JP5519090B2 - 細菌感染の治療のためのダルババンシンの投与方法 - Google Patents

細菌感染の治療のためのダルババンシンの投与方法 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
発明の分野
本願は、ダルババンシン組成物ならびに細菌感染の治療方法におけるかかる組成物の使用方法に関する。
関連出願の相互参照
本願は、2002年11月18日出願の米国仮出願第60/427654号、2003年7月8日出願の米国仮出願第60/485694号、2003年8月13日出願の米国仮出願第60/495048号、および2003年8000月19日出願の米国仮出願第60/496483号の利益を主張し、これらすべての開示を本明細書に一体化させる。
発明の背景
U.S. Center for Disease Control and Preventionによれば、院内血流感染は米国における死因の最たるものである。毎年市米国において700万人の中央動脈カテーテル挿入患者(CVCs)の約5%が少なくとも1回は血流感染の関連している(1年に約350000人)。カテーテルに関連した血流感染は、細菌が静脈カテーテルを通して血流に侵入したときに起こり、致命的となりうるものである。
皮膚および軟組織感染(SSTIs)はありふれた医学的症状であり、しばしば外傷または手術の結果生じるものである。スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)およびストレプトマイセス・ピオゲネス(Streptomyces pyogenes)は深組織感染患者から最も頻繁に単離される病原菌であるが、健康な皮膚に見出されるそれらを包含する病原性生物もまた感染を引き起こしうる。多くのSSTIsは症状が軽度ないし中度であり、経口抗微生物剤および局所洗浄でうまく処置可能である。対照的に、元々存在する危険因子(例えば、血管損傷、糖尿病)を有する患者に頻繁に発症するより重症または合併した感染ならびに/あるいは処置困難または多剤耐性細菌により引き起こされる感染は、強力な静脈内抗微生物療法および攻撃的な外科的壊死組織切除法を必要とする可能性がある。
スタフィロコッカスは臨床上および治療上問題であり、1960年代はじめから院内感染との関わりが増加している。コアグラーゼ陽性(coagulase-positive)種メチシリン耐性(methicillin-resistant)スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)(MRSA)は地域社会および院内感染の両方において長い間問題となっており、数種のコアグラーゼ陰性スタフィロコッカスがヒトの日和見感染病原体として認識されており、特に、意図的なケアユニットにおける重症患者の治療において問題である;臨床的に問題となるもう1つの主な病因は、世界の多くの部分において単離されることが多くなっているペニシリン耐性(penicillin resistant)ストレプトコッカス・ニューモニアエ(Streptococcus pneumoniae)株である。
糖ペプチド抗生物質であるバンコマイシンおよびテイコプラニンは、他剤耐性グラム陽性病原体、特にMRSA、コアグラーゼ陰性シタフィロコッカス(CoNS)およびエンテロコッカス(enterococci)により引き起こされる重症の院内感染に対して使用されている。バンコマイシンおよびテイコプラニンはMRSAにより引き起こされる感染に使用されており、最近まで、すべての単離体は等しく感受性を有していた。しかしながら、テイコプラニンならびにバンコマイシンに対して中程度の感受性または耐性を有するスタフィロコッカス・アウレウス株の単離が現在報告されることが多くなっている。耐性の機構により「VanA」、「VanB」または「VanC」に分類される多くのバンコマイシン耐性株が報告されている。したがって、別の治療選択肢が必要である。
テイコプラニンは、大部分のグラム陽性細菌に対して、少なくともバンコマイシンと同程度に活性があり、副作用を引き起こすことが少ないと思われている。いずれの治療形態も、完全な回復を望むのであれば少なくとも1日1回の投与を必要とする。現在、これらの病原菌のいくつかにより引き起こされる重症の感染に対する治療選択肢は極めて限られている。バンコマイシンに対して生じてくるグラム陽性病原体の耐性に対して、有効性の向上した新たな抗生物質の利用が非常に望まれている。
さらに、患者の快適さを向上させるには、現在用いられている療法よりも頻繁でない投与規則、例えば、静脈内または筋肉内の抗生物質投与が望まれるであろう。非経口手段による1日複数回の抗生物質投与が必要であるために入院が必要となり、外来患者に対してより回数の少ない投与を行うことが有利である。
より回数の少ない投与が抗生物質投与規則に望ましい特徴であるが、処置すべき患者における重大な副作用を引き起こすことにより処置を危険なものにすることなく大量の1回分用量を投与できるには、投与された抗生物質の「ファーマシューティカル・ウィンドウ(pharmaceutical window)」、すなわち毒性プロファイルが十分に許容されるものでなくてはならない。さらに、抗生物質が適切なファーマシューティカル・ウィンドウを示す場合でさえ、抗生物質が適切な半減期を示して所望投与間隔において治療有効性を維持する場合にのみ、より回数の少ない投与が可能である。抗生物質の血清中での半減期は、インビボでの薬剤の寿命、ならびに血清レベルが細菌を殺すのに有効な最小のレベルに到達する場合の投与後の時間の両方を決定する。抗生物質の第1回投与後の血清中の最小レベルは、インビボにおいて細菌を殺す抗生物質の最小レベルを保持するように投与されるべきさらなる用量を決定する。
上記のことに鑑みると、1種またはそれ以上の抗生物質耐性細菌株、特にMRSAに対して活性のある抗生物質であって、5〜7日またはそれより長い期間に1回の間隔で投与しうる抗生物質は商業的に価値があり、当該分野において長い間感じられていた必要性を満足するものであろう。
発明の概要
本発明は、ダルババンシンを用いる、細菌感染の治療または予防のための組成物、方法およびキットを提供する。驚くべきことに、ダルババンシンの安定化処方は、5〜7日またはそれ以上の期間に約1回の治療規則を可能にするファーマシューティカル・ウィンドウならびに長い半減期を示し、その一方でインビボにおいて抗細菌特性を保持することが示された。
したがって、1の態様において、少なくとも5日間個体においてダルババンシンの治療上または予防上有効な血漿レベルを提供するに十分な量のダルババンシンの1回分用量、安定化剤、および医薬上許容される担体を含む医薬組成物が提供される。
一般的には、本発明の医薬組成物は、医薬上許容される水性処方のごとき個体への投与のための医薬上許容される形態に処方される。好ましくは、かかる医薬組成物は非経口投与、例えば静脈内または筋肉内経路により投与される。したがって、この好ましい具体例において、典型的にはこれらの医薬組成物は滅菌されたものである。
いくつかの具体例において、ダルババンシンの1回分用量は乾燥粉末(例えば、凍結乾燥)形態で提供され、個体への投与前に、滅菌水性処方のごとき医薬上許容される担体中に復元される。1の具体例において、医薬上許容される担体は水中5%ブドウ糖を包含する。本発明の医薬組成物を、細菌感染の治療または予防を必要とするヒトのごとき哺乳動物に投与してもよい。いくつかの具体例において、医薬組成物は、グラム陰性細菌に対して有効な(例えば、殺菌性の)抗生物質および/またはダルババンシンが有効でないグラム陽性種、例えばVanAバンコマイシン耐性細菌株に対して有効な抗生物質のごとき、ダルババンシンでない少なくとも1種の抗生物質を含んでいてもよい。
1種またはそれ以上の安定化剤を用いて、個体の投与する前の乾燥粉末(例えば、凍結乾燥)処方および/または水性処方として保存される間の1種またはそれ以上のダルババンシン成分の分解を抑制する。時間が経つと、分解により、あまり活性のないおよび/または不活性な組成物の望ましくない処方が生じ、それはインビボにおける副作用の影響を潜在的に引き起こしうる。好ましい安定化剤は、糖類または糖アルコールのごとき非イオン性成分、例えば単糖、二糖または多糖、あるいはそれらの誘導体、例えば、マンニトール、乳糖、ショ糖、ソルビトール、グリセロール、セルロース、トレハロース、マルトース、またはブドウ糖、あるいはそれらの混合物を包含する。
もう1つの態様において、少なくとも5日間個体においてダルババンシンの治療上有効な血漿レベルを提供するに十分な量のダルババンシンの1回分用量、および医薬上許容される担体を含む、細菌感染の治療を必要とする個体における細菌感染の治療方法が提供される。一般的には、ダルババンシンの治療上有効量の血漿レベルは血漿1リットルあたり少なくとも約4mgのダルババンシンである。1の具体例において、投与されるダルババンシンの用量は、臨床的に有効で、かつテイコプラニンおよびバンコマイシンのごとき薬剤での標準的なケアと比較して副作用が減じられる量である。
ダルババンシンを1回分としてあるいは複数回分にわけて投与してもよい。いくつかの具体例において、約100mgないし約4000mg、例えば3000mgのダルババンシンの1回分用量を投与する。種々の具体例において、1回分のダルババンシンの用量は少なくとも約0.1、0.25、0.5、1、1.5、2、2.5または3グラムのいずれかを含んでいてもよい。
他の具体例において、5日ないし10日の間隔を置いて2回投与してもよい。1回目の用量は約500ないし約5000mgのダルババンシンであってもよく、2回目の用量は約250mgないし2500mgのダルババンシンであってもよい。しばしば、1回目の用量は、2回目の用量に含まれるダルババンシン量の約1.5ないし約3倍、頻繁には少なくとも約2倍の量を含む。例えば、1回目の用量は約1000mgのダルババンシンであってもよく、2回目の用量は約500mgのダルババンシンであってもよい。2つの用量が投与される方法において、2回目の投与前の個体血漿中のダルババンシンの最小レベルは、一般的には、血漿1リットル中少なくとも約4mg、しばしば少なくとも約10mg、頻繁には少なくとも約20mg、より頻繁には少なくとも約30mg、さらにより頻繁には少なくとも40mgのダルババンシンである。
しばしば、本発明の方法は非経口投与、例えば、静脈投与を包含する。いくつかの具体例において、投与は、少なくとも30分またはそれ以上かけて投与が行われるように投与速度を制御した静脈投与である。
本発明の方法を用いて、例えば、スタフィロコッカス・アウレウスまたはストレプトコッカス・ピオゲネスによる皮膚および軟組織感染のごときグラム陽性細菌感染症を処置してもよい。いくつかの具体例において、感染症はペニシリン耐性および/または多剤耐性である。
もう1つの態様において、細菌感染の予防方法が提供され、該方法は、少なくとも1日間、3日間、5日間、1週間、または10日間もしくはそれ以上の間、個体において予防的に有効なダルババンシンの血漿レベルを提供するに十分な量の少なくとも1の1回分用量のダルババンシンおよび医薬上許容される担体を投与することを含む。ダルババンシンの用量は、例えば、約100mgないし約10000mgであってもよい。いくつかの具体例において、ダルババンシンを、医学的処置または入院の前、それらの期間中、または後に投与する。
本発明の治療または予防方法は、ダルババンシンでない少なくとも1種の抗生物質、好ましくはグラム陽性細菌に対して有効な抗生物質および/またはダルババンシンが有効でないグラム陰性株、例えばVanA株に対して有効な抗生物質の投与を包含してもよい。
もう1つの態様において、個体において少なくとも約5日間の治療上有効なダルババンシン血漿レベルあるいは少なくとも約1日間の予防上有効なダルババンシン血漿レベルを提供するに十分な量の少なくとも1の1回分用量のダルババンシン、ならびに細菌感染の治療または予防方法に使用するための説明書を含むキットが提供される。キットは、2の1回分用量を含んでいてもよく、第1のダルババンシン用量が第2のダルババンシン用量の1.5ないし3倍、しばしば少なくとも約2倍であってもよい。キットはダルババンシンでない抗生物質、好ましくはグラム陰性細菌に対して有効な抗生物質を含んでいてもよい。
1の具体例において、乾燥粉末(例えば、凍結乾燥)ダルババンシン組成物を入れた第1の容器およびダルババンシン組成物と混合される前もって決められた量の生理学的に許容される水溶液を入れた第2の容器を含むキットが提供される。好ましくは、かかる溶液は滅菌水溶液である。1の具体例において、キットは、ダルババンシン組成物を個体に投与するためのデリバリー手段、例えば、シリンジまたは静脈投与手段を含む。
発明の詳細な記述
本発明は、ダルババンシンの改良された投与規則および新規組成物、ならびに抗生物質耐性細菌感染の改良された処置方法を提供する。詳細には、本発明は、1種またはそれ以上の抗生物質に耐性のある株、例えばMRSAに対して活性のあるダルババンシン組成物を提供し、それは5〜7日あるいはそれより長い時間に1回の投与規則にて投与されうる。
学術文献においてBI397またはVER001とも呼ばれているダルババンシンは、半合成糖ペプチド混合物であり、その特性は米国特許第5606036号、第5750509号および第5935238号に報告されている。
本明細書の用語「ダルババンシン」は、以下に説明するような「A」、「A」、「B」、「B」、「C」および「C」と呼ばれる1種またはそれ以上の、好ましくは2種またはそれ以上の、密接に関連したホモログ、あるいはそれらの単量体、多量体(すなわち、二量体またはより高次の多量体)、互変異性体、エステル、溶媒和物、または医薬上許容される塩を含有する組成物をいう。本明細書の用語「二量体」または「多量体」は、ホモ二量体またはホモ多量体、すなわち、同じダルババンシンホモログの単量体から構成される二量体または多量体、あるいはヘテロ二量体またはヘテロ多量体、すなわち、異なる少なくとも2種のダルババンシンホモログの単量体から構成される二量体または多量体をいう。ダルババンシンは、しばしば、「MAG」、すなわち以下に説明する非相同変種を包含する。個々に、ダルババンシンホモログおよびMAGは本明細書において、時々、「ダルババンシン成分」と呼ばれる。
ダルババンシンは、Malabarba and Donadio (1999) Drugs of the Future 42(8):839-846に記載されたように、天然糖ペプチド複合体A−40926の化学修飾により調製される。ダルババンシンの主要成分は因子Bであり、複合体全体の75%よりも多くを占める。
ダルババンシン組成物中に存在する各成分の量は、例えば、ダルババンシン前駆体である天然糖ペプチド複合体A−40926の製造に用いられる発酵条件(例えば、米国特許第5843679号参照)、発酵ブロスからA−40926を回収するのに用いられる条件、A−40926の糖部分のカルボキシル基を選択的にエステル化するのに用いられる化学反応、ペプチジルカルボキシル基をアミド化するのに用いられる条件、N−アシルアミノグルクロン酸官能基のカルボキシル基のエステルをケン化するのに用いられる条件、合成混合物からダルババンシンを回収するのに用いられる条件等を包含する種々の因子により決定される。
好ましい具体例において、ダルババンシン組成物は、少なくとも約80ないし約98重量%のB成分を含む。特に好ましい具体例において、ダルババンシン組成物は下記の量のBを含む。
Figure 0005519090

