JPH0829433A - 微小構造体、その形成方法、走査型プローブ顕微鏡および情報処理装置 - Google Patents

微小構造体、その形成方法、走査型プローブ顕微鏡および情報処理装置

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JPH0829433A
JPH0829433A JP16174594A JP16174594A JPH0829433A JP H0829433 A JPH0829433 A JP H0829433A JP 16174594 A JP16174594 A JP 16174594A JP 16174594 A JP16174594 A JP 16174594A JP H0829433 A JPH0829433 A JP H0829433A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】STMやAFMなどの走査型プローブ顕微鏡の
プローブなどとして使用される微小構造体であって、作
製プロセスが単純であって、ティップ(探針)先端の汚
染やプロセスによる変形がなく、ティップが確実に固定
され、かつ微小構造体の裏面側への配線が可能である微
小構造体と、その形成方法を提供する。 【構成】加工用基板を加工して形成されるレバー4およ
び梁5とからなる微小構造体において、ティップ8の先
端がレバー4から突出し、ティップ8がレバー4の支持
基板2に対向する面にまで連続して形成されている。こ
の微小構造体は、加工用基板の一方の面に、レバー4お
よび梁5に対応する形状の溝部を設けかつティップ8を
形成したのち、この一方の面と支持基板2とを接合さ
せ、加工用基板の他方の面側から溝部に達するまでエッ
チングを行なうことで形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、はり(梁)構造を有し
微小なティップを搭載して原子間力顕微鏡や走査型トン
ネル電流顕微鏡の検知プローブなどに適用できる微小構
造体に関し、特に、シリコンで形成できて寸法精度や形
状安定性に優れた微小構造体と、その形成方法と、この
微小構造体を用いた走査型プローブ顕微鏡や情報処理装
置とに関する。
【0002】
【従来の技術】原子間力顕微鏡(AFM;Atomic Force
Microscope)や走査型トンネル電流顕微鏡(STM;S
canning Tunneling Microscope)などの走査型プローブ
顕微鏡のプローブ部や、光偏向装置の微小偏向器などに
は、極めて微小なカンチレバーなどの微小構造体が使用
される。これらの微小構造体は、シリコンや酸化シリコ
ンなどを使用して、マイクロメカニクス技術によって作
製される。微小構造体をAFMやSTMのプローブとし
て利用する場合には、先端のとがった微小なティップを
微小構造体に搭載し、ティップの先端を試料に接近させ
ることにより、そこに作用する原子間力あるいはトンネ
ル電流を検知することになる。
【0003】このような微小構造体の製造方法として
は、いくつかの方法が知られており、以下、これらの方
法について説明する。
【0004】図9は、薄膜形成法を使用して微小構造体
を作製する方法(例えば、"Polysilicon Microstructur
es", Evans et al., IEEE Micro Electro Mechanical S
ystem, 1991, pp. 187-191参照)を示している。まず、
基板901上に、酸化シリコンなどから構成される犠牲
層902を真空成膜法を用いて形成し(図9(a))、次
いで、ポリシリコンなどからなり微小構造体となるべき
層903を堆積させる(図9(b))。最後に、犠牲層9
02をエッチング除去することにより、微小構造体90
4を形成する(図9(c))。しかしながらこの方法は、
膜形成時の応力制御が難しいために、残留応力による微
小構造体の変形が起きやすいという問題がある。
【0005】そこで、例えば特公平5−27055号公
報に示されるように、一般には内部応力の存在しない単
結晶基板を使用し、この単結晶基板を接合して微小構造
体を得る方法がある。図10は、単結晶シリコン基板を
用い微小ティップを搭載した微小構造体を形成する方法
を示している。まず、第1の基板911の上に、ホウケ
イ酸塩ガラスなどからなる接合層912を形成し(図1
0(a))、次に、接合層912を介し、陽極接合法など
によって、第2の基板913を第1の基板911に結合
させる(図10(b))。そして、機械的研磨法やエッチ
ング法を用いて所望の厚みまで第2の基板913を削
り、最後に不要部分をエッチング除去して、レバー部と
支持部よりなる微小構造体914とする(図10
(c))。この微小構造体914では、上述の接合層91
2が支持部となり、第2の基板913の残存部分がレバ
ー部となっている。
【0006】このように形成された微小構造体を走査型
プローブ顕微鏡のプローブ部として使用する場合、探針
となるべき微小ティップを微小構造体上に設ける必要が
ある。微小構造体上に微小ティップを搭載する方法とし
ては、例えば図11に示す二つの方法がある。第1の方
法は、まず、微小構造体921上にフォトレジスト92
2を塗布しパターニングしてリフトオフのための開口部
923を形成し、次に、微小構造体921を回転させな
がら微小ティップの構成材料を斜め方向から蒸着するこ
とによって先端の尖ったティップ924を形成し(図1
1(a))、最後に、フォトレジスト922およびフォト
レジスト922上のティップ材料層924'をリフトオ
フにより除去する(図11(b))方法である。一方、第
2の方法は、転写用基板931を用意してティップを形
成するための凹部をこの転写用基板931にエッチング
により形成し、次に、ティップ材料をスパッタリング法
や真空蒸着法などによって転写用基板931上に堆積さ
せてパターニングし、ティップ932を形成し(図11
(c))、最後に、転写用基板931と微小構造体933
とを重ねて圧力をかけることにより、ティップ932を
