JPH0848543A - 種々の基板上への防曇及び耐引掻性コーティングのプラズマ強化化学蒸着法 - Google Patents

種々の基板上への防曇及び耐引掻性コーティングのプラズマ強化化学蒸着法

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JPH0848543A
JPH0848543A JP7087151A JP8715195A JPH0848543A JP H0848543 A JPH0848543 A JP H0848543A JP 7087151 A JP7087151 A JP 7087151A JP 8715195 A JP8715195 A JP 8715195A JP H0848543 A JPH0848543 A JP H0848543A
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plasma
scratch
silicon
fog
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JP7087151A
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Eugene S Lopata
エス ロパタ ユージーン
John S Nakanishi
エス ナカニシ ジョン
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    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C16/00Chemical coating by decomposition of gaseous compounds, without leaving reaction products of surface material in the coating, i.e. chemical vapour deposition [CVD] processes
    • C23C16/22Chemical coating by decomposition of gaseous compounds, without leaving reaction products of surface material in the coating, i.e. chemical vapour deposition [CVD] processes characterised by the deposition of inorganic material, other than metallic material
    • C23C16/30Deposition of compounds, mixtures or solid solutions, e.g. borides, carbides, nitrides

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 防曇性、耐引掻性又はその両方の特性を有
し、かつ永続的に、機械的耐久性のある、洗浄可能なコ
ーティングを、基板表面上に形成する方法を提供する。 【構成】 防曇コーティング、耐引掻性コーティング、
又は防曇及び耐引掻性を兼ね備えたコーティングを、減
圧チャンバーの1以上のプラズマ反応ゾーンにおいて、
基板の表面上に形成する方法であって、(a) 任意に、そ
の表面を洗浄し又はその表面上に置かれるコーティング
の接着を促進するのに十分なプラズマ種により、その表
面を衝撃し、(b) その表面を、プラズマ重合により重合
珪素で被覆し、その重合珪素コーティングは珪素モノマ
ー及び酸素を含むコーティングガス流から誘導され、そ
のプラズマ重合は、所定の電力密度で、所定の時間行
い、(c) その被覆表面を、本質的に約80〜40モル%のN2
O 及び約20〜60モル%のCO2からなる表面改質ガス流か
ら誘導されたプラズマ組成により改質することを含む方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、種々の基板上への、防
曇及び耐引掻性フィルム又はコーティングのプラズマ強
化化学蒸着法に関するものである。更に詳しくは、本発
明は、種々の平らな基板、3次元の基板及び複合基板の
少なくとも1以上の表面上への、少なくとも1つの珪素
原子を含む有機化合物からの、薄い透明フィルム又はコ
ーティングのプラズマ強化化学蒸着に関するものであ
る。
【0002】
【技術分野】種々のタイプの防曇コーティングが市場で
入手可能であるが、それらには、耐摩耗性又は機械的耐
久性が欠けている。典型的には、これらの防曇コーティ
ングは、容易にすりへり、かつ、イソプロピルアルコー
ル、漂白液及びその他の溶剤等の、そのような被覆材料
を洗浄するために使用する洗浄溶剤及び材料中におい
て、容易に溶解される。他方、市場で入手可能な耐引掻
性コーティングは、防曇性を有していない。従って、よ
り耐久性のある永久防曇コーティング、耐引掻性を有す
る防曇コーティング、及び防曇性を有する耐引掻性コー
ティングが市場において要求されている。典型的には、
防曇コーティングは、米国特許第4,029,842 号、米国特
許第4,080,476 号、米国特許第4,467,073 号、米国特許
第4,847,160 号、米国特許第5,075,133 号及び欧州特許
第460,382 号に記載されたような湿式化学適用法を用い
て形成する。
【0003】プラズマ技術、及びSiO1.5-2.0及び/又は
炭化珪素(SiC) を含む無機コーティングを得るための珪
素含有化合物を用いた方法による耐引掻性又は耐摩耗性
コーティングの製造は公知である。例えば、米国特許第
4,830,873 号において、得られた厚い(6〜8ミクロ
