JPH10152634A - 延焼防止被覆用剥離剤 - Google Patents

延焼防止被覆用剥離剤

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JPH10152634A
JPH10152634A JP8313973A JP31397396A JPH10152634A JP H10152634 A JPH10152634 A JP H10152634A JP 8313973 A JP8313973 A JP 8313973A JP 31397396 A JP31397396 A JP 31397396A JP H10152634 A JPH10152634 A JP H10152634A
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release agent
solvent
fire spread
coating
adhesive
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JP8313973A
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English (en)
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Michitomo Fujita
道朝 藤田
Yoshimi Sato
好美 佐藤
Fumio Aida
二三夫 会田
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SWCC Corp
Original Assignee
Showa Electric Wire and Cable Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電線、ケーブルの延焼防止被覆を、施工面の
形態に関係なく短時間で膨潤軟化させて剥離することが
でき、さらに銅部材を腐食することがない延焼防止被覆
用剥離剤を提供する。 【解決手段】 本発明の剥離剤は、有機溶剤を主体とし
ラテックス系の粘着剤を含有するとともに、銅の防錆剤
を、有機溶剤に対して 1〜10重量%の割合で含有する。
防錆剤としては、ベンゾトリアゾールまたはその誘導体
を使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、延焼防止被覆用剥
離剤に係わり、特に電線、ケーブルの外周に設けられた
延焼防止材の硬化被覆を、シースを損傷することなく効
率的に剥離するための剥離剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、大量の非難燃性ケーブルが布
設されている原子力発電所や火力発電所等の施設におい
ては、水平および垂直トレイ部、ボックス内部等に布設
されたケーブル群の外周に、万一の火災事故の発生に備
えて、エチレン−アクリル酸エステル共重合体(EE
A)やエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)のよう
な熱可塑性樹脂を含む水性エマルジョンをベースとし、
これに有機難燃剤、無機充填剤、不燃性繊維、可塑剤等
を加えた延焼防止材(塗料)を塗布することが行なわれ
ている。塗布された延焼防止材は、時間の経過とともに
乾燥硬化してケーブルシースと密着し、延焼防止効果の
高い被覆が形成される。
【0003】ところで前記した施設においては、近時シ
ステムの変更やケーブルの点検あるいはケーブルの劣化
のため、一度布設したケーブルをラダートレイ等から取
り外し引き換える必要があり、このとき延焼防止被覆を
剥離する必要がある。
【0004】従来から、ケーブル上に設けられた延焼防
止被覆を剥離する方法としては、カッターやハンマーの
ような剥離用工具を用いて機械的に剥ぎ取る方法や、発
泡ポリウレタンや吸水性樹脂等に水を含ませたものをヒ
ーターとともに延焼防止被覆の上に置き、加温して膨潤
軟化させた後竹べら等で剥ぎ取る方法などが行なわれて
いた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前者の機械的
に剥離する方法では、多くの人手と時間がかかるばかり
でなく、剥離すべき延焼防止被覆の厚さがわからないこ
とが多いため、工具の先端でケーブルシース等の表面に
傷をつけてしまうおそれがあった。
