JPH08504889A - 交流電流を用いるアルミニウム表面の電解着色方法 - Google Patents

交流電流を用いるアルミニウム表面の電解着色方法

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JPH08504889A JP6514778A JP51477894A JPH08504889A JP H08504889 A JPH08504889 A JP H08504889A JP 6514778 A JP6514778 A JP 6514778A JP 51477894 A JP51477894 A JP 51477894A JP H08504889 A JPH08504889 A JP H08504889A
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クーム、ペーター
シュレーダー、クリスティーネ
ザンダー、フォルカー
リンデナー、ユルゲン
デ・リーゼ−マイヤー、レルト
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ヘンケル・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
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Abstract

(57)【要約】 本発明の第1の態様は、光散乱特性を向上させるように設計された、特に選択された試剤ならびに銅(II)イオンを含有する酸性着色浴中で、陽極酸化されたアルミニウム表面を交流電流により電解着色する方法に関する。本発明の第2の態様において、上記の陽極酸化されたアルミニウム表面は、スズ(II)イオンおよび/または銀イオンを含有する酸性着色浴を用いる第2の着色操作に付される。2つの操作の順序は変更することができ、即ち、まず、スズ(II)イオンおよび/または銀イオンを含有する酸性着色浴を用い、続いて、銅(II)イオンを含有する浴を用いて着色を行うことができる。本発明によれば、特に、優れた腐食耐性を有するアルミニウム表面を形成することができる。特に、赤みがかった金色の色調を有するアルミニウム表面を形成することができる。より暗い色調を形成することもできる。

Description

【発明の詳細な説明】 交流電流を用いるアルミニウム表面の電解着色方法 本発明は、銅(II)イオンを含有する酸性着色浴(coloring bath)において 、場合により、Sn(II)イオンおよび/または銀イオンを含有する他の酸性着 色浴と組み合わせて、陽極酸化されたアルミニウム表面を、交流電流によって電 解着色(電解発色)する方法、更に特に、シャンペン色から金色を経てブロンズ 色の色調にわたる赤みを帯びた金色の色調を生じさせるための方法に関する。 アルミニウムは、卑金属特性のために、一般に0.1μm以下の厚さの天然酸 化物被膜により被覆されるようになるということが知られている(ヴェルニック 、 ー・オーベルフレッヒェンベハントルング・フォン・アルミニウム(Die Oberf1 ク(Eugen Leuze Ver1ag)、ザウルガウ/ヴュルト(Sau1gau/Wurtt.)、197 7年)。 アルミニウムの電解酸化によって、かなり厚い酸化物被覆を得ることができる 。この方法は、陽極酸化法(anodizing)として知られている。電解質として、 硫酸、クロム酸またはリン酸を使用することが好ましい。方法によっては、有機 酸、例えば、シュウ酸、マレイン酸、フタル酸、サリチル酸、スルホサリチル酸 、スルホフタル酸、酒石酸またはクエン酸なども使用される。 しかしながら、硫酸が最も普通に使用される電解質である。この方法では、陽 極酸化の条件に応じて、150μmまでの厚さの層が得られる。しかしながら、 外部用途、例えば建物正面の表面仕上げ(facade facings)または窓枠などに適 用するためには、20〜25μmの層厚さで十分である。 陽極酸化法は、必要とされる層厚さおよび特定の用途に応じて、一般に、10 〜20%の硫酸中で、1.5A/dm2の電流密度、18〜22℃の温度にて、15 〜60分間行われる。 このように形成された酸化物被覆は、多くの有機および無機の物質または染料 に対して高い吸着能を有している。 電解着色方法は、陽極酸化されたアルミニウムを重金属塩溶液中で交流電流に より処理して着色する方法であって、1930年代半ばから知られている。使用 される重金属は、とりわけ周期表第1列の遷移元素、例えばCr、Mn、Fe、Co 、Ni、Cuなどであり、特にSnである。重金属塩は、一般に、硫酸塩として使 用され、硫酸により0.1〜2.0のpH値に調節する。着色方法は、約10〜2 5Vの電圧およびそれによって得られる電流密度にて行われる。対電極は、グラ ファイトもしくはステンレス鋼からなっていてもよいし、あるいは電解液に溶解 しているのと同じ物質からなっていてもよい。 この方法では、交流電流のアルミニウムが陰極となる半サイクル中に、陽極酸 化被覆の細孔内に重金属顔料が付着し、次の半サイクル中に陽極酸化によってア ルミニウム酸化物被覆が更に厚くなる。重金属が細孔の底に付着し、従って酸化 物被覆が着色される。 しかしながら、スズ電解質によって着色を行う場合に遭遇する問題点の一つは 、スズが容易に酸化するため、卑金属のスズ(IV)酸化物水和物(スズ酸)が印 加の間に、場合によっては、Sn溶液の貯蔵中であっても、急速に沈殿するとい うことである。大気中の酸素に曝されてまたは電流の存在下の電極における反応 によって、硫酸スズ(II)水溶液は容易に酸化されて、スズ(IV)化合物になる ということが知られている。