JPH0848475A - エレベータ制御ケーブルの制振装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、エレベータ制御ケーブルの振れ
を防止し、昇降路の省スペース化を図るエレベータ制御
ケーブルの制振装置を得ることを目的とする。 【構成】 カゴ６と制御盤９との間に懸架されたエレベ
ータ制御ケーブルの垂下屈曲部にテンション装置２１が
設置されている。ピット１４内には、引っ張り装置２２
が設置されている。この引っ張り装置２２は、巻胴ドラ
ムと、この巻胴ドラムの巻き戻し方向の回転により巻胴
ドラムを巻き付け方向に回転させる付勢力を蓄勢するバ
ネ部材とから構成されている。さらに、スチールテープ
２３が、その一端をテンション装置２１に取り付けら
れ、その他端側を巻胴ドラムに巻き付けられて、テンシ
ョン装置２１と引っ張り装置２２との間に装着されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、エレベータ制御ケー
ブルの制振装置に関し、特に超高層ビルのエレベータに
おいて、カゴの昇降や、地震、風などによって生じる制
御ケーブルの振れを防止する制御ケーブルの制振装置に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図８は例えば特開平５−１７８５６４号
公報に記載された従来のエレベータ制御ケーブルの制振
装置を設けたエレベータを示す側面図、図９はそのエレ
ベータ制御ケーブルの制振装置を示す側面図である。

【０００３】図において、１は昇降路、２は昇降路１の
上部に設けられた機械室、３は機械室２に設置された巻
上機、４は機械室２に設置されたソラセ車である。５は
主ロープであり、この主ロープ５はその一端がカゴ６に
固着され、巻上機３およびソラセ車４に架け渡されて、
その他端が釣り合いオモリ７に固着されている。８はカ
ゴ６と機械室２に設置された制御盤９との間を結びカゴ
６の移動に伴って移動するエレベータ制御ケーブルであ
る。１０はエレベータ制御ケーブル８の垂下屈曲部に設
置された制振プーリ、１１は制振プーリ１０に連結部材
１２を介して連結された釣り合いプーリであり、制振プ
ーリ１０および釣り合いプーリ１１は連結部材１２に回
転自在に取り付けられている。１３は釣り合いロープで
あり、この釣り合いロープ１３は、その一端を釣り合い
オモリ７に固着され、昇降路１の下部のピット１４内に
取り付けられた釣り合い車１５に架け渡され、そして釣
り合いプーリ１１に架け渡された後、他端をピット１４
の底面に固着されている。１６は昇降路１の側壁面に上
下方向に延設された案内レール、１７は連結部材１２に
取り付けられ案内レール１６に沿って走行する案内機で
ある。ここで、制振プーリ１０、釣り合いプーリ１１、
連結部材１２、釣り合いロープ１３、案内レール１６お
よび案内機１７から制振装置が構成されている。

【０００４】つぎに、上記従来のエレベータの動作につ
いて説明する。制御盤９からの信号によって巻上機３が
駆動され、釣り合いオモリ７によってバランスをとられ
たカゴ６が昇降路１内を昇降動作する。そして、制御盤
９とカゴ６とはエレベータ制御ケーブル８を介して信号
の授受が行われ、例えば戸の開閉装置の制御等が行われ
る。そして、カゴ６の昇降動作に応じてエレベータ制御
ケーブル８が昇降動作する。このエレベータ制御ケーブ
ル８の昇降動作に合わせてエレベータ制御ケーブル８の
垂下屈曲部に設置された制振プーリ１０が回転しながら
上下動する。そして、制振プーリ１０の上下動に合わせ
て釣り合いプーリ１１が上下動する。カゴ６の下降動作
の際には、一端が上昇動作する釣り合いオモリ７に固着
された釣り合いロープ１３により釣り合いプーリ１１を
介して制振プーリ１０に下方向の引っ張り力が作用し、
制御ケーブル８の弛みが防止される。また、制振プーリ
１０および釣り合いプーリ１１は連結部材１２に取り付
けられた案内機１７によって案内レール１６に沿って上
下方向に走行し、エレベータ制御ケーブル８の振れが防
止される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従来のエレベータ制御
ケーブルの制振装置は以上のように構成されているの
で、昇降路１の側壁面に案内機１７を案内する案内レー
ル１６を延設する必要があり、また制振プーリ１０の径
が大きくなり、昇降路１のスペースが大きくなるととも
に、地震等により案内機１７が案内レール１６より外れ
る恐れがあり、装置の信頼性が低下するいう課題があっ
た。また、エレベータ制御ケーブル８が多数本となる
と、制御プーリ１０が大型となるとともに、制御プーリ
１０の回転によるエレベータ制御ケーブル８上の走行が
不安定となり、エレベータ制御ケーブル８の振れを効果
的に防止できないという課題もあった。