【0006】また、後者の水を用い加温して膨潤させる
方法においては、軟化に要する時間が 2〜 3週間と極め
て時間がかかるうえに、延焼防止材の種類によっては十
分に軟化しないものがあり、さらに、施工面が垂直面の
場合には適用できないという問題があった。
【0007】さらに近年、有機溶剤を主成分とし種々の
添加剤を配合した剥離剤が開発されているが、添加剤に
は銅を腐食する成分(塩素成分など)を含むものがある
ため、剥離剤が銅線や銅板の露出部に付着した場合に、
これらの部材を腐食して錆を生じさせ、特性を著しく低
下させるおそれがあった。
【0008】本発明はこのような問題を解決するために
なされたもので、電線、ケーブル上に設けられた延焼防
止被覆を、施工面の形態に関係なく短時間で膨潤軟化さ
せることができ、しかも銅部材を腐食することがない延
焼防止被覆用剥離剤を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の延焼防止被覆用
剥離剤は、電線、ケーブル上に設けられた延焼防止被覆
の外周に塗布する剥離剤において、有機溶剤を主成分と
し粘着剤を含有するとともに、防錆剤を含有することを
特徴とする。
【0010】本発明の剥離剤が適用される延焼防止被覆
は、水性エマルジョンをベースに、有機難燃剤、難燃助
剤、無機充填剤、不燃性繊維、可塑剤等を加えた延焼防
止材(塗料)を、電線、ケーブルの外周に塗布し硬化さ
せたものである。ここで、水性エマルジョンとしては、
EVAエマルジョンのような酢酸ビニル系エマルジョン
やEEAエマルジョンのようなアクリル系エマルジョン
等が、有機難燃剤としては、塩素化パラフィン、塩素化
ナフタリン、デカブロモジフェニルオキサイド、ポリリ
ン酸アンモニウム等が、難燃助剤としては、三酸化アン
チモン、ほう酸亜鉛、酸化亜鉛等が、無機充填剤として
は、水酸化アルミニウム(水和アルミナ)、炭酸カルシ
ウム、含水ケイ酸マグネシウム、クレー、チタン白、タ
ルク等が、不燃性繊維としては、アスベスト、セラミッ
ク繊維、フェノール繊維、ガラス繊維等が、可塑剤とし
ては、トリス(β -クロロエチル)ホスフェートのよう
なリン酸エステル、塩素化ビフェニル、フタル酸ジブチ
ル等がそれぞれ挙げられる。
【0011】このような延焼防止材の市販品としては、
例えばフレームコート(当社の商品名)、フレイムマス
チック(日立電線株式会社の商品名)、エフコートB
(藤倉電線株式会社の商品名)、ダンネッカ(古河電工
株式会社の商品名)等がある。本発明の剥離剤におい
て、有機溶剤としては、以下に示す各種の溶剤または混
合溶剤を使用することができる。
【0012】まず、ジメチルスルホキシド(DMS
O)、2-ピロリドン、N-メチル -2-ピロリドン(NM
P)、アニソール、N-N-ジメチルホルムアミド(DM
F)、N-N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチ
ルプロピオンアミド、ピロール、ベンジルアルコールの
ような、溶解度パラメータ(SP値)が 8〜13の有機溶剤
を、単独でまたは2種以上混合して使用することができ
る。これらの有機溶剤(SP値が8〜13)の中で、特に好
ましい組合わせとしては、ベンジルアルコールと、ベン
ジルアルコールに対して 1〜10重量%のNMPとを混合
してなる混合溶剤を挙げることができる。ここで、ベン
ジルアルコールに対するNMPの好ましい配合割合を 1
〜10重量%としたのは、以下に示す理由による。すなわ
ち、NMPはベンジルアルコールに比べて前記した延焼
防止被覆を膨潤軟化させる力が大きいため、ベンジルア
ルコールにその 1重量%以上のNMPを配合した混合溶
剤によれば、ベンジルアルコールを単独で使用した場合
に比べて、大きな膨潤軟化効果が得られる。同時に、N
MPはケーブルのPVCシースに対して悪影響を与える
おそれがあるため、NMPの配合割合が10重量%を越え
た場合には、PVCシースの機械的特性等が低下して実
用に供し得なくなる。
【0013】また、ベンジルアルコールと芳香族炭化水
素系溶剤とを、芳香族炭化水素系溶剤が溶剤全体の20〜
50重量%の割合を占めるように混合した混合溶剤を用い
ることができる。ここで、芳香族炭化水素系溶剤として
は、ベンゼン環を有し炭素と水素のみから構成されてい
る化合物で、常温液状で溶剤として使用可能なものが用
いられ、例えばキシレン、トルエン、エチルベンゼン等
が挙げられる。また、混合溶剤に占めるこれら芳香族炭