これは、一方で、(沈殿の生成により使用できなく なった溶液の頻繁な再生または補充のために)プロセス・シーケンスを混乱させ 、他方で、着色に用いることができないスズ(IV)化合物のために余分なコスト がかなりかかるので、陽極酸化されたアルミニウムのスズ電解質中における着色 には非常に望ましくない。従って、アルミニウムを電解着色するために、一般的 な硫酸/硫酸スズ(II)溶液を安定化するのに用いる手段を特に異ならせて、種 々の方法が開発されている。 フェノール類の化合物、例えば、フェノールスルホン酸、クレゾールスルホン 酸またはスルホサリチル酸などが、遙かに最も通常的に使用されている(エス・ エイ・ポツォリ(S.A.Pozzo1i)、エフ・テギアッチ(F.Tegiacchi)、コロ ス・コロジオーンスシュツ・アルム(Korros.Korrosionsschutz A1um.)、フェ ルアンスト・オイル・フェト・コロス・フォルトル(Veranst.Eur.Foed.Korr os.Vortr)、第88巻、1976年、第139〜145頁)。これに関連して 、多価フェノール、例えばジフェノール類のヒドロキノン、ピロカテコールおよ びレゾルシノールなど(日本国特開昭(JP−A)第58−113391号公報 、同第57−200221号公報、フランス国特許出願公開(FR−A)第23 84037号)ならびにトリフェノール類のフロログルシノール(日本国特開昭 (JP−A)第58−113391号)およびピロガロール(エス・エイ・ポツ ォリ、エフ・テギアッチ、コロス・コロジオーンスシュツ・アルム、フェルアン スト・オイル・フェト・コロス・フォルトル、第88巻、1976年、第139 〜145頁;日本国特開昭(JP−A)第58−113391号;同第57−2 00221号)も記載されている。 電解着色におけるもう一つの重大な問題点は、いわゆるスローイング・パワー (均一電着性、throwing power(デプス・スローイング(depthth rowing))で あって、これは対電極から異なる距離に配置した、陽極された酸化アルミニウム のパーツを、均一な色で着色するための物質の能力であると理解されている。使 用するアルミニウムパーツの形状が複雑な場合(凹部の着色に関して)、アルミ ニウムパーツが非常に大きい場合、ならびに、経済的理由のために単一の着色工 程において幾つかのアルミニウムパーツを同時に着色し、中間色の色調を得なけ ればならない場合、良好なスローイング・パワーが、特に重要である。従って、 欠陥のある製造が防止され、着色したアルミニウムパーツの光学的品質が一般に 良好であるので、実際に、高いスローイング・パワーが大いに望まれている。数 個のパーツを一つの操作において着色することができるので、プロセスは、良好 なスローイング・パワーによって一層経済的になる。 スローイング・パワーと均一性(uniformity)とは同じではなく、両者の間に は明らかな区別がなされるべきである。均一性は、色において、最小限の局部的 な 変化を伴う着色(むらのある着色、patchy coloring)に適用される。乏しい均 一性は、不純物、例えばニトレートなどによって、または陽極酸化プロセスにお ける誤差によって、一般に引き起こされる。良好な着色電解質は、いかなる環境 下にあっても、着色の均一性を損なうべきでない。 着色プロセスが高い均一性を達成する場合であっても、依然として低いスロー イング・パワーを有することがあるし、逆のこともありうる。一般に、均一性は 電解質の化学的組成によってのみ影響され、一方、スローイング・パワーは電気 的および幾何学的(形状的)パラメータ、例えば、ワークピースの形状またはそ の配置および寸法などにも依存する。 ドイツ国特許出願公開(DE−A)第24 28 635号には、陽極酸化さ れたアルミニウム物品の、グレーの色調での電解着色において、硫酸およびホウ 酸ならびに芳香族カルボン酸およびスルホン酸(スルホフタル酸またはスルホサ リチル酸)を添加して、スズ(II)塩および亜鉛塩の組合せを使用することが記 載されている。特に、pH値が1〜1.5の範囲にある場合に、良好なスローイ ング・パワーが得られると言われている。pHを1〜1.5に調節することは、 良好な電解着色のための基本的な必要条件である。加えられた有機酸がスローイ ング・パワーに対する影響を有するかということについても言及されていないし 、得られるスローイング・パワーが定量的に記載されていない。 ドイツ国特許出願公開(DE−A)第32 46 704号には、着色浴にお いて特別な形状を用いることによって、良好なスローイング・パワーが確保され る電解的な着色の方法が記載されている。更に、クレゾールおよびフェノールス ルホン酸、有機物質、例えばデキストリンおよび/もしくはチオ尿素および/も しくはゼラチンなどにより、均一な着色が確保されると言われている。この方法 の問題点は、必要な装置の設置における多大な資本投資にある。電解着色におけ る付着プロセスは、スズを用いる電解メッキに関連する付着プロセスとはかなり 異なるので、付着防止剤、例えば、デキストリン、チオ尿素およびゼラチンなど の添加は、スローイング・パワーにおいてわずかな影響しか有していない。スロ ー イング・パワーの向上をいかに測定することができるかについては、この文献に おいても示唆されていない。 更に、本出願人らの欧州特許出願公開(EP−A)第354 365号には、 一般式(請求の範囲を参照のこと)で示される酸化防止剤を、スローイング・パ ワー向上剤のp−トルエンスルホン酸および/またはナフタレンスルホン酸と共 に使用する、陽極酸化されたアルミニウム表面の金属塩を用いる電解着色方法が 記載されている。 