JPH08319547A - 電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法 - Google Patents
電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法Info
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- JPH08319547A JPH08319547A JP12358095A JP12358095A JPH08319547A JP H08319547 A JPH08319547 A JP H08319547A JP 12358095 A JP12358095 A JP 12358095A JP 12358095 A JP12358095 A JP 12358095A JP H08319547 A JPH08319547 A JP H08319547A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 アルミニウム箔をコイル状にして焼鈍する場
合であっても、その両端部にエッチング不良が生じるこ
とを防止することができ、電解エッチング性を向上させ
て静電容量を著しく増大させることができる電解コンデ
ンサ用アルミニウム箔の製造方法を提供する。 【構成】 純度が99.90重量%以上の純アルミニウ
ムスラブを、450乃至620℃の温度で1乃至20時
間均質化する。そして、熱間圧延及び冷間圧延を施して
製作された圧延板を、180乃至260℃の温度に1乃
至20時間中間焼鈍処理を施す。前記中間焼鈍を施した
前記圧延板を5乃至25%の圧下率で冷間圧延して製作
されたアルミニウム箔を、真空又は不活性ガスの雰囲気
下で480乃至620℃の温度に1乃至5時間の最終焼
鈍を施す。この最終焼鈍においては、その昇温時に30
0乃至350℃の温度に3乃至6時間保持する。
合であっても、その両端部にエッチング不良が生じるこ
とを防止することができ、電解エッチング性を向上させ
て静電容量を著しく増大させることができる電解コンデ
ンサ用アルミニウム箔の製造方法を提供する。 【構成】 純度が99.90重量%以上の純アルミニウ
ムスラブを、450乃至620℃の温度で1乃至20時
間均質化する。そして、熱間圧延及び冷間圧延を施して
製作された圧延板を、180乃至260℃の温度に1乃
至20時間中間焼鈍処理を施す。前記中間焼鈍を施した
前記圧延板を5乃至25%の圧下率で冷間圧延して製作
されたアルミニウム箔を、真空又は不活性ガスの雰囲気
下で480乃至620℃の温度に1乃至5時間の最終焼
鈍を施す。この最終焼鈍においては、その昇温時に30
0乃至350℃の温度に3乃至6時間保持する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電解コンデンサの電極と
して使用される電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造
方法に関する。
して使用される電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、電解コンデンサの電極として使用
されるアルミニウム箔は、そのコンデンサを小型化及び
高容量化することを目的として、電解エッチングにより
アルミニウム箔の表面積、即ち静電容量の向上に有効な
実効面積を拡大化する処理が施される。つまり、この電
解エッチングにより、アルミニウム箔の表面に小さな凹
部(以下、「エッチングピット」という)が形成され、
その結果コンデンサの電極に使用されるアルミニウム箔
の表面積が拡大する。
されるアルミニウム箔は、そのコンデンサを小型化及び
高容量化することを目的として、電解エッチングにより
アルミニウム箔の表面積、即ち静電容量の向上に有効な
実効面積を拡大化する処理が施される。つまり、この電
解エッチングにより、アルミニウム箔の表面に小さな凹
部(以下、「エッチングピット」という)が形成され、
その結果コンデンサの電極に使用されるアルミニウム箔
の表面積が拡大する。
【0003】この場合、通常、塩酸を主成分としたエッ
チング液にアルミニウム箔を浸漬して電流を通電するこ
とにより、高密度のエッチングピットを発生させるが、
エッチング性の向上を図るため、電解エッチングする前
にアルミニウム箔に対して焼鈍が施される。なお、この
場合、生産性を考慮してアルミニウム箔をコイル状にし
て焼鈍が施される。図1は、焼鈍を施す場合におけるコ
イル状のアルミニウム箔を示す斜視図である。この図1
に示すように、長尺のアルミニウム箔1をコイル状に巻
いて焼鈍を施す。
チング液にアルミニウム箔を浸漬して電流を通電するこ
とにより、高密度のエッチングピットを発生させるが、
エッチング性の向上を図るため、電解エッチングする前
にアルミニウム箔に対して焼鈍が施される。なお、この
場合、生産性を考慮してアルミニウム箔をコイル状にし
て焼鈍が施される。図1は、焼鈍を施す場合におけるコ
イル状のアルミニウム箔を示す斜視図である。この図1
に示すように、長尺のアルミニウム箔1をコイル状に巻
いて焼鈍を施す。
【0004】しかし、アルミニウム箔をコイル状にして
焼鈍すると、その静電容量がコイルの幅方向の両端部と
中間部との間で相違してしまうという難点がある。ま
た、エッチング時において粗大なエッチングピットが発
生するため、静電容量の向上効果が少ない。
焼鈍すると、その静電容量がコイルの幅方向の両端部と
中間部との間で相違してしまうという難点がある。ま
た、エッチング時において粗大なエッチングピットが発
生するため、静電容量の向上効果が少ない。