微小構造体933上に転写する(図11(d))方法であ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、微小構
造体上にティップを設ける上記第1の方法は、支持用の
基板上に立体的に形成された微小構造体に対してフォト
レジストを塗布する工程を含むので、フォトリソグラフ
ィの実行が困難であり、また、リフトオフによるため、
ティップ表面のフォトレジストによる汚染が残るおそれ
があるという問題点を有する。一方、上記第2の方法
は、特に複数個のティップを同時に微小構造体上に転写
する場合に、転写時の圧力の制御が困難であり、また、
この押圧力によりティップが変形する可能性があるとい
う問題点がある。さらに、これら二つの方法に共通し
て、ティップへの配線を微小構造体の裏面側すなわちテ
ィップが設けられない側に設けることが困難であるとい
う問題がある。微小構造体の裏面側に配線が設けられな
い場合には、微小構造体の表面側に配線を設けることと
なるが、この配線と試料(AFMやSTMの場合)や記
録媒体(AFMやSTMの原理を使用した記録再生装置
の場合)との接触による短絡を防ぐため、配線上に被覆
層を設ける必要が生じることがある。さらに、ティップ
と微小構造体との接合力が十分でない場合に、ティップ
が試料や記録媒体と接触したときにティップが微小構造
体から脱落することがあるという問題点もある。
【0008】本発明の目的は、2枚の基板を接合して作
製されかつティップを搭載した微小構造体において、作
製プロセスが単純であって、ティップ先端の汚染やプロ
セスによる変形がなく、ティップが確実に固定され、か
つ微小構造体の裏面側への配線が可能である微小構造体
と、その形成方法と、この微小構造体を使用した走査型
プローブ顕微鏡ないし情報処理装置を提供することにあ
る。微小構造体の裏面側に配線を設けることにより、こ
の配線が試料や記録媒体と接触することによる短絡を回
避できるようになる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の微小構造体は、
微小なティップを備え加工用基板を加工して形成され支
持基板上に支持される平板状の微小構造体において、前
記ティップの先端が前記微小構造体上に突出し、前記テ
ィップの根元側が前記微小構造体の前記支持基板に対向
する面にまで連続して形成されている。この微小構造体
は、加工用基板と支持基板とを別個に用意し、加工用基
板の一方の面上に微小構造体の形成用の溝部を形成し、
一方の面側においてティップを形成し、そののち、一方
の面と支持基板とを接合し、加工用基板の他方の面から
加工用基板にエッチング処理を施し、一部を除いて加工
用基板をエッチング除去することによって形成すること
ができる。さらに本発明の微小構造体には、ティップ
に対する配線層が、微小構造体の支持基板に対向する面
に、ティップと一体的に設けられているものや、支持
基板上に形成された一個の支持部によって支持された片
持ち梁構造体であるものや、支持基板上に形成された
二つ以上の支持部によって支持される多持ち梁構造体で
あるものが含まれる。
【0010】本発明の微小構造体の形成方法は、微小な
ティップを備え加工用基板を加工して形成され支持基板
上に支持される平板状の微小構造体の形成方法におい
て、前記加工用基板の一方の面上に前記微小構造体の形
成用の溝部を形成する第1の工程と、前記一方の面側か
ら前記加工用基板上にティップを形成する第2の工程
と、前記一方の面と前記支持基板とを接合する第3の工
程と、前記加工用基板の他方の面から前記加工用基板に
エッチング処理を施し、一部を除いて前記加工用基板を
エッチング除去する第4の工程とを有する。この形成方
法には、第2の工程が、加工用基板の一方の面に形成
されたティップ用の凹部内にティップの構成材料を堆積
させる工程を含むようにすることや、ティップ用の凹
部の表面に薄膜層を形成した後、この薄膜層上に前記テ
ィップの構成材料を堆積させることや、第1の工程
が、溝部の一部の側面を微小構造体の先端部につながる
斜面として形成する工程を含み、第2の工程が、この斜
面上にティップの構成材料を堆積する工程を含むように
することや、この斜面の表面に薄膜層を形成した後、
この薄膜層上に前記ティップの構成材料を堆積させるこ
とや、微小構造体の形成用の溝部が微小構造体の形状
を画定するように形成され、第4の工程におけるエッチ
ング処理がこの溝部に到達するまで実行されるようにす
ることが含まれる。
【0011】本発明の走査型プローブ顕微鏡は、上記の
本発明の微小構造体と、この微小構造体を駆動する駆動
手段と、ティップと観察すべき試料との間隔を調節する
調節手段とを備える。この場合、微小構造体として、テ
ィップに対する配線層が、微小構造体の支持基板に対向
する面に、ティップと一体的に設けられているものを使
用した上で、ティップと試料との間に電圧を印加する電
圧印加手段をさらに備えるようにすることもできる。
【0012】本発明の情報処理装置は、ティップに対す
る配線層が微小構造体の支持基板に対向する面にティッ
プと一体的に設けられている本発明の微小構造体と、こ
の微小構造体を駆動する駆動手段と、ティップと記録媒
体との間隔を調節する調節手段と、ティップと記録媒体
との間に電圧を印加する電圧印加手段とを備える。
【0013】
【作用】本発明は、加工用基板を薄板化して形成される
微小構造体に、微小なティップを搭載する方法を開示す
るものであり、本発明の微小構造体では、ティップの先
端が微小構造体の表面に突出し、かつ、ティップの根元
側が微小構造体の裏面(支持基板に対向する面)にまで
連続して形成されている。このような構成とすることに
より、フォトレジストなどによる汚染のおそれがなく、
シリコン単結晶基板などで微小構造体を形成できるので
形状安定性に優れるようになり、かつ、ティップが剥離
しにくく確実に固定され、さらに、微小構造体の裏面側
にティップへの配線層を設けることが可能となる。本発
明の微小構造体の用途は広いが、主に、駆動手段を持っ
