JPH0840389A - 船体への船尾管取付方法 - Google Patents

船体への船尾管取付方法

Info

Publication number
JPH0840389A
JPH0840389A JP19491394A JP19491394A JPH0840389A JP H0840389 A JPH0840389 A JP H0840389A JP 19491394 A JP19491394 A JP 19491394A JP 19491394 A JP19491394 A JP 19491394A JP H0840389 A JPH0840389 A JP H0840389A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stern tube
stern
resin
tube mounting
boss
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP19491394A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2757246B2 (ja
Inventor
Gosaburo Sugiyama
伍三郎 杉山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Harada Sangyo Co Ltd
Original Assignee
Harada Sangyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Harada Sangyo Co Ltd filed Critical Harada Sangyo Co Ltd
Priority to JP19491394A priority Critical patent/JP2757246B2/ja
Publication of JPH0840389A publication Critical patent/JPH0840389A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2757246B2 publication Critical patent/JP2757246B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Standing Axle, Rod, Or Tube Structures Coupled By Welding, Adhesion, Or Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 船尾管取付ナットを用いた構造に対して、樹
脂充填法を適用する。 【構成】 船体壁100に、筒状構造体からなるボス部
20と、円形の開口部115が形成された船尾隔壁11
0を取り付ける。続いて、開口部115とボス部20と
に、船尾管10を挿通させ、軸芯合わせの位置調節を行
う。外端部11の外周にはねじが形成されており、ここ
に船尾管取付ナット30を螺合させる。ボス部20と船
尾管10との間の空隙のうち、右側部分を封止用スポン
ジ41で塞ぎ、左側部分を封止リング42で塞ぎ、樹脂
注入孔23から樹脂を注入する。樹脂硬化後、船尾管取
付ナット30を締め付け方向に回転して取り付けを行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は船体への船尾管取付方
法、特に、船尾管取付ナットを用いて船尾管をボス部へ
取り付ける船尾管取付方法に関する。
【0002】
【従来の技術】造船工程において、船体へ船尾管を取り
付ける作業は、非常に大きな負担がかかる作業である。
船尾管は、プロペラ軸を回転自在に収容した管であるた
め、その軸芯を正確な位置に合わせて取り付ける必要が
ある。従来は、この船尾管の外径よりも、やや小さな内
径をもった筒状構造体からなるボス部を正確に位置合わ
せして船尾に固定し、船尾管をこのボス部の内側に圧入
する方法が採られていた。しかしながら、この圧入法を
行うには、船尾管に非常に大きな圧力をかけて、ボス部
の内側に押し込む必要があるため、かなり大掛かりな設
備が必要になる。特に、大型の船舶では、船尾管の径が
1m以上にも及ぶものもあり、圧入法を行うには、極め
て大掛かりな設備を必要としていた。
【0003】このような圧入法の問題点を解決するた
め、たとえば、特開昭53−26096号公報や、特開
昭57−191190号公報には、ボス部と船尾管との
