JPH07181436A - コンタクトレンズの洗浄殺菌方法 - Google Patents

コンタクトレンズの洗浄殺菌方法

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JPH07181436A
JPH07181436A JP32896493A JP32896493A JPH07181436A JP H07181436 A JPH07181436 A JP H07181436A JP 32896493 A JP32896493 A JP 32896493A JP 32896493 A JP32896493 A JP 32896493A JP H07181436 A JPH07181436 A JP H07181436A
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contact lens
treatment liquid
cleaning
electrode
treatment
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JP32896493A
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Kenji Yamada
賢治 山田
Satoshi Hashimoto
智 橋本
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Tomey Technology Corp
Original Assignee
Tomey Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 電気的にも安全であり、簡易で処理効率がよ
く、コンタクトレンズに対して悪影響を及ぼさず、短時
間でコンタクトレンズを洗浄殺菌しうる方法を提供する
こと。 【構成】 処理液のイオンの流通が可能な連結手段を介
して2つの処理槽2が連結され、各処理槽に電極3が配
された処理容器1内で、通電時に次亜ハロゲン酸を存在
させない処理液中にコンタクトレンズを浸漬したのち、
前記処理液に電極の正極と負極を複数回繰り返して逆転
させて直流電流を通電し、処理液を周期的に酸性または
アルカリ性に変化させることを特徴とするコンタクトレ
ンズの洗浄殺菌方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はコンタクトレンズの洗浄
殺菌方法に関する。さらに詳しくは、とくにレンズの色
調や物性、形状などのレンズの材質に対する悪影響を抑
制することが可能であるとともに、すぐれた洗浄殺菌効
果を発現するコンタクトレンズの洗浄殺菌方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、眼鏡よりも広い視野がえられる点
からコンタクトレンズの使用者数が増加しているが、コ
ンタクトレンズには、その装用に伴って環境中の汚れ、
微生物、涙液中の蛋白質などが付着するので、そのまま
長期間目に装用し続けると目を害する危惧がある。した
がって、これを定期的に、好ましくは毎日洗浄したり、
殺菌する必要がある。
【0003】前記コンタクトレンズの洗浄方法として
は、従来、界面活性剤入りソリューションを用いて手指
により洗浄する方法が知られているが、かかる洗浄方法
では、表面の汚れを取り除くことが可能であるが、たと
えばハードコンタクトレンズに適用したばあいには、洗
浄中に破損したり、傷が入るおそれがあり、また含水性
ソフトコンタクトレンズに適用したばあいには、コンタ
クトレンズの内部に入り込んでいる蛋白質などの汚れを
完全に除去することができない。このように内部に入り
込んでいる蛋白質などの汚れが完全に除去されていない
状態で含水性ソフトコンタクトレンズを煮沸消毒したば
あいには、コンタクトレンズ内部に入り込んでいる蛋白
質の変性や凝固が進み、変性した蛋白質や凝固した蛋白
質がさらにコンタクトレンズに強く固着することにな
り、その結果、コンタクトレンズに白濁が生じるという
問題がある。
【0004】従来、蛋白質に汚染されたコンタクトレン
ズを再生利用するための洗浄剤としては、蛋白質分解酵
素を含む洗浄剤が知られている。しかし、この洗浄剤を
用いたばあいには、コンタクトレンズの表面に付着した
蛋白質を分解することができるが、洗浄効果の発現には
時間がかかる。とくに該洗浄剤を用いて含水性ソフトコ
ンタクトレンズを洗浄したばあいには、コンタクトレン
ズ内部で変性している蛋白質を分解するためには、蛋白
質分解酵素自体もコンタクトレンズ内部に侵入させなけ
ればならないので、ハードコンタクトレンズよりもさら
に長時間の処理が必要であるばかりか、充分な蛋白質除
去効果を期待することができない。
【0005】また、米国特許第4,732,185 号明細書に
は、pH8〜9のホウ酸−EDTA緩衝液に一定方向の
電場を形成させてコンタクトレンズを浸漬して電気泳動
によって蛋白質を除去し、洗浄する方法が記載されてい
る。この方法を行なえば、確かに含水性コンタクトレン
ズ内部に侵入している蛋白質を除去することができる
が、かかる方法を行なう前提として、蛋白質が変性して
おらず、しかもイオン化された状態であることが必要で
あり、また処理に要する時間が長時間であるなどの問題
点がある。また、かかる方法では、蛋白質が熱変性しな
いようにするためには加熱することができないので、ホ
