JPH0451592B2

JPH0451592B2 -

Info

Publication number: JPH0451592B2
Application number: JP1306089A
Authority: JP
Inventors: Nobuhisa Kawano
Original assignee: NIPPON KONNYAKU KYOKAI
Current assignee: NIPPON KONNYAKU KYOKAI
Priority date: 1989-02-08
Filing date: 1989-11-24
Publication date: 1992-08-19
Also published as: JPH02229880A

Description

【発明の詳細な説明】

［産業上の利用分野］本発明は、グルコマンナンによる吹き付けアス
ベストの除去用組成物及び吹き付けアスベストの
除去方法に関する。［従来の技術及び発明が解決しようとする課題］アスベストは、耐熱性、難燃性、耐摩耗性、電
気絶縁性、耐薬品性などに優れているために、建
築用の断熱材、耐火材、防音材として例えば小中
学校の教室の天井に吹き付けられたり、あるいは
防音材、耐熱材、保温材として列車車両に吹き付
けられたりしてきた。しかしながら、アスベストの粉塵は肺がん・中
皮腫の原因となると考えられており、そのため代
替品の開発とも相伴つて近年建造物、車両などに
一旦吹き付けられたアスベストを除去することが
行なわれるようになつた。因みに、アスベストを
除去された建造物は解体されずに内装を新しくす
るなどしてそのまま使用される。同じく、車両も
吹き付けアスベストを除去し、部品交換や補修を
した後継続使用される。問題は、吹き付けアスベスト除去の際にアスベ
ストの粉塵が工事現場の大気中に飛散し、労働環
境中のアスベスト粉塵濃度を高め、惹いては作業
者の健康問題を生ずる。又、艦船工事などから発
生したアスベスト廃棄物が廃棄物処理業者の手で
ずさんに処理され、すなわち、廃棄物処理場に運
ばれ、アスベストを含む粉塵を飛散させながら投
棄させる結果、当該作業者ならびに周辺一般住民
の健康を害することになる。このような粉塵飛散、特にアスベスト粉塵によ
る環境汚染を防止する目的で、薬剤の散布等の試
みがなされている。しかしながら、吹付けアスベ
ストの除去時又はアスベスト廃棄物の処理時のア
スベスト粉塵の発生、更には建造物、車両などか
ら除去したアスベストの処理時の２次乃至は３次
粉塵発生に対しても有効であり、安全性、安定
性、経済性においても満足できるアスベストの粉
塵飛散防止作用の顕著な吹き付けアスベスト除去
用組成物及び吹き付けアスベスト除去方法は末だ
充分には開発されていない状況にある。［課題を解決するための手段］本発明者は上記一連の問題点を解消するために
鋭意研究を重ねた結果、グルコマンナンの特性を
活用することにより、安全性、安定性、経済性等
を総合的に満足するアスベスト含有粉塵飛散防止
作用の顕著な吹き付けアスベスト除去組成物及び
吹き付けアスベスト除去方法を提供できるとの知
見に到つた。本発明は、かかる知見に基づき完成したもので
あり、即ち、建造物非解体時に使用する、有効成
分としてグルコマンナンを含有する吹き付けアス
ベスト除去用組成物及び建造物非解体時に実施す
る、グルコマンナン水和物を接触させる吹き付け
アスベストの除去方法で、本発明によれば吹き付
けアスベストの除去時又はアスベスト廃棄物の処
理時におけるアスベストの粉塵飛散が防止され
る。グルコマンナンは例えばこんにやく芋の球茎中
に粘液状のマンナン粒子として存在する。現代の
こんにやく原料（粉体）は、マンナン粒子を特殊
な工程を経て純粋な形で取出したものである。グ
ルコマンナンを水に膨潤した水和物は、Ca
（OH）₂、Na₂CO₃、Na₂HPO₄、NaHCO₃、
NaOHなどのアルカリ性化合物で不可逆的に凝
固して弾性ゲルを形成する。また、該水和物は加
熱すると凝固が早まる。これらのアルカリ性化合
物を凝固剤と呼ぶ。前記弾性ゲルの食用こんにや
くは、凡そ97％が水分である。即ち、本発明の方
法は、約40倍量もの水分を包括してなお粘弾性の
凝固物を形成するグルコマンナンの特性を活用
し、吹き付けアスベストを除去すべき建造物、車
両などやアスベスト廃棄物にグルコマンナンの水
和物を使用して粉塵飛散を防止するものである。
このような目的より、本発明においては、コンニ
ヤク粉、コンニヤク精粉等、不純物の混在の有無
を問わずすべてのグルコマンナンが使用可能であ
る。本発明の方法を実施する際必須となるのはグル
コマンナン及び水である。又、アスベスト材によ
つてはアルカリ性化合物も必要となる。グルコマンナンは予め水と混合し、水和物の形
態で使用する方法が好ましい。グルコマンナンを
水和物で使用する場合のグルコマンナン濃度は、
特別の制限はないが、通常0.1〜2w／ｖ％程度が
適当であるが、アスベストが建造物に例えばセメ
ント−アスベスト材の形で使用されている場合に
は、濃度によつて除去すべきセメント−アスベス
ト材との接触によりグルコマンナン水和物がセメ