しかしながら、スズ(II)を含有する着色浴のみを用いることによっては、あ る種の赤みを帯びた色調を得ることができず、従って、そのような色調を得るた めに他の重金属イオンも長らく使用されてきた。例えば、赤みを帯びた褐色の装 飾用の色調を得るために、銀イオンを含有する着色浴を用いた交流電流による着 色が、例えば、ドイツ国特許出願公開(DE−A)第38 24 402号など から知られている。これらの色調は、着色浴中においてp−トルエンスルホン酸 を用いることにより得られる。この化合物は、スズ(II)イオンによる着色から はスローイング・パワー向上剤として知られているが、銀イオンを用いる着色に おいては、目に見える緑の色合いを伴わず、淡い安定な金色の色調を形成するた めに用いられる。銀イオンを含有する着色浴は、これらの浴の均一電着特性が十 分であるので、通常、スローイング・パワー向上剤を必要としない。 銅を含有する電解液を用いる交流電流による着色は、ドイツ国特許(DE−C )第741 743号から知られている。銅を含有する電解液を用いて交流電流 による電解着色により着色された陽極酸化アルミニウムパネルは、1960年代 初めから、特に日本において、家屋の正面用に用いられてきたが、得られる色調 を一致させて再現することが困難である(ヴェルニックら、上記引用文献参照) 。この方法により形成される濃い色調は、明るい光に短時間曝した後に、表面に ブルーム(粉吹き、bloom)の徴候を示し、従って、光に安定ではなく、従って 、建築の用途に用いることができない(イー・ピー・ショート(E.P.Short) ら、論文第830389号、エス・エイ・イー・カンファレンス(S.A.E.Con ference)、 1983年2月、デトロイト、アメリカ合衆国ならびにヴェルニックら、上記引 用文献参照)。銅電解液を用いて交流電流により電解着色したアルミニウム表面 の低い耐腐食性のため、これらは、クアラノド・クオリティ・インデックス(Qu alanod quality index)”スペシフィケーションズ・フォー・ザ・クオリティ・ サイン・オブ・アノーディック・オキシデーション・コーティングス・オン・ロ ート・アルミニウム・フォー・アーキテクチュラル・パーポスイズ(Specificat ions for the Qua1ity Sign of Anodic Oxidation Coatings on Wrought A1umin ium for Architectural Purposes)”、チューリッヒ、1983年、から排除さ れた。ニッケルおよびコバルトをベースとする色に対する、既知の、銅をベース とする色の塩水噴霧試験における欠点は、ショートらによっても言及されている (上記引用文献参照)。 建築上の用途に、赤みを帯びた金色およびブロンズ色の色調が、特に近年、要 求されている。日本国特公昭(JP−B)71−20568号には、着色浴中に 、硫酸スズ(II)、クレゾールスルホン酸またはフェノールスルホン酸、硫酸、 ならびに、ニッケル、コバルト、カドミウム、亜鉛、カリウム、クロム、鉄、ジ ルコニウム、マンガン、マグネシウム、鉛または銅の硫酸塩を択一的に含有する 電解質溶液が記載されている。 スズおよび銅を含有する電解液は、イギリス国特許出願公開(GB−A)第1 ,482,390号からも知られている。残念ながら、このようにして得られた 表面は、比較的乏しい腐食耐性を示す。 ドイツ国特許出願公告(DE−B)第2450175号によれば、アミノアル コール、特にアルカノールアミンを、銀−着色電解液に加えることにより、比較 的短い着色時間での酸化アルミニウム被覆の均一な着色が確実になる。 銀イオンおよび銅イオンの両者を含有する電解液を使用し、陽極酸化したアル ミニウム表面に赤みを帯びた色調を残す単一工程の着色方法は、従来技術の文献 において幅広く記載されている。日本国特開昭(JP−A)第54−31045 号には、銀塩および銅塩に加えて、有機酸の他に、アミン、アンモニアもしくは それらの塩を含有する弱アルカリ性の電解液が記載されている。アミンは、2種 の重金属の錯体を形成するための配位子として作用する。 日本国特開昭(JP−A)第56−116899号には、陽極酸化されたアル ミニウム表面を、銀イオンおよび、場合によって銅イオンを含有する電解液によ り着色する方法が記載されている。この方法は、電解着色工程の後、少なくとも 1種のチオカルボン酸アミドを含有する水溶液または水性懸濁液によって表面を 後処理することを特徴とするものである。この後処理は、光の影響下における基 材の脱色を防止することを目的としている。 ドイツ国特許(DE−C)第21 44 969号には、銀イオンに加えて銅 イオンを含有する電解液を用いる酸性溶液中で、陽極酸化されたアルミニウムを 交流電流により電気化学的に着色する方法を記載している。この方法の特別な特 徴は、酸化アルミニウム被膜が、必要とするよりも濃い色調に着色されることで ある。従って、更なる処理工程として、必要とされる色調が淡色化(lightening )によって達成されるまで、(着色すべき物品を陽極として作用させて)直流電 流による電気分解を行う。 日本国特開昭(JP−A)第53−116348号および同第54−1163 49号には、赤みを帯びた色〜黒色の色調が得られる、陽極酸化されたアルミニ ウム表面の交流電流による着色のための方法が記載されている。これらの文献に よれば、着色を、最初に、硫酸またはリン酸電解液であって、更に、水素(銀、 銅)よりも貴金属のイオンならびにマグネシウム塩、ホウ酸またはアルミニウム 塩を腐食防止剤として含有する電解液の中で行う。着色は、2〜18Vの交流電 流にて行う。続いて、ニッケル、コバルトまたはスズイオンを含有する電解液の 中で、交流電流による次の処理を行う。上述したものと同じ腐食防止剤を再度使 用する。