化水素系溶剤の割合を前記範囲に限定したのは、以下に
示す理由による。すなわち、キシレン等の芳香族炭化水
素系溶剤は、ベンジルアルコールに比べて延焼防止被覆
を膨潤軟化させる力が大きいため、ベンジルアルコール
に芳香族炭化水素系溶剤を溶剤全体の20重量%以上の割
合で配合した混合溶剤によれば、ベンジルアルコールを
単独で使用した場合に比べて、より大きな膨潤軟化効果
が得られる。しかし、これらの芳香族炭化水素系溶剤
は、同時にケーブルのPVCシースに対して悪影響を与
えるおそれがあるため、芳香族炭化水素系溶剤の配合割
合が溶剤全体の50重量%を越えた場合には、PVCシー
スの機械的特性等が低下して実用に供し得なくなる。
【0014】また、特に酢酸ビニル系の延焼防止被覆に
対する膨潤軟化効果の大きい溶剤として、エチレングリ
コールモノエチルエーテルアセテートを主体とし、溶剤
全体の25〜75重量%の水を配合した混合溶剤を挙げるこ
とができる。
【0015】さらに、分子量が1000以下のカルボン酸エ
ステル、スルホン酸エステル、多価アルコールエステル
も使用することができる。ここで、カルボン酸エステル
としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テトラヒド
ロフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、
ドデカン-2酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット
酸、クエン酸、イタコン酸、オレイン酸、リシノール
酸、ステアリン酸、グルタル酸のエステルが挙げられ
る。
【0016】本発明において配合される粘着剤は、前記
溶剤が延焼防止被覆に浸透して吸収された後、残留する
成分をそれ自体の粘着力により包み込んで延焼防止被覆
の外周に付着させ、それにより粉体成分等の飛散を防止
する機能を有するものである。このような粘着剤として
は、粘度 5000cps以上の高い粘性を有する樹脂ラテック
ス、例えばアクリル樹脂系ラテックス(分散液)やEV
A系ラテックス等がある。 本発明においては、前記し
た各種の有機溶剤を主成分とし、このような粘着剤を含
有する剥離剤に、銅の腐食を抑える働きを有する防錆剤
が添加される。ここで、防錆剤としては、ベンゾトリア
ゾール(BTA)、またはBTAの誘導体である、1-メ
チルベンゾトリアゾール、5-メチルベンゾトリアゾー
ル、1,H-ベンゾトリアゾール、トルトライアゾール、2-
メルカプトベンゾチアゾール等が使用される。そして、
このような防錆剤の添加量は、前記した有機溶剤に対し
て 1〜10重量%、より好ましくは 2〜 5重量%の割合と
する。防錆剤の添加量が有機溶剤の 1重量%未満では、
添加による腐食抑制効果が現れず、逆に添加量が10重量
%を越えても、防錆効果のそれ以上の向上が見られな
い。
【0017】本発明の剥離剤においては、さらに以下に
示す成分を配合し、各種の特性を付与あるいは向上させ
ることができる。すなわち、溶剤が延焼防止被覆に浸透
吸収された後残留成分を一塊りに纏めて固まらせる機能
を有する繊維状物質を、前記した粘着剤とともに配合
し、粉体成分等の飛散を防ぎ、取り除き作業あるいは廃
棄処理作業を容易にすることができる。このような繊維
状物質としては、フェノール樹脂繊維やカーボン繊維、
木粉、ココナットやし殻粉、コルク粉、セルロースパウ
ダ、木材パルプ、紙や布の粉等があり、特に、フェノー
ル樹脂繊維であるカイノール(日本カイノール株式会社
の商品名)やセルロースパウダの使用が望ましい。
【0018】また、液状の難燃剤および/または粉体状
の無機難燃剤を配合することができる。ここで、液状の
難燃剤としては、トリス(β -クロロエチル)ホスフェ
ート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリ
ス(ジブロモプロピル)ホスフェートのような含ハロゲ
ンリン酸エステルや、塩素化パラフィン等の有機難燃剤
がある。これらの有機難燃剤は、プラスチック等の分子
(炭化水素)が高温酸化して発生するOHフリーラジカ
ルを捕捉して連鎖反応を停止すると同時に、プラスチッ
ク等の炭化を促進し、分解により低分子量可燃性物質が
生じないようにする機構により、あるいは不燃性のガス
を発生する機構により、燃焼の継続を抑える働きをす
る。また、このような有機難燃剤と難燃化の機構は異な
るが、液状の難燃成分として水を配合することも可能で