ウ酸の防腐力および殺菌力によってコンタクトレンズを
殺菌するために、ホウ酸をたとえば0.808mol/lと高濃
度で用い、pHをアルカリ側の8〜9に保つ必要があ
り、このような高濃度でホウ酸を用いれば、殺菌効果が
発現されてもpHが大きく、浸透圧が高いので、該方法
で処理したコンタクトレンズを目に装用することに対す
る安全性に問題があった。
【0006】一方、含水性コンタクトレンズの殺菌方法
としては、前記した煮沸消毒をする方法のほかに、コン
タクトレンズをH2 2 水溶液に浸漬して殺菌し、金属
触媒、還元剤および酵素触媒を用いてH2 2 を分解
し、無毒化する方法やクロロヘキシジンなどの化学物質
を利用する方法などが知られている。
【0007】しかしながら、前記H2 2 水溶液を使用
する方法は、含水性ソフトコンタクトレンズ中に残存す
るH2 2 を分解しなければならないため、その操作に
長時間を要するうえに、コンタクトレンズ内部に残存す
るH2 2 が完全に分解されていないと装用時に目にし
みるなどの刺激が付与されるため、適当な殺菌方法であ
るとはいえない。
【0008】また、クロロヘキシジンなどの化学物質を
使用する殺菌方法では、かかる化学物質がレンズに吸着
したり、残存物質によりアレルギー性の反応が引き起こ
される危険性がある。
【0009】さらに、前記のほかにも次亜塩素酸を使用
する殺菌方法などがあり、かかる次亜塩素酸を使用する
方法によれば、数ppmの濃度で黄色ブドウ球菌(Stap
hylococcus aureus )、大腸菌(Escherichia coli)、
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、カンジダ(Candid
a albicans)などの、よく知られた目の病原体を短時間
で殺菌することができ、またレンズに付着した蛋白質な
どの有機物の汚れを除去することも可能となる。
【0010】前記次亜塩素酸を使用する方法としては、
特公昭60-2055 号公報に記載の電気分解によって次亜塩
素酸を生成させて消毒する方法、特開昭63-254416 号公
報、特開昭63-254417 号公報および特開平1-150113号公
報に記載の洗浄槽中の電解液をイオン交換膜を貼った隔
壁または隙間を設けた隔壁で二分し、該電解液に直流電
流を流すことによって実質的に次亜塩素酸を含む酸性溶
液とアルカリ性溶液とを生成させたのち、アルカリ性溶
液側でコンタクトレンズを洗浄し、ついで逆方向に電流
を流してコンタクトレンズが浸漬されたアルカリ性溶液
を中和させる方法、特開平5-19218 号公報に記載の次亜
塩素酸を金属触媒により還元無毒化する方法、特開昭50
-106492 号公報および特開平4-190214号公報に記載の次
亜塩素酸を還元剤により還元無毒化する方法などがあげ
られる。
【0011】しかし、電気分解によって次亜塩素酸を生
成させる方法には、処理後に残存する次亜塩素酸が自然
消失するまでには時間がかかり、長時間コンタクトレン
ズを次亜塩素酸溶液中に浸漬するので、コンタクトレン
ズの色やマークが脱色されてしまうという問題がある。
また、かかる殺菌処理を施したコンタクトレンズは、そ
のまま目に装用することができないので、コバルト、
銅、マンガンなどの金属触媒やチオ硫酸アルカリ金属
塩、アルカリ土類金属塩、アスコルビン酸、d−グルコ
ース、ラクトース、過酸化物などの還元剤を用い、殺菌
処理後に残存する次亜塩素酸イオンを不活性化させなけ
ればならない。
【0012】しかしながら、殺菌処理後に還元操作を行
なうとレンズの無菌性が保ち難くなったり、還元操作自
体が煩雑であり、還元操作が終了するまでに長時間、高
濃度の次亜塩素酸イオンの作用を受けることによってレ
ンズが材質劣化や褪色などを起こしやすいという問題が
あった。また、還元操作が正しく実施されなかったばあ
いには、レンズ装用時に眼組織に対して害を与えるとい
う問題があった。
【0013】さらに、前記特開昭63-254416 号公報、特
開昭63-254417 号公報および特開平1-150113号公報に記
載の方法では、処理槽が1つであるため、コンタクトレ
ンズを2枚同時に入れると区別がつかなくなったり、ま
たアルカリ性溶液は中和されるものの発生した次亜塩素
酸は還元されることなく溶液中に残存するため、殺菌処
理を施したコンタクトレンズをそのまま目に装用するこ
とができないといった問題がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、処理液のpH変化を利
用し、簡易で処理効率がよく、レンズに対して悪影響を
及ぼさず、短時間でコンタクトレンズを洗浄殺菌しうる
方法を提供することを目的とするものである。
【0015】本発明は、さらには、電力をできるだけ小
さくすることによって感電や漏電に対する電気的安全性
を高め、電池やバッテリーなどの使用によって携帯に便
利なコンタクトレンズ処理装置にも好適に使用しうるコ
ンタクトレンズの洗浄殺菌方法を提供することを目的と
するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、処
理液のイオンの流通が可能な連結手段を介して2つの処
理槽が連結され、各処理槽に電極が配された処理容器内
で、通電時に次亜ハロゲン酸を存在させない処理液中に
コンタクトレンズを浸漬したのち、前記処理液に電極の
