JP2001276828A - 水の電解消毒方法及び電解消毒装置 - Google Patents

水の電解消毒方法及び電解消毒装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 次亜塩素酸塩と銀イオンまたは次亜塩素酸塩
と銀イオン及び銅イオンが溶解された水を用いて、従来
のような弊害を招くことなく、プール、食品製造時の原
料洗浄水、機器や容器などの除菌洗浄水、船舶の飲料水
などを確実かつ安全にしかも短時間で消毒することがで
きる水の電解消毒方法及び電解消毒装置を提供する。 【解決手段】 次亜塩素酸塩と銀イオンまたは次亜塩素
酸塩と銀イオン及び銅イオンを溶解させて水の消毒を行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プール、食品製造
時の原料洗浄水、機器や容器などの除菌洗浄水、船舶の
飲料水などの消毒に用いられる水の電解消毒方法及び電
解消毒装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】一般に
プールなどにおいては、次亜塩素酸ソーダの水溶液をポ
ンプで注入してその塩素成分により水の消毒を行ってい
る。しかし、この方法では、濃度のコントロールが難し
く、過小注入すると消毒効果を損なって、微生物や藻類
の繁殖を招き易い。一方、過剰注入すると目を傷めた
り、髪が脱色したりするなどの弊害を招く。特に、温水
プールなどの場合は、冬場保温のために室内を締め切っ
ており、その上水温も高く設定されているので、水中に
溶存する塩素が気化し塩素ガスとなって室内に充満し易
く、人体に有害であるばかりか、場内の金属製品を腐食
させることもある。また、プールにおける水いぼの感染
に見られるように、塩素だけでは死滅しないウィルスも
存在する。さらに、船舶の飲料水貯溜槽などにおいて
は、長期間にわたる航海中に塩素が気化することにより
無殺菌状態となって、乗組員の健康に悪影響を与えるこ
とがある。
【0003】本発明者等は、水の消毒ないし殺菌につい
て研究を行った結果、次亜塩素酸塩と銀イオンまたは次
亜塩素酸塩と銀イオン及び銅イオンを溶解させて消毒対
象水の消毒を行うことにより、次亜塩素酸塩を単独使用
する場合に比べて、この次亜塩素酸塩の使用量を少なく
し、つまり消毒対象水の塩素濃度を低く保ちながら、は
るかに強力な殺菌ないし消毒効果を発揮することを見い
出した。つまり、次亜塩素酸塩と銀イオンまたは次亜塩
素酸塩と銀イオン及び銅イオンが溶解されている水は、
例えば水生の微生物や藻類などの下等生物がもつ細胞内
の酵素と結合して、栄養源をエネルギーに変える生理作
用を有効に阻害し、しかも、その蛋白質を凝固させて下
等生物の細胞を破壊して強力な殺菌ないし消毒作用を発
揮する。また、感染性細菌に対しても増殖抑止効果を発
揮する。
【0004】そこで、本発明の目的は、次亜塩素酸塩と
銀イオンまたは次亜塩素酸塩と銀イオン及び銅イオンが
溶解されている水を用いて、従来のような弊害を招くこ
となく、プール、食品製造時の原料洗浄水、機器や容器
などの除菌洗浄水、船舶の飲料水などを確実かつ安全に
しかも短時間で消毒できる水の電解消毒方法及び電解消
毒装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の電解消毒方法は、次亜塩素酸塩と銀イオン
を溶解させて水の消毒を行う。
【0006】この次亜塩素酸塩と銀イオンが溶解された
水は、次亜塩素酸塩の使用量を少なくし、つまり消毒対
象水の塩素濃度を低く保ちながら、強力な殺菌ないし消
毒効果を速やかに発揮する。このため、前記水を例えば
プールなどの消毒対象水中に混入させることにより、微
生物や藻類の繁殖が確実かつ安全に阻止され、しかも金
属製品の腐食などを招くこともない。また、食品製造時
の原料洗浄水、機器や容器などの除菌洗浄水、船舶の飲
料水などに混入させることにより、これらの消毒対象水
が確実かつ安全にしかも短時間で消毒される。
【0007】水の消毒時には、次亜塩素酸塩と銀イオン
と共に銅イオンを溶解させることが好ましい。これによ
れば、より効果的に消毒対象水の消毒が行え、しかも感
染性細菌に対しても有効な増殖抑止効果を発揮する。
【0008】本発明にかかる電解消毒装置は、銀イオン
を生成する第1電解装置と、次亜塩素酸塩を生成する第
2電解装置からなり、この第1電解装置は、通電により
銀イオンを生成する2枚1組の電極を少なくとも1組備
えており、第2電解装置は、通電により次亜塩素酸塩を
