JP2001226290A - 心筋保護剤 - Google Patents
心筋保護剤Info
- Publication number
- JP2001226290A JP2001226290A JP2000039734A JP2000039734A JP2001226290A JP 2001226290 A JP2001226290 A JP 2001226290A JP 2000039734 A JP2000039734 A JP 2000039734A JP 2000039734 A JP2000039734 A JP 2000039734A JP 2001226290 A JP2001226290 A JP 2001226290A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- iii
- reperfusion
- ischemia
- myocardial
- protecting agent
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 ヒト由来アンチトロンビン−II
Iの新規医薬用途を提供すること。 【解決手段】 ヒト由来アンチトロンビン−II
Iを有効成分とする心筋保護剤。
Iの新規医薬用途を提供すること。 【解決手段】 ヒト由来アンチトロンビン−II
Iを有効成分とする心筋保護剤。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒト由来アンチト
ロンビン−III(以下、単にAT−IIIという)を
有効成分とする心筋保護剤に関する。
ロンビン−III(以下、単にAT−IIIという)を
有効成分とする心筋保護剤に関する。
【0002】
【従来の技術】AT−IIIは血漿中に存在するα2グ
ロブリンに属する糖蛋白質の一種で、その分子量は65
000〜68000であり、プロテアーゼ阻害活性を有
し、トロンビンの凝固活性を強く阻害する。また、トロ
ンビンに対する阻害作用のみならず、その他の凝固因
子、例えば、活性化X因子、活性化IX因子などに対す
る阻害作用をも有している。その他、プラスミンやトリ
プシンに対する阻害作用があることも報告されている。
これらの阻害作用は、一般にヘパリンの共存下でより速
やかに進行することが知られている。このような薬理作
用を有するAT−IIIは、血液凝固阻止、凝固異常亢
進の補正、具体的には血栓形成傾向、汎発性血管内凝固
症候群(DIC)の治療を目的として臨床上用いられて
いる。
ロブリンに属する糖蛋白質の一種で、その分子量は65
000〜68000であり、プロテアーゼ阻害活性を有
し、トロンビンの凝固活性を強く阻害する。また、トロ
ンビンに対する阻害作用のみならず、その他の凝固因
子、例えば、活性化X因子、活性化IX因子などに対す
る阻害作用をも有している。その他、プラスミンやトリ
プシンに対する阻害作用があることも報告されている。
これらの阻害作用は、一般にヘパリンの共存下でより速
やかに進行することが知られている。このような薬理作
用を有するAT−IIIは、血液凝固阻止、凝固異常亢
進の補正、具体的には血栓形成傾向、汎発性血管内凝固
症候群(DIC)の治療を目的として臨床上用いられて
いる。
【0003】AT−IIIの医薬用途としては、抗炎症
(特開昭63−132843号公報)、PGI2産生促
進(特開平3−145431号公報)、成人呼吸促迫症
候群治療・微少循環改善(特開平6−256213号公
報)、妊娠中毒症治療(特開平7−316072号公
報)、高血圧症予防治療(特開平8−109140号公
報)、運動機能障害・組織障害・脊髄障害・脊髄損傷・
脊髄虚血の予防治療(特開平8−169845号公
報)、ショック起因の胃粘膜障害予防治療(特開平8−
245419号公報)、胎盤血流量改善(特開平8−2
95635号公報)、虚血再潅流肝障害治療(特開平9
−110718号公報)、血圧低下抑制(特開平11−
124340号公報)等が公開になっている。
(特開昭63−132843号公報)、PGI2産生促
進(特開平3−145431号公報)、成人呼吸促迫症
候群治療・微少循環改善(特開平6−256213号公
報)、妊娠中毒症治療(特開平7−316072号公
報)、高血圧症予防治療(特開平8−109140号公
報)、運動機能障害・組織障害・脊髄障害・脊髄損傷・
脊髄虚血の予防治療(特開平8−169845号公
報)、ショック起因の胃粘膜障害予防治療(特開平8−
245419号公報)、胎盤血流量改善(特開平8−2
95635号公報)、虚血再潅流肝障害治療(特開平9
−110718号公報)、血圧低下抑制(特開平11−
124340号公報)等が公開になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、AT−II
