JP3561021B2 - 眼用レンズ材料 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、透明な眼用レンズ材料に関する。さらに詳しくは、すぐれた透明性を具備しつつ、良好な酸素透過性ならびにすぐれた成形加工性および耐熱性(高いガラス転移温度)を有し、さらに紫外線吸収性にもすぐれ、比較的高い屈折率を有し、たとえばコンタクトレンズ、眼内レンズなどに好適に使用しうる眼用レンズ材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、眼用レンズ、とくにコンタクトレンズには、角膜組織の新陳代謝機能が阻害されないようにするために充分な量の酸素をレンズを通して角膜に供給する必要があることから、酸素透過性にすぐれていることが重要な要件の1つとして要求されている。
【0003】
また眼内レンズでは、眼内に挿入する前に施される高圧蒸気滅菌の際の加熱に耐えうるだけの耐熱性を有することが重要な要件の1つとして要求されている。
【0004】
さらに紫外線による眼に対する悪影響を抑制するために、紫外線吸収剤が配合されたコンタクトレンズや眼内レンズが用いられているが、かかる紫外線吸収剤が配合されたコンタクトレンズや眼内レンズ、とくに高酸素透過性コンタクトレンズは、紫外線吸収剤が溶出しやすく、安全性の点で問題がある。
【0005】
したがって、従来、透明性を具備しつつ、酸素透過性および耐熱性がより一層向上し、紫外線吸収剤が配合されていなくてもすぐれた紫外線吸収性を呈する眼用レンズ材料の開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、前記従来技術に鑑みて、すぐれた透明性を具備しつつ、良好な酸素透過性を有するほか、耐熱性、紫外線吸収性などにすぐれるとともに、さらには成形加工性にもすぐれた眼用レンズ材料を開発するべく鋭意研究を重ねた結果、かかる眼用レンズ材料を見出し、本発明を完成するにいたった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、一般式(I):
【0008】
【化3】
【0009】
(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシル基または一般式(II):
【0010】
【化4】
【0011】
(式中、R5、R6およびR7はそれぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシル基またはフェニル基を示す)で表わされる基を示す)で表わされる繰り返し単位のみを有する重合体であって、該重合体のシリコン含有基置換率(該重合体中のR 1 、R 2 、R 3 およびR 4 の総数に対する一般式( II )で表わされる基であるR 1 、R 2 、R 3 およびR 4 の数の割合)が2〜100モル%であるシリコン含有重合体(A)を50〜100重量%含有し、該シリコン含有重合体(A)以外の他の重合体を0〜50重量%含有してなる透明な眼用レンズ材料に関する。
【0012】
【作用および実施例】
本発明の透明な眼用レンズ材料は、前記したように、一般式(I):
【0013】
【化5】
【0014】
(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシル基または一般式(II):
【0015】
【化6】
【0016】
(式中、R5、R6およびR7はそれぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシル基またはフェニル基を示す)で表わされる基を示す)で表わされる繰り返し単位のみを有する重合体であって、該重合体のシリコン含有基置換率(該重合体中のR 1 、R 2 、R 3 およびR 4 の総数に対する一般式( II )で表わされる基であるR 1 、R 2 、R 3 およびR 4 の数の割合)が2〜100モル%であるシリコン含有重合体(A)を50〜100重量%含有し、該シリコン含有重合体(A)以外の他の重合体を0〜50重量%含有したものである。
【0017】
前記一般式(I)で表わされる繰り返し単位を有するシリコン含有重合体(以下、重合体(A)という)は、とくにえられる眼用レンズ材料の透明性、成形加工性(成膜性)、酸素透過性を向上させるほか、ガラス転移温度が高く、耐熱性を向上させ、さらに紫外線吸収性や屈折率も向上させる成分である。
【0018】
なお、本発明に用いられる重合体(A)は、その繰り返し単位中の置換基R1 、R2 、R3 およびR4 が、繰り返し単位ごとにそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0019】
前記重合体(A)を製造する方法にはとく限定がなく、たとえば2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルをシリル化させる方法などが採用される。
【0020】
前記2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルをシリル化させる方法にはとくに限定がなく、たとえば以下に示す方法などがある。
【0021】
まず、2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルを、通常、充分に乾燥させた溶媒の存在下で、有機アルカリ金属化合物と反応させる。
【0022】
前記有機アルカリ金属化合物としては、たとえばアルキルリチウム、アルキルカリウム、アルキルルビジウム、アルキルセシウムなどのアルカリ金属アルキル化合物や、アリールリチウム、アリールカリウム、アリールルビジウム、アリールセシウムなどのアルカリ金属アリール化合物などがあげられるが、これらのなかでは、取り扱いが容易であり、操作性にすぐれるという点から、アルキルリチウムが好ましい。
【0023】
有機アルカリ金属化合物の使用量は、2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルの繰り返し単位中に導入させようとするシリコン含有基の量によって適宜調整すればよいが、通常、かかる繰り返し単位1モルに対して0.1〜5モル程度であることが好ましい。
【0024】
前記溶媒としては、有機アルカリ金属化合物と実質的に反応せず、2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルが可溶なものであることが好ましく、たとえばベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフランなどがあげられる。
【0025】
2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルと有機アルカリ金属化合物との反応は、たとえば反応温度−50〜50℃程度、反応時間1〜24時間程度で行なうことが好ましい。
【0026】
前記2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルと有機アルカリ金属化合物とを反応させることにより、2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルの繰り返し単位中の主鎖のフェニレン環の無置換炭素原子や側鎖のメチル基のα−炭素原子にアルカリ金属が付加する。
【0027】
つぎに、かくしてえられたポリフェニレンエーテルのアルカリ金属付加物と、ハロゲン化シラン化合物とを反応させる。
【0028】
前記ポリフェニレンエーテルのアルカリ金属付加物とハロゲン化シラン化合物とは、該ポリフェニレンエーテルのアルカリ金属付加物を単離させずに、通常、前記2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルと有機アルカリ金属化合物との反応溶液にそのままハロゲン化シラン化合物を添加して−50〜50℃程度で0.5〜24時間程度反応させることが好ましい。
