−アルキル;ヘテロシ
クリル−C1〜4−アルキルカルボニル;式IIまたはIIa
R30-(CH2)q-S(O)m-CH2CH2- (II)
〔R30-(CH2)q-S(O)m-CH2〕2CH-CH2- (IIa)
(式中、R30はH、カルボキシ、C1〜4−アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、
アミノまたはマトリックスMAであり、qは1〜24の整数であり、そしてmは0ま
たは2である)の基;式IIIまたはIIIa
Phe-S(O)m-CH2CH2- (III)
〔Phe-S(O)m-CH2〕2CH-CH2- (IIIa)
(式中、mは上記で定義された通りであり、そしてPheはそれぞれ場合により
ヒドロキシ、アミノ、C1〜4−アルキル、C1〜4−アルコキシ、ニトロ、ハロゲン
、フェノキシ、またはモノ−もしくはジ−ハロゲン−C1〜4−アルキルで置換さ
れたフェニル;あるいは場合によりフェニル部分がヒドロキシ、アミノ、C1〜4
−アルキル、C1〜4−アルコキシ、ニトロ、ハロゲン、フェノキシ、またはモノ
−もしくはジ−ハロゲン−C1〜4−アルキルでモノ置換されたフェニル−C1〜4−
アルキルである)の基;式IV
R40CH2CH(CH2R50)CH2- (IV)
(式中、R40およびR50は独立してハロゲンである)の基;あるいはQ−(スペ
ーサー)r−基(ここで、rは0または1の整数であり、そしてQはマトリック
スMAまたは-COO-MA基である)である〕
の化合物の使用。
2.Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9、Z10、Z11、Z12、Z13、Z14、Z15およ
びZ16はOである請求項1記載の使用。
3.R1A、R2A、R3A、R4A、R1B、R2B、R3B、R4B、R1C、R2C、R3C、R4C、R1D、R2D
、R3D、R4D、R1E、R2E、R3EまたはR4Eのうち多くて4個、より好ましくは多くて
3個、特に1または2個は式VIIの基である請求項1または2記載の使用。
4.R1Aはα−配置の基VIIである請求項1〜3の何れかに記載の使用。
5.AのR1A、R2A、R3AおよびR4ACH2の配置はD−ガラクトであり、Aはβ−配
置である請求項1〜3の何れかに記載の使用。
6.R1Aはα−配置の基VIIであり、AのR1A、R2A、R3AおよびR4ACH2の配置はD
−ガラクトであり、Aはβ−配置である請求項1〜3の何れかに記載の使用。
7.R2BはZ3、Z5、Z8またはZ12であり、BのR1B、R2B、R3BおよびR4BCH2の配置
はD−グルコであり、Bはβ−配置である請求項1〜3の何れかに記載の使用。
8.R1Bはアセトアミド基である請求項1〜3の何れかに記載の使用。
9.R1Aはα−配置の基VIIであり;AのR1A、R2A、R3AおよびR4ACH2の配置はD
−ガラクトであり;Aはβ−配置であり;R2BはZ3、Z5、Z8またはZ12であり;そ
してBのR1B、R2B、R3BおよびR4BCH2はD−グルコであり、Bはβ−配置であり
、R1Bがアセトアミド基である請求項1〜3の何れかに記載の使用。
10.R3Bはα−配置の式VIIの基である請求項1〜9の何れかに記載
の使用。
11.AのR1A、R2A、R3AおよびR4ACH2とBのR1B、R2B、R3BおよびR4BCH2の配置は
D−ガラクトであり、CのR1C、R2C、R3CおよびR4CCH2の配置はD−グルコであ
り、Aはα−配置であり、BおよびCはβ−配置であり、そしてR1BおよびR3Cは
α−配置の式VIIの基であり、R1AおよびR1Cはアセトアミド基であり、R2BはZ5、
Z8またはZ12であり、R2CはZ6、Z9またはZ13である請求項1〜10の何れかに記載
の使用。
12.AはFucα1−2Galβである請求項6記載の使用。
13.A-Z3-BはFucα1−2Galβ1−3GlcNAcβまたはFucα1−2Galβ1−3(Fucl−4)G
lcNAcβである請求項9記載の使用。
14.A-Z5-B-Z6-CはFucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3GalβまたはFucα1−2Galβ
1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−3Galβである請求項9記載の使用。
15.A-Z8-B-Z9-C-Z10-DはGalNAcα1−3(Fucα1-2)Galβ1-3(Fucα1−4)GlcNAcβ
1−3GalβまたはFucα1−2Galβ1−3(Fucα1−4)GlucNAcβ1−3Galβ1−4Glcβ
