JPH08295871A - 延焼防止被覆用剥離剤 - Google Patents

延焼防止被覆用剥離剤

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JPH08295871A
JPH08295871A JP7222019A JP22201995A JPH08295871A JP H08295871 A JPH08295871 A JP H08295871A JP 7222019 A JP7222019 A JP 7222019A JP 22201995 A JP22201995 A JP 22201995A JP H08295871 A JPH08295871 A JP H08295871A
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JP
Japan
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release agent
prevention coating
benzyl alcohol
spread prevention
mixed solvent
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP7222019A
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English (en)
Inventor
Michitomo Fujita
道朝 藤田
Yoshimi Sato
好美 佐藤
Fumio Aida
二三夫 会田
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SWCC Corp
Original Assignee
Showa Electric Wire and Cable Co
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電線、ケーブルの延焼防止被覆を、施工面の
形態に関係なく、短時間で膨潤軟化させて剥離すること
ができる延焼防止被覆用剥離剤を提供する。 【構成】 本発明の剥離剤は、ベンジルアルコールに対
して 1〜10重量%のNMPを混合した溶剤と、この混合
溶剤の吸収保持材とを配合して成る。また第2の発明の
剥離剤は、前記混合溶剤に保持材と粘着剤(例えばアク
リル系ラテックス)とを配合して成り、第3の発明の剥
離剤は、混合溶剤に保持材と繊維状物質(例えばカイノ
ール、セルロースパウダ)とを配合して成る。さらに第
4の発明の剥離剤は、混合溶剤に前記粘着剤と繊維状物
質とを配合して成る。本発明においては、高分子カップ
リング剤やシリカ微粉末、界面活性剤のような沈降防止
剤を添加することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、延焼防止被覆用剥離剤
に係わり、特に電線、ケーブルの外周に設けられた延焼
防止材の硬化被覆を、シースを損傷することなく効率的
に剥離するための剥離剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、大量の非難燃性ケーブルが布
設されている原子力発電所や火力発電所等の施設におい
ては、水平および垂直トレイ部、ボックス内部等に布設
されたケーブル群の外周に、万一の火災事故の発生に備
えて、エチレン−アクリル酸エステル共重合体(EE
A)やエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)のよう
な熱可塑性樹脂を含む水性エマルジョンをベースとし、
これに有機難燃剤、無機充填剤、不燃性繊維、可塑剤等
を加えた延焼防止材(塗料)を塗布することが行なわれ
ている。塗布された延焼防止材は、時間の経過とともに
乾燥硬化してケーブルシースと密着し、延焼防止効果の
高い被覆が形成される。
【0003】ところで前記した施設においては、近時シ
ステムの変更やケーブルの点検あるいはケーブルの劣化
