JPH08176478A - 延焼防止被覆用剥離剤 - Google Patents

延焼防止被覆用剥離剤

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JPH08176478A
JPH08176478A JP7222018A JP22201895A JPH08176478A JP H08176478 A JPH08176478 A JP H08176478A JP 7222018 A JP7222018 A JP 7222018A JP 22201895 A JP22201895 A JP 22201895A JP H08176478 A JPH08176478 A JP H08176478A
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JP
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organic solvent
fire
release agent
spread prevention
fire spread
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JP7222018A
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Yoshimi Sato
好美 佐藤
Michitomo Fujita
道朝 藤田
Fumio Aida
二三夫 会田
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Showa Electric Wire and Cable Co
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電線、ケーブルの延焼防止被覆を、施工面の
形態に関係なく、短時間で膨潤軟化させて剥離すること
ができる延焼防止被覆用剥離剤を提供する。 【構成】 本発明の剥離剤は、SP値が 8〜13の有機溶剤
にこの溶剤の吸収保持材を配合し、溶剤が延焼防止被覆
上に安定的に付着されるようにしたものである。有機溶
剤としては、DMSO、NMP、ベンジルアルコール等
を使用することができる。また第2の発明の剥離剤は、
前記有機溶剤に保持材と粘着剤(例えばアクリル系ラテ
ックス)とを配合して成り、第3の発明の剥離剤は、有
機溶剤に保持材と繊維状物質(例えばカイノール、セル
ロースパウダ)とを配合して成る。さらに第4の発明の
剥離剤は、有機溶剤に前記粘着剤と繊維状物質とを配合
して成る。本発明においては、高分子カップリング剤や
シリカ微粉末、界面活性剤のような沈降防止剤を添加す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、延焼防止被覆用剥離剤
に係わり、特に電線、ケーブルの外周に設けられた延焼
防止材の硬化被覆を、シースを損傷することなく効率的
に剥離するための剥離剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、大量の非難燃性ケーブルが布
設されている原子力発電所や火力発電所等の施設におい
ては、水平および垂直トレイ部、ボックス内部等に布設
されたケーブル群の外周に、万一の火災事故の発生に備
えて、エチレン−アクリル酸エステル共重合体(EE
A)やエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)のよう
な熱可塑性樹脂を含む水性エマルジョンをベースとし、
これに有機難燃剤、無機充填剤、不燃性繊維、可塑剤等
を加えた延焼防止材(塗料)を塗布することが行なわれ
ている。塗布された延焼防止材は、時間の経過とともに
乾燥硬化してケーブルシースと密着し、延焼防止効果の
高い被覆が形成される。
【0003】ところで前記した施設においては、近時シ
ステムの変更やケーブルの点検あるいはケーブルの劣化
