JPH0848697A - 遺伝子発現の制御方法 - Google Patents

遺伝子発現の制御方法

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JPH0848697A
JPH0848697A JP6200311A JP20031194A JPH0848697A JP H0848697 A JPH0848697 A JP H0848697A JP 6200311 A JP6200311 A JP 6200311A JP 20031194 A JP20031194 A JP 20031194A JP H0848697 A JPH0848697 A JP H0848697A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 温度感受性変異を有するラクトースリプレッ
サー蛋白、該蛋白をコードする遺伝子、及び培養温度の
変更により目的遺伝子の発現を制御する方法を提供す
る。 【構成】 野生型ラクトースリプレッサーをコードする
遺伝子を変異処理することにより、該リプレッサーの9
4位、241位、265位又は300位のアミノ酸が他
のアミノ酸に変異しており、それにより温度感受性とな
った温度感受性変異を有するラクトースリプレッサー蛋
白をコードする遺伝子を得た。 【効果】 30℃以下の培養温度において目的遺伝子の
発現を抑制し、37℃以上において目的遺伝子を発現せ
しめることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、温度感受性変異を有す
るラクトースリプレッサー遺伝子を用いた遺伝子発現の
新規な制御方法に関するものである。また、本発明は当
該制御方法を用いた遺伝子の発現方法に関するものであ
り、詳しくは宿主細胞の培養温度を調節することにより
遺伝子発現の制御を行う発現方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】大腸菌ラクトースオペロンの発現制御遺
伝子領域、即ちリプレッサー蛋白をコードするlac I 遺
伝子からプロモーター/オペレーターまでの遺伝子領域
は、その下流の遺伝子の発現に最もよく使用されている
制御遺伝子領域の一つである。その理由として菌体中に
イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(以下
IPTG )の様な誘導物質が存在するとき、ラクトースオ
ペレーター領域にラクトースリプレッサーが結合できな
くなり、ラクトースプロモーターからの転写が起り、遺
伝子発現の転写制御が行えるという点にある。
【0003】IPTGのような誘導物質を培地に添加するこ
とにより遺伝子発現の制御がうまく行えることを利用し
て、様々なクローニングベクターや有用物質の生産のた
めの遺伝子発現プラスミドに使用されている。例えば、
遺伝子クローニングベクターとしてpUC18 等のpUC シリ
ーズ等、DNA 塩基配列決定用のM13ファージシリーズ
等、またcDNAクローニング用のλgt11等に使用されてい
る。近年では動物細胞を用いた研究にもこの発現制御シ
ステムが使用されている(Ulrich Deuschle 等、Proc.
Natl. Acad. Sci. USA Vol. 86, pp. 5400-5404, 1989,
Mickey C.-T.Hu 等, Mol. Cell. Biol. Vol. 10, pp.
6141-6151, 1990 )。
【0004】さらに、有用物質生産のためにもこの発現
制御システムが使用されている(Mercedes Zazo 等、Ge
ne, Vol. 113, pp. 231-238, 1992 )。但し、この方法
の欠点として、高価であるIPTGを誘導物質として培地に
添加し、遺伝子発現を開始しなければならない。特に工
業的スケールで有用物質をこの遺伝子発現システムを用
いて生産する場合においてはIPTGの使用はコストアップ
につながるため問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように産業上望
ましい遺伝子発現の新たな制御方法に関する期待は非常
に大きいものである。従って、目的遺伝子発現の制御に
関し、当該遺伝子発現の制御システムにおいてIPTG
のような高価な誘導物質を使わない遺伝子発現の制御方
法及び/又は当該方法を用いた目的遺伝子の発現方法の
開発が望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は大
腸菌ラクトースオペロンの発現制御遺伝子の中でリプレ
ッサー蛋白に着目した結果、新たなラクトースリプレッ
サー蛋白を見いだした。当該リプレッサー蛋白は低温で
は転写抑制活性のある蛋白としてオペレーターに結合
し、遺伝子発現を抑制するが、高温では失活し、オペレ
ーターに結合できず遺伝子発現を行える性質、即ち温度
感受性変異を有するリプレッサー蛋白である。そこで、
当該蛋白をコードする遺伝子を単離し、遺伝子発現の制
御に利用すれば上記の目的は達成できると考え、鋭意研
究した結果、本発明を完成した。
【0007】従って本発明は、野生型ラクトースリプレ
ッサーの94番目のアミノ酸がメチオニン、241番目
のアミノ酸がスレオニン、265番目のアミノ酸がアス
パラギン酸、又は300番目のアミノ酸がアスパラギ
ン、プロリン、フェニルアラニンの中から選ばれるアミ
ノ酸残基に置き換えられることによって温度感受性にさ
れたラクトースリプレッサー蛋白を提供する。
【0008】上記のアミノ酸置換は、例えば94番目の
アミノ酸バリンからメチオニンへの変異、241番目の
アミノ酸アラニンからスレオニンへの変異、265番目
のアミノ酸グリシンからアスパラギン酸への変異、及び
/又は300番目のアミノ酸セリンからアスパラギン、
フェニルアラニンもしくはプロリンへの変異である。変
異したラクトースリプレッサー蛋白のアミノ酸配列の例
を配列番号:20に示す。本発明はまた、上記の温度感
受性ラクトースリプレッサー蛋白をコードする遺伝子
(ラクトースリプレッサー蛋白遺伝子)に関する。これ
らの遺伝子の塩基配列の例を配列番号20に示す。
【0009】本発明はさらに、前記のラクトースリプレ
ッサー蛋白遺伝子及び目的とする蛋白をコードする遺伝
子(目的遺伝子)を有する宿主細胞における該目的遺伝
子の発現の制御方法において、当該細胞の培養温度を変
化させて当該ラクトースリプレッサー蛋白の機能を調整
することにより目的遺伝子の発現を制御することを特徴
とする方法を提供する。
【0010】この方法においては、前記ラクトースリプ
レッサー蛋白質遺伝子は、宿主染色体又は染色体外因
子、例えばプラスミド、例えばクローニングベクターも
しくは発現ベクターに組み込まれる。宿主細胞の例とし
て、哺乳動物細胞、原核生物、真菌、酵母または昆虫細
胞等が挙げられる。この方法においては、常温、例えば
30℃において目的遺伝子の発現を抑制し、高温、例え
ば35℃以上、例えば37℃以上で制御を解除して目的
遺伝子の発現を得ることができる。
【0011】本発明はさらに、前記ラクトースリプレッ
サー蛋白遺伝子と目的とする蛋白をコードする遺伝子
(目的遺伝子)とを含んで成る発現ベクターにより形質
転換された形質転換細胞の培養温度を変化させて当該ラ
クトースリプレッサー蛋白質の機能を調整することによ