生成する2枚1組の電極を少なくとも1組備えている。
【0009】以上の電解装置は、例えばプールや船舶の
飲料水貯溜槽などの水循環経路に接続する簡単な構成
で、これらの水が確実かつ安全にしかも短時間で消毒さ
れる。つまり、プールなどでは通常次亜塩素酸ソーダな
どにより消毒された水道水が使用され、この水道水中に
は電解質成分となる塩分が残留しているので、第2電解
装置の各電極に通電して電解を行うことにより、その陽
極側ではCl2 が、陰極側ではNaOHが生成され、こ
れらが反応して次亜塩素酸ソーダNaClOが再生され
て、これが消毒対象水中に溶存する。また、第1電解装
置においては、これの電極に通電して電解を行うことに
より、その陽極側で銀イオンAg+ が溶出生成されて、
これが消毒対象水中に溶存することになる。そして、こ
れらNaClOとAg+ が溶存した水により消毒対象水
の消毒が行われる。
【0010】前記第1電解装置は、通電により銀イオン
と銅イオンを生成する2枚1組の電極を少なくとも1組
備えていることが好ましい。この装置によれば、各電極
に通電して電解を行うことにより、その陽極側で銀イオ
ンAg+ と銅イオンCu2+が溶出生成されて消毒対象水
中に溶存することになる。そして、これらの両イオンA
+ ,Cu2+とNaClOが溶存した水により消毒対象
水のより効果的な消毒が行われる。
【0011】また、前記第1及び第2電解装置の各電極
は、1つのケーシング内に並列状に収納させることが好
ましい。このようにすれば、消毒電解装置の全体を小型
として、プールや船舶の飲料水貯溜槽などにコンパクト
に取り付けられる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。図1は、本発明にかかる電解消毒
装置の概略的な全体構造を示している。この電解消毒装
置は、銀イオンを生成する第1電解装置1と、次亜塩素
酸塩の一例として次亜塩素酸ソーダを生成する第2電解
装置2とからなり、これら両者を連通管10を介して直
列状に接続し、第1電解装置1の入口側に設けた流入管
11と第2電解装置2に設けた流出管21を、それぞれ
図示しないプールなどの給排水経路に接続する。そし
て、次亜塩素酸ソーダなどで消毒され、電解質成分とな
る塩分が残存する前記給排水経路の水を前記第1,第2
電解装置1,2に通水して電解を行うことにより、銀イ
オンと次亜塩素酸ソーダを生成し、これらを水中に溶解
させて、この水によりプールなどの消毒対象水の消毒を
行う。また、前記第1及び第2電解装置1,2は、コン
トロールボックス3にリード線30を介して接続され、
このコントロールボックス3に設けたコントローラによ
り前記各装置1,2内に配置された各電極への通電を制
御する。尚、前記第1,第2電解装置1,2は、水移流
方向の前後何れに設けてもよい。
【0013】前記第1及び第2電解装置1,2は、両者
ともほぼ同一構造であるので、同一図面を用いて説明す
る。つまり、両装置1,2は、その内部に配置する電極
の材質が異なり、また第2電解装置2では電解時に次亜
塩素酸ソーダと共に水素ガスが発生するので、この水素
ガスを外部に取り出すためのガス抜き管22を設けてい
る点が異なるだけである。これら両装置1,2は、図2
に示すように、長さ方向両側が蓋体41,42で閉鎖さ
れたケーシング4の内部で、水の移流方向前部側に整流
器5を配置し、これの後方側に電極集合体6を配置して
いる。前記各蓋体41,42の一方には、流入管11又
は連通管10が、他方には連通管10又は流出管21が
連結される。
【0014】図3は、前記両装置1,2に用いる電極集
合体6の一例を示しており、同図の実施形態では、相対
向する2枚の電極61,62を1組として4組を各電極
がほぼ同一間隔となるように、長さ方向両側部を間隔保
持部材7,7により保持させている。また、前記各電極
61,62の長さ方向端部で上下部分には端子60が設
けられ、これに前記コントロールボックス3から延びる
リード線30が接続される。このとき、第1電解装置1
に設ける2枚1組の電極61,62としては、銀材や銀
と銅の合金材などが用いられ、これら素材からなる電極
を、次亜塩素酸ソーダなどで消毒され、電解質成分とな
る塩分を含む水に浸漬させて、各電極に通電して電解を
行うことにより、銀イオンや銅イオンが生成される。例
えば、銀材と銀銅合金材または銀銅合金材同士を対極と
して位相反転させながら直流電解を行う場合には、銀イ
オンと銅イオンが共に生成され、また銀材同士を対極と