のため、一度布設したケーブルをラダートレイ等から取
り外し引き換える必要があり、このとき延焼防止被覆を
剥離する必要がある。
【0004】従来から、ケーブル上に設けられた延焼防
止被覆を剥離する方法としては、カッターやハンマーの
ような剥離用工具を用いて機械的に剥ぎ取る方法や、発
泡ポリウレタンや吸水性樹脂等に水を含ませたものをヒ
ーターとともに延焼防止被覆の上に置き、加温して膨潤
軟化させた後竹べら等で剥ぎ取る方法などが行なわれて
いた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前者の機械的
に剥離する方法では、多くの人手と時間がかかるばかり
でなく、剥離すべき延焼防止被覆の厚さがわからないこ
とが多いため、工具の先端でケーブルシース等の表面に
傷をつけてしまうおそれがあった。
【0006】また、後者の水を用い加温して膨潤させる
方法においては、軟化に要する時間が 2〜 3週間と極め
て時間がかかるうえに、延焼防止材の種類によっては十
分に軟化しないものがあり、さらに、施工面が垂直面の
場合には適用できないという問題があった。
【0007】本発明はこのような問題を解決するために
なされたもので、電線、ケーブル上に設けられた延焼防
止被覆を、施工面の形態に関係なく短時間で膨潤軟化さ
せることができる延焼防止被覆用剥離剤を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の延焼防止被覆用
剥離剤は、電線、ケーブル上に設けられた延焼防止被覆
の外周に塗布する剥離剤において、溶解度パラメータ
(以下、SP値と示す。)が 8〜13の有機溶剤と、前記有
機溶剤を吸収保持する保持材とを混合してなることを特
徴とする。
【0009】また、本発明の第2の発明の延焼防止被覆
用剥離剤は、電線、ケーブル上に設けられた延焼防止被
覆の外周に塗布する剥離剤において、SP値が 8〜13の有
機溶剤と、前記有機溶剤を吸収保持する保持材と、粘着
剤とを混合してなることを特徴とする。
【0010】さらに、第3の発明の延焼防止被覆用剥離
剤は、電線、ケーブル上に設けられた延焼防止被覆の外
周に塗布する剥離剤において、SP値が 8〜13の有機溶剤
と、前記有機溶剤を吸収保持する保持材と、繊維状物質
とを混合してなることを特徴とする。
【0011】またさらに、第4の発明の延焼防止被覆用
剥離剤は、電線、ケーブル上に設けられた延焼防止被覆
の外周に塗布する剥離剤において、SP値が 8〜13の有機
溶剤と、粘着剤と、繊維状物質とを混合してなることを
特徴とする。
【0012】本発明の剥離剤が適用される延焼防止被覆
は、水性エマルジョンをベースに、有機難燃剤、難燃助
剤、無機充填剤、不燃性繊維、可塑剤等を加えた延焼防
止材(塗料)を、電線、ケーブルの外周に塗布し硬化さ
せたものである。ここで、水性エマルジョンとしては、
EVAエマルジョンのような酢酸ビニル系エマルジョン
やEEAエマルジョンのようなアクリル系エマルジョン
等が、有機難燃剤としては、塩素化パラフィン、塩素化
ナフタリン、デカブロモジフェニルオキサイド、ポリリ
ン酸アンモニウム等が、難燃助剤としては、三酸化アン
チモン、ほう酸亜鉛、酸化亜鉛等が、無機充填剤として
は、水酸化アルミニウム(水和アルミナ)、炭酸カルシ
ウム、含水ケイ酸マグネシウム、クレー、チタン白、タ
ルク等が、不燃性繊維としては、アスベスト、セラミッ
ク繊維、フェノール繊維、ガラス繊維等が、可塑剤とし
ては、トリス(β -クロロエチル)ホスフェートのよう
なリン酸エステル、塩素化ビフェニル、フタル酸ジブチ
ル等がそれぞれ挙げられる。
【0013】このような延焼防止材の市販品としては、
例えばフレームコート(当社の商品名)、フレームマス
チック(日立電線株式会社の商品名)、エフコートB
(藤倉電線株式会社の商品名)、ダンネッカ(古河電工
株式会社の商品名)等がある。本発明において、剥離剤
の主成分である有機溶剤のSP値を 8〜13の範囲に限定し
