JPH08308675A - シートバックボード取り付け構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 シートバックフレームのワイヤーに位置決め
のための曲げ加工を加える必要がなく、その曲げ加工に
係わる工数を削減してコストダウンを図る。 【構成】 シートバックフレーム６にほぼ水平状に設け
られたワイヤー１０と、バックボード７に設けられてワ
イヤー１０に係合する係合部４０とを備える。ワイヤー
１０は直線部１１の両端に互いにほぼ平行をなす左右の
アーム部１２を有し、また前記係合部４０はワイヤー１
０の直線部１１に載せ掛け可能でかつそれ自体の弾性変
形を利用してそのワイヤー１０のアーム部１２と係合可
能に形成されている。このワイヤー１０の直線部１１お
よびアーム部１２に対する係合部４０の係合によって、
シートバックフレーム６に対するバックボード７の位置
決めが果たされる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、主に自動車用シートに
係り、例えば乗用車のフロントシート、３列シートタイ
プ車の場合はフロントシート及びセカンドシートのよう
に外観上にシートバックの背面が見えるタイプのシート
におけるシートバックボード取り付け構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来例について図６〜図９を参照して述
べる。図６に斜視図で示されるシート１は、乗員の尻部
を支持するシートクッション２と、その乗員の背部を支
持するシートバック３とにより構成されている。また前
記シートバック３は、図７に分解斜視図で示されるよう
に表皮を構成するシートバックカバー４、クッション材
としてのシートバックパッド５、骨格を構成するシート
バックフレーム６、背面を覆うシートバックボード（単
にバックボードともいう）７により構成されている。

【０００３】前記バックボード７は、シートバックフレ
ーム６に対し次の取り付け構造によって取り付けられて
いる。シートバックフレーム６及びバックボード７を斜
視図で示した図８において、シートバックフレーム６は
金属製パイプ材によりほぼ矩形枠状に形成されている。
シートバックフレーム６の下端部には、図示されないリ
クライニング機構のアッパアームを連結するための左右
の接続ブラケット９がそれぞれ溶着されている。

【０００４】シートバックフレーム６の左右の縦枠部６
ａには、複数本（図は上、中、下の計３本を示す）のワ
イヤー１０がほぼ水平状にかつ互いにほぼ平行をなすよ
うに設けられている。各ワイヤー１０は、詳しくは直線
部１１と、その直線部１１の両端部に互いにほぼ平行を
なすように折曲されかつその先端１２ａが外向きに折り
返し状に折曲された左右のアーム部１２とを有してい
る。そのアーム部１２の先端１２ａがシートバックフレ
ーム６の縦枠部６ａに溶着されている。更に３本のワイ
ヤー１０のうち、上段のワイヤー１０にはその直線部１
１にほぼＵ字状に折曲する左右の屈曲部１３が設けられ
ている。

【０００５】またバックボード７は、ほぼ矩形形状に樹
脂成形されており、その表面が表皮材１５によって被覆
されている。バックボード７の裏面にはほぼ格子状リブ
１６が一体形成されている。更にバックボード７の裏面
には、前記上段のワイヤー１０に対応する左右の係合部
１７と、前記下段のワイヤー１０に対応する左右の挟持
部１８が設けられている。

【０００６】係合部１７は、図９に斜視図で示すよう
に、係合孔２１を有する基板２０と、その基板２０の先
端部から立ち上がる位置決め壁２２と、基板２０を支え
る左右の補強リブ２３とから構成されている。また挟持
部１８は、図８に示されるように、突片状をなしてお
り、前記下段のワイヤー１０を半径方向に受入れる受入
れ溝２５を有している。その受入れ溝２５の奥端部には
その弾性変形を利用して当該ワイヤー１０をはめ込む挟
持孔２６が形成されている。

【０００７】前記バックボード７は、係合部１７の係合
孔２１に当該ワイヤー１０の屈曲部１３を係入し、かつ
挟持部１８の挟持孔２６に当該ワイヤー１０の直線部１
１をはめ込むことによって、シートバックフレーム６に
取り付けられる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】従来のシートバックボ
ード取り付け構造によると、上段のワイヤー１０の屈曲
部１３と係合部１７の係合孔２１との係合によって、シ
ートバックフレーム６に対するバックボード７の位置決
めが果たされている。したがって、上段のワイヤー１０
の直線部１１に位置決めのための屈曲部１３を形成する
ための曲げ加工を加える必要があり、コストが高くつく
という問題が残る。

