JPH084483B2 - 食用天然抗酸化保存剤の製造法 - Google Patents

食用天然抗酸化保存剤の製造法

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JPH084483B2
JPH084483B2 JP4078234A JP7823492A JPH084483B2 JP H084483 B2 JPH084483 B2 JP H084483B2 JP 4078234 A JP4078234 A JP 4078234A JP 7823492 A JP7823492 A JP 7823492A JP H084483 B2 JPH084483 B2 JP H084483B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油脂食品または油脂含
有食品中の油脂の酸化を長期に亘って防止して食品の長
期保存を可能にさせる食用天然抗酸化保存剤に係り、詳
しくは白色を必要とする食品に用いてもその食品の商品
価値を落とすことなく保存可能な食用天然抗酸化保存剤
の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、食用天然抗酸化保存剤の製造法に
関して、本願発明の発明者による特公昭59−1465
号公報、及び特公昭61−30549号公報に記載され
た「食用天然抗酸化物質の製造法」がある。上記特公昭
59−1465号公報に記載された「食用天然抗酸化物
質の製造法」によれば、生コ−ヒ−豆の酵素分解による
抽出物を有効成分とするもので、生コ−ヒ−豆粉の水性
スラリ−を蛋白質分解酵素、あるいは繊維素分解酵素の
存在下で処理し、その水性抽出物を濃縮して濃厚溶液と
するか、凍結乾燥または噴霧乾燥するものである。ま
た、特公昭61−30549号公報に記載された「食用
天然抗酸化物質の製造法」によれば、生コ−ヒ−豆粉を
還流下に水抽出する際に抽出溶媒として水のみ、あるい
は塩基性の水を用いたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の「食用天然
抗酸化物質の製造法」によれば、生コ−ヒ−豆中に含ま
れているクロロゲン酸、タンニンが抽出操作中に水、空
気と接触し、徐々に酸化するため、抽出液は灰黄色、褐
色に変化し、この抽出液を粉末化すれば更に着色度が強
くなる。そのため、白色を必要とする食品に上記従来の
製造法により得られた食用天然抗酸化物質を添加すれ
ば、若干の着色のため著しく商品価値を低下させてしま
うという問題がある。そこで本発明では、生コ−ヒ豆か
ら食用天然抗酸化保存剤を抽出する際に、還元性物質例
えば、L−アスコルビン酸系の還元剤を用いることによ
り白色の食用天然抗酸化保存剤を得るようにして白色を
必要とする食品に添加可能にすることを解決すべき技術
的課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題解決のための技
術的手段は、天然成分のままの生コ−ヒ豆を、還元性物
質のL−アスコルビン酸、あるいはL−アスコルビン酸
ソ−ダ、またはL−アスコルビン酸とL−アスコルビン
酸ソ−ダを溶解した水、温水、または熱水で抽出し、生
成する抽出液を乾燥することにより、抗酸化力の強い白
色の食用天然抗酸化保存剤を製造することである。
【0005】
【作用】生コ−ヒ豆の水抽出物は全て有機物であり、L
−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ソ−ダはそれぞ
れ酸性、中性で有機物質の強力な還元剤である。尚、上
記L−アスコルビン酸は食品添加物として厚生省より許
可されており、弱い抗酸化性能を有する物質である。生
コ−ヒ豆の水抽出物にはクロロゲン酸、カフェイン、カ
フェイン酸、クマ−ル酸、フェルラ酸、タンニン、ペプ
チド、アミノ酸などが含まれている。尚、これらのうち
クロロゲン酸は一般にカフェイン酸と結合している。上
記抽出物の物質中にはフェノ−ル系、ポリフェノ−ル系
が含まれている。抽出成分であるクロロゲン酸、タンニ
ンは、空気、水で極めて酸化され易く、このため抽出液
は褐変し、抗酸化力は低下する。この酸化作用を防止す
るため抽出液に前出のL−アスコルビン酸系を微量添加
した溶媒で生コ−ヒ豆を抽出すれば、抽出液は褐変され
ない。
【0006】上記酸化防止作用の理由として、以下の2
点が挙げられる。 (1)L−アスコルビン酸、及びL−アスコルビン酸ソ
−ダは有機物質の強力な還元剤であるため、クロロゲン
酸、タンニンの酸化を防止する。 (2)生コ−ヒ豆より水抽出される物質の中にはフェノ
−ル系、ポリフェノ−ル系の物質が存在するので、L−
アスコルビン酸の分解を防止することから、安定した還
元力を維持する。従って、本発明の方法により得られた
抽出液を乾燥すれば殆ど白色に近い粉末製品が得られ
る。従って、特公昭61−30549号公報に記載され
た「食用天然抗酸化物質の製造法」の実施例1で示して
いる脱色行程、即ち活性炭、樹脂吸着剤等の使用による
脱色行程は不必要になる。また、本発明の方法により得
られた食用天然抗酸化保存剤の抗酸化効果は、特公昭5
9−1465号公報、及び特公昭61−30549号公
報に記載された「食用天然抗酸化物質」の抗酸化効果を
上回ることがあっても下回ることはない。
【0007】次に、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】生コ−ヒ豆200gを粉砕し、水約800
mlに、生コ−ヒ豆に対し約0.3〜0.5%(wt)
のL−アスコルビン酸、またはL−アスコルビン酸ソ−
ダ、あるいはL−アスコルビン酸とL−アスコルビン酸
ソ−ダの混合物を添加して溶解した溶媒で40〜45℃
程の条件で生コ−ヒ豆の成分を抽出する。その抽出液を
