JP3056901B2 - 記録再生装置 - Google Patents

記録再生装置

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JP3056901B2
JP3056901B2 JP4305450A JP30545092A JP3056901B2 JP 3056901 B2 JP3056901 B2 JP 3056901B2 JP 4305450 A JP4305450 A JP 4305450A JP 30545092 A JP30545092 A JP 30545092A JP 3056901 B2 JP3056901 B2 JP 3056901B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、記録再生装置に関し、
特に、複数本のプローブを有し、各プローブと記録媒体
との物理的相互作用を利用して記録情報の記録および再
生を行う記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、導体の表面原子の電子構造を直接
観察できる走査型トンネル顕微鏡(STM)が開発さ
れ、以下に示す理由により、広範囲な応用が期待されて
いる(G.Binnig et al., Phys. Rev. Lett., 49, 57, 19
82)。 (1)単結晶,非晶質を問わずに、実空間像の測定を高
分解能で行える。 (2)試料に電流による損傷を与えずに、低電力で観測
できる利点を有する。 (3)大気中でも動作し、種々の材料に対して用いるこ
とができる。
【0003】走査型トンネル顕微鏡は、プローブ(金属
の探針)と導電性物質との間に電圧を加えた状態でプロ
ーブを導電性物質の表面から1nm程度の距離まで近づ
けたときに、プローブと導電性物質の表面との間に流れ
るトンネル電流を利用するものである。このトンネル電
流の大きさは、プローブと導電性物質の表面との距離に
依存し、かつ、この距離の変化に非常に敏感である。そ
のため、トンネル電流を一定に保つようにプローブを導
電性物質に沿って走査することにより、実空間の全電子
雲に関する種々の情報を読み取ることが可能となる。な
お、このときの導電性物質の面内方向の分解能は、0.
1nm程度である。
【0004】走査型トンネル顕微鏡の原理を応用すれ
ば、十分に原子オーダー(サブ・ナノメートル)での高
密度記録再生を行うことが可能である。たとえば、特開
昭61−80536号に開示されている記録再生装置で
は、電子ビームなどによって記録媒体の表面に吸着した
原子粒子を取り除くことによって記録情報(データ)の
記録(書き込み)を行うとともに、記録した記録情報の
再生(読み出し)を走査型トンネル顕微鏡により行って
いる。
【0005】また、電圧電流のスイッチング特性に対し
てメモリ効果を持つ材料(たとえば、π電子系有機化合
物やカルコゲン化合物類)の薄膜層を記録層として用い
て、記録情報の記録および再生を走査型トンネル顕微鏡
で行う方法も提案されている(特開昭63−16155
2号公報,特開昭63−161553号公報)。この方
法によれば、記録層に形成される記録ビットのサイズを
10nmとしたとき、1012bit/cm2 もの大容量
記録再生が可能となる。
【0006】さらに、小型化を目的として、複数本のプ
ローブを半導体基板上に形成し、各プローブと互いに対
向して設けられた記録媒体を変位させることにより、記
録情報を記録および再生する記録再生装置も提案されて
いる(特開昭62−281138号公報,特開平1−1
96751号公報)。この記録再生装置では、たとえ
ば、1cm2 角のシリコンチップ上に2500本のプロ
ーブを50×50のマトリック状に配置して構成したマ
ルチプローブヘッドと上述したメモリ効果をもつ材料と
を組み合わせることにより、1プローブ当たり400M
bit,総記録容量1Tbitのディジタルデータの記
録および再生が行える。
【0007】かかるマルチプローブヘッドとメモリ効果
をもつ材料とを組み合わせた記録再生装置では、記録処
理時または再生処理時に、マルチプローブヘッドの各プ
ローブと記録媒体との間の相対位置を精度よく制御する
(すなわち、複数本のプローブのすべてを記録媒体上の
トラックに精度よく制御する)必要があり、たとえば、
記録媒体上に予めトラック溝を形成したりトラック列を
埋め込んでおき、この記録媒体に沿ってプローブを相対
的に走査して、記録情報の記録および再生を行う方法が
提案されている(特開平1−107341号公報,特開
平1−133239号公報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、走査型
トンネル顕微鏡の原理を利用した従来の記録再生装置で
は、記録および再生を行うピックアップ手段であるプロ
ーブの記録媒体上での位置制御(トラッキング)の精度
としてnmオーダーの精度が要求されるため、マルチプ
ローブヘッドの各プローブと記録媒体との間の相対位置
をさらに精度よく制御することが大きな課題として残さ
れている。
【0009】本発明の目的は、マルチプローブヘッドの
各プローブと記録媒体との間の相対位置をnmオーダー
の精度で制御することができる記録再生装置を提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の記録再生装置
は、複数本のプローブを有するマルチプローブヘッドを
用いて、該各プローブの位置制御用のトラッキングパタ
ーンが前記マルチプローブヘッドと互いに対向する面に
それぞれ刻まれた記録媒体に、記録情報を記録するとと
もに該記録された記録情報を再生する記録再生装置にお
いて、前記各プローブと前記記録媒体と間の物理的相互
作用により生じる信号から、該各プローブの前記トラッ
キングパターンに対する位置をそれぞれ検出する位置検