1 各範囲はMAGを含むダルババンシン組成物中に存在するダルババンシン全成分に対するB0のモル%を示す
数種のダルババンシン成分の化学構造を下式Iに示す:
Figure 0005519090
Figure 0005519090
上記ダルババンシン成分のずべてが多くのグラム陽性細菌に対する殺菌活性を有する。しかしながら、「MAG」と称される1の非相同ダルババンシン成分は、他の成分には存在するアシルグルコロナミン部分を欠き、インビボおよびインビトロの両方において他のダルババンシン成分よりも殺細菌活性が低い。MAGは1またはそれ以上の他のダルババンシン成分の分解産物であると考えられる。したがって、好ましい具体例において、ダルババンシン中のMAGの量は、MAGを含めて存在するすべてのダルババンシン成分の4、3.5、3、2.5、2、1.5、1または0.5モルパーセント未満である。
ダルババンシンは、ペプチドグリカンのD−アラニル−D−アラニン−終結前駆体に結合することにより細菌細胞壁の生合成を阻害すると考えられている。ダルババンシンの二量体またはより高次の多量体は、親油性側鎖と細菌の細胞質膜との相互作用により、さらに抗細菌特性を有する可能性がある。例えば、Malabarba and Ciabatti, et al. (2001) Current Medical chemistry 8:1759-1773参照。ダルババンシン多量体に関するさらなる研究は、代理人処理番号34231−20052.00であり本願と同時出願の「細菌感染の治療のためのダルババンシン組成物」と題された米国出願第10/ 中に見出され、その開示を参照により本明細書に記載されているものとする。
インビトロにおいて、非臨床的および臨床的なデータは、ダルババンシンがMRSAおよびCoNSならびにすべてのストレプトコッカスおよび非VanAエンテロコッカス種(バンコマイシンにほとんど感受性でない、あるいは耐性のVanBおよびVanC表現型を包含)により引き起こされる重症のグラム陽性感染症の処置に有益であることを示している。
ダルババンシンは、インビトロにおいてスタフィロコッカス(いくつかのテイコプラニン耐性株を包含)に対して、テイコプラニンおよびバンコマイシンよりも活性がある。ダルババンシンは、ペニシリン耐性株を包含するストレプトコッカスに対して、テイコプラニンまたはバンコマイシンよりも良好な活性を有する。ダルババンシンは、インビボおよびインビトロにおいて、大部分の薬剤耐性株を包含する多くのグラム陽性細菌に対して活性がある。
典型的には、ダルババンシンはダルババンシン組成物として個体に投与される。本明細書の用語「ダルババンシン組成物」または「ダルババンシン処方」は上で定義したダルババンシンおよび1またはそれ以上の他の非ダルババンシン成分、例えば医薬上許容される担体、安定化剤、バッファーまたは他の類似の成分のごとき成分を含む組成物、典型的には、医薬組成物をいう。
実施例1に示すように、ダルババンシンは1週間の投与間隔において有効である。かくして、他の処置オプションに対するダルババンシンの利点は、1週間に1回を基本としたこの抗生物質の投与が可能なことにより、患者のコンプライアンスを最大にし、非経口的抗生物質投与に関連する入院の必要性を潜在的に最小化し、あるいは入院期間を短縮させることである。投与頻度が少ないことは、しばしば通院による患者の治療を可能にし、かくして治療コストを削減する。さらに実施例1に示すように、1回目の投与から約1週間後のダルババンシンの2回目の投与は1回目の用量の約半分であるが、意外なことに、処置効果の有意な改善をもたらす。
使用方法
細菌感染の処置が必要な個体へのダルババンシンの投与方法が提供される。処置は、予防、治療または治癒を包含しうる。方法は、治療上または予防上有効量の1またはそれ以上のダルババンシン1回分用量の投与を包含する。
本明細書の用語「治療上有効量」は、所望の治療結果(例えば、細菌感染の軽減または除去)を生じさせるであろうダルババンシンの量をいう。治療上有効量を1回またはそれ以上の回数で投与してもよい。「予防上有効量」は、例えば、医学的方法または入院により、あるいは細菌感染している個体の曝露されることにより細菌感染の可能性のある、あるいは細菌感染に接触する可能性のある個体に投与した場合、将来の細菌感染を予防し、あるいは症状の重さを軽減するに十分なダルババンシンの量をいう。一般的には、ダルババンシンは医薬上許容される担体中にて投与される。
ダルババンシンは、しばしば塩酸塩として投与され、それは水によく溶解する。
典型的には、ダルババンシンをダルババンシン処方として、個体に投与した場合に数日間、しばしば少なくとも約5日間、1週間、あるいは10日間、治療的あるいは予防的に有効なダルババンシンの血漿レベルを提供するに十分なダルババンシン量を含む「1回分用量(unit dose)」として投与する。
本明細書の用語「個体」は、脊椎動物、典型的には哺乳動物、しばしばヒトをいう。
上記のダルババンシンのすべてのホモログは血漿中での長い半減期、しばしば9日またはそれ以上を示すが、MAGは他のホモログよりも短い半減期を有すると考えられる。長い半減期はバンコマイシンまたはテイコプラニンよりの長い投与間隔を可能にする。実施例1に記載するように、1週間に1回のダルババンシンの投与は細菌感染の制御に有効であり、バンコマイシンによく用いられる1日2回の投与スケジュールあるいはテイコプラニンに一般的に用いられる1日1回の投与スケジュールとは対照的である。ダルババンシンのより少ない投与頻度は、当該治療規則を用いた場合の特に改善された利便性および患者のコンプライアンスに関して、バンコマイシンおよびテイコプラニンよりも有意な処置優位性を提供する。驚くべきことに、高用量(すなわち、驚くほど高く長時間持続する血清レベル)を投与することができ、他の利用可能な処置オプションよりも少ない頻度とすることができる。ダルババンシンに適用可能な当該新規投与規則は向上した有効性をもたらす。なぜなら低頻度とするに必要な濃度において、ダルババンシンはインビボにおいて最小の副作用を示し、大きなファーマシューティカル・ウィンドウを確かなものとするからであり、さらに、全処置プロトコルに関して最小の殺細菌レベル以上にダルババンシンの血中レベルが維持され、長時間にわたるダルババンシンの血清半減期が確かなものとなるからである。大きなファーマシューティカル・ウィンドウと長い血清半減期の組み合わせは、ダルババンシンのより低い頻度での投与を可能にする。
さらに、好ましくは、ダルババンシンを、ダルババンシンの1またはそれ以上の成分の分解を抑制する安定化剤とともに処方する。1の好ましい具体例において、ダルババンシンを、マンニトール:ダルババンシンの重量割合を1:2として処方する。もう1つの好ましい具体例において、ダルババンシンを、マンニトール:ラクトース:ダルババンシンの重量割合を1:1:4として処方する。
いくつかの具体例において、ダルババンシン処方を、治療上有効な(すなわち、殺殺菌性の)血漿薬剤レベルを数日間、しばしば少なくとも約5日間ないし約10日間、しばしば少なくとも約1週間提供する用量にて投与する。一般的には、少なくとも5日間、約4mg/lの最小殺細菌濃度あるいはそれ以上にダルババンシンを血漿中に維持する。しばしば、少なくとも約1週間またはそれ以上、少なくとも約5mg/l、しばしば少なくとも約10mg/l、しばしば少なくとも約20mg/l、しばしば少なくとも約30mg/l、しばしば少なくとも約40mg/lの血漿レベルにダルババンシンを維持する。液体クロマトグラフィー、質量スペクトル分析、または微生物学的バイオアッセイのごとき当該分野でよく知られた方法によりダルババンシンの血漿レベルを測定してもよい。血漿中のダルババンシンの定量方法の一例を実施例5に示す。
ダルババンシン血漿レベルの上限は、一般的には、処置される患者の集団における許容されない悪影響を抑制する用量により決定される。
ダルババンシン組成物を1回であるいは複数回で投与してもよい。1回で投与する場合、好ましくはダルババンシン組成物は、少なくとも5日間、好ましくは少なくとも7日間、より好ましくは少なくとも10日間、インビボにおいて抗生物質特性を発揮するに十分な量のダルババンシンを含むように処方される。
複数回投与を用いる場合、ダルババンシンを2週間またはそれ以上にわたり毎週投与することができる。1の具体例において、少なくとも2回、しばしば約5ないし約10日の間隔を置いて2回、よりしばしば2週間にわたり1週間に1回ダルババンシンを投与する。実施例1に示すように、かかる投与規則により、慣用的な抗生物質処置プロトコルに優る有意な利点が提供される。
ダルババンシン組成物を2日またはそれ以上あるいは少なくとも1週間の間隔で複数回投与し、あるいは2週間に1回またはそれ以上投与してもよく、その後、2週間または1ヶ月に1回投与してもよい。いくつかの具体例において、2、3、4、5、6週間またはそれ以上にわたりダルババンシンを1週間に1回投与する。
最も有利には、毎日の投与は必要でない。なぜならより高用量で低頻度の投与を用いるからである。1回または複数回の用量は、例えば、約0.1ないし約5グラムの範囲であってもよい。約0.1ないし約4グラム、例えば約3グラムの1回分を種々の感染の処置のために投与してもよい。複数回投与する場合、例えば、毎週投与する場合には、各回の用量は、例えば約0.25ないし約5.0グラムの範囲であってもよい。
感染を処置するために1回投与が行われる具体例において、用量は、例えば、約0.1グラムないし約5グラム、または約0.5ないし約4グラム、または約1ないし約3.5グラム、または約2ないし約3グラム、例えば約3グラムであってもよい。いくつかの具体例において、約1、1.5、2、2.5または3グラムの1回分を、細菌感染の処置のために投与する。予防のために1回投与される具体例に関して、その用量は、例えば、約0.1ないし約0.3グラム、または約0.1ないし約1グラム、例えば、約0.5または約0.25グラムであってもよい。
複数回投与を含む投与スキームにおいて、個々の用量は同じであっても、異なっていてもよい。いくつかの具体例において、最初により高用量を投与し、すなわち、例えばその後の1回またはそれ以上の用量の約1.5ないし3倍の用量である。例えば、最初の用量が約0.5グラムないし約5グラムであり、2回目の用量が約0.25グラムないし約2.5グラムであってもよく、最初の用量が約0.8ないし約2gであり、2回目の用量が約0.4ないし約1グラムであってもよく、あるいは最初の用量が約0.4ないし約3gであり、2回目の用量が約0.2ないし1.5gであってもよい。
いくつかの具体例において、少なくとも2つの用量が投与され、最初の用量は次の用量のダルババンシンの約2倍を含む。1の具体例において、最初の用量は約1グラムのダルババンシンを含み、次の用量は約0.5グラムを含む。もう1つの具体例において、最初の用量は約0.5グラムのダルババンシンを含み、次の用量は約0.25グラムを含む。
いくつかの具体例において、等用量または異なる用量の2つのダルババンシン組成物を、2日またはそれ以上あるいは少なくとも約1週間の間隔で投与する。しばしば、約0.2ないし約1.5グラムのダルババンシンの2つの用量を約5ないし約10日間隔で、より多くの場合において1週間間隔で投与する。1の具体例において、約1グラムのダルババンシンの最初の用量と、約0.5グラムのダルババンシンの第2の用量を、約1週間間隔で投与する。
複数回投与規則において、投与間隔は、例えば、約5ないし約10日、しばしば約1週間であってもよい。投与回数は、例えば、1週間に2回、1週間に複数回であってもよい。投与間隔あるいは投与と投与との間の時間は、例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15またはそれ以上の日数であってもよい。投与回数は、例えば、1回、2回、3回4回、5回、6回またはそれ以上であってもよく、最初の用量以降の各用量を、選択された投与間隔をおいて投与する。
複数投与規則において、最初のダルババンシン投与後であって2回目の投与の直前の血漿中のダルババンシンの「最小レベル(trough level)」またはレベルは、しばしば、少なくとも約4mg/mlである。好ましくは、約1週間のごとき投与間隔の終わりの最小レベルは少なくとも約20mg/l、より好ましくは少なくとも約30mg/l、さらにより好ましくは少なくとも約40mg/lである。
ダルババンシンを非経口投与、例えば、筋肉内(i.m.)、静脈内(i.v.)、皮下(s.c.)、腹腔内(i.p.)または鞘内(i.t.)投与することができる。投与スケジュールおよび実際の投与量は、感染の性質および重さ、患者の年齢、体重および一般的健康状態、ならびに個々の患者のダルババンシンに対する耐性のような因子に左右されるが、健康のプロフェッショナルにより確認されうるであろう。1の具体例において、1グラムのダルババンシンの静脈内投与の1週間後に0.5グラムのダルババンシンを投与する。
血中濃度があまり急激に上昇しないように、あるいは沈殿が起こらないように、薬剤の患者への投与およびデリバリー、例えば静脈内投与を制御された速度で行うことができる。いくつかの具体例において、薬剤が血流中の内在蛋白と複合体を形成するように、適切な速度でダルババンシンを投与する。特定の理論に拘泥するつもりはないが、ヒト血清アルブミンのごとき内在蛋白はインビボにおいてダルババンシンホモログ単量体の1つまたは2つの分子とともに複合体を形成しうると考えられる。十分な量のダルババンシンが存在する場合、ダルババンシンホモログの2つまでの分子が内在蛋白に結合すると考えられ、さらに異なる結合部位におけるダルババンシンの別個のホモログ分子の結合によりこの複合体が形成されると考えられる。あるいはまた、二量体ダルババンシンは内在蛋白上の単一の結合部位に結合することもありうる。上で議論されたダルババンシン−内在蛋白複合体に関するさらなる検討は、「蛋白−ダルババンシン複合体を用いる細菌感染の治療方法」と題された同時出願の米国特許第10/ 号(代理人整理番号34231−20053.00)中に見出され、参照によりその開示を本明細書に記載されているものとする。
輸液期間は、例えば、約1分ないし約2時間であってもよい。用量が約0.5ないし約1グラムである場合には、例えば、約30分の輸液期間を用いてもよい。制御された速度での静脈内投与は、インビトロでの生理学的pHの溶液相において達成されるよりも大過剰の体内ダルババンシン濃度を生じさせうる。理論に拘泥するつもりはないが、このことは、ダルババンシンと血清アルブミンのごとき内在蛋白との複合体形成によるものであるかもしれず、血漿のダルババンシン吸収能を増大させうる。
インビトロまたはエクスビボにおけるダルババンシン複合体の形成は、より迅速な投与、例えば、少なくとも約1分、少なくとも約10分または少なくとも約20分の投与を可能にしうる。ヒト血清アルブミンおよび/または別の内在蛋白とダルババンシンを混合することにより、かかる複合体を得ることができ、そのことによりインビトロまたはエクスビボにおいて複合体を形成し、次いで、この複合体を処置すべき患者に投与することができる。あるいはまた、ヒト血清アルブミンまたは他の内在蛋白を自己ソースから得てもよく、あるいは当該蛋白の遺伝子を含むように修飾された微生物から発現させることにより得てもよい。
投与されるダルババンシン量は本明細書に開示されたいずれの量であってもよい。一般的には、ダルババンシン用量は、該薬剤が、長時間にわたり、しばしば少なくとも5日間、よりしばしば約1週間またはそれ以上にわたり治療上または予防上有効な(すなわち、殺細菌)血漿レベルを維持するように選択される。少なくとも約1週間(あるいは約5日ないし約10日)にわたり殺細菌濃度を生じ、維持するダルババンシン用量の投与が好ましい。殺細菌濃度は、24時間の期間にて、インビトロ実験の開始時に存在した細菌の少なくとも99%を死滅させるに必要なダルババンシン濃度と定義される。典型的には、最小殺細菌ダルババンシン血漿濃度は約4mg/lである。
治療されうる徴候の例は、合併症を伴う、あるいは伴わない皮膚および軟組織の感染(SSTI)、血流感染(BSI)、カテーテル関連血流感染(CRBSI)、骨髄炎、補てつ関節感染、外科的予防法、心内膜炎、病因または施設でかかる肺炎、ニューモコッカスによる肺炎、熱性の好中球減少症の経験的処置、関節隙感染、およびデバイス感染(例えば、ペースメーカーおよび心臓内除細動装置)を包含する。スタフィロコッカス、ストレプトコッカス、ネイセリア、またはクロストリジウム属、特にスタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・エピダーミス、スタフィロコッカス・ヘモリティクス、ストレプトコッカス・ピオゲネス、グループAおよびCのストレプトコッカス、ネイセリア・ゴノロエアエ、またはクロストリジウム・ディフィシレの感染のごときグラム陽性または抗生物質耐性細菌による感染を処置してもよい。
本発明は、皮膚および軟組織の感染(SSTIs)の処置方法を提供する。この処置により利益を受けうる患者は、深部または表面の感染を有していてもよい。例えば、大きい膿瘍、感染性潰瘍、大きい熱傷、または深部および拡張性の小胞炎のようなSSTIは、より深部の軟組織のものを包含し、そして/あるいはかなりの外科的介入を必要としうる。感染性の外科的創傷も治療しうる。
皮膚および皮膚構造の感染の臨床的徴候は、軽度の毛包炎から重度の壊死性筋膜炎まで様々である。罹病様式もまた様々で、施設においてかかる皮膚および皮膚構造の炎症を伴っており、しばしば作業療法またはリクレーション活動により生じる外傷の後に生じ、通常には、多種多様な病原体に関連している。病院においてかかる皮膚および皮膚構造の感染は、一般的には、外科的方法、とこずれ、およびカテーテル挿入に関連している。術後の感染は3番目に多い院内感染であり、the National Nosocomical Infection Surveillance System(NNIS)によればすべての院内感染の17%にのぼる。最も頻繁な感染源は患者の内在フローラである。コアグラーゼ陰性スタフィロコッカスであるスタフィロコッカス・アウレウスおよびエンテロコッカスsppはSSTIsから最も頻繁に単離される病原菌である。
SSTI感染の徴候は、紅斑、圧痛または疼痛、熱感または局所的温感、排膿または排出、浮腫または硬直、赤味を帯びること、あるいは波動性を包含する。本発明の方補での処置により利益を受けうる患者は、深部感染または合併症を伴う感染あるいは外科的介入を要する感染を有する患者、あるいは糖尿病または末梢血管疾患を有している患者を包含する。これらの感染は、しばしば、スタフィロコッカスまたはストレプトコッカス種、例えばスタフィロコッカス・アウレウスまたはストレプトコッカス・ピオゲネスのごときグラム陽性細菌により引き起こされる。皮膚または軟組織の細菌感染の処置方法は、上で論じた投与量および投与規則により治療上有効量のダルババンシンを、処置を要する個体に投与ことを包含する。いくつかの具体例において、しばしば約5ないし約10日感覚で、より多くの場合には約1週間感覚で、ダルババンシン組成物を2回静脈内投与する。いくつかの具体例において、最初の用量は第2の用量の少なくとも2倍のダルババンシンを含む。1の具体例において、最初の用量は約1000mgであり、2回目の用量は約500mgである。
本発明は、細菌感染、例えば、スタフィロコッカス・アウレウスにより、あるいはネイセリアまたはクロストリジウム属の細菌により引き起こされる細菌感染の発生を予防的に防止する方法も提供する。本発明の予防方法において、例えば医学的方法により細菌感染にかかる疑いのある個体に予防上有効量のダルババンシンを投与する。しばしば、予防上有効な血漿レベルを少なくとも約1日間、少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、あるいは少なくとも約1週間またはそれ以上にわたり提供するに十分な量のダルババンシンを投与する。ダルババンシン組成物を、感染に対する予防段階として手術前または後に、例えば非経口的に、例えば筋肉内(i.m.)、静脈内(i.v.)、皮下(s.c.)、腹腔内(i.p.)または鞘内(i.t.)注射により投与してもよい。手術のごとき侵襲的な医学的方法あるいは感染防止のために病院のごとき医療ケア施設への入院の直前に、あるいは1日またはそれ以上あるいは約1週間またはそれ以上前またはそれらの後に、あるいはそれらを行っている間に、ダルババンシン組成物を投与してもよい。個体が細菌感染した個体に曝露される、あるいは曝露される可能性のある状況下を包含する、個体が細菌感染にかかりうる可能性のあるいずれの状況下においても予防方法を用いてよい。予防方法のために、ダルババンシン組成物を1回または2回またはそれ以上の回数で、等量または異なる量を、数日ないし約1週間の間隔で投与してもよい。1の具体例において、ダルババンシン組成物を、静脈内カテーテル挿入前または挿入と同時に投与して、血流関連感染を防止してもよい。
予防方法のために、上記投与スキームのいずれかに従って、ダルババンシン組成物を1回または複数回投与してもよい。しばしば、ダルババンシン組成物を、約0.1ないし約3グラム、あるいは約0.1ないし約1グラム、例えば、約0.25グラムないし約0.5グラムを含有する1回分として投与する。1の具体例において、約0.25グラムの1回分を、約2分間ないし約1時間、例えば約30分かけて静脈内投与する。もう1つの具体例において、ダルババンシン組成物を、別の医薬(例えば、抗生物質)を同時に投与しつつ静脈内投与する。
上記治療方法または予防方法のいずれにおいても、ダルババンシン組成物を、少なくとも1の他の抗生物質とともに同時または逐次投与してもよい。いくつかの具体例において、ダルババンシンが効かない1またはそれ以上のグラム陰性細菌種および/またはグラム陽性細菌株に対して有効な(例えば、殺細菌性のある)少なくとも1の他の抗生物質を、ダルババンシンに加えて投与する。いくつかの具体例において、ダルババンシンおよび1またはそれ以上のグラム陰性細菌種および/またはグラム陽性細菌株に対して有効な(例えば、殺細菌性のある)少なくとも1の他の抗生物質を、ダルババンシン組成物中の混合物として投与する。
医薬組成物
本発明は、上で説明した方法によるダルババンシンの投与のために処方された医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、個体に投与された場合、数日間、しばしば少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、あるいは少なくとも約1週間またはそれ以上にわたり、治療上または予防上有効なダルババンシン血漿レベルを提供するに十分な量のダルババンシンおよび医薬上許容される担体を含むダルババンシンの1回分用量の形態であってもよい。一般的には、治療上または予防上有効なダルババンシン血漿レベルは、血漿1リットルあたり少なくとも約4mgである。上記方法のようなよく知られた方法によりダルババンシン血漿レベルを測定してもよい。
所望により、ダルババンシンを、個体への投与用の医薬上許容される形態としてもよく、所望により医薬上許容される無毒の塩としてもよい。
ダルババンシンの適切な塩の例は、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、チルフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、コハク酸、クエン酸、アスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、グルタミン酸、ショウノウ酸、グルタル酸、グリコール酸、フタル酸、酒石酸、ラウリン酸、ステアリン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ソルビン酸、ピクリン酸、安息香酸、ケイ皮酸、および同様の酸のごとき有機酸および無機酸との標準的な反応により得られる塩を包含する。ダルババンシンとともに塩を形成しうる塩基の代表例は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびバリウムのごときアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア、ならびにメチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミンおよびピコリンのごとき脂肪族、脂肪族環状または芳香族アミンを包含する(例えば、米国特許第5606036号参照)。
いくつかの具体例において、例えば静脈注射のような非経口投与に適した医薬上許容されるダルババンシンの水性処方が提供される。かかる水性処方の調製には、当該分野において知られた方法を用いてもよく、当該分野において通常使用されるいずれの医薬上許容される担体、希釈剤、賦形剤、または他の添加物を用いてもよい。1の具体例において、静脈注射用の医薬上許容される水性処方は5%ブドウ糖を含有する。
非経口用医薬組成物はダルババンシンおよび脱イオン水、生理食塩水、5%ブドウ糖、水混和性溶媒(例えば、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等)、非水性担体(例えば、トウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油およびゴマ油)、または他の通常使用される希釈剤のごとき生理学的に許容される希釈剤を含む。処方はさらにポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、または他の知られた安定化剤のごとき安定化剤、溶液を安定化させるバッファー(例えば、クエン酸バッファー、酢酸バッファー、およびリン酸バッファー)および/または抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウム)を含む(例えば、米国特許第6143739号参照)。他の適切な医薬担体およびそれらの処方はE. W. Martinによる"Remington's Pharmaceutical Sciences"に記載されている。当該分野において知られているように、許容されうるレベル(例えば、粒子状物質不含)の粒子状物質を含み、非パイロジェン性(例えば、米国薬局方中の注射可能要件を満たすもの)であるように本発明の医薬調合物を調合してもよい。
1の具体例において、しばしば安定化剤または安定化剤の混合物を含む乾燥された(例えば、凍結乾燥された)ダルババンシンの一定用量を可溶化に十分な量の水、好ましくは脱イオン水に溶解させることにより医薬組成物が提供される。典型的には、可溶化に十分な量の水は約10mLであり、その結果ダルババンシン溶液のpHは3.0よりも高く、約3.5ないし4.5である。静脈投与用ドリップバッグに入量のごときさらなる量の希釈剤(しばしば5%ブドウ糖を含む)にその溶液を添加することによる希釈により、ダルババンシン溶液のpHは約5ないし5.5に上昇する。もう1つの具体例において、ドリップバッグ中のダルババンシン溶液のpHは約4.5である。さらなる量の水溶液は脱イオン水、あるいは脱イオンされ滅菌された水であってもよい。1の具体例において、水性希釈剤は5%ブドウ糖である。
非経口投与用医薬組成物を、ダルババンシンの殺細菌有効性が保持される条件下で、上記のごとく治療上または予防上有効量の1回分またはそれ以上のダルババンシンを含み、所望により賦形剤を含む滅菌バイアル中に作成してもよい。組成物は乾燥(例えば、凍結乾燥)粉末の形態であってもよい。使用前に生理学的に許容される希釈剤を添加し、患者への投与のためにシリンジを介して溶液を引き抜いてもよい。例えばe−ビームまたはガンマ線滅菌法、あるいは滅菌濾過を包含するいずれかの許容される手段により、上記医薬処方を滅菌してもよい。
非経口投与用の典型的な処方は、最終調合物1mlあたり例えば約0.1ないし約100mg、約0.5ないし約50mg、約1ないし約10mg、または約2ないし約4mgのダルババンシンを含んでいてもよい。
いくつかの具体例において、本発明の医薬組成物は、ダルババンシンと1またはそれ以上のさらなる抗生物質との混合物を含む。混合物となった少なくとも1の非ダルババンシン抗生物質が好ましく、例えばアズスレオナムは1またはそれ以上のグラム陰性細菌種に対して有効であり、例えばイルネゾリドまたはダプトマイシンはダルババンシンが有効でない1またはそれ以上のグラム陽性細菌種に対して有効である。混合物は上記の医薬上許容される担体を含んでいてもよい。
いくつかの具体例において、本発明の医薬組成物は、ダルババンシンの1またはそれ以上の成分があまり活性のないあるいは不活性な物質に変質するのを抑制する1またはそれ以上の安定化物質、例えばMAGを含む。本明細書の用語「安定化物質」または「安定化剤」は、組成物中のダルババンシンの1またはそれ以上の構成成分、例えばB0のレベルを安定化させる物質をいう。「安定化有効量」は、ダルババンシン組成物の1またはそれ以上の成分の長期安定性を促進するに十分な安定化剤の量をいう。いくつかの具体例において、安定化有効量は2またはそれ以上の安定化物質の混合物により提供され、その場合安定化物質は単独では安定化効果を提供するに十分な量で存在しないものである。
安定化剤の例は、例えば糖類、例えば単糖類、二糖類または多糖類、またはそれらの誘導体、糖アルコール類、またはポリオール類のごとき非イオン性物質を包含する。かかる安定化物質は、例えば、マンニトール、乳糖、ショ糖、ソルビトール、グリセロール、セルロース、トレハロース、マルトース、ラフィノース、またはそれらの混合物を包含する。
1の具体例において、医薬組成物は重量比1:2のマンニトール:ダルババンシンを含む。もう1つの具体例において、医薬組成物は重量比1:1:4のマンニトール:乳糖:ダルババンシンを含む。驚くべきことに、マンイトールと乳糖の組み合わせは、いずれかの物質単独よりも大きな安定化効果を生じる。しばしば、本発明の医薬組成物のpHは、例えば、約3ないし約5、例えば約3.5ないし約4.5である。
いくつかの具体例において、MAGの処方量を減少させるために1またはそれ以上の方法を用いてもよい。例えば、マンニトールのごとき安定化物質存在下におけるダルババンシンの凍結乾燥を用いて、得られるMSGの量を減少させてもよい。
ダルババンシン組成物の保存は、安定性を増大させるために、しばしば周囲温度よりも低い温度、例えば約5℃で行われる。
改善された有効性および減少した副作用
高用量レベルでの毎週のダルババンシン投与(すなわち、驚くほど高く長期にわたる血清レベルをもたらす)は、本明細書の実施例により示されるように、毎日1回または毎日2〜4回投与される慣用的な抗生物質の低い用量の標準的な治療において観察されるのと同様あるいはそれよりも良好な安全性プロファイルを示す。ダルババンシンの驚くほど高い用量(すなわち、驚くほど高く長期にわたる血清レベルをもたらす)を、他の抗生物質よりも低頻度で投与してもよく、その場合、不利な副作用はなく、改善された有効性および患者のコンプライアンスを得ることが可能である。
実施例1に記載するように、ダルババンシンでの処置は不利なイベントの発生率が低い。重大で不利なイベントは、死に至らしめる用量で生じる不利な薬剤経験を包含し、生命を脅かすものであり、入院あるいは入院期間の延長を生じさせ、あるいは継続したまたは有意な無力感をもたらす。実施例1に記載されたフェイズIIの試験において、下痢、吐き気、高血糖症、手足の痛み、嘔吐、および便秘のごとき不利な反応の90%は軽度ないし中度の重篤度である。実施例1の試験におけるダルババンシンの使用は、研究された薬剤処置に関連した重大な不利なイベントを生じさせなかった。
キット
本発明は、細菌感染の治療または予防方法において使用するキットも提供する。該キットは本発明の医薬組成物を含み、例えば、少なくとも1回分用量のダルババンシン、および細菌感染を治療または予防のための用法に関するヘルスケアプロバイダーへの情報を提供するための説明書を含む。説明書は印刷された形態あるいはフロッピーディスク、CD、またはDVDのごとき電子媒体の形態、あるいはかかる情報を得ることのできるウェブサイトアドレスの形態として提供されうる。しばしば、1回分用量のダルババンシンは、個体に投与された場合に、ダルババンシンの治療上または予防上有効な血漿レベルが個体において少なくとも5日間維持されるような用量を含む。いくつかの具体例において、キットは、少なくとも5日間隔で、しばしば約1週間間隔で投与される2つの1回分用量を含み、しばしば、2回目の用量よりも約1.5ないし約3倍の1回目のダルババンシン用量を含む。しばしばダルババンシンは滅菌水性医薬組成物または乾燥粉末組成物中(例えば、凍結乾燥されて)に含まれる。
適当な包装が提供される。本明細書の用語「包装」は、システム中に慣例上使用される個体マトリックスまたは材料であり、個体への投与に適したダルババンシン組成物を保持しうるものをいう。かかる材料はガラスおよびプラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリカーボネート)のビン、バイアル、紙、プラスチック、およびプラスチックホイル、ラミネートエンベロープ等を包含する。e−ビーム滅菌法を用いる場合、包装は内容物の滅菌を可能にするに十分な低密度とすべきである。
キットは、例えばシリンジや静脈内投与用装置のようなダルババンシン投与用装置、および/または滅菌溶液、例えば乾燥粉末組成物(例えば、凍結乾燥されたもの)を投与用にするための5%ブドウ糖のごとき希釈剤を含んでいてもよい。
本発明のキットは、上記方法に記載されたようにダルババンシンとともに用いられるダルババンシン以外の非ダルババンシン抗生物質または非ダルババンシン抗生物質の混合物を含んでいてもよい。
下記実施例において、次の略号は以下の意味を有する。略号が定義されない場合には、それは一般的に受け入れられている意味を有する。
Figure 0005519090
下記実施例は本発明を説明するものであって、本発明を限定するものではない。
実施例1.皮膚深部および軟組織感染における1週間に1回のダルババンシンの有効性および安全性
このランダム化されコントロールされた研究は、ダルババンシンの2つの投与規則の安全性および有効性を評価するものであった。皮膚および皮膚深部構造を含む軟組織の感染(SSTI)を有する、あるいは外科的介入を必要とする成人患者を、3つの群にランダマイズした:研究アーム(study arm)1には1日目に1100mgのダルババンシンを静脈注射により与えた;研究アーム2には1日目の1gのダルババンシンIVそして8日目に500mgのダルババンシンIVを与えた;研究アーム3には「標準のケア(standard of care)」を与えた。臨床的および微生物学的応答ならびに不利なイベントを評価した。
分析のための集団
62人の患者が研究に参加した。すべての患者に少なくとも1の試験医薬用量を与えた。安全性および有効性に関して4つの研究集団を評価し、それらの集団は以下のように定義された:治療意図(ITT)集団は、研究医薬の少なくとも1の用量を与えられたすべての患者を包含した(すべてのランダム化されて研究対象)。微生物学的治療意図(MITT)集団は、ベースラインにおいて培養により確認されたグラム陽性病原体を有するすべてのITT患者であった。臨床的に評価可能な集団を、1)すべての研究エントリー基準を満たす者、2)経口ステップダウン療法(ケア群の標準に適用されただけ)を除き、4日目以降にグラム陽性感染に対する抗微生物剤療法を変更しなかった者、3)フォローアップ(FU)評価通院のために戻った者、および4)プロトコル承認されていない同時投与抗微生物剤を与えられなかった者と定義した(治療が失敗しない場合)。微生物学的に評価可能な集団は、ベースラインにおいて培養により確認されたグラム陽性病原体を有する臨床的に評価可能な患者の部分集合であった。
研究集団を表2に示す。
Figure 0005519090

