JPH07104221A - コンタクトレンズの洗浄殺菌方法 - Google Patents

コンタクトレンズの洗浄殺菌方法

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JPH07104221A
JPH07104221A JP5247203A JP24720393A JPH07104221A JP H07104221 A JPH07104221 A JP H07104221A JP 5247203 A JP5247203 A JP 5247203A JP 24720393 A JP24720393 A JP 24720393A JP H07104221 A JPH07104221 A JP H07104221A
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Japan
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contact lens
treatment liquid
electrode
cleaning
concentration
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JP5247203A
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Kenji Yamada
賢治 山田
Hideaki Kamiya
英昭 神谷
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Tomey Technology Corp
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Tomey Technology Corp
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Publication date
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    • G02C13/00Assembling; Repairing; Cleaning
    • G02C13/008Devices specially adapted for cleaning contact lenses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L12/00Methods or apparatus for disinfecting or sterilising contact lenses; Accessories therefor
    • A61L12/02Methods or apparatus for disinfecting or sterilising contact lenses; Accessories therefor using physical phenomena, e.g. electricity, ultrasonics or ultrafiltration
    • A61L12/023Electrolysis

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 次亜ハロゲン酸のすぐれた殺菌力および洗浄
力によってコンタクトレンズを洗浄殺菌させるととも
に、かかる次亜ハロゲン酸をすみやかに無毒化させうる
コンタクトレンズの洗浄殺菌方法を提供すること。 【構成】 次亜ハロゲン酸を含有する処理液中にコンタ
クトレンズを浸漬したのち、前記処理液に電極の正極と
負極を複数回繰り返して逆転させて直流電流を通電する
ことを特徴とするコンタクトレンズの洗浄殺菌方法、な
らびにハロゲン化物を含有する処理用液中にコンタクト
レンズを浸漬したのち、前記処理用液に電極の正極と負
極を複数回繰り返して逆転させて直流電流を通電するこ
とを特徴とするコンタクトレンズの洗浄殺菌方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はコンタクトレンズの洗浄
殺菌方法に関する。さらに詳しくは、次亜ハロゲン酸の
すぐれた洗浄殺菌効果を利用したのち、次亜ハロゲン酸
をすみやかに無毒化しうるコンタクトレンズの洗浄殺菌
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンタクトレンズには、その装用に伴な
って環境中の汚れ、微生物、涙液中の蛋白質などが付着
するので、そのままでは長期間装用しつづけると目を害
する危惧がある。したがって、これを定期的に、好まし
くは毎日洗浄したり、殺菌する必要がある。
【0003】前記コンタクトレンズの洗浄方法として
は、従来、界面活性剤入りソリューションを用いて手指
により洗浄する方法が知られているが、かかる洗浄方法
では、表面の汚れを取り除くことが可能であるが、たと
えばハード系コンタクトレンズに適用したばあいには、
洗浄中に破損したり、傷が入るおそれがあり、また含水
性ソフトコンタクトレンズに適用したばあいには、コン
タクトレンズの内部に入り込んでいる蛋白質などの汚れ
を完全に除去することができない。
【0004】また、蛋白質に汚染されたコンタクトレン
ズを再生利用するための洗浄方法としては、蛋白質分解
酵素を含む洗浄剤を用いる方法が知られている。しかし
ながら、かかる方法を用いたばあいには、コンタクトレ
ンズの表面に付着した蛋白質を分解させることができる
が、酵素が用いられるため長時間を要する。とくにかか
る洗浄剤を用いて含水性ソフトコンタクトレンズを洗浄
したばあいには、レンズ内部で変性した蛋白質を分解さ
せるためには、蛋白質分解酵素自体もレンズ内部に侵入
させなければならないので、ハード系コンタクトレンズ
よりもさらに長時間の処理が必要であるばかりか、充分
な蛋白質除去効果を期待することができない。
【0005】また、米国特許第4,732,185号明
細書には、pH8〜9のホウ酸−EDTA緩衝液に一定
方向の電場を形成させてコンタクトレンズを浸漬して電
気泳動によって蛋白質を除去し、洗浄する方法が記載さ
れている。この方法を行なえば、確かに含水性コンタク
トレンズ内部に侵入している蛋白質を除去することがで
きるが、かかる方法を行なう前提として、蛋白質が変性
しておらず、しかもイオン化された状態であることが必
要であり、また処理に要する時間が長時間であるなどの
問題点がある。
【0006】一方、含水性コンタクトレンズの殺菌方法
としては、コンタクトレンズを過酸化水素水に浸漬して
殺菌し、金属触媒、還元剤および酵素触媒を用いて過酸
化水素を分解し、無毒化する方法や、クロロヘキシジン
などの化合物を利用した殺菌方法などが知られている。
【0007】しかし、過酸化水素水を使用する方法は、
含水性ソフトコンタクトレンズ中に残存する過酸化水素
を分解しなければならないため、その操作に長時間を要
するうえに、コンタクトレンズ内部に残存する過酸化水
素が完全に分解されていないと装用時に目にしみるなど
の刺激が付与されるため、適当な殺菌方法であるとはい
えない。また、クロロヘキシジンなどの化合物を使用し
た殺菌方法では、その化合物がレンズに吸着したり、残
