JPH08310858A - 低次酸化チタンセラミックス及びその製造方法 - Google Patents

低次酸化チタンセラミックス及びその製造方法

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JPH08310858A
JPH08310858A JP7068018A JP6801895A JPH08310858A JP H08310858 A JPH08310858 A JP H08310858A JP 7068018 A JP7068018 A JP 7068018A JP 6801895 A JP6801895 A JP 6801895A JP H08310858 A JPH08310858 A JP H08310858A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 発熱素子としたときに、NTC特性を有し、
低電圧、大電流、低抵抗等の優れた電気特性を有する、
組成中の酸素の割合が少ない(TiOxのxの値が小さ
い)低次酸化チタンセラミックス及びその簡便な製造方
法を提供する。 【構成】 二酸化チタンに必要に応じて焼成助剤及び/
又はバインダーを加え一次焼成して二酸化チタンを主成
分とする焼成二酸化チタンとし、この焼成二酸化チタン
を、空気雰囲気炉内に設置された金属チタン及び炭素粉
末を充填したマッフル内に入れ、還元焼成して、NTC
特性を有する低次酸化チタンセラミックスを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低次酸化チタンセラミ
ックス及びその製造方法に関し、詳しくは、発熱素子と
した場合に、NTC特性を有し、低電圧、大電流、低抵
抗等の優れた電気的特性を有する低次酸化チタン及びそ
の効率的な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】発熱素子として導電性セラミックスを利
用することは、従来より広く行われており、例えば、パ
ネコン暖房用機器、木材用乾燥システム機器等の建築関
係、床暖房機器、壁暖房機器、浴槽等の住宅関係、瞬間
湯沸器、各種乾燥機、ホットプレート、コーヒーメーカ
ー、炊飯器、トースター、レンジ等の家電関係、工業機
器関係、その他環境機器、病院用暖房機器、温熱サポー
ター、医療用浴槽等の医療用機器等、限られた電源供給
下での結氷防止、低温域熱が有効な路面での融雪、融雪
瓦等の分野に既に利用されている。
【0003】上記発熱素子には、電気的特性として、N
TC特性、低電圧、大電流、低抵抗等の特性を有するこ
とが好ましいとされるが、従来から、この様な高効率の
発熱素子として利用できる導電性セラミックスとして、
二酸化チタンを主成分とする焼成二酸化チタンを還元し
て得られる低次酸化チタンセラミックスの研究開発が続
けられている。
【0004】低次酸化チタンセラミックスを得る方法と
しては、これまで、二酸化チタン粉末を、あるいは、二
酸化チタン粉末に有機バインダーあるいはクレー等の無
機バインダーを加えて成形、乾燥し、必要に応じて脱脂
処理等を行った成形品を、一次焼成し、得られた二酸化
チタンを主成分とする焼成二酸化チタンを真空中、無酸
化雰囲気中あるいは還元雰囲気中(主として水素ガス
中)において再加熱することで焼成二酸化チタンを還元
して低次酸化チタンセラミックスとする方法が一般に取
られていた。しかしながら、この方法は工業的には、膨
大な設備と雰囲気制御技術を必要とし、且つ生産性が低
くコスト高であった。また、この様にして得られる低次
酸化チタンセラミックスは、低次酸化物としては組成中
の酸素の割合が多く(TiOxのxの値が大きく)、発
熱素子として用いたときに十分な電気的特性を有すると
は言い難かった。
【0005】そこで、これらの問題を解決して、発熱素
子としたときに、NTC特性を有し、低電圧、大電流、
低抵抗等の優れた電気特性を有する、組成中の酸素の割
合が少ない(TiOxのxの値が小さい)低次酸化チタ
ンセラミックス及びこの様な低次酸化チタンが簡便な操
作で得られる低次酸化チタンセラミックスの製造方法が
望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記観点か
らなされたものであり、発熱素子としたときに、NTC
特性を有し、低電圧、大電流、低抵抗等の優れた電気特
性を有する、組成中の酸素の割合が少ない(TiOxの
xの値が小さい)低次酸化チタンセラミックス及びその