間に樹脂を充填して硬化させる樹脂充填法が開示されて
いる。この方法では、船尾管の外径よりも、やや大きな
内径をもった筒状構造体からなるボス部を用意してお
き、このボス部の内側に船尾管を挿通させる。ボス部の
内径の方が船尾管の外径よりも大きいため、圧入法のよ
うに圧力をかけて挿入する必要はない。このように、ボ
ス部と船尾管との間には、ある程度の空間が確保される
ので、船尾管を挿通させた後に、自由に位置調節を行う
ことができる。こうして、軸芯を正確に合わせたら、ボ
ス部と船尾管との間の空間に樹脂を充填し、これを固化
させるのである。もちろん、船尾管はボス部に対して、
この樹脂のみによって固定されるわけではなく、通常
は、ボルトなどによって確実に固定されることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、船尾
管はボス部に対して、ボルトなどで固定されることが多
いが、ボルトを用いずに、船尾管取付ナットを用いて固
定する構造を採用するものもある。すなわち、船尾管の
外端部の外周にねじを形成しておき、ここに船尾管取付
ナットを螺合させ、この船尾管取付ナットによって船尾
管をボス部に締め付け固定するのである。このように船
尾管取付ナットを用いて固定する構造は、ビスなどで固
定を行う構造に比べて単純になり、取付作業も簡単にな
るため、比較的小形の船舶では、よく利用されている。
【0005】しかしながら、この船尾管取付ナットを用
いた構造に対しては、上述した樹脂充填法をそのまま適
用することができない。船尾管取付ナットによる固定を
行うには、船尾管取付ナットを回転させなくてはならな
い半面、このような回転を許容した状態で樹脂を充填さ
せると、封止が不完全になりやすく、樹脂が漏れ出るお
それがあるからである。
【0006】そこで本発明は、船尾管取付ナットを用い
た構造に対しても、樹脂充填法を適用することができる
船体への船尾管取付方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、船尾のボス部に、プロペ
ラ軸を収容する船尾管を取り付けるための方法におい
て、ほぼ全長にわたって第1の内径をもちつつ、外端部
の一部分が、第1の内径よりも大きな第2の内径をもつ
ような筒状構造体からなり、かつ、側面部分に樹脂注入
孔と空気排出孔とを有するボス部を船尾に用意し、この
ボス部とほぼ同軸上に配された開口部を有する船尾隔壁
を、ボス部とエンジンとの間に用意し、ほぼ全長にわた
って、第1の内径よりも小さく、かつ、船尾隔壁に配さ
れた開口部の内径よりも小さな外径をもち、内端部に船
尾隔壁に配された開口部の内径よりも大きな外径を有す
るフランジ部が形成され、外端部の外周部分にねじが形
成され、内部にプロペラ軸を収容する構造をもった船尾
管を用意し、船尾管の外端部に形成されたねじに螺合
し、かつ、第1の内径よりも大きく第2の内径よりも小
さな外径を有する船尾管取付ナットを用意し、船尾管の
外端部を、船尾隔壁の内側から外側に向かう方向に挿通
し、更に、ボス部の内側から外側に向かう方向に挿通
し、フランジ部を船尾隔壁に直接もしくは間接的に当接
させ、船尾管の軸芯を合わせるための位置調節を行い、
ボス部の内端部において、ボス部と船尾管との間に形成
される空間を、第1の封止材料で封止し、船尾管の外端
部に船尾管取付ナットを螺合させ、この船尾管取付ナッ
トの内端面が、ボス部の外端面付近に位置するように調
整し、ボス部の外端部において、ボス部と船尾管取付ナ
ットとの間に形成される空間を、第2の封止材料で封止
し、空気排出孔から空気を排出しつつ、樹脂注入孔から
樹脂を注入し、船尾管の外面とボス部の内面との間に形
成される空間に樹脂を充填し、樹脂が硬化した後、船尾
管取付ナットを締め付け方向に回転させて、船尾管を船
体に取り付けるようにしたものである。
【0008】(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1
の態様に係る船尾管取付方法において、第2の封止材料
として、船尾管取付ナットの外径にほぼ等しい内径を有
し、かつ、ボス部の第2の内径よりも大きな外径をもっ
た封止リングを用い、船尾管の取付作業が完了した後、
この封止リングをボス部および船尾管取付ナットに溶接
するようにしたものである。
【0009】(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1
または第2の態様に係る船尾管取付方法において、船尾
管取付ナットの内端面に、硬化した樹脂層の表面に対し