【0029】
前記ハロゲン化シラン化合物としては、たとえば一般式:
【0030】
【化7】
【0031】
(式中、R5 、R6 およびR7 はそれぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシル基またはフェニル基、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す)で表わされる化合物などがあげられる。かかるハロゲン化シラン化合物の具体例としては、たとえばトリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリプロピルクロロシラン、トリメトキシクロロシラン、トリエトキシクロロシランなどのクロロシラン化合物などがあげられる。
【0032】
ハロゲン化シラン化合物の使用量は、ポリフェニレンエーテルのアルカリ金属付加物中に付加させたアルカリ金属の量に基づき、通常、かかる付加させたアルカリ金属1モルに対して1〜5モル程度であることが好ましい。
【0033】
なお、2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルと有機アルカリ金属化合物との反応、およびかかる反応でえられたポリフェニレンエーテルのアルカリ金属付加物とハロゲン化シラン化合物との反応の際には、たとえばN,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミンなどの触媒を用いることが、えられる重合体(A)のシリコン含有基置換率を大幅に向上させることができるので好ましい。
【0034】
また、本発明においては、えられる重合体(A)のシリコン含有基置換率をさらに向上させるために、2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルのかわりに、あらかじめ調製してえられた重合体(A)を用い、かかる重合体(A)と有機アルカリ金属化合物およびハロゲン化シラン化合物とを順次反応させてもよい。
【0035】
このようにして調製した重合体(A)の溶液を、たとえばメタノール、エタノール、プロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン、アセトンなどの重合体(A)の貧溶媒中に添加し、重合体(A)を析出させてろ別すればよい。
【0036】
かくしてえられる一般式(I)で表わされる繰り返し単位を有する重合体(A)のシリコン含有基置換率(重合体(A)中のR1、R2、R3およびR4の総数に対する一般式(II)で表わされる基であるR1、R2、R3およびR4の数の割合)は、眼用レンズ材料の透明性、成膜性、酸素透過性などを向上させるためには、2〜100モル%であることが好ましい。
【0037】
なお、前記重合体(A)のシリコン含有基置換率およびシリコン含有基の存在部位は、重合体(A)の 1H−核磁気共鳴スペクトル( 1H−NMR)を測定することによって確認することができる。
【0038】
また、前記重合体(A)の重量平均分子量は、たとえばえられる眼用レンズ材料を成膜させて眼用レンズをえようとする際の成膜性を考慮すると、20000以上であることが好ましく、また取り扱いの容易さなどの作業性を考慮すると、500000以下であることが好ましい。
【0039】
本発明においては、前記重合体(A)は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、本発明の眼用レンズ材料における該重合体(A)の含有量は、かかる重合体(A)を用いたことによる透明性、成形加工性、酸素透過性や、耐熱性、紫外線吸収性、屈折率の向上効果を充分に発現させるために、50〜100重量%、なかんづく70〜100重量%となるように調整することが好ましい。
【0040】
さらに、本発明の眼用レンズ材料には、前記重合体(A)のほかにも、えられる眼用レンズ材料が不透明なものとならない限り、他の重合体を含有させることができる。
【0041】
前記他の重合体の代表例としては、たとえばえられる眼用レンズ材料の耐熱性、酸素透過性、紫外線吸収性などをさらに向上させることができる、たとえば式:
【0042】
【化8】
【0043】
で表わされる化合物、式:
【0044】
【化9】
【0045】
で表わされる化合物、式:
【0046】
【化10】
【0047】
で表わされる化合物、式:
【0048】
【化11】
【0049】
で表わされる化合物などの一般式:
【0050】
【化12】
【0051】
(式中、R8 は−O−、−CO−、−SO2 −、−CH2 −、−C(CH3 )2 −、−C(CF3 )2 −または一般式:
【0052】
【化13】
【0053】
(式中、R9 は−C(CH3 )2 −または−C(CF3 )2 −を示す)で表わされる基を示す)で表わされる芳香族四カルボン酸二無水物と、たとえば1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(2−アミノエチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(アミノメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ジ(p−アミノフェノキシ)ジメチルシランなどの一般式:
H2 N−R10−NH2
(式中、R10は一般式:
【0054】
【化14】
【0055】
(式中、lは1〜3の整数、mは1〜15の整数、nは1〜3の整数を示す)で表わされる基、一般式:
【0056】
【化15】
【0057】
(式中、pは1〜10の整数を示す)で表わされる基、一般式:
【0058】
【化16】
【0059】
(式中、qは1〜3の整数、rは1〜10の整数、sは1〜3の整数を示す)で表わされる基、一般式:
【0060】
【化17】
【0061】
(式中、tは1〜10の整数を示す)で表わされる基または一般式:
【0062】
【化18】
【0063】
(式中、uは1〜3の整数、vは1〜3の整数を示す)で表わされる基を示す)で表わされるシリコン含有ジアミン、たとえば2,4−ジアミノ−1,3,5−トリメチルベンゼン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリエチルベンゼン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリ−n−プロピルベンゼン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリ−i−プロピルベンゼン、3,5−ジアミノトルエン、3,5−ジアミノ−o−キシレン、2,5−ジアミノ−m−キシレンなどの一般式:
【0064】
【化19】
【0065】
(式中、R11、R12、R13およびR14はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示す)で表わされるジアミノ置換ベンゼンおよびたとえば2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどで代表される式:
【0066】
【化20】
【0067】
で表される2,2−ビス(アミノヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、たとえば2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどで代表される式:
【0068】
【化21】
【0069】
で表わされる2,2−ビス(アミノメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、式:
【0070】
【化22】
【0071】
で表わされる2,2´−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、式:
【0072】
【化23】