簡便な製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、従来の方法で得
られた二酸化チタンを主成分とする焼成二酸化チタン
を、金属チタン及び炭素粉末を主成分とする埋め粉を充
填したマッフル内に入れ、これを空気雰囲気炉内で焼成
することで、焼成二酸化チタンが均一に還元され、組成
中の酸素の割合が少なく(TiOxのxの値が小さい)
低次酸化チタンセラミックスが得られること、更に、こ
の低次酸化チタンセラミックスがNTC特性を有するこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、二酸化チタンを主成
分とする焼成二酸化チタンを還元焼成して得られる低次
酸化チタンセラミックスであって、NTC特性を有する
低次酸化チタンセラミックス及び二酸化チタンに必要に
応じて焼成助剤及び/又はバインダーを加え一次焼成し
て二酸化チタンを主成分とする焼成二酸化チタンとし、
この焼成二酸化チタンを、空気雰囲気炉内に設置され
た、金属チタン及び炭素粉末を主成分とする埋め粉を充
填したマッフル内に入れ、還元焼成する低次酸化チタン
セラミックスの製造方法である。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
低次酸化チタンセラミックスは、二酸化チタンを主成分
とする焼成二酸化チタン(以下、単に焼成二酸化チタン
という)を還元焼成して得られる低次酸化チタンセラミ
ックスであって、NTC特性を有する低次酸化チタンセ
ラミックスである。
【0010】一般に焼成二酸化チタンを還元焼成する
と、焼成体の収縮及び焼成体内での気孔の発生がほとん
ど見られないまま、焼成体の密度が低下していることか
ら、還元による焼成体内からの酸素の離脱箇所に電子を
捕獲した空格子が生成されており、このことから焼成二
酸化チタンを還元して得られる低次酸化チタンセラミッ
クス内には、上記電子を捕獲した空格子が多量に存在し
ているものと考えられている。また、この様な空格子に
捕獲された電子は拘束力が弱いため所定の励起電圧によ
って電気伝導に寄与することができ、電子を捕獲した空
格子を大量に有する低次酸化チタンセラミックス、つま
り酸素を大量に離脱した低次酸化チタンセラミックスほ
ど、電気伝導性がよいことになる。
【0011】本発明の低次酸化チタンセラミックスは、
チタン酸化物の組成式TiOxのxが1に近く、焼成二
酸化チタンより大量に酸素を離脱し、電子を捕獲した空
格子を大量に有している。この様な本発明の低次酸化チ
タンセラミックスでは、空格子に捕獲された電子は、金
属における自由電子と比較すれば数量的に少ないため、
熱によって活性化されれば移動しやすくなり、温度上昇
による電気抵抗値の低下すなわちNTC特性(Negative
Temperature Coefficient)に寄与することができるの
である。
【0012】また、本発明の低次酸化チタンセラミック
スをいくつか同時に用いる際に、電気的性質としてその
初期固有抵抗値において不揃いを生じた場合、これらを
通電発熱させ定格化することができる。また、本発明の
低次酸化チタンセラミックスはその目的に応じ、通電に
より自己発熱させるか、もしくは他の熱源により加熱下
で通電することにより初期抵抗値を更に低抵抗値に移行
させ、定格化させることができる。
【0013】上記本発明の低次酸化チタンセラミックス
を製造する方法であるが、例えば、以下の方法で製造す
れば、簡便に生産性よく製造できる。二酸化チタンに必
要に応じて焼成助剤及び/又はバインダーを加え一次焼
成して二酸化チタンを主成分とする焼成二酸化チタンと
し、この焼成二酸化チタンを、空気雰囲気炉内に設置さ
れた、金属チタン及び炭素粉末を主成分とする埋め粉を
充填したマッフル内に入れ、還元焼成することで低次酸
化チタンセラミックスを製造する。
【0014】ここで、原料として用いる二酸化チタン
は、純度99.8%以上の高純度二酸化チタン粉末を用
いることが好ましい。原料の二酸化チタンに含まれる不
純物の量が0.2%以上になると二酸化チタンの界面の
電子構造を変化させることがあり、得られる低次酸化チ
タンセラミックスの導電性を悪くし、電気特性に悪影響
を与えることがある。
【0015】焼成二酸化チタンの原料としては、上記高
純度二酸化チタン粉末の他に、必要に応じて焼成助剤と
して0.1〜0.3モル%程度の割合でLa23、Ce
2、Y23、アルカリ土金属の塩類等を配合すること
ができる。また、二酸化チタンを成形後に焼成する場合
には、成形のために上記焼成二酸化チタン原料に、残留