濾過し清浄な濾液を濃縮して凍結乾燥または噴霧乾燥を
することにより約45〜50gの白色粉末製品が得られ
る。この白色粉末製品の全窒素分析値は2.24〜2.
50%である。尚、上記溶媒を100〜150℃の高
温、高圧の条件で実施しても上記同様の白色粉末製品が
得られるが、工業的利益を考慮すれば、40〜45℃程
の条件が望ましい。上記白色粉末製品の分析により検出
された酸成分はクロロゲン酸、カフェイン酸、クマ−ル
酸、フェルラ酸、アミノ酸などであり、その他はカフェ
イン、タンニン、ペプチドなどである。尚、アミノ酸組
成は表1の通りである。
【0008】
【表1】
【0009】
【実施例2】次に、前記実施例1で得た生コ−ヒ豆の抽
出物の抗酸化力をロダン鉄法により市販のブチルヒドロ
キシアニソ−ル(B.H.A)、トコフェロ−ルと比較
し、それぞれの誘導期間を測定した。その測定結果を表
2に示す。
【0010】
【表2】 表2において、コントロ−ル試料の変敗点(0.3)に
達するまでの誘導期間は約3日間弱であるのに比べて、
本発明の抽出物は143日間であり、ブチルヒドロキシ
アニソ−ル(B.H.A)、及びトコフェロ−ルと比べ
ても格段の効果を有することが判る。そして特公昭59
−1465号公報、及び特公昭61−30549号公報
に記載された「食用天然抗酸化物質の製造法」における
抽出法に比較してもほぼ同等の効果を有することが明ら
かである。但し、粉末の色調は前記従来の脱色法を用い
なくても白色となる。尚、特公昭61−30549号公
報に記載された「食用天然抗酸化物質の製造法」の粉末
を脱色操作した場合には灰黄色の粉末となる。
【0011】
【実施例3】次に、前記実施例1で得た粉末状の生コ−
ヒ豆抽出物を実際にビスケット製造に用いた場合の抗酸
化効果(保存効果)を説明する。小麦粉500g、抗酸
化剤無添加のラ−ド油300g、蔗糖200g、食塩
2.5g、重炭酸ナトリウム2.5g、炭酸アンモニウ
ム2.5に対し水100gの割合で混合し、混練して生
地を作り、その生地に抗酸化剤として (1)実施例1で得た生コ−ヒ豆の抽出物 (2)市販のブチルヒドロキシアニソ−ル(B.H.
A) (3)市販のトコフェロ−ルのそれぞれを2%づつ添加
して試料を調整した。調整された生地試料は直径4cm、
厚さ0.3cmに型抜きし、160℃で7分間焼き上げて
製品とした。その製品を50℃の恒温槽中に保存し、経
時的に試料を取り出してウエラ−法により過酸化物価
(P.O.V)を測定した。その測定結果は表3に示す
通りである。
【0012】
【表3】 表3に示すように、本発明の抽出物を油脂含有食品に実
際に適用した場合は、市販の抗酸化剤を適用した場合に
比べて格段に優れた抗酸化力、即ち保存力を有している
ことが明らかであるとともに、特公昭61−30549
号公報に記載された「食用天然抗酸化物質の製造法」の
抽出物と比較しても決して劣らない抗酸化力、食品保存
力を有するものである。
【0013】
【実施例4】次に、前記実施例1で得た粉末状の生コ−
ヒ豆抽出物を実際に魚類のスリ身の保存に適用した場合
の抗酸化効果を示す。新鮮ないわしの頭と内臓を除き、
5%食塩水で充分洗浄して細断し、実施例1で得た粉末
状の生コ−ヒ豆抽出物、及び市販のブチルヒドロキシア
ニソ−ル(B.H.A)をそれぞれ0.2%づつ添加し
て試料を調整した。各試料は通常の方法で良く混練して
10g/個のいわしスリ身団子として形成した。それぞ
れのいわしスリ身団子を−15℃に冷凍し、経時的に試
料を取り出してウエラ−法により過酸化物価(P.O.
V)(meq/Kg)と酸価(A.V)を測定した。そ
の測定結果は表4に示す通りである。
【0014】
【表4】 表4に示すように、本発明の抽出物を魚類食品に実際に
適用した場合は、市販の抗酸化剤を適用した場合に比べ
て鮮魚の油焼けに対して格段に優れた抗酸化力を有して
いることが明らかであるとともに、特公昭61−305
49号公報に記載された「食用天然抗酸化物質の製造
法」の抽出物と比較しても決して劣らない抗酸化力を有
するものである。
【0015】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、生コ−ヒ
豆抽出物の褐変現象を、L−アスコルビン酸系の還元作
用と生コ−ヒ豆抽出物質中のフェノ−ル系、ポリフェノ
−ル系などによるL−アスコルビン酸の分解の安定化を
利用して防止することができるため殆ど無色の抽出液が
得られ、その抽出液から抗酸化力の強い白色粉末状の食
用天然抗酸化保存剤が得られるため、白色を必要とする
食品に添加しても商品価値を損なうことなく長期保存を
可能にする。尚、特公昭61−30549号公報に記載
された「食用天然抗酸化物質の製造法」による抗酸化物
質の抗酸化性能と比較して優るとも劣ることはない。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−111671(JP,A) 特開 平2−263833(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然成分のままの生コ−ヒ豆を、L−ア
    スコルビン酸、もしくはL−アスコルビン酸ソ−ダ、ま
    たはL−アスコルビン酸とL−アスコルビン酸ソ−ダの
    溶解した水、温水、または熱水で抽出し、生成する抽出
    液を乾燥することにより、抗酸化力の強い白色の食用天
    然抗酸化保存剤を製造することを特徴とする食用抗酸化
    保存剤の製造法。
JP4078234A 1992-02-27 1992-02-27 食用天然抗酸化保存剤の製造法 Expired - Fee Related JPH084483B2 (ja)

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