出手段と、前記各プローブの前記トラッキングパターン
に対する位置をそれぞれ示す各位置検出信号を前記位置
検出手段から受け取って、該各位置検出信号を前記各プ
ローブに対応させてそれぞれ格納するメモリ手段と、該
メモリ手段に格納された前記各位置検出信号に基づいて
前記マルチプローブヘッドと前記記録媒体との位置ずれ
量を算出する位置ずれ算出手段と、該位置ずれ算出手段
の出力信号に基づいて前記マルチプローブヘッドを前記
記録媒体に対して相対的に移動させるプローブ移動手段
とを含むことを特徴とする。
【0011】ここで、前記プローブ移動手段が前記マル
チプローブヘッドを前記記録媒体に対して相対的に移動
させる方向に、前記各プローブをそれぞれ移動させる第
2のプローブ移動手段と、前記メモリ手段に格納された
前記各位置検出信号と前記位置ずれ算出手段で算出され
た前記位置ずれ量との差に基づいて前記各プローブを前
記方向にそれぞれ移動させるよう前記第2のプローブ移
動手段を駆動する駆動手段とをさらに含んでもよい。
【0012】また、前記位置ずれ算出回路が、前記各プ
ローブのうち互いに隣り合う一組のプローブについて位
置ずれ量を算出してもよいし、前記位置ずれ算出回路
が、前記各プローブのうち互いに離れた一組のプローブ
について位置ずれ量を算出してもよいし、さらに、前記
位置ずれ算出回路が、前記各プローブのうち互いに隣り
合う複数組のプローブについてそれぞれ算出した各位置
ずれ量の平均値を算出してもよいし、前記位置ずれ算出
回路が、前記各プローブのうち互いに離れた複数組のプ
ローブについてそれぞれ算出した各位置ずれ量の平均値
を算出してもよい。
【0013】
【作用】本発明の記録再生装置は、各プローブと記録媒
体と間の物理的相互作用により生じる信号から、各プロ
ーブのトラッキングパターンに対する位置をそれぞれ検
出する位置検出手段と、各プローブのトラッキングパタ
ーンに対する位置をそれぞれ示す各位置検出信号を位置
検出手段から受け取って、各位置検出信号を各プローブ
に対応させてそれぞれ格納するメモリ手段と、メモリ手
段に格納された各位置検出信号に基づいてマルチプロー
ブヘッドと記録媒体との位置ずれ量を算出する位置ずれ
算出手段とを含むことにより、各プローブと記録媒体と
間の物理的相互作用により生じる信号からマルチプロー
ブヘッドと記録媒体との位置ずれ量を算出することがで
きるため、マルチプローブヘッドの各プローブと記録媒
体との間の相対位置をnmオーダーの精度で検出するこ
とができるとともに、プローブ移動手段により、位置ず
れ算出手段の出力信号に基づいてマルチプローブヘッド
を記録媒体に対して相対的に移動させることによって、
マルチプローブヘッドと記録媒体との面ずれを補正する
ことができる。
【0014】また、プローブ移動手段がマルチプローブ
ヘッドを記録媒体に対して相対的に移動させる方向に、
各プローブをそれぞれ移動させる第2のプローブ移動手
段と、メモリ手段に格納された各位置検出信号と位置ず
れ算出手段で算出された位置ずれ量との差に基づいて各
プローブを前記方向にそれぞれ移動させるよう第2のプ
ローブ移動手段を駆動する駆動手段とをさらに含むこと
により、各プローブごとに、プローブと記録媒体との微
小な位置ずれも補正することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
して説明する。
【0016】図1は、本発明の記録再生装置の第1の実
施例を示す概略構成図である。
【0017】記録再生装置10は、構造体11と、記録
媒体1が載置される基台12と、XYθアクチュエータ
13と、4×4本のプローブ1411〜1444を有するマ
ルチプローブヘッド14と、Zアクチュエータ15と、
制御回路16と、Zサーボ回路17と、ドライバ18
と、傾き補正回路19と、第1の加算器20と、XY制
御回路21と、第2の加算器22と、復号器23と、符
号器24とを含む。
【0018】記録媒体1の表面には、図2に示すよう
に、幅200nmおよび深さ30nmの凹溝が図示X軸
方向に2μmピッチで図示Y軸方向に長さ50μmにわ
たって半導体プロセスなどの微細加工によって刻まれる
ことにより、4×4組の短冊状の、各プローブ1411
1444の位置制御用のトラッキングパターン211〜244
が形成されている。なお、記録媒体1は、ガラスや雲母
などの平坦な基板と、この基板上に成長された金のエピ
タキシャル成長面からなる、トラッキングパターン211
〜244が形成された基板電極と、この基板電極上に形成
された、スクアリウム−ビス−6−オクチルアズレン
(以下、「SOAZ」と称する。)の単分子膜二層の累
積膜とからなる。ここで、SOAZは、電圧電流のスイ
ッチング特性に対してメモリ効果をもつ材料であり、公
知のラングミュア・プロジェット法により形成すること
ができる。
【0019】次に、記録再生装置10の各構成要素につ
いて、詳しく説明する。
【0020】(1)構造体11,基台12およびXYθ
アクチュエータ13 構造体11は、密閉された内部空間を有するものであ
る。記録媒体1が載置される基台12は、XYθアクチ
ュエータ13を介して構造体11内部の底面に取り付け
られており、XYθアクチュエータ13により図1図示
X軸方向,図示Y軸方向および図示θ方向にそれぞれ移
動させられる。
【0021】(2)マルチプローブヘッド14およびZ
アクチュエータ15 マルチプローブヘッド14は、4×4本のプローブ14
11〜1444を有するものである。ここで、各プローブ1
11〜1444は、図3に示すように、記録媒体1の表面
に形成された各トラッキングパターン211〜244と互い
に対向する位置に、同図図示X軸方向に1mmのピッチ
(W1 =1mm)および図示Y軸方向に100μmのピ
ッチ(L1 =100μm)で形成されている。マルチプ
ローブヘッド14は、記録媒体1の表面と近接かつ互い
