JPH09137090A - 延焼防止被覆用剥離剤 - Google Patents

延焼防止被覆用剥離剤

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JPH09137090A
JPH09137090A JP7295532A JP29553295A JPH09137090A JP H09137090 A JPH09137090 A JP H09137090A JP 7295532 A JP7295532 A JP 7295532A JP 29553295 A JP29553295 A JP 29553295A JP H09137090 A JPH09137090 A JP H09137090A
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JP
Japan
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release agent
prevention coating
fire spread
spread prevention
flame retardant
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JP7295532A
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Michitomo Fujita
道朝 藤田
Yoshimi Sato
好美 佐藤
Fumio Aida
二三夫 会田
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Showa Electric Wire and Cable Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電線、ケーブルの延焼防止被覆を、施工面の
形態に関係なく短時間で膨潤軟化させて剥離することが
でき、さらにそれ自体難燃性に優れた延焼防止被覆用剥
離剤を提供する。 【解決手段】 本発明の剥離剤は、ベンジルアルコール
またはベンジルアルコールにその 1〜10重量%のNMP
を混合した溶剤に、粘着剤(例えばアクリル系ラテック
ス)と、繊維状物質(例えばカイノール、セルロースパ
ウダ)と、液状の有機難燃剤および粉体状の無機難燃剤
を配合して成る。液状の有機難燃剤としては含ハロゲン
リン酸エステルや塩素化パラフィン等を、粉体状の無機
難燃剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウ
ム等を使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、延焼防止被覆用剥
離剤に係わり、特に電線、ケーブルの外周に設けられた
延焼防止材の硬化被覆を、シースを損傷することなく効
率的に剥離するための剥離剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、大量の非難燃性ケーブルが布
設されている原子力発電所や火力発電所等の施設におい
ては、水平および垂直トレイ部、ボックス内部等に布設
されたケーブル群の外周に、万一の火災事故の発生に備
えて、エチレン−アクリル酸エステル共重合体(EE
A)やエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)のよう
な熱可塑性樹脂を含む水性エマルジョンをベースとし、
これに有機難燃剤、無機充填剤、不燃性繊維、可塑剤等
を加えた延焼防止材(塗料)を塗布することが行なわれ
ている。塗布された延焼防止材は、時間の経過とともに
乾燥硬化してケーブルシースと密着し、延焼防止効果の
高い被覆が形成される。
【0003】ところで前記した施設においては、近時シ
ステムの変更やケーブルの点検あるいはケーブルの劣化
のため、一度布設したケーブルをラダートレイ等から取
り外し引き換える必要があり、このとき延焼防止被覆を
剥離する必要がある。
【0004】従来から、ケーブル上に設けられた延焼防
止被覆を剥離する方法としては、カッターやハンマーの
ような剥離用工具を用いて機械的に剥ぎ取る方法や、発
泡ポリウレタンや吸水性樹脂等に水を含ませたものをヒ
ーターとともに延焼防止被覆の上に置き、加温して膨潤
軟化させた後竹べら等で剥ぎ取る方法などが行なわれて
いた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前者の機械的