Iの従来知られていなかった作用を利用した製剤を提供
することを目的とする。すなわち、当該AT−IIIを
他の医薬用途に使用することを意図するものである。
Iの従来知られていなかった作用を利用した製剤を提供
することを目的とする。すなわち、当該AT−IIIを
他の医薬用途に使用することを意図するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、AT−IIIが心
筋壊死を抑制し、心筋保護剤として有用であることを見
出して、本発明を完成した。
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、AT−IIIが心
筋壊死を抑制し、心筋保護剤として有用であることを見
出して、本発明を完成した。
【0006】即ち、本発明はAT−IIIを有効成分と
する心筋保護剤に関する。以下に詳細を説明する。
する心筋保護剤に関する。以下に詳細を説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるAT−III
は、ヒト由来のもので、医薬として使用できる程度に精
製されたものであれば特に制限されるものではなく、例
えば、ヒトの全血、血漿、血清または凝固した血液から
圧搾された血清等から精製することができる。使用され
る血液としては、特にHBs抗原、抗HCV抗体、抗H
IV抗体、抗HTLV−1抗体に関して陰性であり、か
つ/または、ATL(GPT)値でスクリーニングした
健康人のものが好ましい。
は、ヒト由来のもので、医薬として使用できる程度に精
製されたものであれば特に制限されるものではなく、例
えば、ヒトの全血、血漿、血清または凝固した血液から
圧搾された血清等から精製することができる。使用され
る血液としては、特にHBs抗原、抗HCV抗体、抗H
IV抗体、抗HTLV−1抗体に関して陰性であり、か
つ/または、ATL(GPT)値でスクリーニングした
健康人のものが好ましい。
【0008】AT−IIIを調製するための出発原料と
しては、例えばコーンの冷エタノール法で得られる画分
IV−1、画分IV、上清I、上清II+III(EP
公開551084号公報)等が使用される。AT−II
Iの精製法としては、例えば、特開昭48−35017
号公報、特公昭59−7693号公報に開示された方
法、疎水性クロマト(特開平1−275600号公
報)、陰イオン交換体処理(特開平2−4717号公
報)、固定化ヘパリン処理(特開平7−268003号
公報)、有機酸塩・糖類・塩化ナトリウム存在下での加
熱処理(特開平10−147538号公報)、金属キレ
ート処理(特開平11−49799号公報)等が例示さ
れる。また、AT−IIIは細胞培養法(例えば、特表
昭57−500768号公報)、遺伝子工学法(例え
ば、特開昭58−162529号公報)等により調製さ
れるものであってもよい。さらに、市販のAT−III
製剤[例えば、商品名:ノイアート(登録商標)、吉富
製薬社製]等を用いることもできる。
しては、例えばコーンの冷エタノール法で得られる画分
IV−1、画分IV、上清I、上清II+III(EP
公開551084号公報)等が使用される。AT−II
Iの精製法としては、例えば、特開昭48−35017
号公報、特公昭59−7693号公報に開示された方
法、疎水性クロマト(特開平1−275600号公
報)、陰イオン交換体処理(特開平2−4717号公
報)、固定化ヘパリン処理(特開平7−268003号
公報)、有機酸塩・糖類・塩化ナトリウム存在下での加
熱処理(特開平10−147538号公報)、金属キレ
ート処理(特開平11−49799号公報)等が例示さ
れる。また、AT−IIIは細胞培養法(例えば、特表
昭57−500768号公報)、遺伝子工学法(例え
ば、特開昭58−162529号公報)等により調製さ
れるものであってもよい。さらに、市販のAT−III
製剤[例えば、商品名:ノイアート(登録商標)、吉富
製薬社製]等を用いることもできる。
【0009】本発明の有効成分であるAT−IIIは、
心筋壊死抑制作用、特に虚血再潅流による心筋壊死抑制
作用を有しており、また、これらの作用に基づく心機能
低下抑制作用を有することから、心筋保護剤として虚血
再潅流心障害の予防治療、特に虚血性心疾患に対する虚
血再潅流障害の予防治療、すなわち、虚血性心疾患にお
いて血流再開後に生じる新たな心筋組織障害の予防治療
等に有用である。
心筋壊死抑制作用、特に虚血再潅流による心筋壊死抑制
作用を有しており、また、これらの作用に基づく心機能
低下抑制作用を有することから、心筋保護剤として虚血
再潅流心障害の予防治療、特に虚血性心疾患に対する虚
血再潅流障害の予防治療、すなわち、虚血性心疾患にお
いて血流再開後に生じる新たな心筋組織障害の予防治療
等に有用である。
【0010】本発明の心筋保護剤においては、薬効成分