正極と負極を複数回繰り返して逆転させて直流電流を通
電し、処理液を周期的に酸性またはアルカリ性に変化さ
せることを特徴とするコンタクトレンズの洗浄殺菌方法
に関する。
【0017】
【作用および実施例】本発明のコンタクトレンズの洗浄
殺菌方法は、前記したように、処理液のイオンの流通が
可能な連結手段を介して2つの処理槽が連結され、各処
理槽に電極が配された処理容器内で、通電時に次亜ハロ
ゲン酸を存在させない処理液中にコンタクトレンズを浸
漬したのち、前記処理液に電極の正極と負極を複数回繰
り返して逆転させて直流電流を通電し、処理液を周期的
に酸性またはアルカリ性に変化させることを特徴とする
ものである。
【0018】なお、本発明において、次亜ハロゲン酸と
は、酸化数+1のハロゲンを含む酸素酸で、一般式:H
XO(式中、XはCl、BrまたはIを示す)で表され
るものをいい、次亜ハロゲン酸イオン(XO- )を含む
ものである。
【0019】本発明の方法は、処理液のイオンの流通が
可能な連結手段を介して2つの処理槽が連結された処理
容器内で、次亜ハロゲン酸が存在しない処理液を周期的
に酸性またはアルカリ性に変化させることによって酸性
領域で強い菌やアルカリ性領域で強い菌の殺菌を可能に
し、コンタクトレンズに付着または内在する蛋白質や脂
質などの汚れを処理液に通電して電気泳動させることに
よって除去することを可能にするので、本発明の方法に
よれば、とくにレンズに対して悪影響を及ぼすことがな
く、低温で、すぐれた洗浄力および殺菌力によってコン
タクトレンズに洗浄殺菌処理を施すことができる。
【0020】ところで、本発明の方法における処理液の
pH変化のメカニズムは以下のとおりである。
【0021】まず、正極側の処理槽では、水の電気分解
によって式: 2H2 O → O2 + 4H+ + 4e- で表わされる反応が起こり、水素イオンが処理液中に生
成するため、処理液のpHが酸性側に傾く。
【0022】同時に、負極側の処理槽では、同様に水の
電気分解によって式: 2H2 O + 2e- → H2 + 2OH- で表わされる反応が起こり、水酸化物イオンが生成され
るため、処理液のpHがアルカリ性に傾く。
【0023】そこで、電極の正極と負極を逆転させるこ
とにより、これまで酸性であった溶液のpHはアルカリ
性に傾いていき、アルカリ性だった溶液は酸性に傾いて
いく。したがって、この電極の正極と負極の逆転を繰り
返して行なうことにより、各処理槽の処理液は、短時間
で酸性またはアルカリ性の変化を繰り返すのである。
【0024】通常、微生物は、短時間であれば溶液が酸
性またはアルカリ性であっても殺菌されないものである
が、本発明のようにpHを激しく変化させることで、短
時間で強力な殺菌効果を発現することが可能となり、次
亜塩素酸などの発生を必要とせずに、コンタクトレンズ
を洗浄殺菌することができる。
【0025】また蛋白質は、一般にその等電点(蛋白質
が正負いずれにも帯電しないpH)以外のpH領域にお
いては溶液中で正負いずれかに帯電しており、該溶液に
通電することによってその蛋白質が有する荷電とは逆の
電極に引き寄せられる(電気泳動)。本発明はこの原理
を応用し、さらに溶液のpH変化によって、pHが中性
域で荷電していない蛋白質をもより除去しやすくするも
のである。
【0026】本発明の洗浄殺菌方法に用いられる処理液
は、前記したように、通電時に次亜ハロゲン酸を存在さ
せない溶液であり、たとえば塩化ナトリウム、塩化カリ
ウムなどの塩化物、臭化ナトリウム、臭化カリウムなど
の臭化物、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムなどのヨ
ウ化物などのハロゲン化物などの、電気分解によって次
亜ハロゲン酸を発生する化合物が含有されていない溶液
や、たとえば次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウ
ム、次亜臭素酸ナトリウム、次亜臭素酸カリウム、次亜
ヨウ素酸ナトリウム、次亜ヨウ素酸カリウムなどの次亜
ハロゲン酸塩などがあらかじめ含有されていない溶液で
あればよい。
【0027】前記通電時に次亜ハロゲン酸を存在させな
い処理液には、通常たとえば緩衝剤、電解質などを配合
することが好ましい。
【0028】前記緩衝剤は、通電前の処理液または後述
するように洗浄殺菌処理終了後に中和された処理液のp
Hを安定せしめるための成分であり、かかる緩衝剤を用
いて処理液のpHを生理的に等張な6〜7.5 程度に調整
することが好ましい。
【0029】前記緩衝剤としては、たとえばリン酸塩、
ホウ酸塩、クエン酸塩などがあげられ、これらは単独で
または2種以上を混合して用いることができる。なお、
かかる緩衝剤の処理液中の濃度は、あまりにも高すぎる
ばあいには、たとえば後述する電解質などと併用したと
き、これらをあわせた濃度が高くなって処理液の浸透圧
が高くなりすぎ、コンタクトレンズの装用時に目に刺激
が生じるようになる傾向があるので、通常0.2 mol /リ
ットル以下、なかんづく0.0001〜0.05mol /リットルと
なるように調整することが好ましい。
【0030】前記電解質は、処理液の電気伝導度を上昇
させ、浸透圧を調整せしめるのはもちろんのこと、通電
時に各処理槽内の処理液のpHを変化せしめるための成
分である。
【0031】前記電解質としては、たとえば硫酸ナトリ
ウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリ
ウム、クエン酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸カル
シウム、硫酸カルシウム、硫酸カリウム、酢酸カリウム
などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合
して用いることができる。なお、かかる電解質の濃度
は、たとえば前記緩衝剤などとあわせて、処理液の浸透
圧が250 〜350 mmol/kgとなるように調整することが好
ましい。
【0032】本発明においては、まず、処理液のイオン
の流通が可能な連結手段を介して2つの処理槽が連結さ
れ、各処理槽に電極が配された処理容器内で、前記処理
液中にコンタクトレンズを浸漬する。
【0033】本発明に用いられる処理槽にはとくに限定
がなく、コンタクトレンズの洗浄殺菌処理が可能な大き
さ、形態のものであればよいが、実用性を考慮すると、
各処理槽の容積は好ましくは1〜20cm3 程度、さらに好
ましくは1.5 〜10cm3 程度であることが望ましい。
【0034】前記処理槽を連結する連結手段は、処理液
のイオンの流通が可能なものであればよく、たとえばパ
イプや隔壁などがあげられる。
【0035】前記パイプとしては、たとえば中空パイプ
や塩橋などがあげられ、これらの内径、長さ、形状など
にはとくに限定がないが、処理容器全体が小さく、たと
えば携帯の処理装置などにも使用しやすいなどの点か
ら、内径がある程度小さく短い中空パイプが好ましい。
【0036】図1は、中空パイプを介して2つの処理槽
が連結された、本発明のコンタクトレンズの洗浄殺菌方
法に用いられる処理容器の一実施態様を示す概略説明図
である。図1に示されるように、処理容器1は連結手段
4である中空パイプを介して2つの処理槽2、2が連結
されたものであり、各処理槽2には電極3、3が配され
ている。
【0037】図2は、孔を有する隔壁によって2つに区
切られた処理槽を有する、本発明のコンタクトレンズの
洗浄殺菌方法に用いられる処理容器の一実施態様を示す
概略説明図である。図2に示されるように、処理容器1
は連通手段4である孔を有する隔壁によって2つの処理
槽2、2に区切られたものであり、各処理槽2には電極
3、3が配されている。
【0038】なお、前記隔壁としては、たとえばメッシ
ュ状、スリット状、多孔質状などの孔を有する隔壁やイ
オン交換膜などがあげられ、これらの孔(なお、イオン
交換膜についても、処理液のイオンの流通経路を孔とい
う)の大きさ、形状などにはとくに限定がない。
【0039】また、本発明において、連結手段を介して
2つの処理槽が連結された処理容器とは、図1に示され
るようなパイプを介して2つの処理槽が連結された処理
容器はもちろんのこと、図2に示される処理容器のよう
に、隔壁などの連結手段によって処理槽が2つに区切ら
れた形態のものをも含む概念である。
【0040】前記パイプの断面積や隔壁の孔の合計面積
は、処理液のイオンの流通が可能である限りとくに限定
がないが、あまりにも大きいばあいには、各処理槽の処
理液がすみやかに混合し、各処理液を所望のpHに調整
しにくくなる傾向があるので、2cm2 程度以下、好まし
くは1cm2 程度以下、さらに好ましくは0.5 cm2 程度以
下であることが望ましく、またあまりにも小さいばあい
には、電気抵抗が増大して電流量が減少し、処理液のp
H変化が小さくなる傾向があるので、0.001 cm2 程度以
上、好ましくは0.01cm2 程度以上、さらに好ましくは0.
1 cm2 程度以上であることが望ましい。
【0041】前記電極の材料としては、後述するように
継時的に正極と負極とを逆転させても電極反応によって
溶出などの劣化を起こしにくいイオン化傾向が小さい材
料が好ましい。
【0042】前記電極の材料の代表例とては、たとえば
金、白金、ニッケル、パラジウムなどの貴金属、これら
貴金属でメッキ処理または蒸着処理が施された合成樹
脂、セラミックなどがあげられる。
【0043】なお、本発明においては、前記各処理槽内
で処理液にコンタクトレンズを浸漬させる際に、処理槽
内に処理液を入れたのち、コンタクトレンズを浸漬させ
てもよく、あらかじめコンタクトレンズを入れた処理槽
内に処理液を入れてもよく、とくに限定がない。
【0044】かくして前記通電時に次亜ハロゲン酸を存
在させない処理液中にコンタクトレンズを浸漬したの
ち、該処理液に電極の正極と負極を複数回繰り返して逆
転させて直流電流を通電する。
【0045】前記電極の正極と負極との逆転は、複数回
繰り返して行なえばよいが、逆転させる時間の間隔は、
あまりにも短いばあいには、処理液のpH変化が小さく
なると同時に、pH変化が速くなりすぎて処理中に中性
領域に相当する時間が長くなり、充分な洗浄殺菌効果が
えられなくなる傾向があるので、10秒間以上、なかんづ
く15秒間以上となるように調整することが好ましく、ま
たあまりにも長いばあいには、酸性またはアルカリ性の
変化のサイクルが長くなり、処理時間内のpH変化の回
数も少なくなるため、洗浄殺菌効果が小さくなったり、
さらに比較的長い時間酸性またはアルカリ性の溶液に接
触させ続けるとコンタクトレンズのダメージが大きくな
る傾向があるので、8分間以下、なかんづく4分間以下
となるように調整することが好ましい。
【0046】また、前記電極の正極と負極の逆転回数
は、あまりにも少ないばあいには、pH変化の回数が少