て剥離する性質をもった剥離剤を塗布しておくようにし
たものである。
【0010】
【作 用】本発明に係る船尾管取付方法で用いる船尾管
には、その内端部にフランジ部が形成され、外端部に船
尾管取付ナットが取り付けられ、このフランジ部と船尾
管取付ナットとによって両端が確実に固定されることに
なる。この船尾管は、筒状構造体からなるボス部の内側
に取り付けられることになるが、ここで用いるボス部
は、その内径に特徴をもっている。すなわち、このボス
部は、ほぼ全長にわたって第1の内径をもちつつ、外端
部の一部分が、第1の内径よりも大きな第2の内径をも
つような筒状構造体からなる。別言すれば、外端部にお
いて内径が広がっていることになる。また、船尾管取付
ナットの外径は、この広がった部分の内径(第2の内
径)よりも小さいため、ボス部の外端面において、ボス
部と船尾管取付ナットとが接触することはない。結局、
ボス部と船尾管取付ナットとを非接触の状態に保ちなが
ら、軸芯を合わせる位置調節作業を行うことができる。
ボス部は外端部において内径が広がっているため、軸芯
合わせ作業によって、船尾管がボス部に対してかなり偏
心して取り付けられるようになっても、ボス部と船尾管
取付ナットとを非接触の状態に保つことができる。
【0011】位置合わせが完了したら、船尾管とボス部
との間に樹脂を充填させるが、このとき、両端面の空隙
を封止材料によって塞ぐため、樹脂が外部に漏れ出るこ
とはない。樹脂が硬化したら、船尾管取付ナットを締め
付け方向に回転させ、硬化した樹脂面を締め付けるよう
にし、船尾管の確実な固定を行えばよい。
【0012】なお、外端部側の封止材料として、船尾管
取付ナットの外径にほぼ等しい内径を有し、かつ、ボス
部の第2の内径よりも大きな外径をもった封止リングを
用いると、空隙を簡単に塞ぐことができる。また、船尾
管取付ナットの内端面に、硬化した樹脂層の表面に対し
て剥離する性質をもった剥離剤を塗布しておくと、樹脂
硬化後に、船尾管取付ナットを、硬化した樹脂面から剥
離した状態に保つことができ、締め付け作業が容易にな
る。
【0013】
【実施例】以下、本発明を図示する実施例に基づいて説
明する。図1は、本発明に係る取付方法を用いて船尾管
の取り付けを行った状態の一例を示す船尾部分の側面図
であり、部分的に断面構造を示してある。図に断面を示
す船体壁100は、この船舶の外壁をなす鋼鉄製の構造
体であり、図には船尾部分だけが示されている。船尾隔
壁110は、船体内の船尾部分を隔絶するための内壁で
あり、図示のように、船尾管10を挿通させるための円
形の開口部115が形成されている。
【0014】船尾管10は、内部にプロペラ軸15を収
容する鋼鉄製の管である。船尾管10の内側面とプロペ
ラ軸15との間には、ベアリング部材が装填されている
が、ここでは、図が繁雑になるため、このベアリング部
材についての図示は省略してある。船尾管10は、ほぼ
全長にわたって同一の外径を有する円筒状の管であり、
外端部11は、船体壁100の外部に突き出ることにな
る。一方、内端部には、外径が開口部115の径よりも
大きなフランジ部12が形成されている。このフランジ
部12と船尾隔壁110との間には、シートリング13
が配置されており、フランジ部12はこのシートリング
13にビス14によって固着されている。また、シート
リング13は、船尾隔壁110に溶接固定されている。
【0015】なお、本明細書では、船舶の内側により近
い側の端を「内端部」、外側により近い側の端を「外端
部」と呼ぶことにする。図1に示す構造では、船尾隔壁
110の右側に機関台が設置され、この機関台上に、こ
の船舶の動力源となるエンジンが取り付けられており、
プロペラ軸15の右端が、このエンジンの回転軸に接続
されることになる。一方、プロペラ軸15の左端は、船
体壁100の外部に導出されており、ここにプロペラが
取り付けられる。したがって、図1のプロペラ軸15に
沿って配置された部材については、右端が「内端部」、
左端が「外端部」ということになる。また、特に、これ
ら各部材の右側の端面を「内端面」、左側の端面を「外
端面」と呼ぶことにする。
【0016】ボス部20は、船尾の船体壁100に溶接
固定された筒状構造体であり、その内部に船尾管10が
取り付けられることになる。この実施例では、ボス部2
0の外径は、外端部21から内端部22に至るまで同一
になっている。但し、内径については、ほぼ全長にわた
って、船尾管10の外径よりも大きな第1の内径をもち
つつ、外端部21だけが、第1の内径よりも更に大きな