【0005】そこで、このような問題点を解決してアル
ミニウム箔の静電容量を向上させるべく、次のような方
法が提案されている。
ミニウム箔の静電容量を向上させるべく、次のような方
法が提案されている。
【0006】即ち、特公平6−45844号には、炉内
雰囲気を圧力1〜500torrの不活性ガス雰囲気に
調整した後、該雰囲気を保持しつつ、アルミニウム箔を
所定温度に加熱する焼鈍方法が開示されており、この焼
鈍によりコイル端部の空隙をなくして、コイルの幅方向
に均一な静電容量を有するアルミニウム箔を得ようとし
ている。
雰囲気を圧力1〜500torrの不活性ガス雰囲気に
調整した後、該雰囲気を保持しつつ、アルミニウム箔を
所定温度に加熱する焼鈍方法が開示されており、この焼
鈍によりコイル端部の空隙をなくして、コイルの幅方向
に均一な静電容量を有するアルミニウム箔を得ようとし
ている。
【0007】また、特開平5−171377号には、
錫、インジュウム、鉛及びタリウムからなる群から選択
された1つ以上の元素を含むアルミニウム合金を焼鈍し
た後、降温過程において、約400〜300℃の温度で
約2時間以上保持するアルミニウム合金の処理方法が開
示されている。
錫、インジュウム、鉛及びタリウムからなる群から選択
された1つ以上の元素を含むアルミニウム合金を焼鈍し
た後、降温過程において、約400〜300℃の温度で
約2時間以上保持するアルミニウム合金の処理方法が開
示されている。
【0008】更に、特開昭60−110854号には、
最終焼鈍時に昇温速度100℃/時間以上でアルミニウ
ム箔を加熱するアルミニウム箔の製造方法が開示されて
いる。
最終焼鈍時に昇温速度100℃/時間以上でアルミニウ
ム箔を加熱するアルミニウム箔の製造方法が開示されて
いる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の焼鈍処理したアルミニウム箔の製造方法では、
コイル状のアルミニウム箔の両端部に変色が発生し、そ
の部分にはエッチング不良が生じてしまうという難点が
ある。このため、焼鈍したアルミニウム箔の静電容量を
十分に向上させることができない。
た従来の焼鈍処理したアルミニウム箔の製造方法では、
コイル状のアルミニウム箔の両端部に変色が発生し、そ
の部分にはエッチング不良が生じてしまうという難点が
ある。このため、焼鈍したアルミニウム箔の静電容量を
十分に向上させることができない。
【0010】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、アルミニウム箔をコイル状にして焼鈍する
場合であっても、その両端部にエッチング不良が生じる
ことを防止することができ、電解エッチング性を向上さ
せて静電容量を著しく増大させることができる電解コン
デンサ用アルミニウム箔の製造方法を提供することを目
的とする。
のであって、アルミニウム箔をコイル状にして焼鈍する
場合であっても、その両端部にエッチング不良が生じる
ことを防止することができ、電解エッチング性を向上さ
せて静電容量を著しく増大させることができる電解コン
デンサ用アルミニウム箔の製造方法を提供することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電解コンデ
ンサ用アルミニウム箔の製造方法は、純度が99.90
重量%以上の純アルミニウムスラブを、450乃至62
0℃の温度で1乃至20時間均質化する均質化処理工程
と、均質化処理が施された前記純アルミニウムスラブに
熱間圧延及び冷間圧延を施して圧延板を得る圧延工程
と、その後180乃至260℃の温度に1乃至20時間
加熱して焼鈍する中間焼鈍工程と、前記中間焼鈍を施し
た前記圧延板を5乃至25%の圧下率で圧延する冷間圧
延工程と、前記冷間圧延工程により製作されたアルミニ
ウム箔を真空又は不活性ガスの雰囲気下で480乃至6
20℃の温度に1乃至5時間加熱して最終焼鈍する最終
焼鈍工程と、を有し、この最終焼鈍工程においては、そ
の昇温時に300乃至350℃の温度に3乃至6時間保
持することを特徴とする。
ンサ用アルミニウム箔の製造方法は、純度が99.90
重量%以上の純アルミニウムスラブを、450乃至62
0℃の温度で1乃至20時間均質化する均質化処理工程
と、均質化処理が施された前記純アルミニウムスラブに
熱間圧延及び冷間圧延を施して圧延板を得る圧延工程
と、その後180乃至260℃の温度に1乃至20時間
加熱して焼鈍する中間焼鈍工程と、前記中間焼鈍を施し
た前記圧延板を5乃至25%の圧下率で圧延する冷間圧
延工程と、前記冷間圧延工程により製作されたアルミニ
ウム箔を真空又は不活性ガスの雰囲気下で480乃至6
20℃の温度に1乃至5時間加熱して最終焼鈍する最終
焼鈍工程と、を有し、この最終焼鈍工程においては、そ
の昇温時に300乃至350℃の温度に3乃至6時間保
持することを特徴とする。
【0012】
【作用】本願発明者等は、アルミニウム箔をコイル状に
して焼鈍する場合であっても、その両端部にエッチング
不良が生じることを防止することができ、電解エッチン
グ性を向上させて静電容量を著しく増大させることがで
きる電解コンデンサ用アルミニウム箔を開発すべく種々
の実験研究を行った。
して焼鈍する場合であっても、その両端部にエッチング
不良が生じることを防止することができ、電解エッチン
グ性を向上させて静電容量を著しく増大させることがで
きる電解コンデンサ用アルミニウム箔を開発すべく種々
の実験研究を行った。
【0013】その結果、コイル状のアルミニウム箔の両
端部が変色するのは、前記アルミニウム箔の表面に残存
する圧延油が原因であることを知見し、真空中又は窒素