なくなるため、洗浄殺菌効果が小さくなるとともに、比
較的長い時間酸性またはアルカリ性の溶液に接触し続け
るとコンタクトレンズのダメージが大きくなる傾向があ
るので、2回以上、なかんづく4回以上であることが好
ましく、またあまりにも多いばあいには、かかる逆転回
数を多くすることによる洗浄殺菌効果の向上が望めなく
なる傾向があるので、100 回以下、なかんづく50回以下
であることが好ましい。
【0047】前記電極の正極と負極とを逆転させるため
の手段としては、たとえば発振機とカウンター分周期お
よびリレーを用いた反転回路を用いる方法や、リレーの
みを用いる方法などがあげられるが、本発明はかかる方
法のみに限定されるものではない。
【0048】処理液に通電させる直流電流の電流値は、
処理液の種類や電極面積に応じて適宜選択すればよい
が、あまりにも小さいばあいには、処理液のpH変化の
範囲が小さくなり、充分な洗浄殺菌効果がえられなくな
る傾向があるので、0.001 A以上、なかんづく0.015 A
以上であることが好ましく、またあまりにも大きいばあ
いには、処理液の液温が上昇し、たとえばハードコンタ
クトレンズや高含水コンタクトレンズなどのコンタクト
レンズの洗浄殺菌を行なったときなどには、加熱による
ハードコンタクトレンズの変形、高含水コンタクトレン
ズの材質劣化などの熱的な劣化を引き起こす原因となる
ことがあったり、所望の電流値をうるために大電圧を必
要として感電、漏電などの電気的な安全性が低下する傾
向があるので、1A以下、なかんづく0.2 A以下である
ことが好ましい。
【0049】前記電極間に印加する直流電流の電圧は、
あまりにも低いばあいには、処理液のpH変化の範囲が
小さくなり、洗浄殺菌効果が小さくなる傾向があるの
で、1V以上、なかんづく5V以上であることが好まし
く、またあまりにも高いばあいには、処理液の温度が必
要以上に上昇し、コンタクトレンズが熱的に劣化するこ
とがあったり、感電、漏電などの電気的な安全性が低下
する傾向があるので、50V以下、なかんづく40V以下で
あることが好ましい。
【0050】また、かかる処理液に電極の正極と負極を
複数回繰り返して逆転させて直流電流を通電する時間
は、前記逆転させる時間の間隔および逆転回数によって
決定すればよいが、あまりにも短いばあいには、充分な
洗浄殺菌効果がえられなくなる傾向があるので、通常5
分間以上であることが好ましく、またあまりにも長いば
あいには、かかる通電する時間を長くすることによる洗
浄殺菌効果の向上が望めず、必要以上の処理時間が浪費
される傾向があるので、通常60分間以下であることが好
ましい。
【0051】なお、本発明においては、前記電極の正極
と負極を逆転させて直流電流を通電する前に、処理液の
pH変化を均等に行なうために、該電極の正極と負極を
逆転させる時間の間隔の半分程度の時間で電極を逆転さ
せずに直流電流を通電してもよい。このようにあらかじ
め直流電流を通電することによって両処理槽内の処理液
の酸性、アルカリ性への変化を均等に調節することがで
きる。
【0052】前記のようにして電極の正極と負極を逆転
させて直流電流を通電することによって各処理槽内の処
理液を周期的に酸性またはアルカリ性に変化させるが、
かかる処理液のpHは、あまりにも小さいばあいには、
コンタクトレンズの褪色や材質の劣化が起こる傾向があ
るので、1.5 以上、なかんづく2以上となるように調整
することが好ましく、またあまりにも大きいばあいに
も、あまりにも小さいばあいと同様にコンタクトレンズ
の劣化が起こる傾向があるので、12.5以下、なかんづく
12以下となるように調整することが好ましい。
【0053】なお、本発明の洗浄殺菌方法では、酸性溶
液とアルカリ性溶液とに分けられた処理液中でコンタク
トレンズの洗浄殺菌処理を行なうので、かかる洗浄殺菌
処理が終了したのちには、かかるコンタクトレンズを目
に装用する際に目に対する刺激が生じるおそれをなくす
ために、酸性溶液とアルカリ性溶液とを中和させてほぼ
中性の溶液、すなわち生理的に等張なpH6〜7.5 程度
の溶液にすることが好ましい。
【0054】前記処理液をほぼ中性の溶液にする方法と
しては、たとえば各処理槽内の処理液がそれぞれほぼ中
性の流域にあるように直流電流の通電をタイマー制御す
る方法、処理が終了したのち数時間程度そのまま放置す
る方法や、たとえば連結手段として隔壁を用いたばあい
には、処理終了後に該隔壁を取り除き、酸性溶液とアル
カリ性溶液とを混合する方法などがあげられるが、本発
明はこれらのみに限定されるものではない。なお、かか
る方法のなかでは、処理実施者の作業性や使用時間など
の点からタイマー制御する方法が好ましい。
【0055】また、本発明の洗浄殺菌方法においては、
コンタクトレンズに付着している脂質などの汚れを充分
に除去するために、コンタクトレンズを処理液に浸漬す
る前に該処理液に界面活性剤を含有させるか、または洗
浄殺菌したのちに界面活性剤を含有する洗浄液でコンタ
クトレンズを洗浄してもよい。
【0056】前記界面活性剤としては、たとえば高級ア
ルコールおよび液体脂肪油の硫酸エステル、アルキルエ
ーテル硫酸エステル、アルキルスルホネート、スルホコ
ハク酸エステル、アルキルエーテルスルホン酸ナトリウ
ムなどの陰イオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、ア