この浴は、更に、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、アンモニアおよび/ま たはアミンを含有する。 残念ながら、これらの文献に記載された方法は、スズ(IV)化合物に酸化され ることによって、スズのかなりの損失を被る。更に、着色したワークピースの上 に、 着色の品質を損なう薄い白色の被覆が残ることがある。その上、スローイング・ パワーが比較的弱い点で、着色した表面における色の深み(depth of color)が 不均一である。典型的なワークピースを用いると、幾つかの部位における色の深 みは、最も深い色に着色された領域の値の半分以下である。従って、これらのワ ークピースは、建築の用途および装飾の用途には不適当である。 従って、本発明が解決しようとする主な問題点は、赤みを帯びた金色の色調を 特に得ることができる、陽極酸化されたアルミニウム表面の交流電流による電解 着色の方法を提供することである。本発明が解決しようとするもう一つの主な問 題点は、例え複雑な形状のワークピース(加工品)であっても、全表面にわたっ て、色の深みの極めて均一な分布を有する着色されたアルミニウム表面を提供す ることである。 本発明が解決しようとするもう一つの問題点は、更に、特定の腐食保護要件を 満たす着色されたアルミニウム表面を提供することである。 本発明の第1の態様において、上述の主たる課題は、 (a)一般式(I): [式中、Rは、1またはそれ以上の位置異性の基であって、ベンゼン環に1個を 越えないカルボキシル基(COOX)が結合していることを条件として、水素、 ヒドロキシル基、カルボキシル基またはアルデヒド基を示しており、Xは、水素 、またはナトリウムもしくはカリウムから選ばれるアルカリ金属カチオンを示す 。] で示されるベンゼンスルホネート、ならびに (b)一般式(II): [R'は、1またはそれ以上の位置異性の基であって、ナフタレン環の1位にヒ ドロキシル基が存在していないことを条件として、水素、ヒドロキシル基、カル ボキシル基またはアルデヒド基を示しており、Xは上記と同様に定義されるもの である。] で示されるナフタレンジスルホネート から選ばれる電解液添加剤Aを用いることによって特徴付けられる、銅(II)イ オンを含有する酸性着色浴中において、陽極酸化されたアルミニウム表面を交流 電流により電解着色する方法によって製造された、赤みを帯びた金色の色調およ び良好なデプス・スローイングを有する着色されたアルミニウム表面によって解 決される。 上述の方法によって、陽極酸化されたアルミニウム表面を銅イオンを用いて着 色することができ、色の深み(デプス・スローイング)の極めて均一な分布を達 成することができる。このようにして得られる層の耐腐食性は、予想されるよう に、銅(II)イオンのみを用いる着色に関して引用した従来技術と比べて、大き くは向上することができなかった。 スズ(II)イオンを含有する着色浴による着色のための多くのスローイング・ パワー向上剤が、従来技術、例えば、欧州特許出願公開(EP−A)第354 365号およびドイツ国特許出願公開(DE−A)第40 34 304号など から知られているか、銅(II)イオンを含有する着色浴中における、陽極酸化さ れたアルミニウム表面の交流電流による電解着色のためには、選ばれたスローイ ング・パワー向上剤しか用いることができず、他のスローイング・パワー向上剤 は非常に淡色の被覆または脱色、即ち、無着色の場合さえ導き得るということが 、本発 明に関して判っている。 従って、驚くべきことに、スズを含有する着色浴用の特に好ましいスローイン グ・パワー向上剤、例えば、ベンゼンヘキサカルボン酸または4−スルホフタル 酸などは、銅(II)イオンを含有する着色浴においては問題点を伴うことなしに 用いることができないということが判った。 再現可能な表面被覆を得るためには、着色浴内の銅(II)イオン濃度を一定に 保つことが当然ながら必要である。従って、本発明の特に好ましい態様は、着色 浴が銅(II)イオンを1〜3g/l、更に特に1〜2g/l含有することを特徴 とする。この範囲内で、極めて魅力ある色彩強度(intensity、色彩鮮明度)を 形成することができる。銅濃度が上述の限度を越えて増大することは、一方で、 経済的な不利を導き、他方で、彩色仕上げ(color-finish)が不均一になり、再 現が困難になる。銅(II)イオンを上述の限度以下の濃度で用いる場合、強い色 の深さを得るためには、従って、着色時間を増加しなければならず、そのことは 経済的に不利である。 使用すべき着色浴に銅(II)イオンを入れる方法はあまり重要ではないが、そ れにもかかわらず、銅(II)イオンを硫酸銅(II)の形態で着色浴に加えること が好ましい。電解質が硫酸からなる場合は、この加える方法が特に有利であるの で、この場合には、他の、おそらく厄介な、アニオンを着色浴には加えない。 銅(II)イオンを含有する着色浴におけるスローイング・パワー向上剤の効果 についての広範な研究の過程で、選ばれたスローイング・パワー向上剤のみが特 に良好な結果をもたらすということが判った。従って、本発明の特に好ましい態 様の一つにおいては、2−スルホ安息香酸、スルホサリチル酸、2−ナフトール −3,6−ジスルホン酸およびこれらの混合物から、電解液添加剤(または電解 質添加剤)Aが選ばれる。この態様において、対応するナトリウム塩および/ま たはカリウム塩を当然ながら用いることができ、ナトリウム塩が好ましい。複雑 な形状のワークピースの場合であっても、これらの化合物によって、特に均質な 色の深みが得られる。 使用すべき電解液添加剤Aの量は、本質的に、スズを用いる着色から知られて いる量に対応している。