のため、一度布設したケーブルをラダートレイ等から取
り外し引き換える必要があり、このとき延焼防止被覆を
剥離する必要がある。
【0004】従来から、ケーブル上に設けられた延焼防
止被覆を剥離する方法としては、カッターやハンマーの
ような剥離用工具を用いて機械的に剥ぎ取る方法や、発
泡ポリウレタンや吸水性樹脂等に水を含ませたものをヒ
ーターとともに延焼防止被覆の上に置き、加温して膨潤
軟化させた後竹べら等で剥ぎ取る方法などが行なわれて
いた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前者の機械的
に剥離する方法では、多くの人手と時間がかかるばかり
でなく、剥離すべき延焼防止被覆の厚さがわからないこ
とが多いため、工具の先端でケーブルシース等の表面に
傷をつけてしまうおそれがあった。
【0006】また、後者の水を用い加温して膨潤させる
方法においては、軟化に要する時間が 2〜 3週間と極め
て時間がかかるうえに、延焼防止材の種類によっては十
分に軟化しないものがあり、さらに、施工面が垂直面の
場合には適用できないという問題があった。
【0007】本発明はこのような問題を解決するために
なされたもので、電線、ケーブル上に設けられた延焼防
止被覆を、施工面の形態に関係なく短時間で膨潤軟化さ
せることができる延焼防止被覆用剥離剤を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の延焼防止被覆用
剥離剤は、電線、ケーブル上に設けられた延焼防止被覆
の外周に塗布する剥離剤において、ベンジルアルコール
と、前記ベンジルアルコールに対して 1〜10重量%のN-
メチル -2-ピロリドン(以下、NMPと示す。)とを混
合してなる溶剤と、前記混合溶剤を吸収保持する保持材
とを混合してなることを特徴とする。
【0009】また、本発明の第2の発明の延焼防止被覆
用剥離剤は、電線、ケーブル上に設けられた延焼防止被
覆の外周に塗布する剥離剤において、ベンジルアルコー
ルと、前記ベンジルアルコールに対して 1〜10重量%の
NMPとを混合してなる溶剤と、前記混合溶剤を吸収保
持する保持材と、粘着剤とを混合してなることを特徴と
する。
【0010】さらに、第3の発明の延焼防止被覆用剥離
剤は、電線、ケーブル上に設けられた延焼防止被覆の外
周に塗布する剥離剤において、ベンジルアルコールと、
前記ベンジルアルコールに対して 1〜10重量%のNMP
とを混合してなる溶剤と、前記混合溶剤を吸収保持する
保持材と、繊維状物質とを混合してなることを特徴とす
る。
【0011】またさらに、第4の発明の延焼防止被覆用
剥離剤は、電線、ケーブル上に設けられた延焼防止被覆
の外周に塗布する剥離剤において、ベンジルアルコール
と、前記ベンジルアルコールに対して 1〜10重量%のN
MPとを混合してなる溶剤と、粘着剤と、繊維状物質と
を混合してなることを特徴とする。
【0012】本発明の剥離剤が適用される延焼防止被覆
は、水性エマルジョンをベースに、有機難燃剤、難燃助
剤、無機充填剤、不燃性繊維、可塑剤等を加えた延焼防
止材(塗料)を、電線、ケーブルの外周に塗布し硬化さ
せたものである。ここで、水性エマルジョンとしては、
EVAエマルジョンのような酢酸ビニル系エマルジョン
やEEAエマルジョンのようなアクリル系エマルジョン
等が、有機難燃剤としては、塩素化パラフィン、塩素化
ナフタリン、デカブロモジフェニルオキサイド、ポリリ
ン酸アンモニウム等が、難燃助剤としては、三酸化アン
チモン、ほう酸亜鉛、酸化亜鉛等が、無機充填剤として
は、水酸化アルミニウム(水和アルミナ)、炭酸カルシ
ウム、含水ケイ酸マグネシウム、クレー、チタン白、タ
ルク等が、不燃性繊維としては、アスベスト、セラミッ
ク繊維、フェノール繊維、ガラス繊維等が、可塑剤とし
ては、トリス(β -クロロエチル)ホスフェートのよう
なリン酸エステル、塩素化ビフェニル、フタル酸ジブチ
ル等がそれぞれ挙げられる。
【0013】このような延焼防止材の市販品としては、
例えばフレームコート(当社の商品名)、フレームマス
チック(日立電線株式会社の商品名)、エフコートB
