JPH08318473A - 突き合わせ継手部の芯出し装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 突き合わせ継手部の連結作業の能率化を図
る。 【構成】 本体フレーム１の内面に、先端にそれぞれＶ
字形の切欠き部２ａを有する２枚の基準用芯出しプレー
ト２と前端にＶ字形の切欠き部３ａを有する位置決め用
芯出しプレート３を張り出して平行に取り付ける。上記
２枚の基準用芯出しプレート２を取り付けた位置におけ
る本体フレーム１外面に、ラチェット式の締付機６と、
該締付機６の締付用ベルト５先端のフックを引っ掛ける
ためのＵボルトを対向させて固定する。下側の配管１１
に２枚の基準用芯出しプレート２の切欠き部２ａを当て
がうようにして、締付機６により装置全体を固縛する。
位置決め用芯出しプレート３近傍に着脱式の締付機９を
配して締付用ベルト５を上側の配管１０に掛け回わし、
上下の配管１０，１１を引き寄せ合うようにすると、各
プレート２，３のＶ字形の切欠き部２ａ，３ａの作用に
よって配管１０と１１の芯出しを自然に行うことができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は船舶、陸上プラント、そ
の他で用いられている配管の継手部の位置ずれの修正や
柱、桁等の軽量鉄骨構造物の継手部の位置ずれの修正等
に用いる突き合わせによる継手部の芯出し装置に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】船舶や陸上プラント等において、各種の
配管や軽量鉄骨構造物（柱、桁）等を突き合わせ継手に
より連結する場合、従来では、図５及び図６に一例とし
て上下２本の配管ａ，ｂを連結する場合について示す如
く、連結しようとする２本の配管ａ，ｂの近傍に布設さ
れている別の配管ｃ等の既存の構造物にチェーンブロッ
クｄを係止して、該チェーンブロックｄより繰り出した
チェーンｅを、たとえば、上側の配管ａの下端部に巻き
掛けるようにし、上記チェーンブロックｄの操作により
上側の配管ａを下側の配管ｂの直上部に引き寄せて継手
部の芯出しを行った後、それぞれのフランジｆ，ｇに設
けてあるボルト孔ｈ，ｉに各々ボルトを挿通して締め付
けることにより、２本の配管ａとｂを連結するようにし
ている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した如
き従来の配管連結作業の場合、チェーンブロックｄを好
ましい方向（配管ａとｂの中心線を結ぶ方向で、図６の
矢印の方向）に掛け渡すことができない場合には、上側
の配管ａをある程度引き寄せた段階で、それぞれのフラ
ンジｆ，ｇのボルト孔ｈ，ｉにポンチを差し込んで２本
の配管ａとｂを強引に合致させて芯出ししなければなら
ず、しかも上記チェーンブロックｄは重さ約１５kgもあ
る重量治工具であることから、一連の作業には多大な労
力と時間を要することになって作業効率が悪く、その
上、チェーンブロックｄは一般的な治工具としては高価
であり、更に、配管ａにチェーンブロックｄのチェーン
ｅを巻き掛けたことによる塗装ダメージ範囲が大きくな
ってしまうので、このための補修が必要となる、という
問題がある。

【０００４】又、連結対象の配管ａ，ｂの付近にチェー
ンブロックｄを係止させるための適当な個所がない場合
には、付近の構造物にチェーンブロックｄを係止させる
ためのアイピースを溶接するようにしているが、その場
合、配管ａ，ｂの連結完了後に、アイプレートをガス切
断してその部分をグラインダがけする等の補修作業が別
途必要となる問題がある。