従って、本発明の好ましい態様は、着色浴を基準にして 、電解液添加剤Aを、2〜30g/lの量で、更に特に5〜20g/lの量で使 用することを特徴とする。 上述したように、酸性電解液を調製するいろいろな方法が当業者に知られてい る。硫酸を、特に2〜25g/lの量で含有する電解液を用いることが特に好ま しい。 着色は、通常、0.5〜2のpH値(1リットル当り、16〜22gの硫酸に 相当する)の酸性硫酸銅(II)溶液を用いて、10〜30℃の温度にて行われる 。交流電流電圧または直流電流に重畳された交流電圧(50〜60Hz)は、1 0〜25V、好ましくは15〜18Vの端子電圧に調節することが好ましく、約 17±1Vが最適値である。 本発明において、交流電流による着色は、純粋な交流電流による着色、または 「直流電流に重畳した交流電流」もしくは「交流電流に重畳した直流電流」によ る着色のいずれかであると理解されている。着色は、電圧から得られる電流密度 が一般にはほぼ1A/dm2付近で開始し、その後、電流密度は、一般に、0.2〜 0.5A/dm2の一定の値に降下する。電圧、着色浴中の金属濃度および浸漬時間 によって異なる色調が得られる。 上述した全ての問題点を解決するための本発明のもう一つの態様は、スズ(II )イオンおよび/または銀イオンを含有する酸性着色浴を用いるもう一つの処理 工程において、交流電流によってアルミニウム表面を電解着色する方法により特 徴付けられる。 この態様は、例えば、スズ(II)イオン、スズ(II)イオン用の安定剤(抗酸 化剤)および電解液添加剤Bの形態のスローイング・パワー向上剤を含有する酸 性着色浴を、既知の方法で使用することを特徴とするものである。 陽極酸化されたアルミニウム表面を交流電流により着色するための、スズ(II )を含有する酸性着色浴用の電解液添加剤Bは、 一般式(III)〜(VII): [式中、R1およびR2は、水素、アルキル、アリール、アルキルアリール、アル キルアリールスルホン酸、アルキルスルホン酸およびそれらのアルカリ金属塩で あって炭素原子1〜22個を含有するものであり、R3は1またはそれ以上の水 素および/またはアルキル、アリール、アルキルアリール基であって炭素原子1 〜22個を含有するものであり、R4は1またはそれ以上のスルホン酸基(SO3 X)であり、R5は1またはそれ以上の水素および/またはアルキル、アリール 、アルキルアリール基であって炭素原子1〜22個を含有するものであり、なら びにXは上記と同様に定義されるものであり、置換基R1、R2およびR3の内の 少なくとも1つは水素ではない。] で示される、スズ(II)イオン用の安定剤、ならびに、 一般式(VIII)および/または(IX): [式中、R6は、水素、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルデヒド基および C1-6アルキル基であって、1またはそれ以上の位置異性の基であり、R7は1ま たはそれ以上のカルボラト基(COO)またはスルホン基(SO3X)であり、 ならびにXは水素または、ナトリウムおよび/もしくはカリウムから選ばれるア ルカリ金属カチオンである。] で示されるスローイング・パワー向上剤を含有することを特徴とする。 銀イオンのみを含有する着色浴は、銀イオンのために、一般に、いずれのスロ ーイング・パワー向上剤もまたは安定剤も必要とはしない。 本発明による電解液添加剤Bそれ自体の主な利点、ならびに銅(II)イオンを 含有する着色浴と組合わせた主な利点のいずれも、酸化安定性であり、水溶性で あるスローイング・パワ-向上剤を、スズ(II)イオンを含有する着色浴の中に おいて使用することにある。従って、本発明においては、酸化に対して安定な官 能基、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基および/またはスルホン酸基な どをスローイング・パワー向上剤に与えることが特に重要である。更に、上述の 官能基は、必要な水溶性を保証する。 本発明によれば、一方で銅(II)イオンを含有し、他方でスズ(II)イオンお よび/または銀イオンを含有する異なる着色浴を用いることによって、銅(II) イオンを含有する着色浴に特別なスローイング・パワー向上剤が供給され、更に 、スズ(II)イオンを含有する着色浴がスズ(II)イオン用の安定剤およびスロ ーイング・パワー向上剤をも含有することを条件として、色彩強度の強い非常に 均一な色の深みが得られる。 従って、本発明によれば、スズ(II)イオンを好ましくは3〜30g/l、よ り 好ましくは7〜16g/l含有するスズ(II)含有溶液により、着色を行うこと が好ましい。スズ(II)イオンを硫酸スズ(II)の形態で着色浴の中に加えるこ とが好ましい。 本発明においては、一般式(III)〜(VII)で示されるスズ(II)イオン用の 安定剤として、特に、2−tert−ブチル−1,4−ジヒドロキシベンゼン(tert −ブチルヒドロキノン)、メチルヒドロキノン、トリメチルヒドロキノン、4− ヒドロキシ−2,7−ナフタレンジスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン 酸および/またはp−ヒドロキシアニソールを上述の濃度で使用する。本発明の 好ましい態様の一つにおいて、着色浴は、スズ(II)イオン用の安定剤として、 一般式(III)〜(VII)のいずれかで示される化合物の少なくとも一種を0.0 1〜2g/lの量で含有する。 本発明においては、一般式(VIII)および/または(IX)で示されるスローイ ング・パワ-向上剤として、特に、5−スルホサリチル酸、4−スルホフタル酸 、2−スルホ安息香酸、安息香酸、スルホテレフタル酸、ナフタレントリスルホ ン酸、1−ナフトール−2,3−スルホン酸、ナフタレンスルホン酸、p−トル エンスルホン酸および/またはベンゼンヘキサカルボン酸を使用する。