JPH08295635A - 胎盤血流量改善剤 - Google Patents

胎盤血流量改善剤

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JPH08295635A
JPH08295635A JP7105656A JP10565695A JPH08295635A JP H08295635 A JPH08295635 A JP H08295635A JP 7105656 A JP7105656 A JP 7105656A JP 10565695 A JP10565695 A JP 10565695A JP H08295635 A JPH08295635 A JP H08295635A
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JP
Japan
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iii
blood stream
fetus
improver
blood flow
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JP7105656A
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English (en)
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Hiroshi Makiyama
浩史 慎山
Toshiaki Shiyou
利明 晶
Takeshi Uchida
武 内田
Masahiro Watanabe
正弘 渡辺
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Mitsubishi Tanabe Pharma Corp
Sanofi Aventis KK
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Hoechst Japan Ltd
Green Cross Corp Japan
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    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ヒト由来アンチトロンビン−III を有効成分
とする胎盤血流量改善剤。 【効果】 ヒト由来アンチトロンビン−III は、哺乳動
物における胎盤血流量の増加作用を有し、特に血流量低
下に起因する子宮胎児発育遅延等に対して改善作用を有
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒト由来アンチトロン
ビン−III (以下、単にAT−III という)を有効成分
とする胎盤血流量改善剤に関する。
【0002】
【従来技術・発明が解決しようとする課題】AT−III
は血漿中に存在するα2 グロブリンに属する糖蛋白質の
一種で、その分子量は65,000〜68,000であ
り、血液凝固系のプロテアーゼ阻害活性を有し、トロン
ビンの凝固活性を強く阻害する。また、トロンビンに対
する阻害作用のみならず、その他の凝固因子、例えば活
性化X因子、活性化IX因子などに対する阻害作用をも有
している。その他、プラスミンやトリプシンに対する阻
害作用があることも報告されている。これらの阻害作用
は、一般にヘパリンの共存下でより速やかに進行するこ
とが知られている。このような薬理作用を有するAT−
III は、凝固異常亢進の補正、具体的には汎発性血管内
凝固症候群(DIC)の治療を目的として用いられてい
る。ところで、子宮内胎児発育遅延(IUGR)、妊娠
中毒症等においては、胎盤の血流量の低下がこれらの疾
患に関与していると考えられ、胎児への悪影響が懸念さ
れる。しかしながら、従来低下した胎盤の血流量を増加
させ改善する薬剤および方法は見出されてなかった。し
たがって胎児を保護する方策としては、母体からの胎児
の切離し、すなわち帝王切開が行われてきた。
【0003】本発明は、AT−III の従来知られていな
かった作用を利用した新規な薬剤を提供することを目的
とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、AT−III に胎盤
血流量の改善作用があることを見出し、本発明を完成す
るに至った。
【0005】即ち、本発明はAT−III を有効成分とす
る胎盤血流量改善剤に関する。
【0006】本発明で使用されるAT−III は、ヒト由
来のもので、医薬として使用できる程度に精製されたも
のであれば特に制限されるものではなく、例えばヒトの
全血、血漿、血清または凝固した血液から圧搾された血
清等から精製することができる。使用される血液として
は、特にHBS 抗原、抗HIV抗体に陰性であり、GT
Pが正常値の2倍以下であるものが好ましい。
【0007】AT−III を調製するための出発原料とし
ては、例えば血漿のコーン分画法における画分IV−1、
画分IV、上清I または上清II+III が使用される。AT
−III の精製法としては、例えば特開昭48−3501
7号明細書、特公昭59−7693号明細書に開示の方
法等が例示される。また、AT−III は細胞培養法(例
えば、特表昭57−500768号公報参照)、遺伝子
工学法(例えば、特開昭58−162529号公報参
照)などにより調製されるものであってもよい。また、
市販のAT−III 製剤(例えば商品名:ノイアート/
(株)ミドリ十字等)を用いることもできる。
【0008】本発明の胎盤血流量改善剤の有効成分であ
るAT−III は、ヒト、イヌ、ウシ、ウマ、マウス、ラ
ット等の哺乳動物における胎盤血流量の低下に対して改
善作用を有し、胎盤血流量低下に起因する疾患、例え
ば、子宮内胎児発育遅延(IUGR)の治療に有効であ
る。本発明の胎盤血流量改善剤は、ヒト由来のAT−II
I を有効成分とするため安全性が高い。
【0009】本発明の胎盤血流量改善剤は、胎盤におけ