ガス若しくはアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で焼
鈍(約500℃以上の温度による)する前に、完全に圧
延油を除去することにより、前記アルミニウムの両端部
の変色が発生することを防止できることを見い出した。
端部が変色するのは、前記アルミニウム箔の表面に残存
する圧延油が原因であることを知見し、真空中又は窒素
ガス若しくはアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で焼
鈍(約500℃以上の温度による)する前に、完全に圧
延油を除去することにより、前記アルミニウムの両端部
の変色が発生することを防止できることを見い出した。
【0014】そこで、本発明においては、最終焼鈍にお
ける昇温時にて、アルミニウム箔を圧延油の沸点以上の
温度で所定時間保持することにより圧延油を除去し、そ
の後所定温度で焼鈍する。これにより、本発明の目的を
達成できる。
ける昇温時にて、アルミニウム箔を圧延油の沸点以上の
温度で所定時間保持することにより圧延油を除去し、そ
の後所定温度で焼鈍する。これにより、本発明の目的を
達成できる。
【0015】以下、本発明に係る電解コンデンサ用アル
ミニウム箔の製造方法における製造条件について説明す
る。
ミニウム箔の製造方法における製造条件について説明す
る。
【0016】アルミニウムスラブの純度:99.90重
量%以上 アルミニウムスラブの純度が99.90重量%より低い
と、不純物の量が多くなるため、(100)面の占有率
を90%以上とすることが困難である。このため、静電
容量を十分に向上させることができない。従って、アル
ミニウムスラブの純度は99.90重量%以上とする。
なお、より好ましい純度は99.98重量%である。
量%以上 アルミニウムスラブの純度が99.90重量%より低い
と、不純物の量が多くなるため、(100)面の占有率
を90%以上とすることが困難である。このため、静電
容量を十分に向上させることができない。従って、アル
ミニウムスラブの純度は99.90重量%以上とする。
なお、より好ましい純度は99.98重量%である。
【0017】均質化処理温度:450乃至620℃ このアルミニウムスラブには、先ず均質化処理が施され
る。この均質化処理における処理温度が450℃未満で
あると、不純物をアルミニウムスラブ中に均一に固溶さ
せることが困難となる。このため、後工程にて、アルミ
ニウム箔に不純物が析出し易くなると共に、(100)
面の占有率を90%以上とすることが困難となり、静電
容量を向上させることができない。一方、620℃の温
度を超えて均質化処理が施されると、アルミニウムスラ
ブに(100)面以外の面を有する粗大な結晶粒が生じ
易くなり、この粗大な結晶粒がその後の工程を経ても
(100)面の結晶粒とはなり難い。このため、(10
0)面の占有率を90%以上とすることが困難となり、
静電容量を向上させることができない。従って、均質化
処理温度は450乃至620℃とする。なお、より好ま
しい処理温度は500乃至600℃である。
る。この均質化処理における処理温度が450℃未満で
あると、不純物をアルミニウムスラブ中に均一に固溶さ
せることが困難となる。このため、後工程にて、アルミ
ニウム箔に不純物が析出し易くなると共に、(100)
面の占有率を90%以上とすることが困難となり、静電
容量を向上させることができない。一方、620℃の温
度を超えて均質化処理が施されると、アルミニウムスラ
ブに(100)面以外の面を有する粗大な結晶粒が生じ
易くなり、この粗大な結晶粒がその後の工程を経ても
(100)面の結晶粒とはなり難い。このため、(10
0)面の占有率を90%以上とすることが困難となり、
静電容量を向上させることができない。従って、均質化
処理温度は450乃至620℃とする。なお、より好ま
しい処理温度は500乃至600℃である。
【0018】均質化処理時間:1乃至20時間 また、均質化処理における処理時間が1時間未満である
と、上述した均質化処理温度が450℃未満である場合
と同様に、不純物をアルミニウムスラブ中に均一に固溶
させることが困難で、後工程において不純物が析出し易
くなると共に、(100)面の占有率を90%以上とす
ることが困難となり、静電容量を向上させることができ
ない。一方、20時間を超えて均質化処理が施される
と、均質化処理温度が620℃を超える場合と同様に、
(100)面以外の面を有する結晶粒を(100)面の
結晶粒とすることは困難である。このため、(100)
面の占有率を90%以上とすることが困難となり、静電
容量を向上させることができない。従って、均質化処理
時間は1乃至20時間とする。なお、より好ましい処理
時間は5乃至15時間である。
と、上述した均質化処理温度が450℃未満である場合
と同様に、不純物をアルミニウムスラブ中に均一に固溶
させることが困難で、後工程において不純物が析出し易
くなると共に、(100)面の占有率を90%以上とす
ることが困難となり、静電容量を向上させることができ
ない。一方、20時間を超えて均質化処理が施される
と、均質化処理温度が620℃を超える場合と同様に、
(100)面以外の面を有する結晶粒を(100)面の
結晶粒とすることは困難である。このため、(100)
面の占有率を90%以上とすることが困難となり、静電
容量を向上させることができない。従って、均質化処理
時間は1乃至20時間とする。なお、より好ましい処理
時間は5乃至15時間である。
【0019】熱間圧延及び冷間圧延 均質化処理後には、アルミニウムスラブに通常の熱間圧
延及び冷間圧延を施して一定の厚さを有するアルミニウ