【0073】
で表わされる9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンや、2,2−ビス(3−アミノ−4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−エチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2´−ビス(トリフルオロエチル)ベンジジンをはじめ、式:
【0074】
【化24】
【0075】
で表される化合物、式:
【0076】
【化25】
【0077】
で表される化合物、式:
【0078】
【化26】
【0079】
で表される化合物、式:
【0080】
【化27】
【0081】
で表される化合物、式:
【0082】
【化28】
【0083】
で表される化合物などの一般式:
【0084】
【化29】
【0085】
(式中、R15は−C(CH3 )2 −、−C(CF3 )2 −、−O−、式:
【0086】
【化30】
【0087】
で表わされる基、一般式:
【0088】
【化31】
【0089】
(式中、R18は−SO2 −、−C(CH3 )2 −または−C(CF3 )2 −を示す)で表わされる基または直接結合、R16およびR17はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のフッ素原子を含有したアルキル基、水素原子、水酸基またはカルボキシル基を示す)で表わされるジアミノ置換ジフェニルから選ばれた少なくとも1種のジアミノ化合物とを含有した縮重合成分からなる縮重合体(ポリイミド)(特願平6−160348号明細書)や、たとえば特開昭63−226359号公報、特開昭63−252159号公報、特開平1−204672号公報、特開平1−313058号公報、特開平3−222960号公報、特開平3−205050号公報、特開平5−220210号公報、米国特許第4,955,900号明細書、米国特許第5,049,156号明細書、米国特許第5,260,352号明細書などに記載されているポリイミドなどがあげられ、これらのなかから1種または2種以上を選択して用いることができる。
【0090】
なお、本発明の眼用レンズ材料における前記他の重合体の含有量は、相対的に前記重合体(A)の含有量が少なくなり、かかる重合体(A)を用いたことによる効果が発現されにくくなることがないようにするため、0〜50重量%、なかんづく0〜30重量%となるように調整することが好ましい。
【0091】
前記重合体(A)および必要に応じて他の重合体を含有した眼用レンズ材料を用いて眼用レンズを作製する代表的な方法としては、たとえばキャスティング法や、粉末状の眼用レンズ材料を用いた加熱圧縮成形法などがあげられる。
【0092】
前記キャスティング法とは、重合体(A)および必要に応じて他の重合体を含有した眼用レンズ材料を、たとえばトルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、四塩化炭酸などの有機溶媒に溶解させ、ガラス板、ステンレス板などの上に所定の厚さとなるように流延し、100〜150℃程度の温度で30〜120分間程度加熱し、皮膜を形成させてフィルムをつくり、これを一定の厚さの板状成形体となるように必要な枚数だけ重ね合わせ、温度200〜500℃程度、圧力0.5〜10t/cm2 程度で0.1〜10時間程度加熱圧縮成形を行なうことによって透明性のある重合体の成形体をつくり、つぎにこれを切削装置、研磨装置などを用いて眼用レンズ形状に機械的加工を施す方法である。
【0093】
なお、前記処理の際の加熱および有機溶媒の除去は、連続して行なってもよく、またこれらの操作を減圧下や不活性ガス雰囲気中で行なってもよい。
【0094】
前記粉末状の眼用レンズ材料を用いた加熱圧縮成形法とは、重合体(A)および必要に応じて他の重合体の粉末を含有した眼用レンズ材料を用い、温度200〜500℃程度、圧力0.5〜10t/cm2 程度で0.1〜10時間程度加熱圧縮成形を行なうことによって透明性のある重合体の成形体をつくり、つぎにこれを切削装置、研磨装置などを用いて眼用レンズ形状に機械的加工を施す方法である。
【0095】
なお、前記キャスティング法や粉末状の眼用レンズ材料を用いた加熱圧縮成形法において、重合体の成形体から眼用レンズを機械的加工によって作製する方法としては、たとえばレンズのパワーにあわせて曲面研磨を行なって眼用レンズを作製する方法などがあげられる。また、重合体のフィルムを作製したばあいには、たとえばコンタクトレンズや眼内レンズなどの形状を与える成形型を用意し、この成形型内に重合体のフィルムを装着し、該フィルムに成形を施すことにより、眼用レンズを作製することができる。このばあい、えられた眼用レンズには、必要に応じて機械的に仕上げ加工を施してもよい。
【0096】
前記眼用レンズの一例として、たとえば眼内レンズを作製するばあいには、眼内レンズに固定部を取付けるホールを加工し、このホールに固定部をスポット加熱により溶着させてもよい。
【0097】
眼内レンズの固定部の形状にはとくに限定がなく、所望の形状に適宜調整すればよい。該固定部の材質としては、たとえばポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルメタクリレートなどがあげられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではない。なお、本発明において、前記固定部の材質は、前記眼内レンズのレンズ部の材料と同一であってもよく、また異なっていてもよい。
【0098】
また、本発明においては、前記したように、レンズ部と固定部とを別々にして作製し、これらを結合するという方法ではなく、レンズ部と固定部とを一体成形する方法によって眼内レンズを作製してもよい。このようなレンズ部と固定部とが一体成形された眼内レンズは、両者の接合部がないため、固定部がレンズ部から離脱するという事態の発生を回避することができる。
【0099】
つぎに、本発明の眼用レンズ材料を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0100】
実施例1
乾燥チッ素ガス気流下、500ml容のフラスコ内にて、2,6−ジメチルポリフェニレンエーテル4g(33ミリモル)およびN,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン4ml(34ミリモル)をベンゼン280mlに溶解させ、えられた溶液を0℃に冷却し、これにn−ブチルリチウム(15%ヘキサン溶液)21.2ml(34ミリモル)を添加し、1.5時間撹拌した。こののち、さらにトリメチルクロロシラン4.8ml(44ミリモル)を添加し、2時間撹拌して反応溶液をえた。
【0101】
つぎに、えられた反応溶液をメタノール中に投入して粉末を析出させ、析出した粉末をろ別し、これをメタノールにて洗浄して減圧下で10時間以上乾燥させ、トリメチルシリル化ポリフェニレンエーテルの粉末をえた。えられたトリメチルシリル化ポリフェニレンエーテルの重量平均分子量は、57000であった。
【0102】
えられたトリメチルシリル化ポリフェニレンエーテルのシリコン含有基(トリメチルシリル基)置換率を、日本電子(株)製、JNM−PMX60を用いて 1H−NMR(60MHz)を測定して調べたところ、46モル%であった。
【0103】
つぎに、えられたトリメチルシリル化ポリフェニレンエーテルの粉末に圧縮成形を施し、厚さ4mmのプレートをえた。
【0104】
また、えられたトリメチルシリル化ポリフェニレンエーテルの粉末をトルエンに溶解させ、ガラス板上に流延して皮膜を形成させ、20時間以上減圧乾燥させて厚さ0.2mmのフィルムをえた。
【0105】
えられたトリメチルシリル化ポリフェニレンエーテルの粉末、プレートまたはフィルムの物性として、成膜性、酸素透過係数、屈折率、ガラス転移温度および光線透過性を以下の方法にしたがって調べた。その結果を表1に示す。