たのは、以下に示す理由による。すなわち、ポリマーは
それ自体のSP値と等しいSP値を有する溶剤中に浸漬され
たとき、最大の平衡膨潤率を示し、このことを利用して
ポリマーのSP値が実際に求められる。そして、前記した
酢酸ビニル系とアクリル系の各エマルジョンを含む延焼
防止材(フレームコート)の被覆硬化体を、いろいろな
SP値を有する有機溶剤中に24時間浸漬し、浸漬後の重量
変化をそれぞれ測定したところ、図1に示す測定結果が
得られた。
【0014】このグラフから明らかなように、酢酸ビニ
ル系の延焼防止被覆では、SP値が11〜13の有機溶剤に浸
漬した場合に重量変化(膨潤)を示し、アクリル系の延
焼防止被覆では、SP値が 8〜12の有機溶剤に浸漬した場
合に著しく膨潤する。このように、酢酸ビニル系あるい
はアクリル系に代表される延焼防止被覆は、配合された
ポリマーのSP値により若干の違いはあるが、 8〜13のSP
値を有する有機溶剤により、剥離に十分な程度に膨潤し
軟化する。特に、SP値が 9〜12の有機溶剤は両方のタイ
プの延焼防止被覆に有効に用いることができる。なお、
SP値は、ポリマー間の水素結合項を考慮にいれた Okitu
式の値を用いるものとする。
【0015】本発明に使用するSP値が 8〜13の有機溶剤
としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)(SP値 =
12.6)、2-ピロリドン、N-メチル -2-ピロリドン(NM
P)(SP値 =11.2)、アニソール(SP値 = 9.8)、ベン
ジルアルコール(SP値 =12.2)、N-N-ジメチルホルムア
ミド(DMF)(SP値 = 9.5)、N-N-ジメチルアセトア
ミド(DMAC)(SP値 =12.3)、N-メチルプロピオン
アミド(SP値 =12.1)、ピロール(SP値 = 9.4)等が挙
げられる。
【0016】本発明において、このような有機溶剤に配
合する保持材は、表面または内部に前記有機溶剤を吸着
あるいは吸収保持し、粘度を増大させるなどの働きによ
り、必要かつ十分な量の有機溶剤を延焼防止被覆の所望
の部位に安定して付着させる機能を有するものである。
このような保持材としては、炭酸カルシウム、シリカ、
タルク、クレー、アルミナ、のような無機充填剤、粉末
ゴム、アクリル樹脂やPVC等のプラスチック粉末、ゼ
オライトのような無機多孔質材、発泡ゴム、発泡プラス
チックのような有機多孔質材、あるいはカルボキシメチ
ルセルロースナトリウム(CMC)のような水溶性セル
ロースエーテルや、アクリル酸ナトリウム系、界面活性
剤系、アクリル系等の増粘剤を使用することができる。
【0017】さらに本発明の剥離剤では、フェルト、不
織布のような繊維布からなるシートあるいはテープを使
用することもできる。すなわち、延焼防止被覆上に塗布
された前記有機溶剤を主体とする剥離剤をこのような吸
収保持性のシートまたはテープで覆うか、あるいはこの
ようなシートまたはテープ上に予め剥離剤を塗布したも
ので延焼防止被覆を覆うことで、剥離剤中の溶剤成分を
長時間良好に保持し効果的に浸透させることができる。
【0018】本発明において、このような保持材の配合
割合は、ゼオライトのような無機多孔質材の場合は、無
機多孔質材に対して10〜30重量%の有機溶剤が吸着され
るような割合とする。また、保持材として無機充填剤を
用いる場合その配合割合は、第1の発明においては、前
記有機溶剤に対して 100〜 300重量%の割合とすること
が望ましい。第1から第4のいずれの発明においても、
剥離剤を塗布すべき延焼防止被覆の施工面の形態、すな
わち水平面であるか垂直面であるかによって保持材の配
合割合を変え、剥離剤の粘度を調整することができる
が、有機溶剤に対して上限の配合割合を越えて配合した
場合には、剥離剤の延焼防止被覆を膨潤軟化させる効果
がやや劣る。なお、後述する沈降防止剤は、剥離剤全体
の粘度を下げる働きをするので、沈降防止剤を配合する