存した化合物によって目などに対してアレルギー性の反
応がひきおこされる危険性がある。
【0008】一方、次亜塩素酸を使用する殺菌方法によ
れば、数ppmの濃度で黄色ブドウ球菌(Staphy
lococcus aureus)、大腸菌(Esch
erichia coli)、緑膿菌(Pseudom
onas aeruginosa)、カンジダ(Can
dida albicans)などの目の病原体を短時
間で殺菌させることができ、またレンズに付着した蛋白
質などの有機物の汚れを除去させることができる。
【0009】かかる次亜塩素酸を用いた方法としては、
特開昭56−68454号公報に記載の電気分解によっ
て次亜塩素酸を生成させ消毒させる方法があるが、該方
法は、処理後に残存する次亜塩素酸が自然消失するまで
には時間がかかり、長時間コンタクトレンズを次亜塩素
酸溶液中に浸漬するので、コンタクトレンズのカラーや
マークが脱色されてしまうという問題がある。
【0010】また、次亜塩素酸を用いて殺菌処理を施し
たレンズは、そのままの状態で目に装用することができ
ないので、適当な金属触媒や還元剤を用いて殺菌処理後
に残存する次亜塩素酸を不活性化させる方法が提案され
ている。かかる方法としては、たとえば特開平5−19
218号公報に記載の次亜塩素酸を金属触媒により還元
無毒化する方法、特開昭50−106492号公報およ
び特開平4−190214号公報に記載の次亜塩素酸を
還元剤により還元無毒化する方法などがある。
【0011】しかしながら、殺菌処理後にこのような還
元操作を行なうことは、レンズの無菌性が保ちがたくな
ることや、還元操作自体が面倒であり、還元操作が終わ
るまでにレンズが長時間、高濃度の次亜塩素酸イオンの
作用を受けることにより、レンズの材質劣化やカラーの
褪色が発生するなどの問題があり、また、還元操作が正
しく実施されなかったばあいには、レンズ装用時に眼組
織に対して害を与えるという問題があった。
【0012】さらに、特開昭63−254416号公
報、特開昭63−254417号公報には、洗浄層中の
電解液をイオン交換膜を貼った隔壁で2分し、該電解液
に直流電流を流すことにより、次亜塩素酸を含む酸性液
とアルカリ液とを生成させ、アルカリ側で洗浄し、つい
で逆方向に電流を流すことでコンタクトレンズが浸漬さ
れたアルカリ側の液を中和させる方法が提案されている
が、これらの方法では、液性(pH)は中和されるが、
発生した次亜塩素酸を還元されることなく溶液内に残存
するため、処理後にそのままレンズを装用することがで
きないという問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、次亜ハロゲン酸のすぐ
れた殺菌力および洗浄力によってコンタクトレンズを洗
浄殺菌させるとともに、かかる次亜ハロゲン酸をすみや
かに無毒化させうるコンタクトレンズの洗浄殺菌方法を
提供することを目的とするものである。
【0014】本発明は、さらには電力をできるだけ小さ
くすることによって感電や漏電に対する電気的安全性を
高め、電池やバッテリーなどの使用によって携帯に便利
なコンタクトレンズ処理装置にも好適に使用しうるコン
タクトレンズの電気的処理方法を提供することを目的と
するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、次亜ハロゲ
ン酸を含有する処理液中にコンタクトレンズを浸漬した
のち、前記処理液に電極の正極と負極を複数回繰り返し
て逆転させて直流電流を通電することを特徴とするコン
タクトレンズの洗浄殺菌方法、ならびにハロゲン化物
を含有する処理用液中にコンタクトレンズを浸漬したの
ち、前記処理用液に電極の正極と負極を複数回繰り返し
て逆転させて直流電流を通電することを特徴とするコン
タクトレンズの洗浄殺菌方法に関する。
【0016】
【作用および実施例】本発明のコンタクトレンズの洗浄
殺菌方法は、前記したように、次亜ハロゲン酸を含有
する処理液中にコンタクトレンズを浸漬したのち、前記
処理液に電極の正極と負極を複数回繰り返して逆転させ
て直流電流を通電すること(以下、第1発明という)、
ならびにハロゲン化物を含有する処理用液中にコンタ
クトレンズを浸漬したのち、前記処理用液に電極の正極
と負極を複数回繰り返して逆転させて直流電流を通電す
ること(以下、第2発明という)を特徴とするものであ
る。
【0017】なお、本発明で次亜ハロゲン酸とは、酸化
数+1のハロゲンを含む酸素酸で、一般式:HXO(式
中、XはCl、BrまたはIを示す)で表わされるもの
をいい、次亜ハロゲン酸イオン(XO- )を含むもので
ある。
【0018】まず、第1発明について説明する。
【0019】第1発明は、次亜ハロゲン酸の洗浄殺菌効
果を利用したのち、次亜ハロゲン酸をすみやかに無毒化
しうるものである。
【0020】本発明の洗浄殺菌方法に用いられる処理液
は、次亜ハロゲン酸を含有するものであり、かかる次亜
ハロゲン酸としては、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨ
ウ素酸があげられる。
【0021】前記処理液中の次亜ハロゲン酸の濃度は、
0.1〜1000ppmであることが好ましい。かかる
次亜ハロゲン酸の濃度が1000ppmよりも高いばあ
いには、コンタクトレンズに損傷を与えるおそれが生じ
る傾向があり、また0.1ppmよりも低いばあいに
は、充分な洗浄殺菌効果が発現されにくくなる傾向があ
る。なお、前記次亜ハロゲン酸の濃度は、コンタクトレ
ンズの消毒処理のみを行なうばあいには、2〜10pp
m程度であることが好ましく、また消毒処理および蛋白
質などの有機物の汚れの洗浄処理を行なうばあいには、
20ppm以上であることが好ましい。
【0022】前記次亜ハロゲン酸を含有する処理液をう
る方法としては、たとえば次亜塩素酸ナトリウム、次亜
臭素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜臭素酸カ
リウム、次亜ヨウ素酸ナトリウム、次亜ヨウ素酸カリウ
ムなどの次亜ハロゲン酸塩を水などに添加する方法など
があげられる。なお、本発明において前記方法を用いる
ばあい、通常、次亜ハロゲン酸を含有する処理液を調製
したのち、該処理液にコンタクトレンズを浸漬するが、
あらかじめコンタクトレンズが浸漬された水などに次亜
ハロゲン酸塩を添加してもよい。
【0023】また、第1発明において、前記次亜ハロゲ
ン酸を含有する処理液をうるには、前記のほかにも、ハ
ロゲン化物をたとえば水などに含有させた溶液に直流電
流を通電する方法などを採用することができる。かかる
ハロゲン化物としては、たとえば塩化ナトリウム、塩化
カリウムなどの塩化物、臭化ナトリウム、臭化カリウム
などの臭化物、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムなど
のヨウ化物などがあげられる。なお、前記溶液中のハロ
ゲン化物の濃度や、直流電流の電圧、通電時間は、発生
する次亜ハロゲン酸の濃度が前記範囲内に含まれるよう
に調整することが好ましく、たとえばハロゲン化物の濃
度は10〜3000ppm、なかんづく100〜150
0ppmであることが好ましい。直流電流の電圧は1.
