【発明の詳細な説明】
胃潰瘍及び十二指腸潰瘍を治療及び阻止する方法 技術分野
:
本発明は、患者における胃潰瘍及び十二指腸潰瘍を治療及び阻止するための方
法に関する。背景技術
:
かつてCampylobacter pylori(C.pylori)として知られていたグラム陰性螺
旋状微好気性菌Helicobacter pylori(H.pylori)は非自己免疫性胃炎の主因で
あり、消化性潰瘍疾患の因子であり、そして胃癌の患者に多く共通している。Wa
rren(Lancet(1983)1:1273)及びMarshall(Lancet(1983)1:1273-5)によっ
て最初に分離されてから、H.pyloriは全世界中で患者の胃組織生検材料中で分
離されている。炎症の性格なメカニズムはあまり理解されていないが、H.pylor
iは胃粘液分泌細胞の先端表面に付着して見出される。
付着部位特異性から、胃及び十二指腸粘液分泌細胞上に存在するH.pyloriに
特異的な付着部位があることが示唆されてきた。このH.pyloriの特異的結合部
位を同定しようと多くの研究が手掛けられてきた。
Evansら(Infection and immunity(1988)56:2896-2906)は、赤血球受容体
へのH.pylori結合が、血球凝集反応阻害により測定したときに、N−アセチル
ノイラミニル−α(2→6)−Gal β1→4 G1c(以下、NeuAc(2→6)
−ラクトースという)に比較して、N−アセチルノイラミニル−α(2→3)−Ga
l β1→4 Glc(以下、NeuAc(2→3)−ラクトースという)により優
先的に阻害されることを報告した。NeuAc−ラクトースのNeuAc(2→3)
Gal異性体を含有するシアロタンパク質、即ちヒト赤血球糖タンパク質A、フ
ェチュイン、及びヒトα2−マクログロブリンも、NeuAc(2→3)−ラクトー
スについて認められるよりも高い濃度(mg/ml)ではあるが、H.pylori結
合を阻害したが、対応するアシアロ糖タンパク質については阻害が認められなか
った。
Evansら(前記文献)は、NeuAc−ラクトース構造を含有する幾つかの化
合物の血球凝集反応阻害能力(HIA)を測定した。この血球凝集反応阻害能力
に基づく研究で、100%HIAをもたらすには、1.000mg/mlのα2−
マクログロブリンが必要であり、0.500mg/mlのフェチュインが必要で
あり、0.250mg/mlの糖タンパク質Aが必要であり、そして0.078m
g/mlのウシNeuAc−ラクトースが必要であることが確認された。それら
血球凝集反応阻害研究に基づけば、フェチュインはα2−マクログロブリンより
も約2倍効果があるが、約80%のNeuAc(2→3)−ラクトースと約20%の
NeuAc(2→6)−ラクトースを含むウシNeuAc−ラクトースの0.156
倍しか効果がないことが分かる。
Evansら(Infection and immunity(1989)57:2272-2278)も、H.pyloriがY
−1マウス副腎細胞の単層に結合することを観察している。しかし、この接着は
、Y−1細胞をノイラミニダーゼで前処理することにより阻止することができそ
してフェチュインにより遮断される。しかしながら、Y−1マウス副腎細胞と胃
組織とは何の関係もないことに留意すべきである。
Lingwoodら(Lancet(1989)2:238-241)は、H.pyloriの受容体として挙動す
ることが認められる胃のグリセロ脂質物質を単離したことを報告した。この物質
は、赤血球、及び豚の胃及びヒトの胃の粘膜擦過物から単離された。その研究者
らは、この物質は硫酸化アルキルアシルグリセロ脂質であると仮定したが、この
物質の現実の構造は報告されなかった。その後の研究(Lingwoodら,Infection
and immunity(1992)60:2470-2474)で、この受容体はホスファチジルエタノー
ルアミンであることが分かった。
Lingwoodら,Infection and immunity(1992)61:2472-2478は、Helicobacter
pyloriがホスファチジルエタノールアミン、ガングリオトリアオシルセラミド
及びガングリオテトラオシルセラミドを特異的に認識すること及びこの生物の脂
質結合特異性を司っていると考えられるS−アドヘシンを単離したことを報告し
ている。しかしながら、H.pyloriにより特異的に認識されると報告されている
どの化合物もシアリル化されたオリゴサッカリドではない。
Tzovelekisら(Infection and immunity(1991)59:4252-4253)は、胃のムチ
ンによるHEp−2細胞へのH.pyloriの結合阻害を報告した。その研究者ら
は、精製ムチンが最も大きなH.pylori結合の阻害を示す一方で、アシアロムチ
ンが幾分小さな阻害を示しそして過ヨウ素酸塩酸化ムチンは最低レベルの結合を
示すことを認めた。これら観察結果で、その研究者らは、シアル酸が少なくとも
部分的にH.pyloriとヒトの胃のムチンの間の結合相互作用の原因となっている
と結論付けた。しかしながら、ムチンは種々の異なるサッカリド基及びサッカリ
ド結合を含有していることに留意すべきである。
Borenら(Science(1993)262:1892-1895)は、ルイスb血液型H−I型抗原が
ヒトの胃粘膜へのH.pylori付着を媒介することを報告した。
Fauchereら,Microbial Pathogenesis,1990 9:427-439は、H.pylori接着が