ン)耐摩耗性コーティングは、SiO1.5-2.0、SiC 及びSi
3N4 を含んでおり、米国特許第4,927,704 号において
は、SiO2耐引掻層を、順番に沿ってプラズマ重合ビニル
トリメチルシランベースの層上に蒸着させた順序のある
層上に蒸着させ、米国特許第5,211,995 号においては、
SiO2層を、シラン(SiH4)/亜酸化窒素(N2O) 系を用いて
装飾有機材料層上に蒸着させ、日本特許公報第60-15567
5 号においては、SiC 及びシラノール基を含む表面硬化
フィルム層を、幾つかの珪素含有化合物のガス混合物を
用いて蒸着させる。
【0004】本願出願人に係る、1994年4月19日出願
の、McPherson とHozborが発明者である、“改質された
表面特性を有するポリマー製品”というタイトルの、出
願番号第08/230,025号には、ポリマー製品の表面を、本
質的に、80〜40モル%のN2O と20〜60モル%のCO2 との
混合物からなる低温プラズマガス組成物で改質する方法
が記載されており、そのように改質された表面は、同様
に処理した他の表面への接着強さが改良されており、か
つペイント及び他のコーティングに対する受容性が改良
されている。
【0005】
【発明の内容】本発明により、防曇性、耐引掻性又はそ
の両方の特性を有し、かつ永続的に、機械的耐久性のあ
る、洗浄可能なコーティングを、基板表面上に形成する
方法が提供される。前記の方法は、基板の表面をガス源
としての珪素含有有機化合物に暴露し、その後、そのよ
うに処理した表面を、耐久性、可洗性及び永続性のある
コーティングが生じるように該表面の組成物を改質する
のに十分な時間、本質的にN2O とCO2 との混合物からな
る低温プラズマガス組成物に暴露した基板の表面上にお
ける薄いフィルム又はコーティング層のプラズマ強化化
学蒸着を含む。プラズマは、第4の物質状態として言及
されることが多い。固体にエネルギーを施すと、その固
体は液体状態へ転移し得る。更に、エネルギーを施す
と、液体はガスになる。特定の種類の付加的なエネルギ
ーを施すと、ガスは解離してプラズマとなる。種々の形
態のプラズマが存在する。好ましいプラズマ方法は、基
板の温度が、周囲温度(約20℃)に対して数10℃以内の
範囲にあり、プラスチックからなる材料を処理した時
に、そのプラスチックの熱崩壊及び成形プラスチック製
品の熱変形が防止されるような低圧又は減圧方法でのも
のである。処理した基板の存在するプラズマチャンバー
内において、電子、遊離基、イオン及びエネルギー的に
中性なものの形態の活性種は、例えばポリマー又は他の
材料等の基板の表面上に衝突して、その表面上の分子結
合を切断し、新しい官能基を生じさせる。これらの活性
エネルギー種は、また、ガス相においても反応し、基板
及び反応器壁上に薄いコーティングが蒸着する。
【0006】本発明における使用に適したプラズマ系
は、処理する部分を、直接、主なRFエネルギー場に暴露
する平行板電極の設計を含むが、回路部品ではない、よ
り技術的に発達した主なプラズマ系である。特に、二次
の主なプラズマは、処理する部分が三次元的にグロー放
電に暴露されるので、より均一であり、より有効であ
る。高圧での方法(しかし、依然として、常温ガスプラ
ズマの一般的な定義内のもの)による、全チャンバー体
積中に工程ガスの均一な層流が生じるように設計した幾
つかの形態のガス供給系が、有益である。多くの電極/
棚の設計において、それぞれの電極が、等しい量のRFエ
ネルギーを受けるようにするということが重要である。
この方法において、均一なグロー放電が、それぞれの棚
の間又はそれぞれのプラズマゾーン中に生じる。また、
固形成分、並びに工程時間、流量、電力レベル及び使用
圧力の系パラメーターの細かなマイクロプロセッサーコ
ントロールにより、工程の均一性、効率及び反復性を確
保する。プラズマは導電性雰囲気であるため、それら
は、RF発生機の出力部分に対して特性インピーダンスを
有する。従って、好ましいプラズマ方法では、常にプラ
ズマインピーダンスをRF発生機の出力インピーダンスに
合わせるための整合ネットワークを利用する。本発明に
おける使用に適した改良されたプラズマ系は、カリフォ
ルニア州フォスター市のヒモントプラズマサイエンス
(ヒモントU.S.A.インコーポレイテッドの商業ユニッ
ト)から入手可能であり、自動整合タイプのネットワー
ク及び工程の間のエラーチエックのための設備を備えて
いる。
【0007】低温プラズマを、ガス大気中おいて、約0.
001 〜約10トル、好ましくは約0.01〜5トル、より好ま
しくは約0.05〜約1.0 トル、最も好ましくは約0.050 〜
約0.400 トルの減圧下で発生させる。約40KHz 〜3GHz、
好ましくは13〜27MHz 及び最も好ましくは13.56MHzでの
高周波での電力を、前記装置に施すことができる。ガス
大気中において所望のプラズマ条件を達成するために、
前記装置に施した電力は、約10〜10000 ワット、好まし
くは約50〜約5000ワット、より好ましくは約250 〜約30
00ワット、最も好ましくは約500 〜約2500ワットの範囲
で変動してもよい。使用する電力は、チャンバー作業体
積にいくらか依存している。最も好ましい500 〜2500ワ
ットが、約0.14m3(5.0立方フィート) の作業体積を有す
るヒモントプラズマサイエンスPSO500D ガスプラズマ装
置に適している。プラズマ処理時間は、数秒〜数十分
間、好ましくは約20秒〜約30分、最も好ましくは約60秒
〜約20分間で変動してもよい。処理の圧力、時間及び電
力は、独立せずにむしろ相互に関係した変数であること
が分かる。これらの変数のそれぞれについて選択したレ
ベルの効果により、基板表面の改質及び/又はコーティ