(藤倉電線株式会社の商品名)、ダンネッカ(古河電工
株式会社の商品名)等がある。本発明において、ベンジ
ルアルコールに対するNMPの配合割合を 1〜10重量%
の割合に限定したのは、以下に示す理由による。すなわ
ち、NMPはベンジルアルコールに比べて前記した延焼
防止被覆を膨潤軟化させる力が大きいため、ベンジルア
ルコールにその 1重量%以上のNMPを配合した混合溶
剤によれば、ベンジルアルコールを単独で使用した場合
に比べて大きな膨潤軟化効果が得られる。同時に、NM
PはケーブルのPVCシースに対して悪影響を与えるお
それがあるため、NMPの配合割合が10重量%を越えた
場合には、PVCシースの機械的特性等が低下し実用に
供し得なくなる。より望ましいNMPの配合割合は、ベ
ンジルアルコールに対して 1〜 5重量%の範囲である。
【0014】本発明において、このようなベンジルアル
コールとNMPとの混合溶剤に配合する保持材は、表面
または内部に前記有機溶剤を吸着あるいは吸収保持し、
粘度を増大させるなどの働きにより、必要かつ十分な量
の有機溶剤を延焼防止被覆の所望の部位に安定して付着
させる機能を有するものである。このような保持材とし
ては、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、クレー、アル
ミナのような無機充填剤、アクリル樹脂やPVC等のプ
ラスチック粉末、ゼオライトのような無機多孔質材、発
泡ゴム、発泡プラスチックのような有機多孔質材等があ
る。これらの中でも無機充填剤の使用が好ましく、特に
ハイトロン(竹原化学工業株式会社の商品名)のような
タルクの使用が好ましい。また、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン等のポリオレフィン繊維からなる高機能液体吸
収シート(例えばスリーエム社のオイルソーベント)を
保持材とし、これに溶剤を含浸させて使用することもで
きる。
【0015】このような保持材の配合割合は、タルクの
ような無機充填剤を使用する場合には、前記したベンジ
ルアルコールとNMPとの混合溶剤に対して65〜80重量
%の割合とすることが望ましい。剥離剤を塗布すべき延
焼防止被覆の施工面の形態、すなわち水平面であるか垂
直面であるかによって、保持材の配合割合を変えて剥離
剤の粘度を調整することができるが、前記混合溶剤に対
して80重量%を越えて保持材を配合した場合には、延焼
防止被覆を膨潤軟化させる効果が低くなるという弊害が
ある。なお、後述する沈降防止剤は、剥離剤全体の粘度
を下げる働きをするので、保持材である無機充填剤とと
もに沈降防止剤を配合する場合には、無機充填剤を混合
溶剤に対して90重量%の割合まで配合することができ
る。
【0016】また、保持材としてオイルソーベントのよ
うな高機能液体吸収シートを使用する場合には、このシ
ートの重量の約10倍量の混合溶剤を含浸させた含浸シー
トを、延焼防止被覆の外周に被着するようにする。高機
能液体吸収シートへの混合溶剤の含浸量をシート重量の
約10倍量としたのは、シート重量の10倍を越える量の混
合溶剤を含浸させようとすると、溶剤がシートから滴り
落ちて作業性が悪くなり、また溶剤含浸量をシート重量
の10倍未満とすると、延焼防止被覆上に付着する溶剤量
が不十分となり、延焼防止被覆の内部に効率良く浸透し
ないためである。
【0017】本発明の第2の発明においては、前記した
ベンジルアルコールとNMPとの混合溶剤に対して、無
機充填剤のような保持材とともに粘着剤が配合される。
この粘着剤は、前記混合溶剤が延焼防止被覆に浸透して
吸収された後、残留する保持材等の成分をそれ自体の粘
着力により包み込んで延焼防止被覆の外周に付着させ、
それにより保持材等の飛散を防止する機能を有するもの
である。このような粘着剤としては、粘度 5000cps以上
の高い粘性を有する樹脂ラテックス、例えばアクリル樹
脂系ラテックス(分散液)やEVA系ラテックス、ある
いは前記混合溶剤中に溶解して高い粘性を示す樹脂例え
ばPVC粉体等がある。