【0106】
(イ)成膜性
えられたフィルムの透明性および強度を以下の評価基準に基づいて評価した。
【0107】
[評価基準]
A:肉眼で見て透明であり、折り曲げてみても脆さがみられず、充分な強度を有する。
B:折り曲げても脆さがみられず、ある程度の強度を有するが、肉眼で見てやや透明性に劣る。
C:少なくとも肉眼で見て不透明であるか、または成膜できていない。
【0108】
(ロ)酸素透過係数
えられたフィルムを用い、理科精機工業(株)製の製科研式フィルム酸素透過率計を用いて35℃の生理食塩水中にて試験片の酸素透過係数を測定した。なお、表1中の酸素透過係数の値は、本来の値に1011を乗じたものであり、その単位はml(STP)・cm/(cm2 ・sec・mmHg)である。
【0109】
(ハ)屈折率
えられたプレートを用い、アッベ屈折計((株)アタゴ製、商品名:1−T)を用いて温度25℃、相対湿度50%の条件下で屈折率(n25 D)を測定した。
【0110】
(ニ)ガラス転移温度
えられた粉末を用い、耐熱性の指標としてガラス転移温度(℃)を以下の条件にしたがって測定した。
【0111】
装置:セイコー電子(株)製、SSC/5200HおよびDSC220C
昇温速度:20℃/分
測定温度:100〜300℃
(ホ)光線透過性
えられたフィルムを20℃の蒸留水中に浸透させ、自記分光光度計UV−3100((株)島津製作所製)を用いて波長780〜190nmの領域の光線を照射し、その可視光線領域(波長780〜380nm)の透過率(%)を測定した。また、紫外線領域(波長380nm以下)において、透過率が0%である波長領域(nm)を測定した。
【0112】
なお、本発明において、前記可視光線領域の透過率が90%以上であるばあい、眼用レンズ材料として充分な透明性を有するものとする。
【0113】
実施例2
実施例1において、2,6−ジメチルポリフェニレンエーテル4g(33ミリモル)のかわりに実施例1でえられたトリメチルシリル化ポリフェニレンエーテル5g(33ミリモル)を用いたほかは、実施例1と同様にしてトリメチルシリル化ポリフェニレンエーテルの粉末、プレートおよびフィルムをえた。えられたトリメチルシリル化ポリフェニレンエーテルの重量平均分子量は、58000であった。
【0114】
なお、えられたトリメチルシリル化ポリフェニレンエーテルのシリコン含有基(トリメチルシリル基)置換率を実施例1と同様にして調べたところ、78モル%であった。
【0115】
えられたトリメチルシリル化ポリフェニレンエーテルの粉末、プレートまたはフィルムの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0116】
実施例3
実施例1において、トリメチルクロロシラン4.8ml(44ミリモル)のかわりにトリエチルクロロシラン6.7ml(44ミリモル)を用いたほかは、実施例1と同様にしてトリエチルシリル化ポリフェニレンエーテルの粉末、プレートおよびフィルムをえた。
【0117】
えられたトリエチルシリル化ポリフェニレンエーテルの粉末、プレートまたはフィルムの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0118】
実施例4
実施例1において、トリメチルクロロシラン4.8ml(44ミリモル)のかわりにジメチルフェニルクロロシラン7.5g(44ミリモル)を用いたほかは、実施例1と同様にしてジメチルフェニルシリル化ポリフェニレンエーテルの粉末、プレートおよびフィルムをえた。
【0119】
えられたジメチルフェニルシリル化ポリフェニレンエーテルの粉末、プレートまたはフィルムの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0120】
実施例5
滴下ロート、チッ素ガス導入管、メカニカルスターラーおよび塩化カルシウム管を備えた500ml容のセパラブルフラスコを用意し、該セパラブルフラスコ内を乾燥チッ素で置換した。
【0121】
前記セパラブルフラスコ内に、式:
【0122】
【化32】
【0123】
で表わされるジフェニルヘキサフルオロイソプロピリデンテトラカルボン酸二無水物22.2g(0.05モル)およびポリイミドの重合溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド70gを入れ、室温で撹拌しながら式:
【0124】
【化33】
【0125】
で表わされる1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン15.5g(0.05モル)とN,N−ジメチルアセトアミド50gとの混合溶液を滴下ロートから滴下して反応させ、ポリアミド酸溶液をえた。
【0126】
えられたポリアミド酸溶液に、無水酢酸30.6g(0.3モル)およびピリジン15.8g(0.2モル)を撹拌しながら添加し、そのまま10時間程度撹拌を続けてポリイミド溶液をえた。
【0127】
つぎに、5リットル容のビーカー内に、貧溶媒としてメタノールを約1リットル入れ、スターラーで撹拌しながら前記ポリイミド溶液の約半分(約100g)を滴下ロートから滴下し、粉末状のポリイミドをえた。
【0128】
えられた粉末状のポリイミドをヌッチェで濾別し、粉砕機でこまかく砕いて粉砕物をえた。
【0129】
つぎに、えられた粉砕物を1リットル容のビーカーに移し、メタノール約500mlを添加し、該ビーカーを50℃の湯浴に入れて粉砕物を撹拌しながら洗浄した。20分間経過後、粉砕物を濾別し、さらにもう一度洗浄して90℃の真空乾燥機中で乾燥させ、ポリイミド粉末をえた。
【0130】
つぎに、前記ポリイミド粉末10重量%および実施例1でえられたトリメチルシリル化ポリフェニレンエーテルの粉末90重量%からなる混合物の20重量%トルエン溶液を、約2mmの厚さとなるようにガラス板上にキャスティングし、1週間室温中で放置してフィルムをえた。
【0131】
えられたフィルムの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。なお、かかる実施例5においては、前記(ハ)屈折率および(ニ)ガラス転移温度の測定を、それぞれプレートおよび粉末のかわりにフィルムを用いて行なった。
【0132】
比較例1
実施例1で用いたものと同じ2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルの粉末を用い、実施例1と同様にしてプレートおよびフィルムをえようとしたが、プレートおよびフィルムを形成させることができなかったため、物性を測定することができなかった。
【0133】
【表1】
【0134】
表1に示された結果から、実施例1〜5でえられたポリフェニレンエーテルを含有した材料は、酸素透過係数が比較的大きく、成膜性にすぐれることから成形加工性にすぐれ、さらにガラス転移温度がオートクレーブ滅菌処理温度(通常、120℃程度)以上と高く、耐熱性にすぐれたものであるうえ、可視光線透過率が90%以上と高く、透明性にすぐれるほか、透過率が0%である紫外線の波長領域が広く、紫外線吸収性にもきわめてすぐれ、さらに比較的高屈折率を有するものであるので、眼用レンズ材料として非常に好ましいものであることがわかる。
【0135】
また、とくに実施例5でえられた材料は、ポリフェニレンエーテルのほかにもポリイミドを含有したものであり、実施例1〜4の材料と比べて、透過率が0%である紫外線の波長領域がさらに広く、紫外線吸収性にさらにすぐれたものであることがわかる。
【0136】
【発明の効果】
本発明の眼用レンズ材料は、すぐれた透明性を具備しつつ、良好な酸素透過性ならびにすぐれた成形加工性および耐熱性を有し、さらに紫外線吸収性にもすぐれ、比較的高い屈折率を有するものであるので、たとえばコンタクトレンズ、眼内レンズなどに好適に使用しうるという効果を奏する。
【産業上の利用分野】
