JPH0528545A - 走査型プローブ顕微鏡を用いた情報処理装置、情報処理方法及び面合わせ方法 - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡を用いた情報処理装置、情報処理方法及び面合わせ方法

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JPH0528545A
JPH0528545A JP20115191A JP20115191A JPH0528545A JP H0528545 A JPH0528545 A JP H0528545A JP 20115191 A JP20115191 A JP 20115191A JP 20115191 A JP20115191 A JP 20115191A JP H0528545 A JPH0528545 A JP H0528545A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 SXMを利用した複数の探針を有する情報処
理装置において情報処理精度を高めるために、各探針の
走査面と試料面とをできる限り平行にするように制御す
る機構を有する情報処理装置。 【構成】 SXMを利用した情報処理装置において、少
なくとも2本以上の複数の探針と、記録媒体を載せるた
めの試料台と、探針及び/又は試料台を駆動するための
駆動機構と、かかる試料台面を傾斜せしめるX−Y軸傾
斜機構と、検出された表面状態または記録情報に対応す
る信号成分のうち任意の空間周波数を有する信号成分の
振幅を検出する振幅検出回路と、検出された振幅が0若
しくは出来る限り小さな値になるようにX−Y軸傾斜機
構を制御するフィードバック回路と、探針と記録媒体表
面との距離を探針各々について独立に調整できる距離調
整機構とを少なくとも具備した情報処理装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプローブの走査面と記録
媒体表面との傾きを補正する機構を有する走査型プロー
ブ顕微鏡(以下SXMと略す)を利用した情報処理装
置、情報処理方法及び傾き補正方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
情報化社会の発展につれ、大容量メモリの開発が行なわ
れている。最近では走査型トンネル顕微鏡(以下STM
と略す)を用いた記録再生装置が登場してきた(例え
ば、特開昭61−80636号公報、米国特許第457
5822号明細書等)。G.Binningらによって
開発されたSTM[G.Binning et a
l.,Helvetica Physica Act
a,55,726(1982)]は、金属の探針(プロ
ーブ電極)と導電性試料との間に電圧を加えて両者の距
離を1nm程度の距離にまで近づけるとトンネル電流が
流れることを利用して試料の表面状態を観察する方法で
ある。この電流は両者の距離変化に非常に敏感であり、
トンネル電流を一定に保ちながら試料上を走査せしめ上
記探針−試料間の距離の変化を測定するか、若しくは係
る距離を一定に保ちながら走査せしめた時のトンネル電
流の変化を測定することにより、試料の表面状態を知る
ことができる。この時の面内方向分解能は0.1nm程
度である。従ってSTM技術を応用すれば原子オーダー
(サブナノメートル)での高密度記録再生が可能とされ
る(例えば特開昭63−204531号公報、同63−
161552号公報や同63−161553号公報等参
照)。一方STM技術の発展により、トンネル電流に限
定されない、他の探針と試料間の距離に依存する種々の
相互作用を検出しながら探針を試料表面上走査させるこ
とによって、試料の表面状態を測定する技術(いかSX
Mと表す)が次々と提案されてきている。SXMを利用
する場合においてもSTMを利用する場合と同様、高密
度記録再生が可能とされている。
【0003】以上述べたように原理的にはSXM技術を
利用することによって、高密度記録再生が達成される筈
であるが、その実現には様々な問題点がある。以下、S
TMを例としてSXMにおける問題点を挙げることにす
る。
【0004】第1に探針は記録媒体表面と平行に走査さ
せることが必要である。この条件が満たされていない場
合、即ち記録媒体が傾いて試料台に載っている場合に
は、観察された表面形状が歪んだり、或いは探針が記録
媒体表面に衝突したり、或いは逆に記録媒体表面から離
れすぎて制御不能となる可能性がある。走査範囲(情報
の記録に用いられる領域)が比較的小さく、記録媒体の
傾きによってもたらされる探針の垂直方向(以後Z軸方
向と記す)の動き量が探針のZ軸方向微動制御範囲内
(例えば1μm以下)にある場合には、電気的フィルタ
を用いて上記探針の動き量から記録媒体表面の実際の構
造に起因する探針動き量のみを分解することができ、事
実STM装置には種々の周波数成分を除去するフィルタ
が搭載されている。また特開平2−147803号公報
には係る問題を解決するため試料を回転できる機構を具
備したSTM装置が提案されている。しかしながら、こ
れらの方法に因っては、記録領域が十分に大きかったり
或いは記録媒体が大きい場合において、記録媒体の傾き
によって強制的にもたらされる探針のZ軸方向移動量
が、該探針の制御範囲を越えてしまうことがありえる。
また仮に探針のZ軸方向移動量がその制御範囲量を越え
ていない場合であっても、探針の走査面(以後これをX
−Y面と記す)方向と記録媒体面内(以後これをX’−
Y’面と記す)方向が平行でない限り、探針のX−Y面
方向の移動距離とX’−Y’面上の実空間距離との間に
差が生じる。故にX−Y面とX’−Y’面との不一致
(非平行)は記録再生の精度を低下させる場合が起こる
という問題が生ずる。
【0005】第2にSTMを利用した記録再生方式にお
いては、探針と記録媒体との間の距離をサブミクロンの
精度を以って制御することが必要不可欠である。この際
の距離制御には通常圧電体が用いられているが、その動
作速度は1MHz程度が限界であり、従って画像情報等
の高い転送速度を要求される記録再生にSTM技術を用
いようとすると、複数の探針を用いざるをえない。例え
ば特開昭62−281138号公報には、複数の探針
(マルチプローブ)を用いることで、記録再生速度を向
上せしめることが提案されている。この場合、第1に挙
げた理由によって全ての探針の走査面が記録媒体表面と
平行になるように調節されていることが望ましいが、そ
のための具体的な方法は未だ提案されていない。
【0006】本発明の目的はSXMを利用した情報処理
装置のうち、特に複数の探針を有する情報処理装置にお
いて情報処理精度を高めるために、各探針の走査面(X
−Y面)と試料面(X’−Y’面)とをできる限り平行
にするように制御する機構を有する情報処理装置、情報
処理方法および探針の走査面及び又は試料面の傾き補正
(面合わせ)方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】上記の目的は、
以下の本発明によって達成される。
【0008】即ち本発明の情報処理装置及び情報処理方
法は、SXMを利用した情報処理装置において、試料台
面を傾斜せしめるX−Y軸傾斜機構とを具備することに
よって達成される。ここでX−Y軸傾斜機構の具体例と
してはX−Y軸傾斜ステージ若しくはX−Y軸ゴニオス
テージを利用するのが好ましい。この場合、探針を試料
上走査させるに当って係る走査は相対的なものであるの
で、(1)探針自体が走査できるか、(2)試料台が走
査できるか、あるいは(3)両者が、互いに独立に走査
できるかの何れの方法であってもよい。但し(3)の場
合、探針自体の走査方向と試料台の走査方向(X−Y方
向)とは予め平行になる様に設定されている。更に探針
を仮に記録媒体表面上走査せしめ、この際の走査面と垂
直な方向(Z軸方向)の探針の動きにより走査面(X−
Y面)と記録媒体表面(X’−Y’面)との傾き量を検
出する機構と、かかる傾き量が最小になるように前述の
X−Y軸傾斜機構を駆動制御する手段、即ち探針を走査
させることによって得られた表面状態または記録情報に
対応する信号成分のうち任意の空間周波数を有する信号
成分の振幅を検出する振幅検出回路と、かかる振幅を0
若しくは出来る限り小さな値になるようにX−Y軸面を
傾斜させる駆動機構を制御するフィードバック回路も有
している。更には、複数の探針と、かかる複数の探針と
記録媒体表面との距離を探針各々について独立に調整出