、マイクロタイターアッセイにより評価できること、及びウレアーゼと共に共存
浄化されかつN−アセチル−ノイラミニル−ラクトース結合血球凝集素とは相違
する細菌表面物質と関係していることを報告している。
Robinsonらは、J.Med.Microbiol.(1990)33 277-284で、ヒト赤血球をArt
hrobacter ureafaciens及びClostridium perfringensからのノイラミニダーゼで
前処理すると、細胞結合性ではない可溶性の血球凝集素による血球凝集反応が無
くなってしまうことを報告しており、これは、シアル酸がH.pyloriの結合阻害
に関係しないことを示唆するものである。
Dunnら,Reviews of Infections Diseases 1991;13(Suppl 8):(S657-64)は、
物質をノイラミニダーゼで処理することによる平均蛍光強度法(Mean Fluoresce
nce Intensity)による結合阻害研究を報告している。その研究者らは、16.8
%のN−アセチルノイラミニルラクトースのノイラミニダーゼ処理でMFIが1
6.8%減少し、フェチュインで29.8%減少し、そしてアシアロフェチュイン
で8.6%減少することを報告している。しかしながら、その研究者らは、KA
TO細胞のノイラミニダーゼでの処理で30%増加することを報告している。か
かる結果は、H.pyloriの部位特異的結合におけるシアリル化の役割に疑問を唱
えるものである。
Saitohらは、H.pyloriにより特異的に認識されるリガンドとして硫酸含有グ
リセロ脂質を報告している。
H.pylori結合阻害性を有する化合物に多くの研究が行われてきたが、この文
献が矛盾する証拠に満ちていることは明らかである。
更に、H.pylori結合阻害を試験する方法の有意性に関してコンセンサスの欠
如さえ存在する。血球凝集アッセイは多くの研究者達により用いられてきた(例
えば、Evansら(Infection and immunity(1988)56:2896-2906)を参照のこと
)が、Fiqueroaらは、Journal of Infection(1992)24:263-267で、特異的血球
凝集素抗原の発現に依存しない接着メカニズムを報告している。この報告は血球
凝集反応阻害とH.pylori結合阻害との関係に明らさまに疑問を投げかけている
。更には、H.pylori結合阻害について試験するために用いられた多くの細胞表
面接着系は、胃組織には全く関係を有しない。
多数の結合阻害研究に加えて、胃潰瘍及び十二指腸潰瘍の患者を治療する方法
も追求されてきた。
コロイド状ジクエン酸ビスマス(CBS)が胃潰瘍及び十二指腸潰瘍疾患の両
方を治療するのに用いられ、成果を収めてきた(委細については、Reviews of I
nfectious Diseases(1991)13(Supple.8):S691-5のLambertの報文を参照のこ
と)。CBSは、ヒスタミンH2アンタゴニストとして有効であることが分かっ
ており、治療を止めた後の再発率が低いのはH.pyloriを撲滅するCBSの能力
のお陰であると考えられてきた。ジサリチル酸ビスマス(BSS)もH.pylori
を阻害することが認められている。
Colemanら(米国特許第4,935,406号)は、H.pylori 集団を原因とする消化器
系疾患を、ビスマス(リン酸/硫酸)化サッカリド組成物の投与により軽くする
方法を報告した。この方法によるサッカリド組成物は、アルドース及びケトース
モノサッカリドの簡単なリン酸化物及び硫酸化物である。
アモキシシリン又はテトラサイクリン、メトロニダゾール(一種の抗原虫薬)
、及びBSSの“トリプル療法”と共にラニチジンを用いるH.pyloriの治療に
おける臨床試験が報告された(Evansら,Ann Internal Med.(1991)August 15,
115(4):266-9)。これら臨床的研究で、ラニチジン+“トリプル療法”を受けた
患者では、ラニチジンを単独で投与された患者よりも潰瘍治癒がより速やかであ
ったことが示唆された。
H.pyloriが消化性潰瘍において果たすこの強力な役割で、合衆国国立衛生研
究所により招集された専門家の独立諮問委員会により1994年2月に、消化性
潰瘍及びH.pyloriと診断された患者を抗生物質を組み合わせて2週間は治療す
べきことを通告する声明が出された。Helicobacter pylori in Peptic Ulcer Di
seaseというConsensus Development Conference Statementが合衆国国立衛生研
究所から入手可能である。そこでは如何なる他のタイプの治療法も推奨されてい
なかった。
しかしながら、この生物をこれら治療法で長期間撲滅するのは困難であった。
抗生物質アプローチは、新たな抗生物質耐性菌の出現の危険性をはらんでいる。
加えて、長期抗生物質療法に伴う副作用がある。これは不快であるのでそのよう
な治療法の承諾を得るのをより難しいものにしている。かくして、良好な長期間
撲滅性でH.pyloriを治療する方法は、未だ開発されていない。
上に明示した先行技術により明らかになったように、H.pyloriの部位特異的
付着を司る候補として同定された構造的に多様な種々の化合物がある。これら先
行技術の記述は、H.pylori結合阻害を予示するために用いられた種々の異なるi
n vitroアッセイにより更に複雑になっており、それらについての哺乳動物にお
