JPH06256213A - ヒト由来アンチトロンビン−iiiの医薬用途 - Google Patents

ヒト由来アンチトロンビン−iiiの医薬用途

Info

Publication number
JPH06256213A
JPH06256213A JP5042830A JP4283093A JPH06256213A JP H06256213 A JPH06256213 A JP H06256213A JP 5042830 A JP5042830 A JP 5042830A JP 4283093 A JP4283093 A JP 4283093A JP H06256213 A JPH06256213 A JP H06256213A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
iii
medicine
improving
body weight
human
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5042830A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Okajima
研二 岡嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Tanabe Pharma Corp
Original Assignee
Green Cross Corp Japan
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Green Cross Corp Japan filed Critical Green Cross Corp Japan
Priority to JP5042830A priority Critical patent/JPH06256213A/ja
Publication of JPH06256213A publication Critical patent/JPH06256213A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ヒト由来アンチトロンビン−III を有効成分
としてなる成人呼吸促進症候群治療剤。ヒト由来アンチ
トロンビン−III を有効成分としてなる微小循環改善
剤。 【効果】 ヒト由来アンチトロンビン−III は肺血管内
皮細胞傷害の抑制作用を有し、成人呼吸促迫症候群治療
剤および微小循環改善剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成人呼吸促迫症候群治
療剤および微小循環改善剤に関する。さらに詳しくはヒ
ト由来アンチトロンビン−III (以下、単にAT−III
という)を有効成分としてなる成人呼吸促迫症候群治療
剤および微小循環改善剤に関する。
【0002】
【従来技術・発明が解決しようとする課題】AT−III
は血漿中に存在するα2 グロブリンに属する糖蛋白質の
一種で、その分子量は65,000〜68,000であ
り、プロテアーゼ阻害活性を有し、トロンビンの凝固活
性を強く阻害する。また、トロンビンに対する阻害作用
のみならず、その他の凝固因子、例えば活性化X因子、
活性化IX因子などに対する阻害作用をも有している。そ
の他、プラスミンやトリプシンに対する阻害作用のある
ことも報告されている。これらの阻害作用は、一般にヘ
パリンの共存下でより速やかに進行することが知られて
いる。このような薬理作用を有するAT−III は、凝固
異常亢進の補正、具体的には汎発性血管異常症(DI
C)の治療を目的として用いられるものである。
【0003】本発明は、AT−III の従来知られていな
かった作用を利用した薬剤を提供することを目的とす
る。つまり、当該AT−III を他の医薬用途に使用する
ことを意図するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、AT−III が肺血
管内皮細胞傷害の抑制作用を有することを見出し、本発
明を完成したものである。
【0005】即ち、本発明は、AT−III を有効成分と
してなる成人呼吸促迫症候群治療剤である。また、本発
明は、AT−III を有効成分としてなる微小循環改善剤
である。
【0006】本発明で使用されるAT−III は、ヒト由
来のもので、医薬として使用できる程度に精製されたも
のであれば特に制限されるものではなく、例えばヒトの
全血、血漿、血清または凝固した血液から圧搾された血
清等から精製することができる。
【0007】AT−III を調製するための出発原料とし
ては、例えばコーンの冷エタノール法で得られる画分IV
−1が使用される。AT−III の精製法としては、例え
ば特開昭48−35017号明細書、特公昭59−76
93号明細書に開示の方法等が例示される。
【0008】本発明の成人呼吸促迫症候群治療剤および
微小循環改善剤においては、AT−III 単独の態様で使
用される。
【0009】本発明の成人呼吸促迫症候群治療剤および
微小循環改善剤の有効成分であるAT−III は、ヒト、
イヌ、ウシ、ウマ、マウス、ラット等の哺乳動物に対し
て、肺血管内皮細胞傷害の抑制作用を有するものであ
る。従って、例えば前記動物等の成人呼吸促迫症候群に
対応する肺血管内皮細胞傷害に対する治療効果および微
小循環の改善効果を有するものである。
【0010】本発明の成人呼吸促迫症候群治療剤および
微小循環改善剤は、AT−III を、薬理的に許容される
添加剤(例えば、担体、賦形剤、希釈剤等)等、製薬上
必要な成分と適宜混合し、粉末、顆粒、錠剤、カプセル
剤、シロップ剤、注射剤等の態様で、経口的または非経
口的に投与することができる。特に、AT−III を薬理
的に許容される添加剤とともに凍結乾燥品として調製し
ておき、用時溶解する製剤とすることが好ましい。かか
る製剤は、例えば、注射用蒸溜水によって希釈してAT
−III の約1〜100単位/ml溶液を調製し、より好ま
しくは生理的に等張な濃度に塩濃度を調製して静脈投与
される。
【0011】投与量は症状、体重、性別、動物種等によ
って適宜選択すればよく、一般的にヒトの成人に対して
は、通常1〜1000単位/kg体重/日、好ましくは1
0〜100単位/kg体重/日を1日1〜数回に分けて投
与する。本明細書において、AT−III の力価は、1単
位が正常人血漿1ml中に含まれるAT−III 量に相当す
る。
【0012】
【実施例】以下、本発明を詳細に説明するため実施例お
よび実験例を挙げるが、本発明はこれらによって何ら限
定されるものではない。
【0013】実験例1:AT−III による肺血管内皮細
胞傷害の抑制作用 Wistar系ラット(体重180-220g)数匹にAT−III (2
50単位/kg体重)を経静脈的に投与し、30分後にエ
ンドトキシン(ET)5mg/kgおよび125 I −牛血清ア
ルブミン(2.0 ×10 5 cpm)を投与し、その6時間後に