に剥離する方法では、多くの人手と時間がかかるばかり
でなく、剥離すべき延焼防止被覆の厚さがわからないこ
とが多いため、工具の先端でケーブルシース等の表面に
傷をつけてしまうおそれがあった。
【0006】また、後者の水を用い加温して膨潤させる
方法においては、軟化に要する時間が 2〜 3週間と極め
て時間がかかるうえに、延焼防止材の種類によっては十
分に軟化しないものがあり、さらに、施工面が垂直面の
場合には適用できないという問題があった。
【0007】さらに、原子力発電所等の内部において
は、防火の観点から難燃性に乏しい材料の使用は好まし
くなく、したがって非難燃性ケーブルの延焼防止のため
に施される延焼防止被覆の剥離剤としても、十分な難燃
性を有することが必要とされている。
【0008】本発明はこのような問題を解決するために
なされたもので、電線、ケーブル上に設けられた延焼防
止被覆を、施工面の形態に関係なく短時間で膨潤軟化さ
せることができ、それ自体難燃性に優れた延焼防止被覆
用剥離剤を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の延焼防止被覆用
剥離剤は、電線、ケーブル上に設けられた延焼防止被覆
の外周に塗布する剥離剤において、ベンジルアルコール
と、粘着剤と、繊維状物質と、前記ベンジルアルコール
に対して20〜40重量%の液状の有機難燃剤と、同じく 1
00〜 200重量%の粉体状の無機難燃剤とを混合してなる
ことを特徴とする。
【0010】また、第2の発明の延焼防止被覆用剥離剤
は、電線、ケーブル上に設けられた延焼防止被覆の外周
に塗布する剥離剤において、ベンジルアルコールと、前
記ベンジルアルコールに対して 1〜10重量%のN-メチル
-2-ピロリドン(以下、NMPと示す。)とを混合して
なる溶剤と、粘着剤と、繊維状物質と、前記混合溶剤に
対して20〜40重量%の液状の有機難燃剤と、同じく 100
〜 200重量%の粉体状の無機難燃剤とを混合してなるこ
とを特徴とする。
【0011】本発明の剥離剤が適用される延焼防止被覆
は、水性エマルジョンをベースに、有機難燃剤、難燃助
剤、無機充填剤、不燃性繊維、可塑剤等を加えた延焼防
止材(塗料)を、電線、ケーブルの外周に塗布し硬化さ
せたものである。ここで、水性エマルジョンとしては、
EVAエマルジョンのような酢酸ビニル系エマルジョン
やEEAエマルジョンのようなアクリル系エマルジョン
等が、有機難燃剤としては、塩素化パラフィン、塩素化
ナフタリン、デカブロモジフェニルオキサイド、ポリリ
ン酸アンモニウム等が、難燃助剤としては、三酸化アン
チモン、ほう酸亜鉛、酸化亜鉛等が、無機充填剤として
は、水酸化アルミニウム(水和アルミナ)、炭酸カルシ
ウム、含水ケイ酸マグネシウム、クレー、チタン白、タ
ルク等が、不燃性繊維としては、アスベスト、セラミッ
ク繊維、フェノール繊維、ガラス繊維等が、可塑剤とし
ては、トリス(β -クロロエチル)ホスフェートのよう
なリン酸エステル、塩素化ビフェニル、フタル酸ジブチ
ル等がそれぞれ挙げられる。
【0012】このような延焼防止材の市販品としては、
例えばフレームコート(当社の商品名)、フレイムマス
チック(日立電線株式会社の商品名)、エフコートB
(藤倉電線株式会社の商品名)、ダンネッカ(古河電工
株式会社の商品名)等がある。本発明においては、溶剤
としてベンジルアルコールを単独で用いても、前記延焼
防止被覆を十分に膨潤軟化させることができるが、ベン
ジルアルコールとベンジルアルコールに対して 1〜10重
量%のNMPとを混合した混合溶剤を用いることがより
望ましい。
【0013】ここで、ベンジルアルコールに対するNM
Pの配合割合を 1〜10重量%の割合に限定したのは、以
下に示す理由による。すなわち、NMPはベンジルアル
コールに比べて延焼防止被覆を膨潤軟化させる力が大き
いため、ベンジルアルコールにその 1重量%以上のNM
Pを配合した混合溶剤によれば、ベンジルアルコールを
単独で使用した場合に比べてより大きな膨潤軟化効果が
得られる。しかし、同時にNMPはケーブルのPVCシ
ースに対して悪影響を与えるおそれがあるため、NMP
の配合割合が10重量%を越えた場合には、PVCシース
の機械的特性等が低下し実用に供し得なくなる。NMP
のより望ましい配合割合は、ベンジルアルコールに対し
て 1〜 5重量%の範囲である。
【0014】本発明において、このようなベンジルアル
コールまたはベンジルアルコールとNMPとの混合溶剤