【０００６】この発明は、上記のような課題を解決する
ためになされたもので、エレベータ制御ケーブルの振れ
を防止できるとともに、昇降路の省スペース化を図るこ
とができるエレベータ制御ケーブルの制振装置を得るこ
とを第１の目的とする。また、エレベータ制御ケーブル
が多数本となっても、エレベータ制御ケーブルの上下動
作に速やかに追従して、エレベータ制御ケーブルの振れ
を確実に防止できるエレベータ制御ケーブルの制振装置
を得ることを第２の目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明の第１の発明に
係るエレベータ制御ケーブルの制振装置は、エレベータ
制御ケーブルの垂下屈曲部に設置され、エレベータ制御
ケーブルの昇降動作に応じて上下方向に動作するテンシ
ョン装置と、昇降路の下部のピット内に設置され、巻胴
ドラムおよびこの巻胴ドラムの巻き戻し方向の回転によ
り巻胴ドラムを巻き付け方向に回転させる付勢力を蓄勢
するバネ部材を有する引っ張り装置と、一端がテンショ
ン装置に取り付けられ、他端側が巻胴ドラムに巻き付け
られたスチールテープとを備えたものである。

【０００８】また、この発明の第２の発明に係るエレベ
ータ制御ケーブルの制振装置は、エレベータ制御ケーブ
ルの垂下屈曲部に設置され、エレベータ制御ケーブルの
昇降動作に応じて上下方向に動作するテンション装置
と、昇降路の下部のピット内に設置された巻胴ドラム
と、ピット内に設置された釣り合い車と、一端がカゴに
取り付けられ、釣り合い車に架け渡されて他端が釣り合
いオモリに取り付けられた釣り合いロープと、カゴの昇
降動作に応じて走行する釣り合いロープにより発生する
釣り合い車の回転トルクを巻胴ドラムに伝達する動力伝
達手段と、一端がテンション装置に取り付けられ、他端
側が巻胴ドラムに巻き付けられたスチールテープとを備
えたものである。

【０００９】また、この発明の第３の発明に係るエレベ
ータ制御ケーブルの制振装置は、エレベータ制御ケーブ
ルの垂下屈曲部に設置され、エレベータ制御ケーブルの
昇降動作に応じて上下方向に動作するテンション装置
と、ピット内に設置された釣り合い車と、一端がカゴに
取り付けられ、釣り合い車に架け渡されて他端が釣り合
いオモリに取り付けられた釣り合いロープと、釣り合い
車の回転軸に固着された引っ張り返し車と、ピット内に
設置された引っ張り車と、一端がテンション装置に取り
付けられ、引っ張り車および引っ張り返し車に架け渡さ
れて他端が釣り合いオモリに取り付けられた引っ張りロ
ープとを備えたものである。

【００１０】また、この発明の第４の発明に係るエレベ
ータ制御ケーブルの制振装置は、上記第１乃至第３のい
ずれかの発明において、テンション装置は、エレベータ
制御ケーブルの本数分のローラが所定間隔で回転自在に
取り付けられたシャフトを、このシャフトの軸方向がエ
レベータ制御ケーブルの長さ方向と直交するようにエレ
ベータ制御ケーブルの垂下屈曲部の曲率に合わせてエレ
ベータ制御ケーブルの長さ方向に所定間隔で複数本並設
されてなり、ローラが相対するように対向して配置され
た第１および第２の弓形テンションローラ体と、第１お
よび第２の弓形テンションローラ体を分離可能に連結す
る連結部材とを備えたものである。