成分を極力排除した有機バインダー及び/又はクレー等
の無機バインダーを加えることも可能であり、原料をよ
く混合してから成形、乾燥後、一次焼成して焼成二酸化
チタン成形品を得る。
【0016】上記二酸化チタンを主成分とする原料混合
物又は成形品の一次焼成は、通常の焼成二酸化チタンの
製造方法と同様に行えばよく、例えば、上記原料混合物
あるいは成形品を1350℃〜1430℃の温度域で、
1〜3時間焼成することで焼成二酸化チタンを得ること
ができる。
【0017】本発明の製造方法においては、この様にし
て得られた焼成二酸化チタンを空気雰囲気炉内に設置さ
れた、金属チタン及び炭素粉末を主成分とする埋め粉を
充填したマッフル内に入れ、還元焼成する。
【0018】この様な還元焼成に用いるマッフルとして
は、特に制限されるものではなく、通常、セラミックス
を焼成する際に用いられるマッフルを用いることが可能
であり、例えば、耐熱性金属や緻密質耐火容器等を好ま
しく挙げることができる。この様なマッフル内に埋め粉
と共に上記で得られた焼成二酸化チタンを埋蔵し、これ
を空気雰囲気炉に入れて還元焼成を行うが、本発明にお
いては、この埋め粉として金属チタンと炭素粉末を主成
分とする埋め粉を用いる。
【0019】本発明に用いる埋め粉中の金属チタンは還
元剤として、炭素粉末は密閉充填剤として作用するが、
この金属チタンと炭素粉末の混合比は、重量比で1:1
〜4:1であることが好ましい。埋め粉には、上記金属
チタンと炭素粉末以外に、例えば、粉末空隙を充填する
目的で、対炭素粉末重量比で5%以下のタールを添加す
る等、各種目的に応じてその他の微量成分を配合するこ
とも可能である。また、この様な埋め粉と焼成二酸化チ
タンとのマッフル内における重量比は、2:1〜5:1
であることが好ましい。
【0020】マッフル内の還元雰囲気濃度は金属チタン
の混入量により決定され、これにより二酸化チタンの還
元の程度が規制されるため、炭素粉末に対する金属チタ
ンの量が上記範囲を外れて小さいと、または、焼成二酸
化チタンに対する埋め粉の量が上記範囲を外れて小さい
と、焼成二酸化チタンの還元が十分に行われないことが
ある。また、炭素粉末に対する金属チタンの量を上記範
囲以上に大きくしても、あるいは、焼成二酸化チタンに
対する埋め粉の量を上記範囲以上に大きくても、焼成二
酸化チタンの還元の度合いは頭打ちとなり、経済的に不
利である。
【0021】また、この様な還元焼成過程において、埋
め粉中の金属チタンと炭素粉末の配合比が、あるいは、
埋め粉と焼成二酸化チタンとの配合比が、焼成二酸化チ
タンの還元の程度に関係することから、この配合比を調
整することで、得られる低次酸化チタンセラミックス中
の、チタン酸化物TiOxのxの値を制御することが可
能である。
【0022】上記本発明の製造方法に用いる金属チタン
の形態としては、粉末、チップ等様々な形態が挙げられ
るが、本発明においては接触面積等を考慮して粉末が好
ましく用いられる。また、炭素粉末についても同様の観
点から、カサ比重の大きい粉末が好ましく用いられる。
この様な埋め粉を構成する各種原料は、よく混合して埋
め粉として上記マッフル内に詰め込まれる。本発明の製
造方法においては、この様してマッフル内に充填された
埋め粉中に、上記で得られた焼成二酸化チタン成形品等
を埋没させるかたちで入れる。
【0023】次に本発明の還元焼成であるが、上記埋め
粉を用いる以外は、マッフル窯を用いた通常の還元焼成
と同様に行えばよく、例えば、空気雰囲気炉内に、上記
の様にして焼成二酸化チタンと埋め粉が充填されたマッ
フルを設置し、950〜1500℃で、1〜3時間程度
の焼成を行うことが好ましい。焼成温度を950℃以上
にすれば、金属チタンは顕著な活性を示し、その活性度
が二酸化チタンの活性度に比べて高くなることから、金
属チタンは焼成二酸化チタンから容易に酸素を引き抜く
ことができ、得られる低次酸化チタンセラミックスのチ
タン酸化物TiOxのxの値を減少させることが可能と
なる。つまり、950℃以下の焼成温度では、焼成二酸
化チタンの還元は十分に行えないことがある。また、1
500℃以上にしても、焼成二酸化チタンの還元の度合
いは頭打ちになり、生産性の点から好ましくない。
【0024】
【作用】本発明の低次酸化チタンセラミックスは、二酸
化チタンを主成分とする焼成二酸化チタンを還元焼成し
て得られる低次酸化チタンセラミックスであって、NT
C特性を有する低次酸化チタンセラミックスである。ま
た、この様な低次酸化チタンセラミックスを得るため
に、本発明では、各分野で古くより行われてきたマッフ