ITT - 治療意図
MITT - 培養により確認されたグラム陽性感染を有するITT集団の部分集合
EOT - 治療終了時
FU - フォローアップ
対象のメジアン年齢は50〜55歳(18〜86歳の範囲)であった。治療アームを越えた年齢の明かな差はなかった。治療アームを越えた性差はあったが、全体として研究に同数の男女が参加した。患者集団は主に白人であった。これらの結果はITTおよび臨床的に評価可能な集団の両方と矛盾しなかった。
62人の患者が参加し、研究アーム1には20人、研究アーム2および3には各21人参加した。標準のケアに関する最も通常のコンパレーターはクリンダマイシン、セフトリアクソン、バンコマイシンおよびセファゾリンであった。研究アーム3における治療の平均期間は15日であった。
62人のITT患者のうち、66%(ダルババンシン1回投与14人、ダルババンシン2回投与13人、標準のケア14人)は、単離されたグラム陽性病原体の前治療を受けていた(MITT集団)。最も通常の病原体はエス・アウレウス(S.aureus)であった。ベースラインにおける病原体の分布を表3に示す。
Figure 0005519090
臨床的および微生物学的応答
患者の臨床的応答ならびに明らかになったあるいは推定された微生物学的応答を評価することにより3つの治療規則の有効性を決定した。第1の有効性のエンドポイントは、臨床的に評価可能な集団に関するフォローアップ来院時における臨床的応答であった。EOTおよびFUの両方に関する臨床的応答を、成功(治癒または改善)または失敗(決定されない結果を包含)に分類した。成功に分類された患者には、感染に対するさらなる抗細菌剤での全身的処置を受けた者であってはならない。失敗は、1またはそれ以上の局所あるいは全身的なSSTIの徴候の継続と定義され、その結果、SSTIに対する新たなあるいはさらなる全身的な抗微生物剤治療が必要であった。
第2の有効性の変数である微生物学的結果を、微生物学的に明らかになったSSTI(すなわち、少なくとも1の同定されたベースライン病原体)を有する患者の部分集合において評価した。ベースラインにおいて同定された各グラム陽性病原体に関して微生物学的応答を評価した(すなわち、根絶、根絶と推定、継続して存在、継続して存在と推定)。フォローアップ培養が行われなかった患者については、ベースライン病原体に関する微生物学的応答を、臨床的応答を基礎として推定した。EOTおよびFU来院時の患者による微生物学的応答を、成功(すなわち、すべてのグラム陽性生物が根絶され、あるいは根絶したと推定される)または失敗(すなわち、少なくとも1のグラム陽性生物が継続して存在する、あるいは継続して存在していたと推定される、複数の病原体のうち部分的に根絶されたものがある)としてグレード分けした。EOTおよびFUの両方において、コロニー形成および重感染を評価した。FU来院時に、患者の細菌学的応答は再発をも包含し得た。
臨床的有効性
臨床的成功率を表4に示す。臨床的に評価可能な集団において、ダルババンシン1回投与の患者の61.5%、ダルババンシン2回投与の患者の94.1%、および標準のケア群の76.2%の患者がFU評価の時点で成功に分類された。ベースラインにおいて深部または合併症のSSTIに分類された患者に関する実地のサブ分析においても、ダルババンシン2回投与療法は、ダルババンシン1回投与療法(成功率58.3%)および標準のケアの療法(73.7%)と比較して、高い臨床的成功率(93.8%)を示した。
EOTおよびFU評価の両方における類似の成功率は、支持的なITTおよび微生物学的に評価可能な集団において見られ、ダルババンシン2回投与での治療後のより好ましい応答の傾向と矛盾しなかった(表3)。MITT集団に関して、メチシリン耐性エス・アウレウス(MRSA)に関するFU評価における臨床的成功率は、ダルババンシン1回投与の場合50%(3/6)、ダルババンシン2回投与の場合80%(4/5)、そして標準のケア規則で治療された患者の場合50%(1/2)であった。
Figure 0005519090
微生物学的有効性
異なる病原体に関する異なる治療規則の成功率を表5に示す。微生物学的に評価可能な集団に関し、FU評価における根絶/推定上根絶の割合は、ダルババンシン1回投与の場合58.3%(7/12)、ダルババンシン2回投与の場合92.3%(7/12)、および標準のケア群の患者の場合70.6%(12/17)であった。継続して存在した単離体に関し、ダルババンシンMICにおいては変化がなかった。FUにおいて、エス・アウレウス根絶率は、ダルババンシン1回投与(50%)および標準のケア(60%)と比較すると、ダルババンシン2回投与の場合に高かった。MITT集団に関して同様の知見が観察された。ダルババンシン2回投与によりMRSA単離体の80%が根絶された(表5)。
Figure 0005519090
微生物学的に評価可能な集団およびMITT集団に関し、EOTおよびFUにおける微生物学的成功率を表6にまとめる。比較可能な微生物学的成功率が、ダルババンシン2回投与で治療された患者および標準のケア規則で治療された患者の両方の来院時において報告された(64%ないし77%)が、ダルババンシン1回投与された患者の成功率はより低かった(<40%)。微生物学的に評価可能な集団におけるEOT/FU時点での微生物学的成功率は、臨床的応答の知見とパラレルな関係を有していた:ダルババンシン1回投与の場合38.5%/27.3%、ダルババンシン2回投与の場合72.7%/72.7%、標準のケアの療法の場合71.4%/64.3%。MITT集団に関しても同様の知見が観察された(データ示さず)。
Figure 0005519090
薬物動力学的分析
ダルババンシン治療群にランダム化された患者に関し、ダルババンシン血漿濃度を調べるために8日目に5mlの血液を採取した。8日目に500mgのダルババンシンを投与されるべきランダム化された患者から、2回目の投与直前に血液を得た。ダルババンシン1回投与群にランダム化された患者から10日目および24日目にさらに5mlの血液試料を得、ダルババンシン2回投与群にランダム化された患者から20日目および34日目にさらに5mlの血液試料を得た。
有効性を確認されている液体クロマトグラフィーおよび質量スペクトル法を用いてダルババンシン血漿濃度を調べた。定量下限は結晶1mlあたり500ngであった。
1回投与規則による研究8、10および24日目の平均ダルババンシン濃度はそれぞれ31.1±7.1、25.2±4.8、および10.2±3.5mg/l(平均±SD)であった。2回投与規則による8(2回目の投与の前)、20および34日目のダルババンシン濃度はそれぞれ30.4±8.2、21.2±10.0、および9.0±4.4mg/lであった。予想されたように、すべての患者は1回目の投与後の最初の1週間は20mg/mlよりも高いダルババンシン濃度を有しており、8日目に500mgIVをさらに投与した場合にさらに1週間にわたり20mg/mlより高いレベルが維持された。一般的には、最小殺細菌濃度は約4ないし10mg/mlである。
安全性評価
研究薬剤を少なくとも1回投与された各患者(ITT群)を、異常な臨床試験結果およびバイタルサインを含む不利なイベント(AE)のモニタリングにより薬剤安全性に関して評価した。重篤度(軽度、中度、重度、生命を脅かす程度)ならびに研究薬剤との関連性(関連性なし、関連性がありそうもない、関連している可能性あり、あるいはおそらく関連している)に関して研究者によりAEが評点付けされた。
AEデータのまとめを表7に示す。不利な反応の大部分(90%)は軽度および中度と考えられた。すべての重度の不利な反応(5人の患者において8イベント)は研究薬剤での治療に関連していなかった。少なくとも1回の緊急治療を要するAEが報告されたすべての患者の約59%(ダルババンシン1回投与では19人、ダルババンシン2回投与では16人、標準のケアでは21人)が、研究者により研究薬剤と関連している可能性あり、あるいはおそらく関連していると分類されたイベントを経験した。特に、薬剤に関連したAEsが、11人(55%)のダルババンシン1回投与患者において、10人(48%)のダルババンシン2回投与患者、および12人(57%)の標準のケアの患者において報告された。ダルババンシンおよび標準のケアの両方の治療群において最も頻繁に報告された薬剤関連AEは下痢および吐き気であった。異なる治療群において観察されたAEsのタイプを表8に示す。
非ダルババンシン治療患者はAEのために未完のまま治療を中断した。標準のケア規則による21人の患者うち3人(14%)がAEのために未完のまま治療を中断し、その中には、1日目におそらく薬剤に関連したじんましんを発症した1人の患者および研究薬剤に関係のないAEを有していた2人の患者(P.aeruginosaとの重感染およびバンコマイシン耐性レベル上昇)が含まれていた。
Figure 0005519090