としてAT−III単独で効果を発揮し得る。また、必
要に応じてヘパリンと併用してもよい。
としてAT−III単独で効果を発揮し得る。また、必
要に応じてヘパリンと併用してもよい。
【0011】また、本発明の心筋保護剤は、本発明の目
的に反しない限り通常医薬品に用いられる薬理的に許容
される添加剤(例えば、担体、賦形剤、希釈剤等)、安
定化剤または製薬上必要な成分を配合していてもよい。
添加剤・安定化剤としては、糖類,すなわちブドウ糖、
果糖等の単糖類、ショ糖、乳糖、麦芽糖等の二糖類、マ
ンニトール、ソルビトール等の糖アルコール;クエン
酸、リンゴ酸,酒石酸等の有機酸またはその塩(例え
ば、ナトリウム塩等);グリシン、アスパラギン酸、グ
ルタミン酸等のアミノ酸またはその塩(例えば、ナトリ
ウム塩等);ポリエチレングリコール、ポリオキシエチ
レン・ポリオキシプロピレン共重合体(プルロニック
系)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
(トウィーン系)等の界面活性剤;ヘパリン、ヒト血清
アルブミン等が挙げられる。また、グルコン酸またはそ
の塩を配合した液状製剤(特開平9−132534号公
報)等も例示される。
的に反しない限り通常医薬品に用いられる薬理的に許容
される添加剤(例えば、担体、賦形剤、希釈剤等)、安
定化剤または製薬上必要な成分を配合していてもよい。
添加剤・安定化剤としては、糖類,すなわちブドウ糖、
果糖等の単糖類、ショ糖、乳糖、麦芽糖等の二糖類、マ
ンニトール、ソルビトール等の糖アルコール;クエン
酸、リンゴ酸,酒石酸等の有機酸またはその塩(例え
ば、ナトリウム塩等);グリシン、アスパラギン酸、グ
ルタミン酸等のアミノ酸またはその塩(例えば、ナトリ
ウム塩等);ポリエチレングリコール、ポリオキシエチ
レン・ポリオキシプロピレン共重合体(プルロニック
系)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
(トウィーン系)等の界面活性剤;ヘパリン、ヒト血清
アルブミン等が挙げられる。また、グルコン酸またはそ
の塩を配合した液状製剤(特開平9−132534号公
報)等も例示される。
【0012】本発明製剤は、AT−IIIと上記成分と
を適宜混合し、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、シロッ
プ剤、注射剤等の剤型に調製される。本製剤は、液状製
剤の態様でもよいが、とりわけAT−IIIを薬理的に
許容される添加剤とともに凍結乾燥品として調製してお
き、用時溶解して使用する態様の製剤とすることが好ま
しい。かかる製剤は、使用時に注射用蒸留水や滅菌精製
水等によって約1〜100単位/mL溶液として、より
好ましくは生理的に等張な塩濃度および生理的に好まし
いpH値(pH6〜8)に調整される。
を適宜混合し、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、シロッ
プ剤、注射剤等の剤型に調製される。本製剤は、液状製
剤の態様でもよいが、とりわけAT−IIIを薬理的に
許容される添加剤とともに凍結乾燥品として調製してお
き、用時溶解して使用する態様の製剤とすることが好ま
しい。かかる製剤は、使用時に注射用蒸留水や滅菌精製
水等によって約1〜100単位/mL溶液として、より
好ましくは生理的に等張な塩濃度および生理的に好まし
いpH値(pH6〜8)に調整される。
【0013】本発明の製剤の投与量は症状、体重、性
別、年齢、動物種等によって適宜選択すればよく、一般
的にヒトの成人に対しては、通常1〜1000単位/k
g体重/日、好ましくは10〜500単位/kg体重/
日を1日1〜数回に分けて投与する。投与経路としては
経口、非経口のいずれでもよいが、好ましいのは非経口
投与である。このうち、より好ましいのは静脈内投与で
あり、静脈内への注射、持続注入、持続点滴等が例示さ
れる。本明細書において、AT−IIIの力価は、1単
位が正常人血漿1mL中に含まれるAT−III量に相
当する。
別、年齢、動物種等によって適宜選択すればよく、一般
的にヒトの成人に対しては、通常1〜1000単位/k
g体重/日、好ましくは10〜500単位/kg体重/
日を1日1〜数回に分けて投与する。投与経路としては
経口、非経口のいずれでもよいが、好ましいのは非経口
投与である。このうち、より好ましいのは静脈内投与で
あり、静脈内への注射、持続注入、持続点滴等が例示さ
れる。本明細書において、AT−IIIの力価は、1単
位が正常人血漿1mL中に含まれるAT−III量に相
当する。
【0014】
【実施例】以下、本発明を詳細に説明するため実験例お
よび実施例を挙げるが、本発明はこれらによって何ら限
定されるものではない。
よび実施例を挙げるが、本発明はこれらによって何ら限
定されるものではない。