たアクチュエータとして使用される。この場合の微小構
造体としての形状は、レバーの端部で支持されるカンチ
レバー型、あるいはレバーを回転支持する二つの梁によ
って構成されるトーションレバー型などとすることがで
きる。
【0014】以下、本発明の微小構造体の形成方法につ
いて、典型的な例を挙げてさらに詳しく説明する。
【0015】まず、加工用基板の一方の面(支持基板と
対向することになる面)の一部をエッチング除去して微
小構造体形成用の溝部を形成する。このエッチングの方
法としては、フォトレジストパターンを形成してこのレ
ジストパターンをマスクとする反応性イオンエッチング
やウェットエッチングなどが挙げられる。
【0016】次に、加工用基板の一方の面上に、微小な
ティップの型となる凹部をエッチングにより形成し、こ
の凹部を含む領域にティップの構成材料を堆積させる。
凹部のエッチングの方法としては、ティップの先端を鋭
利にし、かつ凹部の形状再現性が優れるようにするため
に、結晶異方性エッチングを用いることが望ましい。基
板材料として結晶シリコンを使用する場合の異方性エッ
チングに使用されるエッチング液としては、水酸化カリ
ウム、ヒドラジン、アンモニア、テトラメチルアンモニ
ウムハイドロオキサイドなどの水溶液等の、シリコンに
対して異方性エッチングを示すものを用いることができ
る。
【0017】次に、加工用基板の一方の面と支持基板と
を接合する。接合の方法としては、アルミニウムと鉛含
有ガラスとの間の接合法、シリコンとアルカリ含有ガラ
スとの間の陽極接合法、エポキシ系接着剤、感光性接着
剤、ペースト状にした低融点金属をスクリーン印刷等の
方法を用いて接続部に形成し必要に応じて紫外線照射や
温度制御を行なって接続する方法、低融点金属を真空形
成方法をもちいて接続部に形成し熱処理により接合する
方法、金属に圧力を加えて接合する方法などがあり、こ
れらの接合方法を適宜に適用することが可能である。
【0018】続いて、その一部を残して加工用基板を他
方の面側から除去する。基板の除去方法としては、ティ
ップの部分に達するまでは機械研磨による方法や、反応
性イオンエッチングによる方法、また、エッチングする
部分以外をOリングなどでシールしたウェットエッチン
グの方法などを適用することが可能である。こののち、
ティップの部分に達したら、エッチングにより、基板と
ティップのエッチレートの差を利用してティップのみを
突出させる。このエッチングには、基板材料とティップ
材料との間でエッチング選択性のあるエッチング方法を
使用し、例えば、反応性イオンエッチング法やウェット
エッチング法を適用することができる。また、ティップ
材料に基板とのエッチング選択性がない場合、微小ティ
ップ材料を堆積する前に、保護層を形成し、この保護層
上に微小ティップ材料を堆積することにより、基板エッ
チング時にティップ材料がエッチングされることを防ぐ
ことができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0020】《実施例1》AFM(原子間力顕微鏡)の
プローブとして本発明の微小構造体を用いた例であり、
図1は、この実施例1でのAFMプローブの構成を示す
斜視図である。
【0021】微小構造体としてのこのAFMプローブ
は、レバー4とこのレバー4の両側に配置されレバーの
長手方向に直角に延びる2本の梁5とを一体的に形成し
たいわゆるトーション型のものであり、レバー4の長手
方向先端部には微小なティップ8が設けられている。テ
ィップ8は、支持基板2とは反対方向に突出している。
このプローブ(微小構造体)は、シリコン単結晶からな
る加工用基板を加工して作製されたものである。
【0022】レバー4は、梁5を介して支持部7によっ
て支持基板2に支持されることによって、支持基板2上
に形成された下電極3の上方に空隙6を介して配置され
ている。ただし、支持基板2の表面全面には絶縁層14
が設けられており、下電極3は、レバー4の部分であっ
て梁5をはさんでティップ8とは反対側の部分の下にあ
たる部位の絶縁層14上にのみ形成されている。さら
に、下電極3と対向するように、レバー4の裏面(支持
基板2に対向する面)には、上電極9(図2参照)と上
電極9への配線10が形成されている。下電極3と上電
極9とは、容量検知用のものである。配線10は、支持
部7に設けられたコンタクト部17に接続されることに
より、支持基板2側の回路と電気的に接続されている。
【0023】このように作製されたAFM検出用プロー
ブは、検出対象の試料面を走査機構(図示せず)により
走査したときに、探針である微小なティップ8が試料面
の凹凸にしたがって上下に変位する。このとき、レバー
4は、梁5の捻れにより梁5の中心を軸として回転し、
その結果、レバー4の裏面に形成された上電極9と支持
基板2側の下電極3との距離が変化する。このときの両
方の電極3,9の間の容量変化量を検出回路で検出する
ことにより、凹凸信号としてAFMの検出が行なわれ
る。
【0024】次に、このAFMプローブの作製工程を図
2を用いて説明する。この作製工程は、要約すれば、加
工用基板1の裏面に微小構造体の形状に沿った溝11お
よびティップ12の型となる凹部12を形成し、ティッ
プの形成材料を堆積させ、支持基板2に接合し、そのの
ち、加工用基板1の表面(支持基板2に対向しない面)
からエッチングあるいは研磨を行なうことにより、上述
した溝11で加工用基板1から切り離し、支持基板2上
に微小構造体を形成するものである。
【0025】まず、加工用基板1の裏面(一方の面)
に、フォトレジストをマスクとし六フッ化硫黄(S
6)ガスを用いた反応性イオンエッチングにより、レ
バー4および梁5の形状に沿って、溝11を5μmの深
さに形成した(図2(a))。このとき、配線10との電
気的接続を行なうための溝も形成しておく。
【0026】次に、加工用基板1の両面に、ジクロロシ
ランおよびアンモニアガスを原料としたLP(減圧)C
VD成膜法により、保護層13となる窒化シリコン膜を
厚さ0.2μmで堆積させた。フォトレジストをマスク