場合には、保持材や後述する粘着剤あるいは繊維状物質
の配合量を増やすことができる。
【0019】また、本発明においては、有機溶剤とこの
ような保持材等からなる剥離剤組成物全体に対して、 5
〜50重量%の割合で水を添加し、難燃性乃至低引火性を
付与することもできる。さらに、保持材としてCMC等
の増粘剤を使用する場合には、前記有機溶剤に対して10
〜50重量%の水をともに配合するものとし、かつ水の重
量に対して 1〜 5重量%の増粘剤を配合し、 2〜 5Pa・
sの粘度を有するようにすることが望ましい。これら各
成分の配合においては、有機溶剤に水を加えて混合した
ものに増粘剤を添加しても良いが、まず水と増粘剤とを
混合して濃いゲル状溶液を調製した後、これに有機溶剤
を加えて撹拌混合するようにしても良い。またさらに、
保持材としてアクリル樹脂やPVCのようなプラスチッ
ク粉末を使用する場合には、有機溶剤に対して10〜30重
量%の割合で配合することが好ましい。このとき剥離剤
は 0.7〜 1.2Pa・ sと比較的低い粘度を示すが、これに
さらにCMCのような増粘剤を 1〜 2重量%の割合で添
加し、粘度を上げることも可能である。
【0020】本発明に使用する粘着剤は、前記有機溶剤
が延焼防止被覆に浸透して吸収された後、残留する保持
材等の成分をそれ自体の粘着力により包み込んで延焼防
止被覆の外周に付着させ、それにより保持材等の飛散を
防止する機能を有するものである。このような粘着剤と
しては、粘度 5000cps以上の高い粘性を有する樹脂ラテ
ックス、例えばアクリル樹脂系ラテックス(分散液)や
EVA系ラテックス、あるいは前記混合溶剤中に溶解し
て高い粘性を示す樹脂例えばPVC粉体等がある。
【0021】また、繊維状物質は、有機溶剤が延焼防止
被覆に浸透吸収された後の剥離剤の残留成分を、それ自
体の繊維により一塊りに纏めて固まらせることにより飛
散を防ぎ、さらに剥離剤の取り除き作業あるいは廃棄処
理作業を容易にする働きをするものである。このような
繊維状物質としては、フェノール樹脂繊維やカーボン繊
維、木粉、ココナットやし殻粉、コルク粉、セルロース
パウダ、木材パルプ、紙や布の粉等があり、特にフェノ
ール樹脂繊維であるカイノール(日本カイノール株式会
社の商品名)の使用が望ましい。これらの繊維状物質の
中には、いく分かの増粘作用を有するものもあり、その
ような繊維状物質を配合した場合には、溶剤浸透後の残
留成分の付着保持がより効果的になされ、残留成分の飛
散防止効果が高い。
【0022】さらに本発明の第4の発明においては、前
記有機溶剤に対して、前記粘着剤と繊維状物質とがそれ
ぞれ配合される。このようにSP値が 8〜13の有機溶剤に
対して保持材を配合せず、粘着剤と繊維状物質とを併せ
て配合した剥離剤は、特に塗布作業性に優れ、各種形態
を有する延焼防止被覆の施工面に良好に塗布することが
できる。
【0023】さらに本発明において、保持材や繊維状物
質などの固形成分を有機溶剤中に配合する場合には、溶
剤中での分散を促進し沈降を防止する機能を有する沈降
防止剤を添加混合することができる。沈降防止剤として
は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高
分子カップリング剤のようなカップリング剤や、粒径数
μm のシリカ微粉末、および界面活性剤等がある。これ
らの沈降防止剤の添加割合は、保持材等の固形分の総量
に対して適宜選択される。
【0024】以上の各成分を撹拌混合することにより、
ペースト状を呈した本発明の剥離剤が得られる。均一に
混合するには、万能撹拌機を用いることが望ましい。こ
うして得られる剥離剤は、電線、ケーブル上に設けられ
た延焼防止被覆の外周に塗布あるいは被着されて20〜30
時間放置され、その後有機溶剤の浸透により膨潤軟化し
た延焼防止被覆が、剥離剤の塗布層等とともに木製や竹
製のへらを用いて剥離除去される。ここで、剥離剤を塗
布するには、へらやドクターナイフ等を用い、0.5〜 1.