本発明は、透明な眼用レンズ材料に関する。さらに詳しくは、すぐれた透明性を具備しつつ、良好な酸素透過性ならびにすぐれた成形加工性および耐熱性(高いガラス転移温度)を有し、さらに紫外線吸収性にもすぐれ、比較的高い屈折率を有し、たとえばコンタクトレンズ、眼内レンズなどに好適に使用しうる眼用レンズ材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、眼用レンズ、とくにコンタクトレンズには、角膜組織の新陳代謝機能が阻害されないようにするために充分な量の酸素をレンズを通して角膜に供給する必要があることから、酸素透過性にすぐれていることが重要な要件の1つとして要求されている。
【0003】
また眼内レンズでは、眼内に挿入する前に施される高圧蒸気滅菌の際の加熱に耐えうるだけの耐熱性を有することが重要な要件の1つとして要求されている。
【0004】
さらに紫外線による眼に対する悪影響を抑制するために、紫外線吸収剤が配合されたコンタクトレンズや眼内レンズが用いられているが、かかる紫外線吸収剤が配合されたコンタクトレンズや眼内レンズ、とくに高酸素透過性コンタクトレンズは、紫外線吸収剤が溶出しやすく、安全性の点で問題がある。
【0005】
したがって、従来、透明性を具備しつつ、酸素透過性および耐熱性がより一層向上し、紫外線吸収剤が配合されていなくてもすぐれた紫外線吸収性を呈する眼用レンズ材料の開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、前記従来技術に鑑みて、すぐれた透明性を具備しつつ、良好な酸素透過性を有するほか、耐熱性、紫外線吸収性などにすぐれるとともに、さらには成形加工性にもすぐれた眼用レンズ材料を開発するべく鋭意研究を重ねた結果、かかる眼用レンズ材料を見出し、本発明を完成するにいたった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、一般式(I):
【0008】
【化3】
【0009】
(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシル基または一般式(II):
【0010】
【化4】
【0011】
(式中、R5、R6およびR7はそれぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシル基またはフェニル基を示す)で表わされる基を示す)で表わされる繰り返し単位のみを有する重合体であって、該重合体のシリコン含有基置換率(該重合体中のR 1 、R 2 、R 3 およびR 4 の総数に対する一般式( II )で表わされる基であるR 1 、R 2 、R 3 およびR 4 の数の割合)が2〜100モル%であるシリコン含有重合体(A)を50〜100重量%含有し、該シリコン含有重合体(A)以外の他の重合体を0〜50重量%含有してなる透明な眼用レンズ材料に関する。
【0012】
【作用および実施例】
本発明の透明な眼用レンズ材料は、前記したように、一般式(I):
【0013】
【化5】
【0014】
(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシル基または一般式(II):
【0015】
【化6】
【0016】
(式中、R5、R6およびR7はそれぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシル基またはフェニル基を示す)で表わされる基を示す)で表わされる繰り返し単位のみを有する重合体であって、該重合体のシリコン含有基置換率(該重合体中のR 1 、R 2 、R 3 およびR 4 の総数に対する一般式( II )で表わされる基であるR 1 、R 2 、R 3 およびR 4 の数の割合)が2〜100モル%であるシリコン含有重合体(A)を50〜100重量%含有し、該シリコン含有重合体(A)以外の他の重合体を0〜50重量%含有したものである。
【0017】
前記一般式(I)で表わされる繰り返し単位を有するシリコン含有重合体(以下、重合体(A)という)は、とくにえられる眼用レンズ材料の透明性、成形加工性(成膜性)、酸素透過性を向上させるほか、ガラス転移温度が高く、耐熱性を向上させ、さらに紫外線吸収性や屈折率も向上させる成分である。
【0018】
なお、本発明に用いられる重合体(A)は、その繰り返し単位中の置換基R1 、R2 、R3 およびR4 が、繰り返し単位ごとにそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0019】
前記重合体(A)を製造する方法にはとく限定がなく、たとえば2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルをシリル化させる方法などが採用される。
【0020】
前記2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルをシリル化させる方法にはとくに限定がなく、たとえば以下に示す方法などがある。
【0021】
まず、2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルを、通常、充分に乾燥させた溶媒の存在下で、有機アルカリ金属化合物と反応させる。
【0022】
前記有機アルカリ金属化合物としては、たとえばアルキルリチウム、アルキルカリウム、アルキルルビジウム、アルキルセシウムなどのアルカリ金属アルキル化合物や、アリールリチウム、アリールカリウム、アリールルビジウム、アリールセシウムなどのアルカリ金属アリール化合物などがあげられるが、これらのなかでは、取り扱いが容易であり、操作性にすぐれるという点から、アルキルリチウムが好ましい。
【0023】
有機アルカリ金属化合物の使用量は、2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルの繰り返し単位中に導入させようとするシリコン含有基の量によって適宜調整すればよいが、通常、かかる繰り返し単位1モルに対して0.1〜5モル程度であることが好ましい。
【0024】
前記溶媒としては、有機アルカリ金属化合物と実質的に反応せず、2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルが可溶なものであることが好ましく、たとえばベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフランなどがあげられる。
【0025】
2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルと有機アルカリ金属化合物との反応は、たとえば反応温度−50〜50℃程度、反応時間1〜24時間程度で行なうことが好ましい。
【0026】
前記2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルと有機アルカリ金属化合物とを反応させることにより、2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルの繰り返し単位中の主鎖のフェニレン環の無置換炭素原子や側鎖のメチル基のα−炭素原子にアルカリ金属が付加する。
【0027】
つぎに、かくしてえられたポリフェニレンエーテルのアルカリ金属付加物と、ハロゲン化シラン化合物とを反応させる。
【0028】
前記ポリフェニレンエーテルのアルカリ金属付加物とハロゲン化シラン化合物とは、該ポリフェニレンエーテルのアルカリ金属付加物を単離させずに、通常、前記2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルと有機アルカリ金属化合物との反応溶液にそのままハロゲン化シラン化合物を添加して−50〜50℃程度で0.5〜24時間程度反応させることが好ましい。
【0029】
前記ハロゲン化シラン化合物としては、たとえば一般式:
【0030】
【化7】
【0031】