ける効果的なH.pylori結合阻害との相関関係は確認されていない(Fiqueroaら,
Journal of Infection(1992)24 263-267)。たとえ以前に3’シアリルラクト
ースが血球凝集反応阻害活性を有すると確認され、それがために思弁的に胃のコ
ロニー形成因子であると同定された(Evansら(Infection and Immunity(1988
)56:2896-2906))としても、可能性ある候補として同定された多くのもののう
ちの1化合物に過ぎない。同刊行物は、化合物フェチュインについても、0.1
56倍の大きさでしかないのに、同じ活性を報告した。従って、この先行文献の
記述で、哺乳動物においてH.pylori結合を阻害する特に有効な手段として、3
’シアリルラクトースを他の多くの構造的に多様な化合物から選択することが可
能になるものではない。
本発明者らの研究に基づき、今回、3’シアリルラクトースが哺乳動物におけ
るH.pylori結合阻害の驚くほど有効な阻害物質であることが発見された。そし
て、この知見は、本発明者らによりin vivo哺乳動物試験データによって確認さ
れた。
加えて、先の報告に反し、本発明の発明者らは、フェチュインがin vitroでH
.pylori細胞の結合の阻害に極僅かな活性しか有さないことを発見した。本発明
者らは、フェチュインに関連する結合阻害活性は、市販のフェチュインの混入物
である高分子量の不純物のせいであるらしいということを発見した。それらアッ
セイに基づき、本発明の発明者らは、3’シアリルラクトースが、フェチュイン
について先に報告されたものに照らして期待される度合いを遥かに超える度合い
でH.pyloriの結合を阻害する能力を有することを発見した。先の報告からは、
フェチュインで達成されるのと同じ効果を達成するには、0.156倍の3’シ
アリルラクトースが必要になると考えられよう。しかし、本発明の発明者らは、
フェチュインがH.pylori細胞の結合阻害に極僅かな有効性しか有さないことを
発見したので、3’シアリルラクトースが驚くほど強力にH.pyloriを阻害する
という彼らの発見は、3’シアリルラクトースを先行技術から予測される量を遥
かに下回る量で用いることができることを約束するものである。本発明者らは、
この発見に基づいて、3’シアリルラクトースが哺乳動物におけるH.pyloriの
阻害に意外なほど優れていることを認識したのである。発明の開示
従って、本発明の1つの目的は、胃潰瘍及び/又は十二指腸潰瘍を治療及び/
又は予防する方法を提供することである。
本発明の他の目的は、そうすることを必要とする患者の胃及び/又は十二指腸
からHelicobacter pyloriを排除することを含む、哺乳動物組織へのHelicobacte
r pylori感染及び/又は再感染を阻止する方法を提供することである。
本発明の他の目的は、それを必要とする患者の胃及び/又は十二指腸からHeli
cobacter pyloriを排除することを含む、哺乳動物組織のHelicobacter pylori感
染又は再感染を阻止するための、及び胃潰瘍及び/又は十二指腸潰瘍を治療及び
/又は予防するための医薬組成物を提供することである。
本発明の上の全ての目的及び以下に示される本発明の説明から明らかになる他
の目的は、本発明者らにより、下式Iのオリゴサッカリドを含む組成物を投与す
ることにより満たされることが発見された。
(NeuAc−α(2−3)−pGal−β(1)−(-X-)m−(-Y-)n−)p−Z
式中、
X=化学結合又はp個のガラクトースを連結基Y又は多価支持体Zのいずれか
に連結することができる基;
この際、ガラクトースのC1グリコシド酸素がN、S又はCにより置換されて
いてもよい;
Y=連結基;
Z=多価支持体;
m=0又は1;
n=0又は1;そして
p=2〜1,000の整数。
本発明は、下式IIのオリゴサッカリド組成物も提供する。
NeuAc−α(2−3)−pGal−β(1)−A
式中、
A=p個のガラクトースに結合することができる基。
この際、ガラクトースのC1グリコシド酸素がN、S又はCにより置換されて
いてもよい。
先の報告(Evansら(Infection and immunity(1988)56:2896-2906))に反し
て、本発明の発明者らは、式I又はIIのオリゴサッカリド、具体的にはNeuA
cα(2→3)Gal β1−4Glc(以下、3’シアリルラクトースともいう)
が、哺乳動物を治療する場合に、Helicobacter pyloriの阻害にフェチュインよ
りも劇的に有効である(6.41倍を超えて有効である)ことを発見した。具体
的には、本発明者らは、哺乳動物におけるH.pylori感染を治療する方法におい
て3’シアリルラクトースが意外なほど向上した活性を有することを発見した。
加えて、本発明の発明者らは、オリゴサッカリドの多価提示体(即ち、式Iの
オリゴサッカリド)が、そのオリゴサッカリド基に基づくモル基準で、同じオリ
ゴサッカリドの一価提示体よりも意外なほど優れていることを発見した。
加えて、式I及び/又は式IIのオリゴサッカリドを単独で又はH2遮断薬、
抗生物質、オリゴサッカリド化合物及び/又は抗潰瘍性化合物と組み合わせて含
む医薬組成物を哺乳動物に投与する方法が、胃粘膜及び十二指腸粘膜へのHelico
bacter pyloriの結合を阻害しそして胃潰瘍及び十二指腸潰瘍の影響を軽減する
ことに有効であることが本発明者らにより見出された。本発明を実施するための最良実施態様