5cmの厚さになるように塗り付ける方法が採られる。剥
離剤の塗布厚を0.5〜 1.5cmとしたのは、塗布厚が 0.5c
m未満では効果が少なく、また 1.5cm以上の厚さに塗布
しても、延焼防止被覆を膨潤させる効果がそれ以上増大
することがないためである。また、剥離剤塗布後の放置
時間を20〜30時間としたのは、20時間未満では、延焼防
止被覆の種類によっては膨潤しないものがあり、反対に
30時間以上放置しても膨潤効果の増大が見られないため
である。
【0025】本発明の剥離剤の塗布(塗布厚 0.5〜 1.5
cm)による効果は、 1mm〜 1.5cmの厚さの延焼防止被覆
に対して有効であるので、延焼防止被覆が厚いところで
は、前記した一連の操作を 2〜 3回繰り返して被覆を完
全に剥離するようにする。さらに、保持材としてゼオラ
イトのような無機多孔質材を用いる場合は、剥離剤の塗
布層の上に、水を含浸させたゴム、プラスチック発泡体
のシート等を置き、延焼防止被覆への有機溶剤の浸透と
膨潤を促進させることができる。
【0026】さらに、剥離剤の塗布または被着層の上か
ら、バンドヒータ、赤外線ヒータ、温風機等を用いて直
接加温し、あるいは塗布層の上に水を含浸させた発泡体
シート等を配置した上から加温して約30℃の温度を保つ
ことにより、延焼防止被覆への有機溶剤の浸透と膨潤軟
化を促進し、さらに剥離効果を上げることができる。ま
たさらに、剥離剤の塗布層等の上に直接あるいは前記ヒ
ータ等の上に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエ
チレンテレフタレート等のシートやアルミニウム箔シー
トのような液体を透過させないシートを被せることがで
きる。このように非液体透過性のシートを被せた場合に
は、シートにより剥離剤(溶剤成分)の蒸発揮散が抑え
られて効率的に浸透するので、延焼防止被覆の膨潤軟化
がさらに促進される。
【0027】
【作用】本発明の剥離剤においては、延焼防止被覆中に
バインダ(結合剤)として含有されているポリマー(E
VAやEEA)のSP値と近似したSP値( 8〜13)を有す
る有機溶剤が使用されているので、溶剤が延焼防止被覆
中に浸透してそれを常温短時間で膨潤させ、へら等によ
る剥離が容易な程度に軟化させることができる。また、
これらの有機溶剤を表面乃至内部に吸着あるいは吸収保
持する保持材が配合され、粘度が適度に増大されている
ので、溶剤の必要かつ十分な量を延焼防止被覆の所望の
部位に安定した状態で付着させることができる。
【0028】また、本発明の第2および第3の発明にお
いては、前記有機溶剤に対して保持材とともに粘着剤あ
るいは繊維状物質が配合されているので、溶剤が延焼防
止被覆に浸透し吸収された後、残留成分が前者において
は粘着剤の粘着力に包み込まれ、後者においては繊維状
物質により一塊りに纏められ、いずれの場合も保持材等
の残留成分の飛散が防止される。
【0029】さらに、本発明の第4の発明においては、
有機溶剤に粘着剤と繊維状物質がともに配合されている
ので、剥離剤が適度な粘着性を有し塗布作業が容易であ
るうえに、溶剤が延焼防止被覆に浸透し吸収された後、
剥離剤の残留成分が繊維状物質により包み纏められ、さ
らに粘着剤により繊維状物質の飛散が防止されること
で、剥離剤等の除去作業が容易となる。
【0030】またさらに、これらの剥離剤に、高分子カ
ップリング剤や界面活性剤のような沈降防止剤をさらに
添加混合した場合には、溶剤中での保持材や繊維状物質
等の固形成分の分散が促進されるので、長期間放置して
も溶剤からの分離沈降が生じず、塗布等の作業性が良好
に保たれる。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0032】実施例1〜6 まずPVCシースケーブル(外径12mm)の外周に、当社
のEVA系フレームコートを乾燥後の厚さが 1.5mmとな