(式中、R5 、R6 およびR7 はそれぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシル基またはフェニル基、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す)で表わされる化合物などがあげられる。かかるハロゲン化シラン化合物の具体例としては、たとえばトリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリプロピルクロロシラン、トリメトキシクロロシラン、トリエトキシクロロシランなどのクロロシラン化合物などがあげられる。
【0032】
ハロゲン化シラン化合物の使用量は、ポリフェニレンエーテルのアルカリ金属付加物中に付加させたアルカリ金属の量に基づき、通常、かかる付加させたアルカリ金属1モルに対して1〜5モル程度であることが好ましい。
【0033】
なお、2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルと有機アルカリ金属化合物との反応、およびかかる反応でえられたポリフェニレンエーテルのアルカリ金属付加物とハロゲン化シラン化合物との反応の際には、たとえばN,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミンなどの触媒を用いることが、えられる重合体(A)のシリコン含有基置換率を大幅に向上させることができるので好ましい。
【0034】
また、本発明においては、えられる重合体(A)のシリコン含有基置換率をさらに向上させるために、2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルのかわりに、あらかじめ調製してえられた重合体(A)を用い、かかる重合体(A)と有機アルカリ金属化合物およびハロゲン化シラン化合物とを順次反応させてもよい。
【0035】
このようにして調製した重合体(A)の溶液を、たとえばメタノール、エタノール、プロパノール、ヘキサン、シクロヘキサン、アセトンなどの重合体(A)の貧溶媒中に添加し、重合体(A)を析出させてろ別すればよい。
【0036】
かくしてえられる一般式(I)で表わされる繰り返し単位を有する重合体(A)のシリコン含有基置換率(重合体(A)中のR1、R2、R3およびR4の総数に対する一般式(II)で表わされる基であるR1、R2、R3およびR4の数の割合)は、眼用レンズ材料の透明性、成膜性、酸素透過性などを向上させるためには、2〜100モル%であることが好ましい。
【0037】
なお、前記重合体(A)のシリコン含有基置換率およびシリコン含有基の存在部位は、重合体(A)の 1H−核磁気共鳴スペクトル( 1H−NMR)を測定することによって確認することができる。
【0038】
また、前記重合体(A)の重量平均分子量は、たとえばえられる眼用レンズ材料を成膜させて眼用レンズをえようとする際の成膜性を考慮すると、20000以上であることが好ましく、また取り扱いの容易さなどの作業性を考慮すると、500000以下であることが好ましい。
【0039】
本発明においては、前記重合体(A)は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、本発明の眼用レンズ材料における該重合体(A)の含有量は、かかる重合体(A)を用いたことによる透明性、成形加工性、酸素透過性や、耐熱性、紫外線吸収性、屈折率の向上効果を充分に発現させるために、50〜100重量%、なかんづく70〜100重量%となるように調整することが好ましい。
【0040】
さらに、本発明の眼用レンズ材料には、前記重合体(A)のほかにも、えられる眼用レンズ材料が不透明なものとならない限り、他の重合体を含有させることができる。
【0041】
前記他の重合体の代表例としては、たとえばえられる眼用レンズ材料の耐熱性、酸素透過性、紫外線吸収性などをさらに向上させることができる、たとえば式:
【0042】
【化8】
【0043】
で表わされる化合物、式:
【0044】
【化9】
【0045】
で表わされる化合物、式:
【0046】
【化10】
【0047】
で表わされる化合物、式:
【0048】
【化11】
【0049】
で表わされる化合物などの一般式:
【0050】
【化12】
【0051】
(式中、R8 は−O−、−CO−、−SO2 −、−CH2 −、−C(CH3 )2 −、−C(CF3 )2 −または一般式:
【0052】
【化13】
【0053】
(式中、R9 は−C(CH3 )2 −または−C(CF3 )2 −を示す)で表わされる基を示す)で表わされる芳香族四カルボン酸二無水物と、たとえば1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(2−アミノエチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(アミノメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ジ(p−アミノフェノキシ)ジメチルシランなどの一般式:
H2 N−R10−NH2
(式中、R10は一般式:
【0054】
【化14】
【0055】
(式中、lは1〜3の整数、mは1〜15の整数、nは1〜3の整数を示す)で表わされる基、一般式:
【0056】
【化15】
【0057】
(式中、pは1〜10の整数を示す)で表わされる基、一般式:
【0058】
【化16】
【0059】
(式中、qは1〜3の整数、rは1〜10の整数、sは1〜3の整数を示す)で表わされる基、一般式:
【0060】
【化17】
【0061】
(式中、tは1〜10の整数を示す)で表わされる基または一般式:
【0062】
【化18】
【0063】
(式中、uは1〜3の整数、vは1〜3の整数を示す)で表わされる基を示す)で表わされるシリコン含有ジアミン、たとえば2,4−ジアミノ−1,3,5−トリメチルベンゼン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリエチルベンゼン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリ−n−プロピルベンゼン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリ−i−プロピルベンゼン、3,5−ジアミノトルエン、3,5−ジアミノ−o−キシレン、2,5−ジアミノ−m−キシレンなどの一般式:
【0064】
【化19】
【0065】
(式中、R11、R12、R13およびR14はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示す)で表わされるジアミノ置換ベンゼンおよびたとえば2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどで代表される式:
【0066】
【化20】
【0067】
で表される2,2−ビス(アミノヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、たとえば2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどで代表される式:
【0068】
【化21】
【0069】
で表わされる2,2−ビス(アミノメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、式:
【0070】
【化22】
【0071】
で表わされる2,2´−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、式:
【0072】
【化23】
【0073】
で表わされる9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンや、2,2−ビス(3−アミノ−4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−エチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2´−ビス(トリフルオロエチル)ベンジジンをはじめ、式:
