JPH0838582A - 洗浄消毒方法およびそれに用いられる洗浄消毒装置 - Google Patents

洗浄消毒方法およびそれに用いられる洗浄消毒装置

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JPH0838582A
JPH0838582A JP6175355A JP17535594A JPH0838582A JP H0838582 A JPH0838582 A JP H0838582A JP 6175355 A JP6175355 A JP 6175355A JP 17535594 A JP17535594 A JP 17535594A JP H0838582 A JPH0838582 A JP H0838582A
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JP
Japan
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cleaning
current
disinfecting
negative electrode
reversing
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Application number
JP6175355A
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English (en)
Inventor
Satoru Matsumoto
悟 松本
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Tomey Technology Corp
Original Assignee
Tomey Technology Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電極表面に化学的処理を施すことなく、通電
初期から過酸化物を安定して大量に発生させることによ
って、短時間で、しかも効果的に被洗浄体を洗浄消毒す
る洗浄消毒方法を提供すること。 【構成】 電解質を含む処理液に被洗浄体を浸漬して直
流電流を通じる洗浄消毒方法であって、正極と負極とを
洗浄消毒処理中に1回または複数回繰り返して逆転させ
て正極と負極との間に直流電流を通じる際に、少なくと
も一方向に流れる電流を該電流が流れる方向での最大電
流値から0の範囲内で振動させることを特徴とする洗浄
消毒方法およびそれに用いられる洗浄消毒装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、洗浄消毒方法およびそ
れに用いられる洗浄消毒装置に関する。さらに詳しく
は、たとえばナイフ、皿、コップなどの食器類、注射
器、医療用はさみ、医療用ピンセット、歯科用充填器、
歯科用ユニット、視力補正用レンズなどの医療用具など
の被洗浄体を処理液に浸漬し、該処理液中に直接電流を
通じることによって被洗浄体を洗浄消毒する方法に関す
る。とくに、コンタクトレンズなどの視力補正用レンズ
の洗浄消毒に好適に使用しうる洗浄消毒方法およびそれ
に用いられる洗浄消毒装置に関する。
【0002】
【従来の技術】医療用具は、一般にヒトや動物の疾病の
診断、治療や予防などに用いられており、ヒトや動物の
からだの構造や機能に影響を及ぼすことが目的とされて
いるため、該医療用具の洗浄消毒には充分に留意しなけ
ればならない。これら医療用具のなかでも、たとえば医
療用ピンセット、医療用はさみ、歯科用入れ歯などは、
物理的な洗浄では細かな隙間までを充分に洗浄すること
ができないので、強力な洗浄力を有する洗浄剤に浸漬し
たのち、すすぎを充分に行なわなければならず、また強
力な洗浄力を有する洗浄剤を扱うので、皮膚に対して刺
激があったり、衣服についたときに衣服が脱色されたり
するという欠点がある。
【0003】また、コンタクトレンズには、その装用に
伴って環境中の汚れ、微生物、涙液中の蛋白質などが付
着するので、そのまま長期間目に装用し続けると目の障
害を起こすおそれがある。このため、これを定期的に、
好ましくは毎日洗浄したり、消毒する必要がある。
【0004】前記コンタクトレンズの洗浄方法として
は、従来、界面活性剤入りの溶剤を用いて手指により洗
浄する方法が行なわれているが、かかる洗浄方法では、
表面の汚れを取り除くことが可能であるが、たとえばハ
ードコンタクトレンズに適用したばあいには、洗浄中に
破損したり、傷が入るおそれがあり、また含水性ソフト
コンタクトレンズに適用したばあいには、該含水性ソフ
トコンタクトレンズの内部に入り込んでいる蛋白質など
の汚れを完全に除去することができない。このように内
部に入り込んでいる蛋白質などの汚れが残っている状態
で含水性ソフトコンタクトレンズを煮沸消毒したばあい
には、該含水性ソフトコンタクトレンズ内部に入り込ん
でいる蛋白質の変性や凝固が進み、変性した蛋白質や凝
固した蛋白質がさらに含水性ソフトコンタクトレンズに
強く固着することになり、その結果、該含水性ソフトコ
ンタクトレンズに白濁が生じるという問題がある。
【0005】従来、蛋白質に汚染されたコンタクトレン
ズの洗浄剤としては、蛋白質分解酵素を含む洗浄剤が知
られている。しかし、この洗浄剤を用いたばあいには、
コンタクトレンズの表面に付着した蛋白質を分解するこ
とができるが、洗浄効果の発現には長時間を要する。と
くに、該洗浄剤を用いて含水性ソフトコンタクトレンズ
を洗浄したばあいには、含水性ソフトコンタクトレンズ
内部で変性している蛋白質を分解させるためには、蛋白
質分解酵素自体も含水性ソフトコンタクトレンズ内部に
侵入させなければならないので、ハードコンタクトレン
ズよりもさらに長時間の処理が必要であるばかりか、充
分な蛋白質除去効果を期待することができない。
【0006】また、米国特許第4,732,185 号明細書に
は、ホウ酸−EDTA緩衝液に一定方向の電場を形成さ
せてコンタクトレンズを浸漬して電気泳動によって蛋白
質を除去し、洗浄する方法が記載されている。しかしな
がら、この方法を有効に行なうためには、蛋白質が変性
しておらず、しかもイオン化された状態であることが必
要であり、また処理に要する時間が長時間であるなどの
問題点がある。また、かかる方法では、蛋白質が熱変性
しないようにするために加熱することができず、ホウ酸
を用いたばあいには、その消毒力が弱いので、コンタク
トレンズを充分に消毒することができない。
【0007】一方、含水性ソフトコンタクトレンズの消
毒方法としては、前記煮沸消毒をする方法のほかに、特
開昭56-68454号公報および特開昭57-153658 号公報に記
載されているような食塩水中に含水性ソフトコンタクト
レンズを浸漬し、電流を流すことにより次亜塩素酸塩を
生成させて消毒する方法や、特開昭58-38559号公報、特
開昭60- 68858 号公報および特開昭60- 217333号公報に
記載されているような含水性ソフトコンタクトレンズを
2 2 水溶液に浸漬して消毒し、金属触媒、還元剤お
よび酵素触媒を用いてH2 2 を分解させ、無毒化する
方法などが知られている。
【0008】しかし、電気分解によって次亜塩素酸塩を
生成させる方法では、処理後に処理槽内に残存する次亜
塩素酸塩が自然消失するまでには時間がかかり、また次
亜塩素酸塩が含水性ソフトコンタクトレンズ中に残存し
ないようにするためには、該次亜塩素酸塩を還元しなけ
ればならないので、その操作が煩雑であり、しかもカラ
ーコンタクトレンズや染色によってマーキングが施され
たコンタクトレンズにかかる処理を施したばあいには、
コンタクトレンズの色やマークが前記処理によって脱色
されてしまうという問題がある。
【0009】また、前記H2 2 水溶液を用いる方法
は、含水性ソフトコンタクトレンズの内部に残存するH
2 2 が完全に分解されていないばあいには、装用時に
目にしみるなどの障害があり、またH2 2 の中和操作
が煩雑であるという問題がある。
【0010】また、国際公開第91/04060 号パンフレッ
ト(1991)には、電気分解によって次亜ハロゲン酸塩を
発生しない電解質溶液にソフトコンタクトレンズを浸漬
し、直流電流を通じることによって、ソフトコンタクト
レンズの表面とその内部から蛋白質を除去し、同時に処
理液の温度を80〜100 ℃に上昇させることによってソフ
トコンタクトレンズの加熱消毒を行なうソフトコンタク