り目的遺伝子の発現を制御することを特徴とする発現方
法を提供する。宿主細胞、及び制御温度は前記の通りで
ある。
【0012】
【具体的な説明】以下に本発明を詳述する。ラクトース
リプレッサー蛋白をコードするlacI遺伝子をもつプラス
ミドpMC9を突然変異誘起剤、例えばヒドロキシルアミン
処理を行いlacI遺伝子配列上に変異を起こさせる。この
処理を行ったプラスミドを大腸菌K12株由来のlacI遺
伝子変異株MYW3110に形質転換を行う。形質転換
した菌株をアンピシリン及び5−ブロモ−4−クロロ−
3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(以下、
X-gal )を含む寒天培地に拡げ、38℃で一夜培養を行
う。
【0013】培養後、形質転換株の中で青い色に呈色し
たコロニーを選び、同じ選択培地上2枚に塗布し、30
℃及び38℃で一夜培養を行う。このスクリーニングで
30℃で白色、38℃で青色を示す温度感受性変異株が
7株得られた。このようにして得られた株がリプレッサ
ー遺伝子上の変異であることを確認するため温度感受性
変異を示す菌株よりプラスミドを単離し、lacI遺伝子の
DNA 塩基配列を決定した。
【0014】その結果、変異はリプレッサー蛋白の30
0番目のセリン残基がアスパラギン残基に、241番目
のアラニン残基がスレオニン残基に、265番目のグリ
シン残基がアスパラギン酸残基に、94番目のバリン残
基がメチオニン残基に変換されていた。これらの変異部
位は今までに温度感受性変異として報告されたものでは
なく、今回、本発明者等により初めて単離同定されたも
のである。
【0015】次に、これら単離された温度感受性変異を
もつラクトースリプレッサー遺伝子が遺伝子発現の制御
に使用できるかどうかの検討を行った。まず、コリシン
E1系のプラスミドと和合性(compatibility)のあるプ
ラスミド、例えばpMW119に上記の変異をもつ変異型lacI
遺伝子を挿入し、新たにpYO1, pYO2及びpYO16 プラスミ
ドを作製した。次に、発現させる目的蛋白質の一例とし
てヒトカルシトニン前駆体蛋白の融合蛋白を挙げること
ができる。当該蛋白を生産する菌株から単離したプラス
ミドpG97S4DhCT[GRRR]をそれぞれ大腸菌MYW3110 / pYO
1, MYW3110 / pYO2及びMYW3110/ pYO16 に形質転換法で
導入し形質転換株を得る。
【0016】なお、プラスミドpG97S4DhCT[GRRR]と実質
的に同じであるプラスミドpG97S4DhCT[G] を含有する大
腸菌W3110株はブダペスト条約に基づいて工業技術
院生命工学技術研究所にEscherichai coli SBM323 とし
て1991年8月8日に寄託されており、受託番号微工
研条寄第3503号(FERM BP−3503)が付
与されている。プラスミドpG97S4DhCT[GRRR]とpG97S4Dh
CT[G] との相違は、pG97S4DhCT[G] によりコードされる
融合蛋白質中の目的ペプチドのC−末端がグリシンであ
るのに対して、pG97S4DhCT[GRRR]においては該グリシン
の後にさらにアルギニンが3個付加されている点のみで
ある。従って、pG97S4DhCT[G] から常法に従って容易に
pG97S4DhCT[GRRR]を作製することができる。
【0017】得られた形質転換株を30℃で培養後、さ
らに培養温度を37℃に上げて培養し、蛋白(特に融合
蛋白)の生産を検討したところ、30℃では蛋白を生産
していないが37℃では発現の誘導が起こり、蛋白を発
現していることが明らかとなり、温度感受性変異を有す
るリプレッサー蛋白及び当該遺伝子が目的の遺伝子発現
の制御に十分に使用できることが実証できる。
【0018】上記の変異部位はラクトースリプレッサー
蛋白の高次構造上温度変化に対して非常に影響を受けや
すい部位であると考えられる。言い換えれば蛋白の高次
構造を保つうえで重要な位置であると考えられる。従っ
て、これらの変異が起きた部位に他のアミノ酸残基を導
入することにより、温度感受性変異を有する新たなリプ
レッサー蛋白が得られると考えられる。
【0019】そこで、まずラクトースリプレッサー蛋白
の300番目のアミノ酸をコードする遺伝子の位置に1
8種類のアミノ酸残基をコードする遺伝子を導入した変
異型lacI遺伝子をIn vitro mutagenesis法で作製し、温
度感受性変異の有無について検討した。その結果、この
部位では他のアミノ酸残基、特にフェニルアラニンまた
はプロリン残基に変換されたものが温度感受性変異の性
質を示した。
【0020】本願発明に係る単離されたリプレッサー蛋
白の温度感受性変異部位、即ちラクトースリプレッサー
蛋白の94、241、265及び300番目のアミノ酸
残基は蛋白の高次構造を保つうえで重要な部位であるこ
とが明らかになった。従って、これらの部位に上記に記
載したように他のアミノ酸を導入することで温度感受性
変異を導入できる。以下の実施例では実際に蛋白の生産
を検討することで、本発明に係る温度感受性変異を有す
るリプレッサー遺伝子を用いて目的の遺伝子発現の制御
ができることを示した。
【0021】本発明に関連するラクトースリプレッサー
蛋白のアミノ酸配列及びそれをコードする塩基配列を配
列番号:20示す。このアミノ酸配列において、94位
のXaa がVal であり、241位のXaa がAla であり、2
65位のXaa がGly であり、そして300位のXaa がSe
r である場合が、野生型のラクトースリプレッサー蛋白
のアミノ酸配列を示す。本発明の1つの態様によれば、
94位のXaa がMet であり、他の態様によれば241位
のXaa がThr であり、他の態様によれば265位のXaa
がAsp であり、そして他の態様によれば300位のXaa
がAsn, Phe又はPro である。
【0022】前記のごとく94位、241位、265位
及び300位のいずれか1つのアミノ酸が変異したもの
の他に、これらのアミノ酸部位の内の2ケ所が変異した
もの、すなわち94位と241位、94位と265位、
および94位と300位が変異したもの、前記アミノ酸
部位の内3ケ所が変異したもの、すなわち94位と24
1位と265位が変異したもの、94位と241位と3
00位が変異したもの、および241位と265位と3
00位が変異したもの、並びに前記のアミノ酸のすべて
の部位、すなわち、94位と241位と265位と30
0位が変異したラクトースリプレッサー蛋白質も温度感
受性を有することが考えられる。
【0023】300位のアミノ酸としては、野生型のア
ミノ酸セリンがアスパラギン、フェニルアラニン又はプ
ロリンに変化したものが挙げられることから明らかなご
とく、変異部位において野生型のアミノ酸に代るアミノ
酸は必ずしも1種類ではない。すなわち、265位の野
生型のアミノ酸グリシンに代るアミノ酸としてアスパラ
ギン酸が挙げられ、241位の野生型のアミノ酸アラニ
ンに代るアミノ酸としてスレオニンが挙げられる。また
94位の野生型のアミノ酸バリンに代るアミノ酸として
メチオニンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】すなわち、300位のアミノ酸の置換につ
いて詳細に記載するのと同様にして、265位、241