5−スル ホサリチル酸および4−スルホフタル酸を互いに組み合わせて使用することは、 相乗的効果のために、特に有効であることが判っている。上述の酸のナトリウム 塩を使用することが好ましい。本発明の好ましい態様の一つにおいて、着色浴は 0.1〜30g/lの量でスローイング・パワー向上剤も含有する。 本発明のもう一つの好ましい態様は、銅(II)を実質的に含有しない着色浴が 銀イオンを含有することを特徴とする。従来技術においては、銀色の中に緑色を 帯びることを防止するために、有機試剤を着色浴中に加える必要があったが、本 発明によれば、有機添加剤を使用せずに済む銀イオン含有着色浴を用いて、赤み を帯びた金色の色調を生じさせることが可能である。銀イオンを用いて着色を行 う場合、この場合には十分なスローイング・パワーが得られるので、スローイン グ・パワー向上剤を使用する必要がないということが知られている。しかしなが ら、 着色浴の中にスズ(II)イオンが同時に存在する場合、均一な表面を得るために は、一般に、上述のスローイング・パワー向上剤を使用する必要がある。 本発明のもう一つの態様においては、電解質溶液は、0.1〜10g/l、好 ましくは0.3〜1.2g/lの銀を、水溶性塩、例えば、硝酸塩、酢酸塩および /または硫酸塩などの形態で含有しており、硫酸銀を使用することが特に好まし い。 本発明によれば、銀イオンを含有する着色浴を用いて着色を行う場合には、一 般に、有機添加剤を使用する必要はないが、この場合に、従来技術から知られて いる添加剤を用いることも可能である。しかしながら、従来技術とは対照的に、 赤みを帯びた金色の色調を得るために、これらの添加剤は絶対的に必須というわ けではない。例えば、着色浴は、p−トルエンスルホン酸ならびに/またはそれ らの水溶性のアルカリ金属塩、アンモニウム塩および/もしくはアルカリ土類金 属塩を、特に、電解質溶液に3〜100g/l、好ましくは5〜25g/lの量 で含有してもよい。 他の多くの酸性電解液がこの分野の当業者に知られているが、本発明の目的に は、硫酸を、特に、2.5〜100g/l、好ましくは5〜30g/lの量で含 有する硫酸電解液を使用することが特に好ましい。 着色は、スズ(II)イオンおよび/または銀イオンを含有する着色浴を用いて 、pH値0.1〜2.0(1リットル当り16〜22gの硫酸に相当する)にて、 約10〜30℃の温度で行うことが好ましい。交流電圧または直流電流に重畳さ れた交流電圧(50〜60Hz)は、端子電圧が4〜25V、特に8〜18V、 より好ましくは15〜18Vとなるように調節するのが好ましく、最適値は約1 7±1Vである。 本発明において、銅(II)イオンを含有する着色浴は、スズ(II)イオンおよ び/または銀イオンを含有する着色浴から分離されているが、このことから、2 つの処理工程が時間的にずれていることが明らかである。このために、スズ(II )イオンおよび/または銀イオンを含有する着色浴は有意量の銅(II)イオンを 含有すべ きではなく、逆に、銅(II)イオンを含有する着色浴は有意量のスズ(II)イオ ンおよび/または銀イオンを含有すべきでない。 従って、本発明の第1の態様において、本発明の方法は、陽極酸化されたアル ミニウム表面を、まず、銅(II)イオンを含有する着色浴により着色し、次に、 スズ(II)イオンおよび/または銀イオンを含有する着色浴により着色すること を特徴とする。 本発明のもう一つの態様において、本発明の方法は、陽極酸化されたアルミニ ウム表面を、まず、スズ(II)イオンおよび/または銀イオンを含有する着色浴 により着色し、次に、銅(II)イオンを含有する着色浴により着色することを特 徴とする。広範な試験において、良好なデプス・スローイングおよび色の深みの 強度の点で、2つの着色工程を実施する順序は均一性のファクターにとって、あ まり重要ではないことが判った。 本発明の方法によって、陽極酸化されたアルミニウム表面上に、特に色彩強度 が強く、目で見て魅力のある、シャンペン色からブロンズ色または褐色の色調に わたる赤みを帯びた金色の色調を得ることができ、そしてこれは、同じ金属カチ オンを同時に着色浴の中で使用する既知の方法よりも耐腐食性の点で遙かに優れ ていることが判った。 本発明を実施例により説明する。 実施例試験方法 銅(II)イオンを含有する着色浴におけるスローイング・パワーの評価 50mm×460mm×1mmの寸法のDIN材料Al 99.5の試験プレートを 、常套の前処理をした後、適当な形状の着色浴(電極は、対電極から1〜5cmの 距離)の中で電解着色した。着色浴は、Cuイオン(CuSO4・5H2O)2g/ lおよび硫酸8g/lに加えて、種々の量の試験物質を含有していた(実施例お よび比較例を参照のこと)。着色は、17.5Vの電圧(交流電流50Hz)で 、90秒間行った。 着色の結果を、以下のように数値的に決定した: まず、試験プレート上の銅の分布を、長さ方向の異なる10箇所の部位(即ち 、5cm毎)において、散乱光リフレクトメータ(reflectometer)により、白色 の標準二酸化チタン(=99%)に対して測定した。個々の測定値から「平均的 着色」を計算した。スローイング・パワーは、各測定点と平均値との一致の尺度 として、それから決められ、百分率で表される。100%のスローイング・パワ ーは、試験プレートがその長さ全体にわたって均一に着色されていることを意味 する。値が0%に近付く程、プレート片が異なって着色されている。 実施例および比較例を以下の表1にまとめて示している。プレートの色の強度 は、比較例1のプレートの色の強度と比較した。