トレンズの洗浄消毒方法が記載されている。
【0011】さらに、本発明者は、特開平6-14978 号公
報に記載されているように、電気分解によって次亜ハロ
ゲン酸塩を発生しない電解質溶液にソフトコンタクトレ
ンズを浸漬して直流電流を通じ、一対の電極の正極と負
極とを処理中に複数回繰り返して逆転させて該電極に直
流電流を通じて過酸化物を発生させることを特徴とする
洗浄殺菌方法を開発している。かかる洗浄殺菌方法によ
れば、発生する過酸化物によって殺菌消毒が行なわれ、
また付着した蛋白質を電気泳動によって除去することが
できるので、処理液の液温を75℃以下の比較的低温にす
ることができるため、ソフトコンタクトレンズの熱によ
る材質の劣化を防ぐことができる。
【0012】前記方法に用いられる電極材料としては、
一対の電極が経時的にそれぞれ交互に正極または負極に
変化しても電極反応によって溶解しがたいイオン化傾向
が小さい材料が好ましく、たとえば金、白金などの貴金
属、金、白金などの貴金属のメッキ処理または蒸着処理
が施された合成樹脂、セラミックなどが用いられてい
る。しかしながら、かかる電極を用いて過酸化物を発生
させたばあいには、通電初期には過酸化物量が少ないた
め、ソフトコンタクトレンズの洗浄消毒効果が発現しが
たいという問題がある。また、過酸化物の総発生量が少
量であるため、処理終了後のソフトコンタクトレンズの
洗浄消毒が不充分となるという問題がある。
【0013】かかる問題を解決し、通電初期から安定し
てより大量の過酸化物を発生させるためには、電極表面
にたとえば化学的処理を施して電極表面をより活性化さ
せるなどの方法が考えられる。
【0014】しかしながら、かかる方法を用いたばあい
には、電極に化学的処理を行なうための設備や工程が必
要となるため、電極のコストが必然的に高くなり、また
電極の品質管理が煩雑になるなどの問題が生じる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、電極表面に化学的処理
を施すことなしに、通電初期から過酸化物を安定して大
量に発生させることによって、従来の方法と比べて、短
時間で、しかも効果的にコンタクトレンズなどの被洗浄
体に洗浄消毒処理を施すことができる洗浄消毒方法およ
びそれに用いられる洗浄消毒装置を提供することを目的
とする。
【0016】さらに、本発明は、医療用具のなかでもと
くにコンタクトレンズに付着または内在した蛋白質を除
去し、100 ℃以下、好ましくは80℃以下の比較的低温で
該コンタクトレンズを洗浄消毒しうる洗浄消毒方法およ
びそれに用いられる洗浄消毒装置を提供することを目的
とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、電
解質を含む処理液に被洗浄体を浸漬して直流電流を通じ
る洗浄消毒方法であって、正極と負極とを洗浄消毒処理
中に1回または複数回繰り返して逆転させて正極と負極
との間に直流電流を通じる際に、少なくとも一方向に流
れる電流を該電流が流れる方向での最大電流値から0の
範囲内で振動させることを特徴とする洗浄消毒方法およ
び少なくとも一対の電極が設けられ、被洗浄体を浸漬さ
せ、電解質を含む処理液を満たすための処理層と、電極
に電力を供給するための駆動部とを有する洗浄消毒装置
であって、該駆動部が、出力する電流の方向を逆転させ
ながら電力を供給する逆転回路と、該逆転回路から出力
される供給電力の大きさを周期的に変化させる振動回路
とが直列に接続されたものであることを特徴とする洗浄
消毒装置に関する。
【0018】
【作用および実施例】本発明の方法に適用しうる被洗浄
体としては、たとえばコンタクトレンズなどの視力補正
用レンズをはじめ、注射器、医療用はさみ、医療用ピン
セット、歯科用充填器、歯科用ユニットなどの医療用
具、ナイフ、皿、コップなどの食器類などがあげられ
る。
【0019】以下、被洗浄体の代表的なものとして、コ
ンタクトレンズを主な例にとって説明する。
【0020】本発明においては、コンタクトレンズなど
の被洗浄体を浸漬させるための電解質を含む処理液(以
下、単に「処理液」ともいう)に、正極と負極とを1回
または複数回交互に繰り返して逆転させながら直流電流
を流し、その際に、少なくとも一方向に流れる電流を該
電流が流れる方向での最大電流値から0の範囲内で振動
させる方法がとられる。
【0021】本発明の方法によれば、正極と負極とをた
だ単に逆転させる従来の方法と対比して、驚くべきこと
に、2倍程度もの大量の過酸化物を発生させることがで
きるのみならず、通電初期から過酸化物を安定して大量
に発生させることができるので、コンタクトレンズなど
の被洗浄体に短時間で、しかも効果的に洗浄消毒処理を
施すことができる。
【0022】前記少なくとも一方向に流れる電流は、該
電流が流れる方向での最大電流値から0の範囲内の振動
幅で振動されるが、かかる振動幅は、過酸化物の発生量
をより多くし、効果的に洗浄消毒処理を施すためには、
前記最大電流値の1/20以上、好ましくは前記最大電流
値の1/10以上となるように調整することが望ましく、
正極および負極として用いられる電極を傷めがたくする
ためには、前記最大電流値の2/3以下、好ましくは前
記最大電流値の1/2以下となるように調整することが
望ましい。
【0023】また、前記少なくとも一方向に流れる電流
の振動の1周期に要する時間は、正極および負極として
用いられる電極を痛めがたくするためには、0.01秒間以
上、好ましくは0.05秒間以上となるように調整すること
が望ましく、過酸化物の発生量をより多くし、効果的に
洗浄消毒処理を施すためには、1秒間以下、好ましくは
0.5 秒間以下となるように調整することが望ましい。
【0024】このように、電流を振動させる手段として
は、たとえば発信器とトランジスタを用いる方法などが
あげられる。
【0025】なお、本発明では、一方向に流れる電流の
みを振動させてもよく、また両方向に流れる電流をそれ
ぞれ振動させてもよい。
【0026】一方、正極と負極とを逆転させる時間の間
隔は、任意に選ばれ、一定であってもよく、変動させて
もよい。なお、電気泳動による蛋白質除去効果を高める
ためには、かかる時間の間隔を大きくとることが望まし
い。正極と負極とを逆転させる時間の間隔は、正極およ
び負極として用いられる電極の損傷を小さくするために
は、0.1 秒間以上、好ましくは2秒間以上となるように
調整することが望ましく、過酸化物の発生量をより多く
し、効果的に洗浄消毒処理を施すためには、5分間以
下、好ましくは3分間以下となるように調整することが
望ましい。
【0027】また、電気泳動による蛋白質などの汚れの
除去効果をさらに高めるためには、一方向に電流を流す
際の正極と負極とを逆転させる時間の間隔(以下、「一
方向の逆転間隔」ともいう)と前記一方向に対して逆方
向に電流を流す際の正極と負極とを逆転させる時間の間
隔(以下、「逆方向の逆転間隔」ともいう)とを異なる
ように設定し、その差を大きくとることが好ましく、た
とえば、一方向の逆転間隔を1としたときに、逆方向の
逆転間隔を20以下、好ましくは10以下に調整することが
望ましく、また1.1 以上、好ましくは5以上に調整する
ことが望ましい。
【0028】なお、ここでいう一方向および逆方向と
は、電流を振動させる方向とは関係なく選ばれる。
【0029】また、正極と負極とを逆転させる回数は、
1回または複数回であればよく、正極と負極とを逆転さ
せる時間の間隔や処理時間によって異なるので一概には
決定することができないが、過酸化物の発生量をより多
くし、効果的に洗浄消毒を施すためには、8回以上、好
ましくは15回以上であることが望ましく、処理時間が5
分間以内の短い時間でも正極および負極として用いられ
る電極の損傷を小さくし、また正極と負極とを逆転させ
る時間間隔が3時間以上の長い時間でも処理時間が長く
なりすぎないようにするためには、1200回以下、好まし
くは900 回以下であることが望ましい。
【0030】前記直流電圧を印加する正極と負極とを逆
転させるための手段としては、たとえば発振器、カウン
ター分周器およびリレーを用いた反転回路を用いる方法
や、単にリレーのみを用いる方法などがあげられる。
【0031】処理液に通電する電流の該電流が流れる方
向での最大電流値は、正極および負極として用いられる
電極面積や処理液の種類などに応じて適宜選択される
が、電流を流して処理液中により多くの過酸化物を発生
させることによって蛋白質の除去効果や消毒効果をより