Figure 0005519090
議論
このオープン−ラベルランダム化されたフェーズIIの試験は、ダルババンシンがSSTIを有する成人の治療に有効であることを示す。参加した患者の大部分は深部または合併症のある感染を有し(>90%)、外科的介入を要する感染を有していた(〜70%)が、約45%は糖尿病も有していた。
2回の毎週用量のダルババンシンは、ダルババンシン1回投与または標準のケア規則のいずれよりも数値的に高い臨床応答を有していた。ITTおよび臨床的に評価可能な集団両方からのデータは、2回の逐次の毎週用量のダルババンシンの投与規則(毎週1000mg、500mg)がSSTIsの治療において有効であることを示唆する。標準のケアの群はメジアン期間13日で治療された。フォローアップにおいて、ダルババンシン2回投与にて治療された臨床的に評価可能な患者の94%が臨床的に成功と考えられたが、対照的に、標準のケア規則を施した患者の76%およびダルババンシン1回投与を受けた患者の61.5%が臨床的に成功と考えられた。
エス・アウレウスはベースラインにおいて最も頻繁に単離される生物であった。この試験において、約83%の患者がエス・アウレウスに感染しており、すべてのエス・アウレウス株の38%がMRSAであった。大部分の感染(80%)は単一の病原体により引き起こされた。MRSAを含むグラム陽性単離体に対するダルババンシンのMICsは0.016ないし0.25mg/Lの範囲であった。
微生物学的成功率は臨床的に評価可能な集団に関する臨床的応答に成功率とパラレルであった。混合されたすべての生物に関して、ダルババンシンを1週間おきに2回投与する規則での治療は、2週間目の治療前評価において、ダルババンシン1回投与(58%)および標準のケア療法(71%)よりも高い根絶率(92%)を示した。結局、エス・アウレウス根絶はそれぞれ90%、50%および60%の患者において観察された。MITT集団に関しては、MRSAの根絶率はダルババンシン2回投与の場合80%であったのに対し、ダルババンシン1回投与および標準のケア療法ではいずれも50%であった。
1回投与および毎週2回投与により治療期間の終わり(それぞれ10日目および20日目)に得られたダルババンシン濃度は同様であり、2回目の1週間分の投与後における少量の薬剤の蓄積が示唆された。2回投与規則にて観察されたより高い臨床的成功率は時間依存性の殺菌を示唆するものであり、薬剤または薬剤への曝露の持続したレベルが、一週間間隔での2回のダルババンシン投与により提供された。1週間の投与間隔の終わりにおいて測定されたダルババンシン血漿レベルは、この試験において見出された病原体も含めて大部分のSSTIsの原因である病原体に関して報告されているMIC90よりも実質的に高かった(<0.03ないし0.5mg/mL)。これらのレベルは最小殺細菌濃度4ないし10mg/mlよりも高かった。
不利な反応の全体的な割合はダルババンシン投与規則の群と標準のケアの群の両方に関して同様であった。胃腸の薬剤に関連した不利なイベント(すなわち、下痢および吐き気)は3つの治療群において最も普通に報告された。これらのイベントの大部分は中程度であり自己限定性であった。ダルババンシンにより治療された患者のうち、不利な反応のため早くに研究から離脱した者はなく、グリコペプチドに起因する重大な不利なイベントも報告されなかったが、標準のケア群の14%は不利な効果のために離脱した。かくして、本発明の新規投与規則は標準的なケアと比較して不利な効果を減少させた。この試験で得られたデータからは、ダルババンシンがいずれかの程度の臨床的に有意な肝臓毒性または腎臓毒性を誘発したという証拠は見出されなかった。
ダルババンシン2回投与規則は合併症を有するSSTIsの患者の治療に有効であると思われる。両方の用量のダルババンシンともこの臨床試験において十分に耐えうるものであり、標準のケア群の不利なイベントのプロファイルと同様の不利なイベントのプロファイルを伴っていた。
実施例2.健康対象におけるダルババンシンの薬物動力学および腎臓での排泄
この研究の第1の目的は、ダルババンシンの薬物動力学を特徴付けて、治療用量の薬剤を投与される健康対象における腎臓での排泄の程度を計算することであった。これはオープンラベルで比較ではない(open label, non-comparative)研究であった。
研究薬剤での処置
年齢18歳から65歳までの健康な男性または女性の対象に、30分かけて輸液することにより1000mgIV用量のダルババンシンを1回投与した。
女性1人および男性5人である6人の対象が投薬研究に参加し、研究のすべての段階を終えた。3人の対象は白人であり、3人の対象はアフリカ−アメリカ系であった。平均年齢は29.8歳(22歳から63歳までの範囲)であった。平均身長は68.6インチ(63インチから75インチの範囲)であり、平均体重は179.6ポンド(140ないし244ポンドの範囲)であった。
薬物動力学
研究1、2、3、4、5、6、7、14、21、28および42日目に血液および尿(24時間収集)を集めた。血液試料をヘパリン処理チューブ中に得て、遠心分離した。血漿を分離し、アッセイ時まで−20℃で保存した。有効性が確認されているLC/MS/MS法を用いて血漿および尿試料をダルババンシンに関してアッセイした。尿および結晶に関するアッセイの定量の下限は500ng/mLであった。
WinNonlinTMソフトウェア(Pharsight Corporation)を用いる非コンパートメント的方法によりダルババンシン薬物動力学パラメーターを評価した。観察されたデータからピーク濃度(Cmax)値を直接得た。結晶濃度−時間曲線下の面積(AUC)を、線形台形ルール(linear trapezoidal rule)を用いて計算した。クリアランス(CL)を用量/AUCとして計算した。時間曲線対対数濃度の対数−直線部分の線形回帰により、除去半減期(elimination half life)(t1/2)を評価し、第1モーメント曲線下の面積(AUMC)に用量をかけ、AUCで割ることにより、定常状態における分配体積(Vss)を計算した。尿中に排泄されたダルババンシン積算量を、尿排泄速度の積分として決定した(AURC)。CLまたは腎臓クリアランスを次の割合として計算した:CL=AURC/AUC。
すべての対象に関する時間に対するダルババンシンの血漿濃度を図1に示す。薬物動力学的パラメーターを表9に示す。濃度はすべての対象において同様であった。ピーク血漿濃度は約300mg/Lであり、輸液直後に達成された。ダルババンシンは10Lよりも多い見かけの分配体積を示し、細胞外液体中に十分に分配されたと考えられる。
ダルババンシンは9〜12日のt1/2でゆっくりと除去された。全薬剤クリアランスは0.0431±0.0074L/時であった。変化せずに尿中に排泄された薬剤のフラクションは投与量の42%と評価され、腎臓でのクリアランスは0.018L/時であると評価された。対象間の変動は少なく、変動係数はすべての薬物動力学的パラメーターにおいて22%よりも小さかった。
Figure 0005519090
安全性の評価
不利なイベントを記録し、重篤度および研究薬剤との関連性について評価した。研究室のデータ(化学パネル、差分CBC、尿分析)を集め、ベースラインからの変化および範囲外の値を評価した。ECG、身体検査およびバイタルサインを得て、ベースラインからの変化を評価した。
この研究においてダルババンシンは十分に耐えられるものであった。この研究期間中に死亡した対象あるいは重大な不利なイベントの対象は報告されず、AEのために研究完遂前に脱退した対象はいなかった。
すべてのボランティアは少なくとも1のAEを報告し、すべて軽度であった。3人のボランティアは、研究投薬に関連している可能性のあるAEsを報告した:1人の対象において上昇したALT(46IU/Lの値、正常の上限40IU/L);すべての対象において好酸球増加(0.5x10/μLの値、正常の上限0.4x10/μL)、上昇したLDH(303IU/Lの値、正常の上限90IU/L)、上昇したALT(46IU/Lの値、正常の上限40IU/L)、上昇したAST(42IU/Lの値、正常の上限40IU/L);1人の対象において耳鳴り。
ベースライン後の血液学的結果、化学的結果、バイタルサインおよびECGの結果には何の傾向も見られなかった。
議論
ダルババンシン1000mgIVの1回投与は十分に耐えられるものであった。1000mgの1回静脈輸液後、45mg/lよりも高いダルババンシン血漿濃度が少なくとも7日間維持された。これは殺細菌的であることが知られている濃度(4〜32mg/l)よりも高い。このことは、ダルババンシンの1週間に1回の投与規則での使用を支持する。尿での除去プロファイルは、腎臓での排泄が重要な除去経路であり、約40%が尿中に排泄されることを示す。この知見は動物での観察結果と矛盾しない。腎臓経路のみが除去経路ではないので、ダルババンシンの用量調節は腎臓に障害のある患者において必要でないかもしれない。
実施例3.等温滴定微小熱量測定を用いるダルババンシンの蛋白結合
蛋白へのダルババンシンの結合を、Microcal VP-ITC装置を用いて、20mMホスフェート、150mM NaCl,pH7.4中、25℃および37℃にて等温滴定微小熱量測定(ITC)により測定した。典型的な実験において、25x10μlの蛋白(約150μM)を、ダルババンシン溶液(約5μM)の入った熱量計セルに注入した。280nmにおける吸光度を測定することにより、実際の蛋白およびダルババンシン濃度を決定した。対照実験は蛋白をバッファー(ダルババンシン不存在)に注入して、同一条件下での蛋白の希釈熱を調べることを含んでいた。比較のために、いくぶんかの必要な修飾を行って、テイコプラニンを用いて同様の実験を行った。
下記の各蛋白を用いて、ダルババンシンで実験を行った:ヒトアルブミン;イヌアルブミン;ラットアルブミン;ウシアルブミン;およびヒトα−グリコプロテイン。ヒトアルブミンおよびα−グリコプロテインを用いてテイコプラニンを研究した。2つの異なる温度での結合アフィニティーの比較を表10に示す。
Figure 0005519090
カッコ内の ± 誤差はフィッティングルーチン(fitting routine)から得られた標準偏差である。
希釈熱に関する補正を行った後の総合熱効果(integrated heat effects)を、Microcal ORIGINソフトウェアパッケージを用いる単純な単一部位結合モデルを用いて非線形回帰により分析した。各注入物質に関する生データ(μcal/秒)を総合して、添加1回あたりの全熱効果を得て、次いで、注入物質の量で割って注入物質のkcal/moleを得た。同じ総合を対照希釈効果に適用し、これを実際の測定データから差し引いた。これにより、結合曲線の相違が提供され、結合の程度は全放出熱(あるいは吸収熱)に比例している。次いで、これを種々の標準結合モデルに関して非線形回帰法により分析した。最も単純なモデルは単純な非競争的結合平衡を仮定するものであり、3つのパラメーターを与える:
Ka (=1/Kdiss) は結合定数 (解離定数)である
ΔH = 結合エンタルピー (結合に関連するシグナルのサイズ)
N = 結合部位数 (結合モデルが正しいと仮定)
非競争的結合と仮定して、Nは、試料中のすべての利用可能な結合部位を飽和させるのに必要な注入物質のモル数(相対数)である。ダルババンシンでの実験に関し、ダルババンシンは「試料」であり、蛋白(HSA等)は「注入物質」である。これらの予備的な結果は、結合が比較的弱いこと、ダルババンシンの溶解度が低いので、結合化学量論(N)を明確に決定することは困難であることを示す。しかしながら、図2からわかるように、すべての場合において、データはN<1でうまく適合する(すなわち、ダルババンシンに対して1個未満ないし1個の蛋白)。結果として、N=0.5の値は、すべてのダルババンシンに結合するのは予想した蛋白のわずか半分のモル数の蛋白であることを意味する。言い換えると、1分子の蛋白は見かけ上2個のダルババンシン分子と結合する。ダルババンシンが1:1の割合で蛋白と結合する二量体を形成することがあり得る。結合化学量論モデリングの結果は、2個のダルババンシン分子が1個の蛋白分子に結合することを示唆し、それは1:1の結合を示すテイコプラニンとは異なる。
表11は、ヒト血清アルブミン(6x10−4M)およびα−グリコペプチド(1.5x10−5M)の生理学的濃度を仮定した場合の、1〜500μMの範囲の濃度の抗生物質の結合パーセント数を計算したものである。これを臨床的状態と関連づけるためには、ヒトにおけるダルババンシンのピーク濃度は300mg/Lまたは165μMである。
Figure 0005519090
ND= 計算せず
これらの実験において、ヒト血清アルブミンに対するダルババンシンの結合は98%を超える。結合割合は、選択されたダルババンシン濃度間でかなり一定であり、すなわち1〜500μMである。この範囲はヒトにおける治療濃度を包含する。α−グリコプロテインへのダルババンシンの結合はテイコプラニンのそれよりもはるかに強い。ダルババンシンは高い能力と異なる起源の血漿蛋白に対する低い親和性を示し、試験したすべての種由来の蛋白間で同様のKa値を有している。これらの結果は、ダルババンシンのユニークな薬物動力学的特性のいくつかを説明するのに役立つ。結合および2:1のダルババンシン:蛋白複合体の形成もまた、長い半減期およびほぼ細胞外水分体積である見かけの体積分布の説明となる。低い親和性は、遊離フラクションを用いた場合に化合物に関して期待される活性(1%付近)を大きく超える、観察されたインビボ活性を説明するのに役立つ。血漿蛋白に対する高い容量は、生理学的pHにおける化合物の乏しい溶解度にもかかわらず達成された比較的高い血漿濃度を説明するのに役立つ。
実施例4.ラットにおけるダルババンシンの薬物動力学的貢献および組織分布
20mg/kgの[H]−ダルババンシンを1回静脈輸液されたラットにおいて2つの研究を行った。投与後70日間にわたり排泄物および40個の異なる組織を集め、薬剤に由来する放射活性の組織分布および薬物動力学を調べた。
HPLCにより精製された[H]−ダルババンシンをこれらの研究に使用した。トリチウム交換により放射性標識薬剤を得て、HPLCにより精製した。
ラット物質収支の研究
オスのラットにおいて物質収支の研究を行って、ダルババンシン1回静脈(IV)輸液後のダルババンシンの排泄パターンを調べた。
15匹のオスのSprague-DawleyラットにH−ダルババンシン(20mg/kg,100μCi/ラット)を1回IV投与した。投与後、尿および便を24時間間隔で14、36、および70日目まで集めた(最終収集時に3匹)。水およびメタノールでのケージ洗浄液も集めた。収集期間の終わりに死体を分析した。液体シンチレーション計数(LSC)により全放射活性量に関してすべての試料を分析した。
ラットにH−ダルババンシンをIV投与した後、薬剤に由来する放射活性が尿(排泄された放射活性の約2/3)および便(排泄された放射活性の約1/3)の両方に排泄された。投与された放射活性の約半分が1週間以内に除去され、そのことは約1週間の血漿t1/2と一致した。投与後70日目で、死体には投与量のわずか4.5%しが残存していなかった。無視できる放射活性がケージ洗浄液中に回収された。実質的に投与されたすべての放射活性が研究期間中に説明された(尿、便、ケージ洗浄液、およびトリチウム交換)。
ラット定量的組織分布(QTD)の研究
オスのラットにダルババンシンをIV投与した後の組織分布を評価するために定量的組織分布の研究を行った。
41匹のオスのSprague-DawleyラットにH−ダルババンシン(20mg/kg,100μCi/ラット)を1回IV投与した。投与後12、24、48、72、96、120、144、168、336、840、1176および1680時間目にラット(各時点につき3匹)を安楽死させて、血液、血漿、および組織(死体を包含)を集めた。すべての試料をLSCにより分析した。
皮膚を含む組織中の薬剤由来の放射活性の濃度およびt1/2値は、血漿中で観察された値と比較した。投与12時間以内に定量可能な濃度の薬剤由来の放射活性を有するダルババンシンがすべての組織に迅速かつ広く分布することがわかった。大部分の組織は投与24時間以内に最大濃度(Cmax)に達した。5日後に回収された放射活性はいずれの組織においても投与量の5%未満であった。投与後70日目までに、死体のみ投与放射活性の1%(2.34%)を上回る放射活性を保持していた。かくして、ダルババンシンはどの単一組織、器官、または血液細胞コンパートメントにも蓄積しなかった。この健康な動物モデルにおいてCNS中の放射活性の濃度は低かったが、検出可能であった。ダルババンシンは、血漿中の濃度と同等またはそれ以上の薬剤由来の放射活性の濃度で皮膚に浸透することがわかった。薬剤由来の放射活性の血漿中対血液中の割合は時間経過しても比較的一定であり、1未満であった。
QTDの研究の一部として、投与後384時間(16日)にわたり胆管カニューレを挿入したラット(4匹)から胆汁試料を集めた。投与から384時間後に投与量のほぼ11%が胆汁中に回収された。このことは、薬剤由来の放射活性の大部分が便中に見出されたことを示す。
実施例5 HPLC−MS/MSによる血漿中のダルババンシンの定量
下記のような、血漿中のダルババンシンの定量的測定のためのHPLC−MS/MS法を開発した。