ルキルアンモニウム塩などの陽イオン性界面活性剤、ア
ルキルエーテル、アルキルフェニルエーテル、ポリオキ
シプロピレンエーテル、アルキルエステルグリセリン脂
肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシ
エチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン性界
面活性剤などがあげられ、これらは単独でまたは2種以
上を混合して用いることができる。
【0057】なお、前記界面活性剤を処理液に含有させ
て用いるばあいには、電極反応によってガスが発生しに
くい、すなわち起泡性が低く、さらに酸性溶液およびア
ルカリ性溶液中での安定性が良好な界面活性剤を用いる
ことが好ましく、このような界面活性剤としては、たと
えばアルキルエーテルスルホン酸ナトリウムなどがあげ
られる。また、該界面活性剤の濃度があまりにも高すぎ
るばあいには、電極反応によって発生するガスのため、
処理液に過剰の気泡が発生して処理容器から該処理液が
あふれることがあるので、該界面活性剤の処理液中の濃
度は、0.1 重量%以下、なかんづく0.05重量%以下であ
ることが好ましい。
【0058】また、コンタクトレンズ内部に変性した蛋
白質などのとくに除去しにくい蛋白質の汚れが存在する
ばあいには、前記処理液中に蛋白質分解酵素を含有させ
て変性した蛋白質などがさらに除去されやすくしてもよ
い。
【0059】前記蛋白質分解酵素としては、たとえばパ
パイン、キモパパイン、パンクレアチン、トリプシン、
キモトリプシン、ペプシン、フィシン、カルボキシペプ
チターゼ、アミノペプチターゼ、ブロメリンなどの植物
性蛋白質分解酵素や動物性蛋白質分解酵素、バチルス、
ストレプトミセス細菌やアスペルギルス糸状菌などの微
生物由来の蛋白質分解酵素などがあげられ、これらは単
独でまたは2種以上を混合して用いることができる。な
お、かかる蛋白質分解酵素の処理液中の濃度は、該処理
液中の蛋白質分解酵素活性が300 〜1000unit/mlとなる
ように調整することが好ましい。
【0060】本発明の洗浄殺菌方法では、通電時に次亜
ハロゲン酸が存在しない処理液が用いられ、該処理液が
周期的に酸性またはアルカリ性に変化するので、安全で
かつたとえば酸性領域またはアルカリ性領域で強い菌の
殺菌も容易に可能であり、さらに蛋白質や脂質などのと
くに除去しにくい汚れも電気泳動させるなどして除去す
ることが容易に可能である。したがって、本発明のコン
タクトレンズの洗浄殺菌方法によれば、眼に対して悪影
響を及ぼすことがなく、低温で、すぐれた洗浄力および
殺菌力によってコンタクトレンズに洗浄殺菌処理を施す
ことができ、さらに処理終了後にとくに煩雑な操作を必
要とせずに、処理液から取り出したコンタクトレンズを
そのまま使用することができ、コンタクトレンズの無菌
性が良好に保たれるので、本発明の方法は、コンタクト
レンズの洗浄殺菌方法としてきわめて有用なものであ
る。
【0061】つぎに、本発明のコンタクトレンズの洗浄
殺菌方法を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、
本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0062】実験例1 硫酸ナトリウム1.1 ×10-1mol /リットル、リン酸一ナ
トリウム8.0 ×10-5mol /リットルおよびリン酸二ナト
リウム1.2 ×10-4mol /リットルを含有する処理液(以
下、SP−1という)のpHを7に調整した。
【0063】前記処理液SP−1 7mlずつを、図1に
示される処理容器(断面積が0.3 cm2 、長さが0.5 cmの
中空のパイプを介して2つの処理槽が連結され、電極面
積が0.06cm2 の白金電極が電極間距離が20mmとなるよう
に各処理槽に配されたもの)の各処理槽(容積10cm2
に入れ、まず10Vで30秒間直流電流を流した。ついで、
かかる処理液SP−1に反転回路によって10V、0.03A
で1分間の間隔で50回電極の正極と負極を繰り返して逆
転させて直流電流を流したときの処理液SP−1のpH
を、COMPACT pH METER(C-1 CARDY 、(株)堀場製作所
製)を用いて測定したところ、pHは3〜11の範囲で変
化した。
【0064】さらに前記処理液SP−1にまず10Vで2
分間直流電流を流し、ついで電極の正極と負極を逆転さ
せる間隔を4分間に変更したほかは前記と同様にして直
流電流を流したときの処理液SP−1のpHを測定した
ところ、pHは2.5 〜11.5の範囲で変化した。
【0065】実験例2 実験例1において、処理液SP−1のかわりに硫酸ナト
リウム5.5 ×10-2mol/リットル、ホウ酸1.2 ×10-1mol
/リットルおよびホウ砂1.4 ×10-3mol /リットルを
含有するpH7の処理液(以下、SB−1という)を用
い、まず10Vで2分間直流電流を流し、ついで電極の正
極と負極を逆転させる間隔を4分間に、逆転回数を20回
にそれぞれ変更したほかは、実験例1と同様にして直流
電流を流したときの処理液SB−1のpHを測定したと
ころ、pHは2.5 〜8の範囲で変化した。
【0066】実験例3 実験例2において、処理液SB−1のかわりに硝酸ナト
リウム1.5 ×10-2mol/リットル、リン酸一ナトリウム
8.0 ×10-5mol /リットルおよびリン酸二ナトリウム1.