に対向して、Zアクチュエータ15を介して構造体11
内部の上面に取り付けられており、Zアクチュエータ1
5により図1図示Z軸方向に移動される。以下、マルチ
プローブヘッド14の作製方法について、図4(A),
(B)をそれぞれ参照して説明する。
【0022】プローブ1411は、図4(A),(B)に
示すように、シリコン基板41と、第1のSiNx層4
2と、第1の駆動用電極43と、第1の圧電体薄膜44
と、第2の駆動用電極45と、第2の圧電体薄膜46
と、第3の駆動用電極47と、第2のSiNx層48
と、トンネル電流Jt11 を検出するための先鋭な導電性
のティップ49と、ティップ用電極50とからなる。す
なわち、プローブ1411は、バイモルフ構造を有するカ
ンチレバーとなっており、第1乃至第3の駆動用電極4
3,45,47に所定の電圧がそれぞれ印加されること
によって、逆圧電効果で同図図示上下方向に変位する。
【0023】プローブ1411を作製するには、たとえ
ば、厚さ0.5μmのシリコン(100)基板41上
に、厚さ0.15μmのSi34膜をCVD法により成
膜する。このとき使用する原料ガスはSiH2Cl2:N
3(1:9) であり、また、基板温度は800℃とす
る。続いて、フォトリソグラフィーおよびCF4 ドライ
エッチングによりSi34膜を所望の形状にパターニン
グして、第1のSiNx層42を形成する。続いて、厚
さ0.01μmのCr膜および厚さ0.09μmのAu
膜を成膜したのち、フォトリソグラフィーおよびウェッ
トエッチングによりCr膜およびAu膜を所望の形状に
パターニングして、第1の駆動用電極43を形成する。
続いて、厚さ0.3μmのAlN膜(圧電体薄膜)をス
パッタ法により成膜する。このとき、ターゲットとして
はAlを用い、Ar+N2 雰囲気中でスパッタする。続
いて、フォトリソグラフィーとAl用エッチング液によ
るウェットエッチングによりAlN膜を所望の形状にパ
ターニングして、第1の圧電体薄膜44を形成する。
【0024】その後、上記工程と同様にして、第2の駆
動用電極45,第2の圧電体薄膜46および第3の駆動
用電極47を順次形成することにより、シリコン基板−
Au/Cr−AlN−Au/Cr−AlN−Au/Cr
のバイモルフ構造を形成する。続いて、保護層として、
厚さ0.15μmのアモルファスSiNをCVD法によ
り成膜して、第2のSiNx層48を形成する。続い
て、タングステン(W)からなるティップ49を蒸着法
により形成したのち、KOHによるシリコンの異方性エ
ッチングを用いてSi34膜がついていない部分を除去
して、カンチレバーを作製する。最後に、ティップ14
をPtコーティングする。
【0025】以上のようにして作製した一本のカンチレ
バーの寸法は、長さ500μm×幅50μmであり、図
1図示Z軸方向の共振周波数は2.3kHzであり、1
V印加時のバイモルフの平均変位量は1.5μmであ
る。このカンチレバー型プローブを4×4本(計16
本)だけマトリックス状に作製し、さらに、シリコンウ
ェハ上の各カンチレバー型プローブ近傍にICプロセス
を用いてトンネル電流検出アンプをそれぞれ構成するこ
とにより、マルチプローブヘッド14とする。
【0026】(3)制御回路16 制御回路16は、各プローブ1411〜1444からそれぞ
れ出力される各トンネル電流信号Jt11〜Jt44を受け取
って、各トンネル電流信号Jt11〜Jt44をZサーボ回路
17およびXY制御回路21に出力する。また、制御回
路16は、X軸方向走査信号SX をXY制御回路21に
出力し、X軸およびY軸方向の走査信号Cを第2の加算
器22に出力する。さらに、制御回路16は、Zアクチ
ュエータ駆動信号Bを第1の加算器20に出力する。
【0027】(4)Zサーボ回路17,ドライバ18,
傾き補正回路19および第1の加算器20 Zサーボ回路17は、制御回路16から入力される各ト
ンネル電流信号Jt11〜Jt44の値が所定の値となるよう
に各プローブ1411〜1444と記録媒体1の表面との間
の距離をそれぞれ変化させるZ方向駆動信号A11〜A44
を作成し、作成したZ方向駆動信号A11〜A44をドライ
バ18および傾き補正回路19にそれぞれ出力する。ド
ライバ18は、Zサーボ回路17から入力されるZ方向
駆動信号A11〜A44に応じて、各プローブ1411〜14
44の第1乃至第3の駆動用電極(図4参照)に所定の電
圧をそれぞれ印加することによって、各プローブ1411
〜1444を図1図示Z軸方向に変位させる。傾き補正回
路19は、Zサーボ回路17から入力されるZ方向駆動
信号A11〜A44に応じてマルチプローブヘッド14の傾
きを変化させる傾き補正信号Dを作成し、第1の加算器
20に出力する。第1の加算器20は、制御回路16か
ら入力されるZアクチュエータ駆動信号Bおよび傾き補
正回路19から入力される傾き補正信号Dを加算したの
ち、Zアクチュエータ15に出力する。
【0028】(5)XY制御回路21および第2の加算
器22 XY制御回路21は、マルチプローブヘッド14と記録
媒体1との間のトラッキング位置制御を行うものであ
り、また、XY制御回路21全体のシーケンスは、制御
回路16からのタイミングにより制御される。XY制御
回路21は、図5に示すように、選択回路51と、パタ
ーンエッジ検出回路52と、各プローブ1411〜1444
に対応したアドレスX11〜X44を有するメモリ53と、
θ検出回路54と、オフセット検出回路55とからな
る。
【0029】選択回路51では、制御回路16から入力
される各トンネル電流信号Jt11〜Jt44のうちから一つ
のトンネル電流信号(たとえば、トンネル電流信号J
t11)が、制御回路16から入力されるX軸方向走査信
号SX に同期して選択される。選択されたトンネル電流
信号Jt11 は、選択回路51からパターンエッジ検出回
路52に出力される。パターンエッジ検出回路52で