ダルババンシンの校正用標準および品質管理標準の調製
ダルババンシンを脱イオン水に溶解させて1000μg/mLの溶液を調製することによってダルババンシンの原液を調製し、次いで脱イオン水で連続的に希釈して500、50および10μg/mLの溶液を調製した。
ヒトの血漿を、上記のように調製した1000μg/mLのダルババンシンの原液の適切な量でスパイクすることによって、100、60、および40μg/mLのダルババンシン濃度の校正用標準を調製した。ヒトの血漿を、500μg/mLのダルババンシンの原液の適切な量でスパイクすることによって、20および10μg/mLの濃度の校正用標準を調製し、ヒトの血漿を、10μg/mLの原液の適切な量でスパイクすることによって、0.5μg/mLの校正用標準を調製した。
ヒトの血漿を、上記のように調製した1000μg/mLのダルババンシンの原液の適切な量でスパイクすることによって、90および30μg/mLのダルババンシンの品質管理標準を調製した。ヒトの血漿を、50μg/mLの溶液の適切な量でスパイクすることによって、1.5μg/mLの品質管理標準を調製した。

内部標準使用溶液の調製
内部標準のBI−K0098、これはA−40926のジエチル−アミノ−プロピル−アミノ誘導体である、の30μg/mLの使用溶液を次のように調製した。約10mgのBI−K0098を、約10mLの移動相A(80%の10mM ギ酸アンモニウム/ギ酸、pH3(v/v)、10%のアセトニトリル(v/v)、および10%の2−プロパノール(v/v))に溶解させて、1000μg/mLの内部標準の原液を作製した。次いで、この原液(300μL)を移動相Aで10mLの量に希釈して、30μg/mLの内部標準溶液を作製した。

分析のためのサンプルの調製
血漿中のダルババンシンの濃度を定量するためのサンプルを次のように調製した。上記のように調製した50μlの校正用標準または品質管理標準に、100μLの内部標準使用標準溶液を添加して混合した。この混合物を室温で五分間平衡化させ、次いで250μLのアセトニトリルを添加した。次いで、この混合物をボルテックスで10秒間撹拌し、次いでALC micro-centrifugette 4214で約10,000rpmにて1分間遠心分離した。上清をきれいな試験管に移し、Savant Speed-Vac Systemで、約40℃にて蒸発乾固させた。次いで、サンプルを150μLの移動相Aに再懸濁させた。

分析方法
分析のために上記のようにして調製した50μLのサンプルをPhenomenex Jupiter C18カラム(50×2mm、C18 5μm 300 A)内に注入し、0.3mL/minの流速の勾配HPLCの条件下で分析した。この勾配の条件は:最初が80%の移動相A/20%の移動相B(20%の10mM ギ酸アンモニウム/ギ酸、pH3(v/v)、40%のアセトニトリル(v/v)、40%の2−プロパノール(v/v));1分目に20%の移動相A/80%の移動相B;2分目に20%の移動相A/80%の移動相B;2.5分目に最初の条件に戻る、というものであった。
このHPLCシステムを、陽イオン化モードで操作する、ターボイオンスプレーを伴うPE SCIEX API−2000三連四重極質量分析計と連結した。イオン源におけるスプレーを生じさせるために、空気を用いた。カーテンガスとして窒素を用いてプローブ温度を500℃に設定した。コリジョンガスとして窒素を用いるマルチプルリアクションモニタリング(MRM)を採用した。次のイオンの移行:ダルババンシンについて909.3Da→1429.3Da、および内部標準(BI−K0098)について923.3Da→1457.3Daをモニタリングすることによって、分析対象物を検出した。質量分析計の汚染を避けるために、最初の1分間において、およびクロマトグラフィーの実施開始から2.5分間において、ポストカラムの流れを迂回させた。
データを収集し分析するためにSoftwafe Sample Control 1.4を用い、クロマトグラフィーでのピークと統計データの評価とを統合するためのソフトウェアのMacQuan 1.6を用いた。

校正曲線
測定方法の直線性を、校正曲線を作成するための校正用標準を検定することによって評価した。血漿サンプル中のダルババンシンの濃度を、ダルババンシンと内部標準との間のピーク面積の比率を計算することによって測定した。
0.5〜100μgのダルババンシン/ヒトの血漿1mLという分析範囲の全体にわたるダルババンシンの濃度についての校正曲線を、(1/xの加重がかけられた)方程式y=A+Bxを用いて作図した。ここで、Aは曲線の切片を示し、Bは曲線の傾きを示し、xは校正用標準(μg/mL)のダルババンシンの濃度を示し、yは内部標準に対するダルババンシンのピーク面積の比率を示す。三種の異なる校正曲線を作図した。この結果から、ダルババンシン/内部標準の面積の比率およびダルババンシンの濃度は分析範囲の全体にわたって直線的に変化することが示された。定量の下限値(LLOQ)は、1mLのヒトの血漿あたり0.5μgのダルババンシンであった。校正曲線についての傾きは再現性があり、それらの相関係数は0.9995より大きいものであった。

血漿中のダルババンシンの安定性
血漿サンプル中のダルババンシンの安定性を、上記のように調製したヒトの血漿サンプルの、二種の異なる濃度、1.5および90μg/mLの品質管理標準を三回繰り返して分析することによってテストした。検出可能なダルババンシンの濃度は、凍結−融解処理を三サイクル行った後でも安定していた。処理されたサンプル中のダルババンシンの濃度は、室温にて24時間後でも安定していた。0時間のサンプルに関して、ダルババンシンの濃度の低下は見られなかった。

実施例6 ダルババンシンの質量分析。
溶液中のダルババンシンの多量体の性質を詳細に調べ、ダルババンシンの単量体に対するダルババンシンの多量体の集団の比率に影響を与える条件を、エレクトロスプレーイオン質量分析(ESI−MS)によって決定した。
三連四重極分析計であって、陽イオンモードで操作する、ターボイオンスプレー源を備えたApplied Biosystem API III+ 質量分析計を用いて実験を行った。最適条件を下記の表12に記録する。
Figure 0005519090

溶液中のダルババンシン
機器のパラメータを、8:2の水:イソプロパノール溶液に溶解した、0.1mg/mLのダルババンシンを含むダルババンシン溶液に合わせた。この溶液を直接注入した後、溶液中のダルババンシンの、500〜2000amuの範囲のスペクトルを得た。図3に見られるように、得られたスペクトルから、ダルババンシンの多量体が存在することが示される。非限定的な例として、このスペクトルの一つの痕跡はBのホモ多量体に起因し、このものは(2nM+y(3))のイオン種として存在する。ここで、nはホモ多量体の多重度を示す正の整数であり、たとえば、多量体がホモ二量体の場合はn=1であり、多量体がホモ四量体の場合はn=2であり、Mは単量体の質量を示し、y=nであり、3は3価の陽イオンの電荷を示す。具体的には、n=1、y=1、およびM=Bの質量の場合、Bのホモ二量体が与えられる。このホモ二量体の種を、質量スペクトルにおいて(2M3)イオンの痕跡とする。

ダルババンシンの単量体に対する多量体の集団の比率に与えるダルババンシンの濃度の影響
単量体に対する多量体の集団の比率に与えるダルババンシンの濃度の影響を、上記の条件を用いた質量分析によって評価した。ダルババンシン溶液を20、40、60、および80μg/mLの濃度で直接注入することによってスペクトルを得た。図4に示されるように、ダルババンシンの濃度の関数として主なピークの強度を記録し、ダルババンシンの単量体に対する多量体の集団の比率を測定した。
このデータから、ダルババンシンの単量体に対するダルババンシンの多量体の集団の比率が、上昇する濃度に伴って増加することが示される。このことは、個体に投与され得る薬剤の負荷能力が高いことを説明するのに役立ち得る。単量体の貯蔵物としての多量体の機能によって、より高濃度のサンプルが沈殿を生成させる傾向を弱めることができ、個体に投与できる濃度を上昇させることができる。多量体が存在することによって、ダルババンシンの用量の個体への迅速な投与も可能となり得る。
ダルババンシンの単量体に対する多量体の集団の比率を測定する方法の非限定的な例が提供され、具体的には、図3に示されるように、イオンAとイオンBとの間のピークの強度の比率を測定することによる。ピークAの強度をピークBの強度で割ることで、ダルババンシンの単量体に対する多量体の集団の比率の一つの指標が与えられる。

ダルババンシンの単量体に対する多量体の集団の比率に与えるpHの影響
ダルババンシンの単量体に対する多量体の集団の比率に与える溶液のpHの影響を、上記の機器の条件および次のpH値の溶液:2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、および5.5にて評価した。ダルババンシンの単量体に対する多量体の集団の比率をそれぞれのpH値で測定し、図5に見られるように、pHに対してプロットした。ダルババンシンの単量体に対する多量体の集団の比率が、上昇するpHに伴って増加することが確定した。
理論に制限されないとはいえ、イオン性基、たとえば第一のダルババンシンの単量体上のカルボキシル基が、逆に荷電したイオン、たとえば第二のダルババンシンの単量体上の第三窒素基のせいで形成されるイオン性相互作用によるダルババンシンの多量体の安定化に役立つと考えられる。このようなイオン性相互作用は、pHに影響される可能性がある。ダルババンシンがより高いpHで多量体として存在する傾向が強くなることは、イオン性相互作用が多量体の安定化に重要であることを示すものと考えられる。とりわけ、特定の官能基、たとえばカルボキシル基はより低いpH値においてプロトン化し得るので、恐らくは多量体の安定性に寄与するイオン性相互作用が妨害されることによって、ダルババンシンの多量体はより低いpHで不安定になると考えられる。

ダルババンシンの単量体に対する多量体の集団の比率に与える溶液のイオン強度の影響
ダルババンシンの単量体に対する多量体の集団の比率に与える溶液のイオン強度の影響を、質量分析法によって測定した。Ultramark 1621、カフェインおよびMRFA(L−メチオニル−アルギニル−フェニルアラニル−アルギニン)を用いてエレクトロスプレーモードで予め合わせて校正しておいたFinnigan LCQDecaイオントラップ装置で、エレクトロスプレーのポジティブモードにて、この質量スペクトルを得た。表13に列挙した条件を用いてすべての質量スペクトルを記録した。詳細に調べたこのサンプルのパラメータを、表14に列挙する。
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サンプルの水溶液をHarwardシリンジポンプによって10μL/minで注入し、図6〜図8に見られるような質量スペクトルを得た。
得られたスペクトルから、ダルババンシンの単量体に対する多量体の集団の比率がイオン強度に影響されることが示される。緩衝液の濃度の上昇が多量体の質量の痕跡の減少に対応することが分かったので、ダルババンシンの単量体に対する多量体の集団の比率が減少する。
記載のように、イオン性相互作用はダルババンシンの多量体の安定性に重要であることが考えられる。上昇するイオン強度が、減少する多量体の質量の痕跡の強度と相関したという事実から、多量体の安定性におけるイオン性相互作用の機能が立証される。しかしながら、より高いイオン強度においてさえ多量体の質量の痕跡が存在するので、別の第二の相互作用が多量体の安定化に関与するのかもしれない。
あらゆる理論に束縛されないとはいえ、疎水性相互作用がダルババンシンの多量体の種の安定化に重要であると考えられる。これらの非共有的なダルババンシンの多量体の安定化がイオン性相互作用だけによるものだった場合、イオン強度の上昇の結果、多量体の質量の種類の全てが失われることが予想されただろう。すなわち、溶液のイオン強度が上昇するのにつれて、多量体を安定化させるイオン性相互作用が、増加した溶液中のイオン集団によって崩壊させられ、そのイオン集団によって単量体がより容易に会合することが予想された。従って、溶液のイオン強度が多量体の単量体成分への解離を促進し、得られた質量スペクトルにはいずれの多量体の質量の痕跡も存在しないだろう。しかしながら、イオン強度が高い溶液(たとえば100mMのギ酸アンモニウム)においてさえ、ダルババンシンの多量体が存在することが、質量スペクトルにおいて認められている。従って、ダルババンシンの多量体は、疎水性相互作用によって少なくとも部分的に安定化させられたとみなされる。