る血流量増加作用を有し、それにより胎児へ供給する血
流量を正常化できる薬剤である。
【0010】本発明の胎盤血流量改善剤は、本発明の目
的に反しない限り通常医薬品に用いられる薬理的に許容
される添加剤(例えば、担体、賦形剤、希釈剤等)、安
定化剤または製薬上必要な成分を配合していてもよい。
添加剤、安定化剤としては、糖類、例えばブドウ糖、果
糖等の単糖類、ショ糖、乳糖、麦芽糖等の二糖類、マン
ニトール、ソルビトール等の糖アルコール;クエン酸、
リンゴ酸、酒石酸などの有機酸またはその塩(例えばナ
トリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩);グリシン、
アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸またはその
塩(例えば、ナトリウム塩等);ポリエチレングリコー
ル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合
体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の
界面活性剤;ヘパリン、アルブミン等が挙げられる。
【0011】本発明の胎盤血流量改善剤は、AT−III
と上記成分とを適宜混合し、粉末、顆粒、錠剤、カプセ
ル剤、シロップ剤、注射剤等の態様に調製されて、経口
的または非経口的に投与される。好ましくは、静脈内投
与の態様である。本発明の胎盤血流量改善剤は、特にA
T−III を薬理的に許容される添加剤とともに凍結乾燥
品として調製しておき、用時溶解して使用する態様の製
剤とすることが好ましい。かかる製剤は、使用時に注射
用蒸溜水や滅菌精製水等によって約1〜100AT−II
I 単位/ml溶液として、より好ましくは生理的に等張
な塩濃度および生理的に好ましいpH値(pH6〜8)
に調整される。
【0012】投与量は症状、体重、性別、動物種等によ
って適宜選択すればよく、一般的にヒトの成人に対して
は、AT−III として通常1〜1000単位/kg体重
/日、好ましくは10〜500単位/kg体重/日を1
日1〜数回に分けて投与する。例えば、静脈内投与の場
合10〜100単位/kg体重/日の投与量で投与する
ことが好ましい。本明細書において、AT−III の力価
は、1単位が正常人血漿1ml中に含まれるAT−III
量に相当する。
【0013】
【実験例・実施例】以下、本発明を詳細に説明するため
実験例および実施例を挙げるが、本発明はこれらによっ
て何ら限定されるものではない。
【0014】実験例1 (1)実験方法 妊娠16−20日齢のWister系ラットに、ペントバルビ
タール麻酔(40mg/kg)を施し、左心室内および
右大腿動脈にカテーテルを挿入した。以上の手術操作終
了後、少なくとも1時間放置した後に以下に示す実験を
行った。AT−III (ミドリ十字製)または生理食塩液
は、下記表1に示した所定量を尾静脈内にbolus投
与した後、所定の投与速度でAT−III または生理食塩
液の投与開始時から2時間5分まで持続投与した。
【0015】
【表1】
【0016】AT−III または生理食塩水投与終了直
後、57Coで標識された放射性マイクロスフェアー(直
径15.5±0.1μm)約100,000個を含む生
理食塩水を左心室より注入した。このマクロスフェアー
溶液は、0.01%Tween80を含む生理食塩水
0.5mlに、上記マクロスフェアーを超音波処理して
均一に分散させた分散液である。対照血液となる動脈血
の採取は、マイクロスフェアー溶液を注入する5秒前よ
り0.458ml/minの速さで1分間かけて、右大
腿動脈より行った。対照血液の採取後直ちに開胸し、生
理食塩液250mlを用いて灌流した。血管内の残留血
液を可能なかぎり除去した後、胎盤を摘出し、表面の水
分を除去した後その重量を測定した。
【0017】(2)胎盤血流量の測定 注入したマイクロスフィアー溶液、対照血液および組織
試料中の57Coの放射活性(CPM (counts per minut
e))をγカウンターにより測定し、次式により臓器血流
量を算出した。 臓器血流量=臓器の放射活性(CPM)/対照血液の放
射活性(CPM)×0.458(ml/min)/臓器
重量(g) 対照群およびAT−III 投与群について、それぞれの胎
盤血流量の測定結果(n=7)の平均値を図1のグラフ
に示す。対照群と比べてAT−III 投与群は、著しく血
流量が増加していた。
【0018】実験例2 (1)実験方法 実験例1と同様に手術した動物に、まず線溶系を抑制す
るためにプラスミン阻害剤トラネキサム酸200mg/
kgを静脈内投与した。その後、生理食塩液に溶解した
125 I- フィブリノーゲン0.5μCiを静脈内投与し
た。その後AT−III (ミドリ十字製)または生理食塩
液を、下記表2に示した所定量で尾静脈内にbolus
投与し、その後、所定の投与速度で持続投与した。
【0019】
【表2】
【0020】AT−III または生理食塩液の投与開始の
5分後に、ウサギ脳由来トロンボプラスチン(トロンボ
プラスチン・C、国際試薬製)を9ml/kg/hの投
与速度で左心室内に挿入したカテーテルを介して1時間
注入した。ウサギ脳由来トロンボプラスチンは0.48
ml/mlに調製して用いた。AT−III または生理食
塩液の投与は、組織トロンボプラスチン投与終了後1時
間まで、すなわちAT−III または生理食塩液の投与開
始時から2時間5分まで行った。AT−III または生理
食塩液の投与終了直後、実験例1と同様に57Coで標識
された放射性マイクロスフェアーを注入した。その後、
実験例1と同様に対照血液となる動脈血の採取および胎
盤の摘出を行った。 (2)胎盤血流量の測定 注入したマイクロスフィアー溶液、対照血液および組織
試料中の125 Iおよび 57Coの放射活性をγカウンター
により測定し、実験例1と同様にして胎盤血流量を算出
した。その結果を実験例1の結果と併せて図1のグラフ
に示す。AT−III 投与群は対照群と比べて著しく血流
量が増加していた。
【0021】実験例3 急性毒性(LD50)はマウス、ラットの雌雄による差は