ある。剥離剤の組成物全体に対して5〜50重量%の割合
で水を添加することにより、難燃性乃至低引火性を付与
することができる。なお、水を配合した場合には、配合
成分を良好に分散させるために、界面活性剤を適量添加
することが好ましい。
【0019】さらに、粉体状の無機難燃剤としては、水
酸化アルミニウム(Al(OH)3)、水酸化マグネシ
ウム(Mg(OH)2 )、炭酸水素ナトリウム(NaH
CO3 )等がある。これらの無機難燃剤は、加熱により
分解揮発する構造水が冷却剤として作用することによ
り、あるいはそれ自体が吸熱分解反応をすることによ
り、燃焼を抑え自己消火性を付与する働きをする。
【0020】これらの難燃剤のうちで水を配合する場合
には、その配合量は、前記した有機溶剤に対して40〜 1
00重量%の割合とすることが望ましい。水の配合量が有
機溶剤量の40重量%未満では、難燃性の効果が十分に現
出せず、反対に 100重量%を越えると、得られる剥離剤
の延焼防止被覆に対する軟化効果が不十分になるばかり
でなく、所望の粘度(硬さ)に調整するために、繊維状
物質等を多量に配合しなければならない。
【0021】また、液状の有機難燃剤の配合量は、剥離
剤の溶剤に対して20〜40重量%の割合とする。液状有機
難燃剤の配合割合が溶剤の20重量%未満では、粉体状の
難燃剤をどれだけ加えても難燃効果があまり上がらず、
また40重量%を越えた場合には、剥離剤の延焼防止被覆
を膨潤軟化させる効果が低下し、へらで剥離可能となる
までに時間がかかる。さらに、粉体状の無機難燃剤の配
合量は、溶剤に対して100〜 200重量%の割合とし、か
つ剥離剤に効果的に難燃性を持たせるために、液状有機
難燃剤の配合量に応じて調整された割合とすることが望
ましい。粉体状無機難燃剤の配合割合が溶剤の 100重量
%未満では、剥離剤が十分な難燃効果を持つようにする
には、液状有機難燃剤を前記した範囲を越えて多量に配
合しなければならず、必然的に延焼防止被覆を膨潤軟化
させる効果が低下し、また 200重量%を越えて配合した
場合には、剥離剤が固くなりすぎて塗布作業が難しくな
る。
【0022】また本発明においては、剥離剤を塗布すべ
き延焼防止被覆の施工面の形態、すなわち水平面である
か垂直面であるかによって、あるいは剥離剤の塗布方
法、すなわちへら塗りであるかポンプ等を用いて押し出
す機械塗りであるかによって、液状有機難燃剤や粉体状
無機難燃剤、繊維状物質等の配合割合をそれぞれ変化さ
せ、剥離剤の粘度(硬さ)を調整することができる。
【0023】さらに本発明の剥離剤においては、表面ま
たは内部に有機溶剤を吸着あるいは吸収保持し、粘度を
増大させるなどの働きにより、必要かつ十分な量の有機
溶剤を延焼防止被覆の所望の部位に安定して付着させる
機能を有する保持材を、配合することができる。ここ
で、保持材としては、炭酸カルシウム、シリカ、タル
ク、クレー、アルミナのような無機充填剤、粉末ゴム、
アクリル樹脂やPVC等のプラスチック粉末、ゼオライ
トのような無機多孔質材、発泡ゴム、発泡プラスチック
のような有機多孔質材、あるいは、カルボキシメチルセ
ルロースナトリウム(CMC)のような水溶性セルロー
スエーテルや、アクリル酸ナトリウム系、界面活性剤
系、アクリル系等の増粘剤を使用することができる。こ
れら保持材の配合割合は、ゼオライトのような無機多孔
質材の場合は、無機多孔質材に対して10〜30重量%の有
機溶剤が吸着されるような割合とする。また、無機充填
剤を用いる場合その配合量は、有機溶剤に対して 100〜
300重量%の割合とすることが望ましい。
【0024】またさらに本発明において、このような保
持材や繊維状物質などの固形成分を配合する場合には、
溶剤中での分散を促進し沈降を防止する機能を有する沈
降防止剤を添加混合することができる。沈降防止剤とし
ては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、
高分子カップリング剤のようなカップリング剤や、粒径
数μm のシリカ微粉末、および界面活性剤等がある。こ
れらの沈降防止剤の添加割合は、保持材等の固形分の総
量に対して適宜選択される。
【0025】本発明の剥離剤は、前記した有機溶剤に、
また難燃剤が配合される場合には前記有機溶剤に難燃剤
を添加混合したものに、粘着剤と防錆剤を加えてそれら
が完全に溶解するまで撹拌混合し、これにさらに繊維状
物質や粉体状の無機難燃剤等を加えて混合することによ
り得られる。このとき溶剤の臭いをカバーする目的で、