ングの厚さの範囲が決定される。また、チャンバーの体
積及び形状寸法並びにサンプルのサイズ及び表面の形状
寸法が関連してくる。これらの変数のレベルの選択は、
本発明が属する分野の当業者の技術範囲内である。
【0008】第1コーティング層を、適切な基板の表面
上に、1〜3個のSi原子を含む珪素含有化合物の低温プ
ラズマ強化蒸着により蒸着させる。その化合物は、シラ
ザン、式SiR4(式中、R は、同一又は異なっていてもよ
く、水素、C1〜C8の線状又は枝分かれしたアルキル又は
アルコキシ、未置換の又はC1〜C4線状もしくは枝分かれ
したアルキル基で置換されたC6〜C10 のアリール、ビニ
ル基 (-CH=CH2)、又はC3〜C5のアリルである。但し、R
が水素である時、はR の1つ又は2つのみが水素であ
る)のシラン、及び式R'R"R'"Si-[-O-Si(R')(R")-] n -
R'" (式中、R'、R"及びR'" は、同一であっても異なっ
ていてもよく、C1〜C8の線状又は枝分かれしたアルキル
又はアルコキシであり、R'及びR"は、R'とR"との50%よ
りも多くが水素とならない範囲で、水素であってもよ
く、n は、1、2又は3である) を有する、珪素に結合
した種々の有機基を有する、珪素及び酸素原子が交互に
位置する構造をベースとするオルガノシリコーンからな
る群から選択される。
【0009】適切な珪素化合物として、ヘキサメチルジ
シロキサン(HMDSO) 、メチルトリメトキシシラン(MTM
S)、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)、ビニルトリエト
キシシラン(VTES)、エチルメトキシシラン(EMS) 、エチ
ルトリメトキシシラン(ETMS)、テトラエトキシシラン(T
ES) 、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMDM
S)、ジシクロペンチルジメトキシシラン(DCDMS) 、フェ
ニルトリエトキシシラン(PES) 、ジフェニルジメトキシ
シラン(DPDMS) 、テトラメチルジシロキサン(TMDSO) 、
ヘキサメチルトリシロキサン(HMTSO) 及びヘキサメチル
ジシラザン(HMDSN)がある。使用する珪素化合物は、ガ
ス状態において、プラズマ蒸着チャンバーに入れる。そ
のチャンバーに入れる前に、その珪素化合物を、40〜10
0 ℃、一般には40〜60℃まで加熱して、気化させ、コー
ティングが合理的な速度で蒸着されるような十分な蒸気
圧を生じさせる。ガス形態の酸素及びアルゴンを、蒸着
チャンバーに、ガス状珪素化合物と共に、それぞれ独立
した供給手段及び流量調節機を用いて供給する。適用に
より、O2流量は、200sccm 〜1200sccmであり、ガス状珪
素化合物流量は、20sccm〜250sccm であり、Ar流量は、
10sccm〜150sccm である。アルゴンを使用することによ
り、使用するガス材料の蒸着速度が増加する。従って、
この方法においてアルゴンを使用することが好ましい。
【0010】酸素は、本発明の珪素化合物を用いたプラ
ズマ蒸着方法に必須のものである。酸素なしには、前述
した珪素化合物を用いて、プラズマ誘導防曇又は耐引掻
性コーティングを得ることができない。ESCA結果によ
り、酸素が、使用する珪素化合物への酸化作用を有して
いることが示された。酸素がどのような酸化作用を有し
ていようとも、本発明の防曇及び/又は耐引掻性コーテ
ィングを得るためには、それが必要であると思われる。
防曇コーティングの第1コーティング層の蒸着のための
プラズマ蒸着チャンバーに入れるガス材料の全蒸気圧
は、約0.040 〜約0.500 トル、好ましくは0.350〜0.450
トル、最も好ましくは0.400 トルである。工程圧力
は、高周波伝導電極上において低いバイアス電位が達成
されるようなものでなければならない。そのバイアス電
位が、プラズマ蒸着の間に、数10ボルトを越えると、曇
るコーティングが生じる。耐引掻性コーティングの第1
コーティング層のための全蒸気圧は、使用する工程及び
処理する基板により、0.040 〜0.400 トル、好ましくは
0.060 〜0.130 トルである。
【0011】基板は、平ら(2次元)又は複雑(3次
元)であってもよい。複雑型は、z軸に沿った寸法が、
例えば自動車のバンパー及びフェンダー等の平面の表面
におけるx又はy軸のそれぞれに沿った寸法の10%以上
である、3次元の基板、製品又は構造である。PSO500D
反応器等の、ヒモントプラズマサイエンスから入手可能
な、前述の改良されたプラズマ系は、絞り弁を備えてお
り、それにより、同一のガス流量での工程圧力の範囲を
達成することが可能になる。防曇コーティングのための
プラズマ処理時間は、1分〜10分、好ましくは1.5〜4
分、最も好ましくは1.5 〜2.5 分であり、蒸気の反応を
引き起こすために使用するRF電力は、200 〜1500ワッ
ト、好ましくは1000〜1400ワット、最も好ましくは1100
〜1300ワットである。耐引掻性コーティングを蒸着させ
るためのプラズマ処理時間は、5〜25分、好ましくは10
〜20分、最も好ましくは10〜15分である。使用するRF電
力は、1200〜2500ワットであり、処理する基板及び処理
する原料量による。得られる防曇コーティングは、異な
る厚さで生産されてもよく、典型的には、0.1 〜2.5 ミ
クロン、好ましくは1〜2ミクロンである。同様に、得
られる耐引掻性コーティングは、異なる厚さを有してい
もよく、典型的には、3.0 〜10ミクロン、好ましくは5
〜7ミクロンである。
【0012】防曇及び耐引掻性コーティングの両方は、
どちらを先に、基板に施してもよい。防曇コーティング
を最初に蒸着させて、蒸着時間を約10分に減少させる時