ルを使用する還元焼成を応用し、マッフル内の埋め粉と
して金属チタン(還元剤)と炭素粉末(密閉充填剤)を
用いた。
【0025】この様にして得られる本発明の低次酸化チ
タンセラミックスは、セラミックスが一般に導電性を持
たないのとは対照的に、導電性を有する。これは、通常
のセラミックスにおいては、電子が原子または原子集団
に拘束されその移動が困難であるのに対し、本発明の低
次酸化チタンセラミックスでは、製造過程で作られた空
格子に電子が捕獲されておりその電子の拘束力が弱いた
め、所定の励起電圧によって電気伝導に寄与することに
よる。本発明の低次酸化チタンセラミックスの作用をそ
の導電性を利用して発熱素子としたときの作用として以
下に説明する。
【0026】一般に、発熱素子における電気伝導の媒介
としては電子またはイオンが挙げられるが、本発明の低
次酸化チタンセラミックスを利用した発熱素子では、製
造過程で作られた空格子内に捕獲された電子がその役割
を果たしているものと考えられる。本発明の低次酸化チ
タンセラミックスの空格子に捕獲された電子は、金属に
おける自由電子と比較すれば数量的に少ないため、熱に
よって活性化されれば移動しやすくなり、温度上昇によ
る電気抵抗値の低下すなわちNTCに寄与することがで
きる。しかし、温度が400℃以上になれば、結晶内へ
の酸素の拡散が起こり始め、酸素の侵入による空格子濃
度の低下すなわち酸素のイオン化による電子の拘束が進
み、電気伝導性の低下を来す。
【0027】すなわち、本発明の低次酸化チタンセラミ
ックスを利用した発熱素子においては、他の発熱素子に
比べて、通電は比較的低電圧から可能であり、低電圧高
効率の発熱素子となりうる。また、温度上昇に伴う電気
抵抗値の低下によって電流密度は増大するが、400℃
以下の温度における発熱素子としての安定性は優れてい
ると言える。
【0028】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。原料の二
酸化チタン(純度99.8%)99.5gに、焼成助剤
としてCaCO3を0.5g加え、有機バインダーとし
てマイクロワックスを3g加えて、3×0.4×12c
mの板状に成形し、これを焼成炉に入れ100℃/hr
の昇温速度で加熱し、温度1400℃となったところで
この温度を2時間保持した後、放冷して焼成二酸化チタ
ンを得た。これと同様の原料組成(各原料の重量%が同
様)で、同様の製造方法により、2.8×0.4×1
8.5cmサイズの板状の焼成二酸化チタンを製造し
た。この様にして各サイズの焼成二酸化チタンを数枚ず
つ作製した。
【0029】次に、炭化珪素質マッフル内にチタン粉
(46メッシュ)と土状黒鉛粉末(325メッシュ)を
重量比で1:1の割合で混合した埋め粉を2kg投入し
ながら、上記板状の焼成二酸化チタン成形品1kgを埋
め込み、密閉状態にして1300℃で3時間の還元焼成
を行った後、1000℃まで放冷した。その後マッフル
を炉外に引き出して急冷して、得られた本発明の低次酸
化チタンセラミックスを取り出した。
【0030】<本発明の低次酸化チタンセラミックスの
評価>上記の様にして得られた低次酸化チタンセラミッ
クスを発熱素子として、以下のような通電試験を行い、
電気特性を評価した。
【0031】(試験1)上記実施例で得られた平板形の
低次酸化チタンセラミックス(3×0.4×12cm)
を発熱素子として試験を行った。まず、発熱素子の両端
に銀ペーストを塗布し、その上から純アルミニウムメッ
シュ網を巻き付けこれを電極とした。この発熱素子に温
度計をセットし、電流計、電圧計とともに電源に接続し
て、直流電圧6Vを印加した時の、発熱素子の表面温度
と電流、電圧の変化を経時的に測定した。また、電流、
電圧の測定値から抵抗値を求めた。試験には、電源とし
て可変直流定電圧・定電流電源(菊水電子工業(株)
製、PAD 35-10L)を用い、電流計はディジタルマルチメ
ータ(横河インスルメンツ(株)製、7537 01)、電圧
計はディジタルマルチメータ(岩崎通信機(株)製、SC
-7405)、温度計は赤外放射温度計((株)キーエンス
製、IT2-50)を用いた。尚、表面温度は赤外放射温度計
の放射率を0.98に設定したときの指示値である。
【0032】結果を通電時間と発熱素子の表面温度との
関係(図1)、通電時間と発熱素子の抵抗値との関係
(図2)、通電時間と発熱素子に流れる電流値の関係
(図3)として示す。これらの結果から、本発明の低次
酸化チタンセラミックスを発熱素子に用いた場合には、
通電時間とともに温度上昇がおこり、それに伴って電気