第2の内径をもつような構造になっている。また、ボス
部20の側面部分には、樹脂注入孔23と空気排出孔2
4とが形成されている。図1では、船尾管10とボス部
20との空隙部分に、樹脂Rが充填された状態が示され
ているが、この樹脂Rは、樹脂注入孔23から注入され
たものであり、空気排出孔24は、この注入作業時にお
ける空気抜きとして機能する。
【0017】結局、船尾管10は、内端部12が船尾隔
壁110に形成された開口部115によって支持され、
外端部11がボス部20によって支持されていることに
なる。したがって、ボス部20の円筒としての中心と、
開口部115の中心とは、同軸上に配置されるように位
置調節がなされている。もっとも、開口部115と船尾
管10との間には、若干の空隙が形成されるようになっ
ており、ボス部20と船尾管10との間にも、図1にお
いて樹脂Rが充填されている空間が確保されているの
で、ボス部20と開口部115との軸合わせが多少ずれ
ていても問題はない。
【0018】一方、船尾管10の外端部11の外周部分
にはねじが形成されており、このねじに、船尾管取付ナ
ット30が螺合している。この船尾管取付ナット30の
外径は、ボス部20の第1の内径よりも大きく、第2の
内径よりも小さい。この船尾管取付ナット30は、硬化
した樹脂Rの外端面に接触しており、この船尾管取付ナ
ット30を十分に締め付けることにより、船尾管10が
船体に固着されることになる。
【0019】後述するように、樹脂注入孔23から樹脂
を注入するときには、ボス部20の内端部22の空隙に
は、封止用スポンジ41が詰め込まれ、ボス部20の外
端部21の空隙には、封止リング42が取り付けられる
ことになる。また、樹脂注入前に、船尾管10の軸芯合
わせを行うために、ジャッキボルト51,52が利用さ
れる。
【0020】以上、図1を参照しながら、本発明に係る
方法で船尾管の取付作業を完了した状態の構造を示した
が、続いて、本発明に係る取り付け方法を、手順を追っ
て説明する。まず、上述したような構造をもった船尾管
10、ボス部20、船尾管取付ナット30、を用意し、
ボス部20を船体壁100に溶接して固着する。一方、
開口部115をもった船尾隔壁110を船体内に構築す
る。続いて、シートリング13を、船尾隔壁110の開
口部115周辺に溶接するが、このとき、ボス部20と
の軸合わせを行うようにする。必要があれば、シートリ
ング13の船尾隔壁110に対する接合面を機械加工
し、正しい位置に安定して配置できるようにする。な
お、このような軸合わせを行う手法としては、プロペラ
軸15の中心位置にピアノ線を張り、コンパスを用いて
このピアノ線から等距離の位置を測定する方法が公知で
ある。
【0021】続いて、船尾管10を開口部115および
ボス部20内に挿通させる。すなわち、船尾隔壁110
の内側(図1の右側)から外側(図1の左側)へ向かっ
て、船尾管10の外端部11を開口部115に挿通し、
更に、ボス部20の内端部22から外端部21へ向かう
方向に挿通する。なお、図1には、船尾管10内にプロ
ペラ軸15を収容した状態が示されているが、プロペラ
軸15は、船尾管10の取り付けが完了した後に収容さ
れるものであり、この段階では、船尾管10内にはプロ
ペラ軸15は収容されていない。船尾管10を上述のよ
うに挿通すると、フランジ部12はシートリング13に
当接することになる。この時点では、樹脂Rはまだ注入
されていないため、船尾管10とボス部20との間に
は、空隙が確保された状態になっている。そこで、船尾
管10の軸芯を合わせるための位置調節を行う。このよ
うな位置調節を行うために、ジャッキボルト51,52
が利用される。図1では、外端部11側の位置調節を行
うためのジャッキボルト51をボス部20に溶接し、内
端部(フランジ部)12側の位置調節を行うためのジャ
ッキボルト52を船尾隔壁110に溶接している。な
お、図には、ジャッキボルト51,52を1組ずつしか
示していないが、実際には、船尾管10を取り囲むよう
に複数箇所にジャッキボルト51,52が配置され、ボ
ルトを回転させることにより、船尾管10の位置を微調
整できるようにしている。なお、ジャッキボルト51は
船外に取り付けられているので、最終的には除去される
ことになる。
【0022】さて、船尾管10の位置調節が完了した
ら、樹脂の充填を行う。この樹脂の充填工程を図2の拡
大図を用いて説明しよう。図2では、船尾管10の側面
と、ボス部20および船尾管取付ナット30の断面が示
されている。船尾管10とボス部20との間には、空隙