【０００５】そこで、本発明は、各種配管や軽量鉄骨構
造物等の突き合わせ継手部の芯出しをすみやかに行うこ
とができて連結作業の能率化を図ることができるような
突き合わせ継手部の芯出し装置を提供しようとするもの
である。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、所要長さの本体フレームの一端部側内面
に、前端部にＶ字形の切欠き部を有する複数枚の基準用
芯出しプレートを本体フレームの長手方向に所要間隔を
隔てて重なるように平行に配してそれぞれ一体的に取り
付け、且つ上記本体フレームの他端部側内面に、上記基
準用芯出しプレートと同型の位置決め用芯出しプレート
を上記基準用芯出しプレートと平行に取り付けて、該基
準用芯出しプレートと位置決め用芯出しプレートとが芯
出し対象物の突き合わせ継手部を跨げるようにし、更
に、本体フレームの一端部側の外面に、芯出し対象物に
掛ける締付用ベルトを介して配管と本体フレームとを締
め付けるようにする締付機を固定設置すると共に、本体
フレームの他端部側の位置決め用芯出しプレートの近傍
位置における本体フレーム外面に芯出し対象物に掛ける
締付用ベルトを介して配管を引き寄せるようにする着脱
式の締付機を備えるようにしてなる構成とする。

【０００７】又、本体フレームの他端側に備える締付機
のハンドルを駆動装置で操作させるようにした構成とす
ることもできる。

【０００８】

【作用】配管や軽量鉄骨構造物等、継手部を突き合わせ
連結しようとする連結対象物の一方に、基準用芯出しプ
レートのＶ字形の切欠き部を当てがうようにした状態で
締付用ベルトを介し締付機により装置全体を固縛した
後、着脱式の締付機により他方の連結対象物に締付用ベ
ルトを掛け回し、該着脱式の締付機を操作して連結対象
物同士を互いに引き寄せ合うようにすると、他方の連結
対象物が位置決め用芯出しプレートのＶ字形の切欠き部
に取り込まれることになって連結対象物同士の芯出しを
自然に行うことができる。

【０００９】又、本体フレームの他端側に備える締付機
のハンドルを駆動装置で操作させるようにすると、作業
を極めて容易に実施することができる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。

【００１１】図１乃至図４は本発明の突き合わせ継手部
の芯出し装置の一実施例を示すもので、所要長さとした
アングル材からなる本体フレーム１の長手方向の一端部
側内側面に、前端部にＶ字形の切欠き部２ａを有する２
枚の基準用芯出しプレート２を、本体フレーム１から直
角に張り出すようにして本体フレーム１の長手方向に所
要間隔を隔てて互いに平行に取り付けると共に、上記本
体フレーム１の長手方向の他端部の内側面に、上記２枚
の基準用芯出しプレート２と同寸法として前端部にＶ字
形の切欠き部３ａを形成した位置決め用芯出しプレート
３を、本体フレーム１の内側から直角に張り出すように
して上記２枚の基準用芯出しプレート２と平行に取り付
け、且つ該各芯出しプレート２，３を補強材４にて補強
して、該各芯出しプレート２，３にてＶブロック構造の
如き芯出し構造が形成されるようにし、又、上記本体フ
レーム１の一端部側の外側面に上記２枚の基準用芯出し
プレート２の中央レベルに位置するように、ナイロン製
の締付用ベルト５（通常、強度２ｔ程度のものを使用）
を介して締付力を付与するようにしてあるラチェット式
（ラチェットは符号６ｂで示す）の締付機６を溶接にて
固定すると共に、上記締付用ベルト５の先端に取り付け
てあるフック７を引っ掛けるためのＵボルト８を固定
し、更に、上記本体フレーム１他端部側の上記位置決め
用芯出しプレート３の近傍位置における外面に、上記ナ
イロン製の締付用ベルト５と同様の締付用ベルト５を介
して締付力を付与させるようにしてある締付機６と同様
なラチェット式の締付機９を取り外し自在に備えられる
ようにした構成とする。