「より淡い(lighter)」とい う観察結果は、比較例1との関係で、より低い色彩強度を意味する。対照的に、 「脱色(decolored)」という観察結果は、層の脱色が生じたことを意味する。 着色時間を長くすると、過度に淡い色を一般に向上させて、より濃い色を得るこ とができるが、浴のスローイング・パワーは選ばれた着色浴の固有の特性であっ て、電圧または試験時間を変化させることによっては変えることができない。得 られたプレートの腐食特性は、本発明の実施例と比較例との間で顕著な違いが期 待されなかったので、測定していない。実際に、腐食特性は全体として実質的に 同じである。 電解着色 DIN材料Al 99.5の試験プレート(No.3.0255)を、常套の前 処理(脱脂、酸洗い、スケール除去)して、直流処理(DC process)(硫酸2 00g/l、Al(III)10g/l、空気流通、1.5A/dm2、18℃)により、 60分間で陽極酸化した。約20μmの厚さの層を形成した。このように前処理 したプレートを、続いて、以下の実施例に記載するように、交流電流(50Hz )により電解着色した。以下の着色浴を使用した:着色浴I 10.0g/l Sn 20.0g/l 硫酸(96重量%) 0.2g/l メチルヒドロキノン 2.5g/l 5−スルホサリチル酸 10.0g/l 4−スルホフタル酸着色浴II 8.0g/l CuSO4・5H2O 8.0g/l 硫酸(96重量%) 2.0g/l 2−スルホ安息香酸 10.0g/l 5−スルホサリチル酸着色浴III (比較例) 6.0g/l Sn 4.0g/l CuSO4・5H2O 10.0g/l 硫酸(96重量%) 0.2g/l メチルヒドロキノン 5.0g/l 5−スルホサリチル酸 10.0g/l 4−スルホフタル酸着色浴IV 0.5g/l Ag2SO4 20.0g/l 硫酸(96重量%)着色浴V 0.1g/l Ag2SO4 8.0g/l 硫酸(96重量%)着色浴VI (比較例) 0.5g/l Ag2SO4 8.0g/l CuSO4・5H2O 8.0g/l 硫酸(96重量%) 2.0g/l スルホ安息香酸 10.0g/l 5−スルホサリチル酸 以下において詳細に記載する交流電流を用いる電気化学的着色試験において、 上述の着色浴を種々のシーケンスで組み合わせた。DIN材料Al 99.5の 試験プレート(No.3.0255)を、常套の前処理(脱脂、酸洗い、スケー ル除去)して、DC処理(硫酸200g/l)Al(III)10g/l、空気流 通、1.5A/dm2、10℃)により、60分間で陽極酸化した。約20μmの厚 さの層を形成した。このように前処理したプレートを、表2に記載するようにし て着色した。第1と第2の着色工程の間に、試験プレートを水で手短に濯いだ。 しかしながら、着色を工業的規模で行う場合には、この処理工程は必ずしも必要 なものではなく、ここでは、同じ浴を用いて同じ条件で更に試験を、行うことが できるように採用したに過ぎない。 以下の表2は、着色浴を用いる時間的シーケンスを示すものである。 以下の表3から、本発明の実施例によって、極めて良好な腐食保護値が得られ るということが判る。処理したプレートの腐食挙動は、DIN50021による 塩水噴霧試験で調べた。本発明の実施例の場合、目に見える腐食の徴候はなかっ たので、試験は概ね1000時間後に終了した。キセノン試験では、着色仕上げ の光安定性に関して、実施例と比較例との間に差がないことが判った。更に、幾 つかの実施例において、着色仕上げの強度を目視的に評価した。すべての場合に おいて、デプス・スローイングは、顕著な差がなく、良好ないし適当であると判 断された。本発明の実施例9〜16の場合には、比較例9および10とは対照的 に、腐食挙動において、明らかな向上があることが判った。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ザンダー、フォルカー ドイツ連邦共和国 デー―40721 ヒルデ ン、ゲレスハイマー・シュトラアセ 90番 (72)発明者 リンデナー、ユルゲン ドイツ連邦共和国 デー―40599 デュッ セルドルフ、ツォッポターシュトラアセ 35番 (72)発明者 デ・リーゼ−マイヤー、レルト ドイツ連邦共和国 デー―40589 デュッ セルドルフ、ケルナー・ラントシュトラア セ 278番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.(a)一般式(I): [式中、Rは、1またはそれ以上の位置異性の基であって、ベンゼン環に1を越 えないカルボキシル基(COOX)が結合していることを条件として、水素、ヒ ドロキシル基、カルボキシル基またはアルデヒド基を示し、Xは、水素、または ナトリウムもしくはカリウムから選ばれるアルカリ金属カチオンを示す。] で示されるベンゼンスルホネート、ならびに (b)一般式(II): [R'は、1またはそれ以上の位置異性の基であって、ナフタレン環の1位にヒ ドロキシル基が存在していないことを条件として、水素、ヒドロキシル基、カル ボキシル基またはアルデヒド基を示し、Xは上記と同様に定義されるものである 。] で示されるナフタレンジスルホネート から選ばれる電解液添加剤Aを用いることによって特徴付けられる、銅(II)イオ ンを含有する酸性着色浴中において、陽極酸化されたアルミニウム表面を交流電 流により電解着色する方法。 2.着色浴が、銅(II)イオンを1〜3g/l、更に特に1〜2g/l含有す ることを特徴とする請求の範囲1記載の方法。 3.銅(II)イオンを硫酸銅(II)の形態で着色浴に加えることを特徴とする 請求の範囲1または2記載の方法。 4.電解液添加剤Aが、2−スルホ安息香酸、スルホサリチル酸、2−ナフト ール−3,6−ジスルホン酸およびこれらの混合物から選ばれることを特徴とす る請求の範囲1〜3のいずれかに記載の方法。 