るように塗布し、乾燥硬化させて延焼防止被覆とした。
次に、表1に示す配合組成の6種類の剥離剤A、B、
C、D、E、Fをそれぞれ調製し、これらの剥離剤を、
前記したケーブルの延焼防止被覆の外周に1cmの厚さに
塗布し、表2に示す時間だけ放置した後、延焼防止被覆
の硬度(初期硬度は75)を JIS K6301 Aに準じて測定し
た。なお、実施例6においては、剥離剤Fの塗布層の上
に水を含浸させた発泡ポリウレタンシートを載せ、その
状態で25時間放置した後、延焼防止被覆の硬度を測定し
た。
【0033】また、比較のために、水を含浸させた発泡
ポリウレタンシートを延焼防止被覆の上に直接載せ(比
較例1)、あるいは発泡ポリウレタンシートの外側から
さらにバンドヒーター等で60℃まで暖め(比較例2)、
その状態で表2に示す時間だけそれぞれ放置した後、延
焼防止被覆の硬度を測定した。さらに、比較例3および
4として、表1に示す組成の剥離剤GおよびHを実施例
1〜6と同様に延焼防止被覆の外周に塗布し、表2に示
す時間だけ放置した後、延焼防止被覆の硬度をそれぞれ
測定した。
【0034】さらに、これらの実施例1〜6および比較
例1〜4において、垂直トレイ(施工面)に適用するこ
とができるかどうかを検討した。
【0035】これらの測定結果および垂直トレイへの適
用の可否を、それぞれ表2下欄に示す。
【0036】
【表1】
【表2】 表2から明らかなように、 8〜13のSP値を有する有機溶
剤に、タルクやゼオライトのような保持材が配合された
剥離剤を塗布した場合には、18〜26時間と短時間で、延
焼防止被覆の硬度が竹べら等で剥ぎ取ることができるよ
うな硬度(20〜30)に低下している。また、実施例で使
用した剥離剤A〜Fは、いずれも十分大きな粘度を有し
ており、延焼防止被覆の外周に塗布する態様を採る場合
には、垂直トレイ(施工面)に良好に適用することがで
きる。
【0037】これに対して、水を含浸させた発泡体を用
いる比較例1および2では、延焼防止被覆の硬度を剥離
可能な硬度まで低下させるのに極めて長い時間がかかる
ばかりでなく、垂直トレイへの適用が不可能である。さ
らに、 8〜13のSP値を外れた有機溶剤を含む剥離剤を使
用した比較例3および4においては、垂直トレイへの適
用は可能であるが、延焼防止被覆の硬度を剥離可能な硬
度まで低下させるのに長い時間がかかる。
【0038】実施例7〜10 表3に示す配合組成の4種類の剥離剤I、J、K、Lを
それぞれ調製し、これらの剥離剤を、前記実施例と同様
にケーブルの延焼防止被覆の外周に 1cmの厚さに塗布
し、表4に示す時間だけ放置した後、延焼防止被覆の硬
度(初期硬度は75)を測定した。また比較のために、表
3に示す組成の剥離剤M、NおよびO(それぞれ表1の
A、FおよびEと同一組成である。)を実施例と同様に
延焼防止被覆の外周に塗布し、それぞれ表4に示す時間
放置した後、延焼防止被覆の硬度を測定した。
【0039】さらに、実施例7〜10および比較例5〜
7で使用した剥離剤について、延焼防止被覆の外周に塗
布し所定時間放置した後、残留物からのタルク等の粉体
の飛散の有無と、剥離剤のままで約 1ケ月間放置した後
の溶剤と他の成分との分離の有無を、それぞれ調べた。
さらに、ケーブル外周からの剥離剤の除去および取り除
いた剥離剤の後始末のし易さを調べた。これらの測定結
果を表4に示す。
【0040】
【表3】
【表4】 表4から明らかなように、 8〜13のSP値を有する有機溶
剤に、保持材としてタルクを配合し、さらに粘着剤であ
るアクリル系ラテックスと繊維状物であるカイノールの
どちらか一方または両方の成分を配合した実施例7〜1
0の剥離剤を塗布した場合には、20〜26時間と短時間
で、延焼防止被覆の硬度が竹べら等で剥ぎ取ることがで
きるような硬度(20以下)に低下するうえに、溶剤が浸
透吸収された後(乾燥時)にタルク等の粉体が飛散する
ことがなく、剥離剤の除去および後始末が容易である。