【００１２】本発明の継手部の芯出し装置を用いて上下
２本の配管１０，１１を突き合わせ継手部の芯出しを行
って連結する場合には、まず、本体フレーム１の中央部
付近を片手で把持して、たとえば、下側の配管１１の上
端部に、上記２枚の基準用芯出しプレート２のＶ字形の
切欠き部２ａを当てがうようにし、このままの状態を保
ちながらもう片方の手で上記締付用ベルト５を下側の配
管１１の外周に掛け回わして締付用ベルト５の先端のフ
ック７を上記Ｕボルト８に引っ掛け、締付用ベルト５の
末端部５ａを引いてベルトのたるみを取り除いた後、上
記締付機６のハンドル６ａを数回操作してラチェット機
構により締付用ベルト５を締め付けて装置全体を下側の
配管１１に固縛させるようにした後、本体フレーム１を
把持していた手を離すようにする。次いで、図３に示す
如く、上記締付機９を本体フレーム１の他端部の位置決
め用芯出しプレート３の近傍位置に位置させると共に、
上側の配管１０の下端部に締付用ベルト５を掛け回した
後、締付機９のハンドル９ａを操作してラチェット機構
により締付用ベルト５を締め付けるようにする。これに
より上側の配管１０と下側の配管１１とが引き寄せ合う
ようになるので、上側の配管１０は図４に矢印で示す方
向へ引き込まれることになって、上記位置決め用芯出し
プレート３のＶ字形の切欠き部３ａ内へ収まることにな
り、上下の配管１０と１１の継手部の芯出しをすみやか
に行うことができる。

【００１３】しかる後、上下の配管１０，１１のフラン
ジ１２，１３にそれぞれ設けてあるボルト孔１４，１５
に各々ボルトを挿通して締め付けるようにすると、配管
１０と１１の連結作業を容易に完了することができる。

【００１４】上記において、締付機９で締付用ベルト５
を介して配管１０と本体フレーム１とを互いに接近させ
ようとする場合、締付機９による締付力が大きくなり、
作業員ではハンドル９ａの操作ができないような荷重の
場合には、図３において二点鎖線で示す如く、油圧イン
パクトレンチ１６等の油圧駆動装置でハンドル９ａを操
作させるようにすることができる。油圧駆動方式とする
場合は、自動的にハンドル９ａを操作できる。本発明に
より芯出しを行うと、連結しようとする上下の配管１
０，１１同士で互いに引き寄せ合うことから、従来のよ
うに配管１０と１１を芯出しするためのチェーンブロッ
クを不要にすることができて、配管１０，１１の近傍に
チェーンブロックの係止点を確保する必要がなくなるの
で、周囲の条件からの制約を受けることなく配管１０と
１１の連結作業を実施することができ、しかも、２枚の
基準用芯出しプレート２及び１枚の位置決め用芯出しプ
レート３にて恰も形成されたＶブロック構造の作用によ
り、配管１０と１１の引き寄せ方向が多少ずれていたと
しても配管１０と１１の芯出しは自然に行われることに
なって従来のようにポンチを用いて強引に芯出しする必
要もなくすことができる。

【００１５】更に、本体フレーム１の一端側外面に締付
機６及びＵボルト８のみを固定するようにしたことによ
って装置全体を軽量化することができ、作業員は片手で
本体フレーム１を把持しながらもう片方の手で締付用ベ
ルト５及び締付機６を扱うことができて配管１０と１１
の連結作業を１人で実施することができることから、作
業効率を大幅に向上させることができる。又、ナイロン
製の締付用ベルト５を使用することによって配管１０，
１１に与える塗装ダメージも抑えることができ、且つ締
付機６及び締付機９をラチェット式とすることにより配
管１０と１１の引き寄せ力は２００kg以上とすることが
できる。

【００１６】なお、上記実施例では本体フレーム１とし
て所要長さのアングル材を用いたが、アングル材に代え
てみぞ形鋼等別の形状の鋼材を用いることもでき、又、
２枚の基準用芯出しプレート２と１枚の位置決め用芯出
しプレート３からなる構成に代えて各芯出しプレート
２，３の枚数は必要に応じて増やすこともでき、この場
合、締付機６及び９の位置を配管１０と１１を引き寄せ
合うために最良の位置となるように適宜調節したり複数
個用いるようにするとよく、或いは、締付機９は電動式
のものにすることもでき、更に、本発明の適用範囲とし
ては配管の突き合わせ連結のみにとどまらず、軽量鉄骨
構造物に対しても全く同様に用いることができること、
その他本発明は要旨を逸脱しない範囲内において種々変
更を加え得ることは勿論である。