位及び94位についても、置換すべきアミノ酸を決定す
ることができる。すなわち、これらの部位の野生型のア
ミノ酸を他のアミノ酸に変換するため部位特異的変異処
理を行い、上記の部位のいずれかに変異を有するリプレ
ッサー蛋白をコードするDNA を合成することができる。
次にこれを、300位のアミノ酸の変異について実施例
6に記載した方法と同様にして、各部位について、ラク
トースリプレッサーを温度感受性にするアミノ酸に置換
することができる。
【0025】本発明はまた、前記種々の温度感受性ラク
トースリプレッサー蛋白をコードする遺伝子に関する。
この遺伝子には、前記の種々のラクトースリプレッサー
蛋白質のアミノ酸配列をコードしており、遺伝子コドン
の縮重により種々の塩基配列を有するものが含まれる。
これらの遺伝子は、アミノ酸配列に基いて設計された塩
基配列を有するように全合成することもでき、また、変
異させようとする所定のアミノ酸部位において野生型の
アミノ酸、又は目的とするアミノ酸以外の他のアミノ酸
をコードしているDNA を部位特異的変異を行うことによ
っても得られる。複数の場所に変異を有するラクトース
リプレッサー蛋白をコードする遺伝子は、目的とするア
ミノ酸配列に基き全合成することができ、あるいは前記
の部位特異的変異を行うことによっても得られる。
【0026】本発明はまた、温度感受性ラクトースリプ
レッサー蛋白を用いて、目的とする蛋白をコードする遺
伝子(目的遺伝子)の発現を制御する方法を提供する。
この方法は、温度感受性ラクトースリプレッサー遺伝子
を、ラクトースオペレーター遺伝子領域に連結された目
的遺伝子とを同一の細胞内に存在せしめ、培養温度を調
整することにより行う。前記のリプレッサー遺伝子と目
的遺伝子とは同一の遺伝物質上にあってもよく、又は異
る遺伝子上にあってもよい。
【0027】例えばリプレッサー遺伝子と目的遺伝子と
が共に染色体上に存在してもよく、目的遺伝子が染色体
上に存在し、リプレッサー遺伝子が染色体外遺伝子上に
存在してもよく、また、リプレッサー遺伝子及び目的遺
伝子が共に染色体外遺伝子に存在してもよい。また、目
的遺伝子とリプレッサー遺伝子が異る染色体外遺伝子上
に存在していてもよい。ここで染色体外遺伝子とは、自
己複製可能なプラスミド、ファージ、ウイルス等を意味
する。
【0028】本発明の温度感受性ラクトースリプレッサ
ー蛋白は、30℃以下の培養温度、例えば20℃〜30
℃においてはラクトースオペレーターに連結された目的
遺伝子の発現を抑制するが、温度、例えば35℃以上、
例えば37℃以上の培養温度においては、ラクトースオ
ペレーターに連結された目的遺伝子の発現を抑制しな
い。従って、30℃又はそれ以下の温度において宿主細
胞を培養し、宿主細胞を増殖させ、培養温度を35℃以
上、例えば37℃に上昇せしめることにより目的遺伝子
を発現させることができる。
【0029】本発明の方法に用いる宿主としては、遺伝
子組換法によって目的遺伝子を発現させるために常用さ
れている任意の細胞を用いることができる。例えば、原
核細胞、例えば細菌、例えば大腸菌(Escherichia col
i) 、バチルス (Bacillus) 属細菌、例えばバチルス・
ブレビス(Bacillus brevis) 、等を用いることができ、
さらに真核細胞、例えば単細胞性真核細胞、例えば酵
母、例えばサッカロミセス(Saccharomyces) 属酵母、例
えばサッカロミセス・セレビシエー (Saccharomyces ce
revisiae) 等、アルコール資化酵母、例えばピキア−パ
ストリス(Pichia pastoris) やハンセヌラ・ポリモルフ
ァ(Hansenula polymorpha)、さらには糸状菌、例えばア
スペルギルス(Aspergillus) 属真菌、等が使用される。
【0030】さらに、高等真核細胞、例えば動物細胞、
例えばCOS 細胞、CHO 細胞 (チャイニーズハムスター卵
巣細胞) 、BHK 細胞 (ベイビーハムスターキドニー細
胞) 等が使用され、さらに昆虫細胞、例えばSF9 細胞等
が使用される。後述の実施例ではラクトースプロモータ
ーを用いた例を挙げているが、それ以外の適当なプロモ
ーター領域遺伝子の下流にラクトースオペレーター領域
遺伝子を組み込んだ発現ベクターやクローニングベクタ
ー(例えば、プラスミド、ファージ等)を用いて目的の
遺伝子発現をコンロトールする系にも本発明に係るリプ
レッサー遺伝子は適用できる。ラクトースプロモーター
以外の適当なプロモーター領域としては、特に限定され
るものではないが、tac, trc, lacUV5等が挙げられる。
【0031】本発明によれば、遺伝子組換えにより製造
し得るあらゆる蛋白又はペプチドを製造することがで
き、これらの例として、例えば、生理活性ペプチド、例
えばインシュリン、成長ホルモン、利尿ペプチド (特に
Cタイプナトリウム性利尿ペプチド;CNP)、カルシトニ
ン、副甲状腺ホルモン(PTH1-34, PTH1-84)等、生理活性
蛋白、例えば細胞分化増殖因子、細胞増殖抑制因子、さ
らに生理的に重要である酵素類等が挙げられる。
【0032】本発明に係る温度感受性変異を有するラク
トースリプレッサー蛋白遺伝子はプラスミド又は宿主染
色体に組み込んで目的遺伝子の発現制御を行うことが可
能であり、後述の実施例ではプラスミドについて詳述す
る。よって、本発明に係る温度感受性変異を有するラク
トースリプレッサー遺伝子を用いて遺伝子発現の制御を
行うことにより高価な誘導物質であるIPTG等を形質転換
細胞の培養培地中に添加することなく、目的遺伝子のク
ローニングや発現研究、更には目的蛋白の大量生産系に
適用できるため、本発明は非常に産業上有用である。
【0033】
【実施例】以下に、詳細な実施例を挙げて本発明を説明
する。実施例1大腸菌W3110由来のラクトースリプレッ
サー変異株の作製 温度感受性変異を有する新規なリプレッサー遺伝子を単
離するためには、宿主細胞がリプレッサー変異株である
必要がある。本発明においては特に温度感受性変異を有
する新規なリプレッサーとしてラクトースリプレッサー
に着目した。温度感受性変異を有するラクトースリプレ
ッサー遺伝子(lac I 遺伝子)を単離するためには、宿
主細胞がラクトースリプレッサー変異株である必要があ
る。
【0034】そこで、まずラクトースリプレッサー変異
株の作製を行った。ラクトースリプレッサーが変異すれ
ば細胞の表現型はいわゆるβ- ガラクトシダーゼが構成
的な発現(constitutive phenotype)になることが知ら
れ、そのような変異株を単離する方法としてフェニル−
β−D−ガラクトシドを用いたスクリーニング法が知ら
れている( J. H. Miller, A Short Course in Bacteri
al Genetics, Laboratory Manual pp.131-134, Cold S
pring Harbor Laboratory 1992)。
【0035】この方法に従いフェニル−β−D−ガラク
トシドを炭素原とした寒天培地に親株W3110(本菌
株はATCC14948 より入手できる)を拡げ、37℃で2日
間培養した。培養後生じたコロニーを単離し、β- ガラ
クトシダーゼが構成的な発現を示すラクトースリプレッ
サー変異株であるMYW3110 を作製した。
【0036】実施例2温度感受性変異のラクトースリ