顕著に発現させるためには、0.001 A以上、好ましくは
0.01A以上であることが望ましい。また、処理液の液温
が、たとえばハードコンタクトレンズや高含水性コンタ
クトレンズなどのコンタクトレンズの洗浄消毒を行なっ
たときに、加熱によるハードコンタクトレンズの変形、
高含水性コンタクトレンズの材質劣化などの熱的な劣化
をひきおこす原因となる温度にまで上昇することを防止
し、さらに、その他の被洗浄体の洗浄殺菌を行なったば
あいでも、所望の電流値をうるために大電圧を必要とせ
ずに電気的な安全性を向上させるためには、前記最大電
流値は0.5 A以下、好ましくは0.3 A以下であることが
望ましい。なお、電流を振動させない部分が存在するば
あいには、かかる部分では電流値が前記最大電流値の範
囲内となるように調整されることが好ましい。
【0032】正極と負極との間に印加する直流電圧は、
洗浄消毒効果を充分に発現させるためには3V以上、好
ましくは15V以上であることが望ましい。また、処理液
の液温が、たとえばコンタクトレンズの洗浄消毒を行な
ったときに、該コンタクトレンズが熱的に劣化する温度
まで上昇することを防止し、さらに、その他の被洗浄体
の洗浄消毒を行なったばあいでも、感電、漏電などの発
生を防止して電気的な安全性を向上させるためには40V
以下、好ましくは30V以下であることが望ましい。
【0033】なお、正極および負極として用いられる電
極の材料としては、経時的に正極および負極がそれぞれ
交互に負極および正極に変化しても電極反応によって電
極が溶解しがたいイオン化傾向が小さい材料を用いるこ
とが好ましい。このような電極材料の具体例としては、
たとえば金、白金などの貴金属、金や白金などの貴金属
のメッキ処理または蒸着処理が施された合成樹脂、セラ
ミックなどがあげられる。
【0034】本発明の方法によれば、電気泳動により、
蛋白質をコンタクトレンズの外部に移動させる作用と、
電極反応により、処理液中に生成する過酸化物によって
蛋白質を効果的に可溶化させる作用とによって、きわめ
て短時間でコンタクトレンズから汚れを効率よく除去さ
せることができる。前記蛋白質を可溶化させる作用は、
明確ではないが、おそらく前記過酸化物が蛋白質のペプ
チド結合を切断することに起因するものと推定される。
【0035】また、本発明においては、前記過酸化物
は、処理後にはコンタクトレンズ内部および処理液中に
残存せずにほぼ完全に消失するので、還元などの煩雑な
操作が不必要である。
【0036】したがって、本発明の方法でコンタクトレ
ンズを洗浄消毒するばあいには、使用者はコンタクトレ
ンズを処理液に浸漬し、直流電流を印加するだけで処理
後にはそのまま該コンタクトレンズを目に装用すること
ができる。
【0037】本発明においては、電解質を含む処理液と
して、電気分解によって次亜塩素酸塩などの次亜ハロゲ
ン酸塩を発生させずに過酸化物を発生する処理液を好適
に用いることができる。一般に電極において電気分解反
応によって発生する過酸化物としては、たとえば過酸化
水素、オゾンなどがあげられる。
【0038】前記電解質を含む処理液の具体例として
は、たとえばベロナール緩衝液、ベロナール−アセテー
ト緩衝液、トリス−グリシン緩衝液、トリス−クエン酸
緩衝液、アラニン−酢酸緩衝液、グリシン−酢酸緩衝
液、ホウ酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝
液、酢酸塩緩衝液、シュウ酸塩緩衝液、トリス−エチレ
ンジアミン四酢酸緩衝液、コハク酸塩緩衝液、酒石酸塩
緩衝液などの緩衝液、たとえばホウ酸およびホウ砂を主
成分とする処理剤を含有した水溶液、炭酸カリウム水溶
液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶
液、硫酸ナトリウム水溶液、硫酸アンモニウム水溶液、
酢酸ナトリウム水溶液などの水溶液などがあげられ、こ
れらの処理液は、単独でまたは2種以上を混合して用い
られる。前記処理液のうち、コンタクトレンズを浸漬さ
せてもコンタクトレンズの材質、規格や形状に悪影響を
与えないこと、処理液があやまって目に入っても安全で
あることなどの点から、リン酸塩緩衝液、クエン酸塩緩
衝液、ホウ酸塩緩衝液などの処理液がとくに好ましい。
【0039】前記処理液中の電解質の濃度は、より小さ
な電圧で過酸化物を発生させるためには、0.001mol/l
以上、好ましくは0.05mol /l以上、さらに好ましくは
0.1mol/lであることが望ましい。また、コンタクトレ
ンズを洗浄消毒した際に、処理液の浸透圧をより小さく
してコンタクトレンズのサイズを変化しがたくし、処理
後に該処理液からコンタクトレンズをそのまま取り出し
て装用しても目にしみず、目に対して安全であるように
し、さらにコンタクトレンズ以外の被洗浄体の洗浄消毒
のばあいでも、洗浄消毒後に電解質の除去を容易に行な
えるようにするために、該電解質の濃度は、0.5mol/l
以下、好ましくは0.2mol/l以下であることが望まし
い。
【0040】また、処理液のpHについては、コンタク
トレンズの材質に対する悪影響や処理後にコンタクトレ
ンズを取り出してそのまま目に装用するばあいの目に対
する安全性を考慮すれば、そのpHの下限値が5.5 以
上、好ましくは6以上であることが望ましく、またその
pHの上限値が8以下、好ましくは7.5 以下であること
が望ましい。
【0041】さらに、本発明では、前記処理液中には、
必要により、尿素、チオシアン酸塩および還元性化合物
より選ばれた1種または2種以上の化合物を含有させて
もよい。これらの化合物は、いずれもコンタクトレンズ
などの被洗浄体に存在する蛋白質、とくに通常の電気泳
動では除去することができない変性した蛋白質を除去し
やすくするための成分である。
【0042】前記還元性化合物の具体例としては、たと
えばチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸
カルシウムなどのチオ硫酸のアルカリ金属塩またはアル
カリ土類金属塩;D−グルコース、L−グルコース、ラ
クトース、D−フラクトースなどの糖類;システイン;
メチオニン;ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、クエン
酸、クエン酸ナトリウムなどの酸またはそのアルカリ金
属塩やアルカリ土類金属塩;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸
カリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどの亜硫酸塩;アス
コルビン酸;グルタチオンなどがあげられ、これらの還
元性化合物は単独でまたは2種以上を組合わせて用いら
れる。
【0043】ただし、前記還元性化合物のうち還元力の
強い、たとえばチオ硫酸塩や亜硫酸塩などを用いるばあ
いには、蛋白質の除去効果を向上させることができる
が、その一方で電極反応によって生じた過酸化物を還元
し、酸化効果を低下させることがある。したがって、還
元性化合物としては、比較的還元力が小さいクエン酸や
クエン酸ナトリウムを用いることが好ましい。
【0044】なお、本発明に用いられるコンタクトレン
ズなどの被洗浄体の処理液は、あらかじめ前記処理剤を
水溶液としたものであってもよく、また前記処理剤をた
とえば粉末状、顆粒状、ペレット状などとしておき、使
用の際に、その使用者が水に溶解させて水溶液としたも
のであってもよい。
【0045】また前記処理液の液温は、電流を通すこと
によって上昇するが、含水性コンタクトレンズの消毒
は、発生する過酸化物だけでなく、該過酸化物と温度と
の相乗効果によるので、通常、該処理液の液温は、40℃
以上、好ましくは50℃以上であることが望ましい。ま
た、コンタクトレンズのみならず、その他の被洗浄体の
洗浄消毒のばあいでも、液温があまりにも高すぎるとき
には、該被洗浄体の材質の劣化をひきおこすことがある
ので、該処理液の液温は、100 ℃以下、好ましくは80℃
以下とすることが望ましい。
【0046】生成する過酸化物の処理液中における濃度
は、コンタクトレンズなどの被洗浄体に付着した汚れの
状態によって異なるが、被洗浄体の消毒を充分に行なう
ために、通常5ppm 以上、好ましくは10ppm 以上である
ことが望ましい。
【0047】なお、本発明の方法によって発生する過酸
化物は、処理直後にほぼ完全に消失するので、目などに