には、好ましくは、耐引掻性コーティングのための珪素
化合物を包含する蒸着段階のRF電力及びガス流量を、2
倍にする。最も好ましくは、防曇コーティングは最後に
施す。防曇コーティングは、約73ダイン/cm 以上の表面
エネルギーを有している。水は、73ダイン/cm の表面エ
ネルギーを有しているので、このように被覆された基板
又は製品上に凝縮する全ての水が、全表面中に広がる傾
向を有している。最終結果では、その光の散乱は、低い
表面エネルギーを有する表面上に凝縮した水滴から得ら
れるものよりも、少ない。得られた基板の、このように
処理された表面、言い換えれば、下塗り又は仕上塗りの
表面を、その後、本質的にN2O 80〜40モル%とCO2 20〜
60モル%、好ましくはN2O 70〜45モル%とCO2 30〜55モ
ル%、最も好ましくはN2O 60〜45モル%とCO2 40〜55モ
ル%との混合物(その混合物中のN2O とCO2 との量で10
0 モル%に等しい)からなる低温プラズマガス組成物
に、そのコーティング表面の耐久性を強化するのに十分
な時間暴露することによる表面改質段階で処理すること
ができる。
【0013】一般に、プラズマ工程は次のように行う。
処理する部分を、減圧チャンバー中に置き、そのチャン
バー圧力を、典型的には、0.005 トルに減少させる。使
用する工程ガス又はガス混合物をチャンバーに入れ、そ
のチャンバー圧力を、0.040〜0.400 トルの圧力で安定
化する。作業領域の内部寸法は、1.34m3の全作業体積に
対して、約1.73×0.76×1.02m (幅×高さ×奥行き)で
ある。適切な高周波型のエネルギー、典型的には13.56M
Hzの高周波エネルギーを使用してプラズマを生じさせ
る。これは、記載した系において、2500ワットまでの全
電力入力容量を用いて達成する。RFエネルギーによりガ
スが解離し、独特なグローにより特徴付けられるプラズ
マが生じる。その工程は減圧下において行うため、ガス
の内部温度は周囲温度に近いものであり、従って、常温
ガスプラズマ、グロー放電、又は常温ガスグロー放電と
呼ばれる。プラズマ中に発生した電子又はイオンが、基
板の表面を衝撃し、原子を分離し又はその結合を切断し
て、遊離基を発生させる。これらの遊離基は、不安定で
あり、より安定した状態になろうとして、プラズマガス
内で遊離ラジカル又は遊離基と反応し、新しい成分を基
板の表面上に生じさせる。更に、グロー放電における活
動的な電子は、ガス相の分子を分解し、複雑な化学反応
を引き起こし、薄いフィルムコーティングが蒸着され
る。
【0014】通常、プラズマ蒸着の前に、第1段階を行
う。この段階の目的は、基板洗浄及び/又はその後に蒸
着させる薄いフィルムコーティングの接着促進である。
通常、このガスは、Arのみ、O2のみ、又はAr50%とO250
%との混合物のいずれかである。ガス流量は、20〜100s
ccm(標準のcc/分) 、好ましくは40〜80sccm、及び最も
好ましくは50〜60sccmである。RF電力は約1100ワットで
あり、工程圧力は約0.040 トルである。必要とされる工
程時間は1分である。その第1段階後の段階が、下記実
施例に記載したような耐引掻性及び/又は防曇コーティ
ングのプラズマ蒸着である。常時ではないが多くの場
合、CO2 及びN2O 表面処理段階に続く段階を行い、プラ
ズマコーティングの耐久性又は均一性を強化させる。有
用な工程ガスは、Ar及び/又はO2である。工程時間は、
通常1〜3分であり、2分が最適である場合が最も多
い。工程圧力0.200 〜0.400 トルでのガス流量は40〜25
0sccm であり、RF入力電力は150 〜1500ワットである。
【0015】本発明において有用な基板又は製品とし
て、ガラス、鏡、シリコンチップ及びポリマー材料があ
る。適切なポリマー材料の例を挙げると、CR-39 ポリカ
ーボネート等のポリカーボネート;アイソタクチック及
びシンジオタクチックプロピレンポリマー材料;エチレ
ンポリマー;ポリアミド;ポリアクリレート、ポリメタ
クリレート及びポリエチレンテレフタレート等のポリエ
ステル;ポリスチレン;70%の重合ポリスチレンユニッ
トを含むスチレンコポリマー;エポキシ;ポリフェニレ
ンエーテル(PPE) ;一般にはポリハロゲン化ビニルポリ
マー、特にはポリ塩化ビニル(PVC) がある。プロピレン
ポリマー材料及びエチレンポリマーとして、ホモポリマ
ー、他のαオレフィンモノマー及び/又は脂肪族ジエン
モノマーとのコポリマー及びターポリマー、並びにそれ
らのポリマーの混合物がある。
【0016】適切なプロピレンポリマー材料として、
(I) プロピレンのホモポリマー、並びに(II)ランダム結
晶性プロピレンコポリマー、ターポリマー、又は約80〜
約98.5%、好ましくは約90〜約95%、より好ましくは約
92〜約94%のプロピレン及び約1.5 〜約20.0%の、エチ
レン及びC4〜C10 のαオレフィンからなる群から選択さ
れた少なくとも1種のコモノマーを含む両方のもの(コ
ポリマー及びターポリマー)がある。更に有用なプロピ
レンポリマー材料(III) は、連続共重合、又は(I) もし
くは(II)をエラストマーオレフィンコポリマーもしくは
ターポリマー画分と機械的にブレンドすることにより得
られた、異相の又は衝撃性の改良されたポリオレフィン
組成物である。その画分は、エラストマーのエチレン−
プロピレン、エチレン−ブテン-1、プロピレン−ブテン
-1コポリマー、及びエチレン−プロピレン−ジエンモノ
マーターポリマー等である。そのタイプの適切な異相ポ
リオレフィン組成物として、例えば、欧州特許出願第41
6379号及び欧州特許第77532 号において記載されたもの
が挙げられる。ポリマー材料は、成形品、フィルム、シ
ート、ラミネート、又は織布もしくは不織布の形態であ