なく、静脈内投与、経口投与とも15000単位/kg
体重以上、皮下投与では20000単位/kg体重以上
であった。また、サル(雄)では静脈内投与で6000
単位/kg体重以上であった。
【0022】実施例1 コーンの冷アルコール分画法で得られた画分IV−1のペ
ースト10kgを生理食塩水100リットルに懸濁し、
硫酸バリウムを5(w/v)%になるように加え、室温
で30分間攪拌し、微量に存在するプロトロンビンを硫
酸バリウムに吸着させて除去した。この上清液をpH
6.5に調整し、ポリエチレングリコール#4000を
13(w/v)%になるように加え、生じた沈殿を遠心
分離して除き、さらにポリエチレングリコール#400
0を30(w/v)%になるように加え、さらに生じた
沈殿を遠心分離して回収した。この沈殿を冷生理食塩水
約20リットルに溶解し、予め生理食塩水で調製された
ヘパリンセファロースを充填したカラムへ注入し、AT
−III をカラムに吸着させた。このカラムを0.4Mの
塩化ナトリウム溶液で洗浄して不純蛋白を除いたのち、
2.0Mの塩化ナトリウム溶液をカラムに流して溶出し
てくる部分を回収した。このAT−III の水溶液にクエ
ン酸ナトリウムを0.6Mの濃度に加え、pH7.8に
調整した後60℃で10時間の加熱処理を施し、続いて
0.9%塩化ナトリウム溶液に対し1夜透析を行いつつ
濃縮してAT−III の1(w/v)%水溶液を得、必要
に応じて濾過または遠心分離を行って透明な液とした。
このAT−III の1(w/v)%水溶液にマンニトール
2(w/v)%とクエン酸ナトリウム0.2(w/v)
%を加え、塩化ナトリウムが0.5%になるように少量
の冷蒸溜水で希釈し、1Nの水酸化ナトリウムでpH
7.6に調整した後、滅菌したミリポアフィルターで除
菌濾過し、500単位ずつ分注し、凍結乾燥を行って乾
燥製剤とした。
【0023】実施例2 1バイアル中、 AT−III 500単位 マンニトール 200mg 塩化ナトリウム 50mg クエン酸ナトリウム 52mg よりなる凍結乾燥品を用時20mlの注射用蒸溜水に溶
解して、静注用製剤とした。
【0024】
【発明の効果】AT−III は、哺乳動物における胎盤血
流量の増加作用を有し、特に血流量低下に起因する子宮
胎児発育遅延(IUGR)等に対して改善作用を有す
る。本発明の胎盤血流量改善剤によれば、胎盤の血流量
を増加させることにより疾患における胎児の保護が可能
となり、母体中での胎児の正常発育が可能となる。さら
に、本発明の胎盤血流量改善剤はヒト由来のAT−III
を有効成分とするため、母体および胎児への安全性が高
い。従って、本発明の胎盤血流量改善剤は胎児発育遅延
(IUGR)等の有用かつ安全な治療剤として用いるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例1および実験例2において測定した胎盤
血流量を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 武 大阪府枚方市招提大谷2丁目25番1号 株 式会社ミドリ十字中央研究所内 (72)発明者 渡辺 正弘 大阪府枚方市招提大谷2丁目25番1号 株 式会社ミドリ十字中央研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト由来アンチトロンビン−III を有効
    成分とする胎盤血流量改善剤。
JP7105656A 1995-04-28 1995-04-28 胎盤血流量改善剤 Pending JPH08295635A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7105656A JPH08295635A (ja) 1995-04-28 1995-04-28 胎盤血流量改善剤
EP96106439A EP0739633A3 (en) 1995-04-28 1996-04-24 Use of antithrombin III to increase placental blood flow
US08/637,288 US5888964A (en) 1995-04-28 1996-04-24 Method for increasing placental blood flow

Applications Claiming Priority (1)

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JP7105656A JPH08295635A (ja) 1995-04-28 1995-04-28 胎盤血流量改善剤

Publications (1)

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JPH08295635A true JPH08295635A (ja) 1996-11-12

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ID=14413494

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EP (1) EP0739633A3 (ja)
JP (1) JPH08295635A (ja)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004064825A1 (ja) * 2003-01-22 2004-08-05 Kissei Pharmaceutical Co., Ltd. 子宮内胎児発育遅延又は妊娠中毒症の予防又は治療剤

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Publication number Publication date
EP0739633A3 (en) 1999-01-20
US5888964A (en) 1999-03-30
EP0739633A2 (en) 1996-10-30

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