この明細書全体にわたって次の略号を用いる。即ち、ガラクトースについて“
Gal”グルコースについて“Glc”;N−アセチルノイラミン酸について“
NeuAc”。
本発明によれば、下式Iのオリゴサッカリド化合物が投与される。
(NeuAc−α(2−3)−pGal−β(1)−(-X-)m−(-Y-)n−)p−Z
式中、
X=化学結合又はp個のガラクトースを連結基Y又は多価支持体Zのいずれか
に連結することができる基;
この際、ガラクトースのC1グリコシド酸素がN、S又はCにより置換されて
いてもよい;
Y=連結基;
Z=多価支持体;
m=0又は1;
n=0又は1;そして
p=2〜1,000の整数。
例えば、Xは、置換C1-20アルキル基;置換C1-20アルキルカルボン酸エステ
ル基;置換C1-20アルキルカルボキシアミド基;ヒドロキシ末端ポリエーテル;
アミン末端ポリエーテル;イノシトール;ピラノース型又は開環型のオリゴサッ
カリド、ジサッカリド又はモノサッカリドであって、該オリゴサッカリド、ジサ
ッカリド又はモノサッカリドの還元末端を有するもの;ピラノース型又は開環型
のアザオリゴサッカリド、アザジサッカリド又はアザモノサッカリドであって、
該アザオリゴサッカリド、アザジサッカリド又はアザモノサッカリドの還元末端
を有するものであってもよい。この際、前記置換基は、ヒドロキシル基又はアミ
ン基の如き、多価支持体の連結基と反応できるものとする。
好ましくは、基Xは、グルコース、N−アセチルグルコサミン、ガラクトース
、N−アセチルガラクトサミン、マンノース、フコース、アロース、アルトロー
ス、グロース、イドース、タロース及びラムノースの如きモノサッカリドヘキト
ース基である。加えて、適する基Xは、グルシトールの如き、上に明示したヘキ
トース基の還元型である。
基Xが多価支持体に直接結合できる場合は、nは0である。
ガラクトースのC1グリコシド酸素が多価支持体に直接結合できる場合は、m
とnの両方が0である。
適する連結基は、基Xと結合できるY基の一方の末端部分を有するとともに、
他方の末端は多価支持体と結合できる。
基Xと連結基Yを連結させるために及び連結基Yを多価支持体に連結させるた
めに必要な化学は、連結化学の分野において周知である。例えば、Xがオリゴサ
ッカリド、ジサッカリド又はモノサッカリドの如きサッカリドであるときは、X
とYの間の結合は、X基のC1におけるアルデヒド基若しくはカルボン酸基又は
酸化によりX基上に導入されたあらゆるアルデヒド基若しくはカルボン酸基をY
基と反応させて、−NH−、−N(R)−(RはC1-20アルキルである)、ヒド
ロキシアルキルアミン、アミド、エステル、チオエステル、チオアミドの如き適
する結合を形成させることによって形成させることができる。
Xがオリゴサッカリド、ジサッカリド又はモノサッカリドの如きサッカリドで
あるときは、XとYの間の結合は、ピラノース型におけるC1ヒドロキシル基を
アシル化剤及び分子状ハライドと反応させてから親核体と反応させて、−NH−
、−N(R)−(RはC1-20アルキルである)、−S−及び−O−の如き適する
結合を形成させることによって形成させることができる。このタイプの連結化学
は、Stowellら,Advances in Carbohydrate Chemistry and Biochemistry,37(
1980)p225+に記載されている。
適する多価支持体は、基Xに結合していない連結基の末端に対する複数結合部
位、基Xに対する複数結合部位、又はガラクトースのC1グリコシド酸素に対す
る複数結合部位を有する化合物である。例には、ポリオール、ポリサッカリド、
ポリリシン、アビジン、ポリアクリルアミド、デキストラン、脂質、脂質エマル
ジョン、リポソーム、デンドリトマー(dendritomer)、ヒト血清アルブミン、ウ
シ血清アルブミン又はシクロデキストリンが含まれるが、これらに限定されない
。
本オリゴサッカリドは式Iに従う多価分子として提供される。この態様におい
ては、1を超えるオリゴサッカリドの個々の分子がリンカーを介してその多価支
持体に共有結合した結合体を生成するよう、既知技術を用いてそのオリゴサッカ
リド部分を多価支持体に結合させる。この多価支持体は、2〜1,000分子(
即ち、p=2〜1,000の整数)、好ましくは2〜100分子、より好ましく
は2〜30分子のオリゴサッカリド部分をその多価支持体に結合させて留まらせ
る多価分子を提供するのに十分な長さである。
このオリゴサッカリド部分は、基Xのフリーのアノマー炭素を介して多価支持
体に結合することができる。また、このオリゴサッカリド部分は、Smithら,Com
plex Carbohydrates part C,Methods in Enzymology,Volume L,V.Ginsburg
編(1978),p 169-171に記載されたフェネチルアミン−イソチオシアネート誘導
体を介して結合することができる。式Iのオリゴサッカリドが水溶性のままであ
るのが好ましいが、式Iのオリゴサッカリドをポリマー粒子の形で投与すること
も可能である。
例えば、式Iのオリゴサッカリド部分を支持体に結合させて、その表面に式I
のオリゴサッカリド部分が結合したビーズを形成させることができる。
本発明によれば、下式IIのオリゴサッカリド組成物が投与される。
NeuAc−α(2−3)−pGal−β(1)−A
式中、
A=p個のガラクトースに結合することができる基。
この際、ガラクトースのC1グリコシド酸素がN、S又はCにより置換されて