【0018】そして粘着剤の配合割合は、保持材ととも
に配合される第2の発明においては、ベンジルアルコー
ルとNMPとの混合溶剤に対して15〜30重量%の割合と
することが望ましい。粘着剤の配合割合が前記混合溶剤
の15重量%未満では、溶剤浸透後の剥離剤の残留成分を
纏めて飛散を防止する効果がやや劣り、また30重量%を
越えた場合には、延焼防止被覆を膨潤軟化させる効果が
低下し、へらで剥離可能となるまでに多少時間を要す
る。
【0019】本発明の第3の発明においては、前記混合
溶剤に対して保持材とともに繊維状物質が配合される。
この繊維状物質は、混合溶剤が延焼防止被覆に浸透吸収
された後の剥離剤の残留成分を、それ自体の繊維により
一塊りに纏めて固まらせることにより飛散を防ぎ、さら
に剥離剤の取り除き作業あるいは廃棄処理作業を容易に
する機能を有するものである。このような繊維状物質と
しては、フェノール樹脂繊維やカーボン繊維、木粉、コ
コナットやし殻粉、コルク粉、セルロースパウダ、木材
パルプ、紙や布の粉等があり、特にフェノール樹脂繊維
であるカイノール(日本カイノール株式会社の商品名)
の使用が望ましい。これらの繊維状物質の中には、いく
分かの増粘作用を有するものもあり、そのような繊維状
物質を配合した場合には、溶剤浸透後の残留成分の付着
保持がより効果的になされ、残留成分の飛散防止効果が
高い。
【0020】そして繊維状物質の配合割合は、保持材と
ともに配合される第3の発明においては、ベンジルアル
コールとNMPとの混合溶剤に対して 4〜 7重量%の割
合とすることが望ましい。繊維状物質の配合割合が前記
混合溶剤の 4重量%未満では、溶剤浸透後の剥離剤の残
留成分を固まりに纏める効果がやや劣り、また 7重量%
を越えた場合には、延焼防止被覆を膨潤軟化させる効果
が低下し、へらで剥離可能となるまでに多少時間を要す
る。
【0021】さらに本発明の第4の発明においては、ベ
ンジルアルコールとNMPとの混合溶剤に対して、塗布
作業性の向上を主目的として、前記粘着剤と繊維状物質
とがそれぞれ配合される。このように混合溶剤に対して
保持材を配合せず、粘着剤と繊維状物質とを併せて配合
する場合には、粘着剤および繊維状物質の配合割合を、
前記混合溶剤に対してそれぞれ25〜35重量%および10〜
20重量%の割合とすることが望ましい。粘着剤の配合割
合が混合溶剤の25重量%未満では、残留成分の飛散を防
止する効果がやや劣り、また35重量%を越えた場合に
は、延焼防止被覆を膨潤軟化させる効果が低くなるばか
りでなく、剥離剤がべたついて塗布しにくくなる。さら
に、繊維状物質の配合割合が混合溶剤の10重量%未満で
は、剥離剤の纏まりが不十分で溶剤の分離が生じやす
く、また20重量%を越えた場合には、剥離剤の粘度が高
くなりすぎて塗布しにくい。
【0022】さらに、本発明の第1から第4の発明にお
いては、保持材や繊維状物質のような固形成分の溶剤中
での分散を促進し沈降を防止するために、沈降防止剤を
添加混合することができる。沈降防止剤としては、シラ
ンカップリング剤、チタンカップリング剤、高分子カッ
プリング剤のようなカップリング剤や、粒径数μm のシ
リカ微粉末、および界面活性剤等がある。また、これら
の沈降防止剤の添加割合は、保持材等の固形分の総量に
対して適宜選択される。
【0023】こうして得られる本発明の剥離剤は、ペー
スト状を呈しており、電線、ケーブル上に設けられた延
焼防止被覆の外周に塗布あるいは被着される。そして、
30時間以上(通常96〜 120時間)放置した後、溶剤の浸
透により膨潤軟化した延焼防止被覆が、剥離剤の塗布層
等とともに木製や竹製のへらを用いて剥離除去される。
ここで、剥離剤を塗布するには、へらやドクターナイフ
等を用い、 0.5〜 1.5cmの厚さになるように塗り付ける
方法が採られる。剥離剤の塗布厚を 0.5〜 1.5cmとした
のは、塗布厚が 0.5cm未満では効果がなく、また 1.5cm
以上の厚さに塗布しても、延焼防止被覆を膨潤させる効
果がそれ以上増大することがないためである。また、剥