【０００９】本発明が解決しようとする技術的課題は、
シートバックフレームのワイヤーに位置決めのための曲
げ加工を加える必要がなく、その曲げ加工に係わる工数
を削減してコストダウンを図ることのできるシートバッ
クボード取り付け構造を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決する請求
項１の発明は、シートバックフレームにほぼ水平状に設
けられたワイヤーと、バックボードに設けられて前記ワ
イヤーに係合する係合部とを備えるシートバックボード
取り付け構造であって、前記ワイヤーは直線部の両端に
互いにほぼ平行をなす左右のアーム部を有し、また前記
係合部は前記ワイヤーの直線部に掛止可能でかつそれ自
体の弾性変形を利用してそのワイヤーのアーム部と係合
可能に形成されている。請求項２の発明は、バックボー
ドの係合部にワイヤーのアーム部との摺接により弾性変
形を付与するガイド斜面が設けられていることを特徴と
する請求項１記載のシートバックボード取り付け構造で
ある。

【００１１】

【作用】請求項１のシートバックボード取り付け構造に
よると、バックボードに設けた係合部をシートバックフ
レームにおけるワイヤーの直線部に掛止しかつそれ自体
の弾性変形を利用してそのワイヤーのアーム部に係合す
ることによって、シートバックフレームに対するバック
ボードの取り付けがなされるとともに、バックボードの
位置決めが果たされる。請求項２のシートバックボード
取り付け構造によると、係合部をワイヤーに掛止するに
際し、アーム部にガイド斜面が摺接することによってそ
の係合部が弾性変形させられる。

【００１２】

【実施例】本発明の一実施例について図１〜図５を参照
して説明する。本例は、従来例の一部を変更したもので
あるからその変更部分について詳述し、従来例と同一も
しくは均等構成と考えられる部分に同一符号を付して重
複する説明は省略する。シートバックフレームとバック
ボードを斜視図で示した図１において、シートバックフ
レーム６の上段のワイヤー１０は、他の２本のワイヤー
と同一形状をなしており、直線部１１に従来例の屈曲部
１３が存在していない。一方、バックボード７には、従
来例（図８参照）の係合部１７に代えてフック部３０が
設けられ、同じく挟持部１８に代えて係合部４０が設け
られている。

【００１３】前記フック部３０は、ワイヤー１０の直線
部１１に掛止可能なフック形状をなしており、バックボ
ード７に一体形成されている。このフック部３０は、図
４（ａ）に斜視図で、同（ｂ）に正面図で、同（ｃ）に
側面図で示されている。

【００１４】前記係合部４０について図５を参照して詳
述する。図５は左側の係合部４０を示すもので、（ａ）
は斜視図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は側面図である。な
お右側の係合部４０は、左側の係合部４０と左右対称状
をなすものであるから、同一該当部位に同一符号を付す
ことによりその説明は省略する。また、この係合部４０
がバックボード７の位置決めに係わるもので、従来の係
合部１７を改善したものに相当する。係合部４０は、バ
ックボード７から突出した縦壁４１とその縦壁４１の先
端から側方へＬ字状に突出した前壁４２と、前記縦壁４
１の上端部を側方から支える補強リブ４３とから構成さ
れており、バックボード７に弾性変形可能に一体形成さ
れている。

【００１５】前記縦壁４１には下方に開口するフック溝
４５が形成されており、このフック溝４５により係合部
４０がワイヤー１０の直線部１１に掛止可能となってい
る。また前壁４２には、側方に開口し前記ワイヤー１０
のアーム部１２を横入れ状に係合可能な係合溝４６が形
成されている。

【００１６】更に、前壁４２には、係合溝４６の下側受
入れ端４６ａと前壁４２の基端部下端４２ａをつなぐガ
イド斜面４８が形成されている。このガイド斜面４８
は、係合部４０をワイヤー１０に掛止するに際し、アー
ム部１２に摺接することによってその係合部４０を図５
（ｂ）に二点鎖線で示されるように弾性変形させる。な
お係合部４０の下端からワイヤー１０の係合位置までの
高さＢ（図５（ｂ）参照）と、フック部３０の下端から
ワイヤー１０の係合位置までの高さをＡ（図４（ｃ）参
照）は、Ｂ＝Ａの関係に設定されている。

【００１７】次に、シートバックフレーム６に対するバ
ックボード７の取り付けについて説明する。なおバック
ボード７の取付状態は図２に斜視図で示されまた図３に
断面図で示されている。図１の状態において、バックボ
ード７をシートバックフレーム６の後方の斜め上あたり
からシートバックフレーム６の取付部位に向かって押し
下げるようにする（図３における矢印Ｘ参照）ことによ
り、バックボード７の取り付けがなされる。