部Hが確保されており、樹脂はこの空隙部Hに充填され
ることになる。この充填工程において樹脂が流れ出さな
いようにするためには、両端を封止する必要がある。そ
こで、まず、内端部22側を封止用スポンジ41によっ
て封止する。この封止用スポンジ41は、細長い縄状の
スポンジであり、充填する樹脂を封止するのに十分に密
な構造を有する。この封止用スポンジ41を、船尾管1
0の外周部に沿って詰めてゆけば、図2に示すように、
内端部22側の空隙を封止することができる。
【0023】一方、外端部21側の空隙については、次
のような封止処理を行う。まず、図2に示すように、船
尾管取付ナット30を、船尾管10の外端部11に形成
されたねじに螺合させる。このとき、船尾管取付ナット
30は、締め付け状態にはなっておらず、自由に回転し
うる状態になっている。ただ、船尾管取付ナット30の
内端面(図の右側の端面)が、ボス部20の外端面(図
の左側の端面)付近に位置するようにしておく。そし
て、更に、この船尾管取付ナット30の外周部分に、第
1の封止リング42と第2の封止リング43を嵌める。
これらの封止リング42,43は、いずれも、船尾管取
付ナット30の外径にほぼ等しい内径を有するワッシャ
状の金属リングである。この第1の封止リング42,4
3による封止状態を、図3の拡大断面図に示してある。
第1の封止リング42は、単なるワッシャ状の金属リン
グであるが、第2の封止リング43は、その内側に封止
用Oリング44が設けられたリングである。図3に示す
ように、船尾管取付ナット30の外周に、第1の封止リ
ング42、第2の封止リング43の順に嵌め、図の矢印
Fに示す方向から押圧力をかけて(図示していないが、
ねじ機構をもった一般的な押圧手段を用いればよい)、
図示した位置に保持する。
【0024】こうして、ボス部20の両端部の空隙を封
止したら、樹脂注入孔23から樹脂を注入する。この実
施例では、米国フィラデルフィア・レジンズ・コーポレ
ーション(Philadelphia Resins Corporation )社製の
「チョックファースト(Chockfast)」(登録
商標)なる樹脂を用いている。実際の作業では、ボス部
20の外端部21側を内端部22側よりも低く保ち、樹
脂注入孔23から樹脂を注入してゆくことにより、外端
部21側の空隙部Hから樹脂が徐々に充填されるように
し、空気排出孔24から空気が排出されるようにしてい
る。図3は、このようにして、樹脂が充填された状態を
示している。結局、全体としては、図2の空隙部H内に
すべて樹脂が充填されることになる。図1には、こうし
て樹脂が硬化した状態が示されている。
【0025】さて、樹脂が硬化したら、船尾管取付ナッ
ト30を締め付け方向に回転させて、樹脂Rの外端面に
対して圧力が加わるようにする。結局、船尾管10は、
内端部はフランジ部12と船尾隔壁110との係合によ
り固定され、外端部11は船尾管取付ナット30と樹脂
Rとの係合により固定されることになる。最後に、この
実施例では、第2の封止リング43を取り外し、残った
第1の封止リング42を、ボス部20の外端部21およ
び船尾管取付ナット30の外周部に溶接するようにして
いる。
【0026】なお、一般に樹脂は接着剤として機能する
ため、図3に示すように、樹脂Rが硬化すると、この樹
脂に接触している船尾管取付ナット30の内端面および
第1の封止リング42の内端面は、硬化した樹脂Rに接
着された状態になってしまう。すると、船尾管取付ナッ
ト30を締め付けるために回転させることができなくな
ってしまうので、本実施例では、船尾管取付ナット30
の内端面および第1の封止リング42の内端面に、樹脂
充填前に、硬化した樹脂層の表面に対して剥離する性質
をもった剥離剤を塗布しておくようにしている。具体的
には、本実施例では、日本石油株式会社製の「PANW
B」なるグリス(200℃程度までグリスとしての粘性
を有する)を塗布している。なお、船尾管取付ナット3
0の内端面だけでなく、第1の封止リング42の内端面
にもグリスを塗布しておくのは、樹脂硬化後に、第1の
封止リング42が樹脂Rに接着された状態になっている
と、船尾管取付ナット30を回転させる作業をスムーズ
に行うことができなくなるためである。
【0027】樹脂充填作業を行う前における船尾管取付
ナット30の位置としては、充填した樹脂が漏れ出ない
ように、ボス部20の外端部21付近の、ボス部20に
対していくらか空隙が確保される位置にもってくるよう
にすればよいが、好ましくは、図3に示すように、平面
Sの位置に、ボス部20の外端面、船尾管取付ナット3