ってもよい。
【0017】コーティングは、固く、耐久性を有する透
明なものであり、防曇及び/又は耐引掻性コーティング
を有する生物医学器具、眼鏡、マイクロチップ、窓、天
窓、計器盤及び鏡の生産において有用である。下記の実
施例は、本発明の説明的なものであって、ここに開示及
び請求された本発明を限定することを意図したものでは
ない。蒸着工程の珪素含有化合物を送り込むために使用
した流量調節機により、HMDSO の流量について測定し
た。他のガスの流量は、それぞれのガスの比熱をベース
にして計算した。これらの場合の流量調節機の精度は、
±5%よりもよいものであった。
【0018】
【実施例】実施例1 この実施例により、防曇コーティングをポリマー基板に
施す際の本発明の方法を説明する。約0.15cm(60ミル)
のポリカーボネート(Cyro Industry から商業的に入手
可能なCyrolon ZNポリカーボネートシート)を、下記の
表1のように、プラズマサイエンスPS0500D ガスプラズ
マ反応器中において処理した。
【0019】
【表1】 表1 段階# 投入ガス 流量 高周波電力 圧力 時間 (sccm) * (ワット) (トル) (分) 1 Ar 58 1080 0.040 1.0 2 02 1560 1200 0.400 2.0 HMDSO 52 Ar 43 3 N2O 200 1325 0.250 2.0 CO2 207 * sccmは、標準 cm3/分を意味する。
【0020】実施例2 この実施例により、防曇コーティングを3次元の複雑な
基板に施す際の本発明の方法を説明する。カリフォルニ
ア州ロサンゼルス市のMcMaster-Carr Supplyカンパニー
製) の銅蒸着テープからなる導電性裏材料を、Cyrolon
ZNシートから切断した、サイズが約3.81cm(1.5インチ)
×約22.86cm(9インチ) ×約0.15cm(0.060インチ) の平
らなポリカーボネートサンプルの表面の裏に、その基板
が裏材料との密接な接触を維持するように置いた。その
裏材料を、PS0500D 反応器のバイアスのかけられた電極
上の高周波電力のリード線に電気的に接触させた。その
導電性裏材料により、基板の裏にバイアスが生じ、それ
により、良好な均一蒸着が促進された。(1)裏材料なし
のサンプル(コントロール)、(2) 約0.0051cm(約2ミ
ル)の薄い銅箔裏材料を有するサンプル及び(3) 電力の
加えられた電極のリード線に結合させた薄い銅箔裏材料
を有するサンプルの3種を用いた。同時に、1種のサン
プルを、その処理する表面が珪素化合物の流れに向かう
ように電極上に置き、そのサンプルの長片を、処理する
表面からバイアスのかけられた電極までの距離が0〜約
12.7cm(5インチ)となるように、30°以内で上方に傾
けた。その後、防曇コーティングを、ポリカーボネート
サンプルの保護されていない側の上に、実施例1の手順
及び材料に従って蒸着させた。その結果から、裏材料な
しの基板(1) の湿潤性は、バイアスのかけられた電極か
らの距離が約1.27cm(0.5インチ) の場合にのみ生じるこ
とが分かった。高周波供給材料と電気的に接触してな
い、裏材料を有する基板(2) により、かなり均一なコー
ティングが得られたが、70ダイン/cmレベルで、湿潤性
が生じなかった。電極のリード線に結合させた裏材料を
有する基板(3) により、バイアスのかけられた電極に直
接置かれた平らな基板の湿潤特性と比べて、かなり優秀
な湿潤特性を有する均一コーティングが得られた。
【0021】実施例3 この実施例により、耐引掻性コーティングをポリマー基
板に施す際の本発明の方法を説明する。実施例1に記載
したような約0.15cm (60ミル) のポリカーボネートを、
下記の表2のように、プラズマサイエンスPS0500D ガス
プラズマ反応器中において処理した。
【0022】
【表2】 表2 段階# 投入ガス 流量 高周波電力 圧力 時間 (sccm) * (ワット) (トル) (分) 1 Ar 58 1080 0.040 1.0 2 02 525 1200 0.060 25.0 HMDSO 94 Ar 62 3 N2O 200 1325 1.250 2.0 CO2 207 * sccmは、標準 cm3/分を意味する。
【0023】コーティング終了後、得られた被覆シート
サンプルを、800-グリットのボッシュの微細な布やすり
にかけられた200mg の荷重を含むプラズマサイエンス引
掻硬度試験機において試験した。その試験機は、光をサ
ンプル上に放射するための赤色LED ライトエミッター、
サンプルから反射した光を検出するための光検出ライト
センサー、通過回数をカウントするためのカウンター及
び通過回数を記録するためのレコーダーを備えつけたも
のとした。ライトセンサーの検出レベルを越えた赤色LE
D の反射光を減少させるのに十分な曇り度のレベルを達
成するのに必要な通過回数が記録された。これにより、
得られた基板の耐引掻性の比較測定値を得た。表3に、
本発明に従った方法の引掻試験結果を要約した。
【0024】
【表3】 表3 サンプル #試験機ストローク ・方法A 1173 (蒸着25分の表2の工程) ・方法B 2127 (2倍の電力/2倍の流量、10分の蒸着) ・市販のGE* 1570 ・市販の MXL** 115 ・市販のExxene*** 25・コントロール(被覆なし) 5 * ジェネラルエレクトリックUVHC-8550-01ハードコート** ランカスターのPA 17601 MXLインダストリーズ インコーポレイテッド*** コーパス クリスチのTX Exxene コーポレーション
【0025】実施例4 この実施例により、耐引掻性コーティングを、ある曲率
半径を有する複雑な形状の物に施す際の本発明の方法を