【0074】
【化24】
【0075】
で表される化合物、式:
【0076】
【化25】
【0077】
で表される化合物、式:
【0078】
【化26】
【0079】
で表される化合物、式:
【0080】
【化27】
【0081】
で表される化合物、式:
【0082】
【化28】
【0083】
で表される化合物などの一般式:
【0084】
【化29】
【0085】
(式中、R15は−C(CH3 )2 −、−C(CF3 )2 −、−O−、式:
【0086】
【化30】
【0087】
で表わされる基、一般式:
【0088】
【化31】
【0089】
(式中、R18は−SO2 −、−C(CH3 )2 −または−C(CF3 )2 −を示す)で表わされる基または直接結合、R16およびR17はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のフッ素原子を含有したアルキル基、水素原子、水酸基またはカルボキシル基を示す)で表わされるジアミノ置換ジフェニルから選ばれた少なくとも1種のジアミノ化合物とを含有した縮重合成分からなる縮重合体(ポリイミド)(特願平6−160348号明細書)や、たとえば特開昭63−226359号公報、特開昭63−252159号公報、特開平1−204672号公報、特開平1−313058号公報、特開平3−222960号公報、特開平3−205050号公報、特開平5−220210号公報、米国特許第4,955,900号明細書、米国特許第5,049,156号明細書、米国特許第5,260,352号明細書などに記載されているポリイミドなどがあげられ、これらのなかから1種または2種以上を選択して用いることができる。
【0090】
なお、本発明の眼用レンズ材料における前記他の重合体の含有量は、相対的に前記重合体(A)の含有量が少なくなり、かかる重合体(A)を用いたことによる効果が発現されにくくなることがないようにするため、0〜50重量%、なかんづく0〜30重量%となるように調整することが好ましい。
【0091】
前記重合体(A)および必要に応じて他の重合体を含有した眼用レンズ材料を用いて眼用レンズを作製する代表的な方法としては、たとえばキャスティング法や、粉末状の眼用レンズ材料を用いた加熱圧縮成形法などがあげられる。
【0092】
前記キャスティング法とは、重合体(A)および必要に応じて他の重合体を含有した眼用レンズ材料を、たとえばトルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、四塩化炭酸などの有機溶媒に溶解させ、ガラス板、ステンレス板などの上に所定の厚さとなるように流延し、100〜150℃程度の温度で30〜120分間程度加熱し、皮膜を形成させてフィルムをつくり、これを一定の厚さの板状成形体となるように必要な枚数だけ重ね合わせ、温度200〜500℃程度、圧力0.5〜10t/cm2 程度で0.1〜10時間程度加熱圧縮成形を行なうことによって透明性のある重合体の成形体をつくり、つぎにこれを切削装置、研磨装置などを用いて眼用レンズ形状に機械的加工を施す方法である。
【0093】
なお、前記処理の際の加熱および有機溶媒の除去は、連続して行なってもよく、またこれらの操作を減圧下や不活性ガス雰囲気中で行なってもよい。
【0094】
前記粉末状の眼用レンズ材料を用いた加熱圧縮成形法とは、重合体(A)および必要に応じて他の重合体の粉末を含有した眼用レンズ材料を用い、温度200〜500℃程度、圧力0.5〜10t/cm2 程度で0.1〜10時間程度加熱圧縮成形を行なうことによって透明性のある重合体の成形体をつくり、つぎにこれを切削装置、研磨装置などを用いて眼用レンズ形状に機械的加工を施す方法である。
【0095】
なお、前記キャスティング法や粉末状の眼用レンズ材料を用いた加熱圧縮成形法において、重合体の成形体から眼用レンズを機械的加工によって作製する方法としては、たとえばレンズのパワーにあわせて曲面研磨を行なって眼用レンズを作製する方法などがあげられる。また、重合体のフィルムを作製したばあいには、たとえばコンタクトレンズや眼内レンズなどの形状を与える成形型を用意し、この成形型内に重合体のフィルムを装着し、該フィルムに成形を施すことにより、眼用レンズを作製することができる。このばあい、えられた眼用レンズには、必要に応じて機械的に仕上げ加工を施してもよい。
【0096】
前記眼用レンズの一例として、たとえば眼内レンズを作製するばあいには、眼内レンズに固定部を取付けるホールを加工し、このホールに固定部をスポット加熱により溶着させてもよい。
【0097】
眼内レンズの固定部の形状にはとくに限定がなく、所望の形状に適宜調整すればよい。該固定部の材質としては、たとえばポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルメタクリレートなどがあげられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではない。なお、本発明において、前記固定部の材質は、前記眼内レンズのレンズ部の材料と同一であってもよく、また異なっていてもよい。
【0098】
また、本発明においては、前記したように、レンズ部と固定部とを別々にして作製し、これらを結合するという方法ではなく、レンズ部と固定部とを一体成形する方法によって眼内レンズを作製してもよい。このようなレンズ部と固定部とが一体成形された眼内レンズは、両者の接合部がないため、固定部がレンズ部から離脱するという事態の発生を回避することができる。
【0099】
つぎに、本発明の眼用レンズ材料を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0100】
実施例1
乾燥チッ素ガス気流下、500ml容のフラスコ内にて、2,6−ジメチルポリフェニレンエーテル4g(33ミリモル)およびN,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン4ml(34ミリモル)をベンゼン280mlに溶解させ、えられた溶液を0℃に冷却し、これにn−ブチルリチウム(15%ヘキサン溶液)21.2ml(34ミリモル)を添加し、1.5時間撹拌した。こののち、さらにトリメチルクロロシラン4.8ml(44ミリモル)を添加し、2時間撹拌して反応溶液をえた。
【0101】
つぎに、えられた反応溶液をメタノール中に投入して粉末を析出させ、析出した粉末をろ別し、これをメタノールにて洗浄して減圧下で10時間以上乾燥させ、トリメチルシリル化ポリフェニレンエーテルの粉末をえた。えられたトリメチルシリル化ポリフェニレンエーテルの重量平均分子量は、57000であった。
【0102】
えられたトリメチルシリル化ポリフェニレンエーテルのシリコン含有基(トリメチルシリル基)置換率を、日本電子(株)製、JNM−PMX60を用いて 1H−NMR(60MHz)を測定して調べたところ、46モル%であった。
【0103】
つぎに、えられたトリメチルシリル化ポリフェニレンエーテルの粉末に圧縮成形を施し、厚さ4mmのプレートをえた。
【0104】
また、えられたトリメチルシリル化ポリフェニレンエーテルの粉末をトルエンに溶解させ、ガラス板上に流延して皮膜を形成させ、20時間以上減圧乾燥させて厚さ0.2mmのフィルムをえた。
【0105】
えられたトリメチルシリル化ポリフェニレンエーテルの粉末、プレートまたはフィルムの物性として、成膜性、酸素透過係数、屈折率、ガラス転移温度および光線透過性を以下の方法にしたがって調べた。その結果を表1に示す。
【0106】
(イ)成膜性
えられたフィルムの透明性および強度を以下の評価基準に基づいて評価した。
【0107】
[評価基準]
A:肉眼で見て透明であり、折り曲げてみても脆さがみられず、充分な強度を有する。
B:折り曲げても脆さがみられず、ある程度の強度を有するが、肉眼で見てやや透明性に劣る。