5〜20V程度、通電時間は30秒〜30分間程度であ
ることが好ましい。かかるハロゲン化物の濃度が10p
pmよりも低いばあいには、発生する次亜ハロゲン酸の
濃度が低すぎて充分な洗浄殺菌効果が発現されにくくな
る傾向があり、また3000ppmよりも高いばあいに
は、発生した次亜ハロゲン酸を還元して無毒化するのに
長時間を要するようになる傾向がある。
【0024】なお、前記方法を用いるばあい、直流電流
を通電したのちに該処理液にコンタクトレンズを浸漬す
るが、あらかじめコンタクトレンズが浸漬されたハロゲ
ン化物溶液に直流電流を通電してもよい。
【0025】第1発明において、前記処理液中にコンタ
クトレンズを浸漬したのち、前記処理液に電極の正極と
負極を複数回繰り返して逆転させて直流電流を通電する
ことにより、洗浄殺菌処理が行なわれるが、かかる処理
に要する時間は、処理液中の次亜ハロゲン酸の濃度、電
流値などによって多少異なるが、通常30秒〜200分
間程度、なかんづく30秒〜30分間程度であることが
好ましい。
【0026】第1発明において、コンタクトレンズを浸
漬した処理液に電極の正極と負極を複数回繰り返して逆
転させて直流電流を通電するばあいの電極の材料として
は、溶出などの劣化をおこしにくいイオン化傾向が小さ
い材料が好ましい。かかる電極の材料の代表例として
は、たとえば金、白金などの貴金属、これら貴金属でメ
ッキ処理または蒸着処理が施された合成樹脂やセラミッ
クなどがあげられる。
【0027】前記電極の正極と負極との逆転は、複数回
繰り返して行なえばよいが、逆転させる時間の間隔が
0.01秒〜2分間、なかんづく0.1秒〜30秒間と
なるように調整することが好ましい。前記逆転させる時
間の間隔が0.01秒間よりも短いばあいには、電気泳
動の効果が小さく、電極の極性変化が激しいため、電流
を通電することによる電極の溶出などの劣化がみられる
ようになる傾向があり、また2分間よりも長いばあいに
は、次亜ハロゲン酸を還元して無毒化するのに長時間を
要するようになる傾向がある。
【0028】また、前記電極の正極と負極の逆転回数は
2〜10000回、好ましくは10〜6000回であ
り、さらに好ましくは15〜100回であることが望ま
しい。前記逆転回数が2回よりも少ないばあいには、次
亜ハロゲン酸の還元無毒化が完全に行なわれないおそれ
があり、10000回よりも多いばあいには、通電時間
が長くなり、液温の上昇によるコンタクトレンズの熱的
劣化がみられるようになる。
【0029】前記電圧を印加する電極の正極と負極とを
逆転させるための手段としては、たとえば発振機とカウ
ンター分周期およびリレーを用いた反転回路を用いる方
法や、リレーのみを用いる方法などがあげられるが、本
発明はかかる方法のみに限定されるものではない。
【0030】処理液に通電させる直流電流の電流値は、
処理液の種類や電極面積に応じて適宜選択すればよい
が、通常0.001〜1A程度、なかんづく0.01〜
0.3A程度の範囲内であることが好ましい。かかる電
流値が0.001A未満であるばあいには、次亜ハロゲ
ン酸の還元に長時間を要するようになる傾向があり、ま
た1Aをこえるばあいには、処理液の液温が上昇し、た
とえばハード系コンタクトレンズや高含水ソフトコンタ
クトレンズなどの洗浄殺菌を行なったときには、ハード
系コンタクトレンズの変形、高含水コンタクトレンズの
材質の劣化などの熱的な劣化を引き起こす原因となるお
それがあり、また所望の電流値をうるために高電圧を必
要とするので、感電、漏電などの電気的な安全性が低下
する傾向がある。
【0031】前記電極間に印加する直流電流の電圧は、
1〜40V程度、なかんづく1.5〜20V程度である
ことが好ましい。かかる電圧が1V未満であるばあいに
は、洗浄殺菌効果の低下や次亜ハロゲン酸の還元に長時
間を要するなどの問題が生じるようになる傾向があり、
また40Vをこえるばあいには、処理液の液温が必要以
上に上昇し、洗浄殺菌を行なったときコンタクトレンズ
が熱的に劣化するおそれがあり、また感電、漏電などの
電気的な安全性が低下する傾向がある。
【0032】なお、かかる処理液に電極の正極と負極を
複数回繰り返して逆転させて直流電流を通電する時間
は、溶液中に存在する次亜ハロゲン酸を還元無毒化する
ために必要な時間よりも長ければよく、安全性の点から
30秒〜30分間程度であることが好ましい。
【0033】つぎに第2発明について説明する。
【0034】第2発明は、前記したように、ハロゲン化
物を含有する処理用液中にコンタクトレンズを浸漬した
のち、前記処理用液に電極の正極と負極を複数回繰り返
して逆転させて直流電流を通電することにより、次亜ハ
ロゲン酸を発生せしめるとともに次亜ハロゲン酸を還元
して洗浄殺菌と同時に次亜ハロゲン酸を無毒化しうるも
のである。
【0035】第2発明の洗浄殺菌方法に用いられる処理
用液は、ハロゲン化物を含有するものであり、かかるハ
ロゲン化物の具体例としては、たとえば塩化ナトリウ
ム、塩化カリウムなどの塩化物や臭化ナトリウム、臭化
カリウムなどの臭化物、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリ
ウムなどのヨウ化物などがあげられる。
【0036】前記処理用液中のハロゲン化物の濃度は、
10〜3000ppm、なかんづく100〜1500p
pmであることが好ましい。かかるハロゲン化物の濃度
が10ppmよりも低いばあいには、発生する次亜ハロ
ゲン酸の濃度が低くなり、充分な洗浄殺菌効果が発現さ
れにくくなる傾向があり、また3000ppmよりも高
いばあいには、発生した次亜ハロゲン酸を還元して無毒
化するのに長時間を要するようになる傾向がある。
【0037】なお、前記ハロゲン化物を含有する処理用
液をうるには、前記ハロゲン化物を水などに添加し、そ
の濃度が前記範囲内に含まれるように調整すればよい。
【0038】第2発明において、前記処理用液中にコン
タクトレンズを浸漬して洗浄殺菌を行なう際の諸条件
は、第1発明と同様であればよい。
【0039】また、第2発明において、コンタクトレン
ズを浸漬したのち、該処理用液にはあらかじめ直流電流
を通電して次亜ハロゲン酸を発生させてもよい。かかる
直流電流の電圧、通電時間などは、発生する次亜ハロゲ
ン酸の濃度が0.1〜1000ppmの範囲内に含まれ
るように調整することが好ましく、たとえば直流電圧は
1.5〜20V程度、通電時間は30秒〜30分間程度