来る距離調整機構も有している。
【0009】また本発明の面合わせ方法によれば、SX
Mの原理を用いた又は応用した情報処理装置において、
記録媒体表面(X’−Y’面)と複数のプローブ電極面
(X”−Y”面)との面合わせ、及び走査面(X−Y
面)に対する記録媒体表面(X’−Y’面)の面合わせ
を第1、第2の面合わせ手段で行うことで、複数のプロ
ーブ電極と記録媒体表面(X’−Y’面)の高速アクセ
スが可能となる。更に詳しくは、複数のプローブ電極の
特定の電極を上記第1及び第2の面合わせ用のセンサー
として用い、記録媒体表面(X’−Y’面)と複数のプ
ローブ電極面(X”−Y”面)の面合わせ、及び走査面
(X−Y面)に対する記録媒体表面(X’−Y’面)の
面合わせを行い、複数プローブ電極面(X”−Y”面)
と記録媒体表面(X’−Y’面)を走査面(X−Y面)
に対し各々平行関係に調整(面合わせ)をする。このよ
うにすることで、情報処理中のプローブ電極の記録媒体
表面に垂直な方向の動きを行わない、或は少々行うだけ
で、複数のプローブ電極と記録媒体表面の高速アクセス
が可能となる。
【0010】以下、SXMのうちSTMを例として、本
発明を説明する。
【0011】
【実施例】以下本発明の実施例について述べる。
【0012】実施例1 まず本発明の情報処理装置における走査面(X−Y面)
と試料表面(X’−Y’面)との傾き量を検出する機構
をSTMを利用した情報処理装置を例として説明する。
【0013】図1はSTMを利用した情報処理装置の一
例をブロック図として表したものである。図1中、簡単
にするため探針の数は最小の2個としてある。すなわ
ち、プローブユニット101及び102であるが、これ
よりプローブユニットの数が多くても一向に構わない。
各プローブユニット中、1は探針としてのプローブ電極
であり、導電性を示す材料であれば何でもよく、例えば
Au,W,Pt,Pt−Ir合金、Pt−Rh合金、P
dコートAu,PdコートW,Ag,WC,TiC等が
用いられる。プローブ電極1の先端は出来るだけ尖って
いることが望ましく、本実施例においては1mmφのW
を電界研摩法を用いて先端を尖らせた後、Pdを100
0Åにコート(蒸着)したものを用いているが、プロー
ブ電極1の作成方法はこれに限定されるものではない。
記録媒体2はX−Yステージ3及び該X−Yステージ3
上に設けられたX−Y軸傾斜機構4からなる試料台上に
設置される。X−Yステージ3はX−Y粗動機構5及び
X−Y粗動駆動回路6を介してマイクロコンピュータ8
によって駆動制御することができる。X−Y軸傾斜機構
4も同様にX−Y軸傾斜駆動回路7を用いて制御するこ
とができる。
【0014】プローブユニット101,102中、10
はプローブ電極1をX−Y方向に走査させる為のX−Y
方向微動機構であり、本発明ではスタック・ピエゾ素子
を用いているが、Åオーダーの微小な移動が精度よくで
きるアクチュエーターであれば何でもよく、スタック・
ピエゾ素子に限定されるものではない。かかるX−Y方
向微動機構10はX−Y方向走査駆動回路11によって
制御される。プローブ電極1の走査方向であるX−Y方
向とX−Yステージ3のX−Y方向は一致(平行)する
ように予め調整してある。従って各プローブ・ユニット
101,102間のX−Y方向も互いに一致している。
図1ではプローブ電極1は各々X−Y方向の走査に関し
て独立に制御できるようになっているが、図2に示すよ
うに各プローブ電極1がX−Y方向に関して連動して動
くようになっていても良い。勿論この場合においても、
プローブ電極1の走査方向とX−Yステージ3のX−Y
方向とは平行となるように予め調整されている。プロー
ブユニット101,102中、12はプローブ電極1を
Z軸方向に微動させるためのZ方向微動機構で、本発明
ではやはりスタック・ピエゾ素子を用いているが、これ
に限定されるものではない。Z方向微動機構12は各プ
ローブ電極1ごとに必要であり、サーボ回路13によっ
て各々独立に位置制御される。
【0015】14はプローブ電極1と記録媒体2との間
にバイアス電圧(以下VBと表す)を印加するバイアス
電圧印加部で、この時プローブ電極1と記録媒体2との
間に流れるトンネル電流(以下JTと表す)を検出し増
幅するのがトンネル電流増幅部15である。検出される
Tが適当な値となるように、サーボ回路13を用いて
プローブ電極1の高さ(Z軸方向のプローブ電極1と試
料との距離)が調節される。18は情報の記録或いは消
去に用いられるパルス電源である。以上の機構を用いて
プローブ電極1を試料上走査させて記録媒体2の表面状
態を観測(再生)する場合、(1)検出されるJTが一
定となるようにプローブ電極1の高さを制御し、係るプ
ローブ電極1の高さ変化量を測定する方法(以下電流一
定モードと表す)と、(2)プローブ電極1の高さを一
定値に固定して走査させた時のJTの変化量を測定する
方法(以下高さ一定モードと表す)の2通りがある。
(1)のモードを選択した場合には、プローブ電極1の
高さ(必ずしも絶対値である必要は無い)をプローブ電
極高さ検出部16を用いて検出したのち、分波器17に
よって試料表面の凹凸や電子状態の変化に基づく高さ成
分と試料の傾きによってもたらされた成分とに分離さ
れ、後者はX−Y軸傾斜制御機構7へフィードバックさ
れてかかる成分がほぼ0(即ち振幅がほぼ0)になるよ
う試料台上の記録媒体2の傾きが補正される。今、記録
媒体2として高配向グラファイト(以後HOPG)を用
い、簡単のため一軸(X軸)方向のみを補正する場合を
具体的に説明する。
【0016】VBを1VとしJTが1nAになるようにプ
ローブ電極1をHOPG上X軸方向に沿って走査させた
場合のプローブ電極1の高さ(Z軸方向)の変化を示す
と、HOPGを構成する炭素原子の配列に対応して図3
の様な結果が得られる筈である。X軸方向が必ずしもH
OPGの結晶方位に沿うとは限らないので、図3におけ
る周期構造のピッチが格子間距離に常に一致する訳では
ないが、概ね3Å以内である。また高さ(Z軸)方向の
変化量は数Åである。以上は記録媒体2表面がX軸に対
して平行な場合であって、もし傾いている場合には記録
媒体2表面(X’軸)とX軸とが成す角をθとして、プ
ローブ電極1のZ軸方向変化は図4の様になる。即ち原
子の周期構造に由来する高さ変化に、記録媒体2の傾き
に由来する高さ変化が重畳してしまう。このままでは再
生像として扱いにくいので、通常、電気的フィルタを用
いて低周波成分(記録媒体の傾きに由来する信号)をカ
ットし原子の周期構造に基づく信号を取り出す。しかし
ながら記録媒体2が傾いている場合に、プローブ電極1
をX軸に沿って距離x走査させると記録媒体2表面上で
はX’軸に沿ってx’=x/cosθの長さに渡って走
査していることになるから、得られたプローブ電極高さ
信号から低周波成分をカットすると距離x’の間の情報
が距離xに圧縮されてしまう。従って距離寸法精度が悪
く、情報処理領域が大きくなればなるほど実空間と走査
距離との差は拡大する。更にはx点での試料の傾きに由
来するプローブ電極1のZ軸方向の総変位量はz=xt
anθとなるが、記録媒体2の傾きが大きくてzがプロ
ーブ電極1のZ軸方向微動範囲を越える場合、連続的な
情報処理は不可能である。そこで本発明では、プローブ
電極高さ信号(或いはJTを一定に保つためにサーボ回
路13にフィードバックされる電気信号)を分波器17
を用いて任意の周波数領域を含む複数の周波数帯に分割
する。その中から記録媒体2の傾きに由来する周波数
(通常最も低周波)を選択し、係る周波数の振幅ができ
るだけ0になるようにX−Y軸傾斜制御機構7を用いて
記録媒体2の傾きを補正する。すなわち、今プローブ電
極1を一定の区間について電流一定モードを用いて往復
走査させる場合を考えると、プローブ電極1の走査用の
信号は図5に示される。この際のプローブ電極1のZ軸
方向の変位量を併せて図5に示す。記録媒体2の傾きに
由来する信号成分の周波数はプローブ電極走査用信号の
それと同期している。但し記録媒体2の傾きの方向によ
っては、破線で示すように位相が180°ずれることも
ある。最初の走査は情報処理領域の大きさに合わせて適
当な距離について行えばよく、記録媒体2の傾き補正の
為の走査、並びにX−Y軸傾斜制御機構7へのフィード
バックは必要に応じて複数回行っても良い。以上の操作
をY軸に関しても行えば、記録媒体表面(X’−Y’
面)とプローブ電極走査面(X−Y面)とは平行にな
る。然る後得られるプローブ電極高さ変化信号はX−Y
方向の位置寸法精度に極めて優れたものとなる。