香料を添加することも可能である。
【0026】こうして得られる本発明の剥離剤は、ペー
スト状を呈しており、電線、ケーブル上に設けられた延
焼防止被覆の外周に塗布あるいは被着される。そして、
30時間以上(通常96〜 120時間)放置した後、溶剤の浸
透により膨潤軟化した延焼防止被覆を、剥離剤の塗布層
とともに木製や竹製のへらを用いて剥離除去する。
【0027】ここで、剥離剤を塗布するには、へらやド
クターナイフ等を用いて、 5〜20mm程度の厚さに塗り付
ける方法が採られる。剥離剤の塗布厚を 5〜20mmとした
のは、塗布厚が 5mm未満では、延焼防止被覆を膨潤軟化
させるのに十分な溶剤量を確保することができず、また
20mm以上の厚さに塗布しても、延焼防止被覆を膨潤させ
る効果がそれ以上増大することがないためである。ま
た、剥離剤塗布後の放置時間を30時間以上としたのは、
30時間未満では、延焼防止被覆の種類によってはあまり
膨潤しないものがあるためであり、最長放置時間を 120
時間程度としたのは、それ以上放置しても著しい効果の
増大が見られないためである。
【0028】本発明の剥離剤の塗布あるいは被着による
膨潤軟化効果は、通常数mmの厚さに及ぶため、延焼防止
被覆が厚いところでは、前記した一連の操作を 2〜 3回
繰り返して被覆を完全に剥離する必要があるが、 1回の
操作で剥離することができる被覆厚が厚いため、操作の
繰返し回数が少なくて済むという利点がある。
【0029】さらに、剥離剤の塗布または被着層の上か
ら、バンドヒータのような面状ヒータ、赤外線ヒータ、
温風機等を用いて20〜50℃に加温することにより、延焼
防止被覆への剥離剤の浸透と膨潤軟化を促進し、剥離効
果をさらに上げることができる。このようなヒータによ
る加温は、特に外気温が低い場合の軟化を促進する上で
有効である。
【0030】またさらに、剥離剤の塗布層等の上に直接
あるいは前記ヒータ等の上に、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリエチレンテレフタレート等のシートやアル
ミニウム箔シートのような液体を透過させない気密性シ
ートを被せることができる。このように気密性のシート
を被せた場合には、シートにより剥離剤(溶剤成分)の
蒸発揮散が抑えられてこれが効率的に浸透するので、延
焼防止被覆の軟化がさらに促進される。
【0031】本発明の剥離剤においては、ベンジルアル
コールのような有機溶剤を主成分としているので、有機
溶剤が延焼防止被覆中に浸透してこれを常温短時間で膨
潤させ、へら等による剥離が容易な程度に軟化させるこ
とができる。また、ラテックス系の粘着剤が含有されて
いるので、剥離剤が適度な粘着性を有し塗布作業が容易
であるうえに、溶剤の必要かつ十分な量を延焼防止被覆
の所望の部位に安定した状態で付着させることができ、
さらに溶剤が延焼防止被覆に浸透し吸収された後の剥離
剤の飛散が防止され、除去作業が容易となる。さらに、
これらの成分とともに、銅の腐食を抑える働きを有する
ベンゾトリアゾールのような防錆剤が添加されているの
で、剥離剤が銅線や銅板の露出部に付着した場合にも、
これらの部材を腐食して錆を生じさせることがない。し
たがって、剥離作業が容易であるうえに、銅部材の特性
低下が生じず、延焼防止被覆の剥離後も電線、ケーブル
において良好な特性が保持される。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について説
明する。
【0033】実施例1〜3 まずPVCシースケーブル(外径12mm)の外周に、当社
のフレームコートを乾燥後の厚さが15mmとなるように塗
布し、乾燥硬化させて延焼防止被覆とした。
【0034】次に、表1に示す配合組成の剥離剤を、以
下に示すようにして調製した。すなわち、ベンジルアル
コールに、粘着剤であるポリトロン(旭化成株式会社の
アクリル系ラテックスの商品名)と界面活性剤であるポ
エム(理研ビタミン株式会社の商品名)、および防錆剤
であるベンゾトリアゾール(コウケン株式会社製)を、
それぞれ表に示す割合で加え、ラテックスが溶解するま
で良く撹拌した後、得られた粘稠溶液に、水とキシレン
(実施例1においては水単独のみ)とをそれぞれ加えて
撹拌混合した。次いで、撹拌しながら、繊維状物質であ
るKCフロック(日本製紙株式会社のセルロースパウダ
の商品名)と無機難燃剤であるハイジライト(昭和電工
株式会社の水酸化アルミニウムの商品名)とを同表に示