プレッサー遺伝子の単離 プラスミドpMC9は、大腸菌Y1089株 (Huynh,
T. V. et al. (1985) DNA Cloning, vol 1, IRL Press
Limited, Oxford, England. pp.56-110;入手先InVitro
gen (カタログ番号789-00) に存在するpBR322由来のプ
ラスミドである。
【0037】10μgのpMC9を50mMリン酸バッファー(pH
7.0) 、100mM NaCl、2mM EDTA及び1Mヒドロキシルアミ
ンを含む1 ml の溶液に加え、65℃、30分反応を行っ
た。その後、反応液を5 リッターのTE(10mM Tris HCl
pH8.0, 1 mM EDTA)に対して透析を行った。透析後、常
法に従いエタノール沈殿をおこない、エタノール沈殿を
20μlのTEに溶かした。この溶液4 μlを用い、常法に
従い塩化カルシウム法でMYW3110 に形質転換を行った。
【0038】形質転換株を、40μg/ mlの5−ブロモ−
4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノ
シド(以下X-gal ) 及び50μg / ml のアンピシリンを
含むL−寒天培地(ポリペプトン10g、NaCl 5 g、酵
母エキス5g及び寒天15g をイオン交換水1リッター中に
含む)のシャーレに拡げ、38℃で一夜培養を行った。
形質転換株の中でこの培地上で青色に呈色しているコロ
ニーを選択し、上記寒天培地2枚にコロニーを塗布し、
30℃及び38℃で一夜培養を行った。
【0039】その結果、30℃では白色、38℃では青
色に呈色した形質転換株が7株得られた。これらの温度
感受性変異が lac I 遺伝子上に起きていることを確認
するため、常法に従いアルカリ変性法により形質転換株
からプラスミドを単離し、再度MYW3110 株に形質転換を
行い、同様の表現系を示すことを確認し、プラスミドの
名前をpMC9-1, pMC9-2, pMC9-6, pMC9-16, pMC9-17, pM
C9-22 及びpMC9-24 と命名した。
【0040】実施例3変異部位の決定 上記のpMC9-1, pMC9-2, pMC9-6, pMC9-16, pMC9-17, pM
C9-22 及びpMC9-24 のプラスミドのlac I 遺伝子上の変
異部位を決定するために以下の実験を行った。lac I 遺
伝子上の変異部位を決定するため, 上記のプラスミドを
超遠心法で分離精製し、化学合成したプライマーを用
い、T7Sequencing TM キット(Pharmacia 社)を使用
して塩基配列を決定した。プライマーとして下記の20me
r を用いた。
【0041】
【化1】
【0042】プライマー1はlac I 遺伝子の翻訳開始コ
ドンのGTG (initiation コドン)のG を塩基番号1とし
て183ー200 塩基番号に相当し、プライマー2は同じく44
8ー465 塩基番号に相当し、プライマー3は同じく720ー74
1 塩基番号に相当し、プライマー4は同じく224ー241 塩
基番号に相当し、プライマー5は同じく483ー501 塩基番
号に相当し、プライマー6は同じく757ー774 塩基番号に
相当し、及びプライマー7は翻訳開始コドン上流の-72
- -56 塩基番号に相当する。アッパープライマー(upp
er primer)としてプライマー1−3および7、ローワー
プライマー(lower primer)としてプライマー4−6を使
用した。単離した各遺伝子のDNA配列及び当該遺伝子
がコードするアミノ酸配列を配列表1〜12に示す。
【0043】J. H. Miller著( A Short Course in Bac
terial Genetics, Handbook Section 16, Cold Spring
Harbor Laboratory 1992 )に示された野生型lac I 遺
伝子の塩基配列と我々が得た変異型lac I 遺伝子を比較
したところ、表1に示すようにpMC9-1,pMC9-17及びpMC9
-24 では300番目のアミノ酸セリンをコードするAGC
がアスパラギンをコードするAAC に変異し、pMC9-16 及
びpMC9-22 では241 番目のアミノ酸アラニンをコードす
るGCG がスレオニンをコードするACG に変異し、pMC9-2
では265 番目のアミノ酸グリシンをコードするGGT がア
スパラギン酸をコードするGAT に変異し、またpMC9-6で
は94番目のアミノ酸バリンをコードするGTG がメチオニ
ンをコードするATG に変異していた。
【0044】
【表1】
【0045】ラクトースリプレッサーの様々な変異株に
ついてはJ. H. MillerらによりJ. M. Biol. (1990) Vol
212, pp. 295-318 に報告されているが、本発明におい
て単離された変異部位は温度感受性変異として新規な変
異部位である。ラクトースリプレッサーは2つの機能を
もったドメイン構造、すなわちN末端側はオペレーター
DNA 領域と結合し、C末端側は4量体の形成に関与する
と同時に、誘導物質の結合に必要な構造を持つことが知
られている。
【0046】本発明に係るリプレッサー遺伝子ではラク
トースリプレッサー蛋白の94、241、265及び300 番目のア
ミノ酸残基をコードする遺伝子に変異が起きているが、
この領域はC末端側のドメインに相当している。従っ
て、これらの変異は高温において4量体形成が出来なく
なったか、あるいは誘導物質が結合した時のような構造
変化が生じている可能性が強い。以下に、今回単離した
lac I 遺伝子変異の中で、温度感受性変異として優れた
性質をもつpMC9-1、pMC9-2及びpMC9-16 を用いて検討を
行った。
【0047】実施例4温度感受性変異ラクトースリプ
レッサーと培養温度の関係 上記実施例3では、培養温度として30℃を低温、38
℃を高温としてラクトースリプレッサー温度感受性変異
の性質を調べたが、何度以上で遺伝子発現が起こるのか
は形質転換細胞の培養条件を決定する上で重要と考えら
れる。そこで30℃で培養した形質転換細胞を種培養と
して、次に培養温度を35、37、40、42または4
5℃に上げて宿主染色体上のβーガラクトシダーゼ活性
を指標に何度以上で遺伝子発現が起こるのかを検討し
た。
【0048】大腸菌MYW3110/pMC9-1、MYW3
110/pMC9-2及びMYW3110/pMC9-16 をアンピ
シリン50μg / ml を含むL−培地3mlに接種し、30
℃一夜培養した。この培養液のOD660 値を測定し、OD66
0 x 液量(ml)が0.5 になる分量の培養液を、アンピシリ
ン50μg/ mlを含む2mlのL培地に接種して30、3
5、37、40、42または45℃で3時間培養を行っ
た。
【0049】発現したβーガラクトシダーゼ活性をONPG
(O−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシド) を基質
としたMiller等の方法(Experiment in Molecular Gene
tics, pp. 352-355, Cold Spring Harbor Laboratory 1
972 )に従い測定した。その結果を図1に示す。図1か
ら明らかなように、MYW3110/pMC9-1、MYW3