【００１１】

【作用】この発明の第１の発明においては、エレベータ
制御ケーブルの上昇時には、テンション装置が上昇動作
する。そして、このテンション装置の上昇により、スチ
ールテープが巻胴ドラムから送り出される。この時、巻
胴ドラムが巻き戻し方向に回転することにより、バネ部
材に巻胴ドラムを巻き付ける方向に回転させる付勢力が
蓄勢される。ついで、テンション装置が下降すると、バ
ネ部材に蓄勢された付勢力により巻胴ドラムが巻き付け
方向に回転され、スチールテープが巻胴ドラムに巻き付
けられる。そこで、テンション装置の昇降動作におい
て、スチールテープの弛みが発生せず、バネ部材の付勢
力がスチールテープを介してテンション装置に作用し、
エレベータ制御ケーブルの振れが防止される。

【００１２】また、この発明の第２の発明においては、
カゴの昇降動作に応じて釣り合いロープが走行する。そ
して、この釣り合いロープの走行により釣り合い車が回
転される。この釣り合い車の回転トルクは、動力伝達手
段を介して巻胴ドラムに伝達され、巻胴ドラムが回転さ
れる。そこで、カゴの上昇時には、巻胴ドラムが巻き戻
し方向に回転され、スチールテープが巻胴ドラムから送
り出される。一方、カゴの下降時には、巻胴ドラムが巻
き付け方向に回転され、スチールテープが巻胴ドラムに
巻き付けられる。そこで、テンション装置の自重により
エレベータ制御ケーブルにテンションがかけられ、テン
ション装置の昇降動作の際に、スチールテープの弛みが
発生せず、エレベータ制御ケーブルの振れが防止され
る。

【００１３】また、この発明の第３の発明においては、
カゴの昇降動作に応じて釣り合いロープが走行する。そ
して、この釣り合いロープの走行により釣り合い車が回
転される。ついで、引っ張り返し車がこの釣り合い車と
同期して回転し、引っ張り返し車および引っ張り車に架
け渡された引っ張りロープが走行される。そこで、カゴ
の上昇時には、引っ張りロープがテンション装置側へ走
行してテンション装置の上昇動作に追従する。一方、カ
ゴの下降時には、引っ張りロープが釣り合いオモリ側へ
走行し、テンション装置の下降動作に追従する。そこ
で、テンション装置の自重によりエレベータ制御ケーブ
ルにテンションがかけられ、テンション装置の昇降動作
の際に、引っ張りロープの弛みが発生せず、エレベータ
制御ケーブルの振れが防止される。

【００１４】また、この発明の第４の発明においては、
エレベータ制御ケーブルの垂下屈曲部に上下からローラ
間のそれぞれに１本のエレベータ制御ケーブルを挟み込
むように第１および第２の弓形テンションローラ体を配
置する。この時、垂下屈曲部の曲率に合わせて長さ方向
にローラが並設されているので、エレベータ制御ケーブ
ルの垂下屈曲部には不都合な曲げ応力がかからない。そ
して、エレベータ制御ケーブルの昇降動作に応じて、ロ
ーラが回転してエレベータ制御ケーブル上を走行し、テ
ンション装置が常に垂下屈曲部に位置するようになる。

【００１５】

【実施例】以下、この発明の実施例を図について説明す
る。 実施例１．図１はこの発明の実施例１に係るエレベータ
制御ケーブルの制振装置を設けたエレベータを示す側面
図であり、図において図８に示した従来のエレベータと
同一または相当部分には同一符号を付し、その説明を省
略する。図において、２０は制振装置であり、この制振
装置２０はエレベータ制御ケーブル８の垂下屈曲部に設
置されたテンション装置２１、昇降路１の下部のピット
１４内に設置された引っ張り装置２２およびテンション
装置２１と引っ張り装置２２とに接続されたスチールテ
ープ２３とから構成されている。ここで、釣り合いロー
プ１３はその一端がカゴ６に固着され、釣り合い車１５
に架け渡されて他端が釣り合いオモリ７に固着されてい
る。なお、他の構成は、図８に示した従来のエレベータ
と同様に構成されている。