す割合で加え、さらに実施例2、3では香料であるSX
−6013(高砂香料工業株式会社の商品名)を加えて
混練し、ペースト状の剥離剤とした。
【0035】また、比較のために、ベンジルアルコール
のみ、あるいはベンジルアルコールとキシレンとの混合
溶剤に、粘着剤と防錆剤(比較例2においては、防錆剤
無添加)および繊維状物質、粉体状無機難燃剤等をそれ
ぞれ同表に示す配合組成で添加混合し、剥離剤を調製し
た。
【0036】次いで、実施例および比較例でそれぞれ得
られた剥離剤を、前記したケーブルの延焼防止被覆の外
周に15mmの厚さに塗布し、表1に示す時間( 120時間)
だけ放置した後、延焼防止被覆の硬度(初期硬度は75)
を JIS K6301 Aに準じて測定するとともに、へらによる
剥離試験を行ない剥離性を評価した。また、実施例およ
び比較例で得られた剥離剤を、銅板の上に塗布した状態
で 3カ月間放置し、銅に対する腐食性の有無を調べた。
これらの測定結果を表1下欄に示す。
【0037】
【表1】 表から明らかなように、ベンジルアルコール単独あるい
はベンジルアルコールとキシレンとを混合した溶剤に、
ラテックス系の粘着剤と繊維状物質および粉体状無機難
燃剤等を配合し、さらに有機溶剤に対して 1〜 重量%
の防錆剤を添加した実施例1〜3の剥離剤は、規定の放
置時間(96〜 120時間)で、ケーブルの延焼防止被覆を
4〜 9mmの厚さに亘って、へら等による剥離が可能な程
度まで膨潤軟化させることができるうえに、剥離剤自体
が適度な粘着性(粘度)を有し塗布作業性が良好であ
る。また、銅に対する腐食性が抑制され、銅部材を腐食
して錆等を発生させることがない。
【0038】これに対して、比較例1〜3の剥離剤にお
いては、前記した有機溶剤に、防錆剤が添加されていな
いか、あるいは防錆剤が添加されていても添加量が有機
溶剤に対して 1重量%以下と不十分であるため、銅部材
に塗布した状態で放置すると、銅を腐食して錆等を発生
させる。
【0039】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の剥離剤によれば、延焼防止被覆の所望の部位のみに剥
離剤を塗布し、短時間で膨潤軟化させて容易に剥離を行
うことができ、ケーブルシースに傷を付けるおそれがな
い。また、防錆剤が配合されているので、銅部材を腐食
して錆等を発生させることがなく、塗布作業等の際の取
扱いが容易である。さらに、溶剤が延焼防止被覆に浸透
し吸収された後、粘着剤等により、残留成分が纏められ
粉体成分の飛散が防止されるので、延焼防止被覆および
剥離剤の除去作業が容易であり、剥離剤除去後の廃棄処
理作業も簡便である。
【0040】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C11D 7/40 C11D 7/40 H02G 1/12 305 H02G 1/12 305

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電線、ケーブル上に設けられた延焼防止
    被覆の外周に塗布する剥離剤において、 有機溶剤を主成分とし粘着剤を含有するとともに、防錆
    剤を含有することを特徴とする延焼防止被覆用剥離剤。
  2. 【請求項2】 前記粘着剤がラテックス系の粘着剤であ
    ることを特徴とする請求項1記載の延焼防止被覆用剥離
    剤。
  3. 【請求項3】 前記防錆剤を、前記有機溶剤に対して 1
    〜10重量%の割合で含有することを特徴とする請求項1
    または2記載の延焼防止被覆用剥離剤。
  4. 【請求項4】 前記防錆剤が、ベンゾトリアゾールまた
    はその誘導体であることを特徴とする請求項1乃至3の
    いずれか1項記載の延焼防止被覆用剥離剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2001094485A1 (fr) * 2000-06-09 2001-12-13 Mitsubishi Chemical Functional Products, Inc. Materiau de revetement
JP2014105253A (ja) * 2012-11-27 2014-06-09 Yokohama Yushi Kogyo Kk エチレン−酢酸ビニル共重合体の剥離剤

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