110/pMC9-2、及びMYW3110/pMC9-16 は30
℃ではβーガラクトシダーゼ活性はほとんどなく、遺伝
子発現は抑えられ、35℃乃至37℃以上の温度におい
て遺伝子発現が起きていることがわかる。
【0050】遺伝子発現が起こる温度、即ちラクトース
リプレッサーが温度感受性変異により機能しなくなる温
度はMYW3110/pMC9-1、およびMYW3110/
pMC9-2では35℃以上、MYW3110/pMC9-16 では
37℃以上であれば十分であることが明らかになった。
さらに、いずれの形質転換細胞も培養温度が40℃の
時、最大の遺伝子発現の誘導を起こしていた。従って、
通常生育が一番良いとされ、実験または大量培養に用い
られている37℃で、これらの温度感受性変異は十分に
遺伝子発現の制御に使用できることが明らかになった。
【0051】実施例5有用融合蛋白の生産への温度感
受性変異のラクトースリプレッサ遺伝子を利用した発現
の制御 上記実施例4は温度感受性変異のラクトースリプレッサ
ー遺伝子を利用した宿主染色体上のβーガラクトシダー
ゼ遺伝子の発現制御に関するものであるが、次に本発明
のもう1つの目的である当該遺伝子を用いた遺伝子発現
方法であって形質転換細胞の培養温度を調整することに
より目的の遺伝子発現方法について検討した。
【0052】即ち、本発明者等はラクトースオペロンの
プロモーター/オペレーター領域を発現制御遺伝子領域
としてもち、その下流にβーガラクトシダーゼ誘導体と
目的蛋白の例としてヒトカルシトニン前駆体からなる融
合蛋白コードする遺伝子をもつ発現プラスミドの融合蛋
白の発現制御にこの温度感受性変異をもつラクトースリ
プレッサー遺伝子が利用できるかどうかの検討を行っ
た。
【0053】まずpMC9-1をEcoRI で切断し、1.7kb の温
度感受性変異のラクトースリプレッサー遺伝子領域を単
離し、pMW119 (pSC101由来の複製開始点をもつ低コピー
プラスミド、ニッポンジーン社製)のEcoRI 部位に常法
に従い挿入し、pYO1を作製した(図2)。これと同操作
をpMC9, pMC9-2及びpMC9-16 についても行い、pYOW,pYO
2及びpYO16 を作製した。
【0054】これらのプラスミドを有するMYW311
0に、大腸菌由来のβーガラクトシダーゼ誘導体とヒト
カルシトニン前駆体の融合蛋白をラクトースプロモータ
ー/オペレーター(lacPO) 下流にコードするプラスミド
pG97S4DhCT[GRRR]を形質転換し、アンピシリン及びテト
ラサイクリン耐性のMYW3110/pG97S4DhCT[GRR
R], pYOW、MYW3110/pG97S4DhCT[GRRR], pYO1、
MYW3110/pG97S4DhCT[GRRR], pYO2、及びMYW
3110/pG97S4DhCT[GRRR], pYO16 と称する形質転換
株を得た。
【0055】これらの菌株を、アンピシリン50μg / m
l 及びテトラサイクリン10μg / ml を含むL−培地で
30℃一夜培養後、同じ培地3mlに5%量接種した試験
管を2本用意し、一方は37℃でもう一方は30℃で1
5時間培養を行った。野生型ラクトースリプレッサー遺
伝子をもつMYW3110 /pG97S4DhCT[GRRR], pYOWは、最終
濃度が5mM になるようにIPTGを培地に添加し、発現の誘
導を行った。培養後、培養液を遠心し、得られた菌体に
ついて常法に従い、SDS-16%PAGE(ドデシル硫酸ナト
リウム−16%ポリアクリルアミドゲル電気泳動) をお
こない培養温度と上記融合蛋白の発現の関係について検
討した。その結果を図3に示す。
【0056】図3から明らかなように野生型ラクトース
リプレッサー遺伝子を有するMYW3110/pG97S4Dh
CT[GRRR], pYOWは、IPTG添加したときのみに融合蛋白を
発現している。変異型ラクトースリプレッサー遺伝子を
有するMYW3110/pG97S4DhCT[GRRR], pYO1、MY
W3110/pG97S4DhCT[GRRR], pYO2、及びMYW31
10/pG97S4DhCT[GRRR], pYO16 では、30℃では融合
蛋白を発現せず、37℃で培養した場合には、野生型ラ
クトースリプレッサー遺伝子を有する菌株をIPTGで誘導
して発現させた融合蛋白の量に匹敵する融合蛋白を発現
していることが明らかになった。
【0057】従って、ラクトースオペロンのプロモータ
ー/オペレーター領域を発現制御遺伝子領域としても
ち、その下流にβーガラクトシダーゼ誘導体とヒトカル
シトニン前駆体からなる融合蛋白コードする遺伝子をも
つ発現プラスミドの融合蛋白の発現制御にこの温度感受
性変異をもつラクトースリプレッサー遺伝子が利用で
き、温度感受性変異のラクトースリプレッサー遺伝子を
用いた発現制御が有用ポリペプチドの発現(生産)の制
御に十分利用できることが明らかになった。
【0058】よって、本実施例に限らず、本発明に係る
温度感受性変異を有するラクトースリプレッサー遺伝子
はラクトースオペレーター領域遺伝子とラクトースリプ
レッサー遺伝子の組み合わせで遺伝子発現を制御する系
において用いることができる。
【0059】実施例6変異部位のアミノ酸置換が温度
感受性変異に及ぼす影響 本発明者がラクトースリプレッサーの温度感受性変異部
位として同定した94、241、265及び300番目
のアミノ酸の位置はリプレッサー蛋白の構造を保つ上で
重要な位置と考えられる。この位置に実施例3で単離し
た変異型のアミノ酸以外のアミノ酸と置換した場合、そ
のアミノ酸の種類によっては温度感受性変異の性質が現
われることが十分に考えられる。
【0060】そこで、300番目のアミノ酸をコードす
る遺伝子を変換し、様々なアミノ酸に置換した変異型の
ラクトースリプレッサー蛋白質を発現する遺伝子を18
種類作製して、その性質の解析を行なった。すなわち、
PCR (ポリメラーゼ連鎖反応)を用いた部位特異的変異
を導入した。まず、lac I 遺伝子の903 番目の塩基配列
のGをCに変えることでアミノ酸配列を変えることなく
新しくlac I 遺伝子にSalI制限酵素部位を導入したpMC9
ーSalIを以下のように作製した。
【0061】5’側にSalI切断部位ができるようにデザ
インしたプライマー8 及び9 を化学合成し、プライマー
9 とプライマー10を組み合わせ、鋳型DNA としてpMC9-1
を用いてPCR を行った(DNA 断片A)。一方、プライマー
8 はプライマー11と組み合わせ鋳型DNA としてpMC9-1を
用いてPCR を行った(DNA 断片B)。
【0062】
【化2】
【0063】PCR は1μmol のプライマー、1μg 鋳型
DNA 、50mM KCl、10mM Tris-HCl, pH8.3、1.5mM MgCl2
、0.01% ゼラチン、200 μMのdNTP(dATP,dGTP,dCTP,
dTTPの混合物)を含む50μl の反応液に2.5 ユニットの
Taq DNA ポリメラーゼを添加し、94℃,1分、72℃,2分、
55℃,2分のPCR を30サイクルの条件で行った。得られた
DNA 断片A を制限酵素Mlu I 及びSalIで切断し、得られ
たDNA 断片B は制限酵素SalI及びHind IIIで切断した。
【0064】得られたDNA 断片を、pMC9をMlu I 及びHi
nd IIIで切断して得られる4.7Kb の断片と混合後、T4 D