ム箔とする。この熱間圧延及び冷間圧延後には、中間焼
鈍及び最終冷間圧延が施される。
延及び冷間圧延を施して一定の厚さを有するアルミニウ
ム箔とする。この熱間圧延及び冷間圧延後には、中間焼
鈍及び最終冷間圧延が施される。
【0020】中間焼鈍温度:180乃至260℃ 中間焼鈍温度が180℃未満であると、アルミニウム箔
の(100)面の結晶粒が殆ど成長しないため、(10
0)面の占有率を90%以上とすることが困難となり、
静電容量を十分に向上させることができない。一方、2
60℃の温度を超えて中間焼鈍が施されると、結晶粒は
成長するものの(100)面の占有率を90%以上とす
ることが困難である。このため、静電容量を十分に向上
させることができない。従って、中間焼鈍温度は180
乃至260℃とする。なお、より好ましい焼鈍温度は2
00乃至240℃である。
の(100)面の結晶粒が殆ど成長しないため、(10
0)面の占有率を90%以上とすることが困難となり、
静電容量を十分に向上させることができない。一方、2
60℃の温度を超えて中間焼鈍が施されると、結晶粒は
成長するものの(100)面の占有率を90%以上とす
ることが困難である。このため、静電容量を十分に向上
させることができない。従って、中間焼鈍温度は180
乃至260℃とする。なお、より好ましい焼鈍温度は2
00乃至240℃である。
【0021】中間焼鈍時間:1乃至20時間 中間焼鈍時間が1時間未満であると、上述した中間焼鈍
温度が180℃未満である場合と同様に、アルミニウム
箔の(100)面の結晶粒が殆ど成長せず、(100)
面の占有率を90%以上とすることが困難となり、静電
容量を向上させることができない。一方、20時間を超
えて中間焼鈍が施されると、中間焼鈍温度が260℃を
超える場合と同様に、結晶粒は成長するものの(10
0)面の占有率を90%以上とすることが困難となり、
静電容量を向上させることができない。従って、中間焼
鈍時間は1乃至20時間とする。なお、より好ましい時
間は5乃至15時間である。
温度が180℃未満である場合と同様に、アルミニウム
箔の(100)面の結晶粒が殆ど成長せず、(100)
面の占有率を90%以上とすることが困難となり、静電
容量を向上させることができない。一方、20時間を超
えて中間焼鈍が施されると、中間焼鈍温度が260℃を
超える場合と同様に、結晶粒は成長するものの(10
0)面の占有率を90%以上とすることが困難となり、
静電容量を向上させることができない。従って、中間焼
鈍時間は1乃至20時間とする。なお、より好ましい時
間は5乃至15時間である。
【0022】最終冷間圧延の圧下率:5乃至25% 中間焼鈍後、最終冷間圧延が施され、所定の製品厚さの
アルミニウム箔とする。この冷間圧延における圧下率、
即ち上述した中間焼鈍を施した後、製品厚さのアルミニ
ウム箔を得るまでの冷間圧延時の圧下率が5%より低い
と、歪み量が少なく、またアルミニウム箔における(1
00)面の結晶粒が成長し難くなる。このため、(10
0)面の占有率を90%以上とすることが困難となり、
静電容量を向上させることができない。一方、25%の
圧下率を超えて冷間圧延が施されると、歪み量が多くな
るものの、(100)面以外の面の成長が促進されてし
まう。このため、(100)面の占有率を90%以上と
することが困難となり、静電容量を向上させることがで
きない。従って、冷間圧延の圧下率は5乃至25%とす
る。なお、より好ましい圧下率は10乃至20%であ
る。
アルミニウム箔とする。この冷間圧延における圧下率、
即ち上述した中間焼鈍を施した後、製品厚さのアルミニ
ウム箔を得るまでの冷間圧延時の圧下率が5%より低い
と、歪み量が少なく、またアルミニウム箔における(1
00)面の結晶粒が成長し難くなる。このため、(10
0)面の占有率を90%以上とすることが困難となり、
静電容量を向上させることができない。一方、25%の
圧下率を超えて冷間圧延が施されると、歪み量が多くな
るものの、(100)面以外の面の成長が促進されてし
まう。このため、(100)面の占有率を90%以上と
することが困難となり、静電容量を向上させることがで
きない。従って、冷間圧延の圧下率は5乃至25%とす
る。なお、より好ましい圧下率は10乃至20%であ
る。
【0023】最終焼鈍の雰囲気:真空又は不活性ガス 最終冷間圧延後、最終焼鈍処理が実施される。この最終
焼鈍処理において、真空中又は不活性ガス中にてアルミ
ニウム箔を480〜620℃に加熱する。なお、不活性
ガスにはArガスの外に、窒素ガスも含むものとする。
焼鈍処理において、真空中又は不活性ガス中にてアルミ
ニウム箔を480〜620℃に加熱する。なお、不活性
ガスにはArガスの外に、窒素ガスも含むものとする。
【0024】大気中において、480〜620℃の温度
で焼鈍を施すと、アルミニウム箔の表面に形成される酸
化皮膜が極めて厚くなり、静電容量が低下してしまう。
従って、最終焼鈍の雰囲気は真空又は不活性ガスとす
る。この場合の不活性ガスとして、前述の窒素ガス又は
アルゴンガス等がある。なお、真空の場合には、炉内の
圧力を1×10-2torr程度とし、また不活性ガスの
場合には、600〜760torr程度とすることが好
ましい。
で焼鈍を施すと、アルミニウム箔の表面に形成される酸
化皮膜が極めて厚くなり、静電容量が低下してしまう。
従って、最終焼鈍の雰囲気は真空又は不活性ガスとす
る。この場合の不活性ガスとして、前述の窒素ガス又は
アルゴンガス等がある。なお、真空の場合には、炉内の
圧力を1×10-2torr程度とし、また不活性ガスの
場合には、600〜760torr程度とすることが好
ましい。