ント−アスベスト材の表面でゲル化し、内部迄浸
透し難いことから、グルコマンナン濃度が約
0.5w／ｖ％程度の水和物の使用が好ましい。吹き付けアスベストの除去に際してのグルコマ
ンナン水和物の使用は、具体的には、例えば以下
の如き方法による。すなわち、除去すべきアスベ
スト材層の内部に予めグルコマンナン水和物を注
入し、更に、必要に応じ吹きつけ等の方法でアス
ベスト材層の表面をグルコマンナン水和物でコー
テイングし、その後ケレン棒による剥ぎ落し等の
方法でアスベストを除去する。この際、必要に応
じてグルコマンナンがゲル化するようにPHを調整
する。吹き付けアスベストの除去の際、アスベスト材
層に対しグルコマンナン水和物を添加することに
より該添加したグルコマンナン水和物がゲル化
し、粉塵の発生を抑止し、或いは発生した粉塵が
飛散するのを防止することができる。先にグルコマンナン水和物は、必要に応じてグ
ルコマンナンがゲル化するようにPHを調整すると
述べた。PH調整が不要な場合とは除去すべき対象
吹き付けアスベスト自体がアルカリ建材で構成さ
れている（例えば、セメント−アスベスト材等の
ような石灰使用物）場合であり、或いは、グルコ
マンナン水和物自体のPHは調整せずに、除去すべ
きアスベスト材層に予めアルカリ溶液を注入す
る、グルコマンナン水和物とアルカリ溶液を併用
して噴霧する、グルコマンナン水和物を注入、噴
霧等した後アルカリ溶液を注入、噴霧、塗布する
等の場合が挙げられる。いずれにしても、建造
物、車両などから吹き付けアスベストを除去する
際に、グルコマンナン水和物がゲル化するような
条件下でPHを調整すればよい。なお、グルコマン
ナン水和物をゲル化するようにPHを調整する例は
実施例２にある。アスベスト廃棄物の処理に際してのグルコマン
ナン水和物の使用は、例えばアスベスト廃棄物に
グルコマンナン水和物及び必要に応じてアルカリ
溶液を併用して噴霧しながら梱包し、産業廃棄物
として処理する。尚、グルコマンナン水和物には、他の補強剤を
含有せしめてもよく、このような補助剤の例とし
ては、従来の粉塵飛散防止用薬剤（BWE5000
等）、界面活性剤（ポリエチレングリコールモノ
ラウレート等）、消臭剤等が挙げられるが、本発
明の目的とする効果が妨げられない限り、特にそ
の補助剤の種類等に制限はない。また、本発明方
法と、従来の薬剤液をアスベスト内部に浸潤した
後固化結着する方法等の技術を併用可能なことは
いうまでもない。以下、実施例により本発明を更に説明する。実施例１（吹き付けアスベストの除去組成物）コンニヤク粉（20〜60メツシユ）10Kgを耐湿性
の紙袋に入れ、密封した。実施例２（吹き付けアスベストの除去方法（その１）） (a) グルコマンナン水和物(A)の調整：グルコマンナン0.5重量部、水100重量部を混
和して30分間ゆつくり撹拌し、90分間静置して
膨潤したのち５分間撹拌して、グルコマンナン
水和物(A)を調整した。 (b) グルコマンナン水和物(B)の調整：グルコマンナン２重量部、水100重量部を混
和して30分間ゆつくり撹拌し、90分間静置して
膨潤したのち、Ca（OH）₂0.5％懸濁液10重量部
を添加し５分間混練して、グルコマンナン水和
物(B)とし、20分間以内に噴霧した。これは長時
間おくと噴霧（使用）前にゲル化し、作業性が
悪くなつてしまうことによる。 (c) 吹き付けアスベストの除去：１水和膨潤したグルコマンナン水和物(A)を剥
ぎ落し前の天井及び壁面の吹き付けアスベス
トに噴霧し（噴霧(1)）、約１時間経過した後、
剥ぎ落しを開始した。この目的はグルコマン
ナン水和物(A)が十分滲透することと、吹き付
けアスベストに適用する場合、アスベストに
含まれるアルカリと反応してゲル化させるこ
とにある。２剥ぎ落しする部分に水和物(A)を噴霧しなが
ら（噴霧(2)）、剥ぎ落しを終了した。３剥ぎ落したアスベストにはグルコマンナン
水和物(B)を噴霧しながら（噴霧(3)）、ビニー
ル袋に詰めて、所定の産業廃棄物として処理
した。 (d) 除去作業の結果：１噴霧(1)によるグルコマンナン水和物(A)は、
天井及び壁面の吹き付けアスベスト材（厚さ
10mm）に浸透して、凡そ20分後にはゲル化が
進行しアスベストの表面に弾性コートを形成
して、大気との接触を遮断した。２剥ぎ落しをする部分に適用された噴霧(2)に
よるグルコマンナン水和物(A)は、噴霧(1)によ
るグルコマンナンと融和し、引き裂きや衝撃
等のアスベスト繊維の飛散を解消した。３噴霧(3)によるグルコマンナン水和物(B)は、
床面に落下したアスベストの表面をコートし
て飛散を解消した。４クリーンアツプ清掃に於て、前に剥ぎ落し
た後の壁面、天井及び床にグルコマンナン水
和物(B)を噴霧し30分間放置した後剥ぎ取るこ
とにより、水和物(B)は水濡れを解除し、併せ
て微小遊離物全て粘着し、弾力のあるゲル化
物になつた。５本実施例に於るアスベスト粉塵の濃度を測
定した。結果を第１表に示す。検査方法；作業環境測定法に準拠する下記の方法採取方法：メンブランフイルター捕集（20／
min、15min）計数方法：位相差顕微鏡（400倍）