離剤塗布後の放置時間を30時間以上としたのは、30時間
未満では、延焼防止被覆の種類によっては膨潤しないも
のがあるためであり、最長放置時間を 120時間程度とし
たのは、それ以上放置しても効果の増大が見られないた
めである。
【0024】本発明の剥離剤の塗布あるいは被着による
効果は、通常約 0.5cmの厚さの延焼防止被覆に対して有
効であるので、延焼防止被覆が厚いところでは、前記し
た一連の操作を 2〜 3回繰り返して被覆を完全に剥離す
るようにする。
【0025】さらに、剥離剤の塗布または被着層の上か
ら、バンドヒータ、赤外線ヒータ、温風機等を用いて40
℃前後に加温することにより、延焼防止被覆への剥離剤
の浸透と膨潤軟化を促進し、さらに剥離効果を上げるこ
とができる。
【0026】またさらに、剥離剤の塗布層等の上に直接
あるいは前記ヒータ等の上に、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリエチレンテレフタレート等のシートやアル
ミニウム箔シートのような液体を透過させないシートを
被せることができる。このように非液体透過性のシート
を被せた場合には、シートにより剥離剤(溶剤成分)の
蒸発揮散が抑えられて効率的に浸透するので、延焼防止
被覆の軟化がさらに促進される。
【0027】
【作用】本発明の剥離剤においては、延焼防止被覆中に
バインダ(結合剤)として含有されているEVAやEE
Aのようなポリマーを膨潤軟化させる作用を有するベン
ジルアルコールと、より大きな膨潤軟化作用を有するN
MPとの混合溶剤が使用されているので、混合溶剤が延
焼防止被覆中に浸透してそれを常温短時間で膨潤させ、
へら等による剥離が容易な程度に軟化させることができ
る。また、NMPの配合量がベンジルアルコールの 1〜
10重量%の割合に限定されているので、ケーブルのPV
Cシースに対して悪影響を与えることが少なく、ケーブ
ルシースの特性が良好に保持される。さらに、これらの
溶剤を表面乃至内部に吸着あるいは吸収保持する保持材
が配合されているので、溶剤の必要かつ十分な量を延焼
防止被覆の所望の部位に安定した状態で付着させること
ができる。
【0028】また、本発明の第2および第3の発明にお
いては、前記混合溶剤に対してその保持材とともに粘着
剤あるいは繊維状物質が配合されているので、溶剤が延
焼防止被覆に浸透し吸収された後、残留成分が前者にお
いては粘着剤の粘着力に包み込まれ、後者においては繊
維状物質により一塊りに纏められ、いずれの場合も保持
材等の残留成分が飛び散ることがない。
【0029】さらに、本発明の第4の発明においては、
混合溶剤に対して粘着剤と繊維状物質がともに配合され
ているので、剥離剤が適度な粘着性を有し塗布作業が容
易であるうえに、溶剤が延焼防止被覆に浸透し吸収され
た後、剥離剤の残留成分が繊維状物質により包み纏めら
れ、さらに粘着剤により繊維状物質の飛散が防止される
ことで、剥離剤等の除去作業が容易となる。
【0030】またさらに、これらの剥離剤に、高分子カ
ップリング剤や界面活性剤のような沈降防止剤をさらに
添加混合した場合には、溶剤中での保持材や繊維状物質
等の固形成分の分散が促進されるので、長期間放置して
も溶剤からの分離沈降が生じず、塗布等の作業性が良好
に保たれる。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0032】実施例1〜5 まずPVCシースケーブル(外径12mm)の外周に、当社
のEVA系フレームコートおよびアクリル系フレームコ
ートをそれぞれ乾燥後の厚さが 1.5mmとなるように塗布
し、乾燥硬化させて延焼防止被覆とした。次に、表1に
示す配合組成の剥離剤をそれぞれ調製し、これらの剥離
剤を、前記したケーブルの延焼防止被覆の外周に約 0.5
cmの厚さに塗布し、表2に示す時間だけ放置した後、各
延焼防止被覆の硬度(初期硬度はEVA系、アクリル系
ともに75)を JIS K6301 Aに準じて測定するとともに、
へらによる剥離試験を行ない、EVA系、アクリル系を
総合して剥離性を評価した。また、延焼防止被覆上に剥
