JP2726489B2 - アスコルビン酸のエンジオール型酸化物による食品の褐変防止方法 - Google Patents
アスコルビン酸のエンジオール型酸化物による食品の褐変防止方法Info
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- JP2726489B2 JP2726489B2 JP1099719A JP9971989A JP2726489B2 JP 2726489 B2 JP2726489 B2 JP 2726489B2 JP 1099719 A JP1099719 A JP 1099719A JP 9971989 A JP9971989 A JP 9971989A JP 2726489 B2 JP2726489 B2 JP 2726489B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、食品の褐変防止方法に関するものである。
(従来の技術) 一般に、食品はその加工や保存の過程で褐変して品質
の低下をきたすことが多い。褐変には多くの原因があ
り、まだ解明されていない点が多いが、大別すれば酵素
的褐変と非酵素的褐変がある。酵素的褐変の例として
は、果物や野菜を破砕、切断した後直ちに生じる褐変が
ある。非酵素的褐変としては、食品に含まれるアスコル
ビン酸や還元糖などの潜在的に活性なカルボニル基をも
つ化合物が、それ自身で、または、アミノ酸、ペプチ
ド、タンパク質などのアミノ基とのアミノ−カルボニル
反応(メイラード反応)によって生じる褐変がある。食
品の色調は、食品の重要な品質特性の一つであり、又、
異臭の発生など褐変による二次的な食品の劣化もおこ
り、その防止は急務となっている。褐変防止方法として
は、1)低温で保存する方法、2)真空包装若しくは不
活性ガス置換による方法、3)pHを下げて酵素を不活化
する方法、4)塩漬、5)水分含量の調節、6)アスコ
ルビン酸などの還元剤(抗酸化剤)の添加などがある。
しかし、1)、2)の方法では設備の面や食品の形態等
に制約され、3)、4)、5)の方法では食品の味や成
分に制限があり、また、6)の方法にしてもアスコルビ
ン酸自身の褐変の問題がある。さらに褐変の原因が多様
であることも考え合わせるといずれの方法も褐変防止と
して万能ではない。
の低下をきたすことが多い。褐変には多くの原因があ
り、まだ解明されていない点が多いが、大別すれば酵素
的褐変と非酵素的褐変がある。酵素的褐変の例として
は、果物や野菜を破砕、切断した後直ちに生じる褐変が
ある。非酵素的褐変としては、食品に含まれるアスコル
ビン酸や還元糖などの潜在的に活性なカルボニル基をも
つ化合物が、それ自身で、または、アミノ酸、ペプチ
ド、タンパク質などのアミノ基とのアミノ−カルボニル
反応(メイラード反応)によって生じる褐変がある。食
品の色調は、食品の重要な品質特性の一つであり、又、
異臭の発生など褐変による二次的な食品の劣化もおこ
り、その防止は急務となっている。褐変防止方法として
は、1)低温で保存する方法、2)真空包装若しくは不
活性ガス置換による方法、3)pHを下げて酵素を不活化
する方法、4)塩漬、5)水分含量の調節、6)アスコ
ルビン酸などの還元剤(抗酸化剤)の添加などがある。
しかし、1)、2)の方法では設備の面や食品の形態等
に制約され、3)、4)、5)の方法では食品の味や成
分に制限があり、また、6)の方法にしてもアスコルビ
ン酸自身の褐変の問題がある。さらに褐変の原因が多様
であることも考え合わせるといずれの方法も褐変防止と
して万能ではない。
(発明の解決しようとする課題) 本発明は、上記の褐変防止方法が有する問題点を解決
すべくなされたものであり、食品の褐変に対し広い範囲
で防止効果のある方法を開発することを目的とする。
すべくなされたものであり、食品の褐変に対し広い範囲
で防止効果のある方法を開発することを目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明者等は、食品の褐変防止方法について研究を重
ねてきて、本出願人が既に特許出願(特願平1-19196)
した褐変しないアスコルビン酸のエンジオール型酸化物
(以下NaOXAと称する)を食品に添加または混合し、食
品の褐変を防止する方法を発明した。以下に本発明を詳
しく説明する。
ねてきて、本出願人が既に特許出願(特願平1-19196)
した褐変しないアスコルビン酸のエンジオール型酸化物
(以下NaOXAと称する)を食品に添加または混合し、食
品の褐変を防止する方法を発明した。以下に本発明を詳
しく説明する。
本発明に使用されるNaOXAは下記の方法で製造でき
る。まず99.5%のエタノール1000lに対しアスコルビン
酸20g、活性炭24gを加え、室温で攪拌しながら酸素ガス
を通じる。エタノール溶液中の非解離型アスコルビン酸
による245nmの吸収ピークが消失し、デヒドロアスコル
ビン酸(以下DHAと称する)の低い230nmのピークが出現