【0025】最終焼鈍の温度:480乃至620℃ 最終焼鈍の温度が480℃未満であると、(100)面
の占有率を90%とすることが困難となるため、静電容
量を十分に向上させることができない。一方、620℃
を超えて最終焼鈍を施すと、アルミニウム箔同士が拡散
接合し、所謂ブロッキングが発生してしまう。従って、
最終焼鈍の温度は480乃至620℃とする。なお、よ
り好ましい焼鈍温度は500乃至590℃である。
の占有率を90%とすることが困難となるため、静電容
量を十分に向上させることができない。一方、620℃
を超えて最終焼鈍を施すと、アルミニウム箔同士が拡散
接合し、所謂ブロッキングが発生してしまう。従って、
最終焼鈍の温度は480乃至620℃とする。なお、よ
り好ましい焼鈍温度は500乃至590℃である。
【0026】最終焼鈍の時間:1乃至5時間 最終焼鈍の時間が1時間未満であると、上述した最終焼
鈍の温度が480℃未満である場合と同様に、アルミニ
ウム箔の(100)面の占有率を90%以上とすること
が困難であり、静電容量を向上させることができない。
一方、5時間を超えて最終焼鈍を施すと、最終焼鈍の温
度が620℃を超える場合と同様に、アルミニウム箔に
おいてブロッキングが発生してしまう。従って、最終焼
鈍の時間は1乃至5時間とする。なお、より好ましい焼
鈍時間は2乃至4時間である。
鈍の温度が480℃未満である場合と同様に、アルミニ
ウム箔の(100)面の占有率を90%以上とすること
が困難であり、静電容量を向上させることができない。
一方、5時間を超えて最終焼鈍を施すと、最終焼鈍の温
度が620℃を超える場合と同様に、アルミニウム箔に
おいてブロッキングが発生してしまう。従って、最終焼
鈍の時間は1乃至5時間とする。なお、より好ましい焼
鈍時間は2乃至4時間である。
【0027】保持温度:300乃至350℃ アルミニウム箔の最終焼鈍における昇温時において、圧
延油の沸点以上の温度でアルミニウム箔を保持すること
により、アルミニウム箔の表面に付着した圧延油を除去
してコイル状のアルミニウム箔の両端部に生じるエッチ
ング不良を防止することができる。しかし、保持温度が
300℃未満では、アルミニウム箔に残存する圧延油を
全て取り除くことは困難であるため、両端部には変色が
生じると共にエッチング不良が生じ、また添加元素の偏
析作用が低下してしまう。このため、静電容量を十分に
向上させることができない。一方、保持温度が350℃
を超えると、(100)面の占有率を90%以上とする
ことが困難となり、静電容量を十分に向上させることが
できない。従って、昇温時における保持温度を300乃
至350℃とする。
延油の沸点以上の温度でアルミニウム箔を保持すること
により、アルミニウム箔の表面に付着した圧延油を除去
してコイル状のアルミニウム箔の両端部に生じるエッチ
ング不良を防止することができる。しかし、保持温度が
300℃未満では、アルミニウム箔に残存する圧延油を
全て取り除くことは困難であるため、両端部には変色が
生じると共にエッチング不良が生じ、また添加元素の偏
析作用が低下してしまう。このため、静電容量を十分に
向上させることができない。一方、保持温度が350℃
を超えると、(100)面の占有率を90%以上とする
ことが困難となり、静電容量を十分に向上させることが
できない。従って、昇温時における保持温度を300乃
至350℃とする。
【0028】保持時間:3乃至6時間 昇温時における保持時間が3時間未満では、上述した保
持温度が300℃未満である場合と同様に、アルミニウ
ム箔に残存する圧延油を全て取り除くことが困難である
ため、静電容量を十分に向上させることができない。一
方、保持時間が6時間を超えると、保持温度が350℃
を超える場合と同様に、アルミニウム箔の(100)面
の占有率を90%以上とすることが困難となり、静電容
量を十分に向上させることができない。従って、最終焼
鈍の昇温時における保持時間を3乃至6時間とする。な
お、より好ましい時間は4乃至5時間である。
持温度が300℃未満である場合と同様に、アルミニウ
ム箔に残存する圧延油を全て取り除くことが困難である
ため、静電容量を十分に向上させることができない。一
方、保持時間が6時間を超えると、保持温度が350℃
を超える場合と同様に、アルミニウム箔の(100)面
の占有率を90%以上とすることが困難となり、静電容
量を十分に向上させることができない。従って、最終焼
鈍の昇温時における保持時間を3乃至6時間とする。な
お、より好ましい時間は4乃至5時間である。
【0029】以上のように、アルミニウム箔に最終焼鈍
を施す場合に、その昇温時に300乃至350℃の温度
で3乃至6時間保持することにより、アルミニウム箔の
(100)面以外の結晶方位を消滅させることができ、
(100)面の占有率を90%以上とすることができ
る。また、アルミニウム箔に残存する圧延油を完全に除
去することができるため、コイル状のアルミニウム箔の
両端部において、変色が生じることを防止できると共
に、微量成分を効果的に偏析させることができる。更
に、アルミニウム箔の表面に30〜45Åの適度な酸化
皮膜を形成することができる。
を施す場合に、その昇温時に300乃至350℃の温度
で3乃至6時間保持することにより、アルミニウム箔の
(100)面以外の結晶方位を消滅させることができ、
(100)面の占有率を90%以上とすることができ
る。また、アルミニウム箔に残存する圧延油を完全に除
去することができるため、コイル状のアルミニウム箔の
両端部において、変色が生じることを防止できると共
に、微量成分を効果的に偏析させることができる。更
に、アルミニウム箔の表面に30〜45Åの適度な酸化