であることが好ましい。
【0040】なお、前記第1発明および第2発明に用い
られる処理液および処理用液には、必要に応じて、たと
えば緩衝剤、電解質などを適宜配合することができる。
【0041】前記緩衝剤は、処理液または処理用液のp
Hを安定せしめるための成分であり、かかる緩衝剤を用
いることにより、処理液または処理用液のpHを生理的
に等張な6〜7.5程度に調整することが好ましい。か
かる緩衝剤としては、たとえばリン酸塩、ホウ酸塩など
があげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して
用いることができる。なお、かかる緩衝剤の処理液また
は処理用液中の濃度は、通常0.2mol/リットル以
下、なかんづく0.0001〜0.05mol/リット
ルとなるように調整することが好ましい。かかる緩衝剤
の濃度が0.2mol/リットルをこえるばあいには、
たとえば後述する電解質などと併用したとき、これらを
あわせた濃度が高くなって処理液または処理用液の浸透
圧が高くなりすぎ、かかる処理液または処理用液を用い
て洗浄殺菌を行なったコンタクトレンズを装用すると、
眼が刺激されるようになる傾向がある。
【0042】前記電解質は、処理液または処理用液の電
気伝導度を上昇させ、浸透圧を調整せしめるための成分
である。
【0043】かかる電解質としては、たとえば硫酸ナト
リウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、硝酸ナト
リウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸カリウ
ムなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混
合して用いることができる。なお、かかる電解質の濃度
は、たとえば前記緩衝剤などとあわせて、処理液または
処理用液の浸透圧が250〜350mmol/kgとな
るように調整することが好ましい。
【0044】本発明の洗浄殺菌方法においては、たとえ
ば前記のようにして次亜ハロゲン酸を含有する処理液ま
たはハロゲン化物を含有する処理用液を調製し、該液に
コンタクトレンズを浸漬したのち、該液に電極の正極と
負極を複数回繰り返して逆転させて直流電流を通電して
過酸化物を発生せしめ、処理液中の次亜ハロゲン酸を還
元して無毒化させる。
【0045】従来の電極の正極と負極とを処理中に繰り
返して逆転させずに直流電流を通電する方法では、次亜
ハロゲン酸が処理液中に一定濃度で安定してしまうが、
本発明の洗浄殺菌方法によれば、洗浄や殺菌に充分な濃
度の次亜ハロゲン酸を、数分ないし数十分間といった短
時間で処理液または処理用液中から完全に還元して無毒
化することができる。
【0046】なお、本発明の洗浄殺菌方法においては、
コンタクトレンズに付着している脂質などの汚れを充分
に除去するために、コンタクトレンズを処理液または処
理用液に浸漬する前に該処理液または処理用液中に界面
活性剤を含有させるか、または洗浄殺菌したのちに界面
活性剤を含有する洗浄液でコンタクトレンズを洗浄して
もよい。
【0047】前記界面活性剤としては、たとえば高級ア
ルコールおよび液体脂肪油の硫酸エステル、アルキルエ
ーテル硫酸エステル、アルキルスルホネート、スルホコ
ハク酸エステル、アルキルエーテルスルホン酸ナトリウ
ムなどの陰イオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、ア
ルキルアンモニウム塩などの陽イオン性界面活性剤、ア
ルキルエーテル、アルキルフェニルエーテル、ポリオキ
シプロピレンエーテル、アルキルエステルグリセリン脂
肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシ
エチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン性界
面活性剤などがあげられ、これらは単独でまたは2種以
上を混合して用いることができる。
【0048】なお、前記界面活性剤を処理液または処理
用液中に含有させて用いるばあいには、発生する次亜ハ
ロゲン酸と反応しない界面活性剤を用いればよく、この
ような界面活性剤としては、たとえばアルキルエーテル
スルホン酸ナトリウムなどがあげられる。また、該界面
活性剤の濃度があまりにも高すぎるばあいには、電極反
応によって発生するガスのため、処理液または処理用液
に過剰の気泡が発生して容器から該処理液または処理用
液があふれることがあるので、該界面活性剤の処理液ま
たは処理用液中の濃度は、0.1重量%以下、なかんづ
く0.05重量%以下であることが好ましい。
【0049】また、コンタクトレンズ内部に変性した蛋
白質などの除去しにくい蛋白質の汚れが存在するばあい
には、前記処理前に蛋白質分解酵素を含有する溶液と接
触させて変性した蛋白質などが除去されやすくしてもよ
い。
【0050】前記蛋白質分解酵素としては、たとえばパ
パイン、キモパパイン、パンクレアチン、トリプシン、
キモトリプシン、ペプシン、フィシン、カルボキシペプ
チターゼ、アミノペプチターゼ、ブロメリンなどの植物
性蛋白質分解酵素や動物性蛋白質分解酵素、バチルス、
ストレプトミセス細菌やアスペルギウス糸状菌などの微
生物由来の蛋白質分解酵素などがあげられ、これらは単
独でまたは2種以上を混合して用いることができる。な
お、かかる蛋白質分解酵素の処理液または処理用液中の
濃度は、該処理液または処理用液中の蛋白質分解酵素活
性が300〜1000unit/mlとなるように調整
することが好ましい。
【0051】かくして電極の正極と負極を複数回繰り返
して逆転させて直流電流を通電して洗浄殺菌処理後の次
亜ハロゲン酸を還元させて無毒化させることにより、洗
浄殺菌処理が施されたコンタクトレンズを処理液または
処理用液から取り出してそのまま目に装用することがで
きる。
【0052】なお、本発明においては、処理液中の次亜
ハロゲン酸の濃度がとくに安定しているという点では、
第1発明の次亜ハロゲン酸を含有する処理液にコンタク
トレンズを浸漬したのち、電極を逆転させて直流電流を
通電する方法を用いることが好ましく、また処理前の溶
液の安全性という点からは、次亜ハロゲン酸を含まずに
ハロゲン化物を含有する処理用液中にコンタクトレンズ
を浸漬したのち、該処理液にたとえば直流電流を通電し