は、入力されたトンネル電流信号Jt11 からパターンエ
ッジが検出される。すなわち、パターンエッジ検出回路
52では、選択されたトンネル電流信号Jt11 を出力し
ているプローブ1411と互いに対向する記録媒体1上の
トラッキングパターン211のエッジ位置E 11(図6
(A)参照)が検出される。検出されたエッジ位置E11
は、パターンエッジ検出回路52からメモリ53に出力
されて、メモリ53のプローブ1411に対応するアドレ
スX11に格納される。
【0030】制御回路16は、X軸方向走査信号SX
より選択回路51を制御して他のトンネル電流信号J
t12〜Jt44を順次選択させることにより、他のトンネル
電流信号Jt12〜Jt44を出力している各プローブ1412
〜1444と互いに対向する記録媒体1上の各トラッキン
グパターン212〜244の各エッジ位置E12〜E44を、メ
モリ53の各プローブ1412〜1444に対応する各アド
レスX12〜X44にそれぞれ格納させる。このようにして
メモリ53に格納された各エッジ位置E11〜E44がθ検
出回路54およびオフセット検出回路55によりメモリ
53から読み出されることにより、最終的なマルチプロ
ーブヘッド14と記録媒体1との間のトラッキングずれ
量の検出が、以下のようにして、θ検出回路54および
オフセット検出回路55で行われる。
【0031】図6(A)は、マルチプローブヘッド14
と記録媒体1との位置合わせが正しくなされているとき
に、各プローブ1411〜1444から得られるトラッキン
グパターン211〜244のエッジ位置E11〜E44をマッピ
ングした図であり、また、図6(B)は、マルチプロー
ブヘッド14と記録媒体1との位置合わせが正しくなさ
れていないときに、各プローブ1411〜1444から得ら
れるトラッキングパターン211〜244のエッジ位置
11’〜E44’をマッピングした一例を示す図である。
【0032】たとえば、制御回路16が走査信号Cによ
りX軸方向に1μmの幅で走査を行っており、また、X
Y制御回路21は、各プローブ1411〜1444がちょう
ど100μmだけトラッキングパターン211〜244を横
切るように位置制御を行うと仮定する。マルチプローブ
ヘッド14と記録媒体1との位置合わせが正しくなされ
ている場合には、ある時刻においてメモリ53の各アド
レスX11〜X44に格納されているエッジ位置E11〜E44
の幅は、図6(A)に示すように、約100nmと同じ
になる。一方、マルチプローブヘッド14と記録媒体1
との位置合わせが正しくなされていない場合には、ある
時刻においてメモリ53の各アドレスX 11〜X44に格納
されているエッジ位置E11’〜E44’の幅は、図6
(B)に示すように、プローブ1411〜1444ごとに異
なる。このとき、θ検出回路54は、以下のようにし
て、マルチプローブヘッド14と記録媒体1との間の回
転ずれΔθを検出する。
【0033】図3図示Y軸方向に対して互いに隣り合う
2つのプローブ(たとえば、プローブ1441とプローブ
1431)に対応する各アドレスX41,X31に格納されて
いる各エッジ位置E41’,E31’をメモリ53からそれ
ぞれ読み出したのち、 Δθ≒(E41’−E31’)/L1 より、回転ずれΔθを求める。このとき、各トラッキン
グパターン211〜244は半導体プロセスなどの微細加工
により形成されているため、エッジ形状が揺らいだり、
ばらついたりしている。これによる誤差を補正するため
に、回転ずれΔθは、互いに隣り合った何組かのプロー
ブ間について求めた回転ずれの平均値として求められ
る。なお、トラッキングエッジが検出できなかったプロ
ーブについては無視する。回転ずれΔθをより高精度に
検出する場合には、たとえばプローブ1442とプローブ
1412のように、離れたプローブ間で同様の演算を行う
ことにより、回転ずれΔθを求めればよい。θ検出回路
54は、このようにして検出した回転ずれΔθから回転
ずれ補正量信号Y1 を作成したのち、回転ずれ補正量信
号Y1 を第2の加算器22に出力する。
【0034】オフセット検出回路55は、図3図示X軸
方向のオフセット調整を行うものであり、θ検出回路5
4による回転ずれの補正が十分に行われたのち、メモリ
53に格納されているエッジ位置E11’〜E44’と基準
エッジ位置ER (100nm)との差を求めて、オフセ
ット量を算出する。または、マルチプローブヘッド14
と記録媒体1との間の回転中心O(図3参照)付近のプ
ローブを選び、このプローブから得られるトラッキング
パターンのエッジ位置と基準エッジ位置ER との差を求
めて、オフセット量OFを算出する。たとえば回転中心
Oが図3に示すような位置にある場合には、回転中心O
付近のプローブ1422,1423,1432,1433を選ん
で、 OF=(OF22+OF23+OF32+OF33)/4 ただし、OF22=E22’−ER OF23=E23’−ER OF32=E32’−ER OF33=E33’−ER より、オフセット量OFを算出する。オフセット検出回
路55は、このようにして算出したオフセット量OFか
らオフセット量補正信号Y2 を作成したのち、オフセッ
ト量補正信号Y2 を第2の加算器22に出力する。
【0035】(6)復号器23および符号器24 符号器24は、外部から入力される記録情報のコード化
を行い、記録情報を“0”または“1”の二値化データ
へ変換する。変換された二値化データは、制御回路16
を介して各プローブ1411〜1444に入力される(記録
信号E)。復号器23は、再生した二値化データを記録
情報へ変換したのち、外部に出力する。
【0036】以上のように構成された記録再生装置10
においては、 (1)XY制御回路21のパターンエッジ検出回路52
(図5参照)が、各プローブと記録媒体と間の物理的相
互作用により生じる信号から、各プローブのトラッキン