に配合する粘着剤は、前記溶剤が延焼防止被覆に浸透し
て吸収された後、残留する成分をそれ自体の粘着力によ
り包み込んで延焼防止被覆の外周に付着させ、それによ
り粉体成分等の飛散を防止する機能を有するものであ
る。このような粘着剤としては、粘度 5000cps以上の高
い粘性を有する樹脂ラテックス、例えばアクリル樹脂系
ラテックス(分散液)やEVA系ラテックス等がある。
【0015】また、このような粘着剤とともに前記溶剤
に配合する繊維状物質は、溶剤が延焼防止被覆に浸透吸
収された後、残留成分をそれ自体の繊維により一塊りに
纏めて固まらせ、それにより粉体成分等の飛散を防ぎ、
さらに剥離剤の取り除き作業あるいは廃棄処理作業を容
易にする機能を有するものである。このような繊維状物
質としては、フェノール樹脂繊維やカーボン繊維、木
粉、ココナットやし殻粉、コルク粉、セルロースパウ
ダ、木材パルプ、紙や布の粉等があり、特にフェノール
樹脂繊維であるカイノール(日本カイノール株式会社の
商品名)あるいはセルロースパウダの使用が望ましい。
これらの繊維状物質の中には、いく分かの増粘作用を有
するものもあり、そのような繊維状物質を配合した場合
には、溶剤浸透後の残留成分の付着保持がより効果的に
なされ、残留成分の飛散防止効果が高い。
【0016】本発明においては、前記粘着剤および繊維
状物質とともに、液状の有機難燃剤を溶剤に配合する。
ここで有機難燃剤は、プラスチック等の分子(炭化水
素)が高温酸化して発生するOHフリーラジカルを捕捉
して連鎖反応を停止すると同時に、プラスチック等の炭
化を促進し分解により低分子量可燃性物質が生じないよ
うにする機構により、あるいは不燃性のガスを発生する
機構により、燃焼の継続を抑える働きをし、本発明にお
いては、これらの有機難燃剤の中で常温で液状のものを
使用する。このような液状の有機難燃剤としては、トリ
ス(β -クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロ
ロプロピル)ホスフェート、トリス(ジブロモプロピ
ル)ホスフェートのような含ハロゲンリン酸エステル
や、塩素化パラフィン等がある。
【0017】また本発明においては、このような液状の
有機難燃剤とともに粉体状の無機難燃剤を配合する。粉
体状の無機難燃剤としては、水酸化アルミニウム(Al
(OH)3 )、水酸化マグネシウム(Mg(O
H)2 )、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3 )等を使
用することができ、これらの難燃剤は、加熱により分解
揮発する構造水が冷却剤として作用することにより、あ
るいはそれ自体が吸熱分解反応をすることにより、燃焼
を抑え自己消火性を付与する働きをする。
【0018】このような難燃性の配合成分のうちで液状
有機難燃剤の配合量は、前記したベンジルアルコールま
たはベンジルアルコールとNMPとの混合溶剤に対し
て、20〜40重量%の割合とすることが望ましい。液状有
機難燃剤の配合割合が前記溶剤の20重量%未満では、粉
体状の難燃剤をどれだけ加えても難燃効果があまり上が
らず、また40重量%を越えた場合には、剥離剤の延焼防
止被覆を膨潤軟化させる効果が低下し、へらで剥離可能
となるまでに時間がかかる。また、粉体状無機難燃剤の
配合割合は、前記溶剤に対して 100〜 200重量%で、か
つ剥離剤に効果的に難燃性を持たせるために、前記液状
有機難燃剤の配合量に応じて調整された割合とすること
が望ましい。粉体状無機難燃剤の配合割合が混合溶剤の
100重量%未満では、剥離剤が十分な難燃効果を持つよ
うにするには、液状有機難燃剤を前記割合を越えて多量
に配合しなければならず、必然的に延焼防止被覆を膨潤
軟化させる効果が低下し、また 200重量%を越えて配合
した場合には、剥離剤が固くなりすぎて塗布作業が難し
くなる。
【0019】さらに本発明においては、剥離剤を塗布す
べき延焼防止被覆の施工面の形態、すなわち水平面であ
るか垂直面であるかによって、前記液状有機難燃剤およ
び粉体状無機難燃剤の配合割合を変え、剥離剤の粘度
(硬さ)を調整することができる。
【0020】本発明の剥離剤は、前記溶剤に液状の有機
難燃剤を添加混合したものに、粘着剤を加えて粘着剤が
完全に溶解するまで撹拌混合し、これにさらに繊維状物
質と粉体状の無機難燃剤とを加えて混合することにより
得られ、ペースト状を呈し、電線、ケーブル上に設けら
れた延焼防止被覆の外周に塗布あるいは被着される。そ