皮膜を形成することができる。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例について、本発明の特
許請求の範囲から外れる比較例と比較して説明する。先
ず、半連続鋳造法により下記表1に示す純度を有するア
ルミニウムスラブを製作し、各アルミニウムスラブを下
記表1に示す条件にて均熱処理を施した。更に、熱間圧
延及び冷間圧延の後、下記表1に示す条件にて中間焼鈍
を施した。なお、以下の各表において、本発明の特許請
求の範囲から外れる値については、その値に下線を付し
て示す。
許請求の範囲から外れる比較例と比較して説明する。先
ず、半連続鋳造法により下記表1に示す純度を有するア
ルミニウムスラブを製作し、各アルミニウムスラブを下
記表1に示す条件にて均熱処理を施した。更に、熱間圧
延及び冷間圧延の後、下記表1に示す条件にて中間焼鈍
を施した。なお、以下の各表において、本発明の特許請
求の範囲から外れる値については、その値に下線を付し
て示す。
【0031】
【表1】
【0032】次に、各アルミニウムスラブに対して下記
表2に示す圧下率で最終冷間圧延を施して、いずれも厚
さが100μmとなるようにした。そして、下記表2に
示す条件にて最終焼鈍を施した。つまり、この焼鈍では
下記表2に示す所定の焼鈍雰囲気下で焼鈍を施すもので
あり、焼鈍の昇温時に所定の保持温度で所定時間保持し
た後、最終焼鈍欄に示す温度まで加熱して焼鈍を施し
た。
表2に示す圧下率で最終冷間圧延を施して、いずれも厚
さが100μmとなるようにした。そして、下記表2に
示す条件にて最終焼鈍を施した。つまり、この焼鈍では
下記表2に示す所定の焼鈍雰囲気下で焼鈍を施すもので
あり、焼鈍の昇温時に所定の保持温度で所定時間保持し
た後、最終焼鈍欄に示す温度まで加熱して焼鈍を施し
た。
【0033】図1は、最終焼鈍を施す場合におけるコイ
ル状のアルミニウム箔を示す斜視図である。この図1に
示すように、冷間圧延を施して製作されたアルミニウム
箔1をコイル状に巻いた後、最終焼鈍を施して、調質を
O材とした。なお、このときのコイル幅Dは500mm
とした。
ル状のアルミニウム箔を示す斜視図である。この図1に
示すように、冷間圧延を施して製作されたアルミニウム
箔1をコイル状に巻いた後、最終焼鈍を施して、調質を
O材とした。なお、このときのコイル幅Dは500mm
とした。
【0034】
【表2】
【0035】上述のようにして得られたアルミニウム箔
について、以下の各条件によりコイル状のアルミニウム
箔(以下、「コイル」という)端部の変色、酸化皮膜の
厚さ、静電容量及び(100)面の占有率について分析
した。
について、以下の各条件によりコイル状のアルミニウム
箔(以下、「コイル」という)端部の変色、酸化皮膜の
厚さ、静電容量及び(100)面の占有率について分析
した。
【0036】コイル端部の変色の分析条件 コイル端部を目視にて観察することにより、変色の有無
を確認した。変色部がある場合は「○」、変色部がない
場合は「×」として、その結果を下記表4に示す。
を確認した。変色部がある場合は「○」、変色部がない
場合は「×」として、その結果を下記表4に示す。
【0037】酸化皮膜の厚さの分析条件 純水1リットル中にホウ酸:50gとホウ砂:100g
とを添加した水溶液中で、対極を白金としてLCRメー
タを使用して測定した。なお、測定部位はコイルの幅方
向の中央部分である。
とを添加した水溶液中で、対極を白金としてLCRメー
タを使用して測定した。なお、測定部位はコイルの幅方
向の中央部分である。
【0038】静電容量の分析条件 静電容量については、下記表3に示す電解エッチング条
件及び化成条件にてエッチング及び化成処理を施した。
なお、化成処理の処理液における燐酸及び燐酸アンモニ
ウムはいずれも純水1リットル中の添加量である。
件及び化成条件にてエッチング及び化成処理を施した。
なお、化成処理の処理液における燐酸及び燐酸アンモニ
ウムはいずれも純水1リットル中の添加量である。
【0039】その後、下記表3に示す静電容量測定条件
にて各アルミニウム箔の静電容量を測定した。なお、静
電容量は万能ブリッジにより測定し、その測定部位はコ
イルの右端、左端及び中央部である。
にて各アルミニウム箔の静電容量を測定した。なお、静
電容量は万能ブリッジにより測定し、その測定部位はコ
イルの右端、左端及び中央部である。
【0040】
【表3】
【0041】(100)面の占有率の分析条件 塩酸、硝酸及びフッ酸を使用して各アルミニウム箔にマ
イクロエッチングを施した。そして、予め用意した標準
サンプルと比較し、画像解析装置を使用して各アルミニ
ウム箔における(100)面の占有率を測定した。な
お、測定部位はコイルの中央部である。
イクロエッチングを施した。そして、予め用意した標準
サンプルと比較し、画像解析装置を使用して各アルミニ
ウム箔における(100)面の占有率を測定した。な
お、測定部位はコイルの中央部である。
【0042】以上の条件による各分析結果を下記表4に
示す。なお、比較例No14及び16については、ブロ
ッキングが生じたため、評価することができなかった。
示す。なお、比較例No14及び16については、ブロ
ッキングが生じたため、評価することができなかった。
【0043】
【表4】
【0044】上記表4に示すように、実施例No1〜4
については、いずれもコイル端部に変色はなく、アルミ
ニウム箔の表面に適度な厚さの酸化皮膜が形成された。
また、(100)面の占有率はいずれも90%以上とな
り、比較例に比べて極めて静電容量を向上させることが
できた。
については、いずれもコイル端部に変色はなく、アルミ