として、反応性イオンエッチング法により、微小なティ
ップ8が形成される部位の窒化膜(保護層13)を除去
した。このときの反応性イオンエッチングは、四フッ化
炭素(CF4)を用いて行なった。次に、約110℃に
加熱した水酸化カリウム水溶液を用いてこの加工用基板
1に対して所望時間エッチングを行ない、逆ピラミッド
形状の凹部12を形成した。ここで、シリコンの(111)
結晶面は、結晶面によるエッチング速度の違いにより出
現する。次に、反応性イオンエッチング法により、加工
用基板1の裏面側の保護層13(窒化膜)を除去する。
フォトレジストをマスクとして、接合用の電極15、上
電極9、配線10およびティップ8となるべきアルミニ
ウム層20を真空蒸着により厚さで1μm堆積し、リフ
トオフ法によりパターンを形成した(図2(b))。
【0027】続いて、半導体プロセスにより予めAFM
検出用回路(不図示)および絶縁層14が形成されてい
る支持基板2に、フォトレジストをマスクとして、下電
極3および接合用の電極16となるべきアルミニウム層
を真空蒸着により厚さ0.3μmで堆積し、リフトオフ
法によりパターンを形成した。スパッタ法を用いて鉛を
含有した低融点ガラス膜を3μm厚に形成し、イオンミ
リング法を用いて支持部7を形成した(図2(c))。
【0028】次に、加工用基板1と支持基板2とを接合
させる。両方の基板1,2を不図示のアライメントマー
カにより位置合わせした後に、加工用基板1側の接合用
の電極15を負極とし、支持基板2側の接合用の電極1
6を正極として、150℃の雰囲気下で、これら両電極
15,16間に100Vの直流電圧を5分間印加するこ
とにより、加工用基板1と支持基板2とを支持部7にお
いて接合した(図2(d))。接合時のアライメント合わ
せにおいては、赤外線カメラを用い、両方の基板1,2
の接合面にそれぞれ形成した金属材料によるマーカによ
りアライメント合わせを行なった。
【0029】次に、加工用基板1を表面(支持基板2に
対向しない面)側から機械研磨し、厚さを30μmとし
た。続けて、六フッ化硫黄(SF6)と酸素(O2)の混
合ガスを用いた反応性イオンエッチングにより、加工用
基板1の表面側から溝11の部分に到達するまでエッチ
ングを行ない、微小構造体を加工用基板1から分離し
た。このとき、アルミニウムとシリコンのエッチング速
度比が1:300となるような条件を用いることによ
り、シリコンのみエッチングが進行し、アルミニウムか
らなるティップ8を形成することができた。次に、コン
タクト部17をアルミニウムのリフトオフ法により形成
し、上電極9と接合用の電極16を接続した(図2
(e))。
【0030】以上のようにして、図1に示されるAFM
プローブが完成した。このプローブの寸法は、レバー4
の大きさが200μm×100μmであり、梁5の大き
さが50μm×15μmであり、これらの厚みは1μm
であり、約30kHzに共振周波数を有する。このプロ
ーブでは、加工用基板1の裏面側に堆積されるアルミニ
ウム層20によってティップ8や配線10が形成される
ので、ティップ8は支持基板2に対向する面にまで連続
して形成されていることになり、ティップの剥離や脱落
のおそれがなくなるとともに、ティップへの配線と試料
との短絡のおそれがなくなる。
【0031】本実施例では、AFMとしての検出は静電
的に行なっているが、プローブの変位を光で検出する光
てこ法などの他の方法を用いることも可能である。光て
こ法を用いる場合には、静電容量検出用の電極を設ける
必要がないので、プローブ構成が単純化され、必要に応
じて光照射部に金属等の高反射率部材を形成することに
より、検出感度を向上させることが可能である。また、
本実施例では、微小なティップの材料としてアルミニウ
ムを用いたが、加工用基板との間にエッチング選択性の
ある材料であれば、他の材料を使用することができる。
【0032】《実施例2》本発明の微小構造体をカンチ
レバー型のAFM検出用プローブに適用した例を説明す
る。図3はこのAFM検出用プローブを示す斜視図であ
る。
【0033】このプローブは、シリコン単結晶からなる
加工用基板を加工して作製されたものであって、カンチ
レバー38とこのカンチレバー38の根元側端部に形成
された梁25と有し、梁25を介し支持部27によって
支持基板22に支持されている。カンチレバー38と支
持基板22との間には、空隙26が形成されている。カ
ンチレバー38の先端部には微小なティップ28が設け
られている。ティップ28は、支持基板22とは反対方
向に突出している。カンチレバー38の裏面(支持基板
22に対向する面)側であってカンチレバー38の先端
部に近い側には、容量検出用の上電極29が設けられて
いる。一方、支持基板22の表面全面には、絶縁層34
が設けられており、上電極29に対向する部位の絶縁層
34の表面には、上電極29と対をなして容量を検出す
る下電極23が設けられている。さらに支持部27に
は、上電極29を支持基板22側の回路と電気的に接続
するためのコンタクト部37が設けられている。
【0034】このプローブがAFM検出プローブとして
動作する原理は、実施例1の場合と同様である。またカ
ンチレバーの先端部にティップが配置されているので、
カンチレバー先端方向に媒体がある場合に有利であると
ともに、カンチレバーの先端がティップよりも先に媒体
に接触することが防がれている。
【0035】以下、このAFMプローブの作製工程につ
いて、図4を用いて説明する。作製工程は、上述の実施
例1の場合と同様であるが、ティップの形成方法が異な
っている。本実施例においては、加工用基板21の裏面
側に支持部27を形成し、カンチレバー38に沿った溝
31及びティップ形成部分に対応する斜面39を形成
し、ティップ材料を堆積し、先端部分をイオンビームで
加工してティップ形状とし、支持基板22上に接合し、
その後、加工用基板21の表面(支持基板22に対向し
ない面)側からエッチングあるいは研磨を行ない上述し
た溝31で加工用基板21を切り離すことによって、支