【0017】つぎに(2)の高さ一定モードを選択した
場合に記録媒体2が傾いていると、プローブ電極1が記
録媒体2から離れすぎて、もはやJTを検出することが
不可能となるか、若しくはプローブ電極1が記録媒体2
に接触するかのどちらかである。通常この様な事態を避
けるために、たとえ高さ一定モードであっても検出され
たJTの値が一定の範囲内になるようにサーボ回路13
にフィードバックされていてプローブ電極1の高さはゆ
っくりと変化させている場合が多い。しかし、この場合
においても上記の信号処理によって、やはり寸法精度が
低下する恐れが強い。またフィードバックのためには演
算処理しなければならないが、このため情報の再生速度
の低下をもたらす。更には情報処理領域が大きい場合に
寸法誤差がより大きくなる点やプローブ電極1のZ軸方
向微動範囲を越えての補正が不可能である点も(1)の
電流一定モードを用いる場合と同様の問題が生ずる。故
に走査に伴うJTの変化信号(通常かかる信号をトンネ
ル電流増幅部15を用いて増幅した信号)を(1)と同
様に、分波器17を用いて任意の周波数領域を含む複数
の周波数帯に分割する。その中から記録媒体2の傾きに
由来する周波数(通常最も低周波)を選択し、係る周波
数の振幅ができるだけ0になるようにX−Y軸傾斜制御
機構7を用いて記録媒体2の傾きを補正する。最初の走
査は希望する情報処理領域の大きさに合わせて適当な距
離について行えばよく、記録媒体2の傾き補正の為の走
査、並びにX−Y軸傾斜制御機構7へのフィードバック
は必要に応じて複数回行っても良い。以上の操作をY軸
に関しても行えば、記録媒体表面(X’−Y’面)とプ
ローブ電極走査面(X−Y面)とは平行になる。然る後
得られるJT変化信号は記録媒体面内(X−Y方向)の
寸法精度に極めて優れたものとなる。
【0018】以上述べてきたように、記録媒体2表面の
状態に対応する信号(情報の再生信号)を任意の周波数
に分波し、更に分波された信号成分の振幅を調べること
が必要であるが、かかる操作にはロックインアンプを利
用しても良い。即ち分波器17はロックインアンプであ
ってもよい。ロックインアンプにおいては、入力信号
(ここでは試料の表面状態に対応する信号)中の任意の
周波数の信号成分の振幅を調べることができる他、参照
とする信号を入力し、係る参照信号の周波数を持つ入力
信号成分の振幅を調べることが出来る。従って、参照信
号として探針の掃引信号を用いれば、より簡単に記録媒
体2の傾きの程度を知ることが出来る。
【0019】次に、X−Y軸傾斜機構4について説明す
る。X−Y軸傾斜機構4としては微細かつ精密に試料の
傾きを2軸制御できる機構であればどのようなものを用
いても構わないが、X−Y軸傾斜ステージ若しくはX−
Y軸ゴニオメータを用いるのが簡便である。前者は3点
支持のステージであって支持点の内、少なくとも2点の
長さ(支持面とステージとの間の距離)が可変であり、
かかる長さを適宜調節することによってステージ面の傾
きを変えることができる。支持点の長さを変えるには、
マイクロメーターヘッド等を用いた機械的な方法の他、
圧電素子を利用しても良い。後者の方が可変量は少ない
がより微細な制御が可能であり好ましい。但し情報処理
領域が非常に広範囲である場合等では前者の使用が好ま
しいこともある。更にはてこを用いてX−Y軸傾斜ステ
ージにおける変位量を拡大した上で、適当なアクチュエ
ーターを用いて制御するのも非常に好ましい方法の1つ
である。X−Y軸ゴニオメータはステージの傾斜回転が
可能なゴニオメータを2つ組み合わせて、2軸の傾斜回
転を可能としたものである。
【0020】以上述べてきた操作により、記録媒体2表
面とプローブ電極1の走査方向(X−Y方向)とは平行
な位置関係となる。次に一定のVBのもと、JTが任意設
定値(例えば0.1nA)になるように、全てのプロー
ブユニットのプローブ電極1について調整を行う。この
際のプローブ電極1のZ軸方向の位置を各々原点として
設定する。かかる操作により各プローブ電極1を介して
得られる情報の再生信号、及び情報の記録或いは消去の
為に各プローブ電極1を介して記録媒体2に加えられる
パルス電圧信号は全て同等のものとなる。以上の一連の
操作を図6を用いて、今一度順を追って簡単に説明す
る。今n(nは2以上の自然数)個のプローブユニッ
ト、101,102,103,104,…,10nがあ
るとする。図6(a)の如く各プローブユニット10n
のプローブ電極1と記録媒体2との距離d1,d2
3,d4,…dnは、記録媒体2の傾き及びプローブ電
極1の長さのばらつきにより一定しない。先ずプローブ
ユニット10nのうち任意の1個(101とする)を記
録媒体2上の任意の区間走査し、この時得られる表面状
態の再生信号を用いて図6(b)の如く記録媒体2の傾
きを補正し、プローブ電極1の走査方向(X−Y方向)
と記録媒体2表面とが平行になるようにする。この際の
プローブ電極1の走査距離は、出来るだけ情報処理領域
の大きさに一致していることが望ましいが、上記の傾き
補正操作を行いつつ少しづつ走査区間を長くしていって
もよい。実際、記録媒体2の傾きが激しい場合等では、
そうせざるを得ない場合もある。最後に図6(c)の如
く全てのプローブユニット10nについて、プローブ電
極1と記録媒体2との距離を一旦等しく調節し、かかる
時点におけるプローブ電極1のZ軸方向の位置を各々原
点として設定する。ここで記録媒体2の傾き補正を省略
して、いきなりプローブ電極1のZ軸方向位置補正を行
った場合には、偶然記録媒体2が傾いていない場合を除
いて、プローブ電極1走査時、即ち情報の記録・再生・
消去操作によって何れかのプローブ電極1が記録媒体2
と衝突したり、離れすぎるといった問題が生ずる。また
以上の問題を避けるためにフィードバック制御を行う場
合においては、情報処理速度の低下のみならず、X−Y
方向の位置に関する誤差が大きくなるため、情報処理に
関する誤り率が上昇してしまう。
【0021】以上STMを例として本発明の作用につい
て述べてきたが、本発明は単に各点でのJTを測定する
場合だけではなく、各点でのdJT/dVBを測定する走
査型トンネル分光法(STS)を利用する情報処理装置
或いは情報処理方法に対しても有効であるのはいうまで
もない。また探針及び試料の駆動機構がSTMと同様で
ある他のSXM、例えば探針と試料との間に働く原子間
力を測定し、その大きさを一定にするようにフィードバ
ックをかけて試料表面の構造を得る走査型原子間力顕微
鏡(AFM)、AFMにおける探針をFeやNi等の強
磁性体、またはこれらを他の材料で作成した探針上にコ
ーティングしたものに替えて試料上の局所的な磁力を測
定する走査型磁力顕微鏡(MFM)、マイクロピペット
電極を探針として用いて電解質溶液中の試料表面構造を
イオン伝導度の変化から測定する走査イオンコンダクタ
ンス顕微鏡(SICM)、探針を超音波振動させて試料
表面で反射して探針に戻って来る超音波の振幅や位相の
変化を利用するか或いは、超音波振動する探針と試料表
面に働く原子間力の強さに応じて試料内に発生する音響
波を測定して試料の表面構造を測定する走査型音響顕微
鏡(STUM又はSTAM)、或いは光の波長より小さ
い直径のピンホールを有する光学探針を用い、外部光源
で試料を照射した時に生ずる試料表面に生じたエバネッ
セント光を上記光学探針で検出して試料の表面構造を知
る走査型近接場光学顕微鏡(NSOM)等を利用した情
報処理装置或いは情報処理方法についても応用可能であ
る。
【0022】また一度記録媒体2表面と探針の走査面と
を平行にしたのちは、走査中に探針が記録媒体2に衝突
したり、或いは探針のZ方向の位置を補正する操作が軽
減できるので、結果的に情報処理の高速化が可能とな
り、加えて記録ビットの位置に対する精度が大幅に向上
するので、記録・再生・消去を精度よく行うことが可能
となる。
【0023】本発明においては、これに用いられる記録
媒体2についての規制はないが、例えばSTMを利用し
た情報処理装置、並びに情報処理方法においては、記録
媒体2として特開昭63−161552,同−1615
53公報等に記載されている電気メモリ効果を持つ薄
膜、例えば、π電子系有機化合物やカルコゲン化合物か
らなる記録層を導電性基板上に堆積したものを用いるこ
とも出来る。これらの記録媒体を用いた場合には、探針
と導電性基板との間に或るしきい値以上の電圧を印加す
ることによって、探針直下の記録層の導電性に局所的な
変化を生じさせて記録を行う。また係る記録部位は或る