て次亜ハロゲン酸を発生させ、前記処理液に電極を逆転
させて直流電流を通電する第2発明を用いることが好ま
しい。
【0053】次亜ハロゲン酸によるコンタクトレンズの
洗浄殺菌効果は、短時間で現れるので、洗浄殺菌処理が
施されたのちは、できるだけすみやかに次亜ハロゲン酸
を還元することがコンタクトレンズに損傷を与えないと
いう点から好ましい。
【0054】したがって、たとえば従来の還元剤を用い
た方法では、洗浄殺菌処理が終了してから還元剤を作用
させるまでに時間がかかり、また還元触媒を用いた方法
においては、還元に長時間を要するため、還元終了まで
次亜ハロゲン酸の濃度が高いままの状態でコンタクトレ
ンズが必要以上に浸漬され続けており、その損傷が大き
いといった問題があったのに対し、本発明においては、
用いる処理液または処理用液に応じて、たとえばタイマ
ーなどで時間を設定して電流を制御しながら通電するこ
とにより、洗浄殺菌処理後、きわめて短時間で次亜ハロ
ゲン酸を還元して無毒化することができるので、コンタ
クトレンズに損傷を与えることがない。
【0055】また本発明においては、洗浄殺菌処理後に
煩雑な操作を必要とせずに、処理液または処理用液から
取り出したコンタクトレンズをそのまま目に装用するこ
とができるので、コンタクトレンズの無菌性がきわめて
良好に保たれ、本発明の方法は、コンタクトレンズの洗
浄殺菌方法としてきわめて有用なものである。
【0056】つぎに、本発明のコンタクトレンズの洗浄
殺菌方法を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、
本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0057】実験例1 硫酸ナトリウム1.1×10-1mol/リットル、リン
酸一ナトリウム2.4×10-4mol/リットルおよび
リン酸二ナトリウム3.5×10-4mol/リットルを
含有するpH7の溶液に塩化ナトリウムを添加し、その
濃度が100ppm、300ppm、500ppmまた
は1000ppmとなるように調整した。前記溶液各7
mlを電極面積が0.21cm2 、電極間距離が4mm
である一対の白金をセラミックにメッキ処理した電極を
有する処理容器に入れ、5Vで直流電流を流し、経時的
に次亜塩素酸の発生量を測定した。その結果を図1に示
す。なお、この溶液中に残留した次亜塩素酸の濃度は、
(社)日本薬学会編『衛生試験法・注解1990』金原
出版(株)、P.949に記載の水質試験法(オルトト
リジンによる定量法)にしたがって測定した。
【0058】図1に示された結果から明らかなように、
ハロゲン化物を含有した溶液に直流電流を流すことによ
り、次亜塩素酸の発生量を安定化させることができるこ
とがわかる。
【0059】実験例2 硫酸ナトリウム1.1×10-1mol/リットル、ホウ
酸1.0×10-4mol/リットルおよびホウ砂8.0
×10-6mol/リットルを含有するpH7の溶液に塩
化ナトリウムを添加し、その濃度が100ppm、30
0ppm、500ppmまたは1000ppmとなるよ
うに調整した。前記溶液各7mlを電極面積が0.21
cm2 、電極間距離が4mmである一対の白金をセラミ
ックにメッキ処理した電極を有する処理容器に入れ、5
Vで直流電流を流し、実験例1と同様にして経時的に次
亜塩素酸の発生量を測定した。その結果、これら各溶液
の次亜塩素酸の発生量は、それぞれ図1に示されたもの
と同様であった。
【0060】実験例3 硫酸カリウム1.1×10-1mol/リットル、ホウ酸
1.0×10-4mol/リットルおよびホウ砂8.0×
10-6mol/リットルを含有するpH7の溶液に塩化
ナトリウムを添加し、その濃度が100ppm、300
ppm、500ppmまたは1000ppmとなるよう
に調整した。前記溶液各7mlを電極面積が0.21c
2 、電極間距離が4mmである一対の白金をセラミッ
クにメッキ処理した電極を有する処理容器に入れ、5V
で直流電流を流し、実験例1と同様にして経時的に次亜
塩素酸の発生量を測定した。その結果、これら各処理液
の次亜塩素酸の発生量は、それぞれ図1に示されたもの
と同様であった。
【0061】実験例4 実験例1で用いた溶液各7mlを電極面積が0.21c
2 、電極間距離が4mmである一対の白金をセラミッ
クにメッキ処理した電極を有する処理容器に入れ、5V
で直流電流を20分間流し、次亜塩素酸を発生させた。
ついで、前記溶液に反転回路によって5V、0.04A
で7.5秒間の間隔で正極と負極を繰り返して逆転させ
て直流電流を流したときの次亜塩素酸の濃度の変化を経
時的に測定した。その結果を図2に示す。
【0062】図2に示された結果から明らかなように、
電極の正極と負極を繰り返して逆転させることにより、
次亜塩素酸が短時間で還元されることがわかる。
【0063】実験例5および比較実験例1 硫酸ナトリウム1.1×10-1mol/リットル、リン
酸一ナトリウム2.4×10-4mol/リットルおよび
リン酸二ナトリウム3.5×10-4mol/リットルを
含有するpH7の溶液に塩化ナトリウムを添加し、その
濃度が700ppmとなるように調整した。この溶液7
mlを電極面積が0.21cm2 、電極間距離が4mm
である一対の白金をセラミックにメッキ処理した電極を
有する処理容器に入れ、10Vの直流電流を5分間流し
て次亜塩素酸を発生させ、その濃度を10ppmとし
た。つぎに、えられた次亜塩素酸の溶液に反転回路によ
って5V、0.04Aで電極の正極と負極を0.017
秒間、1秒間、7.5秒間、30秒間、1分間または2
分間の間隔で繰り返して逆転させて直流電流を流したと
き(実験例5)および該直流電流を流す際に電極の正極
と負極を逆転させなかったとき(比較実験例1)の次亜
塩素酸の濃度の変化を経時的に測定した。その結果を図
3に示す。
【0064】図3に示された結果から明らかなように、
とくに直流電流を流す際に電極の正極と負極を繰り返し
て逆転させたばあいには、次亜塩素酸がきわめて短時間
で還元されることがわかる。また、もっとも好ましい逆
転の間隔は1秒間であった。
【0065】実験例6 実験例1で用いた塩化ナトリウムの濃度が300pp
m、500ppmまたは1000ppmの処理用液各7
mlを電極面積が0.21cm2 、電極間距離が4mm
である一対の白金をセラミックにメッキ処理した電極を