対する刺激がない。生成する過酸化物の濃度は、通常正
極と負極とを逆転させる時間の間隔、処理液に流す電流
の該電流が流れる方向での最大電流値、少なくとも一方
向に流れる電流の振動の1周期に要する時間や振動幅な
どを調節することによって調整することができる。
【0048】なお、処理液中でコンタクトレンズなどの
被洗浄体を加熱することで被洗浄体に付着している脂質
などの汚れをほとんど除去することができるが、さらに
充分に汚れを除去するために、被洗浄体を処理槽に浸漬
する前または洗浄消毒後に界面活性剤を入れた洗浄液で
被洗浄体を洗浄したり、前記処理液中に界面活性剤を含
有させてもよい。
【0049】前記界面活性剤の具体例としては、たとえ
ば高級アルコールおよび液体脂肪油の硫酸エステル、ア
ルキルエーテル硫酸エステル、アルキルスルホネート、
スルホコハク酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、ア
ルキルアミン塩、アルキルアンモニウム塩などの陽イオ
ン界面活性剤、アルキルエーテル、アルキルフェニルエ
ーテル、ポリオキシプロピレンエーテル、アルキルエス
テルグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エス
テル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルな
どの非イオン界面活性剤などがあげられる。
【0050】前記界面活性剤を処理液中に含有させて用
いるばあいには、該界面活性剤の濃度があまりにも高す
ぎるばあいには、電極反応によって発生したガスが、処
理液中に過剰に発生し、処理液が容器からあふれること
があるので、処理液中の該界面活性剤の濃度は、0.1 重
量%以下であることが好ましく、さらには0.005 重量%
以下であることが望ましい。
【0051】また、コンタクトレンズ内部に変性した蛋
白質が存在するばあいなど、除去しにくい蛋白質の汚れ
が存在するばあいには、処理液中に蛋白質分解酵素を含
有させて変性した蛋白質が除去されやすくしてもよい。
【0052】つぎに、本発明の洗浄消毒装置について説
明する。
【0053】本発明の洗浄消毒方法に用いられる洗浄消
毒装置は、少なくとも一対の電極が設けられ、被洗浄体
を浸漬させ、電解質を含む処理液を満たすための処理槽
と、電極に電力を供給するための駆動部とを有する洗浄
消毒装置であって、該駆動部が、出力する電流の方向を
逆転させながら電力を供給する逆転回路と、該逆転回路
から出力される供給電力の大きさを周期的に変化させる
振動回路とが直列に接続されたものであることを特徴と
するものである。
【0054】以下に、本発明の洗浄消毒装置を図面にも
とづいて説明する。
【0055】図1は、本発明の洗浄消毒方法に用いられ
る洗浄消毒装置の一実施態様を示す回路図である。
【0056】図1において、洗浄消毒装置1は、駆動部
11と少なくとも一対の電極(図示されず)が設けられ、
被洗浄体を浸漬させ、電解質を含む処理液を満たすため
の処理槽3とを有しており、駆動部11は、出力する電流
の方向を逆転させながら処理槽3に電力を供給するため
の逆転回路2および逆転回路2から供給される供給電力
の大きさを周期的に変化させるための振動回路4から構
成されており、振動回路4を介して逆転回路2からの電
力が、処理槽3に設けられた電極に供給される。
【0057】逆転回路2は、処理槽3に設けられている
電極の正極と負極とを洗浄消毒処理中に1回または複数
回逆転させるための回路であり、かかる電極の正極と負
極とを逆転させることによって、逆転回路2から処理槽
3に対して矢印A方向の電流(逆転回路2の端子Cが正
で端子Dが負)と矢印B方向の電流(逆転回路2の端子
Cが負で端子Dが正)とが交互に出力される。
【0058】処理槽3内には、正極および負極として用
いられる少なくとも一対の電極が、前記処理液が処理槽
3に満たされたときに、該処理液に浸漬するように設け
られている。
【0059】振動回路4は、逆転回路2からの処理槽3
への供給電力を周期的に変化させるための回路であり、
本実施態様においては、逆転回路2の端子Cと処理槽3
の一端子間にダイオード5ならびにPNP型トランジス
タである第1および第2トランジスタ7、8がそれぞれ
並列に接続されている。なお、ダイオード5は、逆転回
路2から矢印B方向の電流が出力されたときの電流路を
形成し、矢印A方向の電流が流れるときには第1トラン
ジスタ7や第2トランジスタ8が電流路となる。第1お
よび第2トランジスタ7、8のベースには、第1および
第2トランジスタ7、8を駆動制御する駆動パルスa、
bが、発振器6からそれぞれ180 °位相がずれたパルス
電圧としてそれぞれ抵抗R1 を介して印加され、ベース
−エミッタ間にはそれぞれバイアス用抵抗R2 が接続さ
れている。第2トランジスタ8のコレクタ側には電圧降
下用の抵抗R3 が接続され、処理槽3への供給電力を低
減させている。発振器6から出力される駆動パルスa、
bは、図2に示されるように、ハイレベルとローレベル
が繰り返されるパルス波形で、駆動パルスaと駆動パル
スbとでは180 °位相が異なり、駆動パルスaがハイレ
ベルのときには駆動パルスbはローレベルとなり、駆動
パルスaがローレベルのときには、駆動パルスbはその
逆のハイレベルとなる。駆動パルスaのハイレベルおよ
び駆動パルスbのローレベルは、時間T1 だけ保持さ
れ、駆動パルスaのローレベルおよび駆動パルスbのハ
イレベルは、時間T2 だけ保持される。
【0060】発振器6から第1トランジスタ7のベース
には、駆動パルスaが出力され、第1トランジスタ7
は、駆動パルスaがハイレベルのときにはオン状態とな
り、逆転回路2から矢印A方向に出力された電流を第1
トランジスタ7を介して処理槽3に出力するが、駆動パ
ルスaがローレベルのときにはオフ状態となり、第1ト
ランジスタ7を介して電流は出力されない。
【0061】また、発振器6から第2トランジスタ8の
ベースには、駆動パルスbが出力され、第2トランジス
タ8は、駆動パルスbがハイレベルのときにはオン状態
となり、逆転回路2から矢印A方向に出力された電流を
第2トランジスタ8を介して処理槽3に出力するが、第
2トランジスタ8と処理槽3とは抵抗R3 を介して接続
されているので、抵抗R3 で電圧降下が起こり、処理槽
3には、逆転回路2から出力された電力が第1トランジ
スタ7を経由するばあいよりも小さい電力が供給され
る。駆動パルスbがローレベルのときには第2トランジ
スタ8はオフ状態となり、第2トランジスタ8を介して
電力は供給されない。
【0062】前記のように、駆動パルスbとしては、駆
動パルスaと位相が180 °ずれたパルスが出力されるの
で、第1トランジスタ7がオン状態のときには第2トラ
ンジスタ8はオフ状態となり、第1トランジスタ7がオ
フ状態のときには第2トランジスタ8がオン状態とな
る。このため、逆転回路2から矢印A方向に出力された
電力は、第1トランジスタ7または第2トランジスタ8
のいずれかを介して処理槽3に供給される。第2トラン
ジスタ8を介して電力が供給されたときは、供給電力は
抵抗R3 により電圧降下するので、第1トランジスタ7
を介して供給される電力よりも小さい電力が処理槽3に
供給される。
【0063】換言すれば、本発明では、たとえば図3に
示されるように、逆転回路2によって矢印A方向の電流
と矢印B方向の電流とが交互に出力されるが、逆転回路
2から矢印A方向に出力される電流は、発振器4から出
力される駆動パルスaがハイレベルである時間T1 だけ
第1トランジスタ7を介して出力されるので、そのとき
に矢印A方向の最大電流値Eを示し、駆動パルスbがハ
イレベルである時間T2 だけ第2トランジスタ8を介し
て出力されるので、そのときに矢印A方向の最小電流値
Fを示し、発振器6から出力される駆動パルスa、bに
応じて、矢印A方向の最大電流値Eと最小電流値Fとの
あいだで振動を繰り返す。前記最大電流値Eと最小電流
値Fとの差が振動幅Gであり、時間T1 と時間T2 との
合計が振動の1周期に要する時間Hである。
【0064】なお、図3には理想的な電流の経時変化が
示されており、かかる経時変化を記録装置を用いて記録
紙に記載したばあいには、電流値の急激な変化に記録装
置が瞬時には対応しえないため、図4に示されるような
波形が記録されるばあいもある。
【0065】なお、駆動パルスaがハイレベルであり、