0の内端面、第1の封止リング42の内端面、がそれぞ
れ揃うような位置合わせを目安にするとよい。
【0028】この取り付け方法の大きなメリットは、船
尾管10がボス部20に対して偏心して取り付けられた
場合にも、十分に対処できるという点である。図3に示
されているように、ボス部20の外端部21では、他の
部分に比べて内径がやや大きくなっている。このため、
硬化後の樹脂Rと船尾管取付ナット30との間に十分な
接触面を確保することができ、確実な固定ができるよう
になっている。しかも、船尾管10をボス部20に対し
て軸芯合わせした結果、偏心した位置に取り付けられる
ことになったとしても、この外端部21に形成された樹
脂Rは、占有領域が大きくなるため、船尾管取付ナット
30と樹脂Rとの面接触が確実に行われるのである。
【0029】
【発明の効果】以上のとおり、本発明に係る船体への船
尾管取付方法によれば、船尾管取付ナットを用いた構造
に対しても、樹脂充填法を適用することができるように
なるため、特に、小形船舶などの船尾管取付作業が簡便
化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る取付方法を用いて船尾管の取り付
けを行った状態の一例を示す船尾部分の側面図であり、
部分的に断面構造を示してある。
【図2】図1の一部分を拡大して示す図である。
【図3】図2の一部分を更に拡大して示す図である。
【符号の説明】
10…船尾管 11…船尾管の外端部 12…船尾管の内端部(フランジ部) 13…シートリング 14…取り付けビス 15…プロペラ軸 20…ボス部 21…ボス部の外端部 22…ボス部の内端部 23…樹脂注入孔 24…空気排出孔 30…船尾管取付ナット 41…封止用スポンジ 42…第1の封止リング 43…第2の封止リング 44…封止用Oリング 51,52…ジャッキボルト 100…船体壁 110…船尾隔壁 115…開口部 F…押圧力 H…空隙部 R…樹脂 S…平面

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船尾のボス部に、プロペラ軸を収容する
    船尾管を取り付けるための方法であって、 ほぼ全長にわたって第1の内径をもちつつ、外端部の一
    部分が、前記第1の内径よりも大きな第2の内径をもつ
    ような筒状構造体からなり、かつ、側面部分に樹脂注入
    孔と空気排出孔とを有するボス部を船尾に用意し、 前記ボス部とほぼ同軸上に配された開口部を有する船尾
    隔壁を、前記ボス部とエンジンとの間に用意し、 ほぼ全長にわたって、前記第1の内径よりも小さく、か
    つ、前記船尾隔壁に配された開口部の内径よりも小さな
    外径をもち、内端部に前記開口部の内径よりも大きな外
    径を有するフランジ部が形成され、外端部の外周部分に
    ねじが形成され、内部にプロペラ軸を収容する構造をも
    った船尾管を用意し、 前記船尾管の外端部に形成されたねじに螺合し、かつ、
    前記第1の内径よりも大きく前記第2の内径よりも小さ
    な外径を有する船尾管取付ナットを用意し、 前記船尾管の外端部を、前記船尾隔壁の内側から外側に
    向かう方向に挿通し、更に、前記ボス部の内側から外側
    に向かう方向に挿通し、前記フランジ部を前記船尾隔壁
    に直接もしくは間接的に当接させ、前記船尾管の軸芯を
    合わせるための位置調節を行い、 前記ボス部の内端部において、前記ボス部と前記船尾管
    との間に形成される空間を、第1の封止材料で封止し、 前記船尾管の外端部に前記船尾管取付ナットを螺合さ
    せ、この船尾管取付ナットの内端面が、前記ボス部の外
    端面付近に位置するように調整し、 前記ボス部の外端部において、前記ボス部と前記船尾管
    取付ナットとの間に形成される空間を、第2の封止材料
    で封止し、 前記空気排出孔から空気を排出しつつ、前記樹脂注入孔
    から樹脂を注入し、前記船尾管の外面と前記ボス部の内
    面との間に形成される空間に樹脂を充填し、 前記樹脂が硬化した後、前記船尾管取付ナットを締め付
    け方向に回転させて、前記船尾管を船体に取り付けるこ
    とを特徴とする船体への船尾管取付方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の船尾管取付方法におい
    て、 第2の封止材料として、船尾管取付ナットの外径にほぼ
    等しい内径を有し、かつ、ボス部の第2の内径よりも大