また、実施例7〜9の剥離剤では、沈降防止剤である界
面活性剤が配合されているので、約 1ケ月間放置しても
タルクが溶剤から分離して沈降することがない。
【0041】これに対して、アクリル系ラテックスとカ
イノールとのいずれもが配合されていない比較例5〜7
の剥離剤を使用した場合には、溶剤が浸透吸収された後
に粉体の飛散が見られるばかりでなく、剥離剤をそのま
ま 1ケ月間放置した後配合成分の溶剤からの分離が認め
られ、さらにケーブル外周に塗布した後の剥離剤全体の
纏まりが不十分で除去および後始末がしにくい。
【0042】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の剥離剤によれば、延焼防止被覆の所望の部位のみに剥
離剤を塗布し、短時間で膨潤軟化させて容易に剥離を行
うことができ、ケーブルシースに傷を付けるおそれがな
い。また、室温で十分な剥離効果を有するとともに難燃
性であるため、作業時の安全性も確保される。
【0043】また、本発明の第2乃至第4の発明の剥離
剤によれば、溶剤が延焼防止被覆に浸透し吸収された
後、粘着剤あるいは繊維状物質により、残留成分の飛散
が防止されそして纏められるので、延焼防止被覆および
剥離剤の除去作業が容易であり、作業環境が良好に保た
れる。また、剥離剤除去後の廃棄処理作業も容易であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】酢酸ビニル系とアクリル系の各エマルジョンを
含む延焼防止材の硬化体において、いろいろなSP値を有
する有機溶剤中に24時間浸漬後の重量変化を示すグラ
フ。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電線、ケーブル上に設けられた延焼防止
    被覆の外周に塗布する剥離剤において、 溶解度パラメータが 8〜13の有機溶剤と、前記有機溶剤
    を吸収保持する保持材とを混合してなることを特徴とす
    る延焼防止被覆用剥離剤。
  2. 【請求項2】 電線、ケーブル上に設けられた延焼防止
    被覆の外周に塗布する剥離剤において、 溶解度パラメータが 8〜13の有機溶剤と、前記有機溶剤
    を吸収保持する保持材と、粘着剤とを混合してなること
    を特徴とする延焼防止被覆用剥離剤。
  3. 【請求項3】 電線、ケーブル上に設けられた延焼防止
    被覆の外周に塗布する剥離剤において、 溶解度パラメータが 8〜13の有機溶剤と、前記有機溶剤
    を吸収保持する保持材と、繊維状物質とを混合してなる
    ことを特徴とする延焼防止被覆用剥離剤。
  4. 【請求項4】 電線、ケーブル上に設けられた延焼防止
    被覆の外周に塗布する剥離剤において、 溶解度パラメータが 8〜13の有機溶剤と、粘着剤と、繊
    維状物質とを混合してなることを特徴とする延焼防止被
    覆用剥離剤。
  5. 【請求項5】 前記有機溶剤が、ジメチルスルホキシド
    (DMSO)、2-ピロリドン、N-メチル -2-ピロリドン
    (NMP)、アニソール、N-N-ジメチルホルムアミド
    (DMF)、N-N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、
    N-メチルプロピオンアミド、ピロールおよびベンジルア
    ルコールから選ばれた 1種または 2種以上の有機溶剤で
    ある請求項1乃至4のいずれか1項記載の延焼防止被覆
    用剥離剤。
  6. 【請求項6】 沈降防止剤を添加混合してなることを特
    徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の延焼防止
    被覆用剥離剤。
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