持基板22上に微小構造体からなるプローブが形成され
る。
【0036】まず、シリコン単結晶からなる加工用基板
21の両面に、ジクロロシラン(SiCl22)および
アンモニア(NH3)ガスを原料としたLPCVD成膜
法を用いて、窒化シリコン膜33を0.2μm厚で堆積
させた。フォトレジストをマスクとして、反応性イオン
エッチング法により、カンチレバー38の支持部27と
なる部分以外の窒化シリコン膜33を除去する。なお、
反応性イオンエッチングは、四フッ化炭素を用いて行な
った。次に、約110℃に加熱した水酸化カリウム水溶
液を用いてこの加工用基板21に対して所望時間エッチ
ングを行ない、段差状の突起として支持部27を形成し
た。支持部27の高さを3μmとした(図4(a))。
【0037】次に、加工用基板21の裏面(支持基板2
2に対向する面)に、フォトレジストをマスクとし六フ
ッ化硫黄ガスを用いた反応性イオンエッチングにより、
カンチレバー38の形状に沿って、溝31を5μmの深
さに形成した。再び加工用基板21の両面に窒化シリコ
ン膜を上述と同様の方法で堆積・パターニングした後、
水酸化カリウム水溶液でのエッチングを行ない、シリコ
ンの(111)結晶面による斜面39および梁25を形成し
た。次に、反応性イオンエッチング法により窒化シリコ
ン膜を除去し、フォトレジストをマスクとして、接合用
の電極35、下電極29および微小なティップ28とな
るべきアルミニウムを真空蒸着により1μm厚堆積し、
リフトオフ法によりパターンを形成した。さらにティッ
プ28のアルミニウム層先端をイオンビームにより加工
し、先端を鋭利な形状とした(図4(b))。
【0038】次に、半導体プロセスにより予めAFM検
出用回路(不図示)および絶縁層34が形成されている
支持基板22に、フォトレジストをマスクとして、下電
極23および接合用の電極36となるべきアルミニウム
層を真空蒸着により0.3μm厚で堆積し、リフトオフ
法によりパターンを形成した。スパッタ法を用いて鉛を
含有した低融点ガラス膜を0.5μm厚に形成し、リフ
トオフ法を用いて接合層40を形成した。そして、加工
用基板21と支持基板22をアライメントマーカにより
位置合わせたした後、加工用基板21側の接合用の電極
35を負極とし、支持基板22側の接合用の電極36を
正極として、両者を接合させ、150℃の雰囲気下で1
00Vの直流電圧を5分間印加することにより、両方の
基板21,22を支持部27において接合した(図4
(c))。
【0039】続いて、加工用基板21を表面(支持基板
22に対向しない面)側から機械研磨し、厚さを30μ
mとした。そして、六フッ化硫黄と酸素の混合ガスを用
いる反応性イオンエッチングにより、加工用基板21の
表面側から溝31の部分に到達するまでエッチングを行
ない、微小構造体であるプローブを加工用基板31から
分離した。このとき、アルミニウムとシリコンのエッチ
ング速度比が1:300となる条件を用いることによ
り、シリコンのみエッチングが進行し、アルミニウムか
らなるティップ28を形成できた。次に、コンタクト部
37をアルミニウムのリフトオフ法により形成し、下電
極29と接合用の電極36を接続した(図4(d))。
【0040】以上のようにして図3に示されるカンチレ
バー型のプローブが完成した。このプローブでは、カン
チレバー38の寸法は長さ300μm、幅100μm、
厚さ20μmであり、梁25の寸法は長さ50μm、幅
30μm、厚みは5μmであった。
【0041】《実施例3》本発明の微小構造体をトーシ
ョンレバー型のSTM(走査型トンネル電流顕微鏡)検
出用プローブに適用した例を説明する。図5はこのST
M検出用プローブを示す上面図、図6はこのSTM検出
用プローブの作製工程を示す図である。
【0042】このプローブは、実施例1に示したものと
同様の構成の微小変位素子であって、レバー44と2本
の梁45からなり、空隙を有するように支持基板42の
上方に、梁45を介して支持部47により支持基板42
に支持されている。レバー44の先端部には、支持基板
42とは逆方向に突出する導電性の微小なティップ48
が形成され、さらに、レバー44の裏面(支持基板42
に対向する面)には、このレバー44を駆動するための
上電極49が形成されている。さらにレバー44および
梁45の裏面側には、ティップ48と支持基板42側の
回路を結ぶ配線50と、上電極49と支持基板42側の
回路を結ぶ配線50とが設けられている。支持基板42
の表面には、絶縁層54を介して、上電極49と対向す
るように下電極43が形成されている。下電極43およ
び上電極49は、レバー44の駆動用の電極であって、
これら電極43,49間に印加した電圧による静電力に
よって、レバー44が変位するように構成されている。
【0043】STMプローブは、走査機構(図示せず)
によって検出対象の試料面を走査するときに、探針であ
る微小なティップ48と試料面との間に電圧を印加し、
試料面の導電率に伴ったトンネル電流を検出することに
より、表面状態を検知する。この際、トンネル電流に応
じてティップ48を試料に近付けたり遠ざけたりするよ
うな変位制御が行なわれるが、このプローブでは、上電
極49と下電極43との間に電圧を印加することによ
り、両電極43,49間に吸引力が生じ、レバー44が
梁45の捻れにより梁45の中心を軸として回転し、そ
の結果、レバー44先端に設けられた探針すなわちティ
ップ48が変位し、試料面に接近することになる。
【0044】次に、図6を用いてこのSTMプローブの
作製工程を説明する。本実施例では、シリコン(100)単
結晶からなる加工用基板41の一部を表面(支持基板4
2に対向しない面)からエッチング除去することにより
枠部55および薄板部56を形成し、この薄板部56の
裏面(支持基板に対向する面)側に、レバー44および
梁45の形状に沿った溝51とティップ48の型となる
凹部52とを形成し、ティップの構成材料を堆積し、支
持基板42上に接合し、そののち、表面側からエッチン
グを行なうことにより、上述した溝51で枠部55を切