NAリガーゼにより連結し、常法に従いMYW3110 に形質転
換を行い、50μg / ml のアンピシリンを含むL−寒
天培地に拡げ30℃一夜培養しMYW3110 / pMC9ーSalIを
作製した(図4)。次に、300番目のアミノ酸の位置
に変異を導入するためプライマー12からプライマー19ま
でを合成し、プライマー10と組み合わせ、pMC9を鋳型DN
A として同様にPCR を行った。
【0065】
【化3】
【0066】PCR で得られた各DNA 断片をBssH II とSa
lIで切断し、0.15kbの断片を回収後、先に作製したpMC9
ーSalIの1.0kb SalI-BamHI断片及び4.9kb BamHI-BssHII
断片と混合し、T4 DNAリガーゼを用いて連結し、常法に
従いMYW3110 に形質転換し、50μg / ml のアンピシ
リンを含むL−寒天培地に拡げ30℃一夜培養した。得
られた形質転換株からプラスミド(pMC9-300AからpMC9-3
00Y, 図5参照) を単離し、実施例3で示した方法によ
りDNA 塩基配列を決定し置換部位に正しく目的とするア
ミノ酸に対応するコドンが導入されていることを確認し
た。
【0067】これら作製した株を前述のX−gal とアン
ピシリンを含む寒天培地に塗布し、30℃及び37℃で
一夜培養を行ないコロニーの発色を調べた。その結果、
300番目のアミノ酸にフェニルアラニン及びプロリン
残基が導入された変異型lacI 遺伝子をもつそれぞれMYW
3110 / pMC9-300F 、及びMYW3110 / pMC9-300P の菌株
ではコロニーが30℃では白色、37℃では青色を呈し
温度感受性であることが明らかになった。
【0068】従って、実施例3で示したアスパラギン以
外のアミノ酸であるフェニルアラニン及びプロリンも温
度感受性変異であることが明らかになり、この部位のア
ミノ酸置換により新しい温度感受性変異が得られること
が証明できた。よって、上記の結果から本実施例以外、
即ちラクトースリプレッサーの300番目以外の位置で
ある94、241及び265番目のアミノ酸残基の部位
又はこれら変異部位を2以上有する場合においても、今
回判明した変異に係るアミノ酸残基以外のアミノ酸残基
を導入することで望ましい温度感受性を示ラクトースリ
プレッサー蛋白が得られるのでそのようなリプレッサー
蛋白も本発明に含まれる。また、そのようなラクトース
リプレッサー蛋白をコードする遺伝子、当該遺伝子を用
いた遺伝子発現の制御方法及び当該制御方法を用いた遺
伝子の発現方法も本発明に含まれる。
【0069】
【発明の効果】本発明に係る温度感受性変異を有するリ
プレッサー遺伝子を用いて遺伝子発現の制御を行うこと
により高価な誘導物質であるIPTG等を形質転換細胞の培
養培地中に添加することなく、目的遺伝子のクローニン
グや発現研究、更には目的蛋白の大量生産系に適用でき
るため非常に産業上有用である。
【0070】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:18 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 DNA 配列 GCAACGCCAA TCAGCAAC 17
【0071】配列番号:2 配列の長さ:18 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 DNA 配列 GGGTGTCTGG TCAGAGAC 18
【0072】配列番号:3 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 DNA 配列 ATCGTTGGCA ACCAGCATCG CA 22
【0073】配列番号:4 配列の長さ:18 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 DNA 配列 CGCCGTCGCA AATTGTCG 18
【0074】配列番号:5 配列の長さ:19 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 DNA 配列 CTCCCATGAA GACGGTACG 19
【0075】配列番号:6 配列の長さ:18 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 DNA 配列 GCAATGCGCG CCATTACC 18
【0076】配列番号:7 配列の長さ:17 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 DNA 配列 CATCGAATGG CGCAAAA 17
【0077】配列番号:8 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 DNA 配列 GGGGCAAACC AACGTCGACC GCTTGCTGCA 30
【0078】配列番号:9 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 DNA 配列 TGCAGCAAGC GGTCGACGTT GGTTTGCCCC 30
【0079】配列番号:10 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 DNA 配列 GGGAATAAGG GCGACACGGA 20
【0080】配列番号:11 配列の長さ:19 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 DNA 配列 CACGGTGCCT GACTGCGTT 20
【0081】配列番号:12 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 DNA 配列 AAGCGGTCGA CACVGGTTTG CCCC 24
【0082】配列番号:13 配列の長さ:26 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 DNA 配列 AAGCGGTCGA CCTBGGTTTG CCCC 24
【0083】配列番号:14 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 DNA 配列 AAGCGGTCGA CCAHGGTTTG CCCC 24
【0084】配列番号:15 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 DNA 配列 AAGCGGTCGA CAGBGGTTTG CCCC 24
【0085】配列番号:16 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 DNA 配列 AAGCGGTCGA CGTVGGTTTG CCCC 24
【0086】配列番号:17 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 DNA 配列 AAGCGGTCGA CGAAGGTTTG CCCC 24
【0087】配列番号:18 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 DNA 配列 AAGCGGTCGA CCCAGGTTTG CCCC 24