ニウム箔の表面に適度な厚さの酸化皮膜が形成された。
また、(100)面の占有率はいずれも90%以上とな
り、比較例に比べて極めて静電容量を向上させることが
できた。
【0045】一方、比較例No1については、アルミニ
ウムスラブの純度が低く、不純物の量が多いため、(1
00)面の占有率を90%以上とすることができず、静
電容量を向上させることができなかった。
ウムスラブの純度が低く、不純物の量が多いため、(1
00)面の占有率を90%以上とすることができず、静
電容量を向上させることができなかった。
【0046】比較例No2〜5については、均質化処理
の条件が本発明の特許請求の範囲から外れるものであ
り、夫々均熱温度が低い場合及び均熱時間が短い場合で
ある比較例No2及び4は、均質化処理の後工程におい
て不純物が析出し、(100)面の占有率を90%以上
とすることができず、静電容量を向上させることができ
なかった。また、夫々均熱温度が高い場合及び均熱時間
が長い場合である比較例No3及び5は、粗大な結晶粒
が生じ、(100)面の占有率を90%以上とすること
ができず、静電容量を向上させることができなかった。
の条件が本発明の特許請求の範囲から外れるものであ
り、夫々均熱温度が低い場合及び均熱時間が短い場合で
ある比較例No2及び4は、均質化処理の後工程におい
て不純物が析出し、(100)面の占有率を90%以上
とすることができず、静電容量を向上させることができ
なかった。また、夫々均熱温度が高い場合及び均熱時間
が長い場合である比較例No3及び5は、粗大な結晶粒
が生じ、(100)面の占有率を90%以上とすること
ができず、静電容量を向上させることができなかった。
【0047】比較例No6〜9については、中間焼鈍の
条件が本発明の特許請求の範囲から外れるものであり、
夫々中間焼鈍の温度が低い場合及びその時間が短い場合
である比較例No6及び8は、(100)面の結晶粒が
殆ど成長しなかったため、(100)面の占有率を90
%以上とすることができず、静電容量を向上させること
ができなかった。また、夫々中間焼鈍の温度が高い場合
及びその時間が長い場合である比較例No7及び9は、
(100)面の結晶粒が成長するものの、(100)面
の占有率を90%以上とすることができず、静電容量を
向上させることができなかった。
条件が本発明の特許請求の範囲から外れるものであり、
夫々中間焼鈍の温度が低い場合及びその時間が短い場合
である比較例No6及び8は、(100)面の結晶粒が
殆ど成長しなかったため、(100)面の占有率を90
%以上とすることができず、静電容量を向上させること
ができなかった。また、夫々中間焼鈍の温度が高い場合
及びその時間が長い場合である比較例No7及び9は、
(100)面の結晶粒が成長するものの、(100)面
の占有率を90%以上とすることができず、静電容量を
向上させることができなかった。
【0048】比較例No10及び11については、中間
焼鈍後の冷間圧延時の圧下率が本発明の特許請求の範囲
から外れるものであり、圧下率が低い場合である比較例
No10は、歪み量が少なく、(100)面の占有率を
90%以上とすることができず、静電容量を向上させる
ことができなかった。また、圧下率が高い場合である比
較例No11は、歪み量が多くなるものの、(100)
面の占有率を90%以上とすることができず、静電容量
を向上させることができなかった。
焼鈍後の冷間圧延時の圧下率が本発明の特許請求の範囲
から外れるものであり、圧下率が低い場合である比較例
No10は、歪み量が少なく、(100)面の占有率を
90%以上とすることができず、静電容量を向上させる
ことができなかった。また、圧下率が高い場合である比
較例No11は、歪み量が多くなるものの、(100)
面の占有率を90%以上とすることができず、静電容量
を向上させることができなかった。
【0049】比較例No12については、最終焼鈍を大
気の雰囲気下で施したため、アルミニウム箔の表面に形
成された酸化皮膜が極めて厚くなり、(100)面の占
有率が90%以上となったものの、静電容量が低下して
しまった。
気の雰囲気下で施したため、アルミニウム箔の表面に形
成された酸化皮膜が極めて厚くなり、(100)面の占
有率が90%以上となったものの、静電容量が低下して
しまった。
【0050】比較例No13〜16については、最終焼
鈍の条件が本発明の特許請求の範囲から外れるものであ
り、夫々最終焼鈍の温度が低い場合及びその時間が短い
場合である比較例No13及び15は、(100)面の
占有率を90%以上とすることができず、静電容量を向
上させることができなかった。また、夫々最終焼鈍の温
度が高い場合及びその時間が長い場合である比較例No
14及び16は、ブロッキングが発生したため、評価が
できなかった。
鈍の条件が本発明の特許請求の範囲から外れるものであ
り、夫々最終焼鈍の温度が低い場合及びその時間が短い
場合である比較例No13及び15は、(100)面の
占有率を90%以上とすることができず、静電容量を向
上させることができなかった。また、夫々最終焼鈍の温
度が高い場合及びその時間が長い場合である比較例No
14及び16は、ブロッキングが発生したため、評価が
できなかった。
【0051】比較例No17〜20については、最終焼
鈍の昇温時における保持条件が本発明の特許請求の範囲
から外れるものであり、夫々保持温度が低い場合及び保
持時間が短い場合である比較例No17及び19は、圧
延油を全て取り除くことができず、コイル端部に変色が
生じ、端部のエッチング性が極めて低下した。このた
め、両端部の静電容量が中央部に比べて低下してしまっ
た。また、夫々保持温度が高い場合及び保持時間が長い