り離し、支持基板42上に微小構造体であるプローブを
形成するものである。図7は、加工用基板41上に複数
の枠部55および薄板部56を設けた例を示す斜視図で
ある。図7に示されるように、本実施例では、複数個の
STMプローブを一括して形成することが可能である。
【0045】まず、加工用基板41の両面に、ジクロロ
シランおよびアンモニアガスを原料としたLPCVD成
膜法を用い、窒化シリコン膜53を0.2μm厚で堆積
させた。次に、マスクアライナ装置を用いてレジストマ
スクを形成し、反応性イオンエッチング法により、加工
用基板41の表面側のエッチング部位および裏面側のデ
ィップ48の形成部位の窒化シリコン膜53を除去す
る。反応性イオンエッチングは、四フッ化炭素を用いて
行なった。次に、約110℃に加熱した水酸化カリウム
水溶液を用いてこの加工用基板41に対して所望時間の
エッチングを行ない、表面側に枠部55を、裏面側にテ
ィップの型となる逆ピラミッド形状の凹部52を形成し
た(図6(a))。ここで、シリコンの(111)結晶面は、シ
リコンの結晶面によるエッチング速度の違いにより出現
する。本実施例において、薄板部56の厚さは30μm
とした。
【0046】次に、加工用基板41の裏面側の窒化シリ
コン膜53を反応性イオンエッチング法により全面除去
した後、フォトレジストをマスクとし六フッ化硫黄ガス
を用いた反応性イオンエッチングによって、レバー44
および梁45の形状に沿って溝51を5μmの深さに形
成した。熱酸化炉により加工用基板41の裏面側を熱酸
化し、酸化シリコン層57を1000nm厚で形成し
た。次に、加工用基板41の裏面側にレジストを塗布・
パターニングし、金(Au)を真空蒸着により1000
nm厚で堆積し、リフトオフ法により上電極49、探針
であるティップ48とこれらに対する配線50を形成し
た(図6(b))。
【0047】一方、支持基板42に表面に対しては、半
導体プロセスを用いて、微小変位素子としての駆動回路
(不図示)、制御回路(不図示)、STM信号検出回路
(不図示)および絶縁層54を形成した後、スパッタ法
を用いて酸化シリコン膜を3μm厚で形成し、フォトレ
ジストをマスクとし四フッ化炭素ガスを用いる反応性イ
オンエッチング法により酸化シリコン膜をエッチング
し、3μm高さの支持部47を形成した。支持基板42
の表面にコンタクトホールを形成したのち、レジストを
塗布・パターニングし、真空蒸着法にて金を300nm
厚で堆積し、リフトオフ法により駆動用および信号検出
用の配線58を形成した。
【0048】次に、加工用基板41側の配線50の金層
と、支持基板42側の配線58の金層とを突き合わせて
両者間に押圧力を加えることにより、両者を接合させ、
加工用基板41と支持基板42との接合を完成させる。
アライメント合わせにおいては赤外線カメラを用い、両
方の基板41,42の接合面にそれぞれ形成した金属材
料によるマーカにより、アライメント合わせを行なった
(図6(c))。
【0049】次に、六フッ化硫黄ガスを用いる反応性イ
オンエッチングにより、加工用基板41をその表面側か
らエッチングし、加工用基板41の枠部55からレバー
44および梁45を分離すると同時に、シリコンと酸化
シリコンのエッチング選択性を利用して、ティップ48
の部位の酸化シリコン層57を残してシリコンのみをエ
ッチングした。本実施例においては、六フッ化硫黄ガス
の流量を50sccm、圧力を10mTorrとし、エッチング
の選択比は約1:15であった。続いて、四フッ化炭素
を用いた反応性イオンエッチングにより、酸化シリコン
層57をエッチング除去し、金からなる導電性のティッ
プ48を露出させた(図6(d))。
【0050】以上のようにして、図5に示されるSTM
プローブが完成する。このプローブでは、レバー44の
大きさが200μm×100μmであり、梁45の大き
さが50μm×15μmであり、これらの厚みは1μm
であり、約30kHzに共振周波数を有する。本実施例
のSTMプローブは、走査型トンネル顕微鏡等の検出プ
ローブとしての用途の他に、微小な探針による書き込み
および検出を利用した大容量メモリシステム用の書き込
み/再生プローブなどに広く適用することが可能であ
る。
【0051】本実施例のようにティップ形成用の凹部に
薄膜層を設けてその上にティップ材料を堆積することに
より、基板材料とティップ材料との間にエッチング選択
性がない場合にも、基板材料と薄膜層との間、および薄
膜層とティップ材料との間にエッチング選択性があれ
ば、ティップを形成することが可能になる。またシリコ
ン表面の凹部を熱酸化することにより、ティップの先端
形状をさらに鋭利にすることができる。
【0052】《実施例4》実施例3によれば、半導体プ
ロセスを一貫して使用していることにより、マトリクス
状に配置された複数個のSTMプローブを一括して支持
基板上に形成することができる。本実施例は、このよう
に一括形成された複数個のSTMプローブを用いる情報
処理装置の一つの態様である記録再生装置に関するもの
である。図8は、本実施例の記録再生装置を示すブロッ
ク図である。
【0053】基板100上には、実施例3による微小な
プローブ101が複数個配置されている。各プローブ1
01上には微小なティップが探針102として形成され
ており、各探針102は情報記録用の記録媒体103と
一様に対向するように配置されている。記録媒体103
は、記録媒体103とプローブ101との間に電圧を印
加するための下地電極104上に形成され、記録媒体ホ
ルダー105に保持されている。基板100は、X−Y
ステージ108上に設けられており、X−Yステージを
駆動することにより、各プローブ101がxy平面内す
なわち記録媒体103の表面の面内方向に移動するよう
になっている。
【0054】記録媒体103を構成する層は、探針10
2から発生するトンネル電流により記録媒体表面の形状
を凸型(Staufer, Appl. Phys. Letters, 51(4), 27, J
uly1987, p244参照)または凹型(Heinzelmann, Appl.