することを確めてのち、活性炭を別し、液(DHAの
エタノール溶液)に、氷冷下、4%NaOHエタノール溶液
180mlを攪拌しながら徐々に加えると淡黄色の沈澱が析
出する。この沈澱を集め、低温99.5%エタノールで洗浄
後凍結乾燥して約18gの淡黄色の粉末(NaOXA)を得る。
る。まず99.5%のエタノール1000lに対しアスコルビン
酸20g、活性炭24gを加え、室温で攪拌しながら酸素ガス
を通じる。エタノール溶液中の非解離型アスコルビン酸
による245nmの吸収ピークが消失し、デヒドロアスコル
ビン酸(以下DHAと称する)の低い230nmのピークが出現
することを確めてのち、活性炭を別し、液(DHAの
エタノール溶液)に、氷冷下、4%NaOHエタノール溶液
180mlを攪拌しながら徐々に加えると淡黄色の沈澱が析
出する。この沈澱を集め、低温99.5%エタノールで洗浄
後凍結乾燥して約18gの淡黄色の粉末(NaOXA)を得る。
1gのアスコルビン酸をエタノール中で酸化してDHAと
し、エタノールを蒸発させて除去して、脱塩水に溶解
し、NaOHで中和した30mlの水溶液と1gのアスコルビン酸
から調製したNaOXAの300mlの中性水溶液について吸収ス
ペクトルをとると、第1図に示すように、NaOXA液(DHA
水溶液の10倍希釈に相当する)では345nmに高い吸収ピ
ークと265nmに低い吸収ピークを示す。DHA水溶液では極
めて低い吸収ピークが260nm付近にみられるだけであ
る。これらの吸収ピークはエンジオール基をラクトン環
内にもつ還元性化合物に特有なものであるから、NaOXA
中には大量のエンジオール化合物が存在することにな
る。
し、エタノールを蒸発させて除去して、脱塩水に溶解
し、NaOHで中和した30mlの水溶液と1gのアスコルビン酸
から調製したNaOXAの300mlの中性水溶液について吸収ス
ペクトルをとると、第1図に示すように、NaOXA液(DHA
水溶液の10倍希釈に相当する)では345nmに高い吸収ピ
ークと265nmに低い吸収ピークを示す。DHA水溶液では極
めて低い吸収ピークが260nm付近にみられるだけであ
る。これらの吸収ピークはエンジオール基をラクトン環
内にもつ還元性化合物に特有なものであるから、NaOXA
中には大量のエンジオール化合物が存在することにな
る。
アスコルビン酸ナトリウムとNaOXAのそれぞれ1%中
性水溶液を室温に放置すると、前者は2ケ月経過の頃よ
り褐変し始めるが、後者は4〜5ケ月間放置しても褐変
しない。またDHA水溶液は37℃に放置すると2〜3日で
強い褐変をおこすが、NaOXA水溶液は全く褐変しない。
すなわち、アスコルビン酸が酸化され易いことは周知の
事実であるが、その酸化物の中に褐変反応をおこし易い
ものと、おこし難いものがあることを見出した。NaOXA
は褐変反応をおこし難いアスコルビン酸の還元性エンジ
オール型酸化物を主成分とする。キサンチンが酸化され
て還元力の強い尿酸に、グロノラクトンが酸化されてア
スコルビン酸になるように、アスコルビン酸そのものも
至適条件下においては酸化されて新たな還元性化合物に
変化する。
性水溶液を室温に放置すると、前者は2ケ月経過の頃よ
り褐変し始めるが、後者は4〜5ケ月間放置しても褐変
しない。またDHA水溶液は37℃に放置すると2〜3日で
強い褐変をおこすが、NaOXA水溶液は全く褐変しない。
すなわち、アスコルビン酸が酸化され易いことは周知の
事実であるが、その酸化物の中に褐変反応をおこし易い
ものと、おこし難いものがあることを見出した。NaOXA
は褐変反応をおこし難いアスコルビン酸の還元性エンジ
オール型酸化物を主成分とする。キサンチンが酸化され
て還元力の強い尿酸に、グロノラクトンが酸化されてア
スコルビン酸になるように、アスコルビン酸そのものも
至適条件下においては酸化されて新たな還元性化合物に
変化する。
NaOXAの使用方法に関してはなんらの制約もない。す
なわち食品の形態、目的に合わせて使用出来る。例え
ば、NaOXAの粉末をそのまま使用しても良いし、水、グ
リセリン、プロピレングリコール、30%以上の水分を含
むエタノール、またはそれらの混合物に溶かして使用し
ても良い。また、食品に均一に添加しても良く、食品表
面に水溶液にして噴霧しても良い。食品への添加量は、
食品の形態、目的により一義的には決められないが、例
えば、溶液、ペースト状の食品であれば食品に対して0.
5〜0.01%の範囲で使用されるが、殊に0.1〜0.01%の範
囲で使用することが好ましい。以下、実施例1〜3につ
いてのべる。
なわち食品の形態、目的に合わせて使用出来る。例え
ば、NaOXAの粉末をそのまま使用しても良いし、水、グ
リセリン、プロピレングリコール、30%以上の水分を含
むエタノール、またはそれらの混合物に溶かして使用し
ても良い。また、食品に均一に添加しても良く、食品表
面に水溶液にして噴霧しても良い。食品への添加量は、
食品の形態、目的により一義的には決められないが、例
えば、溶液、ペースト状の食品であれば食品に対して0.