場合である比較例No18及び20は、(100)面の
占有率を90%以上とすることができず、静電容量を向
上させることができなかった。
鈍の昇温時における保持条件が本発明の特許請求の範囲
から外れるものであり、夫々保持温度が低い場合及び保
持時間が短い場合である比較例No17及び19は、圧
延油を全て取り除くことができず、コイル端部に変色が
生じ、端部のエッチング性が極めて低下した。このた
め、両端部の静電容量が中央部に比べて低下してしまっ
た。また、夫々保持温度が高い場合及び保持時間が長い
場合である比較例No18及び20は、(100)面の
占有率を90%以上とすることができず、静電容量を向
上させることができなかった。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
アルミニウムスラブに所定の圧延及び熱処理を施すこと
により、コイル状のアルミニウム箔の両端部に変色が生
じることを防止でき、電解エッチング性を向上させて静
電容量を著しく増大させることができる電解コンデンサ
用アルミニウム箔を製造することができる。
アルミニウムスラブに所定の圧延及び熱処理を施すこと
により、コイル状のアルミニウム箔の両端部に変色が生
じることを防止でき、電解エッチング性を向上させて静
電容量を著しく増大させることができる電解コンデンサ
用アルミニウム箔を製造することができる。
【図1】焼鈍を施す場合におけるコイル状のアルミニウ
ム箔を示す斜視図である。
ム箔を示す斜視図である。
1;アルミニウム箔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 武久 千葉県千葉市稲毛区六方町260番地 サ ン・アルミニウム工業株式会社内
Claims (1)
- 【請求項1】 純度が99.90重量%以上の純アルミ
ニウムスラブを、450乃至620℃の温度で1乃至2
0時間均質化する均質化処理工程と、均質化処理が施さ
れた前記純アルミニウムスラブに熱間圧延及び冷間圧延
を施して圧延板を得る圧延工程と、その後180乃至2
60℃の温度に1乃至20時間加熱して焼鈍する中間焼
鈍工程と、前記中間焼鈍を施した前記圧延板を5乃至2
5%の圧下率で圧延する冷間圧延工程と、前記冷間圧延
工程により製作されたアルミニウム箔を真空又は不活性
ガスの雰囲気下で480乃至620℃の温度に1乃至5
時間加熱して最終焼鈍する最終焼鈍工程と、を有し、こ
の最終焼鈍工程においては、その昇温時に300乃至3
50℃の温度に3乃至6時間保持することを特徴とする
電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12358095A JPH08319547A (ja) | 1995-05-23 | 1995-05-23 | 電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12358095A JPH08319547A (ja) | 1995-05-23 | 1995-05-23 | 電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08319547A true JPH08319547A (ja) | 1996-12-03 |
Family
ID=14864112
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12358095A Pending JPH08319547A (ja) | 1995-05-23 | 1995-05-23 | 電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08319547A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004003248A1 (ja) * | 2002-06-28 | 2004-01-08 | Showa Denko K.K. | 電解コンデンサ電極用アルミニウム材の製造方法及び電解コンデンサ電極用アルミニウム材、ならびに電解コンデンサ |
KR100978458B1 (ko) * | 2002-06-28 | 2010-08-26 | 쇼와 덴코 가부시키가이샤 | 전해 콘덴서 전극용 알루미늄재의 제조 방법 및 전해콘덴서 전극용 알루미늄재 및 전해 콘덴서 |
CN103071676A (zh) * | 2012-12-27 | 2013-05-01 | 西南铝业(集团)有限责任公司 | 幕墙用铝基材的生产工艺 |
-
1995
- 1995-05-23 JP JP12358095A patent/JPH08319547A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004003248A1 (ja) * | 2002-06-28 | 2004-01-08 | Showa Denko K.K. | 電解コンデンサ電極用アルミニウム材の製造方法及び電解コンデンサ電極用アルミニウム材、ならびに電解コンデンサ |
KR100978458B1 (ko) * | 2002-06-28 | 2010-08-26 | 쇼와 덴코 가부시키가이샤 | 전해 콘덴서 전극용 알루미늄재의 제조 방법 및 전해콘덴서 전극용 알루미늄재 및 전해 콘덴서 |
CN103071676A (zh) * | 2012-12-27 | 2013-05-01 | 西南铝业(集团)有限责任公司 | 幕墙用铝基材的生产工艺 |
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