グパターンに対する位置をそれぞれ検出する位置検出手
段として機能する。 (2)XY制御回路21のメモリ53(図5参照)が、
各プローブのトラッキングパターンに対する位置をそれ
ぞれ示す各位置検出信号を位置検出手段から受け取っ
て、各位置検出信号を各プローブに対応させてそれぞれ
格納するメモリ手段として機能する。 (3)XY制御回路21のθ検出回路54およびオフセ
ット検出回路55(図5参照)とが、メモリ手段に格納
された各位置検出信号に基づいてマルチプローブヘッド
と記録媒体との位置ずれ量を算出する位置ずれ算出手段
として機能する。 (4)XYθアクチュエータ13が、位置ずれ算出手段
の出力信号に基づいてマルチプローブヘッドを記録媒体
に対して相対的に移動させるプローブ移動手段として機
能する。
【0037】次に、記録再生装置10の動作について、
図1を参照して説明する。
【0038】各プローブ1411〜1444と記録媒体1と
の間には、バイアス回路(不図示)によりバイアス電圧
が印加される。制御回路16から出力されるZアクチュ
エータ駆動信号BでZアクチュエータ15が駆動され
て、各プローブ1411〜1444と記録媒体1の表面との
間にトンネル電流が流れる程度までマルチプローブヘッ
ド14が図示下方(−Z軸方向)に移動される。このと
き、各トンネル電流信号Jt11〜Jt44が、マルチプロー
ブヘッド14の各プローブ1411〜1444からそれぞれ
出力される。各トンネル電流信号Jt11〜Jt44は制御回
路16にそれぞれ入力され、各プローブ1411〜1444
の図示Z軸方向の制御に用いられる。すなわち、各トン
ネル電流信号Jt11〜Jt44は、制御回路16からZサー
ボ回路17にそれぞれ出力される。Zサーボ回路17で
は、入力されてきた各トンネル電流信号Jt11〜Jt44
値が所定の値となるように各プローブ1411〜1444
記録媒体1の表面との間の距離をそれぞれ変化させるZ
方向駆動信号A11〜A44が作成される。各Z方向駆動信
号A11〜A44は、Zサーボ回路17からドライバ18を
介して各プローブ1411〜1444にそれぞれ出力され
る。その結果、各プローブ1411〜1444と記録媒体1
の表面との間の距離が、所定の距離にそれぞれ保たれ
る。
【0039】この状態で、制御回路16より第2の加算
器22を介してXYθアクチュエータ13に走査信号C
を出力して記録媒体1の所望の位置まで各プローブ14
11〜1444を移動したのち、各プローブ1411〜1444
を記録媒体1に沿って相対的に走査させながら、バイア
ス電圧を記録情報に応じて変調して電気メモリ効果が生
じるしきい値電圧を越える電圧を各プローブ1411〜1
44と記録媒体1との間にそれぞれ印加することによ
り、記録情報の記録を行う。具体的には、前記バイアス
回路によりバイアス電圧0.1Vを各プローブ1411
1444と記録媒体1との間にそれぞれ印加した状態で、
一定のトンネル電流(1nA)が流れる程度まで各プロ
ーブ1411〜1444を記録媒体1に近づけておく。この
状態で、記録媒体1の所望の位置まで各プローブ1411
〜1444を移動したのち、各プローブ1411〜1444
記録媒体1に沿って相対的に走査させながら、バイアス
電圧を記録情報に応じて変調して6Vのパルス電圧を各
プローブ1411〜1444と記録媒体1との間にそれぞれ
印加すると、瞬間的に約0.1μAの電流が流れる大き
さである10nmφの記録ビットが形成される。これに
より、記録情報の記録が行われる。なお、パルス電圧の
印加後、各プローブ1411〜1444の走査を行ったとこ
ろ、その状態を保持した。そこで、この低抵抗状態にあ
る記録ビットを“1”に対応づけ、高抵抗状態の“0”
と区別する。
【0040】このとき、各プローブ1411〜1444から
出力される各トンネル電流信号Jt1 1〜Jt44より、XY
制御回路21でトラッキングずれ量を検出し、検出した
トラッキングずれ量をXYθアクチュエータ13により
補正する。具体的には、図示X軸方向の走査を幅1μ
m,周波数500Hzで行い、このとき各プローブ14
11〜1444が、互いに対向するトラッキングパターン2
11〜244をちょうど100nmだけ横切るようにトラッ
キング制御する。
【0041】符号器24で“0”または“1”の二値化
データへ変換された記録情報に対して二値化記録再生を
行った。このとき、マルチプローブヘッド14の各プロ
ーブ1411〜1444は、互いに対向する記録媒体1上の
各トラックパターン211〜2 44に沿うように、XY制御
回路21によりそれぞれ位置制御されている。さらに、
トラック移動する際に、同様な位置制御に加えて、図示
Y軸方向のトラックの先頭を検出して、図示Y軸方向の
オフセット調整を行う。なお、図示Y軸方向のオフセッ
ト調整について、図7(A),(B)をそれぞれ参照し
て以下に説明する。
【0042】図7(A),(B)はそれぞれ、トラック
移動時にY軸方向のトラッキングパターン211〜244
先頭付近を走査している際に、各プローブ1411〜14
44から得られるトラッキングパターン211〜244のエッ
ジ位置をマッピングした図である。ここでは、マルチプ
ローブヘッド14と記録媒体1との間の回転中心O付近
のプローブとして、3本のプローブ1422,1423,1
32を選び、この各プローブ1422,1423,1432
互いに対向する記録媒体1上のトラッキングパターン2
22,223,232の各先頭位置P22(X22,Y22),P
23(X23,Y23),P 32(X32,Y32)がメモリ53(図5
参照)に格納される。
【0043】マルチプローブヘッド14と記録媒体1と
の位置合わせが正しくなされている場合には、各先頭位
置P22(X22,Y22),P23(X23,Y23),P32(X32
32)の値は、図7(A)に示すように、すべて同じに
なる。これに対して、マルチプローブヘッド14と記録