である請求項9または11記載の使用。
16.A-Z12-B-Z13-C-Z14-D-Z15-EはGalNAcα1−3(Fucα1−2)Galβ1−3(Fucα1−
4)GlcNAcβ1−3Galβ1−4Galβである請求項11記載の使用。
17.RはQ−(スペーサー)r−(ここで、rは0または1の整数であり、そし
てQはマトリックスMAである)基である請求項1〜16の何れかに記載の使用。
18.スペーサーは(W)v-S'-P'(ここで、S'はカルボニル、チオカル
ボニル、オキシカルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルアミノ、アミノカル
ボニル、アザ、オキサまたチア基により中断させることのできるC1〜24アルキル
、C2〜24アルケニル、C1〜24アルキルアリール、アリールC1〜24アルキル、アリ
ールC1〜24アルキルアリール、C1〜24アルキルアリールC1〜24アルキル基;アリ
ール基、アリールオキシ、C1〜24アルコキシ、ポリエチレングリコール基、ステ
ロイド基、スフィンゴイド基であり;すべての基はカルボキシル、C1〜4アルキ
ルカルボニル、アミド、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、フェノキシ
で置換することができ;
P′はNH-C(S)、NH-C(O)、C(O)、NH、C(S)、C(O)O、(O)CO、SO、SO2、SO3、S
O4、PO3、PO4であり;
WはNH-C(S)、NH-C(O)、C(O)、C(S)、C(O)O、(O)CO、SO、SO2、SO3、SO4、P
O2、PO3、PO4であるが、但しZ1、Z2、Z4、Z7、Z11またはZ16がCH2ならばWはPO2
ではなく、
Z1、Z2、Z4、Z7、Z11またはZ16がOまたはSならばWは(O)CO、SO4またはPO4
ではなく、
Z1、Z2、Z4、Z7、Z11またはZ16がNHならばWはNH-C(S)、NH-C(O)、(O)CO、S
O4、PO4ではなく;そしてvは0または1の整数である)として定義される請求
項1〜17の何れかに記載の使用。
19.スペーサーは
から選択される請求項18記載の使用。
20.MAはHSA、BSAまたはPAAである請求項1〜17の何れかに記載の使用。
21.化合物は
〔Fucα1−2Galβ1−スペーサー〕n-MA;
〔Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ−スペーサー〕n-MA;
〔Fucα1−2Galβ1-3(Fucα1−4)GlcNAcβ−スペーサー〕n−MA;
〔Fucα1-2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1-スペーサー〕n−MA;
〔Fucα1−2Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−3Galβ1−スペーサー〕n−MA;
〔GalNAcα1−3(Fucα1−2)Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−3Galβ1−スペ
ーサー〕n−MA;
〔Fucα1−2Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glcβ1−NH〕n−MA
;
〔GalNAcα1−3(Fucα1−2)Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc
β1−スペーサー〕n-MA(ここで、スペーサーは請求項19で定義された基から選
択され、そしてMAがHSAまたはBSAならばnは1〜40の整数であり、MAがPAAなら
ばnは10〜10000の整数である)から選択される請求項1記載の使用。
22.化合物は
〔Fucα1−2Galβ1−スペーサー1〕n−HSA;
〔Fucα1−2Galβ1−スペーサー2〕n−PAA;
〔Fucα1−2Galβ1−スペーサー4〕n−HSA;
〔Fucα1−2Galβ1-スペーサー5〕n−PAA;
〔Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ−スペーサー5〕n−PAA;
〔Fucα1−2Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−スペーサー5〕n−PAA;
〔Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1−スペーサー3〕n−HSA;
〔Fucα1−2Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−3Galβ1−スペーサー3〕n−HS