しきい値以上の電圧を加えることによって、消去でき
る、即ち導電性を元の状態に戻すことが出来る。記録の
再生時においては、上記の記録や消去が起こるしきい値
以下のプローブ電圧を用いて、記録部と非記録部とのJ
Tの差異を検出することによって行う。
【0024】また記録媒体2として、或るしきい値以上
の電圧を印加するとその表面が局所的に溶融または蒸発
して、表面状態が凹または凸に変化する材料、例えば、
Au,Pt等の金属薄膜を用いても良い。何れにせよこ
れら記録媒体2の表面はトラッキングの為に人為的に設
けられた凹凸を除いて、出来る限り平滑であることが望
ましい。
【0025】他のSXM技術を用いて情報処理を行う場
合、一般に再生はともかく記録することが若干困難であ
る。そのため記録時においては電気的にこれを行う、即
ちSTMを用いるか、或いは探針を直接記録媒体2に衝
突させて機械的形状変化を用いて記録を行うのが簡単で
ある。
【0026】実施例2 図1に示すSTMを利用した情報処理装置を用いて、記
録再生実験を行った。プローブ電極1としては0.3m
mφのAuをHCl中で電界研摩したものを用いてい
る。X−Y軸傾斜機構4として図7に示すX−Y軸傾斜
ステージを用いた。図7においてステージ21は基準面
22上3点支持されており、かかる支持点の内2点23
及び24は圧電素子で出来ており、基準面22とステー
ジ21との間の距離をÅオーダーで変化させることが出
来る。残る1つの支持点25は点接触するように作られ
ており、圧電素子の動きに対してステージが自由に動く
(傾く)のを妨げないようになっている。3つの支持点
は基準面22上正三角形の頂点の位置に配置されてお
り、かつ支持点25と圧電素子を用いた支持点の内のひ
とつ23とは、X−Yステージ3のX軸方向と平行にな
るように配置されている。
【0027】記録媒体2として劈開したマイカ上に厚さ
5000ÅにAuを蒸着(基板温度450℃)したもの
を用いた。
【0028】上記Auでできた記録媒体2をX−Y軸傾
斜ステージ上に設置した後、VBを100mV(プロー
ブ電極バイアス)としてJTが0.1nAになるように
プローブユニット101のプローブ電極1をZ方向微動
機構12を用いて記録媒体2に近づけた。つぎにかかる
Tが一定になるようにプローブ電極1の高さをサーボ
回路13を用いて制御しながら(即ち電流一定モー
ド)、X軸方向にプローブ電極1を長さ500μmに渡
って10Hzの掃引周波数で往復走査させた。その時サ
ーボ回路13を介してZ方向微動機構12に加えられた
電圧信号波形を図8に示す。この信号をロックインアン
プ17を介して周波数10Hz以下のものとそれ以上の
ものとに分離した。次にプローブユニット101のプロ
ーブ電極1の掃引を引き続き行いながら、前記周波数1
0Hz以下の信号成分がほぼ0になるように支持点23
の高さを調節した。
【0029】同様にしてプローブユニット101のプロ
ーブ電極1をY軸方向に10Hzの掃引周波数で掃引
し、その時にZ方向微動機構12に加えられた電圧信号
のうち、10Hz以下の周波数成分がほぼ0になるよう
に支持点24の高さを調節した。
【0030】次にプローブユニット101及び102の
両方について、VB=100mV,JT=0.1nAにな
るように各々Z方向微動機構12を用いて、プローブ電
極1と記録媒体2との間の距離を制御し、かかる時点で
のプローブ電極1のZ軸方向の位置を各々原点に設定し
た。以上の操作を行った後に記録媒体2上の任意の位置
(かかる位置を以下A点と表す)において、プローブユ
ニット101のプローブ電極1の高さを一定に保った状
態でパルス電源18を用いて+4.0V,パルス幅30
0nsecの電圧を印加した。その後かかる電圧印加点
を中心に300Å角の領域を電流一定モードで観察した
ところ、100Åφ,高さ20Åの突起物が形成されて
おり記録が行なわれていることが確かめられた。次にか
かるA点からX方向に50μm離れた位置(以下B点と
表す)において同様の方法を用いて情報の記録を行っ
た。その後同様の方法を用いてB点よりY方向に50μ
m離れたC点、更にかかるC点からX方向に−50μm
離れたD点において順次記録が問題なく行えることを確
かめた。次にD点からY方向に−50μm離れた位置に
プローブ電極1を移動させたところ、その位置に既に記
録が行なわれていることが確かめられた。即ちプローブ
電極1は正しく元のA点に戻っており、位置制御の寸法
精度が非常に高いことが判った。更に同様の実験をプロ
ーブユニット102を用いて行ったところ、プローブユ
ニット101を用いた場合と同様に、位置制御に優れた
情報の記録再生が可能であることが確かめられた。また
プローブユニット101と102を同時に用いて情報の
記録再生を行ったところ、独立に用いた場合と同じく、
位置制御の寸法精度に優れていることが確かめられた。
【0031】実施例3 実施例2と同様に図1に示すSTMを利用した情報処理
装置を用いて、記録再生実験を行った。以下実施例2と
の相違点について記す。プローブ電極1としては0.3
mmφのWを電界研摩した後にPdを厚さ1000Åに
蒸着したものを用いた。
【0032】記録媒体2として劈開したマイカ上に厚さ
2500ÅにAuを蒸着(基板温度450℃)した電極
基板上に、6層のポリイミド(以下PIと表す)ラング
ミュア・ブロジェット(以下LB)膜を積層したものを
用いた。以下、PI−LB膜の作成方法について述べ
る。
【0033】(1)に示すポリアミック酸をN,N−ジ
メチルアセトアミド溶媒に溶解させた(単量体換算濃度
1×10-3M)後、別途調製したN,N−ジメチルオク
タデシルアミンの同溶媒による1×10-3M溶液とを
1:2(v:v)に混合して(2)に示すポリアミック
酸オクタデシルアミン塩(以下PAADと表す)溶液を
調製した。係るPAAD溶液を水温20℃の純水からな
る水相上に展開し、溶媒蒸発除去後、表面圧を25mN
/mにまで高めてPAADの水面上単分子膜を形成し
た。係る表面圧を一定に保ちながら、前述したAu電極
基板を水面を横切る方向に速度5mm/minで静かに
浸漬した後、続いて同じ速度で静かに引き上げて2層の
PAAD−LB膜を形成した。更にかかる操作を繰り返
して、6層のPAAD−LB膜を作成した。
【0034】次にかかるPAADの6層LB膜を積層し
たエピタキシャルAu基板を300℃で10分間の熱処
理を行い、PAADをイミド化し(3)6層PI−LB
膜を得た。以上により作成された記録媒体2を用いて記
録・再生の実験を行った。
【0035】
【化1】
【0036】
【化2】
【0037】
【化3】 上記PI−LB膜を6層積層したエピタキシャルAuで
できた記録媒体2をX−Yステージ3上に設置した後、
Bを300mV(プローブ電極バイアス)としてJT
0.1nAになるようにプローブユニット101のプロ
ーブ電極1をZ方向微動機構12を用いて記録媒体2に
近づけた。つぎにかかるJTが一定になるようにプロー
ブ電極1の高さをサーボ回路13を用いて制御しながら
(即ち電流一定モード)、X軸方向にプローブ電極1を
長さ500μmに渡って10Hzの掃引周波数で往復走
査させた。その時サーボ回路13を介してZ方向微動機
構12に加えられた電圧信号波形は図8と同様のもので
あった。この信号をロックインアンプ17を介して周波
数10Hz以下のものとそれ以上のものとに分離した。
次にプローブユニット101のプローブ電極1の掃引を
引き続き行いながら、前記周波数10Hz以下の信号成
分がほぼ0になるように支持点23の高さを調節した。
【0038】同様にしてプローブユニット101のプロ
ーブ電極1をY軸方向に10Hzの掃引周波数で掃引
し、その時にZ方向微動機構12に加えられた電圧信号
のうち、10Hz以下の周波数成分がほぼ0になるよう
に支持点24の高さを調節した。
【0039】次にプローブユニット101及び102の
両方について、VB=300mV,JT=0.1nAにな
るように各々Z方向微動機構12を用いて、プローブ電
極1と記録媒体2との間の距離を制御し、かかる時点で
のプローブ電極1のZ軸方向の位置を各々原点に設定し
た。以上の操作を行った後に記録媒体2上の任意の位置
(かかる位置を以下A点と表す)において、プローブユ
ニット101のプローブ電極1の高さを一定に保った状
態でパルス電源18を用いて図11に示すパルス電圧を
印加した。その後かかる電圧印加点を中心に300Å角
の領域を高さ一定モードで観察したところ、かかる操作
によりパルス印加点を中心に50Åφに渡ってJT=3