【0015】実験例1 方法:心筋虚血再潅流モデルの作製 ウイスター系雄性ラット(体重255〜327g、各群
とも例数6)にペントバルビタール・ナトリウム塩50
mg/kg体重を静脈内投与により麻酔した後、保温マ
ット(38℃に設定)上に背位固定し、気管にカニュー
レを挿入して人工呼吸器(MODEL683、Harv
ard Apparatus社製)による調節呼吸(1
0mL/kg体重、70cpm)を行った。左側肋間に
て開胸後、胸腔内より心臓を露出させ左冠動脈結紮用に
左冠動脈周囲心筋に縫合糸を掛け、胸腔内に心臓を戻し
た。状態が安定してからAT−III(比活性7単位/
mg。10mMリン酸緩衝液、pH7.0に溶解したも
の。濃度は4.83mg/mL。投与量は250単位/
kg体重)を右側大腿静脈より投与し、投与5分後に冠
動脈結紮により心筋虚血状態とし、虚血20分後に結紮
を解除して再潅流を行った。対照として溶媒投与群(ベ
ヒクル群)をおいた。
とも例数6)にペントバルビタール・ナトリウム塩50
mg/kg体重を静脈内投与により麻酔した後、保温マ
ット(38℃に設定)上に背位固定し、気管にカニュー
レを挿入して人工呼吸器(MODEL683、Harv
ard Apparatus社製)による調節呼吸(1
0mL/kg体重、70cpm)を行った。左側肋間に
て開胸後、胸腔内より心臓を露出させ左冠動脈結紮用に
左冠動脈周囲心筋に縫合糸を掛け、胸腔内に心臓を戻し
た。状態が安定してからAT−III(比活性7単位/
mg。10mMリン酸緩衝液、pH7.0に溶解したも
の。濃度は4.83mg/mL。投与量は250単位/
kg体重)を右側大腿静脈より投与し、投与5分後に冠
動脈結紮により心筋虚血状態とし、虚血20分後に結紮
を解除して再潅流を行った。対照として溶媒投与群(ベ
ヒクル群)をおいた。
【0016】各種パラメーターの測定 心電図は心電図用アンプ(AC−601G、日本光電社
製)を用いて標準四肢第II誘導法にて計測し、再潅流
後1分間における不整脈の発現を観察した。循環動態で
は平均血圧(MBP)を右側大腿動脈に挿入したポリエ
チレンカテーテルより圧トランスデューサー(Stat
ham P−50、Gould社製)を介し、血圧測定
用アンプ(AP−641G、日本光電社製)にて測定し
た。心拍数(HR)は血圧波をトリガーとして心拍計ユ
ニット(AT−601G、日本光電社製)で計測した。
また、右側頸動脈を介して左心室内にミラーマイクロチ
ップ圧力トランスデューサー(SPC−320、MIL
LAR INSTRUCTIONS社製)を挿入し、血
圧・心内心音用アンプ(AP−630G、日本光電社
製)にて左心室圧を測定した。各測定項目は、ポリグラ
フ(RM−6000、日本光電社製)に入力し、熱ペン
式レコーダー上に連続記録し、同時に循環動態解析シス
テム(MP100WS、BIOPAC System社
製)を介して、循環動態解析ソフト(MP/VAS、フ
ィジオテック社製)によりコンピュータ(Power
Macintosh G3DT300、Apple社
製)の外部記憶装置(ハードディスク)に記録採取し
た。採取された心電図および左室圧データは循環動態解
析ソフトを用いて、心筋虚血の指標としてST偏位, T
波電位および左室に対する前負荷の指標である左心室拡
張終期圧(LDEDP)をそれぞれ算出した。また左室
圧データより心機能解析ソフト(Vmax TC An
alize ver.1.1.0、フィジオテック社
製)を用いて、収縮機能の指標として、LVdP/dt
max(左室圧一次微分最大値)、LVdP/dt/
P max(左室圧一次微分左室圧補正値最大値)、V
max(無負荷最大短縮速度)、拡張機能の指標として
−LVdP/dt min(左室圧一次微分最小値)お
よび時定数Tをそれぞれ求めた。
製)を用いて標準四肢第II誘導法にて計測し、再潅流
後1分間における不整脈の発現を観察した。循環動態で
は平均血圧(MBP)を右側大腿動脈に挿入したポリエ
チレンカテーテルより圧トランスデューサー(Stat
ham P−50、Gould社製)を介し、血圧測定
用アンプ(AP−641G、日本光電社製)にて測定し
た。心拍数(HR)は血圧波をトリガーとして心拍計ユ
ニット(AT−601G、日本光電社製)で計測した。
また、右側頸動脈を介して左心室内にミラーマイクロチ
ップ圧力トランスデューサー(SPC−320、MIL
LAR INSTRUCTIONS社製)を挿入し、血
圧・心内心音用アンプ(AP−630G、日本光電社
製)にて左心室圧を測定した。各測定項目は、ポリグラ
フ(RM−6000、日本光電社製)に入力し、熱ペン
式レコーダー上に連続記録し、同時に循環動態解析シス
テム(MP100WS、BIOPAC System社
製)を介して、循環動態解析ソフト(MP/VAS、フ
ィジオテック社製)によりコンピュータ(Power