【００１７】

【発明の効果】以上述べた如く、本発明の突き合わせ継
手部の芯出し装置によれば、本体フレームの一端部側の
内面に、前端にそれぞれＶ字形の切欠き部を有する２枚
の基準用芯出しプレートを直角方向に張り出させて平行
に取り付けると共に、本体フレームの他端側の内面に前
端にＶ字形の切欠き部を有する位置決め用芯出しプレー
トを直角方向に張り出させて上記基準用芯出しプレート
と平行に取り付け、且つ本体フレームの一端部外の外面
に締付用ベルトを介して締付力を付与させるようにした
締付機を固定すると共に、上記位置決め用芯出しプレー
トの近傍位置における本体フレームの外面に、同じく締
付用ベルトを介して締付力を付与するようにした締付機
を着脱自在に備えるようにしてあるため、継手部を突き
合わせ連結しようとする連結対象物の一方に基準用芯出
しプレートのＶ字形の切欠き部を当てがうようにして固
定式の締付機により装置全体を固縛した後、着脱式の締
付機により他方側の連結対象物を位置決め用芯出しプレ
ートのＶ字形の切欠き部内へ引き込むようにすることに
より、引き寄せ方向が多少ずれている場合であっても連
結対象物の芯出しを容易に行うことができ、しかも連結
対象物同士で互いに引き寄せ合うようにすることができ
ることから、従来、継手部の連結作業の際に必要であっ
たチェーンブロックを不要にすることができるばかりで
なく、チェーンブロックの係止点を確保する必要をなく
すことができて周囲の条件による制約を受けることなく
作業を実施することができ、又、装置は軽量且つ取り扱
いが容易なので一人で作業に当ることができ、更に、本
体フレームの他端側に着脱自在に備える締付機のハンド
ルを駆動装置で操作させるようにすると、作業を極めて
容易に実施することができ、その結果、作業のために費
される労力及び作業時間を減少させることができて突き
合わせ継手部の連結作業の能率化を図ることができる、
という優れた効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の突き合わせ継手部の芯出し装置の一実
施例を示す正面図である。

【図２】図１のII−II方向矢視図である。

【図３】本発明により配管継手部の芯出し状態を示す概
要図である。

【図４】図３のIV−IV方向よりの概略平面図である。

【図５】従来より行われている配管継手部の芯出しを行
う状態を示す概略図である。

【図６】図５のVI−VI方向矢視図である。

【符号の説明】

１ 本体フレーム ２ 基準用芯出しプレート ２ａ 切欠き部 ３ 位置決め用芯出しプレート ３ａ 切欠き部 ５ 締付用ベルト ６ 締付機 ９ 締付機

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤本 忠浩 広島県呉市昭和町２番１号 石川島播磨重 工業株式会社呉第一工場内 (72)発明者 橋本 大輔 広島県呉市昭和町２番１号 石川島播磨重 工業株式会社呉第一工場内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所要長さの本体フレームの一端部側内面
   に、前端部にＶ字形の切欠き部を有する複数枚の基準用
   芯出しプレートを本体フレームの長手方向に所要間隔を
   隔てて重なるように平行に配してそれぞれ一体的に取り
   付け、且つ上記本体フレームの他端部側内面に、上記基
   準用芯出しプレートと同型の位置決め用芯出しプレート
   を上記基準用芯出しプレートと平行に取り付けて、該基
   準用芯出しプレートと位置決め用芯出しプレートとが芯
   出し対象物の突き合わせ継手部を跨げるようにし、更
   に、本体フレームの一端部側の外面に、芯出し対象物に
   掛ける締付用ベルトを介して配管と本体フレームとを締
   め付けるようにする締付機を固定設置すると共に、本体
   フレームの他端部側の位置決め用芯出しプレートの近傍
   位置における本体フレーム外面に芯出し対象物に掛ける
   締付用ベルトを介して配管を引き寄せるようにする着脱
   式の締付機を備えるようにしてなる構成を有することを
   特徴とする突き合わせ継手部の芯出し装置。
2. 【請求項２】 本体フレームの他端側に備える締付機の
   ハンドルを駆動装置で操作させるようにした請求項１記
   載の突き合わせ継手部の芯出し装置。