【００１６】ここで、テンション装置２１の構造につい
て、図２乃至図４を参照しつつ説明する。このテンショ
ン装置２１は第１および第２の弓形テンションローラ体
３０、３１に分割可能に構成されている。そして、第１
の弓形テンションローラ体３０は、長さ方向がエレベー
タ制御ケーブル８の垂下屈曲部の曲率に合った弓形をな
す断面コの字状の第１の筐体３２内に、シャフト３３を
その軸方向が第１の筐体３２の長さ方向と直交するよう
に、エレベータ制御ケーブル８の垂下屈曲部の曲率に合
わせて第１の筐体３２の長さ方向に所定間隔で複数本並
設し、各シャフト３３の両端を外側からナット３４にて
第１の筐体３２の側板に締着固定して構成されている。
シャフト３３のそれぞれには、エレベータ制御ケーブル
８の本数分のローラ３５が軸方向に所定間隔で回転自在
に取り付けられている。同様に、第２の弓形テンション
ローラ体３１は、長さ方向がエレベータ制御ケーブル８
の垂下屈曲部の曲率に合った弓形をなす断面コの字状の
第２の筐体３６内に、エレベータ制御ケーブル８の本数
分のローラ３５が軸方向に所定間隔で回転自在に取り付
けられたシャフト３３をその軸方向が第２の筐体３６の
長さ方向と直交するように、エレベータ制御ケーブル８
の垂下屈曲部の曲率に合わせて第２の筐体３６の長さ方
向に所定間隔で複数本並設し、各シャフト３３の両端を
外側からナット３４にて第２の筐体３６の側板に締着固
定して構成されている。そして、第１および第２の弓形
テンションローラ体３０、３１は、ローラ３５が相対す
るように対向して配置され、両者間にあてがわれた止め
板３７を止め板ボルト３８にて締着固定して一体化され
て、テンション装置２１が組み立てられる。なお、止め
板３７および止め板ボルト３８が連結部材である。この
テンション装置２１は、各シャフト３３にはその軸方向
にエレベータ制御ケーブル８の本数分のローラ３５が取
り付けられており、相対するローラ３５間にそれぞれ１
本のエレベータ制御ケーブル８が挟み込まれるようにエ
レベータ制御ケーブル８の垂下屈曲部に設置されてい
る。

【００１７】ついで、引っ張り装置２２の構造につい
て、図５を参照しつつ説明する。引っ張り装置２２は、
巻胴ドラム３９が筐体４０に回転自在に取り付けられ、
巻胴ドラム３９と筐体４０との間にバネ部材４１が配設
されて構成されている。そして、バネ部材４１は、巻胴
ドラム３９に巻き付けられているスチールテープ２３が
巻き戻されるように巻胴ドラム３９を回転させると、バ
ネ部材４１が巻き付けられて、巻胴ドラム３９を巻き付
け方向に回転させる付勢力が蓄勢されるように構成され
ている。

【００１８】つぎに、この実施例１の動作について説明
する。カゴ６の昇降動作に応じてエレベータ制御ケーブ
ル８が昇降動作する。そして、このエレベータ制御ケー
ブル８の昇降動作に合わせて、ローラ３５が回転しなが
ら制御ケーブル８上を走行し、テンション装置２１がエ
レベータ制御ケーブル８の垂下屈曲部に常に位置して上
下動する。このテンション装置２１が上昇すると、スチ
ールテープ２３が引っ張られて引っ張り装置２２の巻胴
ドラム３９から送り出される。この時、巻胴ドラム３９
が巻き戻し方向に回転し、バネ部材４１が巻き付けられ
て付勢力が蓄勢される。したがって、このバネ部材４１
に蓄勢された付勢力がスチールテープ２３を介してテン
ション装置２１に作用し、エレベータ制御ケーブル８に
テンションが付与され、振れが防止される。また、テン
ション装置２１が下降すると、バネ部材４１に蓄勢され
ている付勢力により巻胴ドラム３９が巻き付け方向に回
転されて、スチールテープ２３が巻胴ドラム３９に巻き
付けられる。したがって、テンション装置２１の下降に
よるスチールテンション２３の弛みが防止され、さらに
はバネ部材４１になお蓄勢されている付勢力がスチール
テープ２３を介してテンション装置２１に作用し、エレ
ベータ制御ケーブル８にテンションが付与され、振れが
防止される。