【0088】配列番号:19 配列の長さ:24 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 配列の種類:合成 DNA 配列 AAGCGGTCGA CTATGGTTTG CCCC 24
【0089】配列番号:20 配列の長さ:1083 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 配列の種類: 配列の特徴:ラクトースリプレッサー蛋白のアミノ酸配
列、及びそれをコードする塩基配列。 94位のXaa はVal 又はMet であり、241位のXaa は
Ala 又はThr であり、265位のXaa はGly 又はAsp で
あり、300位のXaa はSer, Asn, Phe 又はPro であ
る。 配列 GTG AAA CCA GTA ACG TTA TAC GAT GTC GCA GAG TAT GCC GGT GTC 45 Met Lys Pro Val Thr Leu Tyr Asp Val Ala Glu Tyr Ala Gly Val 5 10 15 TCT TAT CAG ACC GTT TCC CGC GTG GTG AAC CAG GCC AGC CAC GTT 90 Ser Tyr Gln Thr Val Ser Arg Val Val Asn Gln Ala Ser His Val 20 25 30 TCT GCG AAA ACG CGG GAA AAA GTG GAA GCG GCG ATG GCG GAG CTG 135 Ser Ala Lys Thr Arg Glu Lys Val Glu Ala Ala Met Ala Glu Leu 35 40 45 AAT TAC ATT CCC AAC CGC GTG GCA CAA CAA CTG GCG GGC AAA CAG 180 Asn Tyr Ile Pro Asn Arg Val Ala Gln Gln Leu Ala Gly Lys Gln 50 55 60 TCG TTG CTG ATT GGC GTT GCC ACC TCC AGT CTG GCC CTG CAC GCG 225 Ser Leu Leu Ile Gly Val Ala Thr Ser Ser Leu Ala Leu His Ala 65 70 75 CCG TCG CAA ATT GTC GCG GCG ATT AAA TCT CGC GCC GAT CAA CTG 270 Pro Ser Gln Ile Val Ala Ala Ile Lys Ser Arg Ala Asp Gln Leu 80 85 90 GGT GCC AGC NNN GTG GTG TCG ATG GTA GAA CGA AGC GGC GTC GAA 315 Gly Ala Ser Xaa Val Val Ser Met Val Glu Arg Ser Gly Val Glu 95 100 105 GCC TGT AAA GCG GCG GTG CAC AAT CTT CTC GCG CAA CGC GTC AGT 360 Ala Cys Lys Ala Ala Val His Asn Leu Leu Ala Gln Arg Val Ser 110 115 120 GGG CTG ATC ATT AAC TAT CCG CTG GAT GAC CAG GAT GCC ATT GCT 405 Gly Leu Ile Ile Asn Tyr Pro Leu Asp Asp Gln Asp Ala Ile Ala 125 130 135 GTG GAA GCT GCC TGC ACT AAT GTT CCG GCG TTA TTT CTT GAT GTC 450 Val Glu Ala Ala Cys Thr Asn Val Pro Ala Leu Phe Leu Asp Val 140 145 150 TCT GAC CAG ACA CCC ATC AAC AGT ATT ATT TTC TCC CAT GAA GAC 495 Ser Asp Gln Thr Pro Ile Asn Ser Ile Ile Phe Ser His Glu Asp 155 160 165 GGT ACG CGA CTG GGC GTG GAG CAT CTG GTC GCA TTG GGT CAC CAG 540 Gly Thr Arg Leu Gly Val Glu His Leu Val Ala Leu Gly His Gln 170 175 180 CAA ATC GCG CTG TTA GCG GGC CCA TTA AGT TCT GTC TCG GCG CGT 585 Gln Ile Ala Leu Leu Ala Gly Pro Leu Ser Ser Val Ser Ala Arg 185 190 195 CTG CGT CTG GCT GGC TGG CAT AAA TAT CTC ACT CGC AAT CAA ATT 630 Leu Arg Leu Ala Gly Trp His Lys Tyr Leu Thr Arg Asn Gln Ile 200 205 210 CAG CCG ATA GCG GAA CGG GAA GGC GAC TGG AGT GCC ATG TCC GGT 675 Gln Pro Ile Ala Glu Arg Glu Gly Asp Trp Ser Ala Met Ser Gly 215 220 225 TTT CAA CAA ACC ATG CAA ATG CTG AAT GAG GGC ATC GTT CCC ACT 720 Phe Gln Gln Thr Met Gln Met Leu Asn Glu Gly Ile Val Pro Thr 230 235 240 NNN ATG CTG GTT GCC AAC GAT CAG ATG GCG CTG GGC GCA ATG CGC 765 Xaa Met Leu Val Ala Asn Asp Gln Met Ala Leu Gly Ala Met Arg 245 250 255 GCC ATT ACC GAG TCC GGG CTG CGC GTT NNN GCG GAT ATC TCG GTA 810 Ala Ile Thr Glu Ser Gly Leu Arg Val Xaa Ala Asp Ile Ser Val 260 265 270 GTG GGA TAC GAC GAT ACC GAA GAC AGC TCA TGT TAT ATC CCG CCG 855 Val Gly Tyr Asp Asp Thr Glu Asp Ser Ser Cys Tyr Ile Pro Pro 275 280 285 TCA ACC ACC ATC AAA CAG GAT TTT CGC CTG CTG GGG CAA ACC NNN 900 Ser Thr Thr Ile Lys Gln Asp Phe Arg Leu Leu Gly Gln Thr Xaa 290 295 300 GTG GAC CGC TTG CTG CAA CTC TCT CAG GGC CAG GCG GTG AAG GGC 945 Val Asp Arg Leu Leu Gln Leu Ser Gln Gly Gln Ala Val Lys Gly 305 310 315 AAT CAG CTG TTG CCC GTC TCA CTG GTG AAA AGA AAA ACC ACC CTG 990 Asn Gln Leu Leu Pro Val Ser Leu Val Lys Arg Lys Thr Thr Leu 320 325 330 GCG CCC AAT ACG CAA ACC GCC TCT CCC CGC GCG TTG GCC GAT TCA 1035 Ala Pro Asn Thr Gln Thr Ala Ser Pro Arg Ala Leu Ala Asp Ser 335 340 345 TTA ATG CAG CTG GCA CGA CAG GTT TCC CGA CTG GAA AGC GGG CAG 1080 Leu Met Gln Leu Ala Arg Gln Val Ser Arg Leu Glu Ser Gly Gln 350 355 360 TGA 1083