2 ×10-4mol /リットルを含有するpH7の処理液(以
下、NP−1という)を用いたほかは、実験例2と同様
にして直流電流を流したときの処理液NP−1のpHを
測定したところ、pHは2.5 〜11.5の範囲で変化した。
【0067】実験例4 実験例1において、処理液SP−1に、まず40Vで7.5
秒間直流電流を流し、ついで電極の正極と負極を逆転さ
せる間隔を15秒間に、逆転回数を5回に、電圧を40V
に、電流を0.12Aにそれぞれ変更したほかは、実験例1
と同様にして直流電流を流したときの処理液SP−1の
pHを測定したところ、pHは3〜11.2の範囲で変化し
た。
【0068】実施例1〜3 それぞれ実験例1〜3と同様の処理容器および処理液
(SP−1(実施例1)、SB−1(実施例2)または
NP−1(実施例3))を用い、かかる処理容器の各処
理槽内に処理液を7mlずつ入れ、含水率が38%で薄いブ
ルーに着色したソフトカラーコンタクトレンズ(商品名
ソフトMA、(株)メニコン製)を、各処理槽の処理液
中に1枚ずつ浸漬したのち、各微生物(供試菌)(黄色
ブドウ球菌(Staphylococcus aureus 、IFO13276
)、大腸菌(Escherichia Coli、IFO3972)、緑膿
菌(Pseudomonas aeruginosa、IFO13275 )、セラチ
ア(Serratia marcescens 、臨床分離菌)、カンジタ
Candita albicans、IFO1594)およびアスペルギル
ス(Aspergillus niger 、IFO9455)を表1の( )
内に示す初期の生菌数(個/ml)となるように各処理液
に入れた。
【0069】つぎに、処理液にあらかじめ10Vで2分間
直流電流を流したのち、反転回路によって10V、0.03A
で4分間の間隔で電極の正極と負極を繰り返して逆転さ
せて20分間または40分間直流電流を流し、コンタクトレ
ンズに殺菌消毒処理を施した。
【0070】各微生物に対する殺菌効力試験を平板希釈
法によって殺菌消毒処理終了後の生菌数を測定して行な
い、このときコンタクトレンズの殺菌効果を調べた。そ
の結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】表1に示された結果から、いずれの実施例
においても殺菌消毒処理終了後に生菌が完全に消滅して
いるか、または処理前の初期の生菌数と比べてごく少量
にまで減少しており、本発明の方法がいかにすぐれた殺
菌効果を奏するものであることがわかる。また、通電時
間が長いほうが、すなわち正極と負極の逆転回数が多い
ほうがよりすぐれた殺菌効果が奏されることがわかる。
【0073】比較例1 実施例1において、微生物(供試菌)としてカンジタ
(初期の生菌数2.4 ×103 個/ml)およびアスペルギル
ス(初期の生菌数2.4 ×103 個/ml)を用い、処理液に
あらかじめ10Vで10分間直流電流を流したのち、電極の
正極と負極を1回のみ逆転させて10分間直流電流を流し
たほかは実施例1と同様にしてコンタクトレンズに殺菌
消毒処理を施した。なお、このとき処理液のpHは2〜
12の範囲で変化した。
【0074】このときのコンタクトレンズの殺菌効果を
実施例1〜3と同様にして調べた。その結果、殺菌消毒
処理終了後の処理液1mlあたりの生菌数は、カンジタが
2.3×103 個/ml、アスペルギルスが2.4 ×103 個/ml
であり、カンジタはほんのわずかに消滅したのみで、ア
スペルギルスはまったく変化していないことから、電極
の逆転を1回しか行なわなかったばあいには、殺菌効果
がないといってよいほど小さいことがわかる。
【0075】比較例2 処理液SP−1に硫酸を添加し、pHを2.5 に調整した
溶液(比較実験番号1)および処理液SB−1に硫酸を
添加し、pHを2.5 に調整した溶液(比較実験番号2)
をえた。また処理液SP−1に水酸化ナトリウム水溶液
を添加し、pHを11.5に調整した溶液(比較実験番号
3)をえた。
【0076】これらの溶液各7mlに実施例1〜3で用い
たものと同じソフトカラーコンタクトレンズを浸漬し、
供試菌として実施例1〜3で用いたものと同じ黄色ブド
ウ球菌(初期の生菌数2.8 ×106 個/ml)および大腸菌
(初期の生菌数6.1 ×106 個/ml)を入れ、20分間作用
させた。
【0077】作用後のコンタクトレンズの殺菌効果を実
施例1〜3と同様にして調べた。その結果を表2に示
す。
【0078】
【表2】
【0079】表2に示された結果から、酸性溶液または
アルカリ性溶液に作用させるだけでは、本発明の方法の
ように処理液を周期的に酸性またはアルカリ性に変化さ
せたばあいと比べて殺菌効果がいちじるしく小さいこと
がわかる。
【0080】実施例4 N−ビニルピロリドンを主成分とする含水率が約70%の
ソフトコンタクトレンズ4枚を下記の組成の人工涙液1.
5 ml中に37℃で1時間浸漬した。
【0081】 (人工涙液の組成) アルブミン 11.64g γ- グロブリン 4.83g リゾチーム 3.6 g NaCl 9.0 g CaCl2 ・2H2 O 0.15g NaH2 PO4 ・2H2 O 1.04g 蒸 留 水 1.0 リットル (pH7.0 ) つぎに、前記コンタクトレンズのうち、2枚をソフトコ
ンタクトレンズ用洗浄剤(商品名メニクリーン、(株)
メニコン製)を用いて手指にて洗浄後、実施例1同様の
処理容器の各処理槽内の処理液SP−1中に、該コンタ
クトレンズを1枚ずつ浸漬したのち、反転回路によって
10V、0.03Aで4分間の間隔で電極の正極と負極を繰り
返して逆転させて20分間直流電流を流し、コンタクトレ
ンズを洗浄消毒した。
【0082】つぎに、前記操作を1サイクル(以下、サ
イクルテストAという)とし、かかる操作をコンタクト
レンズに100 サイクル施したのち、コンタクトレンズを
肉眼で観察したところ、サイクルテストAを施していな
いコンタクトレンズとまったく同じ透明性を有してい
た。
【0083】すなわち、サイクルテストAを100 サイク
ル施したのちでもコンタクトレンズが透明であったこと