媒体1との位置合わせが正しくなされていない場合に
は、図7(B)に示すような異なる値を有する各先頭位
置P22’(X22’,Y22’),P23’(X23’,Y23’),
32’(X32’,Y32’)がメモリ53にそれぞれ格納さ
れる。このとき、3本のプローブ1422,1423,14
32の位置ずれ量Pa 22(Xa22,Ya22),Pb23(Xb
23,Yb23),Pc32(Xc32,Yc32)を、 Xa22=X22’−X22 Ya22=Y22’−Y22 Xb23=X23’−X23 Yb23=Y23’−Y23 Xc32=X32’−X32 Yc32=Y32’−Y32 より、それぞれ算出する。このずれは、トラック移動時
などに生ずるX軸方向のオフセットOF,Y軸方向のオ
フセットOFY および回転ずれΔθに起因し、 Xa22=OF+D22×Δθ/21/2 Ya22=OFY+D22×Δθ/21/2 Xb23=OF+D23×Δθ/21/2 Yb23=OFY−D23×Δθ/21/2 Xc32=OF−D32×Δθ/21/2 Yc32=OFY−D32×Δθ/21/2 ただし、D22=プローブ1422と回転中心Oとの距離 D23=プローブ1423と回転中心Oとの距離 D32=プローブ1432と回転中心Oとの距離 で表される関係があるので、この関係式から、X軸方向
のオフセットOF,Y軸方向のオフセットOFY および
回転ずれθをXY制御回路21でそれぞれ算出して補正
する。
【0044】さらなる位置制御のために、他の構成も考
えられる。すなわち、(1)プローブ移動手段がマルチ
プローブヘッドを記録媒体に対して相対的に移動させる
方向に、各プローブをそれぞれ移動させる第2のプロー
ブ移動手段、(2)メモリ手段に格納された各位置検出
信号と位置ずれ算出手段で算出された位置ずれ量との差
に基づいて各プローブを前記方向にそれぞれ移動させる
よう第2のプローブ移動手段を駆動する駆動手段をさら
に含むようにしてもよい。
【0045】具体的には、 (1)前記第2のプローブ移動手段を各プローブ1411
〜1444がそれぞれ具備するように、カンチレバー型の
プローブの電極パターンを変更して、カンチレバー型の
プローブが図1図示Z軸方向だけでなく図示X軸方向に
も移動できるようにする。 (2)前記駆動手段をXY制御回路21が兼ねるよう
に、XY制御回路21が、XYθアクチュエータ13へ
のX軸方向のオフセット量OFを越える誤差分のオフセ
ット量OFmn−OF (オフセット量OFmnはプローブ
14mnの検出したオフセット量)を微量オフセット量と
して算出する手段をさらに有し、該微量オフセット量を
上記(1)のように構成された各プローブ1411〜14
44の図示X軸方向駆動用の電極にそれぞれ出力するよう
にしてもよい。
【0046】なお、本実施例の記録再生装置10では、
Z軸方向のアクチュエータとして圧電体の逆圧電効果を
利用したカンチレバー型アクチュエータを用いたが、ア
クチュエータはこれに限定されることなく、たとえば静
電力を用いたものであってもよい。
【0047】図8は、本発明の記録再生装置の第2の実
施例を示す概略構成図である。
【0048】記録再生装置110 は、3×3個のプローブ
(プローブ11111〜11113のみ図示)を有するマルチプロ
ーブヘッド111 と、横方向駆動素子112 と、縦方向駆動
素子113 と、第1の制御回路114 と、第2の制御回路11
5 と、電圧印加回路116 と、切替回路117 と、レーザ光
源121 と、レンズ122 と、ポリゴンミラー123 と、回転
速度制御回路124 と、位置検出素子125 と、位置検出信
号処理回路126 と、制御コンピュータ130 とを含む。
【0049】次に、記録再生装置110 の各構成要素につ
いて、詳しく説明する。
【0050】(1)マルチプローブヘッド111 マルチプローブヘッド111 は、電子間力顕微鏡(AF
M)に用いられるような柔らかい弾性体カンチレバーか
らなる各プローブを一つの基板に集積化したものであ
る。すなわち、図示左端のプローブ11111 は、弾性体か
らなるカンチレバー13111 と、カンチレバー13111 の先
端に形成された導電性のティップ13211 とを備えたもの
であり、他のプローブについても同様である。
【0051】マルチプローブヘッド111 は、次のように
して作製することができる。熱酸化により厚さ0.3μ
mのSiO2 膜をSi基板表面上に形成したのち、長さ
100μmおよび幅20μmのカンチレバー形状を3×
3のマトリックス状にパターニングする。続いて、ティ
ップ電極への電気信号配線パターンを形成したのち、S
i基板表面からKOH液によって異方性エッチングを行
って、マルチプローブヘッド111 を形成する。続いて、
炭素などの電子ビームデポジション法により、高さ5μ
mのティップ電極をカンチレバー先端に設ける。こうし
て完成したマルチプローブヘッド111 上に作製された各
プローブ先端のたわみに対する弾性定数は、0.01N
/m程度となる。なお、マルチプローブヘッド111 全体
のレイアウトは、図3に示した、第1の実施例における
マルチプローブヘッド14のレイアウトと同様のもので
ある。
【0052】マルチプローブヘッド111 では、記録媒体
101 表面の弾性定数よりも小さい弾性定数を有する弾性
体カンチレバーを各ティップ電極の支持部材として用い
ることにより、全プローブを一括して記録媒体101 に接
近させる際や記録再生の際に生じる弾性体カンチレバー
の変形による各プローブのばらつきを吸収して、各プロ
ーブと記録媒体101 との間の間隔を制御する特別な回路
を用いることなく、両者の間に働く力を一定レベル以下
にできる。
【0053】(2)横方向駆動素子112 ,縦方向駆動素
子113 ,第1の制御回路114 および第2の制御回路115 横方向駆動素子112 は、第1の制御回路114 により駆動