有する処理容器に入れ、反転回路によって5V、0.0
4Aで電極の正極と負極を7.5秒間の間隔で繰り返し
て逆転させて直流電流を流したときの次亜塩素酸の濃度
の変化を各時間ごとに測定した。その結果を図4に示
す。
【0066】図4に示された結果から明らかなように、
電極の正極と負極を繰り返して逆転させることにより、
はじめは次亜塩素酸が発生するが、その後短時間で次亜
塩素酸が還元されることがわかる。
【0067】実験例7 硫酸ナトリウム1.1×10-1mol/リットル、リン
酸一ナトリウム2.4×10-4mol/リットルおよび
リン酸二ナトリウム3.5×10-4mol/リットルを
含有するpH7の溶液に次亜塩素酸ナトリウム溶液を添
加し、次亜塩素酸の濃度が1ppm、30ppm、50
ppm、100ppm、500ppmまたは1000p
pmとなるように調整した。つぎに前記処理液各7ml
を電極面積が0.21cm2 、電極間距離が4mmであ
る一対の白金をセラミックにメッキ処理した電極を有す
る処理容器に入れ、反転回路によって10V、0.08
Aで2秒間の間隔で電極の正極と負極を繰り返して逆転
させたときの次亜塩素酸の濃度の変化を測定した。これ
らの結果のうち、最初の次亜塩素酸の濃度が1ppm以
外のものの結果を図5に示す。
【0068】図5に示された結果から明らかなように、
電極の正極と負極を繰り返して逆転させることにより、
次亜塩素酸が完全に還元されることがわかる。また次亜
塩素酸の濃度が30ppmおよび50ppmのばあいに
は、とくにきわめて短時間で還元されることがわかる。
なお、最初の次亜塩素酸の濃度が1ppmのばあいも、
0.2分間ときわめて短時間で還元された。
【0069】実験例8〜9 硫酸ナトリウム1.1×10-1mol/リットル、リン
酸一ナトリウム2.4×10-4mol/リットルおよび
リン酸二ナトリウム3.5×10-4mol/リットルを
含有するpH7の溶液に次亜塩素酸ナトリウム溶液を添
加し、次亜塩素酸の濃度が30ppmとなるように調整
した。つぎにこの処理液7mlを電極面積が0.21c
2 、電極間距離が4mmである一対の白金をセラミッ
クにメッキ処理した電極を有する処理容器に入れ、反転
回路によって10V、0.08Aで0.25秒間、0.
5秒間、1秒間、2秒間、4秒間、7.5秒間または1
分間の間隔で電極の正極と負極を繰り返して逆転させた
ときの次亜塩素酸の濃度の変化(実験例8)および電極
の正極と負極の逆転の間隔が一方向が0.5秒間で逆方
向が1秒間、同様にして1秒間と4秒間または7.5秒
間と1分間としたときの次亜塩素酸の濃度の変化(実験
例9)を測定した。それらの結果をそれぞれ図6および
図7に示す。
【0070】図6および図7に示された結果から明らか
なように、電極の正極と負極を繰り返して逆転させるこ
とにより、次亜塩素酸が短時間で還元されることがわか
る。また好ましい逆転の間隔は0.5秒間、1秒間、2
秒間および0.5秒間と1秒間、1秒間と4秒間であっ
た。
【0071】比較実験例2〜3 実験例1で用いた塩化ナトリウムの濃度が300ppm
または500ppmの溶液各7mlに、白金をセラミッ
クにメッキ処理した電極を用い、5V、0.04Aで一
方向に5分間、逆方向に5分間直流電流を流したときの
次亜塩素酸の濃度の変化を各時間ごとに測定した(比較
実験例2)。その結果を図8に示す。
【0072】また前記溶液各7mlをイオン交換膜を貼
った隔壁で2分した電解槽に入れ、各電解槽に電極を設
けて10V、0.08Aで一方向に5分間、逆方向に5
分間直流電流を流し、はじめの5分間に陰極側であった
電解槽の次亜塩素酸の濃度の変化を各時間ごとに測定し
た(比較実験例3)。その結果を図9に示す。
【0073】図8および図9に示された結果から明らか
なように、電極の逆転を1回しか行なわなかったばあい
には、次亜塩素酸はまったく還元されず、処理液中に安
定して存在していることがわかる。
【0074】さらに、比較実験例3において、処理後に
隔壁を除き、両電解槽の処理液を混合して次亜塩素酸の
濃度を測定したが、塩化ナトリウムの濃度が300pp
mの溶液を用いたばあいには1.8ppm、塩化ナトリ
ウムの濃度が500ppmの溶液を用いたばあいには
3.2ppmの濃度の次亜塩素酸が残留しており、ほと
んど還元されていないことがわかった。
【0075】実施例1〜7 硫酸ナトリウム1.1×10-1mol/リットル、リン
酸一ナトリウム2.4×10-4mol/リットルおよび
リン酸二ナトリウム3.5×10-4mol/リットルを
含有するpH7の溶液に塩化ナトリウムを添加し、その
濃度が100ppm、150ppm、200ppm、2
50ppm、400ppm、600ppmまたは100
0ppmとなるように調整した。前記処理用液7mlを
電極面積が0.21cm2 、電極間距離が4mmである
一対の白金をセラミックにメッキ処理した電極を有する
処理容器に入れ、これに含水率72重量%の薄い緑色に
着色したソフトカラーコンタクトレンズ(商品名ソフト
72、(株)メニコン製)を浸漬し、9Vの乾電池を用
いて表1に示す時間直流電流を流して次亜塩素酸を発生
させ殺菌消毒処理を施したのち、ついで反転回路によっ
て9V、0.06Aで電極の正極と負極を2秒間の間隔
で逆転させて表1に示す時間直流電流を流すことによ
り、次亜塩素酸を還元した。このときの処理用液中の次
亜塩素酸の濃度を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】表1に示された結果から、反転電流の通電
開始後1ないし2分間といった短時間で処理用液中の次
亜塩素酸は完全に還元されていることがわかる。
【0078】また、処理後のコンタクトレンズにおける
次亜塩素酸の有無を、該コンタクトレンズを0.1%オ
ルトトリジン塩酸溶液(キシダ化学(株)製)を80倍
に希釈した溶液中に浸漬し、コンタクトレンズが黄色に
着色するかどうかによって調べた。その結果、0.1p
pm以上の次亜塩素酸が存在すれば、コンタクトレンズ
は黄色に着色するはずであるが、該コンタクトレンズは
まったく変色せず、次亜塩素酸が還元されていることが
わかった。
【0079】なお、コンタクトレンズの褪色もまったく
認められず、かかるコンタクトレンズをそのまま目に装
用しても何ら問題はなかった。
【0080】つぎに実施例1の処理用液7mlを下記に
示す各微生物用に6種類用意し、各微生物を含む水0.