いてもよい。
例えば、Aは、C1-20アルキル基;C1-20アルキルカルボン酸エステル基;C1-20
アルキルカルボキシアミド基;ポリエーテル;イノシトール;ピラノース型
又は開環型のオリゴサッカリド、ジサッカリド又はモノサッカリドであって、該
オリゴサッカリド、ジサッカリド又はモノサッカリドの還元末端を有するもの;
ピラノース型又は開環型のアザオリゴサッカリド、アザジサッカリド又はアザモ
ノサッカリドであって、該アザオリゴサッカリド、アザジサッカリド又はアザモ
ノサッカリドの還元末端を有するものであってもよい。
好ましくは、基Aは、グルコース、N−アセチルグルコサミン、ガラクトース
、N−アセチルガラクトサミン、マンノース、フコース、アロース、アルトロー
ス、グロース、イドース、タロース及びラムノースの如きモノサッカリドヘキト
ース基である。加えて、適する基Aは、グルシトールの如き、上に明示したヘキ
トース基の還元型である。
ガラクトースの対応するN及びSグリコシドは、ガラクトースから当業者に既
知の慣用的方法により調製することができ、そのあと、慣用的方法によりその3
位にシアリル酸基を付ける。ガラクトースの対応するCグリコシドは、慣用的な
合成有機技術により調製することができ、そのあと、慣用的方法によりその3位
にシアリル酸基を付ける。
あらゆる既知の適する薬学的に許容できるカチオンを式I及び式IIのオリゴサ
ッカリドと共に用いて、そのカルボン酸基の塩を形成することができる。適する
カチオンには、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)又はア
ルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩等)の如き金属塩、
アンモニウム塩、有機塩基塩(例えば、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン
塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N'−ジベンジル
エチレンジアミン塩等)、有機酸塩(例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢
酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、
トルエンスルホン酸塩等)、無機酸塩(例えば、塩化水素塩、臭化水素塩、硫酸
塩、リン酸塩等)、アミノ酸との塩(例えば、アルギニン塩、アスパラギン酸塩
、グルタミン酸塩等)及びそれらに類したものを含む慣用的な無毒性の塩が含ま
れる。
本発明のオリゴサッカリドは、(1)公開された国際出願WO 91/16449に記載さ
れた本発明者らの方法のうちの1つを用いる酵素的な方法、(2)古典的な有機
化学を用いる合成的な方法、(3)天然に存在するオリゴサッカリド、糖脂質、
又は糖ペプチドの分解による方法、又は(4)ウシの初乳の如き天然供給源から
の単離による方法を含む、あらゆる既知の方法により得ることができる。ウシの
初
乳からの3’シアリルラクトースの単離は、VehらJournal of Chromatography,2
12,(1981)313-322に記載されている。
式I及び式IIのオリゴサッカリドは、既知のプロトンポンプ阻害剤又は既知の
H2受容体アンタゴニストと共に投与してもよい。代表的なプロトンポンプ阻害
剤は、オメプラゾール(omeprazole)であり、そして代表的なH2アンタゴニス
トには、シメチジン、ラニチジン、ニザチジン(nizatidine)及びファモチジン
が含まれる。本オリゴサッカリドと共に投与されるプロトンポンプ阻害剤及びH2
アンタゴニストの量は、それらの既知の治療法について投与される量とおよそ
同じである。従って、プロトンポンプ阻害剤及びH2アンタゴニストの有効量は
、日常的な実験により決めることができる。
また、既知の抗潰瘍性化合物をH2受容体アンタゴニストと共に又はH2受容体
アンタゴニストの代わりとして用いてもよい。適する抗潰瘍薬には、アセグルタ
ミドアルミニウム錯体、ε−アセトアミドカプロン酸亜鉛塩、アセトキソロン(a
cetoxolone)、アルバプロスチル(arbaprostil)、塩酸ベネキザート(benexate)、
ジクエン酸ビスマスゾル、ジサリチル酸ビスマス、カルベノキソロン、セトラキ
サート、シメチジン、エンプロスチル(enprostil)、エサプラゾール(esaprazole
)、ファモチジン、フタキシジド(ftaxidide)、ゲファルナート、グアイアズレン
、イルソグラジン(irsogladine)、ミソプロストール(misoprostol)、ナザチジン
(nazatidine)、オルノプロスチル(ornprostil)、γ−オリザノール、ピファルニ
ン(pifarnine)、ピレンゼピン、プラウノトール(plaunotol)、ラニチジン、リオ
プロスチル(rioprostil)、ロサプロストール(rosaprostol)、ロトラキサート(ro
traxate)、酢酸ロキサチジン(roxatidine)、ソファルコン(sofalcone)、スピゾ
フロン(spizofurone)、スクラルファート、テプレノン(teprenone)、トリモプロ
スチル(trimoprostil)、トリチオジン(trithiozine)、トロキシピド(troxipide)
、及びゾリミジン(zolimidine)が含まれる。本オリゴサッカリドと共に投与され