Macintosh G3DT300、Apple社
製)の外部記憶装置(ハードディスク)に記録採取し
た。採取された心電図および左室圧データは循環動態解
析ソフトを用いて、心筋虚血の指標としてST偏位, T
波電位および左室に対する前負荷の指標である左心室拡
張終期圧(LDEDP)をそれぞれ算出した。また左室
圧データより心機能解析ソフト(Vmax TC An
alize ver.1.1.0、フィジオテック社
製)を用いて、収縮機能の指標として、LVdP/dt
max(左室圧一次微分最大値)、LVdP/dt/
P max(左室圧一次微分左室圧補正値最大値)、V
max(無負荷最大短縮速度)、拡張機能の指標として
−LVdP/dt min(左室圧一次微分最小値)お
よび時定数Tをそれぞれ求めた。
【0017】また、試験終了後に再度、冠動脈を結紮し
て、2mg/mLエバンスブルー溶液2mLを尾静脈よ
りボーラス投与した後に心臓を採取し、左心室重量およ
びエバンスブルー染色されない左心室心筋虚血部重量を
測定した。さらに虚血部心筋をTTC染色(2,3,5
−トリフェニルテトラゾリウム。染色条件は37℃で2
0分間とする)し、染色されない左心室心筋壊死部重量
を測定した。
て、2mg/mLエバンスブルー溶液2mLを尾静脈よ
りボーラス投与した後に心臓を採取し、左心室重量およ
びエバンスブルー染色されない左心室心筋虚血部重量を
測定した。さらに虚血部心筋をTTC染色(2,3,5
−トリフェニルテトラゾリウム。染色条件は37℃で2
0分間とする)し、染色されない左心室心筋壊死部重量
を測定した。
【0018】測定ポイント 冠動脈結紮前(被験物質投与前後)、結紮(虚血)20
分後、再潅流2時間後に循環動態および心電図の変化を
測定した。
分後、再潅流2時間後に循環動態および心電図の変化を
測定した。
【0019】評価項目は、平均血圧、心拍数、ST偏
位,、T波電位、左心室拡張終期圧、LVdP/dt
max、LVdt/dt/P max、Vmax、−L
VdP/dt min、時定数、不整脈の発生頻度、心
筋虚血部と左心室の重量比、心筋壊死部と心筋虚血部の
重量比とした。
位,、T波電位、左心室拡張終期圧、LVdP/dt
max、LVdt/dt/P max、Vmax、−L
VdP/dt min、時定数、不整脈の発生頻度、心
筋虚血部と左心室の重量比、心筋壊死部と心筋虚血部の
重量比とした。
【0020】データ処理:得られた値は平均値±標準誤
差で表わした。評価項目における影響は、ベヒクル群と
の差について虚血時と再潅流時それぞれで反復測定分散
分析を行い、t−検定による解析を行った(ベヒクル群
に関しては、モデル確立確認のため、前値との差につい
てDunnett法による解析を行った)。また各重量
比についてはベヒクル群との差についてt−検定による
解析を行った。それぞれ危険率が5%未満の場合を有意
差ありとした。なお、データ処理は非臨床解析システム
により行った。結果を表1〜4に示す。
差で表わした。評価項目における影響は、ベヒクル群と
の差について虚血時と再潅流時それぞれで反復測定分散
分析を行い、t−検定による解析を行った(ベヒクル群
に関しては、モデル確立確認のため、前値との差につい
てDunnett法による解析を行った)。また各重量
比についてはベヒクル群との差についてt−検定による
解析を行った。それぞれ危険率が5%未満の場合を有意
差ありとした。なお、データ処理は非臨床解析システム
により行った。結果を表1〜4に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】表中、各数値は実験直前の値を0として算
出したものである。*はベヒクル群との間に危険率5%
未満で有意差があることを示す。
出したものである。*はベヒクル群との間に危険率5%
未満で有意差があることを示す。
【0024】
【表3】
【0025】表中、各数値は実験直前の値を0として算
出したものである。**はベヒクル群との間に危険率1%
未満で有意差があることを示す。
出したものである。**はベヒクル群との間に危険率1%
未満で有意差があることを示す。
【0026】
【表4】
【0027】表中、**はベヒクル群との間に危険率1%
未満で有意差があることを示す。
未満で有意差があることを示す。
【0028】結果:ベヒクル群において前値との差の検
定で、T波電位では虚血時に、また、平均血圧、心拍
数、時定数では再潅流後に、そして、LVdP/dt
max、−LVdP/dt min、LVdP/dt/
P max、左心室拡張終期圧では、虚血時および再潅
流後に有意差が認められたことから、今回の虚血再潅流
モデルは成立しているものと考えられた。また、心筋虚
血部/左心室重量比においては、ベヒクル群とAT−I
II投与群の間に有意差は認められず、両群とも同程度
の心筋虚血を生じさせたことが示唆された。