Phys. Letters, Vol. 53, No. 24, Dec. 1988, p2447参
照)に変形することが可能な金属、半導体、酸化物、有
機薄膜、あるいはこのトンネル電流により電気的性質が
変化(たとえば電気的メモリ効果を生ずる)する有機薄
膜などよりなる。電気特性が変化する有機薄膜として
は、特開昭63−161552号公報に記載された材料
がなどが例示され、ラングミュア・ブロジェット膜より
なるものが好ましい。例えば、石英ガラス基板の上に下
地電極104として真空蒸着法によってクロムを5nm
厚で堆積させ、さらにその上に金を30nm厚で同法に
より蒸着したものを用い、その上にラングミュア・ブロ
ジェット法によってSOAZ(スクアリリウム-ビス-6
-オクチルアズレン)を4層積層したものなどが使用で
きる。
【0055】記録再生用回路114は、データ変調回路
106、記録電圧印加回路107、記録信号検出回路1
09、データ復調回路110、プローブ高さ検出回路1
11、x,z軸駆動制御回路112、トラック検出回路
113によって構成され、複数個の記録再生用回路11
4がCPU115によって制御されるように構成されて
いる。すなわち記録再生ヘッドにおいては、記録再生用
回路114が記録媒体103に対向する複数のプローブ
101およびその駆動機構それぞれに1つずつ設けられ
ており、各プローブ101による記録・再生、各プロー
ブ101の変位制御(トラッキング、間隔調整等)など
の要素を独立して行なっている。
【0056】データ変調回路106は、記録すべきデー
タを記録に適した信号に変調して記録電圧印加回路10
7に出力する回路である。記録電圧印加回路107は、
データ変調回路106で変調された信号に基づいて記録
媒体103と探針102との間に電圧を印加することに
より、記録媒体103上に記録を行なうための回路であ
る。探針102を記録媒体103に所定間隔まで近づ
け、記録電圧印加回路107によって例えば3V、幅5
0nsの矩形状パルス電圧を印加すると、記録媒体10
3が特性変化を起こし、記録媒体103内に電気抵抗の
低い部分が生じる。X−Yステ−ジ108を用いて探針
102で記録媒体103の面上を走査しながらこの操作
行なうことによって、情報の記録がなされる。図では示
していないが、X−Yステージ108による走査の機構
としては、円筒型ピエゾアクチュエータ、平行ばね、差
動マイクロメータ、ボイスコイル、インチウオームなど
の機構を用いることができる。
【0057】記録信号検出回路109は、探針102と
記録媒体103との間に電圧を印加して両者間に流れる
トンネル電流を検出する回路であり、データ復調回路1
10は、記録信号検出回路109の検出したトンネル電
流信号を復調する回路である。再生時には、探針102
と記録媒体103とを所定間隔にし、上述の記録電圧よ
り低い電圧、例えば200mVの直流電圧を探針102
と記録媒体103との間に加える。この状態で記録媒体
103上の記録データ列に沿って探針102を走査させ
このときに記録信号検出回路109によって検出される
トンネル電流信号が、記録データ信号に対応する。した
がって、この検出したトンネル電流信号を電流電圧変換
しデータ復調回路110で復調することにより、再生デ
ータ信号が得られる。
【0058】プローブ高さ検出回路111は、記録信号
検出回路109の検出信号を受け、情報ビットの有無に
よる高周波の振動成分をカットして残った信号を処理
し、この残りの信号値が一定になるように探針102を
上下動制御させるために、x,z軸駆動制御回路112
に命令信号を発信する。これにより探針102と媒体1
03との間隔が略一定に保たれる。トラック検出回路1
13は探針102で記録媒体103上を走査する際に、
探針102のデータがこれに沿って記録されるべき経
路、あるいは記録されたデータ列(以下これらをトラッ
クと称する)からのずれを検出する回路である。
【0059】以上、本発明の情報処理装置について記録
再生装置を例に挙げて説明したが、記録または再生のみ
を実行する装置、あるいは走査型トンネル電流検知装置
であっても、本発明が適用可能であることは言うまでも
ない。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように本発明の微小構造体
は、ティップの先端が微小構造体の表面に突出し、か
つ、ティップが微小構造体の裏面(支持基板に対向する
面)にまで連続して形成されるようにすることにより、
フォトレジストなどによる汚染のおそれがなく、シリコ
ン単結晶基板などで微小構造体を形成できるので形状安
定性に優れるようになり、かつ、ティップが剥離しにく
く確実に固定され、微小構造体の裏面側にティップへの
配線層を設けることができるという効果がある。
【0061】本発明の微小構造体の形成方法は、加工用
基板の一方の面上に微小構造体の形成用の溝部を形成す
る第1の工程と、加工用基板の一方の面側から加工用基
板上にティップを形成する第2の工程と、加工用基板の
一方の面と支持基板とを接合する第3の工程と、加工用
基板の他方の面から加工用基板にエッチング処理を施
し、一部を除いて前記加工用基板をエッチング除去する
第4の工程とを設けることにより、作製プロセスが単純
で、先端の汚染やプロセスによる変形がなく、微小構造
体の裏面への配線が可能であり、確実にレバーに固定さ
れるティップを有する微小構造体が得られるという効果
がある。
【0062】本発明の走査型プローブ顕微鏡ないし情報
処理装置は、本発明に基づく微小構造体をプローブとし
て採用することにより、プローブに設けられたティップ
の脱離のおそれがなく、安定性や信頼性に優れ、かつ単
純なプロセスで作製できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1のAFMプローブを示す斜視
図である。
【図2】(a)〜(e)はそれぞれ図1のAFMプローブの作
製工程を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例2のAFMプローブを示す斜視