【００１９】このように、この実施例１によれば、エレ
ベータ制御ケーブル８の昇降動作に応じて上下方向に動
作するテンション装置２１がエレベータ制御ケーブル８
の垂下屈曲部に設置され、一端側をテンション装置２１
に取り付けられたスチールテープ２３の他端側が巻き付
けられる巻胴ドラム３９とこの巻胴ドラム３９の巻き戻
し方向の回転により巻胴ドラム３９を巻き付ける方向に
回転させる付勢力を蓄勢するバネ部材４１とを有する引
っ張り装置２２がピット１４内に設置されているので、
従来の制振装置のように大きな制振プーリ１０が必要と
せず、さらには昇降路１の内壁面に上下方向に延設され
た案内レール１６や案内機１７が不要となり、昇降路１
の省スペース化が図られるという効果がある。そして、
エレベータ制御ケーブル８の昇降動作時にスチールテー
プ２３の弛みがなく、バネ部材４１の付勢力がスチール
テープ２３を介してテンション装置２１に作用して、エ
レベータ制御ケーブル８の振れが防止でき、エレベータ
制御ケーブル８が昇降路１内の機器に絡み付く事故が防
止される。

【００２０】また、テンション装置２１が、長さ方向が
エレベータ制御ケーブル８の垂下屈曲部の曲率に合った
弓形をなす断面コの字状の第１および第２の筐体３２、
３６内に、エレベータ制御ケーブル８の本数分のローラ
３５が軸方向に所定間隔で回転自在に取り付けられたシ
ャフト３３をその軸方向が第１および第２の筐体３２、
３６の長さ方向と直交するように、エレベータ制御ケー
ブル８の垂下屈曲部の曲率に合わせて第１および第２の
筐体３２、３６の長さ方向に所定間隔で複数本並設し、
各シャフト３３の両端を外側からナット３４にて第１お
よび第２の筐体３２、３６の側板に締着固定して構成さ
れた第１および第２の弓形テンションローラ体３０、３
１を、ローラ３５が相対するように対向して配置して構
成しているので、相対するローラ３５間にそれぞれ１本
のエレベータ制御ケーブル８を挟み込むようにテンショ
ン装置２１を垂下屈曲部に設置でき、エレベータ制御ケ
ーブル８の昇降に応じてローラ３５が回転してエレベー
タ制御ケーブル８上を走行し、テンション装置２１が常
に垂下屈曲部に位置して安定した上下動作が得られる。
また、ローラ３５間にエレベータ制御ケーブル８が挟み
込まれているので、運転時や地震等によるテンション装
置２１とエレベータ制御ケーブル８との外れがなく、装
置の信頼性を高めることができる。さらに、テンション
装置２１の第１および第２の弓形テンションローラ体３
０、３１が止め板３７および止め板ボルト３８により分
離可能に構成されているので、テンション装置２１の取
り付け、取り外しが容易となり、メンテナンス性を高め
ることができる。

【００２１】なお、上記実施例１では、各シャフト３３
にエレベータ制御ケーブル８の本数分のローラ３５を回
転自在に取り付けるものとしているが、ローラ３５の個
数は少なくともエレベータ制御ケーブル８の本数分あれ
ばよい。この場合、ローラ３５の個数を多くしておけ
ば、エレベータ制御ケーブル８の本数が異なるエレベー
タにも適用でき、装置の汎用性を高めることができる。

【００２２】実施例２．図６はこの発明のエレベータ制
御ケーブルの制振装置の引っ張り装置回りを示す側面図
である。上記実施例１では、バネ部材４１の付勢力によ
りスチールテープ２３を巻胴ドラム３９に巻き付けるも
のとしているが、この実施例２では、図６に示すよう
に、巻胴ドラム側歯車４２を巻胴ドラム３９の回転軸に
取り付け、釣り合い車側歯車４３を釣り合い車１５の回
転軸に取り付け、巻胴ドラム側歯車４２と釣り合い車側
歯車４３との間に駆動チェーン４４を架け渡し、釣り合
い車１５の回転トルクを駆動チェーン４４を介して巻胴
ドラム３９に伝達し、スチールテープ２３を巻き付け、
巻き戻しするようにしている。ここで、巻胴ドラム側歯
車４２、釣り合い車側歯車４３および駆動チェーン４４
により動力伝達手段を構成している。なお、他の構成
は、上記実施例１と同様に構成されている。