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、培養温度がβ−ガラクトシダーゼ生産
に及ぼす影響を示すグラフである。
【図2】図2は、プラスミドpMC9-1とpMW119とからのプ
ラスミドpYO1の作製を示す図である。
【図3】図3は、蛋白質の生産に及ぼす培養温度及び誘
導剤の効果を示す電気泳動図であって、図面に代る写真
である。
【図4】図4は、プラスミドpMC9-SalI の作製を示す図
である。
【図5】図5は、300番目のアミノ酸の部位特異的変
異を含む種々のプラスミドの作製を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:19) (72)発明者 大末 和廣 群馬県邑楽郡千代田町大字赤岩字くらかけ 2716番地1 サントリー株式会社医薬セン ター内

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 野生型ラクトースリプレッサーの94、
    241、265又は300番目のアミノ酸が野生型ラク
    トースリプレッサーの対応する部位のアミノ酸以外のア
    ミノ酸残基に置換されているラクトースリプレッサー蛋
    白。
  2. 【請求項2】 94番目のアミノ酸がメチオニンであ
    る、請求項1に記載のラクトースリプレッサー蛋白質。
  3. 【請求項3】 241番目のアミノ酸がスレオニンであ
    る、請求項1に記載のラクトースリプレッサー蛋白質。
  4. 【請求項4】 265番目のアミノ酸がアスパラギン酸
    である請求項1に記載のラクトースリプレッサー蛋白
    質。
  5. 【請求項5】 300番目のアミノ酸がアスパラギン、
    フェニルアラニン又はプロリンである、請求項1に記載
    のラクトースリプレッサー蛋白質。
  6. 【請求項6】 配列番号:20に示すアミノ酸配列(但
    し、94位のXaa がVal であり、241位のXaa がAla
    であり、265位のXaa がGly であり、且つ300位の
    Xaa がSer である場合を除く)を有するラクトースリプ
    レッサー蛋白。
  7. 【請求項7】 野生型ラクトースリプレッサーの94、
    241、265又は300番目のアミノ酸が野生型ラク
    トースリプレッサーの対応する部位のアミノ酸以外のア
    ミノ酸残基に置換されているリプレッサー蛋白をコード
    する遺伝子。
  8. 【請求項8】 94番目のアミノ酸がメチオニンである
    ラクトースリプレッサー蛋白質をコードする請求項7に
    記載の遺伝子。
  9. 【請求項9】 241番目のアミノ酸がスレオニンであ
    るラクトースリプレッサー蛋白質をコードする請求項7
    に記載の遺伝子。
  10. 【請求項10】 265番目のアミノ酸がアスパラギン
    酸であるラクトースリプレッサー蛋白質をコードする遺
    伝子。
  11. 【請求項11】 300番目のアミノ酸がアスパラギ
    ン、フェニルアラニン又はプロリンであるラクトースリ
    プレッサー蛋白質をコードする遺伝子。
  12. 【請求項12】 配列番号:20に示す塩基配列(但
    し、94位のXaa がVal であり、24位のXaa がAla で
    あり、265位のXaa がGly であり、且つ300位のXa
    a がSer であるアミノ酸配列をコードするものを除去)
    を有する、ラクトースリプレッサー蛋白をコードする遺
    伝子。
  13. 【請求項13】 請求項7〜12のいずれか1項に記載
    のラクトースリプレッサー蛋白遺伝子及び目的とする蛋
    白質をコードする遺伝子(目的遺伝子)を有する宿主細
    胞における該目的遺伝子の発現の制御方法において、当
    該細胞の培養温度を変化させて当該ラクトースリプレッ
    サー蛋白の機能を調整することにより目的遺伝子の発現
    を制御することを特徴とする方法。
  14. 【請求項14】 前記ラクトースリプレッサー蛋白遺伝
    子を、目的遺伝子を有するプラスミド又は宿主染色体上
    に組み込むことを特徴とする請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記ラクトースリプレッサー蛋白遺伝
    子を、目的遺伝子を有するクローニングベクター又は発
    現ベクターに組み込むことを特徴とする請求項13記載
    の方法。
  16. 【請求項16】 宿主細胞が哺乳動物細胞、原核細胞、
    真菌、酵母、または昆虫細胞であることを特徴とする請
    求項13〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 【請求項17】 35℃以上で遺伝子発現が可能な温度
    感受性変異を有するラクトースリプレッサー蛋白の遺伝
    子を用いることを特徴とする請求項13〜16項のいず
    れか1項に記載の方法。
  18. 【請求項18】 37℃以上で遺伝子発現が可能な温度
    感受性変異を有するラクトースリプレッサー蛋白の遺伝
    子を用いることを特徴とする請求項17に記載の方法。
  19. 【請求項19】 請求項7〜16のいずれか1項に記載
    のラクトースリプレッサー蛋白遺伝子と目的とする蛋白
    質をコードする遺伝子(目的遺伝子)とを含んで成る発
    現ベクターを用いる目的遺伝子の発現方法において、当
    該発現ベクターにより形質転換された形質転換細胞の培
    養温度を変化させて当該ラクトースリプレッサー蛋白の
    機能を調整することにより目的遺伝子の発現を制御する
    ことを特徴とする発現方法。
  20. 【請求項20】 宿主細胞が哺乳動物細胞、原核生物、
    真菌、酵母または昆虫細胞であることを特徴とする請求
    項19に記載の方法。
  21. 【請求項21】 35℃以上で遺伝子発現が可能な温度
    感受性変異を有するラクトースリプレッサー蛋白の遺伝
    子を用いることを特徴とする請求項19または20に記
    載の方法。
  22. 【請求項22】 37℃以上で遺伝子発現が可能な温度
    感受性変異を有するラクトースリプレッサー蛋白の遺伝
    子を用いることを特徴とする請求項21に記載の方法。
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