説明する。耐引掻性コーティングを、裏材料のない、高
彎曲ポリカーボネート基板及び曲がったポリカーボネー
ト面シールドに合わせて成形した約0.089cm(約35ミル)
の薄いアルミニウムシート素材の裏材料を有する高彎曲
ポリカーボネート基板サンプル上に蒸着させた。サンプ
ルは、約12.7cm(5インチ) ×約22.86cm(9インチ)であ
り、約8.89cm(3.5インチ) の曲率半径を有していた。裏
材料のない、得られた基板サンプルは、被覆した表面を
0000スチールウールを用いて手でストロークの試験をし
た時には、耐引掻性を表さず、一定のタイプの色の付い
た縦じわが生じた。彎曲した、取り付けられたアルミニ
ウムシートは、色干渉縞を全く有しない耐引掻性におけ
る著しい改良を示した。被覆した表面を0000グレードの
スチールウールで繰り返しストロークした試験では、表
面の引掻はなく、電極に接触させた裏材料と接触なしの
裏材料の間の顕著な相違は殆ど認められなかった。実施
例3に記載したプラズマサイエンス引掻硬度試験機で行
った引掻硬度試験により、約0.025cm(10ミル) のアルミ
ニウム裏材料を使用した場合にのみ、両方のタイプの裏
材料状態についての比較可能な記録が得られた(表4を
参照されたい)。
【0026】
【表4】 表4 簡単な説明 #試験機のストローク ・RF供給通路に接触させた約0.025cm 68 (0.010インチ) のアルミニウム裏材料 ・接触なしの約0.025cm(0.010 インチ) 50 のアルミニウム裏材料
【0027】実施例5 この実施例により、本発明の方法を用いて製造した耐引
掻性コーティングの耐久性を説明する。実施例3に従っ
て製造した耐引掻性コーティングの耐久性を、透明プラ
スチックに適用する耐引掻性コーティングのための通常
の規格を用いて、即ち該コーティングの温水中における
耐浸漬能力について、試験した。第1ポリカーボネート
シート(Cyrolon ZX)サンプルを、プレグロー(表2の段
階1)及び珪素化合物のプラズマ強化化学蒸着(表2の
段階2)のみを用いて製造した。表5に示したように、
このサンプルは、72時間の温水(60 ℃) 浸漬により、軟
化した。第2ポリカーボネートシート(Cyrolon ZX)サン
プルを、N20/CO2 表面改質段階(表2の段階3)で処理
した以外は第1サンプルと同一の方法で被覆し、温水中
に、第1サンプルと同一の温度で、同一の時間浸漬し
た。表面改質段階で処理したコーティングを有する第2
サンプルは、温水浸漬後、耐引掻性の変化を示さなかっ
た。その結果を以下の表5に記載した。
【0028】
【表5】 表5 コーティング/基板 性能 性能 (蒸着させた時)(60℃水浸漬72時間後) ・耐引掻性コーティング(表2の#1、#2) 非常に良好(1) 不良(2) /ポリカーボネート ・N20/CO2 で後処理をした耐引掻性 非常に良好 非常に良好 コーティング(表2の段階1〜3) (変化なし) /ポリカーボネート (1) は、0000スチールウールを用いて手で試験した時の耐引掻性を意味する。(2) は、0000スチールウールを用いて試験した時に引っ掻ききずができたことを 意味する。
【0029】実施例6 この実施例により、本発明の方法を用いて製造した防曇
コーティングの耐久性を説明する。実施例1に従って製
造した防曇コーティングの耐久性を、サンプルを口から
約2.54cm(1インチ)に固定して、吐き出された水蒸気
によりサンプルが曇るかどうかを測定する“ブレス”試
験により試験した。第1Cyrolon ZXポリカーボネートシ
ートサンプルを、表1の段階1及び2のみを用いてN20/
CO2 表面改質段階なしに製造し、第2Cyrolon ZXポリカ
ーボネートシートサンプルを、表1の段階1〜3の全て
を用いて被覆した。以下の表6のデータにより示される
ように、N20/CO2 表面改質段階の処理を行ったものは、
“ブレス”試験による曇りが最初に現れるまで2倍以上
の時間がかかった。
【0030】
【表6】 表6 性能(洗浄なし) 性能(IPA 洗浄) コーティング/基板 (曇りの最初の徴候 (曇りの最初の徴候 が現れるまでの日) が現れるまでの日) ・ポリカーボネート 0 − ・PP* 防曇/ポリカーボネート 7 21 ・PP* 防曇+N20/CO2 での後処理 16 35 /ポリカーボネート * PPは、プラズマ蒸着されたことと同義語であるプラズマ重合されたことを意味 する。
【0031】防曇コーティングを必要とする適用の殆ど
において、水中における70%イソプロピルアルコール(I
PA) 溶液での光学的要素の洗浄は共通のものである。上
記の表6に示したように、本発明により生産した防曇コ
ーティングを洗浄することにより、実際に、防曇特性が
強化される。現在入手可能な、最も通常の防曇コーティ
ングは、実際に、IPA 洗浄により破壊される。
【0032】実施例7 この実施例により、防曇コーティングをポリマー基板に
施す際のシラザン化合物の使用を説明する。他の実施例
のように、防曇コーティングを、シラザン化合物、つま
りヘキサメチルジシラザン(HMDSN) を使用して、ポリカ
ーボネートシートサンプル上に蒸着させた。第1段階及
びプラズマ蒸着段階を、下記の表7に特定した条件に従
って、プラズマサイエンス PS0500D反応器中において行
った。
【0033】
【表7】 表7 段階# 投入ガス 流量 高周波電力 圧力 時間 (sccm)* (ワット) (トル) (分) 1 Ar 58 1040 0.039 1.0 2 02 200 220 0.040 2.0 HMDSN 37(1) Ar 14 * sccmは、標準 cm3/分を意味する。(1) は、HMDSO と同一の測定係数により計算した。
【0034】得られた防曇コーティングを、市場で入手
可能な登録商標コメット漂白液(水中の約5容量%)で