駆動パルスbがローレベルである時間T1 および駆動パ
ルスaがローレベルであり、駆動パルスbがハイレベル
である時間T2 は、たとえば0.005 〜0.5 秒間の範囲に
調整される。また、矢印A方向の電流の振動幅は、抵抗
3 の電気抵抗を選ぶことによって調整される。
【0066】なお、振動回路4において、第2トランジ
スタ8および抵抗R3 を設けずに、第1トランジスタ7
のオン状態とオフ状態とを繰り返すことによって、矢印
A方向の電流を最大電流値と0の間で振動させることが
できるが、このようにトランジスタを1個しか用いない
ばあいの電流の振動は、正極および負極として用いられ
る電極を傷める傾向がある。また、振動回路4内に第1
トランジスタ7および第2トランジスタ8のほかにも、
第2トランジスタ8に接続された電圧降下用の抵抗R3
とは抵抗値の異なる抵抗が接続された1個または2個以
上のトランジスタを第1および第2トランジスタ7、8
と並列に接続すれば、各トランジスタを順次オン状態に
することによって、各抵抗に応じた複数種類の振動幅が
生じるので、かかる複数種類の振動幅を組み合わせて、
電流を振動させることができるが、このように、トラン
ジスタを3個以上用いるばあいには、振動回路4が複雑
になる傾向がある。したがって、電極が傷むことを防止
し、また振動回路4を単純化させるためには、振動回路
4内のトランジスタの数は2個とすることがもっとも好
ましい。
【0067】逆転回路2から矢印B方向に電流が流され
れば、電流は処理槽3を介してダイオード5に流れ込
む。このばあいには、第1および第2トランジスタ7、
8を通らないので、電流の振動はほとんど生じず、矢印
B方向の最大電流値Jが維持される。しかし、逆転回路
2の端子Dと処理槽3の他端子間にも前記と同様に振動
回路を挿入することができ、いずれか一方向または両方
向に流れる電流を振動させることができる。
【0068】洗浄処理装置の駆動部11を用いるばあいに
は、逆転回路2から振動回路4を介して出力される振動
する矢印A方向の電流と、逆転回路2から矢印B方向に
出力される振動しない電流とを図3または図4に示され
るように交互に処理槽3に出力することによって、処理
槽3の処理液に浸漬されたコンタクトレンズなどの被洗
浄体の洗浄消毒が行なわれる。
【0069】なお、発振器6から発振される駆動パルス
aおよび駆動パルスbがハイレベルまたはローレベルを
示す時間T1 、T2 、すなわち振動の1周期に要する時
間Hは、1以上の各種の発振器を組み合わせて適宜設定
することができる。
【0070】図1に示された洗浄消毒装置1の駆動部11
の振動回路4を、前記したように、PNP型トランジス
タである第1トランジスタ7および第2トランジスタ8
を用いて構成させたが、第1トランジスタ7および第2
トランジスタ8としてNPN型トランジスタを用いても
振動回路4と同様の作用を有する振動回路を構成させる
ことができる。
【0071】また、図5に示されるように、第1トラン
ジスタ7および第2トランジスタ8のかわりに、第1リ
レー7aおよび第2リレー8aを用いた振動回路4aを
用いることによっても、振動回路4と同様に矢印A方向
の電流を振動させる洗浄消毒装置1aの駆動部11aを構
成させることができる。
【0072】第1リレー7aおよび第2リレー8aは、
矢印A方向および矢印B方向のいずれの方向にも通電可
能であるため、図1に示されたダイオード5は不要とな
る。
【0073】図5に示された洗浄消毒装置1aの駆動部
11aを用いるばあい、矢印A方向に電流を流す際には、
発振器6から第1リレー7aにハイレベルとローレベル
が繰り返されたパルス波形を有する駆動パルスa、第2
リレー8aに駆動パルスaと位相が180 °ずれた駆動パ
ルスbを出力することによって矢印A方向の電流を図3
や図4に示されるように、振動させることができる。
【0074】また、矢印B方向に電流を流す際には、ハ
イレベルの駆動パルスaを常に第1リレー7aに出力
し、ローレベルの駆動パルスbを常に第2リレー8aに
出力することによって第1リレー7aのみがオン状態と
なり、矢印B方向の電流は第1リレー7aのみを介して
流れるため、図1に示したばあいと同様に、矢印B方向
に流れる電流の最高電流値が維持され、逆転回路2から
出力される電流の経時変化は、図3や図4に示されたも
のと同様になる。
【0075】なお、矢印B方向に電流を流す際にも、矢
印A方向に電流を流す際と同様に発振器6から第1リレ
ー7aにハイレベルとローレベルが繰り返されたパルス
波形を有する駆動パルスa、第2リレー8aに駆動パル
スaと位相が180 °ずれた駆動パルスbを出力すること
によって矢印B方向の電流を振動させることができる。
このように、振動回路をリレーを用いて構成させたばあ
いには、1つの振動回路を用いて矢印A方向および矢印
B方向の両方向に流れる電流をも振動させることがで
き、また、矢印A方向または矢印B方向の一方向に流れ
る電流のみを振動させることができる。
【0076】なお、振動回路4aにおいて、第2リレー
8aおよび抵抗R3 を設けずに、第1リレー7aのオン
状態とオフ状態とを繰り返すことによって、矢印A方向
および/または矢印B方向の電流を最大電流値と0の間
で振動させることができるが、このように、リレーを1
個しか用いないばあいの電流の振動は電極を傷める傾向
がある。また、振動回路4a内に第1リレー7aおよび
第2リレー8aのほかにも、第2リレー8aに接続され
た電圧降下用の抵抗R3 とは抵抗値の異なる抵抗が接続
された1個または2個以上のリレーを第1および第2リ
レー7a、8aと並列に接続すれば、各リレーを順次オ
ン状態にすることによって、各抵抗に応じた複数種類の
振動幅が生じるので、かかる複数種類の振動幅を組み合
わせて、電流を振動させることができるが、このよう
に、リレーを3個以上用いるばあいには、振動回路4a
が複雑になる傾向がある。したがって、電極が傷むこと
を防止し、また振動回路4aを単純化させるためには、
振動回路4a内のリレーの数は2個とすることがもっと
も好ましい。
【0077】図1および図5に示された洗浄消毒装置
1、1aの駆動部11、11aを用いて、発振器6からハイ
レベルとローレベルが繰り返されたパルス波形を有する
駆動パルスaおよび駆動パルスaと位相が180 °ずれた
駆動パルスbを出力したばあいについて説明したが、駆
動パルスaと駆動パルスbとの位相のずれは、180 °以
外であってもよい。
【0078】図1に示された洗浄処理装置1で発振器6
から出力される駆動パルスaと駆動パルスbとの位相の
ずれが180 °以外であるばあい、たとえば、駆動パルス
aと駆動パルスbとの位相のずれが90°であるばあいに
は、図6に示されるように、駆動パルスaがハイレベル
およびローレベルを示す時間T1 、T2 の1/2 の時間1/
2 T1 、1/2 T2 経過時に駆動パルスbがハイレベルか
らローレベルへ、またはローレベルからハイレベルに切
り換わる。そのため、駆動パルスaと駆動パルスbとの
位相のずれが180 °であるばあいには生じなかった、駆
動パルスaおよびbがいずれもハイレベルである状態お
よびいずれもローレベルである状態が生じる。このた
め、矢印A方向の最高電流値Eは、駆動パルスaおよび
bがいずれもハイレベルである状態、すなわち、第1お
よび第2トランジスタ7、8のいずれもがオン状態であ
るときに示され、矢印A方向の最低電流値Fは、駆動パ
ルスaおよびbがいずれもローレベルである状態、すな
わち、第1および第2トランジスタ7、8のいずれもが
オフ状態であるときに示され、その値は0Aとなる。
【0079】なお、このばあいには、矢印A方向の最高
電流値Eおよび最低電流値Fのほかに、駆動パルスaの
みがハイレベルである際の電流値I1 および駆動パルス
bのみがハイレベルである際の電流値I2 が示される。
電流値I1 は、第1トランジスタ7のみを介して出力さ
れるので、最高電流値Eよりも小さい値を示し、電流値
2 は、第2トランジスタ8および抵抗R3 を介して出
力されるので、電流値I1 よりも小さい値を示す。
【0080】また、矢印A方向の電流の振動幅は、最大
電流値Eと最低電流値Fとの差である振動幅G以外に、
最大電流値Eと電流値I1 との差である振動幅G1 と、
最大電流値Eと電流値I2 との差である振動幅G2 とが
生じる。
【0081】なお、駆動パルスaと駆動パルスbとの位
相のずれが180 °以外であり、かつ、両者が同期してい