【００２３】この実施例２では、カゴ６と釣り合いオモ
リ７の昇降動作に合わせて釣り合いロープ１３が走行す
る。そして、釣り合いロープ１３の走行により釣り合い
車１５が回転動作する。この時、釣り合い車１５の回転
トルクは駆動チェーン４４を介して巻胴ドラム３９に伝
達される。そこで、エレベータ制御ケーブル８が上昇す
る際には、巻胴ドラム３９が巻き戻し方向に回転されて
スチールテープ２３が送り出され、エレベータ制御ケー
ブル８が下降する際には、巻胴ドラム３９が巻き付け方
向に回転されてスチールテープ２３が巻き付けられる。
したがって、テンション装置２１の自重によりエレベー
タ制御ケーブル８にテンションがかけられ、エレベータ
制御ケーブル８の昇降動作時に、スチールテープ２３に
弛みが発生せず、エレベータ制御ケーブル８の振れが防
止され、この実施例２においても、上記実施例１と同様
の効果が得られる。

【００２４】実施例３．図７はこの発明の実施例３に係
るエレベータ制御ケーブルの制振装置を示す側面図であ
る。上記実施例１では、一端をテンション装置２１に取
り付けられたスチールテープ２３の他端側を引っ張り装
置２２の巻胴ドラム３９に巻き付けるものとしている
が、この実施例３では、図７に示すように、ピット１４
内に引っ張り車４５を設置し、釣り合い車１５の回転軸
に引っ張り返し車４６を固着し、一端をテンション装置
２１に固着した引っ張りロープ４７を引っ張り車４５お
よび引っ張り返し車４６に架け渡し、その他端を釣り合
いオモリ７に固着するものとしている。なお、他の構成
は、上記実施例１と同様に構成されている。

【００２５】この実施例３では、カゴ６と釣り合いオモ
リ７の昇降動作に合わせて釣り合いロープ１３が走行す
る。そして、釣り合いロープ１３の走行により釣り合い
車１５が回転動作する。この時、釣り合い車１５の回転
軸に固着された引っ張り返し車４６が釣り合い車１５に
同期して回転する。そこで、引っ張り車４５および引っ
張り返し車４６に架け渡された引っ張りロープ４７が、
テンション装置２１の上下動作に追従して走行する。し
たがって、テンション装置２１の自重によりエレベータ
制御ケーブル８にテンションがかけられ、エレベータ制
御ケーブル８の昇降動作時に、引っ張りロープ４７に弛
みが発生せず、エレベータ制御ケーブル８の振れが防止
され、この実施例３においても、上記実施例１と同様の
効果が得られる。

【００２６】なお、上記各実施例において、テンション
装置２１にオモリを取り付けるよにしてもよい。この場
合、エレベータ制御ケーブル８にテンションを確実に付
与でき、エレベータ制御ケーブル８の振れを確実に防止
することができる。

【００２７】

【発明の効果】この発明は、以上のように構成されてい
るので、以下に記載されるような効果を奏する。

【００２８】この発明の第１の発明によれば、エレベー
タ制御ケーブルの垂下屈曲部に設置され、エレベータ制
御ケーブルの昇降動作に応じて上下方向に動作するテン
ション装置と、昇降路の下部のピット内に設置され、巻
胴ドラムおよびこの巻胴ドラムの巻き戻し方向の回転に
より巻胴ドラムを巻き付け方向に回転させる付勢力を蓄
勢するバネ部材を有する引っ張り装置と、一端がテンシ
ョン装置に取り付けられ、他端側が巻胴ドラムに巻き付
けられたスチールテープとを備えているので、テンショ
ン装置の上下方向の動作の際にスチールテープの弛みが
なく、バネ部材の付勢力によりテンション装置を介して
エレベータ制御ケーブルにテンションがかけられ、エレ
ベータ制御ケーブルの振れを防止できる。さらに、昇降
路の側壁面に上下方向に延設する案内レールや案内機が
不要となり、昇降路の省スケース化が図られる。