55回洗浄した場合、“ブレス”試験により試験した時
に、依然として、コントロール(被覆なしの)ポリカー
ボネートシートサンプルよりもかなり良好なものであっ
た。実施例1の方法により製造した防曇コーティング
は、同一の方法で漂白洗浄し、かつ“ブレス”試験した
場合に、比較可能な結果が得られた。
【0035】実施例8 この実施例により、防曇コーティングをポリマー基板に
施す際のシラン誘導体の使用を説明する。テトラエトキ
シシラン(TES) を、珪素含有化合物として使用して、実
施例8のプロセス条件及び材料を用いて、防曇コーティ
ングをポリカーボネートシートサンプル上に蒸着させ
た。
【0036】
【表8】 表8 段階# 投入ガス 流量 高周波電力 圧力 時間 (sccm)* (ワット) (トル) (分) 1 Ar 16 1040 0.039 1.0 2 02 1000 1200 0.403 2.0 TES 35(1) Ar 16 3 N2O 200 300 0.254 2.0 CO2 207 * sccmは、標準 cm3/分を意味する。(1) は、HMDSO と同一の測定係数により計算した。
【0037】先の実施例のように、このコーティング
を、水中で約5重量%のコメット漂白液で洗浄した。
“ブレス”試験により試験した場合、このコーティング
は、10日間、曇りの徴候を示さなかった(漂白で10回洗
浄した)。実施例1の方法に従って、HMDSO により製造
した防曇コーティングは、9日間、“ブレス”試験によ
る曇りの形跡を全く示さなかった。
【0038】実施例9 この実施例により、例えば、ポリカーボネート及びアク
リル系誘導体等の透明基板のための透明な、曇りのない
ハードコート(即ち耐引掻性)を提供するための、連続
工程としての防曇コーティング工程及びその後の耐引掻
性コーティング工程の使用を説明する。コーティング
を、Cyrolon ZXポリカーボネートシートサンプル上に、
実施例1の手順及び材料並びにその後の実施例3の段階
2及び3の手順及び材料を用いたが、実施例3について
の高周波電力は2度、ガス流量速度は2倍(被覆時間10
分)として、蒸着させた。表11のスペクトル#5(測量ス
キャン)及び表12のスペクトル#5(高分解スキャン)に
より、得られたコーティングについてのESCAデータを得
た。上記の実施例により、最初の防曇コーティングの蒸
着が示されているが、例えば、実施例3の手順及び材料
並びにその後の実施例1の手順及び材料等を用いて、耐
引掻性コーティングを最初に蒸着させ、その後、防曇コ
ーティングを蒸着させてもよい。
【0039】実施例10 この実施例により、耐引掻性コーティングのアクリル板
上への蒸着を説明する。厚さ0.15cm(60ミル)のCyroイ
ンダストリーズ製アクリライトFFアクリル板サンプル
を、表9に記載したように、プラズマサイエンス PS050
0D反応器中において被覆した。
【0040】
【表9】 表9 段階# 投入ガス 流量 高周波電力 圧力 時間 (sccm) * (ワット) (トル) (分) 1 02 56 1040 0.040 1.0 Ar 56 2 HMDSO 94 1810 0.400 2.0 3 02 525 1200 0.400 2.5 HMDSO 94 0.350 2.5 Ar 62 0.300 2.5 0.250 2.5 0.200 2.5 0.150 2.5 * sccm は、標準 cm3/分を意味する。 表3と同一の条件を用いて、引掻硬度試験機により試験
した時の結果を、表10に記載した。
【0041】
【表10】 表10 サンプル 試験機ストローク ・表9の方法(15分間)の 1665 耐引掻性/アクリライトFF ・表9の方法(25分間)の >4100 耐引掻性/アクリライトFF ・コントロール(被覆なしの) 2 アクリライトFF
【0042】実施例1に従って製造した防曇コーティン
グの化学量論を、表11(スペクトル#1)に記載したが、
表12により、この防曇コーティングについての高分解ES
CAデータ(それらの内の最初に記載されたサンプル)を
記載した。表11により、ESCA分析により明らかとなった
ように、実施例3(スペクトル#3)に従って蒸着させた
耐引掻性コーティングの化学量論を記載した。表12によ
り、この耐引掻性コーティングについての高分解ESCAデ
ータ(この中において記載された3番目のサンプル)が
示された。
【0043】
【表11】 表11 ESCA結果:それぞれのサンプルの表面(上部約100 Å)
について測定し、その検出元素を原子%単位で表した元
素組成データスペクトル# サンプル種 Si C N O F Na 1 表面改質処理した 29 10 0.3 60 -- -- 防曇(AF)コーティング 2 表面改質処理なしの 29 11 -- 60 -- -- 2分AFコーティング 3 表面改質処理した 25 21 0.4 53 1.0 -- 約0.15cm(0.060インチ) のPC上の耐引掻性(AS) コーティング 4 表面改質処理なしの 29 21 -- 50 -- -- 2×流量、2×高周波の 10分間ASコーティング 5 Ar/AF(2分間)/N2O,CO2/ 28 14 0.3 58 -- -- AS(10 分間)/N2O,CO2 注意:記号(--)は、その元素についての信号が検出されなかったことを示す。 注意:スペクトル#3中のフッ素含有量は、外来のものであった。
【0044】
【表12】 表12 高分解ESCAデータ:結合エネルギー、原子%及びピーク
の帰属(結合エネルギーは、284.6eV での-(CH2)n - 信
号の結合エネルギーに合わせて補正した。原子%は、高
分解データから計算した。ピークの帰属は、参照化合物