1mlをそれぞれの処理用液に入れ、前記と同様の殺菌
処理を行なった。実施例2〜7についても同様な処理を
行なった。
【0081】つぎに、前記処理液について、各微生物
(大腸菌(EscherichiaColi、IFO3
972)、緑膿菌(Pseudomonas aeru
ginosa、IFO13275)、セラチア(Ser
ratia marcescens、臨床分離菌)、黄
色ブドウ球菌(Staphylococcus aur
eus、IFO13276)、カンジタ(Candid
a albicans、IFO1594)、アスペルギ
ウス(Aspergillus niger、IFO9
455)に対する殺菌効力試験を平板希釈法によって処
理液1mlあたりの生菌数を測定して行なった。その結
果を表2に示す。なお、表2中、()内には直流電流通
電前の各微生物の生菌の数(個/ml)を示した。
【0082】
【表2】
【0083】表2に示された結果から、いずれの実施例
においても直流電流の通電後に生菌が完全に消滅してい
るか、または通電前の生菌数と比べてきわめて少量にま
で減少しており、本発明の方法がすぐれた殺菌効果を奏
するものであることがわかる。
【0084】実施例8〜14 N−ビニルピロリドンを主成分とする含水率約70重量
%のソフトコンタクトレンズ17枚を用意し、これらの
うち16枚を以下の組成の人工涙液(pH7)1.5m
l中に37℃で1時間浸漬した。
【0085】(人工涙液の組成) アルブミン 11.64g γ−グロブリン 4.83g リゾチーム 3.6g NaCl 9.0g CaCl2 ・2H2 O 0.15g NaH2 PO4 ・2H2 O 1.04g 蒸留水 1.0リットル つぎに、前記人工涙液に浸漬したコンタクトレンズのう
ち、14枚をメニクリーン(商品名、(株)メニコン
製)を用いて手指にて洗浄したのち、実施例1〜7で用
いたものと同じ処理用液および処理容器を用い、これに
各2枚のコンタクトレンズを浸漬して9Vで表3に示す
時間直流電流を流し、ついで反転回路によって9V、
0.06Aで電極の正極と負極を2秒間の間隔で逆転さ
せて表3に示す時間直流電流を流すことにより、洗浄処
理を施した。これら人工涙液に浸漬する操作と洗浄処理
を施す操作とをあわせてサイクルテストAという。
【0086】前記サイクルテストAを100サイクル行
なったのち、コンタクトレンズを目視にて観察し、その
透明性を以下の評価基準に基づいて評価した。その結果
を表3に示す。
【0087】(評価基準) A:サイクルテストAを行なっていないコンタクトレン
ズとまったく同様のすぐれた透明性を有する。 B:サイクルテストAを行なっていないコンタクトレン
ズと比べて少し白濁が認められる。 C:白濁がいちじるしい。
【0088】
【表3】
【0089】表3に示された結果から、サイクルテスト
Aを100サイクル行なったのちのコンタクトレンズは
透明性にすぐれ、本発明の方法によって蛋白質の除去が
充分に行なわれていることがわかる。なお、かかるサイ
クルテストAを100サイクル行なったのちでも、コン
タクトレンズの損傷などはまったく認められなかった。
【0090】比較例1 実施例8〜14で人工涙液に浸漬した16枚のコンタク
トレンズのうちの残りの2枚について、メニクリーンを
用いて手指にて洗浄したのち、メニソーク(商品名、
(株)メニコン製)1.5ml中に浸漬して煮沸消毒器
(商品名、ライザーE、(株)メニコン製)を用いてコ
ンタクトレンズを煮沸消毒処理を施した。これら人工涙
液に浸漬する操作と煮沸消毒処理を施す操作とをあわせ
てサイクルテストBという。
【0091】前記サイクルテストBを100サイクル行
なったが、ライザーEを用いて煮沸消毒処理を施した2
枚のコンタクトレンズは、サイクルテストBを20サイ
クル程度行なったころから白濁していることが肉眼でわ
かるようになった。さらに100サイクル終了後、コン
タクトレンズの白濁の原因を追求するためにX線マイク
ロアナライザーにより硫黄(蛋白質由来)およびリン
(リン酸カルシウム由来)の存在の有無を調べたとこ
ろ、硫黄の存在を示すピークが検出された。
【0092】したがって、このコンタクトレンズの白濁
はタンパク質によるものと推定され、本発明の方法によ
る処理を行なわないばあいには、コンタクトレンズ内に
蛋白質が蓄積されることがわかる。なお、リンの存在を
示すピークは検出されなかった。
【0093】実施例15および比較例2 実施例8〜14と同様にして2枚のコンタクトレンズを
人工涙液1.5ml中に37℃で1時間浸漬し、メニク
リーンを用いて手指にて洗浄したのち、実施例7の溶液
に浸漬し、ライザーEにて殺菌消毒処理を施した。つぎ
に前記コンタクトレンズ2枚を室温まで放冷した。
【0094】前記操作を1サイクルとし、かかる操作5
0サイクル行なったのち、コンタクトレンズを目視にて
観察したところ、2枚とも20サイクル程度行なったこ
ろから白濁していることがわかるようになった。
【0095】このことから、前記ライザーEによる煮沸
処理では蛋白質をコンタクトレンズから充分に除去する
ことができないことがわかる(比較例2)。
【0096】さらに50サイクル行なったのちの白濁し
たコンタクトレンズのうち1枚を、実施例7と同様の処
理用液および処理容器を用い、9Vで2分間直流電流を
流し、ついで9V、0.06Aで電極の正極と負極を2
秒間の間隔で逆転させて2分間直流電流を流した。その
のちコンタクトレンズを処理容器から取り出し、目視に
て観察したところ、透明なコンタクトレンズに戻ってい
た(実施例5)。
【0097】このことから、蛋白質が熱変性によって固
着したコンタクトレンズにおいても、本発明の方法によ
って蛋白質を除去することが可能であることがわかる。
【0098】実施例16〜20 実施例1〜7で用いたものと同じ処理容器を用い、含水
率38重量%の薄い青色に着色したソフトカラーコンタ