【００２９】また、この発明の第２の発明によれば、エ
レベータ制御ケーブルの垂下屈曲部に設置され、エレベ
ータ制御ケーブルの昇降動作に応じて上下方向に動作す
るテンション装置と、昇降路の下部のピット内に設置さ
れた巻胴ドラムと、ピット内に設置された釣り合い車
と、一端がカゴに取り付けられ、釣り合い車に架け渡さ
れて他端が釣り合いオモリに取り付けられた釣り合いロ
ープと、カゴの昇降動作に応じて走行する釣り合いロー
プにより発生する釣り合い車の回転トルクを巻胴ドラム
に伝達する動力伝達手段と、一端がテンション装置に取
り付けられ、他端側が巻胴ドラムに巻き付けられたスチ
ールテープとを備えているので、上記第１の発明と同様
の効果が得られる。

【００３０】また、この発明の第３の発明によれば、エ
レベータ制御ケーブルの垂下屈曲部に設置され、エレベ
ータ制御ケーブルの昇降動作に応じて上下方向に動作す
るテンション装置と、ピット内に設置された釣り合い車
と、一端がカゴに取り付けられ、釣り合い車に架け渡さ
れて他端が釣り合いオモリに取り付けられた釣り合いロ
ープと、釣り合い車の回転軸に固着された引っ張り返し
車と、ピット内に設置された引っ張り車と、一端がテン
ション装置に取り付けられ、引っ張り車および引っ張り
返し車に架け渡されて他端が釣り合いオモリに取り付け
られた引っ張りロープとを備えているので、上記第１の
発明と同様の効果が得られる。

【００３１】また、この発明の第４の発明によれば、上
記第１乃至第３のいずれかの発明において、テンション
装置は、エレベータ制御ケーブルの本数分のローラが所
定間隔で回転自在に取り付けられたシャフトを、このシ
ャフトの軸方向がエレベータ制御ケーブルの長さ方向と
直交するようにエレベータ制御ケーブルの垂下屈曲部の
曲率に合わせてエレベータ制御ケーブルの長さ方向に所
定間隔で複数本並設されてなり、ローラが相対するよう
に対向して配置された第１および第２の弓形テンション
ローラ体と、第１および第２の弓形テンションローラ体
を分離可能に連結する連結部材とを備えているので、上
記第１乃至第３のいずれかの発明の効果に加えて、エレ
ベータ制御ケーブルの昇降動作に合わせてローラが回転
してエレベータ制御ケーブル上を走行し、テンション装
置が常に垂下屈曲部に位置して安定した上下動作が得ら
れる。さらに、分離可能に構成されているので、テンシ
ョン装置の取り付け、取り外しが容易となり、メンテナ
ンス性を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明の実施例１に係るエレベータ制御ケ
ーブルの制振装置を設けたエレベータを示す側面図であ
る。