して、30時間以上(通常96〜 120時間)放置した後、溶
剤の浸透により膨潤軟化した延焼防止被覆を、剥離剤の
塗布層等とともに木製や竹製のへらを用いて剥離除去す
る。
【0021】ここで、剥離剤を塗布するには、へらやド
クターナイフ等を用い、 1〜 2cmの厚さになるように塗
り付ける方法が採られる。剥離剤の塗布厚を 1〜 2cmと
したのは、塗布厚が 1cm未満では効果が低く、また 2cm
以上の厚さに塗布しても、延焼防止被覆を膨潤させる効
果がそれ以上増大することがないためである。また、剥
離剤塗布後の放置時間を30時間以上としたのは、30時間
未満では、延焼防止被覆の種類によってはあまり膨潤し
ないものがあるためであり、最長放置時間を 120時間程
度としたのは、それ以上放置しても著しい効果の増大が
見られないためである。
【0022】本発明の剥離剤の塗布あるいは被着による
効果は、通常約 0.2〜 0.5cmの厚さの延焼防止被覆に対
して有効であるので、延焼防止被覆が厚いところでは、
前記した一連の操作を 2〜 3回繰り返して被覆を完全に
剥離するようにする。さらに、剥離剤の塗布または被着
層の上から、バンドヒータ、赤外線ヒータ、温風機等を
用いて40℃前後に加温することにより、延焼防止被覆へ
の剥離剤の浸透と膨潤軟化を促進し、さらに剥離効果を
上げることができる。
【0023】またさらに、剥離剤の塗布層等の上に直接
あるいは前記ヒータ等の上に、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリエチレンテレフタレート等のシートやアル
ミニウム箔シートのような液体を透過させない気密性シ
ートを被せることができる。このように気密性のシート
を被せた場合には、シートにより剥離剤(溶剤成分)の
蒸発揮散が抑えられて効率的に浸透するので、延焼防止
被覆の軟化がさらに促進される。
【0024】本発明の剥離剤においては、延焼防止被覆
中にバインダ(結合剤)として含有されているEVAや
EEAのようなポリマーを膨潤軟化させる作用を有する
ベンジルアルコールが単独で、またはそのようなベンジ
ルアルコールとより大きな膨潤軟化作用を有するNMP
との混合溶剤が使用されているので、溶剤が延焼防止被
覆中に浸透して常温短時間で膨潤させ、へら等による剥
離が容易な程度に軟化させることができる。また、NM
Pの配合量がベンジルアルコールの 1〜10重量%の割合
に限定されているので、ケーブルのPVCシースに対し
て悪影響を与えることが少なく、ケーブルシースの特性
が良好に保持される。
【0025】さらに、このような溶剤に対して粘着剤と
繊維状物質がそれぞれ配合されているので、剥離剤が適
度な粘着性を有し塗布作業が容易であるうえに、溶剤の
必要かつ十分な量を延焼防止被覆の所望の部位に安定し
た状態で付着させることができる。また、溶剤が延焼防
止被覆に浸透し吸収された後、剥離剤の残留成分が繊維
状物質により包み纏められ、さらに粘着剤により繊維状
物質の飛散が防止されることで、剥離剤等の除去作業が
容易となる。
【0026】またさらに、液状の有機難燃剤と粉体状の
無機難燃剤とがそれぞれ適当な割合で配合されており、
剥離剤自体が十分な難燃性を有しているので、万一延焼
防止被覆の剥離作業中に火災事故等が発生した場合に
も、剥離剤に引火して燃焼することがなく、延焼が効果
的に防止される。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について説
明する。
【0028】実施例1〜2 まずPVCシースケーブル(外径12mm)の外周に、当社
のフレームコートを乾燥後の厚さが 1.5mmとなるように
塗布し、乾燥硬化させて延焼防止被覆とした。次に、表
1に示す配合組成の剥離剤を、以下に示すようにして調
製した。すなわち、ベンジルアルコールとNMPとを混
合してなる混合溶剤 100重量部に、液状有機難燃剤であ
るCLP(大八化学工業株式会社の含ハロゲンリン酸エ
ステルの商品名)と粘着剤であるポリトロン(旭化成株
式会社のアクリル系ラテックスの商品名)およびポリゾ
ール(昭和高分子株式会社のEVA系ラテックスの商品
名)を、それぞれ表に示す割合で加えて良く撹拌した
後、得られた粘稠溶液に、繊維状物質であるKCフロッ
ク(日本製紙株式会社のセルロースパウダの商品名)と
粉体状無機難燃剤であるハイジライト(昭和電工株式会
社の水酸化アルミニウムの商品名)を、それぞれ同表に
示す割合で加えて混合し、ペースト状の剥離剤とした。