図である。
【図4】(a)〜(d)はそれぞれ図3のAFMプローブの作
製工程を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例3のSTMプローブを示す上面
図である。
【図6】(a)〜(d)はそれぞれ図5のSTMプローブの作
製工程を示す断面図である。
【図7】実施例3における枠部および薄板部を説明する
斜視図である。
【図8】本発明の実施例4の記録再生装置の構成を示す
ブロック図である。
【図9】(a)〜(c)は従来の微小構造体の形成方法を説明
する図である。
【図10】(a)〜(c)は従来の微小構造体の形成方法を説
明する図である。
【図11】(a)〜(d)は従来の微小構造体の形成方法を説
明する図である。
【符号の説明】
1,21,41 加工用基板 2,22,42 支持基板 3,23,43 下電極 4,44 レバー 5,25,45 梁 7,27,47 支持部 8,28,48 ティップ 9,29,49 上電極 10,50,58 配線 38 カンチレバー 100 基板 101 プローブ 102 探針 103 記録媒体 104 下地電極 105 記録媒体ホルダ 106 データ変調回路 107 記録電圧印加回路 108 X−Yステージ 109 記録信号検出回路 110 データ復調回路 111 プローブ高さ検出回路 112 x,y軸駆動制御回路 113 トラック検出回路 114 記録再生用回路 115 CPU

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微小なティップを備え加工用基板を加工
    して形成され支持基板上に支持される平板状の微小構造
    体において、前記ティップの先端が前記微小構造体上に
    突出し、前記ティップの根元側が前記微小構造体の前記
    支持基板に対向する面にまで連続して形成されているこ
    とを特徴とする微小構造体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の微小構造体であって、
    前記加工用基板と前記支持基板とを別個に用意し、前記
    加工用基板の一方の面上に前記微小構造体の形成用の溝
    部を形成し、前記一方の面側において前記ティップを形
    成し、前記一方の面と前記支持基板とを接合し、前記加
    工用基板の他方の面から前記加工用基板にエッチング処
    理を施し、一部を除いて前記加工用基板をエッチング除
    去することによって形成される微小構造体。
  3. 【請求項3】 前記ティップに対する配線層が、前記微
    小構造体の前記支持基板に対向する面に、前記ティップ
    と一体的に設けられている請求項1または2に記載の微
    小構造体。
  4. 【請求項4】 前記微小構造体が、前記支持基板上に形
    成された一個の支持部によって支持された片持ち梁構造
    体である請求項1または2に記載の微小構造体。
  5. 【請求項5】 前記微小構造体が、前記支持基板上に形
    成された二つ以上の支持部によって支持される多持ち梁
    構造体である請求項1または2に記載の微小構造体。
  6. 【請求項6】 微小なティップを備え加工用基板を加工
    して形成され支持基板上に支持される平板状の微小構造
    体の形成方法において、 前記加工用基板の一方の面上に前記微小構造体の形成用
    の溝部を形成する第1の工程と、 前記一方の面側から前記加工用基板上にティップを形成
    する第2の工程と、 前記一方の面と前記支持基板とを接合する第3の工程
    と、 前記加工用基板の他方の面から前記加工用基板にエッチ
    ング処理を施し、一部を除いて前記加工用基板をエッチ
    ング除去する第4の工程とを有することを特徴とする微
    小構造体の形成方法。
  7. 【請求項7】 前記第2の工程が、前記一方の面に形成
    された前記ティップ用の凹部内に前記ティップの構成材
    料を堆積させる工程を含む請求項6に記載の微小構造体
    の形成方法。
  8. 【請求項8】 前記ティップ用の凹部の表面に薄膜層を
    形成した後、該薄膜層上に前記ティップの構成材料を堆
    積させる請求項7に記載の微小構造体の形成方法。
  9. 【請求項9】 前記第1の工程が、前記溝部の一部の側
    面を上記微小構造体の先端部につながる斜面として形成
    する工程を含み、前記第2の工程が、前記斜面上に前記
    ティップの構成材料を堆積する工程を含む請求項6また
    は7に記載の微小構造体の形成方法。
  10. 【請求項10】 前記斜面の表面に薄膜層を形成した
    後、該薄膜層上に前記ティップの構成材料を堆積させる
    請求項9に記載の微小構造体の形成方法。
  11. 【請求項11】 前記溝部が前記微小構造体の形状を画
    定するように形成され、前記第4の工程におけるエッチ
    ング処理が前記溝部に到達するまで実行される請求項6
    ないし10いずれか1項に記載の微小構造体の形成方
    法。
  12. 【請求項12】 請求項1または2に記載の微小構造体
    と、該微小構造体を駆動する駆動手段と、前記ティップ
    と観察すべき試料との間隔を調節する調節手段とを備え
    た走査型プローブ顕微鏡。
  13. 【請求項13】 請求項5に記載の微小構造体と、該微
    小構造体を駆動する駆動手段と、前記ティップと観察す
    べき試料との間隔を調節する調節手段と、前記ティップ
    と前記試料との間に電圧を印加する電圧印加手段とを備
    えた走査型プローブ顕微鏡。
  14. 【請求項14】 請求項5に記載の微小構造体と、該微
    小構造体を駆動する駆動手段と、前記ティップと記録媒
    体との間隔を調節する調節手段と、前記ティップと前記
    記録媒体との間に電圧を印加する電圧印加手段とを備え
    た情報処理装置。
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