5〜0.01%の範囲で使用されるが、殊に0.1〜0.01%の範
囲で使用することが好ましい。以下、実施例1〜3につ
いてのべる。
実施例1 りんごの皮をむいたものを陶製のおろし器を用いてお
ろしりんごとした。このものに、すばやくNaOXA、アス
コルビン酸ナトリウム、食塩を各々、0.1%量添加し、1
5分後の変化を無添加のコントロールと比較した。さら
に4℃で1日保存した後の経時変化を調べてみた。褐変
防止効果は、10人のパネラーにより以下に示す4段階で
官能的に評価した。結果は第1表に各段階の評価をした
パネラーの人数で示す。
ろしりんごとした。このものに、すばやくNaOXA、アス
コルビン酸ナトリウム、食塩を各々、0.1%量添加し、1
5分後の変化を無添加のコントロールと比較した。さら
に4℃で1日保存した後の経時変化を調べてみた。褐変
防止効果は、10人のパネラーにより以下に示す4段階で
官能的に評価した。結果は第1表に各段階の評価をした
パネラーの人数で示す。
実施例2 実施例1と同様にりんごの皮をむいたものを陶製のお
ろし器を用いておろしりんごとする。このものにすばや
くNaOXA、アスコルビン酸ナトリウム、食塩を各々、0.1
%量添加し、吸引過した。冷蔵庫(4℃)で1日保存
後、色差計(日本電色工業株式会社製デジタル測色色差
計ND-504AA型)にてL値を測定した。L値は明度に対応
しており、大きな値(最大100)程、明度が高い。結果
は第2表に示す。
ろし器を用いておろしりんごとする。このものにすばや
くNaOXA、アスコルビン酸ナトリウム、食塩を各々、0.1
%量添加し、吸引過した。冷蔵庫(4℃)で1日保存
後、色差計(日本電色工業株式会社製デジタル測色色差
計ND-504AA型)にてL値を測定した。L値は明度に対応
しており、大きな値(最大100)程、明度が高い。結果
は第2表に示す。
実施例3 豚肩肉1.7kg、牛腿肉4kg、豚背脂肪1kgに対し、調味
料3.8%、香辛料0.6%を用い常法によりサラミソーセー
ジ製品試料とした。NaOXAは粉末品を0.01%使用した。
又、脂溶製抗酸化剤であるα−トコフェロールを0.01%
添加したものを作り、無添加のコントロールと比較し
た。
料3.8%、香辛料0.6%を用い常法によりサラミソーセー
ジ製品試料とした。NaOXAは粉末品を0.01%使用した。
又、脂溶製抗酸化剤であるα−トコフェロールを0.01%
添加したものを作り、無添加のコントロールと比較し
た。
35℃で1日保存後、実施例1と同じ評価方法で褐変の
防止効果を評価した。結果を第3表に示す。
防止効果を評価した。結果を第3表に示す。
(発明の効果) 以上述べた様にNaOXAは、アスコルビン酸と異なりそ
れ自体褐変しない還元剤であるため、その特性を利用し
て、全く新規な褐変防止剤として広く食品に使用するこ
とのできるものである。
れ自体褐変しない還元剤であるため、その特性を利用し
て、全く新規な褐変防止剤として広く食品に使用するこ
とのできるものである。
第1図には、1gのアスコルビン酸をエタノール中で酸化
してDHAとしてエタノールを蒸発させて除去して、脱塩
水に溶解し、NaOHで中和した30mlの水溶液と、1gのアス
コルビン酸から調製したNaOXAの300mlの中性水溶液につ
いての吸収スペクトルを示す。
してDHAとしてエタノールを蒸発させて除去して、脱塩
水に溶解し、NaOHで中和した30mlの水溶液と、1gのアス
コルビン酸から調製したNaOXAの300mlの中性水溶液につ
いての吸収スペクトルを示す。
Claims (1)
- 【請求項1】アスコルビン酸をエタノール中で酸化し、
アルカリ処理により析出するエンジオール型酸化物を添
加し、食品の褐変を防止する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1099719A JP2726489B2 (ja) | 1989-04-18 | 1989-04-18 | アスコルビン酸のエンジオール型酸化物による食品の褐変防止方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1099719A JP2726489B2 (ja) | 1989-04-18 | 1989-04-18 | アスコルビン酸のエンジオール型酸化物による食品の褐変防止方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02276563A JPH02276563A (ja) | 1990-11-13 |
JP2726489B2 true JP2726489B2 (ja) | 1998-03-11 |
Family
ID=14254883
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1099719A Expired - Fee Related JP2726489B2 (ja) | 1989-04-18 | 1989-04-18 | アスコルビン酸のエンジオール型酸化物による食品の褐変防止方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2726489B2 (ja) |
-
1989
- 1989-04-18 JP JP1099719A patent/JP2726489B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02276563A (ja) | 1990-11-13 |
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Legal Events
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