A;
〔Fucα1−2Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glcβ1−NH〕n−PAA
;
〔GalNAcα1−3(Fucα1−2)Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−3Galβ1−スペ
ーサー3〕n−HSA(ここで、スペーサー1、スペーサー2、スペーサー3、スペ
ーサー4およびスペーサー5は請求項19で定義された通りであり、そしてMAがHS
Aならばnは1〜40
の整数であり、MAがPAAならばnは10〜10000の整数である)から選択される請求
項1記載の使用。
23.式Ia,Ib,Ic,Id,IeまたはIfの化合物は胃炎または潰瘍の標準治療
のための製剤、特にオメプラゾール、ジメチジン、ラニチジン、ランソプラゾー
ル、パントプラゾール、スクラルフェート、ファモチジン、ニゼチジン、水酸化
マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、シメチコンまたはマガル
ドレートを含有する製剤と組み合わせて投与するようになっている請求項1〜22
の何れかに記載の使用。
24.式Ia、Ib、Ic、Id、IeまたはIfの化合物は抗微生物剤を含む治療のた
めの製剤、特にアモキシリン、アンピシリン、セファロシン、セファクロルまた
はセフィキシムのようなβ−ラクタム抗生物質;エリスロマイシンまたはクラリ
スロマイシンのようなマクロライド;テトラサイクリンまたはドキシサイクリン
のようなテトラサイクリン;ゲンタマイシン、カナマイシンまたはアミカシンの
ようなアミノグリコシド;ノルフロキサシン、シプロフロキサシンまたはエノキ
サシンのようなキノロン;またはメトロニダゾール、イトロフラントインもしく
はクロラムフェニコールのような他の抗生物質を含有する製剤、あるいは次クエ
ン酸ビスマス、次サリチル酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次硝酸ビスマスまたは
次没食子酸ビスマスのようなビスマス塩を含有する製剤と組み合わせて投与する
ようになっている請求項1〜23の何れかに記載の使用。
25.請求項1〜22で定義された式Ia、Ib、Ic、Id、IeまたはIfの化合物の
有効量を、それらを必要とする患者に投与するこ
とからなる、ヒトの胃粘膜のヘリコバクターピロリによる感染によって起こされ
たヒトの病気を治療および/または予防する方法。
26.請求項1〜22で定義された式Ia、Ib、Ic、Id、IeまたはIfの化合物の
有効量を、それらを必要とする患者に、少なくとも一種の抗潰瘍剤もしくは抗胃
炎剤、または少なくとも一種の抗微生物剤、またはこれらの混合物と組み合わせ
て投与することからなる、ヒトの胃粘膜のヘリコバクターピロリによる感染によ
って起こされたヒトの病気を治療および/または予防する方法。
27.請求項1〜22で定義された式Ia、Ib、Ic、Id、IeまたはIfの化合物、
あるいはこのような化合物の混合物を少なくとも一種の抗潰瘍剤または抗胃炎剤
、少なくとも一種の抗微生物剤、あるいはこれらの混合物および薬学的に許容し
うる担体と組み合わせて含有する医薬組成物。
28.抗潰瘍剤または抗胃炎剤は胃液分泌を抑制する化合物および制酸剤から選択
される請求項27記載の医薬組成物。
29.胃液分泌を抑制する化合物はシメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ニザ
チジン、オメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾールおよびスクラル
フェートから選択される請求項28記載の医薬組成物。
30.制酸剤はAl(OH)3、Mg(OH)2、CaCO3、Na2CO3、NaHCO3、水酸化マグネシウム
アルミニウムまたはその水和物、シメチコンから選択される請求項28記載の医薬
組成物。
31.抗微生物剤はアモキシリン、アンピシリン、セファロシン、セファクロルま
たはセフィキシムのようなβ−ラクタム抗生物質;
エリスロマイシンまたはクラリスロマイシンのようなマクロライド;テトラサイ
クリンまたはドキシサイクリンのようなテトラサイクリン;ゲンタマイシン、カ
ナマイシンまたはアミカシンのようなアミノグリコシド;ノルフロキサシン、シ
プロフロキサシンまたはエノキサシンのようなキノロン;次クエン酸ビスマス、
次サリチル酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次硝酸ビスマスまたは次没食子酸ビス