C:少なくとも肉眼で見て不透明であるか、または成膜できていない。
【0108】
(ロ)酸素透過係数
えられたフィルムを用い、理科精機工業(株)製の製科研式フィルム酸素透過率計を用いて35℃の生理食塩水中にて試験片の酸素透過係数を測定した。なお、表1中の酸素透過係数の値は、本来の値に1011を乗じたものであり、その単位はml(STP)・cm/(cm2 ・sec・mmHg)である。
【0109】
(ハ)屈折率
えられたプレートを用い、アッベ屈折計((株)アタゴ製、商品名:1−T)を用いて温度25℃、相対湿度50%の条件下で屈折率(n25 D)を測定した。
【0110】
(ニ)ガラス転移温度
えられた粉末を用い、耐熱性の指標としてガラス転移温度(℃)を以下の条件にしたがって測定した。
【0111】
装置:セイコー電子(株)製、SSC/5200HおよびDSC220C
昇温速度:20℃/分
測定温度:100〜300℃
(ホ)光線透過性
えられたフィルムを20℃の蒸留水中に浸透させ、自記分光光度計UV−3100((株)島津製作所製)を用いて波長780〜190nmの領域の光線を照射し、その可視光線領域(波長780〜380nm)の透過率(%)を測定した。また、紫外線領域(波長380nm以下)において、透過率が0%である波長領域(nm)を測定した。
【0112】
なお、本発明において、前記可視光線領域の透過率が90%以上であるばあい、眼用レンズ材料として充分な透明性を有するものとする。
【0113】
実施例2
実施例1において、2,6−ジメチルポリフェニレンエーテル4g(33ミリモル)のかわりに実施例1でえられたトリメチルシリル化ポリフェニレンエーテル5g(33ミリモル)を用いたほかは、実施例1と同様にしてトリメチルシリル化ポリフェニレンエーテルの粉末、プレートおよびフィルムをえた。えられたトリメチルシリル化ポリフェニレンエーテルの重量平均分子量は、58000であった。
【0114】
なお、えられたトリメチルシリル化ポリフェニレンエーテルのシリコン含有基(トリメチルシリル基)置換率を実施例1と同様にして調べたところ、78モル%であった。
【0115】
えられたトリメチルシリル化ポリフェニレンエーテルの粉末、プレートまたはフィルムの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0116】
実施例3
実施例1において、トリメチルクロロシラン4.8ml(44ミリモル)のかわりにトリエチルクロロシラン6.7ml(44ミリモル)を用いたほかは、実施例1と同様にしてトリエチルシリル化ポリフェニレンエーテルの粉末、プレートおよびフィルムをえた。
【0117】
えられたトリエチルシリル化ポリフェニレンエーテルの粉末、プレートまたはフィルムの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0118】
実施例4
実施例1において、トリメチルクロロシラン4.8ml(44ミリモル)のかわりにジメチルフェニルクロロシラン7.5g(44ミリモル)を用いたほかは、実施例1と同様にしてジメチルフェニルシリル化ポリフェニレンエーテルの粉末、プレートおよびフィルムをえた。
【0119】
えられたジメチルフェニルシリル化ポリフェニレンエーテルの粉末、プレートまたはフィルムの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
【0120】
実施例5
滴下ロート、チッ素ガス導入管、メカニカルスターラーおよび塩化カルシウム管を備えた500ml容のセパラブルフラスコを用意し、該セパラブルフラスコ内を乾燥チッ素で置換した。
【0121】
前記セパラブルフラスコ内に、式:
【0122】
【化32】
【0123】
で表わされるジフェニルヘキサフルオロイソプロピリデンテトラカルボン酸二無水物22.2g(0.05モル)およびポリイミドの重合溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド70gを入れ、室温で撹拌しながら式:
【0124】
【化33】
【0125】
で表わされる1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン15.5g(0.05モル)とN,N−ジメチルアセトアミド50gとの混合溶液を滴下ロートから滴下して反応させ、ポリアミド酸溶液をえた。
【0126】
えられたポリアミド酸溶液に、無水酢酸30.6g(0.3モル)およびピリジン15.8g(0.2モル)を撹拌しながら添加し、そのまま10時間程度撹拌を続けてポリイミド溶液をえた。
【0127】
つぎに、5リットル容のビーカー内に、貧溶媒としてメタノールを約1リットル入れ、スターラーで撹拌しながら前記ポリイミド溶液の約半分(約100g)を滴下ロートから滴下し、粉末状のポリイミドをえた。
【0128】
えられた粉末状のポリイミドをヌッチェで濾別し、粉砕機でこまかく砕いて粉砕物をえた。
【0129】
つぎに、えられた粉砕物を1リットル容のビーカーに移し、メタノール約500mlを添加し、該ビーカーを50℃の湯浴に入れて粉砕物を撹拌しながら洗浄した。20分間経過後、粉砕物を濾別し、さらにもう一度洗浄して90℃の真空乾燥機中で乾燥させ、ポリイミド粉末をえた。
【0130】
つぎに、前記ポリイミド粉末10重量%および実施例1でえられたトリメチルシリル化ポリフェニレンエーテルの粉末90重量%からなる混合物の20重量%トルエン溶液を、約2mmの厚さとなるようにガラス板上にキャスティングし、1週間室温中で放置してフィルムをえた。
【0131】
えられたフィルムの物性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。なお、かかる実施例5においては、前記(ハ)屈折率および(ニ)ガラス転移温度の測定を、それぞれプレートおよび粉末のかわりにフィルムを用いて行なった。
【0132】
比較例1
実施例1で用いたものと同じ2,6−ジメチルポリフェニレンエーテルの粉末を用い、実施例1と同様にしてプレートおよびフィルムをえようとしたが、プレートおよびフィルムを形成させることができなかったため、物性を測定することができなかった。
【0133】
【表1】
【0134】
表1に示された結果から、実施例1〜5でえられたポリフェニレンエーテルを含有した材料は、酸素透過係数が比較的大きく、成膜性にすぐれることから成形加工性にすぐれ、さらにガラス転移温度がオートクレーブ滅菌処理温度(通常、120℃程度)以上と高く、耐熱性にすぐれたものであるうえ、可視光線透過率が90%以上と高く、透明性にすぐれるほか、透過率が0%である紫外線の波長領域が広く、紫外線吸収性にもきわめてすぐれ、さらに比較的高屈折率を有するものであるので、眼用レンズ材料として非常に好ましいものであることがわかる。
【0135】
また、とくに実施例5でえられた材料は、ポリフェニレンエーテルのほかにもポリイミドを含有したものであり、実施例1〜4の材料と比べて、透過率が0%である紫外線の波長領域がさらに広く、紫外線吸収性にさらにすぐれたものであることがわかる。
【0136】
【発明の効果】
本発明の眼用レンズ材料は、すぐれた透明性を具備しつつ、良好な酸素透過性ならびにすぐれた成形加工性および耐熱性を有し、さらに紫外線吸収性にもすぐれ、比較的高い屈折率を有するものであるので、たとえばコンタクトレンズ、眼内レンズなどに好適に使用しうるという効果を奏する。
Claims (4)
- 一般式(I):
- 前記R 1 、R 2 、R 3 、R 4 がそれぞれ独立して水素原子または一般式( II )で表わされる基である請求項1記載の眼用レンズ材料。
- シリコン含有基置換率が46〜100モル%である請求項1または2記載の眼用レンズ材料。
- 前記シリコン含有重合体以外の他の重合体が、一般式:
H 2 N−R 10 −NH 2
(式中、R 10 は一般式:
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