nAとなり、PI−LB膜がJT=0.1nAである高
抵抗状態(OFF状態と記す)から低抵抗状態(ON状
態と記す)に遷移して記録が行なわれたことが確かめら
れた。次にかかるA点からX方向に50μm離れた位置
(以下B点と表す)において同様の方法を用いて情報の
記録を行った。その後同様の方法を用いてB点よりY方
向に50μm離れたC点、更にかかるC点からX方向に
−50μm離れたD点において順次記録が問題なく行え
ることを確かめた。次にD点からY方向に−50μm離
れた位置にプローブ電極1を移動させたところ、その位
置に既に記録が行なわれていること(ON状態)が確か
められた。即ちプローブ電極1は正しく元のA点に戻っ
ており、位置制御の寸法精度が非常に高いことが判っ
た。
【0040】更に同様の実験をプローブユニット102
を用いて行ったところ、プローブユニット101を用い
た場合と同様に、位置制御に優れた情報の記録再生が可
能であることが確かめられた。またプローブユニット1
01と102を同時に用いて情報の記録再生を行ったと
ころ、独立に用いた場合と同じく、位置制御の寸法精度
に優れていることが確かめられた。
【0041】また記録点(ON状態領域)にプローブ電
極を移動せしめた後に、図10に示すパルス電圧を印加
したところ、記録が消去されてOFF状態に遷移してJ
T=0.1nAに戻ることが確かめられた。
【0042】実施例4 実施例2においてプローブユニット101及び102に
換えて、図11に示すマルチカンチレバーによる探針を
用いた他は実施例2と全く同様にして記録再生実験を行
った。
【0043】以下マルチカンチレバー探針について述べ
る。40はシリコン基板であってかかる基板上にカンチ
レバーユニット31,32及び33が形成されている。
シリコン基板40はX−Y方向微動機構10によってX
−Y方向に走査可能である。各カンチレバーユニットは
カンチレバー41とその先端に設けられたプローブ電極
としての電極チップ42を有している。各電極チップ4
2はカンチレバー41によってZ軸方向、即ち記録媒体
2との間の距離を各々独立に制御することが出来る。カ
ンチレバー41は金属電極とZnO誘電体の積層構造か
らなる幅50μm,長さ300μmの圧電体バイモルフ
であり、以下にその作成方法を図12を用いて説明す
る。
【0044】先ず図12(a)の如くシリコン基板40
表面に絶縁膜として膜厚500nmの窒化シリコン膜5
1を高周波スパッタにより形成した。次に図12(b)
〜図12(e)の如くフォトリソ工程を経て該窒化シリ
コン膜51に開口部52(幅1μm)を設けた後、Cr
を下引き層としたAuからなる下地電極53,高周波数
スパッタによって形成されたZnO層(膜厚1.2μ
m)54,Au−Znからなる中間電極55,前述の方
法と同様にして作成されたZnO層(膜厚1.2μm)
56,Auからなる上部電極57を順次積層した。更に
以上の様にして作製したバイモルフ素子全体を、図12
(f)の如くスパッタ法により堆積した窒化シリコン膜
からなる保護層58で被覆した後に、蒸着Auで構成さ
れる円錐状の突起を有する電極チップ42の形成を行っ
た。続いてKOH水溶液をエッチャントとしてシリコン
基板40の異方性エッチングを行い、開口部52に孔4
3を開けた。
【0045】以上の様にして作製したマルチカンチレバ
ー探針を用い、実施例2と全く同様にして記録再生を行
ったところ、位置制御の寸法精度に優れていることが確
かめられた。
【0046】実施例5 実施例3におけるX−Y軸傾斜ステージに代えてX−Y
軸ゴニオステージをX−Y軸傾斜機構4として用いた他
は、実施例2と全く同様にして記録再生実験を行ったと
ころ、位置制御の寸法精度に優れていることが確かめら
れた。
【0047】実施例6 図13は本発明の面合わせ方法を使用できる情報処理装
置の特徴をもっとも良く表す図であり、同図において1
はマイクロメカニクス技術で作成された複数のプローブ
電極、62は複数のプローブ電極をチルト機構にセット
するためのプローブ電極アタッチメント、63は複数の
プローブ電極の傾きを変えるチルト機構、64は複数の
プローブ電極をZ方向に微動・粗動させるZ方向微動・
粗動機構である。2は記録媒体で、91はガラスを研摩
して得られた基板、92は基板51の上にCr(下引き
層)とAuを真空蒸着法により形成した下地電極、93
はグラファイト(HOPG)の記録層である。記録層9
3は下地電極92の上に導電性接着剤で接着され、記録
層93表面の情報処理領域は劈開により原子オーダーで
平滑になっている。66は記録媒体2の傾きを変えるチ
ルト機構、67は記録媒体2をXY方向に微動・粗動さ
せるXY方向微動・粗動機構である。68は情報処理装
置との接続を行なうインターフェースであり、書込み読
出し情報の入出力、ステータスの出力、制御信号の入
力、アドレス信号の出力を行なう。80は情報処理装置
内の各ブロック間の相互作用の集中制御を行なう制御回
路、81は書込み読出し情報(データ)を制御回路80
からの指示により書込んだり読出したりする書込み読出
し回路、82は書込み読出し回路からの指令信号で複数
のプローブ電極1と記録媒体2との間に書込み用のパル
ス状電圧を印加してデータを書込んだり、読出し用の電
圧を印加するバイアス回路、83は記録・再生時に複数
のプローブ電極1と記録媒体2との間に流れる電流を検
出するトンネル電流検出回路、84は制御回路80など
の指示によりトンネル電流検出回路83や位置検出回路
88の信号を基に複数のプローブ電極1や記録媒体2の
位置を決定する位置決め回路、85は位置決め回路84
からのサーボ信号を基に複数のプローブ電極1や記録媒
体2の位置をサーボするサーボ回路、86はサーボ回路
85の信号に従い複数のプローブ電極1のZ方向微動・
粗動機構64を駆動するZ方向駆動回路、87はサーボ
回路85の信号に従い記録媒体2のXY方向微動・粗動
機構67を駆動するXY方向駆動回路、89はサーボ回
路85の信号に従いチルト機構63,66を駆動するチ
ルト機構駆動回路、90は複数のプローブ電極1を記録
媒体2に接近させる際に用いるプローブ電極1に流れる
トンネル電流を検出するトンネル電流検出回路である。
本図面では制御回路80、書込み読出し回路81、バイ
アス回路82、トンネル電流検出器83は 1つしか記
載されていないが、実際には複数のプローブ電極の数だ
け使用する。本実施例においては、図11に示すカンチ
レバー型プローブを使用する。
【0048】図14は本実施例に用いた複数のプローブ
電極 1を上方から見た図面であり、プローブ電極 1
をX方向に10本、Y方向に20本合計200本配置し
た構成になっている。各々のプローブ電極1には電極チ
ップ42からトンネル電流を検出又は記録信号を記録層
93に対して電圧を印加するための配線がなされてお
り、各々がトンネル電流検出器83、バイアス回路82
につながれている。70は複数のプローブ電極基板であ
る。本実施例において3本のプローブ電極((10,
A)、(1,J)、(20,J))をZ方向位置調整用
に用いた。
【0049】図14に示す複数のプローブ電極を図15
に示す装置に装着した。装着は複数のプローブ電極基板
70を接着剤を用いてプローブ電極アタッチメント62
に固定することにより行い、プローブ電極1とトンネル
電流検出器83とバイアス回路82への接続はコネクタ
で行った。チルト機構63はプローブ電極アタッチメン
ト62を固定する板ばね71、複数のプローブ電極1の
傾きを補正する積層型圧電素子72〜74、積層型圧電
素子の荷重を一点に集中させる鋼球75により構成され
る。積層型圧電素子72〜74はZ軸方向に伸縮するよ
うに配置され、伸縮方向の一方は接着剤で板ばね71に
固定されており、他方は鋼球75に接している。また、
積層型圧電素子72〜74は3個用いられており、それ
ぞれ3本のZ方向位置調整用プローブ電極(10,
A)、(1,J)、(20,J)の真上に設置されてい
る。
【0050】本実施例に用いた装置は複数のプローブ電
極1をXY方向に対し固定し、記録媒体2をXY方向に
微動する構成になっている。
【0051】次に面合わせ方法の詳細を述べる。
【0052】まず複数のプローブ電極1と記録媒体2表
面(X’−Y’面)の面合わせを行う。
【0053】複数のプローブ電極1をZ方向位置調整用
プローブ電極(10,A)が一番最初に記録媒体2に接
近するようにプローブ電極アタッチメント62に傾けて
固定する。Z方向位置調整用プローブ電極(10,
A)、(1,J)、(20,J)に電圧1mVを印加