肺および血液中の125 I −牛血清アルブミンの放射活性
をγ線シンチレーションカウンターにより測定した。そ
して肺/血液放射活性を下記の数1に従って算出し、肺
血管内皮細胞傷害(肺血管内皮細胞透過性亢進)の指標
とした。また同様にして、ヘパリン(300u/kg)単独
を投与した場合、AT−III とヘパリンを併用した場合
における肺血管内皮細胞傷害についても観察した。
【0014】
【数1】
【0015】この結果を図1に示す。ET投与後には、
ラット肺には組織学的に小血管内の白血球浸潤と血管周
囲浮腫が認められた。図1から、このETによる肺血管
内皮細胞傷害は、AT−III投与によりほぼ完全に抑制
されたことがわかる。しかし、ヘパリンの単独投与はこ
の血管内皮傷害を抑制しえず、また、AT−III とヘパ
リンを併用した場合には、AT−III の血管内皮傷害抑
制効果が顕著に低下した。なお、ヘパリンそのものは血
管内皮傷害をもたらさなかった。
【0016】実験例2:AT−III による血中PGI2
増加作用 重症感染症でAT−III 低下を伴う症例(6例)に、A
T−III (30単位/kg体重)を経静脈的に投与し、6
−keto−PGF 1 α(循環改善作用および抗血小板作用を
有するPGI2 の代謝産物)の血中濃度をRIA法によ
り測定した。その結果を図2に示す。なお、図中の●は
ヘパプラスチンが70%未満であること(肝機能低下)
を、○はヘパプラスチンが70%以上であること(肝機
能正常)を示す。
【0017】これからわかるように、(6例中4例で)
6−keto−PGF 1 αの血中濃度の上昇が認められた。こ
れら(4例中3例)においてはDICが認められず、こ
のAT−III によるPGI2 増加作用は、凝固系の活性
化調節以外の機序によると考えられる。また、PGI2
が増加すれば肝機能も向上することが認められた(4例
中3例)。以上のことから、重症感染症での臓器障害発
症機序にAT−III の低下とそれに伴う血管内皮細胞か
らのPGI2 放出低下が密接に関わっている可能性が示
された。つまり、AT−III はこれらの病態における臓
器障害に対して上述の機序で微小循環を改善し、臓器障
害の治療に有用であると考えられる。
【0018】実験例3:AT−III による血管拡張作用 Wistar系ラット(体重240g)から摘出した大動脈標本を
フェニレフリンで収縮させた後、生理的濃度のAT−II
I (1単位/ml)溶液でかん流し、その拡張性をトラン
スデューサーを用いて測定した。その結果を図3に示
す。なお、AT−III 、ヘパリン、AT−III ・ヘパリ
ン併用については、それぞれ3例ずつ、インドメタシン
については濃度を変化させて測定した。また、図3にお
いて、縦軸は張力、横軸は時間を示し、かん流前の値
(張力)を0とした。AT−III でかん流したものはコ
ントロールに比べて有意な血管拡張が認められた。ま
た、ヘパリン(1000u/ml)でかん流した場合には血
管拡張に有意な影響はみられず、ヘパリンとAT−III
を同時にかん流するとAT−III の血管拡張効果は消失
した。また、インドメタシン処理によりAT−III の血
管拡張効果は消失した。上記結果から、AT−III は血
管内皮細胞のPGI2 放出を促進させ、血管拡張作用を
発揮するものと考えられる。このことは、AT−III が
臨床病態でも微小循環を改善させ、臓器不全に対して有
用である可能性を示す。
【0019】実験例4 急性毒性(LD50)はマウス、ラットの雌雄による差は
なく、静脈内投与、経口投与とも15000単位/kg体
重以上、皮下投与では20000単位/kg体重以上であ
った。また、サル(雄)では静脈内投与で6000単位
/kg体重以上であった。
【0020】実施例1 コーンの冷アルコール分画法で得られた画分IV−1のペ
ースト10kgを生理食塩水100リットルに懸濁し、硫
酸バリウムを5(W/V)%になるように加え、室温で30分
間撹拌し、微量に存在するプロトロンビンを硫酸バリウ
ムに吸着させて除去した。この上清液をpH6.5に調
整し、ポリエチレングリコール#4000を13(W/V)%
になるように加え、生じた沈澱を遠心分離して除き、さ
らにポリエチレングリコール#4000を30(W/V)%に
なるように加え、生じた沈澱を遠心分離して回収した。
この沈澱を冷生理食塩水約20リットルに溶解し、予め
生理食塩水で調製されたヘパリンセファロースのカラム
へ注入し、AT−III をカラムに吸着させた。このカラ
ムを0.4Mの塩化ナトリウム溶液で洗浄して不純蛋白
を除いたのち、2.0Mの塩化ナトリウム溶液をカラム
に流して溶出してくる部分を回収した。このAT−III
の水溶液にクエン酸ナトリウムを0.6Mの濃度に加
え、pH7.8に調整した後60℃で10時間の加熱処
理を施し、続いて0.9%塩化ナトリウム溶液に対し1
夜透析を行いつつ濃縮してAT−III の1(W/V)%水溶液
を得、必要に応じて濾過または遠心分離を行って透明な
液とした。このAT−III の1(W/V)%水溶液にマンニト
ール2(W/V)%とクエン酸ナトリウム0.2(W/V)%を加
え、塩化ナトリウムが0.5%になるように少量の冷蒸
溜水で希釈し、1Nの水酸化ナトリウムでpH7.6に
調整した後、滅菌したミリポアフィルターで除菌濾過
し、500単位づつ分注し、凍結乾燥を行って乾燥製剤
とした。
【0021】実施例2 1バイアル中、 AT−III 500単位 マンニトール 200mg 塩化ナトリウム 50mg クエン酸ナトリウム 52mg よりなる凍結乾燥品を用時10mlの蒸溜水に溶解して、
静脈用製剤とした。
【0022】
【発明の効果】AT−III は肺血管内皮細胞傷害の抑制
作用を有し、成人呼吸促迫症候群治療剤および微小循環
改善剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ARDS誘発モデルにおけるAT−III の効果
を示す図である。
【図2】AT−III の投与前後における6−keto−PGF
1 αの血中濃度を示す図である。
【図3】AT−III の血管拡張作用を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト由来アンチトロンビン−III を有効
    成分としてなることを特徴とする成人呼吸促迫症候群治
    療剤。
  2. 【請求項2】 ヒト由来アンチトロンビン−III を有効
    成分としてなることを特徴とする微小循環改善剤。
JP5042830A 1993-03-03 1993-03-03 ヒト由来アンチトロンビン−iiiの医薬用途 Pending JPH06256213A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5042830A JPH06256213A (ja) 1993-03-03 1993-03-03 ヒト由来アンチトロンビン−iiiの医薬用途