離剤を塗布し30時間経過後のケーブルシース(PVCシ
ース)の伸び残率を、 JIS K6301に準じて測定した。さ
らに、実ケーブルで硬化後10年程経過した延焼防止被覆
の上に剥離剤を塗布し、剥離性を調べた。
【0033】なお、実施例2および5においては、表1
に示す配合組成の混合溶剤をオイルソーベントにそれぞ
れ含浸させ、この含浸シートを剥離剤として前記した延
焼防止被覆の上に被着し、その状態で表2に示す時間だ
け放置した後、延焼防止被覆の硬度と剥離性、PVCシ
ースの伸び残率等を測定した。
【0034】また、比較のために、表1に示す配合組成
で剥離剤をそれぞれ調製し、これらの剥離剤を、実施例
と同様にケーブルの延焼防止被覆上に塗布し、表2に示
す時間だけ放置した後、各延焼防止被覆の硬度と剥離性
およびケーブルシースの伸び残率等を測定した。さらに
比較例5として、水を含浸させた発泡ポリウレタンシー
トを延焼防止被覆の上に載せ、外側からバンドヒータで
40℃に加温しながら表2に示す時間だけ放置した後、延
焼防止被覆の硬度等を測定した。これらの測定結果をそ
れぞれ表2に示す。
【0035】
【表1】
【表2】 表2から明らかなように、ベンジルアルコールにNMP
を 1〜10重量%の割合で配合した混合溶剤に、保持材と
してタルクを配合するか、あるいは前記混合溶剤をオイ
ルソーベントに吸収含浸させた剥離剤を使用した場合に
は、EVA系およびアクリル系の延焼防止被覆の硬度は
それぞれ短時間で10〜20に低下し、竹べら等で容易に剥
ぎ取ることができる。また、実施例の剥離剤はいずれ
も、ケーブルのPVCシースの特性をほとんど低下させ
ない。
【0036】これに対して、ベンジルアルコールを単独
であるいはこれにNMPを 1重量%未満の割合で配合し
た溶剤を含む比較例1および2の剥離剤を使用した場合
には、長時間放置しても、長期間(10年程)使用した延
焼防止被覆を剥離することができない。また、ベンジル
アルコールにNMPを10重量%を越える割合で配合し、
あるいはNMPを単独で用いた比較例3および4の剥離
剤を使用した場合には、ケーブルシースの機械的特性が
著しく低下する。さらに、水を含浸させた発泡体シート
を用いる比較例5では、延焼防止被覆の硬度を剥離可能
な硬度まで低下させるのに極めて長い時間がかかり、実
際上剥離が不可能である。
【0037】実施例6〜8 表3に示す配合組成の剥離剤を、以下に示すようにして
調製した。すなわち、ベンジルアルコールとNMPとを
混合してなる混合溶剤 100重量部に、粘着剤であるポリ
トロン(旭化成株式会社のアクリル系ラテックスの商品
名)と、沈降防止剤として界面活性剤であるNewcol(日
本乳化剤株式会社の商品名)とを、それぞれ表3に示す
割合で添加して良く撹拌した後、これにタルク70重量部
を加えて混合し剥離剤とした。
【0038】また、比較のために、アクリル系ラテック
スおよび界面活性剤を除く各成分を同表に示す配合組成
で混合して剥離剤を調製し、比較例6とした。次いで、
実施例6〜8および比較例6でそれぞれ得られた剥離剤
を、前記実施例1〜5と同様にケーブルのアクリル系延
焼防止被覆の外周に 1.0cmの厚さに塗布し、塗布層の上
にポリエチレンシートを被せて 120時間放置した後、延
焼防止被覆の硬度を測定するとともに、剥離試験を行な
い剥離性を評価した。また、 120時間放置後ケーブル外
周に残った剥離剤からのタルクの飛散の有無と、剥離剤
のままで約 1ケ月間放置した後、溶剤とタルクとの分離
の有無をそれぞれ調べた。これらの測定結果を表3に示
す。
【0039】
【表3】 表3から明らかなように、実施例6〜8では、ベンジル
アルコールにNMPを1〜10重量%の割合で配合した混
合溶剤に、保持材としてタルクを配合し、さらに粘着剤
としてアクリル系ラテックスを配合したので、ケーブル
の延焼防止被覆を、規定の放置時間(96〜 120時間)で
剥離可能な程度まで膨潤軟化させることができ、かつ混
合溶剤が延焼防止被覆に浸透吸収された後、タルクの飛
散がほとんど見られない。また、実施例6〜8には、界