【図２】 この発明の実施例１に係るエレベータ制御ケ
ーブルの制振装置のテンション装置を示す斜視図であ
る。

【図３】 この発明の実施例１に係るエレベータ制御ケ
ーブルの制振装置のテンション装置の取り付け状態を示
す側面図である。

【図４】 図３のＩＶ−ＩＶ線に沿った断面図である。

【図５】 この発明の実施例１に係るエレベータ制御ケ
ーブルの制振装置の引っ張り装置を示す側面図である。

【図６】 この発明の実施例２に係るエレベータ制御ケ
ーブルの制振装置の引っ張り装置回りを示す側面図であ
る。

【図７】 この発明の実施例２に係るエレベータ制御ケ
ーブルの制振装置を示す側面図である。

【図８】 従来のエレベータ制御ケーブルの制振装置を
設けたエレベータを示す側面図である。

【図９】 従来のエレベータ制御ケーブルの制振装置回
りを示す側面図である。

【符号の説明】

１ 昇降路、２ 機械室、６ カゴ、７ 釣り合いオモ
リ、８ エレベータ制御ケーブル、９ 制御盤、１３
釣り合いロープ、１４ ピット、１５ 釣り合い車、２
１ テンション装置、２２ 引っ張り装置、２３ スチ
ールテープ、３０ 第１の弓形テンションローラ、３１
第２の弓形テンションローラ、３３シャフト、３５
ローラ、３７ 止め板（連結部材）、３８ 止め板ボル
ト（連結部材）、３９ 巻胴ドラム、４１ バネ部材、
４２ 巻胴ドラム側歯車（動力伝達手段）、４３ 釣り
合い車側歯車（動力伝達手段）、４４ 駆動チェーン
（動力伝達手段）。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エレベータの昇降路内で、前記エレベー
   タのカゴと機械室内の制御盤との間に懸架されるエレベ
   ータ制御ケーブルの制振装置において、 前記エレベータ制御ケーブルの垂下屈曲部に設置され、
   前記エレベータ制御ケーブルの昇降動作に応じて上下方
   向に動作するテンション装置と、前記昇降路の下部のピ
   ット内に設置され、巻胴ドラムおよびこの巻胴ドラムの
   巻き戻し方向の回転により巻胴ドラムを巻き付け方向に
   回転させる付勢力を蓄勢するバネ部材を有する引っ張り
   装置と、一端が前記テンション装置に取り付けられ、他
   端側が前記巻胴ドラムに巻き付けられたスチールテープ
   とを備えたことを特徴とするエレベータ制御ケーブルの
   制振装置。
2. 【請求項２】 エレベータの昇降路内で、前記エレベー
   タのカゴと機械室内の制御盤との間に懸架されるエレベ
   ータ制御ケーブルの制振装置において、 前記エレベータ制御ケーブルの垂下屈曲部に設置され、
   前記エレベータ制御ケーブルの昇降動作に応じて上下方
   向に動作するテンション装置と、前記昇降路の下部のピ
   ット内に設置された巻胴ドラムと、前記ピット内に設置
   された釣り合い車と、一端が前記カゴに取り付けられ、
   前記釣り合い車に架け渡されて他端が釣り合いオモリに
   取り付けられた釣り合いロープと、前記カゴの昇降動作
   に応じて走行する前記釣り合いロープにより発生する前
   記釣り合い車の回転トルクを前記巻胴ドラムに伝達する
   動力伝達手段と、一端が前記テンション装置に取り付け
   られ、他端側が前記巻胴ドラムに巻き付けられたスチー
   ルテープとを備えたことを特徴とするエレベータ制御ケ
   ーブルの制振装置。
3. 【請求項３】 エレベータの昇降路内で、前記エレベー
   タのカゴと機械室内の制御盤との間に懸架されるエレベ
   ータ制御ケーブルの制振装置において、 前記エレベータ制御ケーブルの垂下屈曲部に設置され、
   前記エレベータ制御ケーブルの昇降動作に応じて上下方
   向に動作するテンション装置と、前記ピット内に設置さ
   れた釣り合い車と、一端が前記カゴに取り付けられ、前
   記釣り合い車に架け渡されて他端が釣り合いオモリに取
   り付けられた釣り合いロープと、前記釣り合い車の回転
   軸に固着された引っ張り返し車と、前記ピット内に設置
   された引っ張り車と、一端が前記テンション装置に取り
   付けられ、前記引っ張り車および前記引っ張り返し車に
   架け渡されて他端が前記釣り合いオモリに取り付けられ
   た引っ張りロープとを備えたことを特徴とするエレベー
   タ制御ケーブルの制振装置。
4. 【請求項４】 テンション装置は、エレベータ制御ケー
   ブルの本数分のローラが所定間隔で回転自在に取り付け
   られたシャフトを、このシャフトの軸方向が前記エレベ
   ータ制御ケーブルの長さ方向と直交するように前記エレ
   ベータ制御ケーブルの垂下屈曲部の曲率に合わせて前記
   エレベータ制御ケーブルの長さ方向に所定間隔で複数本
   並設されてなり、前記ローラが相対するように対向して
   配置された第１および第２の弓形テンションローラ体
   と、前記第１および第２の弓形テンションローラ体を分
   離可能に連結する連結部材とを備えたことを特徴とする
   請求項１乃至３のいずれかに記載のエレベータ制御ケー
   ブルの制振装置。