されて、マルチプローブヘッド111 を図示X軸方向,Y
軸方向および図示θ方向に移動させる。また、縦方向駆
動素子113 は、第2の制御回路115 により駆動されて、
記録媒体101 を図示Z軸方向に移動させる。
【0054】(3)電圧印加回路116 および切替回路11
7 電圧印加回路116 は、各プローブと記録媒体101 との間
に電圧を印加するためのものであり、また、切替回路11
7 は、電圧印加回路116 から出力される電圧を所定のプ
ローブにのみ印加するためのものである。
【0055】(4)レーザ光源121 ,レンズ122 ,ポリ
ゴンミラー123 ,回転速度制御回路124 ,位置検出素子
125 レーザ光源121 は、レーザ光Lを発するためのものであ
り、レンズ122 は、レーザ光源121 から発せられたレー
ザ光Lを各プローブのカンチレバー上に集光させるため
のものである。また、ポリゴンミラー123 は、レンズ12
2 で集光されたレーザ光Lを各プローブのカンチレバー
上で順次走査させるためのものである。回転速度制御回
路124 は、ポリゴンミラー123 の回転を制御するととも
に、レーザ光Lの走査位置(すなわち、どのプローブの
カンチレバーにレーザ光Lを照射しているかの情報)を
出力するものである。さらに、位置検出素子125 は、レ
ーザー光Lが照射されたプローブのカンチレバーからの
反射光の受光面上でのスポット位置を検出するためのも
のであり、また、位置検出信号処理回路126 は、回転速
度制御回路124 の出力信号(レーザ光Lの走査位置を示
す信号)および位置検出素子125 の出力信号(位置検出
信号)から、レーザー光Lが照射されたプローブのカン
チレバーの特定とそのカンチレバーの図示Z軸方向の変
位量(たわみ量)の検出とを行うためのものである。
【0056】(5)制御コンピュータ130 制御コンピュータ130 は、第1の制御回路114 と第2の
制御回路115 と電圧印加回路116 と切替回路117 とをそ
れぞれ制御するためのものであり、位置検出信号処理回
路126 の出力信号(記録情報に応じた信号)を受け取
る。
【0057】次に、記録再生装置110 の記録動作につい
て説明する。
【0058】記録媒体101 は、電圧,電界または電流が
局所的に印加されると、形状変化が局所的に生じるもの
であり、たとえば金属または金属化合物の薄膜、具体的
には、Au,Al,文献Appl. Phys. Lett. 51., 244,
1987に示されているRh−Zr合金,Te−Ti合金材
料またはアモルファスSiなどの半導体薄膜などであ
る。このような記録媒体101 を用いたときの各プローブ
のティップ電極材料としては、W,Ptなどが使用され
る。また、文献Appl. Phys. Lett. 55., 1727, 1989 に
示されているように、グラファイト表面の電圧パルス印
加によるエッチング法により作製したものを用いてもよ
い。
【0059】実際の記録再生には、マルチプローブヘッ
ド111 を記録媒体101 に近づけ、すべてのプローブが1
-7N程度の力を受けるように第2の制御回路115 を介
して縦方向駆動素子113 を制御する。この状態で、前述
のような表面変調により形成された記録ビットを“1”
に対応づけ、未変調部分の“0”と区別する。このと
き、記録情報を符号器などでコード化して“0”または
“1”のデータへ変換することにより、二値化記録を行
う。なお、記録媒体101 表面には、第1の実施例におけ
る記録媒体1と同様に、位置制御用のトラッキングパタ
ーンを形成するとともに、記録媒体101 全体のレイアウ
トも第1の実施例における記録媒体1と同様とする。
【0060】本実施例の記録再生装置110 においても、
第1の実施例の記録再生装置10と同様の位置制御方法
により、第1の制御回路114 を用いて、マルチプローブ
ヘッド111 と記録媒体101 との間の位置制御を行った。
すなわち、プローブごとに検出したトラッキングパター
ンのエッジ位置をメモリに格納し、これを基にして第1
の制御回路114 により各プローブのトラッキング位置制
御を行った。
【0061】次に、以上のように記録媒体101 の局所的
形状変化として記録された記録情報を再生する記録再生
装置110 の再生動作について説明する。
【0062】レーザ光源121 から発せられたレーザ光L
をレンズ122 によって集光したのち、回転速度制御回路
124 により制御されて回転しているポリゴンミラー123
に入射させる。ポリゴンミラー123 の回転により、レー
ザ光Lは各プローブのカンチレバーの裏面を走査する。
このとき、軸Mを中心としてポリゴンミラー123 を回転
することにより、紙面と垂直方向に並設された各プロー
ブのカンチレバーをも走査する。カンチレバーの裏面か
らの反射光を位置検出素子125 で検出する。ここで、各
カンチレバーの長さをd1 とし、カンチレバーの裏面か
ら位置検出素子125 までの距離をd2 とすると,カンチ
レバーの先端でたわみ量△Zのたわみが生じたときに
は、位置検出素子125 上の光スポットは、距離 2×(d2/d1)×△Z だけずれる。したがって、位置検出素子125 の出力信号
を基にして位置検出信号処理回路126 で位置検出素子12
5 上の光スポットの位置ずれを検出することにより、カ
ンチレバーの先端のたわみ量ΔZを検知することができ
る。
【0063】マルチプローブヘッド111 を記録媒体101
に沿って二次元的に走査したときに、ディップ電極が記
録位置(形状変化を起こした記録ビット位置)にくる
と、形状変化によりディップ電極が記録媒体101 から受
ける力に変化が生じる。したがって、ポリゴンミラー12
3 によってレーザ光Lを走査して、このとき生じる各カ
ンチレバーの先端のたわみ量を時分割で順次検出するこ
とにより、各プローブごとに二次元に配列された記録ビ