ないばあいには、その最高電流値E、最低電流値Fおよ
び電流値I1 、I2 は、その位相のずれが90°であるば
あいと同じ値を示す。また、駆動パルスaと駆動パルス
bとが同期しているばあいには、その最高電流値Eと最
低電流値Fとは、その位相のずれが90°のばあいと同じ
値を示すが、電流値I1 、I2 は示されない。
【0082】そして、逆転回路2から矢印A方向に出力
される電流は、発振器4から出力される駆動パルスaが
ローレベルからハイレベルに切り換わるとき、駆動パル
スbはハイレベルを示しているので、矢印A方向の最高
電流値Fを示し、その1/2 T1 時間後、駆動パルスbが
ローレベルに切り換わると、電流値I1 を示す。つぎ
に、1/2 T1 時間後、駆動パルスaがローレベルに切り
換わると最低電流値F、すなわち0Aを示し、さらに1/
2 T1 時間後に駆動パルスbがハイレベルに切り換わる
と、電流値I2 を示すというように振動し、かかる振動
が繰り返して行なわれる。
【0083】つぎに本発明を実施例にもとづいてさらに
詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定さ
れるものではない。
【0084】参考例1および比較参考例1 ホウ酸の濃度が0.032mol/l、ホウ砂の濃度が0.042mol
/l、クエン酸の濃度が0.028mol/l、クエン酸三ナト
リウムの濃度が0.003mol/lである処理液(pH6.9 )
4ml中に20Vの直流電圧をかけて0.08Aの初期電流を流
し、図1に示される洗浄消毒装置の駆動部の構成のうち
振動回路を有しない駆動部を有する従来の洗浄消毒装置
を用いて、正極と負極との逆転が一方向に30秒間で逆方
向に30秒間としたばあい(比較参考例1)と、図1に示
される洗浄消毒装置を用いて、正極と負極との逆転が一
方向に30秒間、逆方向に30秒間であって、一方向の電流
のみを振動の1周期に要する時間が0.1 秒間、振動幅が
該電流の最大電流値(0.08A)の1/5となるように流
したばあい(参考例1)について、通電時間に対する該
処理液中の過酸化物の濃度を測定した。ただし、通電時
間は60分間で行なった。その結果を図7に示す。
【0085】なお、該処理液中の過酸化物の濃度は、以
下に示す方法にしたがって測定した。
【0086】(過酸化物の濃度の測定方法)まず下記の
ようにして、試薬を調製した。
【0087】(イ)リン酸塩緩衝液:リン酸一ナトリウ
ム(試薬特級)0.07mol およびリン酸二ナトリウム(試
薬特級)0.13mol を精製水に溶かし、pHを7.0 に調製
したのち全量を1リットルとした。
【0088】(ロ)ABTS試薬:2,2´−アジノビ
ス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)2
NH4 塩(ABTS試薬特級)0.113 gおよびペルオキ
シダーゼTypeI(シグマ・ケミカル・カンパニー社製、
商品名)100unit を前記リン酸塩緩衝液に溶かして全量
を100ml とした。
【0089】(ハ)つぎに、30ppm 以下に希釈した過酸
化水素標準液2.0ml と前記ABTS試薬2.0ml を混合
し、撹拌したのち、420nm での紫外線吸光度(以下、吸
光度という)を測定した。各濃度での吸光度を測定して
検量線を作成した。
【0090】つぎに前記処理液に電流を流す前および電
流を流したのち、各時間経過後ごと(通電開始後5、1
0、15、20、30、40、50、60分間経過時)にサンプル2.0
mlを取り出し、ABTS試薬0.5ml と精製水1.5ml と
を混合して撹拌し、ついで420nm での吸光度を測定し、
前記検量線から過酸化水素換算での濃度を求めた。
【0091】図7に示された結果から、処理液中の過酸
化物の濃度は、通電時間によって異なるが、図1に示さ
れた駆動部を有する洗浄消毒装置を用いたばあい(参考
例1)には、従来の洗浄消毒装置を用いたばあい(比較
参考例1)と対比して、全通電時間にわたって1.5 〜3
倍程度であることから、過酸化物の総発生量が多いこと
がわかる。
【0092】参考例2および比較参考例2 処理槽の数を8個にし、通電時間を15分間としたほかは
参考例1と同様に行なったばあい(参考例2)と、処理
槽の数を8個にし、通電時間を15分間としたほかは比較
参考例1と同様に行なったばあい(比較参考例2)につ
いて、15分間通電時の処理液中の過酸化物の濃度を参考
例1と同様に測定した。その結果を表1に示す。
【0093】
【表1】
【0094】表1に示された結果から、図1に示された
駆動部を有する洗浄消毒装置を用いたばあい(参考例
2)には、処理液中の過酸化物の濃度の平均値は、従来
の洗浄消毒装置を用いたばあい(比較参考例2)と対比
して、約2倍程度であることから、過酸化物の総発生量
が多くなることがわかる。
【0095】実施例1 メタクリル酸とヒドロキシエチルメタクリレートを主成
分とする含水率約58%のソフトコンタクトレンズ3枚を
下記の人工涙液1.2ml 中に40℃で2時間浸漬することに
より、該ソフトコンタクトレンズに蛋白質を吸着させ
た。
【0096】 つぎに、参考例1で使用した処理液4mlに前記ソフトコ
ンタクトレンズのうちの1枚を浸漬し、図1に示される
本発明の洗浄消毒装置を用いて、22Vの直流電圧をかけ
て0.1 Aの初期電流を流し、正極と負極との逆転が一方
向に30秒間、逆方向に30秒間であって、一方向に流れる
電流のみを振動の1周期に要する時間が0.1 秒間、振動
幅が該電流の最大電流値(0.1 A)の1/5となるよう
にして30分間洗浄消毒処理を行なった。
【0097】洗浄消毒処理後、前記ソフトコンタクトレ
ンズを精製水で充分にすすいだのち、ソフトコンタクト
レンズに残存した蛋白質の残存量を以下の方法にしたが
って測定した。その結果を表2に示す。
【0098】(蛋白質の残存量の測定方法)卵白製のリ
ゾチーム(和光純薬工業(株)製)0.05gを2.5 Nの水
酸化ナトリウム水溶液50mlに溶かしたのち、2.5 Nの水
酸化ナトリウム水溶液を用いて全量が500ml となるよう
に調製した。さらにその0μl、30μl、60μl、120
μlまたは150 μlに全量が150 μlとなるように2.5
Nの水酸化ナトリウム水溶液を加え、150 μl中に含ま
れるリゾチームの量が0μg、3μg、9μg、12μg
または15μgとなるように調製して、それに50μlの氷
酢酸と400 μlのニンヒドリン試薬を入れて撹拌後キャ
ップをし、90℃で20分間放置したのち、氷冷して希釈液
(精製水100ml にイソプロピルアルコール100ml を加え
て調製したもの)1.0ml を入れ、その溶液を吸光度570n
m で測定することによって検量線を作成した。
【0099】洗浄消毒後のコンタクトレンズを4分割し
て、それを充分に乾燥させ、スクリューキャップつき試
験管に入れ、2.5 Nの水酸化ナトリウムを1ml加えて、
100℃の乾燥器中に2時間放置して加水分解を行なった
のち、乾燥器から取り出して、室温で放冷した。その抽
出液150 μlと2.5 Nの水酸化ナトリウム150 μlをス
クリューキャップ付き試験管に入れ、それに50μlの氷
酢酸と400 μlのニンヒドリン試薬を入れて撹拌後キャ
ップをし、90℃で20分間放置したのち、氷冷して前記希
釈液1.0ml を入れてその溶液を吸光度570nm で測定し、
前記検量線から、ソフトコンタクトレンズに残存した蛋
白質の残存量を求めた。
【0100】なお、ニンヒドリン試薬は、0.5molの酢酸
と1mol のクエン酸で調製したクエン酸−酢酸緩衝液
に、ニンヒドリン0.20gと塩化スズ(II)0.0202gとメチ
ルセロソルブ10mlを溶解して調製した。
【0101】比較例1 図1に示された本発明の洗浄消毒装置のかわりに、従来
の洗浄消毒装置を用い、両方向に流される電流をいずれ
も振動させなかったほかは、実施例1と同様にして洗浄
消毒処理を行なった。
【0102】洗浄消毒処理が施されたソフトコンタクト
レンズを精製水で充分にすすいだのち、実施例1と同様
の方法で蛋白質の残存量を測定した。その結果を表2に
示す。
【0103】比較例2 実施例1でえられた蛋白質を吸着させたソフトコンタク
トレンズを、実施例1で使用した処理液1.2ml を用い、
ソフトコンタクトレンズ用煮沸消毒器として「メニコン
ライザーE」((株)メニコン製、商品名)を用いて30
分間煮沸消毒処理を行なった。