【００１８】詳しくは、係合部４０のフック溝４５が下
段のワイヤー１０の直線部１１に掛止されるとともに、
それ自体の弾性変形を利用して係合部４０の係合溝４６
がワイヤー１０のアーム部１２に係合される。更に、前
記係合部４０をワイヤー１０に掛止するに際し、前述し
たようにアーム部１２にガイド斜面４８が摺接すること
による係合部４０の弾性変形によって係合溝４６がアー
ム部１２に特別な操作を要することなく係合させられ
る。なおフック部３０は、前記係合部４０のワイヤー１
０への掛止とともに上段のワイヤー１０の直線部１１に
掛止する。

【００１９】前記したシートバックボード取り付け構造
によると、ワイヤー１０の直線部１１に対する係合部４
０のフック溝４５の係合およびアーム部１２に対する係
合部４０の係合溝４６の係合によってシートバックフレ
ーム６に対しバックボード７が横方向及び縦方向に関し
位置決めされるので、ワイヤー１０の直線部１１に位置
決めのための屈曲部が不要であり曲げ加工を加えなくて
済む。これにより従来必要とした曲げ加工に係わる工数
を削減できひいてはコストダウンが図れる。また、ワイ
ヤー１０に対する係合部４０の掛止操作を利用してその
係合部４０の係合溝４６がアーム部１２に係合するの
で、その係合部４０を弾性変形させるための特別な操作
が不要で、その取り付け作業の省力化が図れる。

【００２０】前記実施例では、シートバックフレーム６
に取り付けられるワイヤー１０を共通化して１種類とし
たことにより、部品点数を削減し部品管理を簡素化する
ことができる。また係合部４０におけるガイド斜面４８
を排除することも可能である。この場合、バックボード
７の取り付けに際しバックボード７の操作により係合部
４０を強制的に弾性変形させることにより係合溝４６を
当該アーム部１２に係合させればよい。

【００２１】またバックボード７に設けたフック部３０
と係合部４０とは、フック部３０を下段のワイヤー１０
に対応させ、また係合部４０を上段のワイヤー１０に対
応させるように上下逆配置とすることも可能である。ま
たフック部３０に代えて係合部４０あるいは従来例にお
ける挟持部１８（図８参照）を採用することも可能であ
り、このフック部３０側の構成は本発明の要旨を左右す
るものではない。

【００２２】

【発明の効果】請求項１のシートバックボード取り付け
構造によると、ワイヤーの直線部およびアーム部に対す
る係合部の係合によってシートバックフレームに対しバ
ックボードが位置決めされるので、ワイヤーの直線部に
対し位置決めのための曲げ加工を加えなくて済み、これ
により従来必要とした曲げ加工に係わる工数を削減し、
コストダウンを実現することができる。請求項２のシー
トバックボード取り付け構造によると、ワイヤーに対す
る係合部の掛止操作を利用してその係合部がアーム部に
係合し得るので、その係合部を弾性変形させるための特
別な操作が不要となり、その取り付け作業の省力化が可
能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例のシートバックフレームとバックボード
を示す斜視図である。

【図２】バックボードの取り付け状態を示す斜視図であ
る。

【図３】同じく側断面図である。

【図４】フック部の説明図である。

【図５】係合部の説明図である。

【図６】自動車用シートの斜視図である。

【図７】シートバックの分解斜視図である。

【図８】従来例のシートバックフレームとバックボード
を示す斜視図である。

【図９】係合部を示す斜視図である。

【符号の説明】

６ シートバックフレーム ７ バックボード １０ ワイヤー １１ 直線部 １２ アーム部 ４０ 係合部 ４８ ガイド斜面

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートバックフレームにほぼ水平状に設
   けられたワイヤーと、バックボードに設けられて前記ワ
   イヤーに係合する係合部とを備えるシートバックボード
   取り付け構造であって、前記ワイヤーは直線部の両端に
   互いにほぼ平行をなす左右のアーム部を有し、また前記
   係合部は前記ワイヤーの直線部に掛止可能でかつそれ自
   体の弾性変形を利用してそのワイヤーのアーム部と係合
   可能に形成されていることを特徴とするシートバックボ
   ード取り付け構造。
2. 【請求項２】 バックボードの係合部にワイヤーのアー
   ム部との摺接により弾性変形を付与するガイド斜面が設
   けられていることを特徴とする請求項１記載のシートバ
   ックボード取り付け構造。