面活性剤が適量配合されているので、この剥離剤を約 1
ケ月間放置した後もタルクが溶剤から分離して沈降する
ことがない。
【0040】これに対して、アクリル系ラテックスと界
面活性剤が全く配合されていない比較例6の剥離剤を使
用した場合には、混合溶剤が浸透吸収された後タルクの
飛散が見られ、また剥離剤をそのまま約 1ケ月間放置し
た場合には、タルクが溶剤から分離して沈降する。
【0041】実施例9〜11 ベンジルアルコールとNMPとからなる混合溶剤に、保
持材としてタルクと繊維状物質であるカイノール、およ
び沈降防止剤としてシリカ微粉末を、それぞれ表4に示
す配合組成で前述の実施例と同様に調製し、実施例9〜
11とした。
【0042】また比較のために、繊維状物質および沈降
防止剤を除く各成分を、同表に示す配合組成で混合して
剥離剤を調製し、比較例7とした。次いで、実施例9〜
11および比較例7でそれぞれ得られた剥離剤を、実施
例1〜5と同様にケーブルのアクリル系延焼防止被覆の
外周に 1.0cmの厚さに塗布し、塗布層の上にポリエチレ
ンシートを被せて同表に示す時間放置した後、延焼防止
被覆の硬度を測定するとともに、剥離試験を行ない剥離
性を評価した。また、表4に示す時間放置後ケーブル外
周に残った剥離剤からのタルクの飛散の有無と、剥離剤
のままで約 1ケ月間放置した後、溶剤とタルクとの分離
の有無をそれぞれ調べた。さらに、剥離剤の塗布作業性
(塗布し易さ)と、ケーブル外周から取り除いた剥離剤
の後始末のし易さをそれぞれ調べた。これらの測定結果
を表4に示す。
【0043】
【表4】 表4から明らかなように、実施例9〜11は、ベンジル
アルコールにNMPを1〜10重量%の割合で配合した混
合溶剤に、保持材としてタルクを配合し、さらに繊維状
物質(カイノール)を配合したので、適当な放置時間
で、ケーブルの延焼防止被覆を剥離可能な程度まで膨潤
軟化させることができ、かつ混合溶剤が浸透吸収された
後、残留成分が繊維状物質により一塊りに纏まり、タル
クの飛散が見られない。また、このとき剥離剤が纏まっ
て剥がせるので、廃棄物の後始末が容易である。さら
に、実施例9の剥離剤では、シリカ微粉末が適量配合さ
れているので、約 1ケ月間放置した後もタルクが溶剤か
ら分離して沈降することがない。 これに対して、混合
溶剤にカイノールが配合されずタルクのみが配合された
比較例7の剥離剤では、混合溶剤が浸透吸収された後タ
ルクの飛散が見られるばかりでなく、剥離剤の後始末が
容易でない。また、剥離剤をそのまま約 1ケ月間放置す
ると、タルクの溶剤からの分離沈降が見られる。
【0044】実施例12〜16 表5に示す配合組成の剥離剤を、以下に示すようにして
調製した。すなわち、ベンジルアルコールとNMPとを
混合してなる混合溶剤 100重量部に、粘着剤であるポリ
トロンとポリゾール(昭和高分子社のEVA系ラテック
スの商品名)および界面活性剤であるNewcolを、それぞ
れ表5に示す割合で加えて良く撹拌した後、これにKC
フロック(日本製紙株式会社のセルロースパウダの商品
名)を加えて混合し剥離剤とした。
【0045】また、比較のために、混合溶剤に粘着剤ま
たはセルロースパウダを同表に示す配合組成で混合し、
剥離剤を調製した。次いで、実施例12〜16および比
較例8〜11でそれぞれ得られた剥離剤を、実施例1〜
5と同様にケーブルのアクリル系延焼防止被覆の外周に
1.0cmの厚さに塗布し、 120時間放置した後、延焼防止
被覆の硬度を測定するとともに、剥離試験を行ない剥離
性を評価した。また、剥離剤の塗布作業性(塗布し易
さ)と、剥離剤のままで約 2週間放置した後の溶剤と他
の成分との分離の有無をそれぞれ調べた。これらの測定
結果を表5に示す。
【表5】 表5から明らかなように、ベンジルアルコールにNMP
を 1〜10重量%の割合で配合した混合溶剤に、粘着剤と
してアクリル系およびEVA系のラテックスを配合し、
さらに繊維状物質(セルロースパウダ)を配合した実施
例12〜16の剥離剤は、ケーブルの延焼防止被覆を、
規定の放置時間(96〜 120時間)で剥離可能な程度まで