る抗潰瘍薬の量は、その既知の治療法について投与される量とおよそ同じである
。従って、この抗潰瘍薬の有効量は、日常的な実験により決めることができる。
また、式I及び式IIのオリゴサッカリドは、H.pyloriに対する活性を有す
る抗生物質と共に投与してもよい。適する抗生物質には、メトロニダゾール、テ
トラサイクリン、ビスマス、エリスロマイシン、マクロライド類、キノロン類、
セファロスポリン類及びアモキシシリンが含まれる。本オリゴサッカリドと共に
投与される抗生物質の量は、その既知の治療法について投与される量とおよそ同
じである。従って、この抗生物質の有効量は、日常的な実験により決めることが
できる。
また、式I及び式IIのオリゴサッカリドは、H−1型若しくはルイスb血液型
抗原又はNeuAc−α(2→6)−Gal β1→4Glcの如きオリゴサッカリ
ドと共に投与してもよい。適するH−1型及びルイスb血液型抗原は、Borenら(
Science(1993)262:1892-1895)に報告されている。
本発明の抗H.pylori組成物は、式I及び式IIのオリゴサッカリドを、何らか
の適する液体又は固体の薬学的に許容できる製剤上の担体又は賦形剤と共に、好
ましくは経口又は腸内投与に適する形で含有する。加えて、本発明の医薬組成物
は、好ましくはパイロジェンを含まない。
本医薬組成物は、通常、標準的な製剤を用いる投与の経路に依存して適当に選
択される製剤上の担体との混合物として投与される。例えば、本発明の化合物を
錠剤の形で投与することができる。それは、本発明の有効成分の粉末に、澱粉、
ラクトース、スクロース、グルコース、結晶セルロース、炭酸カルシウム又はカ
オリン、ヒドロキシプロピルセルロース、グルコース溶液、スクロース溶液、水
又はエタノールの如き賦形剤、澱粉、寒天、ゼラチン粉末、カルボキシメチルセ
ルロース・カルシウム(CMC−Ca)、カルボキシメチルセルロース・ナトリ
ウム(CMC−Na)、結晶セルロース、炭酸カルシウム又は炭酸水素ナトリウ
ムの如き崩壊剤、又はステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タ
ルク、マクロゴール4,000、マクロゴール6,000又はステアリン酸の如
き滑剤を加えることによる既知技術を用いて調製することができる。
次いで、その混合物を慣用的な錠剤成形方法により圧縮成形に付し、必要に応
じて、例えばアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリ
コール及び/又は酸化チタンを含有する濃厚糖溶液による糖コーティングを適用
するか、例えばポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース又
はポリビニルピロリドンから構成される薄膜形成剤による薄膜コーティングを適
用するか、又は例えばエチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタ
レート又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートから構成される薄膜
形成剤による腸溶性コーティングを適用する。
これら医薬組成物は、本発明の有効成分に、澱粉、ゼラチン、アラビアガム、
メチルセルロース、ナトリウム・カルボキシメチルセルロース、重質無水ケイ酸
又は軽質無水ケイ酸の如き結合剤を加えた後、常法により練って顆粒化すること
により調製することができる顆粒又は微細顆粒の形であっても;本発明の有効成
分単独の散剤としてであっても;本発明の有効成分に、ラクトース、澱粉又は結
晶セルロースの如き賦形剤及び/又はステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸
カルシウム又はタルクの如き滑剤を加え、そしてその混合物をカプセルに充填す
ることにより調製することができるカプセル剤としてであってもよい。
溶液剤又は懸濁剤は、当該技術分野で慣習的に用いられる何らかの希釈剤を加
えることにより調製することができる。例えば、適する希釈剤には、水、エチル
アルコール、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビトール、及びソ
ルビタンエステルが含まれる。塩化ナトリウム、グルコース又はグリセロールを
等張液を調製するのに十分な量でそのような液体製剤中に加えてもよい。本治療
用組成物は、更に、通常の溶解助剤、緩衝剤、痛み止め、保存剤、及び場合によ
り着色剤、香料、矯味矯臭剤、甘味剤及び当該技術分野で周知の他の薬学的に活
性な物質も含有することができる。
適する組成物は、溶液剤、懸濁剤、錠剤、被覆錠剤又は胃若しくは十二指腸へ
の送達に適するあらゆる薬学的に許容できる形態をとることができる。
本発明の好ましい態様によれば、本オリゴサッカリド又は医薬組成物は、それ
を必要とする患者に、H.pylori結合を阻害するために又はH.pyloriコロニーを
患者の胃及び又は十二指腸から排除するために経口投与又は腸内投与される。
典型的には、適する患者はヒトである。しかしながら、本法は、ブタ、ウシ、
ウマ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、噛歯動物及び非ヒト霊長類の如き哺乳動物を
含むがそれらに限定されない動物の治療にも適用できる。
本発明の方法は、十二指腸潰瘍、胃潰瘍の予防及びその患者の治療及び患者に
おける胃癌の予防に適している。