し、カンチレバーを記録媒体2側に1nm変位させ、プ
ローブ電極1と記録媒体2間にバイアス電圧0.5Vを
印加する。
【0054】まずX方向の平面補正を行う。
【0055】図16(b)の如くZ方向粗動機構によっ
てZ方向位置調整用プローブ電極(10,A)を10-8
A程度のトンネル電流を検知する位置まで移動させる。
次に図16(b)の如く、積層型圧電素子72を伸ば
し、Z方向位置調整用プローブ電極(1,J)をZ方向
位置調整用プローブ電極(10,A)が検知したトンネ
ル電流と同じになるまで移動させる。積層型圧電素子7
2に印加する電圧を100mV(変位量に換算すると約
10nm)増加させることにより、Z方向位置調整用プ
ローブ電極(1,J)をZ方向位置調整用プローブ電極
(10,A)が検知したトンネル電流と同じにすること
ができた。
【0056】次に図16(c)の如くY方向の平面補正
を行う。
【0057】図16(d)の如く積層型圧電素子74を
伸ばし、Z方向位置調整用プローブ電極(20,J)を
Z方向位置調整用プローブ電極(10,A)が検知した
トンネル電流と同じになるまで移動させる。積層型圧電
素子74に印加する電圧を50mV(変位量に換算する
と約5nm)増加させることにより、Z方向位置調整用
プローブ電極(20,J)をZ方向位置調整用プローブ
電極(10,A)が検知したトンネル電流と同じにする
ことができた。
【0058】次にZ方向位置調整用プローブ電極(1,
J)、(20,J)に印加されている電圧を0Vにし、
カンチレバーの変位を元に戻す。
【0059】次に記録媒体2表面(X’−Y’面)と走
査面(X−Y面)の面合わせを行う(図17)。
【0060】まず、記録媒体2上の任意の点Aに複数の
プローブ電極1のZ方向位置調整用プローブ電極(1
0,A)をトンネル領域まで接近させる。そしてZ方向
位置調整用プローブ電極(10,A)の垂直距離を制御
しながら記録領域Sの一隅の点Bに移動させる。次に、
記録領域Sの外周に沿って同様にトンネル領域を一定に
保ったまま、プローブ電極1を点BからC,D,Eの順
に移動させる。
【0061】図18はプローブ電極1を記録領域Sの外
周に沿って動かしているときのプローブ電極1の垂直方
向の制御量を示し、図17の点Aを基準としたプローブ
電極1の垂直方向制御量を縦軸に示している。点Aから
点Dまではプローブ電極1を記録媒体2に近づける方向
に動かす制御が行われており、点Dから点Bまでは離れ
る方向に制御が行われている。つまり上述の場合ではプ
ローブ電極1の走査面(X−Y面)に対する記録媒体2
(X’−Y’面)の傾きは点Aが最も走査面に近く、続
いて点B、点CとE、そして点Dが最も離れていること
が分かる。
【0062】この結果よりチルト機構63,66を用
い、複数のプローブ電極1と記録媒体2表面の平行を保
ちつつ、記録媒体2表面(X’−Y’面)及び複数のプ
ローブ電極1の傾きを変え、走査面(X−Y面)に対し
面合わせを行う。以上の操作により、複数のプローブ電
極面(X”−Y”面),記録媒体表面(X’−Y’面)
及び走査面(X−Y面)とは各々互いに平行な関係にな
っている。
【0063】この状態でXY微動機構を駆動し、記録媒
体に対し±10Vの三角波を任意のトンネルチップ/基
板電極間に印加することにより記録実験を行った。十分
にチップの接触がなく情報の記録再生を行うことができ
た。
【0064】今回の実施例では複数のプローブ電極1と
記録媒体2との面合わせを行う時Z方向位置調整用プロ
ーブ電極として3本のプローブ電極を用いたが、これは
4隅に1本づつでも良く、面合わせの順番もY方向を合
わせてからX方向を合わせても良い。
【0065】また記録媒体2表面(X’−Y’面)と走
査面(X−Y面)の面合わせを行うとき、複数のプロー
ブ電極1のZ方向位置調整用プローブ電極(10,A)
をセンサーとして用いたが、任意のプローブ電極でも良
く、Z方向位置調整用プローブ電極(1,J)をセンサ
ーとして用いても同様の結果が得られた。
【0066】実施例7 実施例6は複数のプローブ電極1と記録媒体2(X’−
Y’面)の面合わせを行ってから走査面(X−Y面)と
記録媒体2(X’−Y’面)の面合わせを行ったが、本
実施例ではまず走査面(X−Y面)と記録媒体2(X’
−Y’面)の面合わせをおこない、次に複数のプローブ
電極1と記録媒体2(X’−Y’面)の面合わせを行っ
た。他は実施例6と同様である。
【0067】以下、面合わせの詳細を述べる。
【0068】まず走査面(X−Y面)と記録媒体2
(X’−Y’面)の面合わせを行う。
【0069】複数のプローブ電極1をZ方向位置調整用
プローブ電極(10,A)が一番最初に記録媒体2に接
近するようにプローブ電極アタッチメント62に傾けて
固定する。Z方向位置調整用プローブ電極(10,A)
に電圧1mVを印加し、カンチレバーを記録媒体2側に
1nm変位させ、プローブ電極1と記録媒体2間にバイ
アス電圧0.5Vを印加する。
【0070】記録媒体2上の任意の点AにZ方向位置調
整用プローブ電極(10,A)と記録媒体2とをトンネ
ル領域まで接近させる。そしてプローブ電極1の垂直距
離を制御しながら記録領域Sの一隅の点Bに移動させ
る。次に、記録領域Sの外周に沿って同様にトンネル領
域を一定に保ったまま、プローブ電極を点BからC,
D,Eの順に移動させる。走査面と記録媒体2の傾きを
検出し補正する機構は実施例6と同様である。
【0071】次に複数のプローブ電極1と記録媒体2の
面合わせを行う。
【0072】Z方向位置調整用プローブ電極(1,
J)、(20,J)にも電圧1mVを印加し、カンチレ
バーを記録媒体側に1nm変位させ、プローブ電極1と
記録媒体2間にバイアス電圧0.5Vを印加する。
【0073】面合わせの方法は実施例6と同様である。
以上の操作により複数のプローブ電極面(X”−Y”
面),記録媒体表面(X’−Y’面)及び走査面(X−
Y面)とは互いに平行な関係になっている。
【0074】この状態でXY微動機構を駆動し、記録媒
体に対し±10Vの三角波を任意のトンネルチップ/基
板電極間に印加することにより記録実験を行った。十分
にチップの接触がなく情報の記録再生を行うことができ
た。
【0075】実施例8 図19は本実施例に用いた複数のプローブ電極1であ
り、X方向に10本一列に並んでいる。この複数のプロ
ーブ電極1を図15に示す装置に装着した。装置の構成
は実施例6および7に用いたものと同様であるが、複数
のプローブ電極1の傾きを補正する積層型圧電素子の数
が2個になっている。そして各々が2本のZ方向位置調
整用プローブ電極(A)、(J)の真上に設置されてい
る。
【0076】本実施例に用いた装置は複数のプローブ電
極1をXY方向に対し固定し、記録媒体2をXY方向に
微動する構成になっている。
【0077】次に面合わせ方法の詳細を述べる。
【0078】まず複数のプローブ電極1と記録媒体2表
面(X’−Y’面)の面合わせを行う。
【0079】複数のプローブ電極1をZ方向位置調整用
プローブ電極(A)が一番最初に記録媒体2に接近する
ようにプローブ電極アタッチメント62に傾けて固定す
る。Z方向位置調整用プローブ電極(A)、(J)に電
圧1mVを印加し、カンチレバーを記録媒体2側に1n
m変位させ、プローブ電極1と記録媒体2間にバイアス
電圧0.5Vを印加する。
【0080】図20(a)の如くZ方向粗動機構によっ
てZ方向位置調整用プローブ電極(A)を10-8A程度
のトンネル電流を検知する位置まで移動させる。
【0081】次に図20(b)の如く積層型圧電素子7
2を伸ばし、Z方向位置調整用プローブ電極(J)をZ
方向位置調整用プローブ電極(A)が検知したトンネル
電流と同じになるまで移動させる。積層型圧電素子72
に印加する電圧を100mV(変位量に換算すると約1
0nm)増加させることにより、Z方向位置調整用プロ
ーブ電極(J)をZ方向位置調整用プローブ電極(A)
が検知したトンネル電流と同じにすることができた。
【0082】次にZ方向位置調整用プローブ電極(J)
に印加されている電圧を0Vにし、カンチレバーの変位
を元に戻す。
【0083】次に実施例6と同様の方法で記録媒体2表
面(X’−Y’面)と走査面(X−Y面)の面合わせを
行う(図9)。面合わせ方法は実施例6と同様である。
【0084】面合わせが終了した状態でXY微動機構を
駆動し、記録媒体2に対し±10Vの三角波を任意の電
極チップ/基板電極間に印加することにより記録実験を
行った。十分にチップの接触がなく情報の記録再生を行