して直流電解を行う場合は、銀イオンだけが生成され
る。一方、第2電解装置2に設ける2枚1組の電極6
1,62としては、チタン材とチタン材の片面又は両面
に白金層を形成したものなどが用いられ、これらを対極
として位相反転させながら直流電解を行うことにより、
次亜塩素酸ソーダが生成される。
【0015】前記各電極集合体6は、電極の偶数個つま
り電極を2枚1組として用いることが重要であり、各電
極の奇数個を用いる場合には、位相反転させながら直流
電解を行うとき、反転時に各電極に同量の電流が流れず
電解もほとんど起らない。例えば合計7個の電極を用
い、これの4つと残りの3つをそれぞれプラスとマイナ
スに交互に印加させて電解を行う場合は、位相反転時に
電流量が極端に低下して電解不能となる。
【0016】図4の実施形態では、前記第1,第2電解
装置1,2に用いる各電極集合体6を、幅方向中央に隔
壁63を介在させた状態で電極の長さ方向と直交する幅
方向に並列状に配置し、各電極集合体6の各電極61,
61がほぼ同一間隔となるように、長さ方向両側部を間
隔保持部材7,7により保持させている。そして、この
ように保持された各電極集合体6を1つのケーシング4
内に配置する。このようにすれば、消毒電解装置の全体
が小型となり、プールや船舶の飲料水貯溜槽などにコン
パクトに取り付けられる。
【0017】図5は、前記電極集合体6への通電を制御
する制御ブロックを示しており、前記コントロールボッ
クス3に設けたコントローラ31の出力側に、電源装置
32と、コントローラ31に設けたタイマなどで制御さ
れる位相反転器33とを接続し、この位相反転器33の
出力側には、第1電解装置1に設けた電極集合体6の各
電極61,62と第2電解装置2に設けた電極集合体6
の各電極61,62をそれぞれ接続している。また、コ
ントローラ31の入力側には、消毒対象水を消毒する必
要があるか否かを検出する検出器34が接続されてい
る。この検出器34としては、次亜塩素酸ソーダや銀イ
オン及び銅イオンの水への溶存状態を検出する例えばP
H計や電導率計などが用いられる。
【0018】次に、以上の構成とした電解消毒装置の作
用について説明する。先ず、前記検出器34により次亜
塩素酸ソーダや銀イオン及び銅イオンの水への溶存状態
が検出されて、これらの溶存量が一定以下で消毒対象水
を消毒する必要がある場合、コントローラ31からの出
力に基づき電源装置32から位相反転器33を経て第
1,第2電解装置1,2に設けた電極集合体6の各電極
61,62に通電される。
【0019】この通電時に、前記位相反転器33による
位相反転によって各電極61,62にプラス,マイナス
の電荷が交互に印加され、これに伴い第1電解装置1の
電極側においては銀イオンと銅イオンの両者又は銀イオ
ンが生成されて、これが水中に溶存される。一方、第2
電解装置2の電極側においては、次亜塩素酸ソーダが生
成されて、これが水中に溶存される。そして、次亜塩素
酸ソーダと銀イオンや銅イオンが溶存した水により消毒
対象水の消毒が行われる。
【0020】前記次亜塩素酸ソーダの消毒対象水に対す
る溶存量は0.01〜0.04ppmが好ましく、特に
0.015〜0.03ppm程度がより好ましい。ま
た、銀イオンの消毒対象水に対する溶存量は0.03〜
0.08ppmが、銅イオンの溶存量は0.1〜0.5
ppmが好ましい。特に、銀イオンは0.04〜0.0
6ppm、銅イオンは0.2〜0.4ppmがより好ま
しく、この程度の濃度であれば、強力な殺菌ないし消毒
効果を速やかに発揮して、微生物や藻類の繁殖が確実か
つ安全に阻止され、しかも感染性細菌に対しても優れた
増殖抑止効果を発揮する。
【0021】次に、次亜塩素酸ソーダNaClOの単独
による消毒効果と、次亜塩素酸ソーダNaClOと銀イ
オンAg+ を溶解させたものによる消毒効果との比較試
験を行った結果について説明する。 試験1 異なる塩素濃度(0.1、0.15、0.2、0.3
5、0.5ppm)の消毒対象水中に、NaClO
(0.02ppm)の単独を添加させた試料溶液と、こ
のNaClOとAg+ (0.06ppm)を溶解させた
試料溶液とを作り、これらの試料溶液中に80000個
/mlの大腸菌を1分間接触させた後、残存する大腸菌
を調べた。その結果は、表1の通りである。
【0022】
【表1】
【0023】この表1から明らかなように、NaClO
とAg+ を溶解させた試料溶液は、NaClOの単独を
添加させた試料溶液に較べ、はるかに強力な殺菌効果を
発揮し、少ない塩素濃度つまりNaClOの使用量を少