定で、T波電位では虚血時に、また、平均血圧、心拍
数、時定数では再潅流後に、そして、LVdP/dt
max、−LVdP/dt min、LVdP/dt/
P max、左心室拡張終期圧では、虚血時および再潅
流後に有意差が認められたことから、今回の虚血再潅流
モデルは成立しているものと考えられた。また、心筋虚
血部/左心室重量比においては、ベヒクル群とAT−I
II投与群の間に有意差は認められず、両群とも同程度
の心筋虚血を生じさせたことが示唆された。
【0029】AT−IIIの影響について反復測定分散
分析を行った結果、心拍数と−LVdP/dt min
にのみ有意差[群(Group)あるいは群×時間(G
roup×Time)]が認められた。このうち、−L
VdP/dt minにおいて、虚血20分後および再
潅流2時間後にベヒクル群に対して有意な改善作用を認
めた(表2および表3)。なお、LVdP/dt ma
xにおいても−LVdP/dt minと同様の傾向が
認められたが、測定値の欠損値を考慮した反復測定分散
分析の結果では有意差が認められなかった。ただし、T
ukey−Kramer法では再潅流2時間後にベヒク
ル群に対して有意な改善作用を認めた。
分析を行った結果、心拍数と−LVdP/dt min
にのみ有意差[群(Group)あるいは群×時間(G
roup×Time)]が認められた。このうち、−L
VdP/dt minにおいて、虚血20分後および再
潅流2時間後にベヒクル群に対して有意な改善作用を認
めた(表2および表3)。なお、LVdP/dt ma
xにおいても−LVdP/dt minと同様の傾向が
認められたが、測定値の欠損値を考慮した反復測定分散
分析の結果では有意差が認められなかった。ただし、T
ukey−Kramer法では再潅流2時間後にベヒク
ル群に対して有意な改善作用を認めた。
【0030】心筋壊死部/心筋虚血部重量比に関して、
AT−III投与群はベヒクル群に対して有意な心筋壊
死抑制作用を認めた(表4)。
AT−III投与群はベヒクル群に対して有意な心筋壊
死抑制作用を認めた(表4)。
【0031】考察:LVdP/dt max、平均血
圧、心拍数などにおいてベヒクル群のみ再潅流2時間後
において低下を認めたことから、−LVdP/dt m
inの結果とも併せるとAT−III投与により心機能
低下が抑制されていることが考えられた。また、ベヒク
ル群に関しては再潅流後に死亡例があり、AT−III
投与群にはそのような例が認められなかったことからも
AT−IIIの心機能低下抑制が示唆された。この心機
能低下抑制作用は、心筋壊死部/心筋虚血部重量比がA
T−III投与群で著明に抑制されていたことから、虚
血再潅流による心筋壊死をAT−IIIが抑制したこと
によるものと考えられた。
圧、心拍数などにおいてベヒクル群のみ再潅流2時間後
において低下を認めたことから、−LVdP/dt m
inの結果とも併せるとAT−III投与により心機能
低下が抑制されていることが考えられた。また、ベヒク
ル群に関しては再潅流後に死亡例があり、AT−III
投与群にはそのような例が認められなかったことからも
AT−IIIの心機能低下抑制が示唆された。この心機
能低下抑制作用は、心筋壊死部/心筋虚血部重量比がA
T−III投与群で著明に抑制されていたことから、虚
血再潅流による心筋壊死をAT−IIIが抑制したこと
によるものと考えられた。
【0032】実験例2(急性毒性) 急性毒性LD50はマウス・ラットで雌雄に差はなく、静
脈内・経口とも15000単位/kg体重以上、皮下で
は2万単位/kg体重以上であった。また、サル(雄)
では静脈内投与で6000単位/kg体重以上であっ
た。
脈内・経口とも15000単位/kg体重以上、皮下で
は2万単位/kg体重以上であった。また、サル(雄)
では静脈内投与で6000単位/kg体重以上であっ
た。
【0033】実施例1 コーンの冷アルコール分画法で得られた画分IV−1の
ペースト10kgを生理食塩水100Lに懸濁し、硫酸
バリウムを5(w/v)%になるように加え、室温で3
0分間撹拌し、微量に存在するプロトロンビンを硫酸バ
リウムに吸着させて除去した。この上清液をpH6.5
に調整し、ポリエチレングリコール#4000を13
(w/v)%になるように加え、生じた沈澱を遠心分離
して除き、さらにポリエチレングリコール#4000を
30(w/v)%になるように加え、さらに生じた沈澱
を遠心分離して回収した。この沈澱を冷生理食塩水約2
0Lに溶解し、予め生理食塩水で調製されたヘパリンセ
ファロースを充填したカラムへ注入し、AT−IIIを
カラムに吸着させた。このカラムを0.4Mの塩化ナト
リウム溶液で洗浄して夾雑蛋白を除去した後、2Mの塩
化ナトリウム溶液をカラムに流して溶出画分を回収し
た。この画分(AT−IIIの水溶液)にクエン酸ナト
リウムを0.6Mの濃度に加え、pH7.8に調整した