うことができた。
【0085】今回、記録媒体2表面と走査面の面合わせ
にZ方向位置調整用プローブ電極(A)をセンサーとし
て用いたが、任意のプローブ電極でもよくZ方向位置調
整用プローブ電極(J)をセンサーとして用いても同様
の結果が得られた。
【0086】また図19に示された複数のプローブ電極
基板70は図21に示されるようにカンチレバーの長手
方向をY方向にして並べたものでも良く、図22のよう
に電極チップのみを一直線に並べたものでも良い。
【0087】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の情報処理
装置及び情報処理方法によれば、 (1)走査型プローブ顕微鏡技術を用い、情報処理用の
ヘッドとして複数の探針を持つ情報処理装置及び情報処
理方法において、位置精度の高い記録・再生及び消去等
の情報処理が可能であり情報処理の再現性が高い; (2)一旦記録媒体の面内方向と探針の走査方向を平行
にした後に、情報処理を行うので、探針のZ軸方向(記
録媒体表面に対して法線方向)の位置制御に関するフィ
ードバック制御を簡略なものにできることに加えて、係
るフィードバック制御に要する演算時間を短縮できるの
で、情報処理の速度を速めることができる;ことが可能
となった。
【0088】また、本発明のチルト機構を用いた面合わ
せ方法では複数のプローブ電極及び記録媒体(X’−
Y’面)の走査面(X−Y面)に対する面合わせを行う
ため、複数のプローブ電極と記録媒体との接触を避ける
ことができ、書き込み、読み出しエラーを改善すること
ができ、高速スキャンが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の情報処理装置の構成を示すブロック図
【図2】プローブユニットに関して別の実施形態を示す
【図3】HOPGをSTMを用いて観察した時に予想さ
れるプローブ電極の高さ変化を示す理想的な信号波形
【図4】実際に得られたプローブ電極高さ変化の信号波
【図5】プローブ電極をHOPG上、往復走査させた時
の該プローブ電極走査制御用電圧信号、及びプローブ電
極Z軸方向変位信号の時間変化を示す図
【図6】マルチプローブ電極及び記録媒体の位置に関す
る調整過程を順を追って説明する模式図
【図7】X−Y軸傾斜ステージの一例を示す図
【図8】STMを用いた情報処理装置を用いてAuの表
面を観察した時に得られる、Z方向微動機構に加えられ
た電圧信号波形を示す図
【図9】PI−LB膜をON状態にする為に印加される
パルス電圧の波形を示す図
【図10】ON状態にあるPI−LB膜をOFF状態に
する為に印加されるパルス電圧の波形を示す図
【図11】本発明に用いられるマルチカンチレバー探針
の構成を示す図
【図12】マルチカンチレバー探針で用いられる、カン
チレバーユニットの作製過程を順を追って説明する図
【図13】複数のプローブの面合わせ方法を使用できる
情報処理装置の概略ブロック図
【図14】本発明の面合わせ方法に用いる複数のプロー
ブ電極を上方から見た図
【図15】チルト機構の断面図
【図16】面合わせ方法を説明する図
【図17】記録領域におけるプローブ電極の走査経路を
示す図
【図18】プローブ電極の垂直方向制御量を示すグラフ
【図19】本発明の面合わせ方法に用いる複数のプロー
ブ電極を上方から見た図
【図20】面合わせ方法を説明する図
【図21】本発明の面合わせ方法に用いる複数のプロー
ブ電極を上方から見た図
【図22】本発明の面合わせ方法に用いる複数のプロー
ブ電極を上方から見た図
【符号の説明】
1 プローブ電極 2 記録媒体 3 X−Yステージ 4 X−Y軸傾斜機構 5 X−Y粗動機構 6 X−Y粗動駆動回路 7 X−Y軸傾斜駆動回路 8 マイクロコンピュータ 9 ディスプレイ 10 X−Y方向微動機構 11 X−Y方向走査駆動回路 12 Z方向微動機構 13 サーボ回路 14 バイアス電圧印加部 15 トンネル電流増幅部 16 プローブ電極高さ検出部 17 分波器 18 パルス電源 101〜10n プローブユニット 21 ステージ 22 基準面 23 支持点(圧電素子,X方向) 24 支持点(圧電素子) 25 支持点 301〜303 カンチレバーユニット 40 シリコン基板 41 カンチレバー 42 電極チツプ 43 孔 51 窒化シリコン膜 52 開口部 53 下地電極 54 圧電体層 55 中間電極 56 圧電体層 57 上部電極 58 保護層 62 プローブ電極アタッチメント 63,66 チルト機構 64 Z方向微動・粗動機構 67 XY方向微動・粗動機構 68 インターフェース 70 複数のプローブ電極基板 71 板ばね 72,73,74 積層型圧電素子 75 鋼球 80 制御回路 81 書込み読出し回路 82 バイアス回路 83 トンネル電流検出器(記録・再生用) 84 位置決め回路 85 サーボ回路 86 Z方向駆動回路 87 XY方向駆動回路 88 位置検出回路 89 チルト機構駆動回路 90 トンネル電流検出器(基板/複数のプローブ間面
合わせ用) 91 基板 92 下地電極 93 記録層
フロントページの続き (72)発明者 武田 俊彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 江口 健 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 多川 昌宏 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 宮崎 俊彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 探針と試料間との距離に依存する各種の
    相互作用を検出しながら、探針を試料上相対的に走査せ
    しめて該試料の表面状態を測定する走査型プローブ顕微
    鏡技術を利用した情報処理装置において、少なくとも2
    本以上の複数の探針と、記録媒体を載せるための試料台
    と、上記探針を試料上相対的に走査させるために、探針
    自体が駆動できるか、若しくは試料台が駆動できるか、
    若しくは探針と試料台の何れもが互いに平行かつ独立に
    駆動できる駆動機構と、かかる試料台面を傾斜せしめる
    X−Y軸傾斜機構と、検出された表面状態または記録情
    報に対応する信号成分のうち任意の空間周波数を有する
    信号成分の振幅を検出する振幅検出回路と、検出された
    振幅が0若しくは出来る限り小さな値になるようにX−
    Y軸傾斜機構を制御するフィードバック回路と、探針と
    記録媒体表面との距離を探針各々について独立に調整で
    きる距離調整機構とを少なくとも具備したことを特徴と
    する情報処理装置。
  2. 【請求項2】 X−Y軸傾斜機構が、X−Y軸傾斜ステ
    ージ又はX−Y軸ゴニオステージによることを特徴とす
    る請求項1記載の情報処理装置。
  3. 【請求項3】 X−Y軸傾斜ステージの傾斜機構が、少
    なくとも2つの圧電素子を利用したものであることを特
    徴とする請求項2記載の情報処理装置。
  4. 【請求項4】 試料台上に記録媒体を載せ、記録媒体
    上、複数の探針のうち少なくとも1本の任意の探針を任
    意の領域又は区間を相対的に走査せしめて記録媒体表面
    (X’−Y’面)と探針の走査面(X−Y面)との傾き
    量を検出する手段と、かかる傾き量が最も小さくなるよ
    うにX−Y軸傾斜機構を制御する手段を有することを特
    徴とする請求項1記載の情報処理装置。
  5. 【請求項5】 探針と試料間の相互作用としてトンネル
    電流を利用する、即ち走査型プローブ顕微鏡が走査型ト
    ンネル顕微鏡であることを特徴とする請求項1記載の情
    報処理装置。
  6. 【請求項6】 探針と試料間の相互作用として原子間力
    を利用する、即ち走査型プローブ顕微鏡が走査型原子間
    力顕微鏡であることを特徴とする請求項1記載の情報処
    理装置。
  7. 【請求項7】 探針と試料間の相互作用として磁力を利
    用する、即ち走査型プローブ顕微鏡が走査型磁力顕微鏡
    であることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
  8. 【請求項8】 探針と試料間の相互作用としてイオン電
    導を利用する、即ち走査型プローブ顕微鏡が走査型イオ