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5042830A JPH06256213A (ja) 1993-03-03 1993-03-03 ヒト由来アンチトロンビン−iiiの医薬用途

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06256213A true JPH06256213A (ja) 1994-09-13

Family

ID=12646888

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5042830A Pending JPH06256213A (ja) 1993-03-03 1993-03-03 ヒト由来アンチトロンビン−iiiの医薬用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06256213A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1995019789A1 (fr) * 1994-01-21 1995-07-27 The Green Cross Corporation Agent de prevention ou de traitement des troubles moteurs
JP2005527570A (ja) * 2002-04-01 2005-09-15 ジーティーシー バイオセラピューティックス インコーポレイテッド 肺障害の治療

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1995019789A1 (fr) * 1994-01-21 1995-07-27 The Green Cross Corporation Agent de prevention ou de traitement des troubles moteurs
JP2005527570A (ja) * 2002-04-01 2005-09-15 ジーティーシー バイオセラピューティックス インコーポレイテッド 肺障害の治療

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5519090B2 (ja) 細菌感染の治療のためのダルババンシンの投与方法
WO1997027870A1 (fr) Medicaments prevenant ou guerissant la thrombopenie
GB2112641A (en) The use of peptides as medicaments
CA2623518C (en) Method for treating or preventing ischemia reperfusion injury or multi-organ failure
JP2002534477A (ja) メラガトランの新規使用
JP2006528208A (ja) コンプリメント5a受容体阻害剤を使用する出血ショックの処置
JPH06256213A (ja) ヒト由来アンチトロンビン−iiiの医薬用途
JPH11269076A (ja) 抗線維化剤
JP3820607B2 (ja) アンチトロンビン−iiiの液状製剤およびその保存安定化方法
JPH0840893A (ja) インターロイキン−1産生抑制剤
JPH08109140A (ja) 高血圧症予防治療剤
CN108685907B (zh) 防治肾损伤的化合物
JP2004531552A (ja) 高度に精製されたアンチエンドトキシン化合物
TW200306811A (en) Medicinal compositions for inhibiting tryptase
JPH08782B2 (ja) 抗炎症剤
KR20170006938A (ko) 만성 신부전의 예방 또는 치료용 조성물
JP4053107B2 (ja) 血小板減少症の予防剤および治療剤
US20030007959A1 (en) Oral methods of treatment
WO2023245470A1 (zh) Mdp类似物在制备用于治疗炎症性肠病的药物中的用途
JPH05331063A (ja) エンドセリン受容体拮抗剤
US5888964A (en) Method for increasing placental blood flow
JPH01294622A (ja) 白血球の粘着又は凝集抑制剤
JP3806945B2 (ja) ヒト由来アンチトロンビン−iiiの新規用途
JPH07316072A (ja) 妊娠中毒症治療剤
Sinha et al. Myocardial infarction after accidental minoxidil poisoning

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040323