後、60℃で10時間の加熱処理を施し、続いて0.9
(w/v)%塩化ナトリウム溶液に対し一晩透析を行い
つつ濃縮してAT−IIIの1(w/v)%水溶液を
得、必要に応じて濾過または遠心分離を行って透明な溶
液とした。このAT−IIIの1(w/v)%水溶液に
マンニトールを2(w/v)%、クエン酸ナトリウムを
0.2(w/v)%となるように加え、また塩化ナトリ
ウムが0.5(w/v)%になるように少量の冷蒸留水
で希釈し、1Nの水酸化ナトリウムでpH7.6に調整
した後、滅菌したミリポアフィルターで除菌濾過し、5
00単位づつ分注し、凍結乾燥を行って乾燥製剤とし
た。
ペースト10kgを生理食塩水100Lに懸濁し、硫酸
バリウムを5(w/v)%になるように加え、室温で3
0分間撹拌し、微量に存在するプロトロンビンを硫酸バ
リウムに吸着させて除去した。この上清液をpH6.5
に調整し、ポリエチレングリコール#4000を13
(w/v)%になるように加え、生じた沈澱を遠心分離
して除き、さらにポリエチレングリコール#4000を
30(w/v)%になるように加え、さらに生じた沈澱
を遠心分離して回収した。この沈澱を冷生理食塩水約2
0Lに溶解し、予め生理食塩水で調製されたヘパリンセ
ファロースを充填したカラムへ注入し、AT−IIIを
カラムに吸着させた。このカラムを0.4Mの塩化ナト
リウム溶液で洗浄して夾雑蛋白を除去した後、2Mの塩
化ナトリウム溶液をカラムに流して溶出画分を回収し
た。この画分(AT−IIIの水溶液)にクエン酸ナト
リウムを0.6Mの濃度に加え、pH7.8に調整した
後、60℃で10時間の加熱処理を施し、続いて0.9
(w/v)%塩化ナトリウム溶液に対し一晩透析を行い
つつ濃縮してAT−IIIの1(w/v)%水溶液を
得、必要に応じて濾過または遠心分離を行って透明な溶
液とした。このAT−IIIの1(w/v)%水溶液に
マンニトールを2(w/v)%、クエン酸ナトリウムを
0.2(w/v)%となるように加え、また塩化ナトリ
ウムが0.5(w/v)%になるように少量の冷蒸留水
で希釈し、1Nの水酸化ナトリウムでpH7.6に調整
した後、滅菌したミリポアフィルターで除菌濾過し、5
00単位づつ分注し、凍結乾燥を行って乾燥製剤とし
た。
【0034】実施例2 1バイアル中、AT−III 500単位、マンニトー
ル200mg、塩化ナトリウム50mgおよびクエン酸
ナトリウム52mgからなる凍結乾燥品を調製し、静注
用製剤とした。これを用時、20mlの注射用蒸留水に
溶解して患者に投与する。
ル200mg、塩化ナトリウム50mgおよびクエン酸
ナトリウム52mgからなる凍結乾燥品を調製し、静注
用製剤とした。これを用時、20mlの注射用蒸留水に
溶解して患者に投与する。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、AT−IIIは、心筋
壊死を抑制する、特に虚血再潅流による心筋壊死を抑制
する作用を有する。また、当該作用により心機能低下を
抑制する作用をも併せ持つものである。よって、AT−
IIIは心筋保護剤として臨床上、極めて有用である。
壊死を抑制する、特に虚血再潅流による心筋壊死を抑制
する作用を有する。また、当該作用により心機能低下を
抑制する作用をも併せ持つものである。よって、AT−
IIIは心筋保護剤として臨床上、極めて有用である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4C084 AA02 AA03 CA18 CA26 CA36 DC35 MA44 MA66 NA04 NA14 ZA362 ZC412
Claims (1)
- 【請求項1】 ヒト由来アンチトロンビン−IIIを
有効成分とする心筋保護剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000039734A JP2001226290A (ja) | 2000-02-14 | 2000-02-14 | 心筋保護剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000039734A JP2001226290A (ja) | 2000-02-14 | 2000-02-14 | 心筋保護剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001226290A true JP2001226290A (ja) | 2001-08-21 |
Family
ID=18563253