なくしながら、大腸菌を殺菌することができる。つま
り、NaClOの単独では、0.1〜0.2ppm程度
の塩素濃度では10000個の大腸菌が残存するのに対
し、NaClOとAg+を溶解させた溶液では、0.1
ppm程度の塩素濃度で大腸菌の残存数が600程度に
まで減少してほとんどの大腸菌が死滅する。
【0024】試験2 一定の塩素濃度(0.05ppm)とした消毒対象水中
に、NaClO(0.02ppm)の単独を添加させた
試料溶液と、このNaClOとAg+ (0.06pp
m)とを溶解させた試料溶液とを作り、これらの試料溶
液中に80000個/mlの大腸菌を異なった時間
(5、15、35、60、85、120秒)接触させた
後、残存する大腸菌を調べた。この結果は、表2の通り
である。
【0025】
【表2】
【0026】この表2から明らかなように、NaClO
とAg+ を溶解させた試料溶液は、NaClOの単独を
添加させた試料溶液に較べ、強力な殺菌効果を速やかに
発揮し、短時間で大腸菌を殺菌することができる。つま
り、NaClOの単独では、接触時間85秒でも大腸菌
が残存するのに対し、NaClOとAg+ を溶解させた
溶液では15秒程度で大腸菌のほとんどが死滅する。
【0027】以上の実施形態では、次亜塩素酸塩の一例
として次亜塩素酸ソーダを用いる場合について説明した
が、この他にも例えば次亜塩素酸カルシウムなどを用い
ることができる。また、予め次亜塩素酸塩が溶解されて
いない水を消毒する場合は、この水に次亜塩素酸塩を添
加して第1,第2電解装置1,2に通水させる。
【0028】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、次亜塩
素酸塩と銀イオンまたは次亜塩素酸塩と銀イオン及び銅
イオンが溶解された水を用いることにより、従来のよう
な弊害を招くことなく、プール、食品製造時の原料洗浄
水、機器や容器などの除菌洗浄水、船舶の飲料水などを
確実かつ安全にしかも短時間で消毒できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる電解消毒装置の一実施形態を示
す斜視図である。
【図2】同装置に用いる第1,第2電解装置の縦断面図
である。
【図3】内部に設ける電極集合体の斜視図である。
【図4】電極集合体の別の実施形態を示す斜視図であ
る。
【図5】電極集合体への通電を制御する制御ブロック図
である。
【符号の説明】
1 第1電解装置 2 第2電解装置 4 ケーシング 61,62 電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/50 550 C02F 1/50 550B 560 560F (72)発明者 深水 正 兵庫県神戸市西区伊川谷町有瀬1281−6− 4−201 Fターム(参考) 4D061 DA02 DA03 DA07 DB01 DB02 DB09 DB10 EA02 EB05 EB11 EB16 EB17 EB20 EB30 EB31 EB39 GA06 GA07 GC15 GC16

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次亜塩素酸塩と銀イオンを溶解させて水
    の消毒を行う電解消毒方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、次亜塩素酸塩と銀イ
    オンと共に銅イオンを溶解させて水の消毒を行う電解消
    毒方法。
  3. 【請求項3】 銀イオンを生成する第1電解装置と、次
    亜塩素酸塩を生成する第2電解装置からなり、この第1
    電解装置は、通電により銀イオンを生成する2枚1組の
    電極を少なくとも1組備えており、第2電解装置は、通
    電により次亜塩素酸塩を生成する2枚1組の電極を少な
    くとも1組備えている水の電解消毒装置。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記第1電解装置
    が、通電により銀イオンと銅イオンを生成する2枚1組
    の電極を少なくとも1組備えている水の電解消毒装置。
  5. 【請求項5】 請求項3または4において、前記第1及
    び第2電解装置の各電極が、1つのケーシング内に並列
    状に収納されている水の電解消毒装置。
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