【0104】煮沸消毒処理が施されたソフトコンタクト
レンズを精製水で充分にすすいだのち、実施例1と同様
の方法で蛋白質の残存量を測定した。その結果を表2に
示す。
【0105】
【表2】
【0106】表2に示された結果から、図1に示された
駆動部を有する洗浄消毒装置を用いたばあい(実施例
1)には、ソフトコンタクトレンズの蛋白質の残存量
は、従来の洗浄消毒装置を用いたばあい(比較例1)よ
りも約25重量%、ソフトコンタクトレンズ用煮沸消毒器
を用いたばあい(比較例2)よりも約80重量%も減少し
ていることがわかる。
【0107】実施例2〜12および比較例3〜13 実施例1と同様にして蛋白質を吸着させたソフトコンタ
クトレンズを作製し、えられたソフトコンタクトレンズ
を参考例1で使用した処理液(実施例2〜7および10〜
12ならびに比較例3〜8および11〜13)、ホウ酸の濃度
が0.072mol/l、ホウ砂の濃度が0.082mol/l、クエン
酸の濃度が0.038mol/l、クエン酸三ナトリウムの濃度
が0.008mol/lである処理液(実施例8および比較例
9)、またはホウ酸の濃度が0.020mol/l、ホウ砂の濃
度が0.054mol/l、クエン酸の濃度が0.028mol/l、ク
エン酸三ナトリウムの濃度が0.003mol/lである処理液
(実施例9および比較例10)4mlに浸漬し、実施例1と
同様の本発明の洗浄消毒装置(実施例2〜12)または従
来の洗浄消毒装置(比較例3〜13)を用いて表3に示す
洗浄消毒条件で該ソフトコンタクトレンズに洗浄消毒処
理を施した。
【0108】洗浄消毒が施されたソフトコンタクトレン
ズを精製水で充分にすすいだのち、実施例1と同様の方
法で蛋白質の残存量を測定した。その結果を表3に示
す。
【0109】なお、実施例2〜12では、洗浄消毒処理中
に電極が処理液中に溶出することはなく、洗浄消毒処理
後に電極を目視で観察したが、電極の損失はみられなか
った。
【0110】
【表3】
【0111】表3に示された結果から、実施例1と同様
の洗浄消毒装置を用いたばあい(実施例2〜12)には、
ソフトコンタクトレンズの蛋白質の残存量は従来の洗浄
消毒装置を用いたばあい(比較例3〜13)よりも約20〜
30重量%も減少していることがわかる。
【0112】実施例13 N,N−ジメチルアクリルアミドを主成分とする含水率
約70重量%のソフトコンタクトレンズ2枚を参考例1で
使用した処理液4mlに浸漬し、0.1 Aの初期電流で22V
の直流電流を30分間かけ、正極と負極との逆転が一方向
に30秒間、逆方向に30秒間であって、一方向に流れる電
流のみを振動の1周期に要する時間が0.1 秒間、振動幅
が該方向に流れる電流の最大電流値(0.1 A)の1/5
となるようにして洗浄消毒処理を行なった。かかる洗浄
消毒処理を100 サイクル繰り返したのち、ソフトコンタ
クトレンズのサイズを投影機で測定したところ、処理を
繰り返す前と比較して変化は見られなかった。
【0113】このことから、本発明の処理方法がソフト
コンタクトレンズのサイズに変化を与えないことがわか
った。
【0114】実験例1および比較実験例1〜2 参考例1で使用した処理液10mlに黄色ブドウ球菌(スタ
フィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus))
を1.2 ×108 cells/ml含む菌液0.1ml を添加し、22Vの
直流電流を20分間かけて0.1 Aの初期電流で処理を施し
た。このとき、正極と負極との逆転が一方向に30秒間、
逆方向に30秒間であって、一方向に流れる電流のみを振
動の1周期に要する時間が0.1 秒間、振動幅が該一方向
に流れる電流の最大電流値(0.1 A)の1/5となるよ
うにさせたばあいを実験例1、正極と負極との逆転のみ
を行ない、振動をさせなかったばあいを比較実験例1と
した。
【0115】通電開始から20分間経過後、処理液1.0ml
を取り出して、無菌試験用チオグリコレート培地(英研
化学(株)製)15mlに加えて31℃で7日間培養して消毒
効果を調べた。その結果、実験例1では、7日間経過し
ても発育が認められなかった。これに対して、比較実験
例1では、培養4日間経過後から菌の発育が認められ
た。
【0116】一方、比較実験例2として、比較実験例1
において、処理液1.0ml を取り出す時間を通電開始後30
分間としたほかは比較実験例1と同様にして消毒効果を
調べたところ、7日間経過しても菌の発育が認められな
かった。
【0117】以上の結果から、単に電極の正極と負極と
を繰り返して逆転させるよりも、本発明の洗浄消毒方法
(実験例1)のように、通電時に電流を振動させること
により、従来の洗浄消毒方法(比較実験例1〜2)より
も電極反応で多量に発生する過酸化物によって短時間で
効果的な消毒が可能であることがわかった。
【0118】実験例2および比較実験例3〜4 参考例1で使用した処理液10mlに緑膿菌(シュードモナ
ス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa))を1.2 ×
108 cells/ml含む菌液0.1ml を添加し、22Vの直流電流
を20分間かけて0.1 Aの初期電流で処理を施した。この
とき、正極と負極との逆転が一方向に30秒間、逆方向に
30秒間であって、一方向に流れる電流のみを振動の1周
期に要する時間が0.1 秒間、振動幅が該一方向に流れる
電流の最大電流値(0.1 A)の1/5となるようにさせ
たものを実験例2、正極と負極との逆転のみを行ない、
振動をさせなかったものを比較実験例3とした。
【0119】通電開始から20分間経過後、処理液1.0ml
を取り出して、無菌試験用チオグリコレート培地(英研
化学(株)製)15mlに加えて31℃で7日間培養して消毒
効果を調べた。その結果、実験例2では、7日間経過し
ても菌の発育が認められなかった。これに対して、比較
実験例3では、培養4日間経過後から菌の発育が認めら
れた。
【0120】一方、比較実験例4として、比較実験例3
において、処理液1.0ml を取り出す時間を通電開始後30
分間としたほかは比較実験例3と同様にして消毒効果を
調べたところ、7日間経過しても菌の発育が認められな
かった。
【0121】以上の結果から、単に電極の正極と負極と
を繰り返して逆転させるよりも、本発明の洗浄消毒方法
(実験例2)のように、通電時に電流を振動させること
により、従来の洗浄消毒方法(比較実験例3〜4)より
も電極反応で多量に発生する過酸化物によって短時間で
効果的な消毒が可能であることがわかった。
【0122】実験例3および比較実験例5〜6 参考例1で使用した処理液10mlにアスペルギルス・フミ
ガータス(Aspergillsfumigatus)を1.5 ×107 cells/ml
含む菌液0.1ml を添加し、22Vの直流電流を20分間かけ
て0.1 Aの初期電流で処理を施した。このとき、正極と
負極との逆転が一方向に30秒間、逆方向に30秒間であっ
て、一方向に流れる電流のみを振動の1周期に要する時
間が0.1 秒間、振動幅が該一方向に流れる電流の最大電
流値(0.1 A)の1/5となるようにさせたばあいを実
験例3、正極と負極との逆転のみを行ない、振動をさせ
なかったばあいを比較実験例5とした。
【0123】通電開始から20分間経過後、処理液1.0ml
を取り出して、真菌無菌試験用ブドウ糖ペプトン培地
(英研化学(株)製)15mlに加えて25℃で10日間培養し
て消毒効果を調べた。その結果、実験例3では、10日間
経過しても菌の発育が認められなかった。これに対して
比較実験例5では、培養7日間経過後から菌の発育が認
められた。
【0124】一方、比較実験例6として比較実験例5
で、処理液1.0ml を取り出す時間を通電開始後30分間と
したほかは、比較実験例5と同様にして消毒効果を調べ
たところ、10日間経過しても菌の発育が認められなかっ
た。
【0125】以上の結果から、単に電極の正極と負極と
を繰り返して逆転させるよりも、本発明の洗浄消毒方法
(実験例3)のように、通電時に電流を振動させること
により、従来の洗浄消毒方法(比較実験例5〜6)より
も電極反応で多量に発生する過酸化物によって短時間で
効果的な消毒が可能であることがわかった。
【0126】実験例4および比較実験例7〜8 参考例1で使用した処理液10mlにカンジダ・アルビカン
ス(Candida albicans)を1.5 ×107 cells/ml含む菌液0.