構造が類似した化合物
ダルババンシンの効果の改善は、多量体を形成する能力が、少なくとも部分的な原因であると考えられる。このユニークな特徴は、構造が極めて類似した化合物によってでさえ共有されていないと思われる。ダルババンシンと化学構造が類似する化合物が多量体を形成するその能力について、質量分析によって詳細に調べた。Ultramark 1621、カフェインおよびMRFA(L−メチオニル−アルギニル−フェニルアラニル−アルギニン)を用いてエレクトロスプレーのモードに予め合わせて校正しておいたFinnigan LCQDecaイオントラップ装置で、エレクトロスプレーのポジティブモードにて、この質量スペクトルを得た。表15に列挙した条件を用いてすべての質量スペクトルを記録した。詳細に調べたサンプルのパラメータを、表16に列挙する。サンプルの水溶液をHarwardシリンジポンプによって10μL/minで注入し、図9および図10に見られるような質量スペクトルを得た。
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n.a.=調整せず
類似の糖ペプチド抗生物質(テイコプラニン)は、種々の濃度の溶液中で多量体性の複合体を示さない。このことは、構造が類似した化合物は溶液中で多量体の種を形成できないという指摘、およびこの現象はダルババンシンの活性において重要な機能を果たし得るという指摘を支持する。

実施例7 タンパク質−ダルババンシン複合体のマトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間(MALDI−TOF)型質量分析
10μLのHSA、0.150mMを10μLの(0.075mM、0.15mM、0.3mMおよび1.5mMからの)ダルババンシン溶液と混合し、37℃で60分間インキュベートした。このサンプルを、ドライドドロップレットテクニックを用いる分析のために調製した。200のレーザーショットによって生じたスペクトルを得て平均化した標準のウシ血清アルブミンを用いて、予め合わせて校正しておいたtof質量分析計であるBRUKER FLEX IIIでスペクトルを得た。マトリックス:アセトニトリル/HO(50:50)中で飽和したDHB−9(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)が9部、アセトニトリル/HO(50:50)中で飽和したシナピン酸が1部。0.5μLのサンプル溶液および0.5μLのマトリックス溶液を混合し、レーザーターゲット上に置いた。
ダルババンシンは単量体としてタンパク質と結合する(1 HSA+1ダルババンシン)。タンパク質に対するダルババンシンの比率が非常に高い(1:2、1:10)場合、タンパク質分子あたり2分子のダルババンシンを含む複合体の存在が観測できる。

実施例8 ヒトの血清アルブミン存在下でのダルババンシンのN,N’−ジアセチル−Lys−D−Ala−D−Alaとの結合の等温滴定熱量測定
ダルババンシンの細胞壁のターゲットのペプチドアナログである、N−N’−ジアセチル−Lys−D−Ala−D−Alaとの、ダルババンシンの結合を、(600μMまでの)濃度範囲にわたるHSAの存在下、25℃にて、いくらかの37℃での追加的な測定を含めて、等温滴定熱量測定(ITC)によって詳細に調べた。HSAはダルババンシンの溶解性を高め、トリペプチドリガンドに対するその結合親和性を低下させた。結果を、バンコマイシンについての結果と比較した。観測された効果は、比較的低いHSA濃度にて頭打ちとなった。これは、リガンドの、溶液中で遊離しているダルババンシンとの結合、およびダルババンシン−HSA複合体との(より弱い)結合の両方を可能とする非競合的な結合モデルと一致した。
予備的な実験から、血清タンパク質が無い場合、ダルババンシンおよびバンコマイシンは、類似の結合特性:両者はN−N’−ジアセチル−Lys−D−Ala−D−Alaに対して発熱性の結合を行うが、ジペプチド(D−Ala−D−Ala)またはLys−D−Ala−D−乳酸塩に対して結合した証拠は無いことを示すことが実証された。ダルババンシン/トリペプチド相互作用については、これらのデータはKdiss=1〜10μMでの温度依存的な結合と一致し、同じ条件下でのバンコマイシンと類似していた。HSAが存在する場合、ダルババンシンの溶解性は有意に上昇し、トリペプチドに対する結合親和性は、HSAによる抗生物質に対する競合的な結合または非競合的な結合と一致する様式で低下した。本実施例において記述された実験は、(a)異なる温度(25および37℃)および異なるHSA濃度でのダルババンシン/トリペプチドの測定の比較;(b)観測された数を比較するための結合モデルを構築するための、これらのデータの使用を目的として設計された。
ダルババンシンはBiosearch Italiaから供給を受けた。その他の試薬はSigmaからのものであった:塩酸バンコマイシン(Sigma V-2002, fw1485.7)、N,N’−ジアセチル−Lys−D−Ala−D−Ala(Sigma D-9904, fw372.4)、ヒトアルブミン(HSA; Sigma A-3782; mw 69,366)。
抗生物質およびペプチドを、HSAを含む緩衝水溶液(20mMリン酸Na、150mM NaCl、pH7.4)に溶解させ、それぞれの実験の直前に緩やかに撹拌した。ペプチドの濃度を重量で測定した。ダルババンシンの濃度を、重量、またはモル吸光係数ε=12430(ダルババンシン、A280 1%=68.42)、ε280=6690(バンコマイシン)を利用するUV吸光度のいずれかで測定した。HSAの濃度をUV吸光度(HSA、ε280=37,700; A280 1%=5.44)によって測定した。Shimadzu UV−160AまたはUV−1601分光光度計を用いて、1cmの光路長の石英キュベット内で室温にてスペクトルを記録し、必要に応じて、吸光度を0.1〜1Aの範囲とするために、サンプルを緩衝液で定量的に希釈した。
Microcal VP−ITC装置を用いて、標準的な操作手順を採用して25℃および37℃にて等温滴定熱量測定を実施した。たとえば、Wisemanら、Anal. Biochem. (1989) 179, 131-137; Cooperら、Philos. Trans. R. Soc. Lond. Ser. A-Math. Phys. Eng. Sci. (1993) 345, 23-35; Cooper, A, Isothermal Titration Microcalorimetry in C. Jones, B. Mulloy and A. H. Thomas (ら編)、Microscopy, Optical Spectroscopy, and Macroscopic Techniques, Humana Press, Totowa, NJ, (1994) p137-150; Cooper, A., Microcalorimetry of Protein-protein Interactions in J. E. Ladbury and B. Z. Chowdhry (ら編); Biocalorimetry: Tne Applications of Calorimetry in the Biological Sciences, Wiley, (1998) p 103-111;およびCooper, A., Curr. Opin. Chem. Biol. (1999) 3, 557-563を参照すること。熱量計のセル内での泡の形成を抑えるために、添加前にサンプルの脱気を穏やかに行った。それぞれの実験は、通常、抗生物質溶液(約20〜100μM)を含む熱量計のセル(容積は約1.4mL)内に、25×10μLのペプチド溶液(約1mM)を注入することを含んでいた。コントロールの実験では、ペプチドの希釈熱を測定するために、同一の条件下でリガンドを緩衝液に注入する必要があり、そしてこれらの値を、分析前の生の結合データを補正するために用いた。ダルババンシン/トリペプチドの結合実験を、それぞれの温度で数回繰り返した。標準的なMicrocal ORIGIN(商標)ソフトウェアを用いてITCの結合データを分析し、結合部位の見かけの数(N)、結合親和性(Kass=1/Kdiss)および結合エンタルピー(ΔH)を決定した。
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HSAが無い場合のトリペプチドのダルババンシンとの結合に関するITC実験から、10、25、および37℃での平均Kdissがそれぞれおよそ1.4、3.1、および8.4μMである結合親和性についての矛盾がないデータが得られる(表17)。結合は発熱性である。ここでの濃度の計算から、これらの条件下ではNはほぼ0.5であることが示される。このことは、これらの条件下ではダルババンシン二量体あたりトリペプチド一分子が結合することと一致する。これらの結合親和性および結合エンタルピーは、同一の条件下でのバンコマイシンで観測される結合親和性および結合エンタルピーに匹敵する(表17およびD. McPhail, A.Cooper, J. Chem. Soc.-Faraday Trans. (1997) 93, 2283-2289.)。ここでまた留意すべきことは、バンコマイシンは、より高濃度ではリガンドに誘導される二量体化が生じることである。
ダルババンシン混合物にHSAを添加すると、トリペプチドとダルババンシンとの間の見かけの結合親和性が低下するが、結合の発熱性は明らかにより強まる(表17)。これについての25℃でのHSAの濃度依存性を図11に示す。見かけのKdissが最大で35μM HSAという(弱い)立ち上がりの後は、生理学的なレベル(600μM)に近づくより高いHSA濃度に対して比較的一定であり続ける。高濃度のHSAにおける頭打ちとなるレベルKdissがほぼ35μM)は、HSAが無い場合よりも約10〜12倍弱い結合親和性に相当する。類似の低下は37℃で見られる。
HSAの効果は、トリペプチドとの相互作用によるものではなかった。HSAが存在する場合のバンコマイシンのトリペプチドとの結合についてのコントロールのITC実験から、HSAが無い場合に見られる結果に匹敵する結果が得られた(表17を参照すること)。このことは、ペプチドおよび関連性が強い抗生物質、バンコマイシンのどちらも、溶液中のHSAと相互作用しないことを示す。要するに、HSAがダルババンシン/トリペプチドの相互作用に与えるあらゆる影響は、HSAとダルババンシンとの間の相互作用が原因となるはずである。
理論に束縛されるつもりはないとはいえ、上記のデータは非競合的な結合モデルと一致する。このモデルは、トリペプチドリガンド(L)が、遊離状態のダルババンシン(D)と、(親和性が異なるかもしれないが)ダルババンシン−HSA複合体状態のものとの両方に結合することが可能であると仮定している。

D+L←→DL; KL=[D][L]/[DL]

D+HSA←→D.HSA; KHSA=[D][HSA]/[D.HSA]

D.HSA+L←→LD.HSA; KLDHSA=[D.HSA][L]/[LD.HSA]

見かけの(観測された)リガンドの結合解離定数(非競合的):

Kapp,L=[すべてのD][L]/[すべてのDL複合体]
=([D]+[D.HSA])[L]/([DL]+[LD.HSA])
=KL{1+[HSA]/KHSA}/{1+[HSA].KL/KHSA.KLDHSA
このことから、Kapp,Lは、観測されたデータとよく一致する遊離のHSA濃度に双曲線的に依存することが示される(図11)。[HSA]が高い場合、これは漸近(頭打ちの)値に達する。
app,L=KLDHSA(大きい[HSA]に対して)
このことは、遊離のダルババンシンについては3μMであることと比べると、ダルババンシンがHSAと結合する場合のトリペプチドに対する結合親和性は約35μMであることを示唆する(25℃の図)。
ペプチドまたはタンパク質との相互作用において、ダルババンシンが単量体としてまたは二量体として振舞うのかどうかについて、さらなるメカニズムが示唆され得る。ダルババンシンを(これらの低濃度では1:1で結合することが明示されている)バンコマイシンと直接比較したことから、ダルババンシンについてのモル比がより小さい(Nがより小さい)場合、結合は完全であることが示される(図12)。このことは、ダルババンシン:ペプチド複合体が2:1であることと一致する。
しかしながら、HSAが存在する場合、見かけのN値が増加し(表17)、この値は1:1の複合体形成にさらに一致し得る。理論に束縛されるつもりはないとはいえ、図13に示されるモデル、このモデルはダルババンシンの単量体および二量体とトリペプチドリガンドおよびHSAとの予想される相互作用を示す、はこれらの観測結果と一致する。図13Aは、溶液中では単量体−二量体の平衡状態として(大部分は二量体として)のダルババンシンであるが、HSA上の二つの別個の部位へは単量体として結合するダルババンシンを表現している。このことは、血清タンパク質のダルババンシンへの結合についてITCによって観測される、N=0.5の値と一致する(実施例3)。図13Bは、溶液中ではダルババンシンの二量体に結合し、HSAに付着するダルババンシンの単量体に(より弱く)結合するリガンドを表現している。このことは、ダルババンシンがトリペプチドおよびHSAの両者と、可変の見かけの化学量論で非競合的に結合することと一致する。
要するに、本実施例から、HSAがダルババンシンのトリペプチドリガンドに対する、非競合的なメカニズムと一致する様式での結合親和性を低下させること、およびHSAに結合するダルババンシンが、親和性が低下したにもかかわらず、トリペプチドリガンドと結合するその能力を保持することが示される。これらの結果も、ダルババンシンが溶液中で単量体−多量体の平衡状態にあり、ペプチドリガンドに対する多量体の強い親和性を有し、大部分が多量体であるモデルと一致する。ダルババンシンの単量体、遊離のものおよび血清アルブミンに結合したものの両者、も低下した親和性でペプチドと結合し得る。

実施例9 A−40926およびダルババンシンの調製
A−40926の調製
A−40926、発酵によって生じる天然の糖ペプチド、をダルババンシンを生産するための出発物質とした。このものは、Nonomuria sp ATCC 39727によって、A−40926とそのアセチル誘導体との混合物として生産された(米国特許第4,935,238号およびB. Golstainら、Antimicrobial Agent and Chemotherapy, Dec. 1987, p.1961-1966を参照すること)。最初にこのアセチル誘導体を脱アセチル化してA−40926とした。脱アセチル化後、下記のポリアミドでのカラムクロマトグラフィーによって、A−40926を精製した。次の記述は現在の生産方法の代表例である。ここで記録された量は、工業的な調製で通常作業する量の約1/4である。

A−40926の脱アシル化
総量が約1g/LのA−40926およびそのアセチル誘導体を含む10mの発酵ブロス(23℃)を、撹拌しながら30%のNaOHでpH11.4に調整した。撹拌を6時間継続し、次いで、温度を15℃に低下させ、そのブロスを精密ろ過にかけた(0.12mのセラミック膜、0.1μのKoch Protosep IV Microfilter)。このプロセスの最後に20〜25mのろ液および4.5〜5mのろ過残渣(出発時の値の半分)を得るために、精密ろ過の間、絶えず水をろ過残渣に添加した。
このろ液、このものはA−40926を含んでいた、をHPLCで分析した。脱アセチル化を終えた時、ろ過された溶液のpHを(20℃で保存した)30%の硫酸でpH7に調整した。本実施例において、6.62KgのA−40926(268mg/L)を含む25mのろ過されたブロスを得た。脱アセチル化の収率は66.2%であった。このプロセスにおいて採用された時間および抽出量よりも長い時間および多量の抽出量で精密ろ過プロセスを実施すれば、収率は最大で90%まで上昇することが可能である。

ポリアミドカラムでのA−40926の精製
抽出後、ろ過されたブロスに含まれるA−40926を、ポリアミドカラムで下記のようにして精製した。この記述に記録された量は、工業的な調製で通常作業する量の約1/10であり、現在の生産方法の代表例である。
500Lの(Macherey Nagelからの)ポリアミド樹脂SC6を脱塩水に懸濁させ、カラムに添加した。次いで、800Lの水に4Kgの炭酸ナトリウムを溶解させ、得られた溶液のpHを酢酸で調整して調製した少なくとも2BV(ベッドボリューム)の緩衝溶液でカラムを溶出することによって、この樹脂をpH6〜6.5の状態とした。
ろ過されたA−40926のブロス(9000L;分析値は0.275mg/L;A−40926は2475g;pHは6±0.2;温度は10±3℃)を、1リットルの樹脂あたり約5gの活性にて、このカラム内に添加した(5〜8g/Lという活性/樹脂の比率が通常用いられた)。このカラムを次の溶液で洗浄した:3BV(1500L)のpH6の溶液を、1500Lの脱塩水に7.5Kgの炭酸ナトリウムを溶解させ、pHを酢酸で調整して調製した;4BV(2000L)のpH8の溶液を、2000Lの脱塩水に10Kgの炭酸ナトリウムを溶解させ、pHを酢酸で調整して調製した;1.5BV(750L)のpH9の溶液を、750Lの脱塩水に4Kgの炭酸ナトリウムを溶解させ、pHを酢酸で調整して調製した。
2000Lの脱塩水に10Kgの炭酸ナトリウムを溶解させ、pHを酢酸で調整して調製した4BV(2000L)のpH10の緩衝溶液で溶出することによって、このカラムからA−40926を回収した。精製A−40926(A−40926の濃度は0.5g/Lを超え、主成分(B+B)のHPLCでの面積%は80%を超えている)を含む画分を集め、1NのHClで中和してHPLCで分析した。約2000Lの最終の清澄な溶液を得た。
精製のために用いた樹脂を、1.5BVのイソプロパノール/5%のNaOHの1:1混合物で再生し、次いで5BVの脱塩水で洗浄した。