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000039734A Pending JP2001226290A (ja) | 2000-02-14 | 2000-02-14 | 心筋保護剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001226290A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112414289A (zh) * | 2020-11-09 | 2021-02-26 | 安徽感航电子科技有限公司 | 一种高稳定度位移传感器的设计方法 |
-
2000
- 2000-02-14 JP JP2000039734A patent/JP2001226290A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112414289A (zh) * | 2020-11-09 | 2021-02-26 | 安徽感航电子科技有限公司 | 一种高稳定度位移传感器的设计方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Bloomfield et al. | The effects of the cardiac glycosides upon the dynamics of the circulation in congestive heart failure. I. Ouabain | |
EP0501637A2 (en) | Use of L-2-oxothiazolidine-4-carboxylate alone or in combination with glutathione esters and/or amino acids in the treatment of reperfusion injury | |
JP2002542298A (ja) | 低分子量トロンビン阻害物質およびそのプロドラッグを含む医薬製剤 | |
Weil | Current concepts on the management of shock | |
EP1181048B1 (en) | A pharmaceutical formulation containing an inhibitor of carboxypeptidase u and a thrombin inhibitor | |
TW201630597A (zh) | 巴豆酯組成物及用於治療或減少血球細胞減少期間之用途 | |
JP2001226290A (ja) | 心筋保護剤 | |
JP3820607B2 (ja) | アンチトロンビン−iiiの液状製剤およびその保存安定化方法 | |
JPH11269076A (ja) | 抗線維化剤 | |
KR20210126515A (ko) | 니클로사마이드를 포함하는 폐고혈압의 예방 및 치료용 조성물 | |
WO1996041643A1 (fr) | Procede de traitement et agent antiviraux | |
US5888964A (en) | Method for increasing placental blood flow | |
JPH08109140A (ja) | 高血圧症予防治療剤 | |
JP3806945B2 (ja) | ヒト由来アンチトロンビン−iiiの新規用途 | |
JP6289511B2 (ja) | 羊水塞栓の治療剤 | |
US20030007959A1 (en) | Oral methods of treatment | |
JPH07316072A (ja) | 妊娠中毒症治療剤 | |
JP3167763B2 (ja) | 創傷治癒促進剤 | |
US20230321196A1 (en) | Medicine for Preventing or Treating Symptom or Disorder in Subject Affected by Viral Infection | |
WO2022199551A1 (en) | Dc009 for treating acute ischemic stroke | |
WO2006047949A1 (en) | The use of human urinary kallidinogenase for the manufacture of a medicine for the treatment of acute coronary syndromes | |
JP4965791B2 (ja) | 敗血症性ショックの治療方法 | |
WO1992011022A1 (en) | Pharmaceutical preparation for pernasal administration | |
EP1874386A1 (en) | High dose folic acid compositions for vascular dysfunction | |
JP2875541B2 (ja) | 血行再建術後の再閉塞防止剤 |