膨潤軟化させることができるうえに、適度な粘着性(粘
度)を有し塗布作業性が良好である。また、約 2週間放
置した後も溶剤と配合成分との分離が見られず、保存性
が良好である。
【0046】これに対して、混合溶剤に粘着剤と繊維状
物質のどちらか一方のみを配合した比較例8〜11の剥
離剤においては、ベタつきやパサつきがあり塗布作業が
難しいうえに、剥離剤をそのまま約 2週間放置した場合
に溶剤と配合成分との分離が見られるものがある。
【0047】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の剥離剤によれば、延焼防止被覆の所望の部位のみに剥
離剤を塗布し、短時間で膨潤軟化させて容易に剥離を行
うことができ、ケーブルシースに傷を付けるおそれがな
い。また、室温で十分な剥離効果を有するうえに、ケー
ブルシースの特性を低下させることがない。
【0048】また、本発明の第2乃至第4の発明の剥離
剤によれば、溶剤が延焼防止被覆に浸透し吸収された
後、粘着剤あるいは繊維状物質により、残留成分の飛散
が防止されそして纏められるので、延焼防止被覆および
剥離剤の除去作業が容易であり、作業環境が良好に保た
れる。また、剥離剤除去後の廃棄処理作業も容易であ
る。
【0049】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電線、ケーブル上に設けられた延焼防止
    被覆の外周に塗布する剥離剤において、 ベンジルアルコールと、前記ベンジルアルコールに対し
    て 1〜10重量%のN-メチル -2-ピロリドンとを混合して
    なる溶剤と、前記混合溶剤を吸収保持する保持材とを混
    合してなることを特徴とする延焼防止被覆用剥離剤。
  2. 【請求項2】 電線、ケーブル上に設けられた延焼防止
    被覆の外周に塗布する剥離剤において、 ベンジルアルコールと、前記ベンジルアルコールに対し
    て 1〜10重量%のN-メチル -2-ピロリドンとを混合して
    なる溶剤と、前記混合溶剤を吸収保持する保持材と、粘
    着剤とを混合してなることを特徴とする延焼防止被覆用
    剥離剤。
  3. 【請求項3】 電線、ケーブル上に設けられた延焼防止
    被覆の外周に塗布する剥離剤において、 ベンジルアルコールと、前記ベンジルアルコールに対し
    て 1〜10重量%のN-メチル -2-ピロリドンとを混合して
    なる溶剤と、前記混合溶剤を吸収保持する保持材と、繊
    維状物質とを混合してなることを特徴とする延焼防止被
    覆用剥離剤。
  4. 【請求項4】 電線、ケーブル上に設けられた延焼防止
    被覆の外周に塗布する剥離剤において、 ベンジルアルコールと、前記ベンジルアルコールに対し
    て 1〜10重量%のN-メチル -2-ピロリドンとを混合して
    なる溶剤と、粘着剤と、繊維状物質とを混合してなるこ
    とを特徴とする延焼防止被覆用剥離剤。
  5. 【請求項5】 沈降防止剤を添加混合してなることを特
    徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の延焼防止
    被覆用剥離剤。
  6. 【請求項6】 非液体透過性のシートが外側に被せられ
    た状態で、前記延焼防止被覆の外周に塗布されることを
    特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の延焼防
    止被覆用剥離剤。
JP7222019A 1995-03-02 1995-08-30 延焼防止被覆用剥離剤 Withdrawn JPH08295871A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2018179925A1 (ja) * 2017-03-28 2020-02-13 株式会社ネオス 塗膜剥離組成物及び塗膜の剥離方法

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