式I及び/又は式IIのオリゴサッカリドを含有する医薬組成物を投与するのに
適する量には、1投与当たり1μgから10,000mg/ml、好ましくは1
0μgから1,000mg/ml、より好ましくは0.5mgから50mg/m
l、最も好ましくは1〜10mg/mlのオリゴサッカリドの胃内有効濃度をも
たらす量が含まれる。例えば、500mlというヒトの胃の平均容量に基づけば
、3mgの投与量は、約6mg/mlの胃内有効濃度をもたらすこととなろう。
式IIのオリゴサッカリドを含む医薬組成物の投与は、好ましくは、1投与当た
り1μgから10,000mg/ml、好ましくは10μgから1,000mg
/ml、より好ましくは0.5mgから50mg/ml、最も好ましくは1〜1
0mg/mlの持続的胃内有効濃度を達成するように行われる。これは、少なく
とも1日に1回の、好ましくは1日に2回の、より好ましくは1日に3回の、そ
して最も好ましくは1日に4回の投与により達成できる。
多価分子として投与するときは、式Iのオリゴサッカリドを含む医薬組成物を
、1投与当たり1μgから1,000mg/ml、好ましくは10μgから10
0mg/ml、より好ましくは50μgから5mg/ml、最も好ましくは10
μgから2mg/mlの持続的胃内有効濃度を達成するように投与する。これは
、少なくとも1日に1回の、好ましくは1日に2回の、より好ましくは1日に3
回の、そして最も好ましくは1日に4回の投与により達成できる。
プロトンポンプ阻害剤、H2アンタゴニスト、又は抗潰瘍薬を同時投与すると
きは、1日に10〜500mg、好ましくは100〜300mgのプロトンポン
プ阻害剤、H2アンタゴニスト、又は抗潰瘍薬を与えられるように本組成物を製
剤する。例えば、適する療法は、テトラサイクリン(500mgを1日に4回)
、ジサリチル酸ビスマス(2錠を1日に食事時及び就寝時に4回)、及びメトロ
ニダゾール(250mgを1日に食事時に3回)の各々を14日間投与すること
を含む。投与形態には、錠剤、カプセル剤、溶液剤又は懸濁剤の如き単位投与形
態が含まれる。
H.pylori感染の撲滅又は潰瘍の治療後は、1投与当たり1μgから1,00
0mg/ml、好ましくは10μgから100mg/ml、より好ましくは50
μgから5mg/ml、最も好ましくは10μgから2mg/mlの持続的胃内
有効濃度を達成するために、維持量を投与する。これは、少なくとも1日に1回
の、好ましくは1日に2回の、より好ましくは1日に3回の、そして最も好まし
くは1日に4回の投与により達成できる。
本発明の他の特徴が、以下の実施例の記載を参照する過程で明らかになるであ
ろう。これら実施例の記載は、本発明を説明するために示したもので本発明を限
定することを意図したものではない。実施例1:
H.pylori結合阻害の効果について試験するために、メリーランド州Rockville
のアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションから入手したヒト上皮性胃癌
上皮細胞HuTu−80から、Fauchereら,MicrobialPathogenesis 1990;9,42
7-439で報告された操作に手を加えた操作に従って細胞培養物を調製した。それ
ら培養物をT−75フラスコ中に10%ウシ胎児血清を含有する基本培地イーグ
ル内で37℃で5%CO2雰囲気で維持した。細胞をトリプシン/EDTAで剥
がすことにより採取して96ウェル平底マイクロタイタープレートにプレートし
た。これらマイクロタイタープレートを単層が集密体に増殖するまで2〜3日間
インキュベートした。結合阻害試験前に、この単層をCa+2とMg+2、0.1%
BSA、50mM HEPES、0.01フェノールレッド又はHBHPRを含有
するハンクス平衡塩類溶液(HBSS)で洗浄した。
H.pylori菌分離株は、B.Marshall(バージニア大学)から入手してヒツジ血
液寒天上で増殖させ、48時間で集め、洗浄し、そしてHBSS+0.1%ウシ
血清アルブミン+50mM HEPES緩衝液+0.01%フェノールレッド又は
HBHPRの結合緩衝液中に懸濁させた。
H.pylori結合阻害について試験するために、単層に結合させたH.pyloriの濃
度を中程度のOD595(595nmにおける光学密度)(約0.4OD単位)と定
めた。同濃度の細菌と試験化合物を10分間混合してから単層上に移した。穏や
かな攪拌下で室温で20分間結合させた。未結合菌をHBHPRで1回洗浄して
洗い落としてから、HEPES緩衝液なしの同緩衝液(HBPR)で2
回洗浄した。
単層への細菌接着の量を50μlの尿素−フェノールレッド(UPR)溶液(
0.85%NaCl中の0.2%尿素、0.03%フェノールレッド)と共にイン
キュベートすることにより測定した。結合した細菌の存在は、pHを上昇させか
つOD595辺りの紫色に変色させるNH3を発生する細菌性ウレアーゼの存在によ
り示される。
IC50(mg/ml)を試験した各化合物について出した。試験データを以下
の表1に報告する。
このデータは、3’シアリルラクトースを多価型で試験すると3’シアリルラ
クトースよりもモル基準で290倍効果的であったことを明らかにしている。実施例2:
フェチュインの結合阻害活性を次のようにして測定した。
Sigma Chemicalからの市販のフェチュインをSEPHACRYL S-100カラム(Pharmac
iaからのもの)で、0.15M NaCl+0.05M トリス−HCl,pH7.