A−40926の濃縮
このカラムに由来する溶液を希釈/濃縮工程にかけることを数回繰り返して、溶液中の無機塩類のほとんどを除去した。この溶液を、カットオフが250Dの膜を用いるナノろ過によって80Lに濃縮し、80Lの脱塩水で希釈し、ナノろ過によって出発時の量の(80L)に再濃縮した。この操作を少なくとも5回繰り返した。最終溶液(80L、pH7.5)のpHを23%のHClでpH6.3に調整した。次いで、この溶液を80Lのアセトンで希釈し、そのpHを23%のHClで再びpH2.6に調整した。

脱色
680gの木炭PA 200 C(約0.3g/g A−40926)を、撹拌下上記の工程において得られた溶液(160L)に添加した。撹拌を室温で少なくとも30分間継続し、次いで、約0.5〜0.6Kgのろ過助剤(DIF−BO)を添加した。この混合物を、フィルターカートリッジを通してろ過した。アセトンを10%未満に減少させるために、得られた清澄な溶液を減圧下(45℃)で濃縮した。最終量は約100Lであった。次いで、そのpHをNaOH水溶液で6.7に調整し、A−40926の濃度が100g/L程度になるまで、通常のナノフィルターを用いて濃縮工程を継続した。20Lの濃縮溶液を得た(A−40926 1884g, 94.2g/L)。

沈降および乾燥
先の溶液を、撹拌下20Lのアセトンで希釈し、そのpHを10%のHClで5.1に調整した。この溶液に、追加の5倍量のアセトン(100L)を添加してA−40926の沈降を完結した。この時点での水の含量が15%未満でなければ、追加のアセトンを添加した。2時間後、この懸濁液を遠心分離し、固形物を3×10Lの新たなアセトンで洗浄した。母液を分析し、生成物が無いことを確認した後で廃棄した。
固体のA−40926をスタティックドライヤー内で減圧下、30〜35℃にて残りのアセトンが2%未満に、および水が10%未満になるまで乾燥させた。次いで、生成物を50メッシュの篩を通して篩い分けして、2.08Kgの精製A−40926(HPLC分析では81.4%;水は6.2%;硫酸灰分は4.8%)を得た。カラムに添加した活性物から出発して、収率は68.4%であった。

ダルババンシンの合成
ダルババンシン(BI−397)を、Malabarba and Donadio (1999), Drugs of the Future, 24 (8): 839-846に記載されたような三工程の合成を経て天然の糖ペプチドA−40926から調製した。具体的に言えば、最初にA−40926をエステル化工程に付してMAを作製し、次いでこのものをアミド化工程に付してMA−A−1を作製した。次いで、最後の加水分解工程によってMA−A−1をダルババンシンに変換した。

エステル化工程(工程1)
次の記述は現在用いられている方法の代表例である。

96%のH SO /MeOH(溶液A)の調製
メカニカルスターラーおよび温度計を備えた15Lの丸底フラスコ内にて、2.28Lの96%のHSO(1KgのA−40926粉末あたり約300mLの96%のHSO)を7.9LのMeOHに滴下した。外側で氷浴を用いて温度を0〜5℃の間に維持した。

反応の手法
出発物質A−40926(7.6kg;バッチ019、分析値は85.09%;活性は6.46kg;3.73mol)を、140Lのガラスで裏打ちした反応容器内にてMeOH(46L)に懸濁させ、得られた懸濁液を0℃±2℃で冷却した。この温度で、懸濁液を、予め調製しておいた溶液A(HSO/MeOH)で処理した。得られた溶液を0℃で22〜26時間撹拌すると同時に、この反応(1:1のアセトニトリル/水の混合物で100倍に希釈した反応のアリコート)を二時間ごとのHPLC分析によってモニタリングした。A−40926の残りが5%未満であり、ジエステルがHPLCでの面積%として10%以下となった時、このエステル化が完了したものとみなした。

エステル(MA)の単離
この反応が完結した時、この混合物を−5℃(+/−2℃)で冷却し、温度を5℃未満に維持しながら同量の冷水(54L)で希釈した。10.2Lのトリエチルアミン(TEA)をゆっくり添加して溶液のpHを5.5(+/−0.2)に調整することによって、この生成物(MA)を沈降させた。撹拌を0〜2℃でさらに1時間継続した。次いで、得られた固形物を遠心分離にかけ、(1KgのA−40926あたり10Lの)水で洗浄し、最後に予め10〜15℃に冷却しておいたMeOH(1Kgの出発時のA−40926あたり3LのMeOH)で洗浄した。水での洗浄を主に行って、MAに由来する硫酸塩を除去した。
母液および洗浄液を別々に分析し、1〜2%未満の活性しか含まれていない場合は廃棄した。残りの水が10%未満となるまで、生成物を減圧(50mmHg)下35〜40℃(外部の温度)で乾燥させた。7.6KgのMA(5.63kgの活性、3.23mol)を茶色がかった粉末として得た。
この分析から、次のHPLCでの面積%の値が示された:MAは89.8、A−40926は3.2、ジエステル誘導体は5.9。HPLC分析では74.2%であり、活性は5.637Kg;3.23mol;収率=86.5%。さらなる精製を行わずに、この物質を次の工程に用いた。

アミド化工程(工程2)
次の記述は現在の生産方法の代表例である。

DMSO/HCl混合物(溶液B)の調製
DMSO(1.6L)をメカニカルスターラーおよび温度計を備えた10Lの丸底フラスコ内に入れ、氷浴で10℃未満に冷却した。次いで、この混合物の温度を25℃未満に維持しつつ、37%のHCl(1L)を撹拌下、ゆっくり添加した。

アミド化の手法(MA−A−1の生成)
出発物質のMAの5.95kg(分析値は76.3%、KFは8.9%;2.68mol)を、19.2Lの1:1DMSO/MeOH混合物(1KgのMA粉末あたり約1.6LのDMSOおよび約1.6LのMeOH)に撹拌下室温にてゆっくりと溶解させた。1時間の撹拌後、709mLの3−(ジメチルアミノ)−プロピルアミン(DMEPA、MW 102.1;密度=0.812g/mL;5.63mol;出発時のMAの1molあたり1.96mol)および325gの1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBT HO;MW 153.1;2.04mol;出発時のMAの1molあたり0.71mol)を反応混合物に添加した。完全な溶液が得られるまで撹拌を継続し、次いで、この混合物を約2.0Lの溶液B(DMSO/HCl)をゆっくり添加することによって、pH3〜3.1に調整した(反応のアリコートを10倍の水で希釈した後で測定した)。
4.1Lの1:1DMSO/MeOH混合物に1.03Kgのジシクロヘキシルカルボジアミド(DCC)(4.99mol;MW 206.3;1molのMAあたり1.74mol)を溶解させて調製したDCC溶液を、撹拌した反応混合物に10分間以内に添加した。撹拌を5時間継続し、次いで、残りのMAを5%未満に低下させてイソ尿素のレベルを4〜5%未満に維持するために、追加の51.5gの固体のDCC(0.25mol)を反応混合物に添加した。イソ尿素は、ダルババンシンと過剰のDCCとのさらなる反応によって生じる副産物のグループの一つである。
通常はさらに2時間(合計7時間)後に、この反応を完結させた。最後に、混合物を水(60L)で希釈してDMSO濃度を15%(v/v)に低下させ、1NのHCl(0.85L)でpHを2.3に調整して残りのDCCを分解させた。

MA−A−1のダルババンシンへの加水分解
30分後、この混合物を15%のNaOH(8L)でpH12.0〜12.1に調整した。15%のNaOHを少量添加して混合物をこのpHに維持しながら、撹拌を4時間継続した。この後、残りのMA−A−1はHPLCでの面積%として0.2%未満となった。
次いで、この混合物を1NのHCl(19L)でpH3.0の酸性にし、懸濁液をろ過して形成されたジシクロヘキシル尿素を除去した。固体のケーキをフィルター上で脱塩水(2×20L)で洗浄した。洗浄液およびろ液を一つにまとめ、HPLCで分析する清澄な溶液を得た。21.74g/Lのダルババンシンを含む152.8Lの溶液(すべての活性3322g;1.828mol、収率=68.2%)を得た。

ダルババンシンの精製
次の記述は現在の生産方法の代表例である。
加水分解工程から得られ、3322gのダルババンシン活性を含む152.8Lの溶液を二部に分割し、それぞれのものを、400Lのポリアミドを含む同一のクロマトグラフ用カラムで別個に精製した。これらの二つの精製操作において、活性/樹脂の比率はそれぞれ4.3および4.0g/Lであった。

ポリアミドカラムの作製
400Lのポリアミド樹脂を含むガラスで裏打ちしたカラム(内径=40cm、h=320cm)を、樹脂の再生手法(下記を参照すること)にしたがって洗浄し、4LのAcOHで酸性にした2BV(800L)の脱塩水(pH=3.2)で調整した。

第一部の精製
76.4Lの出発溶液である第一部を、DMSOの含量を5%(v/v)未満に低下させるためにHO(56L)で希釈し、1NのHCl(3.4L)でpH2.78の酸性にした。次いで、この溶液を150L/hの流速でカラム上に添加した。添加後、樹脂を次の溶液で洗浄した:AcOH(8L)で酸性にした4BV(1600L)のHO、pH=3.2;5BV(2000L)の0.1MのAcONa、pH=8.2;AcOH(1L)で酸性にした1BV(400L)のHO、pH=3.2。ダルババンシンを、AcOH(6L)で酸性にした4BV(2400L)のHO/MeOH(8:2)、pH=3.4で溶出した。
溶出工程の間、それぞれが50〜60Lの22画分を集め、HPLCで分析した。9〜25の画分(ダルババンシンの濃度は0.5g/Lを超え、(B+B)のHPLCでの面積%は≧80%である)をまとめて集め、1.56Kgのダルババンシンを含む969Lの溶液を得た(収率=93.9%)。次いで、この溶液をナノろ過で濃縮し、1.38Kgのダルババンシンを含む125.7Lの溶液を得た。145gの不純なダルババンシン(8.7%)を含む850Lのろ液を中和して廃棄した。

樹脂の再生
再利用する前に、樹脂を次の溶液で洗浄した:酢酸(2.5mL/L)で酸性にした2.5BV(1000L)の1:1MeOH/水;2.5BV(1000L)の1:1の0.5%のNaOH/イソプロパノール;10BV(4000L)の脱塩水。次いで、この樹脂を、酢酸(2.5mL/L)で酸性にした1BV(800L)の水で再平衡化した。

第二部の精製
加水分解工程(76.5L)に由来する第二部の出発溶液を、HO(56L)で希釈してDMSOの含量を5%(v/v)未満に低下させ、3.0Lの1NのHClでpH2.87の酸性とした。次いで、この部分を、第一部の精製にて既述したようにして精製した。集めた画分(量=972L、ダルババンシンは1.54Kg、収率=92.7%)をナノろ過によって濃縮し、1.46Kgの活性を有する133Lの溶液を得た。73gのダルババンシン(4.3%)を含む850Lのろ液を廃棄した。
二つの精製工程に由来する濃縮溶液を再び分析し、まとめて集めて2840gの精製ダルババンシンを含む258Lの溶液を得た。精製の収率は86%であった。MAから出発した全収率は58.3%であった。

最終のポリアミドの再生
第二の精製操作の後、ポリアミドを、AcOH(2.5L)で酸性にした2.5BVの1:1のMeOH−水、pH=3.4;2.5BVの1:1の0.5%のNaOH−イソプロパノール;10BVの脱塩水、を用いて再生した。

ダルババンシンの脱色および沈降
1molのダルババンシンあたり1.5molの1NのHCl、および1グラムのダルババンシンあたり0.3gの木炭CG1(0.85Kg、NORITより)を、上記で得られた258Lの溶液に添加した。この混合物を室温で少なくとも45分間撹拌した。このpHは3.1であった。次いで、この懸濁液をSEITZ-SCHENKからのSUPRA DISC cartridge mod. SDP-EK1でろ過し、ケーキを50Lの8:2のHO/MeOHで洗浄した。このろ液を分析し、カットオフが250DのMPS 44膜を用いるナノろ過によって再び濃縮した。119g/Lのダルババンシン(pH4.1;MeOH1.9%、GC)を含む21.3Lの濃縮溶液を得た。最後に、909mLの1N HClを添加してpHを2.63に調整した。この値は、1.65mol塩酸/molダルババンシンの塩化割合(salification ratio)に相当する。
この溶液(22.2L)を撹拌下、200Lのアセトン中に注いだ。デカンテーション後に得られる固形物を遠心分離にかけ、14Lの新たなアセトンで洗浄した。次いで、この生成物を減圧下(50mmHg)、35℃で乾燥させ、内部の温度が30℃未満で17時間維持した。乾燥プロセスの間、1Lの発熱物質を含まない水(<250EU/mL)、それぞれ0.5Lに二分割し、その他の方法では除くことが難しい残りのアセトンを除去するために、三時間および五時間後にこの固形物上に噴霧した。次いで、この生成物を篩い分け(50メッシュ)して、2592gのダルババンシン(HPLC分析では82.4%;水(KF)14%;Cl3.0%)を得た。

実施例10 A−40926およびダルババンシンを調製するための別の方法
下記の方法は、A−40926およびダルババンシンの調製プロセスに用いることができる代替法である。

X4D−7HPでのA−40926の調製
脱アセチル化および菌糸体での精密ろ過
A−40926(pH7)を含む150Lの発酵ブロスを適切な反応容器内で室温(24℃)にて撹拌し、2.5NのNaOH溶液(2.5L)でpH11.5に調整した。撹拌を4時間続けた後、このブロスを15%のHClでpH10.6に調整し、0.2ミクロンの膜を通して精密ろ過にかけた。439Lの清澄なろ液を集め、次いでカットオフが250DのMPS 44膜を用いるナノろ過で濃縮した。得られたA−40926濃縮溶液(58.6L;3.89g/L)をpH6.4に調整し、使用時まで4℃で保存した。

カラムの調製と精製
XAD−7HP樹脂(8L)を1:1の水/メタノール溶液に懸濁させ、ろ過し、ぜん動ポンプを用いて適切なガラス製のカラム(内径12cm)に充填した。
次いで、この樹脂を水で洗浄し、1リットルの水につき5gの炭酸ナトリウムを溶解させ、そのpHを酢酸で調整して調製した6BVのpH6の緩衝化炭酸ナトリウム水溶液で平衡化した。
194gのA−40926を含む濃縮ブロスの一部をXAD−7HPカラムに添加した。次いで、親水性の部分と存在する着色物質を除去するために、この樹脂を次の二種の緩衝溶液で、1/2BV/時間の流速にて洗浄した:30%の水酸化ナトリウムでpH5に調整した3BV(24L)の0.5%酢酸水溶液;1Lの水あたり5mLの酢酸を含む5BV(40L)の水/アセトンの8:2混合物。
A−40926を、1Lの水あたり5mLの酢酸で酸性にした8BV(64L)の1:1の水/アセトン混合物で最終的に溶出した。それぞれ4Lの16画分を集めた。A−40926の濃度が0.5g/Lより高い濃厚な画分(5〜15)をまとめて集め、163.4gのA−40926(43L, 3.8g/L)を含む溶液を得た。このカラムの収率は81.3%であった。0.23g/L(45.3g;22.2%)の純度の低いA−40926を含むその他の画分(200L)を廃棄した。
溶出後、樹脂を、6BV(55L)の0.5%のNaOH/イソプロパノール(1:1)混合物を用いて再生し、最終的に、10BVの水で洗浄して中和した。

木炭処理
集めた画分を37%のHCl(70mL)でpH2.5に調整し、次いで50gの木炭タイプPA 200(1gのA−40926あたり0.3g)で脱色した。得られた懸濁液を室温で2時間撹拌し、次いでKS 50フィルター(d=25cm、時間=2.5時間)を通してろ過し、45.6Lの淡い黄色のA−40926溶液(3.5g/L;収率=96.4%)を得た。

濃縮
脱色した溶液を30%のNaOH(230mL)でpH7に調整し、ナノろ過および限外ろ過によって濃縮した。これらの技術を用いることはRt=2〜4分間でHPLCクロマトグラムに検出される親水性物質を除去するために重要であった。ろ過残渣を出発時の量(4L)の1/10に濃縮した場合、同量の水を添加して、得られた溶液を再び濃縮した。残りのアセトンを0.25%に減少させるために、この濃縮/希釈工程を三回繰り返した。最終溶液(2.2L、146.3gのA−40926、66.5g/L、収率=91.5%)をHPLCで分析した。精製の収率は75.4%であった。