5.酸のナトリウム塩を使用することを特徴とする請求の範囲4記載の方法。 6.電解液添加剤Aを、着色浴基準で、2〜30g/lの量、更に特に5〜2 0g/lの量で使用することを特徴とする請求の範囲1〜5のいずれかに記載の 方法。 7.硫酸を、特に2〜25g/lの量で含有する電解質溶液を用いることを特 徴とする請求の範囲1〜6のいずれかに記載の方法。 8.電解着色を、0.5〜2のpH値、10〜30℃の温度、50〜60Hz の周波数の交流電流電圧および10〜25Vの端子電圧にて行うことを特徴とす る請求の範囲1〜7のいずれかに記載の方法。 9.陽極酸化されたアルミニウム表面を、スズ(II)イオンおよび/または銀 イオンを含有するもう一つの酸性着色浴内において、交流電流を用いて電解着色 し、スズ(II)イオンが存在する場合、一般式(III)〜(VII): [式中、R1およびR2は、水素、アルキル、アリール、アルキルアリール、アル キルアリールスルホン酸、アルキルスルホン酸およびそれらのアルカリ金属塩で あって炭素原子1〜22個を有するものであり、R3は1またはそれ以上の水素 および/またはアルキル、アリール、アルキルアリール基であって炭素原子1〜 22個を有するものであり、R4は1またはそれ以上のスルホン酸基(SO3X) であり、R5は1またはそれ以上の水素および/またはアルキル、アリール、ア ルキルアリール基であって炭素原子1〜22個を有するものであり、ならびにX は上記と同様に定義されるものであり、置換基R1、R2およびR3の内の少なく とも一つは水素ではない。] で示されるスズ(II)イオン用の安定剤、ならびに、一般式(VIII)および/も しくは(IX): [式中、R6は、1またはそれ以上の位置異性の基であって、水素、ヒドロキシ ル基、カルボキシル基、アルデヒド基およびC1-6アルキル基であり、R7は1ま たはそれ以上のカルボラト基(COO)またはスルホン基(SO3X)であり、 ならびにXは水素または、ナトリウムおよび/もしくはカリウムから選ばれるア ルカリ金属カチオンである。] で示されるスローイング・パワー向上剤を含有する電解液添加剤Bを使用するこ とを特徴とする請求の範囲1〜8のいずれかに記載の方法。 10.スズ(II)イオンを、3〜20g/l、更に特に7〜16g/l含有す る着色浴を使用することを特徴とする請求の範囲9記載の方法。 11.スズ(II)イオンを硫酸スズ(II)の形態で着色浴の中に加えることを 特徴とする請求の範囲9または10記載の方法。 12.一般式(III)〜(VII)で示されるスズ(II)イオン用の安定剤を、te rt−ブチ ルヒドロキノン、メチルヒドロキノン、トリメチルヒドロキノン、4−ヒドロキ シ−2,7−ナフタレンジスルホン酸および/またはナフタレン−1,5−ジスル ホン酸および/またはp−ヒドロキシアニソールから選択することを特徴とする 請求の範囲9〜11のいずれかに記載の方法。 13.一般式(III)〜(VII)で示されるスズ(II)化合物用の安定剤を、着 色浴基準で、0.01〜2g/lの量で使用することを特徴とする請求の範囲9 〜12のいずれかに記載の方法。 14.一般式(VIII)および/または(IX)で示されるスローイング・パワー 向上剤を、5−スルホサリチル酸、4−スルホフタル酸、2−スルホ安息香酸、 安息香酸、スルホテレフタル酸、ナフタレントリスルホン酸、1−ナフトール− 2,3−スルホン酸、ナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸および/ またはベンゼンヘキサカルボン酸から選択することを特徴とする請求の範囲9〜 13のいずれかに記載の方法。 15.酸のナトリウム塩を使用することを特徴とする請求の範囲14記載の方 法。 16.一般式(VIII)および/または(IX)で示されるスローイング・パワー 向上剤を、着色浴基準で、0.1〜30g/lの量で使用することを特徴とする 請求の範囲9〜15のいずれかに記載の方法。 17.銀イオンを、0.1〜10g/l、更に特に0.3〜1.2g/l含有す る着色浴を使用することを特徴とする請求の範囲9記載の方法。 18.銀イオンを、水溶性塩、更に特に、硝酸塩、酢酸塩および/または硫酸 塩の形態で加えることを特徴とする請求の範囲17記載の方法。 19.着色浴が、p−トルエンスルホン酸ならびに/またはそれらの水溶性の アルカリ金属塩、アンモニウム塩および/もしくはアルカリ土類金属塩を、特に 、電解質溶液に3〜100g/l、好ましくは5〜25g/lの量で含有するこ とを特徴とする請求の範囲17または18記載の方法。 20.硫酸を、特に、2.5〜100g/l、好ましくは5〜30g/lの量 で含有する電解質溶液を使用することを特徴とする請求の範囲9〜19のいずれ かに記載の方法。 21.電解着色を、0.1〜2のpH値、10〜30℃の温度、50〜60Hz の交流電圧周波数および4〜25V、更に特に8〜18Vの端子電圧にて行うこ とを特徴とする請求の範囲9〜20のいずれかに記載の方法。 22.陽極酸化されたアルミニウム表面を、まず、銅(II)イオンを含有する 着色浴によって着色し、次に、スズ(II)イオンおよび/または銀イオンを含有 する着色浴によって着色することを特徴とする請求の範囲1〜21のいずれかに 記載の方法。 23.陽極酸化されたアルミニウム表面を、まず、スズ(II)イオンおよび/ または銀イオンを含有する着色浴によって着色し、次に、銅(II)イオンを含有 する着色浴によって着色することを特徴とする請求の範囲1〜21のいずれかに 記載の方法。
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