【表】ていえば測定誤差範囲内であり、実質的に
アスベスト粉塵はない。
実施例３（吹き付けアスベストの除去方法（その２））車両の窓周辺、天井の照明器具周辺及び床部の
合成樹脂タイルの下に５mm〜10mm程度の厚さに吹
き付けたアスベスト及びグラスウールの除去に適
用した。 (a) 実施例２のグルコマンナン水和物(B)を同じ方
法で約60作製した。 (b) グルコマンナン水和物(B)をアスベスト層及び
グラスウール層に１／m²の割合で噴霧機
（GRACO社勢ULTRA−1000）４／minの吐
出量で約15分噴霧し約30分経過した後剥ぎ落し
を開始し約１時間30分で終了した。 (c) 除去作業の結果１該車両に存在する除去対象物のグラスウー
ルは接着剤による固着が強く、吹き付けアス
ベストと共にする剥き落し作業は通常３時間
以上を要したが、PH９以上に調整したグルコ
マンナン水和物(B)を噴霧し30分間湿潤を図つ
た後は接着が緩みケルン棒による剥ぎ落し作
業が容易であつた。２剥ぎ落したアスベストはビニール袋に収納
し所定の産業廃棄物として処理した。（発明の効果）以上により、これまで低迷する吹き付けアスベ
ストの撤去等工事が、本格的に進行する条件を達
成した。本発明の組成物又は方法による粉塵飛散
の解消は既に確認されており、EPA標準工法に
本仕様を併用するに於ても、特に経費負担及び所
要時間の大幅軽減は他に類例を見ない程メリツト
が大きいことが判明した。

Claims

【特許請求の範囲】１建造物非解体時に使用する、有効成分として
グルコマンナンを含有することを特徴とする吹き
付けアスベスト除去用組成物。２建造物非解体時に実施する、グルコマンナン
水和物を接触させることを特徴とする吹き付けア
スベストの除去方法。