A−40926の結晶化
A−40926溶液の一部の300mL(19.9gのA−40926)を、実験室の規模の限外ろ過装置を用いてさらに100mLに濃縮し、次いで60〜65℃に加熱した。この溶液のpHを(30%NaOHで)7に調整し、1mLの濃縮溶液あたり1.2mLの5:1のアセトン/イソプロパノール混合物を、この温度で滴下した。得られた混合物を放置して20℃に冷却した。1.5時間後、得られた固形物をろ過し、フィルター上でアセトンで洗浄し、40℃で15時間かけて乾燥させた。20.6gの生成物(HPLC分析では82.0%;A−40926は16.9g)を得た。精製の収率は84.9%であった。ろ過されたブロスから出発する全体の収率は約64%であった。

CG−71でのA−40926の精製
カラムの調製
CG−71樹脂(350mL)をガラス製のカラム(内径=4cm)内に注ぎ、水で洗浄した。5gの炭酸ナトリウムを水で溶解させて酢酸でpH6として調製した3BVの炭酸ナトリウム溶液で、この樹脂を平衡化した。14.7gのA−40926を含む250mLの発酵ブロス(pH7)をこのカラム(樹脂1Lあたり42g)に添加した。この樹脂を次の三種の溶液で洗浄した:酢酸でpH6に調整した1050mL(3BV)の炭酸ナトリウム水溶液(5g/L);酢酸でpH8に調整した1750mL(5BV)の炭酸ナトリウム水溶液(5g/L);酢酸でpH9に調整した3150mL(9BV)の炭酸ナトリウム水溶液(5g/L)。
次いで、10BVの脱塩水で活性部を溶出した。それぞれが500mLの20画分を集めた。画分12〜15をまとめて集め、11.7gのA−40926(収率=79.6%)を含む2.2Lの精製溶液を得た。次いで、この溶液を限外ろ過で濃縮し、さらにこの濃縮溶液を脱塩水で希釈して再び限外ろ過を行った。得られた溶液を減圧下でさらに50mLに濃縮した。

A−40926の結晶化
この濃縮溶液を60℃で加熱し、撹拌下にて5:1のアセトン/IPA混合物(60mL)で処理した。次いで、この混合物を室温でゆっくりと冷却した。得られた固形物をろ過し、フィルター上でアセトンを用いて洗浄し、減圧下、35℃で80時間かけて乾燥させた。8.9gの精製A−40926(HPLC分析では84.2%)を得た。全体の収率は51%であった。

N−メチル−2−ピロリジン(NMP)を溶媒として用いる、ダルババンシン合成における代替的アミド化工程
MA混合物を1:1のNMP/MeOH混合物(64mL)に撹拌しながら一部分ずつ添加した。撹拌を20〜25℃で完全な溶液となるまで継続し、次いでDMEPA(2.42mL;1.96mol/eqMA)およびHOBT(1.06g;0.71mol/eqMA)を添加した。反応混合物(水で1:10に希釈したサンプルを確認した)のpHを、(57.7mLのNMPで34.0mLの37%のHClを溶解したものから予め調製しておいた)NMP中の9.37mLの15%HClで、3.0に調整した。次いで、DCC(3.17g;1.57mol/eqMA)の1:1のNMP/MeOH溶液(12.7mL)を撹拌下で添加した。この反応をHPLCでモニタリングした。約6時間後に、この反応が完結した(MA−A−1は88.9%、MAは7.3%、ISOは3.7%)。この実験から、NMPは、アミド化反応のためのDMSOに代わる使いやすいものとなり得ることが示唆される。全体のプロセスは、この溶媒の変更に影響されなかった。そして得られた最終のダルババンシンは、その他のバッチと化学的に等価なものであった。

ダルババンシン調製の代替法:ワンポット手法
10gのA−40926複合体(HPLC力価は80.66%、4.6mmole)を100mLのガラス製反応容器内で、撹拌下、室温にて24mLのMeOHに懸濁させた。この混合物を0℃に冷却し、16.4mLのMeOHに4gのHCl(g)を含む溶液を添加して、生成物の可溶化を完結した。次いで、撹拌をさらに24時間継続しながら、温度そのまま20℃に高めた。
この後、40mLのDMSOおよび0.4gのHOBTを反応混合物に添加した。
次いで、1,1−ジメチルアミン=プロピルアミンを添加し、得られた反応混合物の(水でサンプルを9:1に希釈した後に測定した)pHを3〜3.1の間に調整した。次いで、1.8gの固体のDCCを添加し、撹拌をさらに15時間継続した。この後、反応混合物を1Lのガラス製反応容器内に移し、80mLの水で希釈した。次いで、240mLの15%NaOHを添加してpHを12とした。撹拌をさらに60分間継続し、この混合物を260mLの15%の塩酸水溶液でpH2.8の酸性にした。6.4gのダルババンシンを含む約800mLの最終の清澄な溶液を得た(収率=76%)。
HPLC分析から、得られた生成物の特性は、その他の製造プロセスで得られたものと同等であることが示された。
明瞭な理解のために、前記の発明を図解および実施例によっていくらか詳細に記述したが、当業者にとって、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、特定の変更および改変を実施し得ることは自明であろう。したがって、この記述は、添付の請求の範囲によって描写される、本発明の範囲を制限するものとみなすべきではない。
本明細書に列挙した刊行物、特許および特許出願のすべては、すべての目的のために、および個々の刊行物、特許または特許出願のそれぞれが引用によってそのように組み込まれ具体的にかつ個別に示されるのとまるで同じ程度に、その全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
図1は、1000mgのダルババンシンを1回輸液した後の時間に対するダルババンシン血漿濃度を示す。 図2は、ダルババンシンのヒト血清アルブミンに対する結合に関する等温滴定熱量測定のデータ(上)およびダルババンシン:蛋白が2:1の結合モデルから決定された曲線に適合したデータをグラフで示したもの(下)である。 図3は、ダルババンシンのエレクトロスプレイイオン化質量スペクトルを示す。 図4は、ダルババンシン単量体対多量体の割合に対する、ダルババンシン濃度のグラフであり、ダルババンシン濃度の増加に伴ってダルババンシン単量体対多量体の割合が増加することを示す。 図5は、ダルババンシン単量体対多量体の割合に対する、pHのグラフであり、pHの増加に伴ってダルババンシン単量体対多量体の割合が増加することを示す。 図6は、ギ酸アンモニウム、pH5の溶液中の5mMダルババンシンのエレクトロスプレイイオン化質量スペクトルを示す。 図7は、ギ酸アンモニウム、pH5の溶液中の50mMダルババンシンのエレクトロスプレイイオン化質量スペクトルを示す。 図8は、ギ酸アンモニウム、pH5の溶液中の100mMダルババンシンのエレクトロスプレイイオン化質量スペクトルを示す。 図9は、水中のテイコプラニン(50μg/ml)のエレクトロスプレイイオン化質量スペクトルを示す。 図10は、水中のテイコプラニン(100μg/ml)のエレクトロスプレイイオン化質量スペクトルを示す。 図11は、26℃(pH7.4)におけるダルババンシン/トリ−ペプチド結合の見かけの解離定数に対するHSAの影響を示す。 図12は、同じトリ−ペプチド溶液を用い、同一の条件下でのバンコマイシンおよびダルババンシンへのトリ−ペプチドの結合に関する等温熱量測定(ITC)のデータを比較したものである。 図13Aおよび13Bは、ダルババンシン単量体および多量体(二量体を包含)とトリ−ペプチドリガンドおよびHSAとの可能な相互作用を示す。図13Aは、溶液中で単量体−二量体平衡にあるダルババンシン、HSA上の2つの別個の部位への単量体としての結合を示す。図13Bは、溶液中でのダルババンシンに量体へのリガンド結合、ならびにHSAに結合したダルババンシン単量体へのより弱い結合を示す。

Claims (60)

  1. 治療上有効な最初の1回分用量のダルババンシン、治療上有効なその後の1以上の回数分の用量のダルババンシン、および医薬上許容される担体を含有する、細菌感染の治療を要するヒトにおいて細菌感染を治療するための医薬であって、当該医薬は静脈内投与されるものであり、各1回分用量のダルババンシンが5ないし10日間隔で投与され、前記最初の1回分用量が500mgないし5000mgであり、前記最初の1回分用量が前記その後の1回分用量の少なくとも2倍である、医薬。
  2. 前記最初の1回分用量のダルババンシンと、その後の1回分用量のダルババンシンとを含む、請求項1記載の医薬。
  3. ダルババンシンの投与をはさむことなく、前記最初の1回分用量のダルババンシンの1週間後に前記その後の1回分用量のダルババンシンが投与される、請求項2記載の医薬。
  4. 前記最初の1回分用量のダルババンシンと、その後の複数回分用量のダルババンシンとを含む、請求項1記載の医薬。
  5. ダルババンシンの投与をはさむことなく、前記その後の複数回分用量のダルババンシンが1週間間隔で投与される、請求項4記載の医薬。
  6. 細菌感染が皮膚および軟組織感染である、請求項1記載の医薬。
  7. 前記最初の1回分用量が1500mgである、請求項1記載の医薬。
  8. 前記最初の1回分用量が1000mgである、請求項1記載の医薬。
  9. 前記最初の1回分用量が800mgである、請求項1記載の医薬。
  10. 前記最初の1回分用量が500mgである、請求項1記載の医薬。
  11. 前記その後の各1回分用量が400mgないし1000mgである、請求項1記載の医薬。
  12. 前記その後の各1回分用量が500mgである、請求項1記載の医薬。
  13. 前記その後の各1回分用量が400mgである、請求項1記載の医薬。
  14. 前記その後の各1回分用量が250mgである、請求項1記載の医薬。
  15. 前記その後の各1回分用量が200mgである、請求項1記載の医薬。
  16. 前記最初の1回分用量が1000mgであり、および前記その後の各1回分用量が250mgである、請求項1記載の医薬。
  17. 治療上有効な最初の1回分用量のダルババンシン、治療上有効なその後の1以上の回数分の用量のダルババンシン、および医薬上許容される担体を含有する、細菌感染の治療を要するヒトにおいて細菌感染を治療するための医薬であって、当該医薬は静脈内投与されるものであり、各1回分用量のダルババンシンが1週間間隔で投与され、前記最初の1回分用量が1000mgであり、前記その後の各1回分用量が500mgである、医薬。
  18. 前記最初の1回分用量のダルババンシンと、その後の1回分用量のダルババンシンとを含む、請求項17記載の医薬。
  19. ダルババンシンの投与をはさむことなく、前記最初の1回分用量のダルババンシンの1週間後に前記その後の1回分用量のダルババンシンが投与される、請求項18記載の医薬。
  20. 前記最初の1回分用量のダルババンシンと、その後の複数回分用量のダルババンシンとを含む、請求項17記載の医薬。
  21. ダルババンシンの投与をはさむことなく、前記その後の複数回分用量のダルババンシンが1週間間隔で投与される、請求項20記載の医薬。
  22. 細菌感染が皮膚および軟組織感染である、請求項17記載の医薬。
  23. 治療上有効な最初の1回分用量のダルババンシン、治療上有効なその後の1以上の回数分の用量のダルババンシン、および医薬上許容される担体を含有する、細菌感染の治療を要するヒトにおいて細菌感染を治療するための医薬キットであって、当該医薬キットは、前記ダルババンシンの静脈内投与のためのものであり、各1回分用量のダルババンシンが5ないし10日間隔で投与され、前記最初の1回分用量が500mgないし5000mgであり、前記その後の各1回分用量が250mgないし2500mgであり、前記最初の1回分用量が前記その後の1回分用量の少なくとも2倍である、医薬キット
  24. 前記最初の1回分用量のダルババンシンと、その後の1回分用量のダルババンシンとを含む、請求項23記載の医薬キット
  25. ダルババンシンの投与をはさむことなく、前記最初の1回分用量のダルババンシンの1週間後に前記その後の1回分用量のダルババンシンが投与される、請求項24記載の医薬キット
  26. 前記最初の1回分用量のダルババンシンと、その後の複数回分用量のダルババンシンとを含む、請求項23記載の医薬キット
  27. ダルババンシンの投与をはさむことなく、前記その後の複数回分用量のダルババンシンが1週間間隔で投与される、請求項26記載の医薬キット
  28. 細菌感染が皮膚および軟組織感染である、請求項23記載の医薬キット
  29. 細菌感染が合併症を伴う皮膚および軟組織感染である、請求項28記載の医薬キット
  30. 細菌感染が合併症を伴わない皮膚および軟組織感染である、請求項28記載の医薬キット
  31. 前記最初の1回分用量が1500mgである、請求項23記載の医薬キット
  32. 前記最初の1回分用量が1000mgである、請求項23記載の医薬キット
  33. 前記最初の1回分用量が800mgである、請求項23記載の医薬キット
  34. 前記最初の1回分用量が500mgである、請求項23記載の医薬キット
  35. 前記その後の各1回分用量が400mgないし1000mgである、請求項23記載の医薬キット
  36. 前記その後の各1回分用量が500mgである、請求項23記載の医薬キット
  37. 前記その後の各1回分用量が400mgである、請求項23記載の医薬キット
  38. 前記その後の各1回分用量が250mgである、請求項23記載の医薬キット
  39. 前記その後の各1回分用量が200mgである、請求項23記載の医薬キット
  40. 前記最初の1回分用量が1000mgであり、および前記その後の各1回分用量が250mgである、請求項23記載の医薬キット
  41. 治療上有効な最初の1回分用量のダルババンシン治療上有効なその後の1以上の回数分の用量のダルババンシン、および医薬上許容される担体を含有する、細菌感染の治療を要するヒトにおいて細菌感染を治療するための医薬であって、当該医薬は静脈内投与されるものであり、各1回分用量のダルババンシンが5ないし10日間隔で投与され、前記最初の1回分用量が200mgないし1500mgであり、前記その後の各1回分用量が200mgないし1500mgであり、前記最初の1回分用量が前記その後の1回分用量の少なくとも2倍である、医薬。
  42. 前記最初の1回分用量のダルババンシンと、その後の1回分用量のダルババンシンとを含む、請求項41記載の医薬。
  43. ダルババンシンの投与をはさむことなく、前記最初の1回分用量のダルババンシンの1週間後に前記その後の1回分用量のダルババンシンが投与される、請求項42記載の医薬。
  44. 前記最初の1回分用量のダルババンシンと、その後の複数回分用量のダルババンシンとを含む、請求項41記載の医薬。
  45. ダルババンシンの投与をはさむことなく、前記その後の複数回分用量のダルババンシンが1週間間隔で投与される、請求項44記載の医薬。
  46. 細菌感染が皮膚および軟組織感染である、請求項41記載の医薬。
  47. 細菌感染が合併症を伴う皮膚および軟組織感染である、請求項46記載の医薬。
  48. 細菌感染が合併症を伴わない皮膚および軟組織感染である、請求項46記載の医薬。
  49. 前記最初の1回分用量が1500mgである、請求項41記載の医薬。
  50. 前記最初の1回分用量が1000mgである、請求項41記載の医薬。
  51. 前記最初の1回分用量が800mgである、請求項41記載の医薬。
  52. 前記最初の1回分用量が500mgである、請求項41記載の医薬。
  53. 前記その後の各1回分用量が400mgないし1000mgである、請求項41記載の医薬。
  54. 前記その後の各1回分用量が500mgである、請求項41記載の医薬。
  55. 前記その後の各1回分用量が400mgである、請求項41記載の医薬。
  56. 前記その後の各1回分用量が250mgである、請求項41記載の医薬。
  57. 前記その後の各1回分用量が200mgである、請求項41記載の医薬。
  58. 前記最初の1回分用量が1000mgであり、および前記その後の各1回分用量が250mgである、請求項41記載の医薬。
  59. ダルババンシンを含む医薬であって、当該医薬は静脈内投与され、そして細菌感染の治療を要するヒトにおいて細菌感染を治療するための方法において用いるためのものであり、当該方法が、治療上有効な最初の1回分用量のダルババンシン、及び治療上有効なその後の1以上の回数分の用量のダルババンシンを、当該ヒトに対して投与することを含み、各1回分用量のダルババンシンが5ないし10日間隔で投与され、前記最初の1回分用量が500mgないし5000mgであり、前記最初の1回分用量が前記その後の各1回分用量の少なくとも2倍である、医薬。
  60. ダルババンシンを含む医薬であって、当該医薬は静脈内投与され、そして細菌感染の治療を要するヒトにおいて細菌感染を治療するための方法において用いるためのものであり、当該方法が、治療上有効な最初の1回分用量のダルババンシン、及び治療上有効なその後の1以上の回数分の用量のダルババンシンを、当該ヒトに対して投与することを含み、各1回分用量のダルババンシンが5ないし10日間隔で投与され、前記最初の1回分用量が200mgないし1500mgであり、前記その後の各1回分用量が200mgないし1500mgであり、前記最初の1回分用量が前記その後の各1回分用量の少なくとも2倍である、医薬。
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