クトレンズ(商品名ソフトMA、(株)メニコン製)を
実験例5(実施例16)、実験例6(実施例17)、実
験例7(実施例18)または実験例8〜9(実施例19
〜20)と同様の処理用液または処理液に浸漬したの
ち、それぞれ同様の条件によって通電処理した。その結
果、各実験例と同様に処理用液または処理液中の次亜塩
素酸は完全に還元されていた。
【0099】また処理後のコンタクトレンズにおける次
亜塩素酸の有無を実施例1〜7と同様にして調べた。そ
の結果、コンタクトレンズはまったく変色せず、次亜塩
素酸が還元されていることがわかった。
【0100】なお、コンタクトレンズの褪色や損傷など
はまったく認められず、かかるコンタクトレンズをその
まま目に装用しても何ら問題はなかった。
【0101】実施例21および22 硫酸ナトリウム濃度1.1×10-1mol/リットル、
リン酸一ナトリウム2.4×10-4mol/リットルお
よびリン酸二ナトリウム3.5×10-4mol/リット
ルを含有するpH7の溶液に臭化ナトリウムを添加し、
その濃度が400ppm(実施例21)または1000
ppm(実施例22)となるように調節した。前記処理
用液7mlを電極面積0.21cm2 、電極間距離4m
mである一対の白金をセラミックにメッキ処理した電極
を有する処理容器に入れ、これに含水率72重量%の薄
いグリーンに着色したソフトカラーコンタクトレンズ
(商品名ソフト72、(株)メニコン製)を浸漬し、9
Vの乾電池を用いて0.06Aの直流電流を20分間流
して次亜臭素酸を発生させ殺菌消毒処理を施したのち、
電極の正極と負極を7.5秒の間隔で逆転させることに
より、次亜臭素酸を還元させた。このときの処理用液中
の次亜臭素酸の濃度を表4に示す。
【0102】
【表4】
【0103】つぎに、処理後のレンズを0.1%オルト
トリジン塩酸溶液を80倍に希釈した溶液中に浸漬し、
レンズが黄色に着色するかどうかを調べた。その結果、
0.1ppm以上の次亜臭素酸が存在すればコンタクト
レンズが黄色に着色するはずであるが、該レンズはまっ
たく色の変化がなかった。このことより、レンズ中から
も次亜臭素酸が還元されていることがわかる。
【0104】また、実施例21および実施例22におい
て実施例8〜14と同様にしてサイクルテストAを10
0サイクル行なったところ、いずれも評価はAであっ
た。なお、レンズのカラーの褪色は認められなかった。
【0105】
【発明の効果】本発明のコンタクトレンズの洗浄殺菌方
法によれば、次亜ハロゲン酸のすぐれた殺菌力および洗
浄力によってコンタクトレンズを洗浄殺菌させるととも
に、かかる次亜ハロゲン酸をすみやかに無毒化させるこ
とができるという効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例1における直流電流の通電時間とハロゲ
ン化物を含有した溶液中の次亜塩素酸の濃度との関係を
示すグラフである。
【図2】実験例4における直流電流の通電時間とハロゲ
ン化物を含有した溶液中の次亜塩素酸の濃度との関係を
示すグラフである。
【図3】実験例5ならびに比較実験例1における直流電
流の通電時間とハロゲン化物を含有した溶液中の次亜塩
素酸の濃度との関係を示すグラフである。
【図4】実験例6における直流電流の通電時間とハロゲ
ン化物を含有した溶液中の次亜塩素酸の濃度との関係を
示すグラフである。
【図5】実験例7における直流電流の通電時間と処理液
中の次亜塩素酸の濃度との関係を示すグラフである。
【図6】実験例8における直流電流の通電時間と処理液
中の次亜塩素酸の濃度との関係を示すグラフである。
【図7】実験例9における直流電流の通電時間と処理液
中の次亜塩素酸の濃度との関係を示すグラフである。
【図8】比較実験例2における直流電流の通電時間とハ
ロゲン化物を含有した溶液中の次亜塩素酸の濃度との関
係を示すグラフである。
【図9】比較実験例3における直流電流の通電時間とハ
ロゲン化物を含有した溶液中の次亜塩素酸の濃度との関
係を示すグラフである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次亜ハロゲン酸を含有する処理液中にコ
    ンタクトレンズを浸漬したのち、前記処理液に電極の正
    極と負極を複数回繰り返して逆転させて直流電流を通電
    することを特徴とするコンタクトレンズの洗浄殺菌方
    法。
  2. 【請求項2】 ハロゲン化物を含有する溶液に直流電流
    を通電して次亜ハロゲン酸を含有する処理液を調製する
    請求項1記載のコンタクトレンズの洗浄殺菌方法。
  3. 【請求項3】 処理液中の次亜ハロゲン酸の濃度が0.
    1〜1000ppmである請求項1または2記載のコン
    タクトレンズの洗浄殺菌方法。
  4. 【請求項4】 ハロゲン化物を含有する処理用液中にコ
    ンタクトレンズを浸漬したのち、前記処理用液に電極の
    正極と負極を複数回繰り返して逆転させて直流電流を通
    電することを特徴とするコンタクトレンズの洗浄殺菌方
    法。
  5. 【請求項5】 ハロゲン化物を含有する処理用液中にコ
    ンタクトレンズを浸漬したのち、前記処理用液に直流電
    流を通電して次亜ハロゲン酸を発生させ、ついで前記処
    理用液に電極の正極と負極を複数回繰り返して逆転させ
    て直流電流を通電する請求項4記載のコンタクトレンズ
    の洗浄殺菌方法。
  6. 【請求項6】 処理用液中のハロゲン化物の濃度が10
    〜3000ppmである請求項4または5記載のコンタ
    クトレンズの洗浄殺菌方法。
  7. 【請求項7】 電極の正極と負極との逆転を0.01秒
    〜2分間の間隔で行なう請求項1、2、3、4、5また
    は6記載のコンタクトレンズの洗浄殺菌方法。
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