1ml を添加し、22Vの直流電流を20分間かけて0.1 Aの
初期電流で処理を施した。このとき、正極と負極との逆
転が一方向に30秒間、逆方向に30秒間であって、一方向
に流れる電流のみを振動の1周期に要する時間が0.1 秒
間、振動幅が該一方向に流れる電流の最大電流値(0.1
A)の1/5となるようにさせたものを実験例4、正極
と負極との逆転のみを行ない、振動させなかったものを
比較実験例7とした。
【0127】通電開始から20分間経過後、処理液1.0ml
を取り出して、真菌無菌試験用ブドウ糖ペプトン培地
(英研化学(株)製)15mlに加えて25℃で10日間培養し
て消毒効果を調べた。その結果、実験例4では、10日間
経過しても菌の発育が認められなかった。これに対して
比較実験例7では培養7日間経過後から菌の発育が認め
られた。
【0128】一方、比較実験例8として比較実験例7
で、処理液1.0ml を取り出す時間を通電開始後30分間と
したほかは、比較実験例7と同様にして消毒効果を調べ
たところ、10日間経過しても菌の発育が認められなかっ
た。
【0129】以上の結果から、単に電極の正極と負極と
を繰り返して逆転させるよりも、本発明の洗浄消毒方法
(実験例4)のように、通電時に電流を振動させること
により、従来の洗浄消毒方法(比較実験例7〜8)より
も電極反応で多量に発生する過酸化物によって短時間で
効果的な消毒が可能であることがわかった。
【0130】
【発明の効果】本発明の洗浄消毒方法によれば、コンタ
クトレンズなどの被洗浄体を浸漬させる電解質を含む処
理液中に、正極と負極とを交互に繰り返して逆転させな
がら直流電流を流すのみならず、少なくとも一方向に流
れる電流を該電流が流れる方向での最大電流値から0の
範囲内で振動させるので、電極表面が活性化され、過酸
化物を通電初期から安定して、しかも大量に発生させる
ことができる。したがって、本発明の洗浄消毒方法によ
れば、コンタクトレンズなどの被洗浄体の洗浄消毒をよ
り短時間で、しかも効果的に行なうことができるという
効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられる洗浄消毒装置の一実施態様
を示す回路図である。
【図2】図1に示される洗浄消毒装置に設けられた発振
器から出力される駆動パルスaおよび駆動パルスbの発
振波形の一例を示すグラフである。
【図3】図1に示された洗浄消毒装置の処理槽中の電解
質を含む処理液に通電される電流の理想的な経時変化を
示すグラフである。
【図4】図1に示された洗浄消毒装置の処理槽中の電解
質を含む処理液に通電される電流を記録装置を用いて記
録した際の経時変化を示すグラフである。
【図5】本発明で用いられる洗浄消毒装置の他の一実施
態様を示す回路図である。
【図6】図1に示された洗浄消毒装置の処理槽中の電解
質を含む処理液に通電される電流の理想的な経時変化を
示すグラフである。
【図7】本発明における参考例1および比較参考例1の
通電時間と電解質を含む処理液中の過酸化物の濃度との
関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1、1a 洗浄消毒装置 2 逆転回路 3 処理槽 4、4a 振動回路 11、11a 駆動部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解質を含む処理液に被洗浄体を浸漬し
    て直流電流を通じる洗浄消毒方法であって、正極と負極
    とを洗浄消毒処理中に1回または複数回繰り返して逆転
    させて正極と負極との間に直流電流を通じる際に、少な
    くとも一方向に流れる電流を該電流が流れる方向での最
    大電流値から0の範囲内で振動させることを特徴とする
    洗浄消毒方法。
  2. 【請求項2】 正極と負極との逆転を0.1 秒〜5分間の
    間隔で行ない、通電する電流の該電流が流れる方向での
    最大電流値が0.001 〜0.5 A、電解質を含む処理液のp
    Hが5.5 〜8、該電解質を含む処理液の電解質濃度が0.
    001 〜0.5mol/lである請求項1記載の洗浄消毒方法。
  3. 【請求項3】 少なくとも一方向に流れる電流の振動の
    1周期に要する時間を0.01〜1秒とする請求項1または
    2記載の洗浄消毒方法。
  4. 【請求項4】 少なくとも一方向に流れる電流の振動の
    振動幅を該電流が流れる方向での最大電流値の1/20〜
    2/3とする請求項1、2または3記載の洗浄消毒方
    法。
  5. 【請求項5】 一方向に電流を流す際の正極と負極とを
    逆転させる時間の間隔と、前記一方向に対して逆方向に
    電流を流す際の正極と負極とを逆転させる時間の間隔と
    を異ならせる請求項1、2、3、または4記載の洗浄消
    毒方法。
  6. 【請求項6】 前記被洗浄体がコンタクトレンズである
    請求項1、2、3、4または5記載の洗浄消毒方法。
  7. 【請求項7】 少なくとも一対の電極が設けられ、被洗
    浄体を浸漬させ、電解質を含む処理液を満たすための処
    理槽と、電極に電力を供給するための駆動部とを有する
    洗浄消毒装置であって、該駆動部が、出力する電流の方
    向を逆転させながら電力を供給する逆転回路と、該逆転
    回路から出力される供給電力の大きさを周期的に変化さ
    せる振動回路とが直列に接続されたものであることを特
    徴とする洗浄消毒装置。
JP6175355A 1994-07-27 1994-07-27 洗浄消毒方法およびそれに用いられる洗浄消毒装置 Pending JPH0838582A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5932171A (en) * 1997-08-13 1999-08-03 Steris Corporation Sterilization apparatus utilizing catholyte and anolyte solutions produced by electrolysis of water
US6623695B2 (en) 1997-12-04 2003-09-23 Steris Corporation Chemical modification of electrochemically activated solutions for improved performance
JPWO2003055533A1 (ja) * 2001-12-26 2005-04-28 日本メジフィジックス株式会社 エンドトキシン除去用組成物及び除去方法

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