    きな外径をもった封止リングを用い、船尾管の取付作業
    が完了した後、この封止リングをボス部および船尾管取
    付ナットに溶接することを特徴とする船体への船尾管取
    付方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の船尾管取付方
    法において、 船尾管取付ナットの内端面に、硬化した樹脂層の表面に
    対して剥離する性質をもった剥離剤を塗布しておくこと
    を特徴とする船体への船尾管取付方法。
JP19491394A 1994-07-27 1994-07-27 船体への船尾管取付方法 Expired - Lifetime JP2757246B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19491394A JP2757246B2 (ja) 1994-07-27 1994-07-27 船体への船尾管取付方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19491394A JP2757246B2 (ja) 1994-07-27 1994-07-27 船体への船尾管取付方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0840389A true JPH0840389A (ja) 1996-02-13
JP2757246B2 JP2757246B2 (ja) 1998-05-25

Family

ID=16332430

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19491394A Expired - Lifetime JP2757246B2 (ja) 1994-07-27 1994-07-27 船体への船尾管取付方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2757246B2 (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003500293A (ja) * 1999-05-31 2003-01-07 スヴェンスカ ベアリング アーベー 船尾管の取付け方法
JP2005510702A (ja) * 2001-11-26 2005-04-21 エマーソン エレクトリック カンパニー フッ化ポリマーで作られている流管を有する流量計の製造
KR100788036B1 (ko) * 2007-07-30 2007-12-24 지씨테크(주) 스턴튜브 부시 유니트 설치공법
JP2009012746A (ja) * 2007-07-04 2009-01-22 Gc Tech Co Ltd 船尾管ブッシュユニット及びその設置方法
KR100917872B1 (ko) * 2007-08-31 2009-09-29 (주)울산해양개발 선박의 스턴튜브 패킹 교체 작업장치 및 이를 이용한스턴튜브 패킹 교체방법
KR200446027Y1 (ko) * 2007-08-31 2009-09-30 (주)울산해양개발 선박의 스턴튜브 패킹 교체 작업장치
CN104139832A (zh) * 2014-07-14 2014-11-12 上海江南长兴造船有限责任公司 一种船舶与海洋工程上整体艉轴管的安装方法
CN109911164A (zh) * 2019-04-03 2019-06-21 江龙船艇科技股份有限公司 一种尾轴架连接结构及其施工工艺
CN112339969A (zh) * 2020-09-29 2021-02-09 沪东中华造船(集团)有限公司 一种船舶安装尾管密封装置校中安装系统
CN112389618A (zh) * 2020-12-20 2021-02-23 江龙船艇科技股份有限公司 一种船用尾轴固定装置及其安装工艺

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003500293A (ja) * 1999-05-31 2003-01-07 スヴェンスカ ベアリング アーベー 船尾管の取付け方法
JP2005510702A (ja) * 2001-11-26 2005-04-21 エマーソン エレクトリック カンパニー フッ化ポリマーで作られている流管を有する流量計の製造
JP2009012746A (ja) * 2007-07-04 2009-01-22 Gc Tech Co Ltd 船尾管ブッシュユニット及びその設置方法