    ン電導顕微鏡であることを特徴とする請求項1記載の情
    報処理装置。
  9. 【請求項9】 探針と試料間の相互作用として音響を利
    用する、即ち走査型プローブ顕微鏡が走査型音響顕微鏡
    であることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
  10. 【請求項10】 探針と試料間の相互作用としてエバネ
    ッセント光を利用する、即ち走査型プローブ顕微鏡が走
    査型近接場光学顕微鏡であることを特徴とする請求項1
    記載の情報処理装置。
  11. 【請求項11】 振幅検出回路として、ロックインアン
    プを用いることを特徴とする請求項1記載の情報処理装
    置。
  12. 【請求項12】 任意の空間周波数が探針の走査面内方
    向掃引周波数に等しいことを特徴とする請求項1または
    11記載の情報処理装置。
  13. 【請求項13】 複数の探針が複数のカンチレバー上に
    形成されていることを特徴とする請求項1記載の情報処
    理装置。
  14. 【請求項14】 カンチレバーがバイモルフまたはユニ
    モルフであることを特徴とする請求項1記載の情報処理
    装置。
  15. 【請求項15】 探針と試料間との距離に依存する各種
    の相互作用を検出しながら、探針を試料上相対的に走査
    せしめて該試料の表面状態を測定する走査型プローブ顕
    微鏡技術を利用した情報処理装置であって、少なくとも
    2本以上の複数の探針と、記録媒体を載せるための試料
    台と、上記探針を試料上相対的に走査させるために、探
    針自体が駆動できるか、若しくは試料台が駆動できる
    か、若しくはこの両者何れもが互いに平行かつ独立に駆
    動できる駆動機構と、かかる試料台面を傾斜せしめるX
    −Y軸傾斜機構と、検出された表面状態または記録情報
    に対応する信号成分のうち任意の空間周波数を有する信
    号成分の振幅を検出する振幅検出回路と、検出された振
    幅が0若しくは出来る限り小さな値になるようにX−Y
    軸傾斜機構を制御するフィードバック回路と、探針と記
    録媒体表面との距離を探針各々について独立に調整でき
    る距離調整機構とを少なくとも具備した情報処理装置を
    用い、先ず複数の探針のうち任意の1本を用いて記録媒
    体上の任意の区間を走査させてかかる区間の表面状態を
    調べ、次にかかる操作によって得られた表面状態に対応
    する信号のうち、探針の掃引周波数に等しいか或いは近
    い周波数を有する信号成分の振幅を検出し、かかる振幅
    がほぼ0になるようにX−Y軸傾斜機構を制御し、更に
    以上述べた操作を最初と異なる少なくとも1つの方向に
    ついて行い(即ち合わせて少なくとも2軸方向について
    調整)、次に残りの探針全てについて探針と記録媒体表
    面との距離を各々一定の値になるように調節し、以上述
    べた全操作を行った後に、情報の記録、再生或いは消去
    を行うことを特徴とする情報処理方法。
  16. 【請求項16】 X−Y軸傾斜機構が、X−Y軸傾斜ス
    テージ又はX−Y軸ゴニオステージによることを特徴と
    する請求項15記載の情報処理方法。
  17. 【請求項17】 X−Y軸傾斜ステージの傾斜機構が、
    少なくとも2つの圧電素子を利用したものであることを
    特徴とする請求項16記載の情報処理方法。
  18. 【請求項18】 探針と試料間の相互作用としてトンネ
    ル電流を利用する、即ち走査型プローブ顕微鏡が走査型
    トンネル顕微鏡であることを特徴とする請求項15記載
    の情報処理方法。
  19. 【請求項19】 探針と試料間の相互作用として原子間
    力を利用する、即ち走査型プローブ顕微鏡が走査型原子
    間力顕微鏡であることを特徴とする請求項15記載の情
    報処理方法。
  20. 【請求項20】 探針と試料間の相互作用として磁力を
    利用する、即ち走査型プローブ顕微鏡が走査型磁力顕微
    鏡であることを特徴とする請求項15記載の情報処理方
    法。
  21. 【請求項21】 探針と試料間の相互作用としてイオン
    電導を利用する、即ち走査型プローブ顕微鏡が走査型イ
    オン電導顕微鏡であることを特徴とする請求項15記載
    の情報処理方法。
  22. 【請求項22】 探針と試料間の相互作用として音響を
    利用する、即ち走査型プローブ顕微鏡が走査型音響顕微
    鏡であることを特徴とする請求項15記載の情報処理方
    法。
  23. 【請求項23】 探針と試料間の相互作用としてエバネ
    ッセント光を利用する、即ち走査型プローブ顕微鏡が走
    査型近接場光学顕微鏡であることを特徴とする請求項1
    5記載の情報処理方法。
  24. 【請求項24】 振幅検出回路として、ロックインアン
    プを用いることを特徴とする請求項15記載の情報処理
    方法。
  25. 【請求項25】 任意の空間周波数が探針の走査面内方
    向掃引周波数に等しいことを特徴とする請求項15また
    は24記載の情報処理方法。
  26. 【請求項26】 情報を処理するための記録媒体と、該
    記録媒体に対向して設けられた書込み読出しを行う複数
    のプローブ電極と、該複数のプローブ電極から該記録媒
    体へ電圧を印加する電圧印加手段と、該複数のプローブ
    電極から該記録媒体へ流れる電流を検出する電流検出手
    段と、該記録媒体と該複数のプローブ電極とを相対移動
    させる手段と、該複数のプローブ電極と該記録媒体に設
    けられたチルト機構によって該複数のプローブ電極面
    (X”−Y”面)と該記録媒体表面(X’−Y’面)と
    の位置関係を調整できる第1の面合わせ手段と、該記録
    媒体と該複数のプローブ電極との相対的移動面即ち走査
    面(X−Y面)と該記録媒体表面(X’−Y’面)及び
    又は該複数のプローブ電極面(X”−Y”面)との位置
    関係を調整できる、チルト機構による第2の面合わせ手
    段とを少なくとも有する情報処理装置において、特定の
    該プローブ電極を上記第1及び又は第2の面合わせ用の
    センサーとして用い、上記第1の面合わせ手段と上記第
    2の面合わせ手段により該複数のプローブ電極面(X”
    −Y”面)及び該記録媒体表面(X’−Y’面)を走査
    面(X−Y面)に対し各々平行関係に調整(面合わせ)
    することを特徴とする面合わせ方法。
  27. 【請求項27】 複数のプローブ電極が同一面内に1列
    に並んでいる情報処理装置において、前記複数のプロー
    ブ電極中の2本を用いて、該第1の面合わせ手段と該第
    2の面合わせ手段を用い面合わせを行なうことを特徴と
    する請求項26記載の面合わせ方法。
  28. 【請求項28】 2本のプローブ電極が1列中の両端に
    あることを特徴とする請求項27記載の面合わせ方法。
  29. 【請求項29】 複数のプローブ電極が同一面内にマト
    リックス状に並んでいる情報処理装置において、前記複
    数のプローブ電極中の3本を用いて、該第1の面合わせ
    手段と該第2の面合わせ手段を用い面合わせを行なうこ
    とを特徴とする請求項26記載の面合わせ方法。
  30. 【請求項30】 第1の面合わせ手段により面合わせを
    行い、次に第2の面合わせ手段により面合わせを行うこ
    とを特徴とする請求項26〜29のいずれか1項に記載
    の面合わせ方法。
  31. 【請求項31】 第2の面合わせ手段により面合わせを
    行い、次に第1の面合わせ手段により面合わせを行うこ
    とを特徴とする請求項26〜29のいずれか1項に記載
    の面合わせ方法。
  32. 【請求項32】 チルト機構が圧電素子により構成され
    ていることを特徴とする請求項26記載の面合わせ方
    法。
  33. 【請求項33】 第1の面合わせ手段において、該記録
    媒体に対し特定の該プローブ電極が最初にトンネル領域
    に接近するように該プローブ電極を配置することを特徴
    とする請求項26記載の面合わせ方法。
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