抵抗値が低下しており、本発明の低次酸化チタンセラミ
ックスが発熱素子の効率に寄与するNTC特性に優れて
いることがわかる。
【0033】(試験2)上記実施例で得られた平板形の
低次酸化チタンセラミックス(28×4×185mm)
1本を発熱素子としたもの、上記実施例で得られた平板
形の低次酸化チタンセラミックス3本を繋いだ発熱素子
(28×4×550mm)及び比較のためのニクロム線
式セラミックヒーター(セラミックボックス(300×
200mm)内に特殊処理したニクロム線(L=300
mm)発熱素子1本を組み込んだヒーター、ノリタケ
製、CMH−210)の3種類の発熱素子を用いて試験
を行った。
【0034】上記平板形の低次酸化チタンセラミックス
1本を発熱素子としたものについては、上記試験1と同
様にして電極を作製した。また、上記平板形の低次酸化
チタンセラミックス3本を繋いで発熱素子としたものに
ついては、発熱素子3本全てについて両端に銀ペースト
を塗布し、1本目の右端(銀ペースト部分)と2本目の
左端(銀ペースト部分)を重ね合わせて真鍮のビスで止
め、同様に2本目の右端と3本目の左端を重ね合わせて
真鍮のビスで止めて接続し、1本目の左端と3本目の右
端には銀ペースト部分の上から純アルミニウムメッシュ
網を巻き付けこれを電極とした。比較例のニクロム線式
セラミックヒーターは、そのまま用いた。
【0035】この様にして得られた各電極に、温度計を
セットして、電流計、電圧計ととも電源に接続し、電源
のスイッチを入れて、発熱素子に電流を流した時の表面
温度と電流、電圧の変化を経時的に測定した。試験に用
いた計器類は、電源として上記以外にA.C.電源として
一般の家庭用コンセントを用いた以外は、全て試験1と
同様であった。また、抵抗値を、電流、電圧の測定値か
ら求めた。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】この結果から、本発明の低次酸化チタンセ
ラミックスを発熱素子とした場合には、上記試験1と同
様にNTC特性に優れることがわかり、また、比較例の
発熱素子と比べて低電圧で働くことが可能であり、更
に、低抵抗であるため消費電力が小さい等の利点がある
ことがわかる。
【0038】
【発明の効果】本発明の低次酸化チタンセラミックス
は、組成中の酸素の割合が少なく(TiOxのxの値が
小さく)、発熱素子としたときに、NTC特性を有し、
低電圧、大電流、低抵抗等の優れた電気特性を有する。
また、本発明の製造方法によれば、上記低次酸化チタン
セラミックスを簡便に効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 通電時間と実施例の低次酸化チタンセラミッ
クスの発熱素子表面温度との関係を示す図。
【図2】 通電時間と実施例の低次酸化チタンセラミッ
クスの発熱素子の抵抗値との関係を示す図。
【図3】 通電時間と実施例の低次酸化チタンセラミッ
クスの発熱素子を流れる電流値との関係を示す図。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二酸化チタンを主成分とする焼成二酸化
    チタンを還元焼成して得られる低次酸化チタンセラミッ
    クスであって、NTC特性を有する低次酸化チタンセラ
    ミックス。
  2. 【請求項2】 二酸化チタンに必要に応じて焼成助剤及
    び/又はバインダーを加え一次焼成して二酸化チタンを
    主成分とする焼成二酸化チタンとし、この焼成二酸化チ
    タンを、空気雰囲気炉内に設置された、金属チタン及び
    炭素粉末を主成分とする埋め粉を充填したマッフル内に
    入れ、還元焼成する低次酸化チタンセラミックスの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 二酸化チタンの純度が99.8%以上で
    ある請求項2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 還元焼成の温度が950〜1500℃で
    ある請求項2又は3に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 埋め粉中の金属チタンと炭素粉末の配合
    比が重量比で1:1〜4:1であり、埋め粉と焼成二酸
    化チタンの重量比が2:1〜5:1である請求項2〜4
    のいずれか1項に記載の製造方法。
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