の結合エネルギーに基づいたものである。)サンプル種 Si1 C1 C2 C3 N1 N2 O1 F1 F2 表面改質処理した 防曇(AF)コーティング 結合エネルギー(eV) 103.1 284.6 286.3 288.8 399.3 401.1 532.5 -- -- 原子% 29 7.8 1.9 0.6 0.2 0.1 60 -- -- 表面改質処理なしの 2分AFコーティング 結合エネルギー(eV) 103.4 284.6 286.4 289.0 -- -- 533.0 -- -- 原子% 29 8.7 1.9 0.4 -- -- 60 -- -- 表面改質処理した 0.06"PC 上の耐引掻性 (AS)コーティング 結合エネルギー(eV) 103.2 284.6 286.4 288.6 399.9 401.7 532.7 684.5 688.8 原子% 25 16 3.8 1.0 0.3 0.1 53 0.2 0.8 表面改質処理なしの 2倍流量、2倍高周波の 10分間ASコーティング 結合エネルギー(eV) 103.2 284.6 286.0 288.5 -- -- 532.9 -- -- 原子% 29 17 3.0 0.7 -- -- 50 -- -- Ar/AF(2分間)/N2O,CO2 AS(10 分間)/N2O,CO2 結合エネルギー(eV) 103.1 284.6 286.4 288.7 399.1 400.7 532.6 -- -- 原子% 28 9.7 3.4 0.7 0.1 0.1 58 -- -- ピークの帰属: Si1SiO2、 C1C-R(R=C,H)、
C2C-OR, C-N 、C3 はO=C-OR、N1N R1、N2N
R1 + 、O1はSi-O,C-O、F1F - 、 F2はC F1 注意:ポストグロー処理をした約0.15cm(0.060ミル) の
PC上の耐引掻性コーティングにおいて検出されたF は、
外来のものであった。
【0045】ここに開示した本発明の他の特徴、利点及
び実施態様は、前述の開示部分を読めば当業者には容易
なものとなるであろう。本件に関連して、本発明の具体
例をかなり詳細に記載してきたが、これらの実施態様の
変更及び改良が、記載及び請求した本発明の精神及び範
囲を逸脱することなく可能である。
フロントページの続き (72)発明者 ジョン エス ナカニシ アメリカ合衆国 カリフォルニア州 94587 ユニオン シティー リリー ス トリート 31245

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 防曇コーティング、耐引掻性コーティン
    グ、又は防曇及び耐引掻性を兼ね備えたコーティング
    を、減圧チャンバーの1以上のプラズマ反応ゾーンにお
    いて、基板の表面上に形成する方法であって、(a) 任意
    に、その表面を洗浄し、又はその表面上に置かれるコー
    ティングの接着を促進するのに十分なプラズマ種によ
    り、その表面を衝撃し、(b) その表面を、プラズマ重合
    により重合珪素で被覆し、その重合珪素コーティングは
    珪素モノマー及び酸素を含むコーティングガス流から誘
    導され、そのプラズマ重合は、所定の電力密度で、所定
    時間行い、(c) その被覆表面を、本質的に約80〜40モル
    %のN2O 及び約20〜60モル%のCO2からなる表面改質ガ
    ス流から誘導されたプラズマ組成物により改質すること
    を含む方法。
  2. 【請求項2】 重合珪素コーティングが、Si、C 、N 及
    びO 分子を含む請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 コーティング段階の珪素モノマーが、1
    〜3個の珪素原子を有するシラザン、シラン又はオルガ
    ノシリコーンである請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 コーティングガス流が更にアルゴンを含
    む請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 コーティングが、耐引掻性コーティング
    であり、かつその上部約100 Å内に炭素原子を10原子%
    よりも多く含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 チャンバー中において、コーティング段
    階を行う間の圧力が、約400 〜600mトルである請求項1
    〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 コーティング段階が、複数の電力密度で
    プラズマ重合を行うことを含む請求項1〜6のいずれか
    1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 表面改質段階を約1〜3分間行う請求項
    1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 基板がポリマー材料である請求項1〜8
    のいずれか1項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 コーティングが、約0.1 ミクロン〜約10
    ミクロンの厚さを有し、その上部約100 Å内に約53〜60
    原子%のO 、約25〜29原子%のSi、約10〜21原子%のC
    及び残りの原子%のN を含む請求項1に記載の方法。
JP7087151A 1994-04-19 1995-04-12 種々の基板上への防曇及び耐引掻性コーティングのプラズマ強化化学蒸着法 Pending JPH0848543A (ja)

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