マスのようなビスマス塩;メトロニダゾールまたはニトロフラントインのような
複素環式抗生物質;およびクロラムフェニコールのようなベンゼン誘導体から選
択される請求項27記載の医薬組成物。
32.新規化合物〔Fucα1−2Galβ1−スペーサー1〕n−HSA
そしてnは1〜40の整数である)。
33.新規化合物〔Fucα1−2Galβ1−スペーサー2〕n−PAA
そしてnは10〜10000の整数である)。
34.新規化合物〔Fucα1−2Galβ1−スペーサー4〕n−HSA
nは1〜40の整数である)。
35.新規化合物〔Fucα1−2Galβ1−スペーサー5〕n−PAA
10〜10000の整数である)。
36.新規化合物〔Fucα1−2Galβ1−3GlcNAcβ1−スペーサー5〕n−PAA(ここ
で、スペーサー5およびnは請求項35で定義された通りである)。
37.新規化合物〔Fucα1−2Galβ1−3(Fucα1−4)GlcNAcβ1−スペーサー5〕n
−PAA(ここで、スペーサー5およびnは請求項35で定義された通りである)。
38.化合物は胃炎または潰瘍の標準治療のための製剤、特にオメプラゾール、シ
メチジン、ラニチジン、ランソプラゾール、パントプラゾール、スクラルフェー
ト、ファモチジン、ニゼチジン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭
酸カルシウム、シメチコンまたはマガルドレートを含有する製剤と組み合わせて
投与するようになっている請求項32〜37の何れかに記載の新規化合物。
39.化合物は抗微生物剤を含む治療のための製剤、特にアモキシリン、アンピシ
リン、セファロシン、セファクロルまたはセフィキシムのようなβ−ラクタム抗
生物質;エリスロマイシンまたはクラリスロマイシンのようなマクロライド;テ
トラサイクリンまたはドキシサイクリンのようなテトラサイクリン;ゲンタマイ
シン、カナマイシンまたはアミカシンのようなアミノグリコシド;ノルフロキサ
シン、シプロフロキサシンまたはエノキサシンのような
キノロン;またはメトロニダゾール、ニトロフラントインもしくはクロラムフェ
ニコールのような他の抗生物質を含有する製剤、あるいは次クエン酸ビスマス、
次サリチル酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次硝酸ビスマスまたは次没食子酸ビス
マスのようなビスマス塩を含有する製剤と組み合わせて投与するようになってい
る請求項32〜37の何れかに記載の新規化合物。
40.治療に使用される請求項32〜37の何れかに記載の新規化合物。
41.当該技術分野で知られている方法による請求項32〜37の何れかで定義された
新規化合物の製造法。
42.i)Ra−グリコシドがアノマー中心の活性化によりグリコシル供与体に変換
できるように、アグリコンRaを用いて単糖をグリコシドに変換してRa−グリコシ
ド誘導体を生成し、
ii)新しい官能基Rbを導入し、
iii)Rbで置換されたRb−グリコシドを縮合し、幾つかのグリコシド結合が
所望ならばこの工程iii)を繰り返し、
iv)還元末端に(Z1-Z16)-Rとして定義された置換基Rcを導入し、必要に応じ
て保護基を除去する
ことを包含する請求項1で定義された式Ia、Ib、Ic、Id、IeおよびIfの
新規化合物の製造法。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
A61K 31/43 9454−4C A61K 31/43
31/44 9454−4C 31/44
31/495 9454−4C 31/495
31/545 9454−4C 31/545
31/74 8314−4C 31/74
31/785 ADZ 8314−4C 31/785 ADZ
33/08 8314−4C 33/08
33/10 8314−4C 33/10
38/16 8615−4C C07H 15/04 A
// C07H 15/04 8615−4C C
8615−4C D
9455−4C A61K 37/04
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G
B,GE,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ
,LK,LU,LV,MD,MG,MN,MW,NL,
NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,S
I,SK,TJ,TT,UA,US,UZ,VN
(72)発明者 テイデーン,アンナ−カーリン・ウツラ・
エデイツト
スウエーデン国エス―172 42 スンドビ
ユベルイ.オヨールスヴエンゲン15