から、通電の際に、コンタクトレンズから蛋白質が除去
されていることがわかる。
【0084】比較例3 実施例4で人工涙液処理を施した4枚のソフトコンタク
トレンズのうちの残りの2枚について、メニクリーンを
使用して手指にて洗浄後、ソフトコンタクトレンズ用保
存液(商品名メニソーク、(株)メニコン製)1.5ml 中
にてソフトコンタクトレンズ用煮沸消毒器(商品名メニ
コンライザーE、(株)メニコン製、以下、ライザーE
という)を用いてソフトコンタクトレンズを煮沸消毒し
た。
【0085】以下、実施例4と同様にしてサイクルテス
ト(ただし、通電に代えてライザーEによる煮沸消毒を
行なう(以下、サイクルテストBという))を100 サイ
クル実施したが、ライザーEにより煮沸消毒を施した2
枚のコンタクトレンズは、サイクルテストBを20サイク
ル程度施したころから白濁していることが肉眼でわかる
ようになった。さらにサイクルテストBを100 サイクル
実施したのち、コンタクトレンズの断面をX線マイクロ
アナライザー(日本電子(株)製、JSM35型)により
分析し、イオウ(蛋白質由来)およびリン(リン酸カル
シウム由来)の存在を調べたところ、イオウの存在を示
すピークが検出された。
【0086】すなわち、このコンタクトレンズの白濁は
蛋白質によるものと推定され、本発明のような電気的な
処理を行なわないばあいには、コンタクトレンズ内に蛋
白質が蓄積されることがわかる。
【0087】なお、リンの存在を示すピークは検出され
なかった。
【0088】実施例5 実施例4において、電極の正極と負極を逆転させる間隔
を1分間に変更したほかは実施例4と同様にしてサイク
ルテストAを100 回施した。
【0089】また処理液SP−1のかわりに処理液SB
−1または処理液NP−1を用い、電極の正極と負極を
1分間または4分間の間隔で逆転させて前記サイクルテ
ストAを100 回施した。
【0090】これらサイクルテストAを100 回施したコ
ンタクトレンズを肉眼で観察したところ、いずれもサイ
クルテストAを施していないコンタクトレンズとまった
く同じ透明性を有していた。
【0091】すなわち、サイクルテストAを100 サイク
ル施したのちでも、いずれのコンタクトレンズも透明で
あったことから、通電の際にコンタクトレンズから蛋白
質が除去されていることがわかる。
【0092】実施例6 実施例1〜3で用いたものと同じソフトカラーコンタク
トレンズ2枚を実施例4で用いたものと同じ人工涙液1.
5 ml中に37℃で1時間浸漬し、メニクリーンを用いて手
指にて洗浄したのち、図2に示される処理容器(面積が
0.03cm2 の孔を9個有する隔壁によって処理槽が2つに
区切られ、電極面積が0.1 cm2 の白金電極が電極間距離
が16mmとなるように各処理槽に配されたもの)の各処理
槽(容積8cm3 )内の処理液SP−1中に、該コンタク
トレンズを1枚ずつ浸漬したのち、反転回路によって8
V、0.04Aで4分間の間隔で電極の正極と負極を繰り返
して逆転させて10分間直流電流を流し、コンタクトレン
ズを洗浄消毒した。
【0093】つぎに、前記操作を1サイクル(以下、サ
イクルテストCという)とし、かかる操作をコンタクト
レンズに100 サイクル施したのち、コンタクトレンズを
肉眼で観察したところ、サイクルテストCを施していな
いコンタクトレンズとまったく同じ透明性を有してい
た。
【0094】すなわち、サイクルテストCを100 サイク
ル施したのちでもコンタクトレンズが透明であったこと
から、通電の際に、コンタクトレンズから蛋白質が除去
されていることがわかる。
【0095】
【発明の効果】本発明のコンタクトレンズの洗浄殺菌方
法によれば、レンズに対して悪影響を及ぼさず、低温
で、すぐれた洗浄力および殺菌力によってコンタクトレ
ンズに洗浄殺菌処理を施すことができ、さらに処理終了
後にとくに煩雑な操作を必要とせずに、処理液から取り
出したコンタクトレンズをそのまま使用することがで
き、コンタクトレンズの無菌性が良好に保たれるので、
本発明の方法は、コンタクトレンズの洗浄殺菌方法とし
てきわめて有用なものである。
【0096】さらに本発明のコンタクトレンズの洗浄殺
菌方法は、感電や漏電に対する電気的安全性が高いの
で、電池やバッテリーなどの使用によって携帯に便利な
コンタクトレンズ処理装置にも好適に使用しうるもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンタクトレンズの洗浄殺菌方法に用
いられる処理容器の一実施態様を示す概略説明図であ
る。
【図2】本発明のコンタクトレンズの洗浄殺菌方法に用
いられる処理容器の一実施態様を示す概略説明図であ
る。
【符号の説明】
1 処理容器 2 処理槽 3 電極 4 連結手段

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 処理液のイオンの流通が可能な連結手段
    を介して2つの処理槽が連結され、各処理槽に電極が配
    された処理容器内で、通電時に次亜ハロゲン酸を存在さ
    せない処理液中にコンタクトレンズを浸漬したのち、前
    記処理液に電極の正極と負極を複数回繰り返して逆転さ
    せて直流電流を通電し、処理液を周期的に酸性またはア
    ルカリ性に変化させることを特徴とするコンタクトレン
    ズの洗浄殺菌方法。
  2. 【請求項2】 連結手段がパイプである請求項1記載の
    コンタクトレンズの洗浄殺菌方法。
  3. 【請求項3】 連結手段が隔壁である請求項1記載のコ
    ンタクトレンズの洗浄殺菌方法。
  4. 【請求項4】 処理液のpHを1.5 〜12.5のあいだで周
    期的に変化させる請求項1、2または3記載のコンタク
    トレンズの洗浄殺菌方法。
  5. 【請求項5】 電極の正極と負極との逆転を10秒〜8分
    間の間隔で2〜100回行なう請求項1、2、3または4
    記載のコンタクトレンズの洗浄殺菌方法。
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