KR100788036B1 (ko) * 2007-07-30 2007-12-24 지씨테크(주) 스턴튜브 부시 유니트 설치공법
KR100917872B1 (ko) * 2007-08-31 2009-09-29 (주)울산해양개발 선박의 스턴튜브 패킹 교체 작업장치 및 이를 이용한스턴튜브 패킹 교체방법
KR200446027Y1 (ko) * 2007-08-31 2009-09-30 (주)울산해양개발 선박의 스턴튜브 패킹 교체 작업장치
CN104139832A (zh) * 2014-07-14 2014-11-12 上海江南长兴造船有限责任公司 一种船舶与海洋工程上整体艉轴管的安装方法
CN109911164A (zh) * 2019-04-03 2019-06-21 江龙船艇科技股份有限公司 一种尾轴架连接结构及其施工工艺
CN112339969A (zh) * 2020-09-29 2021-02-09 沪东中华造船(集团)有限公司 一种船舶安装尾管密封装置校中安装系统
CN112339969B (zh) * 2020-09-29 2023-12-08 沪东中华造船(集团)有限公司 一种船舶安装尾管密封装置校中安装系统
CN112389618A (zh) * 2020-12-20 2021-02-23 江龙船艇科技股份有限公司 一种船用尾轴固定装置及其安装工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JP2757246B2 (ja) 1998-05-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100767787B1 (ko) 스턴튜브 부시 유니트 및 그 설치 방법
JPH0840389A (ja) 船体への船尾管取付方法
US4620731A (en) Apparatus for sealing pipe flanges
JP3415351B2 (ja) 複合碍管の芯筒とフランジ金具との圧入接合方法
JP3037391U (ja) 船体における船尾管支持構造体
JP3141581B2 (ja) 船尾管軸受装置
US6246851B1 (en) Photoreceptor drum
JP2003055911A (ja) 斜材ケーブルのサドル出口部における構造
JPH06288478A (ja) バタフライ弁
EP3992476A1 (fr) Entretoise et kit de fixation pour parement extérieur
JP2583371Y2 (ja) 動力伝達軸
JPH112387A (ja) 配管フランジ接続部の補修方法
JPH09269090A (ja) 配管フランジ部のガス漏洩防止構造
JPH11293918A (ja) 先付け防水地下壁の構築工法及び該構築工法に適用されるセパレータ装置
JP3054281U (ja) 船尾管軸受の樹脂密閉構造
JP4202558B2 (ja) 配管フランジ取付具及び配管フランジ取付方法並びにこれを使用したfrpタンクの製造方法
JPH09310713A (ja) ボルト締結継手
JPS61223330A (ja) 舶用推進軸のフランジ接続方法
JP4278264B2 (ja) 木質棒状体固定方法
KR100867430B1 (ko) 스턴튜브 부시유니트 및 그 설치방법
JPH07269025A (ja) 打ち継ぎ工法
JPH0244136Y2 (ja)
JPH0829581A (ja) 圧力容器開口密閉装置
JP2002160697A (ja) 船体における船尾管ブッシュの取付方法および交換方法
JP3851427B2 (ja) 二次覆工用裏込め材の注入体の固定方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130313

Year of fee payment: 15

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 15

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130313

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 17

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150313

EXPY Cancellation because of completion of term