0+0.02%NaN3水溶液で精製し、分離した各ピークについてIC50を出し
た。IC50は、HuTu−80細胞系単層を用いて出した。結果を以下の表2に
示す。この際、画分#3は純粋なフェチュインに相当し、画分#1及び#2は未
同定高分子量不純物に相当する。
in vivo動物試験
ノトバイオート由来子ブタ(帝王切開により産まれて無菌環境で飼育されたも
の)を5.0mlの水中の100mgの3’シアリルラクトースで経口的に処置
した。実験A:
6日齢のノトバイオートの子ブタを、各100mgの3’シアリルラクトース
を約8時間置きに7回経口投与して処置した。対照として、子ブタに水を投与し
た。3’シアリルラクトース及び対照の3度目の投与で2×109の生きたH.py
loriが伴っていた。2匹の子ブタに3’シアリルラクトースを投与して2匹の子
ブタに対照を投与した。結果を以下の表3に示す。実験B:
21日齢のノトバイオートの子ブタを、各100mgの3’シアリルラクトー
スを約8時間置きに7回経口投与して処置した。対照として、子ブタに水を投与
した。3’シアリルラクトース及び対照の3度目の投与で4×109の生きたH.
pyloriが伴っていた。4匹の子ブタに3’シアリルラクトースを投与して2匹の
子ブタに対照を投与した。結果を以下の表3に示す。
血液−寒天中の細菌コロニーをコロニー形成単位/g胃上皮(CFU/g)と
して出すことによって子ブタを評価した。胃の上皮のホモジネートを段階的に1
:10に希釈して寒天上にプレートし、細菌コロニーをそれらプレート上で数え
たところ、5日後に20〜200コロニー/プレートであった。
実施例3:
1gの3’シアリルラクトースを水とプロピレングリコールの混合液中に懸濁
させることにより、抗Helicobacter組成物を調製する。実施例4:
1gの3’シアリルラクトースと250mgのH2受容体アンタゴニストのラ
ニチジンを混合することにより、抗Helicobacter組成物を調製する。次いで、こ
の混合物を水とプロピレングリコールの混合液中に懸濁させる。実施例5:
1gの3’シアリルラクトースと250mgのプロトンポンプ阻害剤のオメプ
ラゾールを混合することにより、抗Helicobacter組成物を調製する。次いで、こ
の混合物を水とプロピレングリコールの混合液中に懸濁させる。実施例6:
1gの3’シアリルラクトースと500mgのテトラサイクリンを混合するこ
とにより、抗Helicobacter組成物を調製する。次いで、この混合物を水とプロピ
レングリコールの混合液中に懸濁させる。実施例7:
治療的処置として、H.pyloriで感染した患者を実施例3の組成物で治療する
。各々が2mg/mlの胃内有効濃度を与える用量で患者を日に4回経口治療す
る。治療を2週間継続した後に検査すると、H.pylori菌が根絶していることが
分かった。根絶後、本発明の組成物で維持治療を続けて再発を防止した。
明らかに、本発明の多くの修飾及び変更が上の技術から見て可能である。従っ
て、本発明を本明細書に具体的に記載したものとは違う方法で実施できるが、そ
れは添付の請求の範囲内に入ることが理解されるべきである。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C
H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB
,GE,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,
LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,MN,M
W,MX,NL,NO,NZ,PL,PT,RO,RU
,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TT,UA,
UZ,VN
(72)発明者 サイモン,ポール エム.
アメリカ合衆国 19802 デラウエア州
ウィルミントン,アービング ドライブ
307番地
(72)発明者 ロース,ステフェン
アメリカ合衆国 19035 ペンシルバニア
州 グラッドワイン,ローズ グレン ロ
ード 1105番地
(72)発明者 マックガイアー エドワード ジェイ.
アメリカ合衆国 18925 ペンシルバニア
州 ファーロング,クローバリー ドライ
ブ 3065番地
(72)発明者 ランジャー,デニス エイチ.
アメリカ合衆国 08540 ニュージャージ
ー州 プリンストン,クリーブランド レ
ーン 12番地