また、比較のために、混合溶剤に粘着剤と繊維状物質お
よび液状有機難燃剤と粉体状無機難燃剤とを同表に示す
配合組成で混合し、剥離剤を調製した。 次いで、実施
例および比較例でそれぞれ得られた剥離剤を、前記した
ケーブルの延焼防止被覆の外周に 1.0cmの厚さに塗布
し、表1に示す時間だけ放置した後、延焼防止被覆の硬
度(初期硬度は75)を JIS K6301 Aに準じて測定すると
ともに、へらによる剥離試験を行ない剥離性を評価し
た。また、剥離剤の塗布作業性(塗布し易さ)と、ケー
ブル外周から取り除いた剥離剤の後始末のし易さをそれ
ぞれ調べた。さらに、 JIS K7201に準じて剥離剤の燃焼
試験を行ない、難燃性を評価するとともに酸素指数を測
定した。これらの測定結果を表1下欄に示す。
【0029】
【表1】 表から明らかなように、ベンジルアルコールにNMPを
1〜10重量%の割合で配合した混合溶剤に、粘着剤(ア
クリル系およびEVA系ラテックス)と繊維状物質(セ
ルロースパウダ)とを配合し、さらに液状有機難燃剤と
粉体状無機難燃剤とを配合した実施例1〜2の剥離剤
は、ケーブルの延焼防止被覆を、規定の放置時間(96〜
120時間)で剥離可能な程度まで膨潤軟化させることが
できるうえに、適度な粘着性(粘度)を有し塗布作業性
が良好である。また、混合溶剤が浸透吸収された後、残
留成分が繊維状物質により一塊りに纏まり粉体成分の飛
散が見られないうえに、剥離剤が纏まって剥がせるので
廃棄物の後始末が容易である。さらに、剥離剤の酸素指
数が大きく、着火後すぐ消火するなどして、剥離剤自体
が勢い良く燃焼することがない。
【0030】これに対して、液状有機難燃剤と粉体状無
機難燃剤のどちらか一方の成分のみを配合するか、ある
いはどちらの成分も配合しない比較例1〜7の剥離剤に
おいては、酸素指数があまり大きくなく、着火後燃焼が
継続するなど十分な難燃性を持たないうえに、これらの
難燃剤の配合量が多くなり過ぎると、延焼防止被覆を膨
潤軟化させる効果の低下や塗布作業性の低下等が見られ
る。
【0031】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の剥離剤によれば、延焼防止被覆の所望の部位のみに剥
離剤を塗布し、短時間で膨潤軟化させて容易に剥離を行
うことができ、ケーブルシースに傷を付けるおそれがな
い。また、剥離剤自体が十分な難燃性を有しているの
で、剥離剤に引火して燃焼することがなく延焼防止効果
を有する。さらに、溶剤が延焼防止被覆に浸透し吸収さ
れた後、粘着剤および繊維状物質により、残留成分が纏
められ飛散が防止されるので、延焼防止被覆および剥離
剤の除去作業が容易であり、剥離剤除去後の廃棄処理作
業も簡便である。
【0032】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電線、ケーブル上に設けられた延焼防止
    被覆の外周に塗布する剥離剤において、 ベンジルアルコールと、粘着剤と、繊維状物質と、前記
    ベンジルアルコールに対して20〜40重量%の液状の有機
    難燃剤と、同じく 100〜 200重量%の粉体状の無機難燃
    剤とを混合してなることを特徴とする延焼防止被覆用剥
    離剤。
  2. 【請求項2】 電線、ケーブル上に設けられた延焼防止
    被覆の外周に塗布する剥離剤において、 ベンジルアルコールと、前記ベンジルアルコールに対し
    て 1〜10重量%のN-メチル -2-ピロリドンとを混合して
    なる溶剤と、粘着剤と、繊維状物質と、前記混合溶剤に
    対して20〜40重量%の液状の有機難燃剤と、同じく 100
    〜 200重量%の粉体状の無機難燃剤とを混合してなるこ
    とを特徴とする延焼防止被覆用剥離剤。
  3. 【請求項3】 前記延焼防止被覆の外周に塗布され、気
    密性シートが外側に被せられることを特徴とする請求項
    1または2記載の延焼防止被覆用剥離剤。
JP7295532A 1995-11-14 1995-11-14 延焼防止被覆用剥離剤 Withdrawn JPH09137090A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115612363A (zh) * 2022-12-15 2023-01-17 潍坊亚贝涂料有限公司 一种木材表面水性涂料及其制备方法

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