ットを順次再生することができる。
【0064】
【発明の効果】本発明は、上述のとおり構成されている
ので、次の効果を奏する。
【0065】各プローブと記録媒体と間の物理的相互作
用により生じる信号からマルチプローブヘッドと記録媒
体との位置ずれ量を算出することができるため、マルチ
プローブヘッドの各プローブと記録媒体との間の相対位
置をnmオーダーの精度で検出して、マルチプローブヘ
ッドと記録媒体との面ずれを補正することができるた
め、マルチプローブヘッドの各プローブと記録媒体との
間の相対位置をnmオーダーの精度で制御することがで
きる。
【0066】また、第2のプローブ移動手段と第2のプ
ローブ移動手段を駆動する駆動手段とをさらに含むこと
により、各プローブと記録媒体との微小な位置ずれも補
正することができるため、マルチプローブヘッドの各プ
ローブと記録媒体との間の相対位置をさらに精度で制御
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録再生装置の第1の実施例を示す概
略構成図である。
【図2】図1に示した記録媒体に形成されたトラッキン
グパターンを説明するための図である。
【図3】図1に示したマルチプローブヘッドに形成され
てた各プローブの配置を示す図である。
【図4】図1に示したマルチプローブヘッドの作製方法
を説明するための図であり、(A)は側断面図、(B)
を(A)のA−A線に沿う断面図である。
【図5】図1に示したXY制御回路の構成を示すブロッ
ク図である。
【図6】図1に示したマルチプローブヘッドと記録媒体
との間のトラッキングずれ量の検出方法を説明するため
の図であり、(A)は、マルチプローブヘッドと記録媒
体との位置合わせが正しくなされているときに、各プロ
ーブから得られるトラッキングパターンのエッジ位置を
マッピングした図、(B)は、マルチプローブヘッドと
記録媒体との位置合わせが正しくなされていないとき
に、各プローブから得られるトラッキングパターンのエ
ッジ位置をマッピングした一例を示す図である。
【図7】トラック移動時にY軸方向のトラッキングパタ
ーンの先頭付近を走査している際に、各プローブから得
られるエッジ位置をマッピングした図であり、(A)は
マルチプローブヘッドと記録媒体との位置合わせが正し
くなされている場合に各プローブから得られるエッジ位
置をマッピングした図、(B)はマルチプローブヘッド
と記録媒体との位置合わせが正しくなされていない場合
に各プローブから得られるエッジ位置をマッピングした
図である。
【図8】本発明の記録再生装置の第2の実施例を示す概
略構成図である。
【符号の説明】
1,101 記録媒体 211〜244 トラッキングパターン 10,110 記録再生装置 11 構造体 12 基台 13 XYθアクチュエータ 14,111 マルチプローブヘッド 1411〜1444,11111〜11133 プローブ 15 Zアクチュエータ 16 制御回路 17 Zサーボ回路 18 ドライバ 19 傾き補正回路 20 第1の加算器 21 XY制御回路 22 第2の加算器 23 復号器 24 符号器 41 シリコン基板 42 第1のSiNx層 43 第1の駆動用電極 44 第1の圧電体薄膜 45 第2の駆動用電極 46 第2の圧電体薄膜 47 第3の駆動用電極 48 第2のSiNx層 49 ティップ 50 ティップ用電極 51 選択回路 52 パターンエッジ検出回路 53 メモリ 54 θ検出回路 55 オフセット検出回路 112 横方向駆動素子 113 縦方向駆動素子 114 第1の制御回路 115 第2の制御回路 116 電圧印加回路 117 切替回路 121 レーザ光源 122 レンズ 123 ポリゴンミラー 124 回転速度制御回路 125 位置検出素子 126 位置検出信号処理回路 130 制御コンピュータ 13111〜13133 カンチレバー 13211〜13233 ティップ X11〜X44 アドレス X,Y,Z 軸 Jt11〜Jt44 トンネル電流信号 B Zアクチュエータ駆動信号 C 走査信号 A11〜A44 Z方向駆動信号 D 傾き補正信号 SX X軸方向走査信号 E12〜E44 エッジ位置 O 回転中心 L レーザ光 E 記録信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 紫藤 俊一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 畑中 勝則 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−109131(JP,A) 特開 平6−84209(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 9/14

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数本のプローブを有するマルチプロー
    ブヘッドを用いて、該各プローブの位置制御用のトラッ
    キングパターンが前記マルチプローブヘッドと互いに対
    向する面にそれぞれ刻まれた記録媒体に、記録情報を記
    録するとともに該記録された記録情報を再生する記録再
    生装置において、 前記各プローブと前記記録媒体と間の物理的相互作用に
    より生じる信号から、該各プローブの前記トラッキング
    パターンに対する位置をそれぞれ検出する位置検出手段
    と、 前記各プローブの前記トラッキングパターンに対する位
    置をそれぞれ示す各位置検出信号を前記位置検出手段か
    ら受け取って、該各位置検出信号を前記各プローブに対
    応させてそれぞれ格納するメモリ手段と、 該メモリ手段に格納された前記各位置検出信号に基づい
    て前記マルチプローブヘッドと前記記録媒体との位置ず
    れ量を算出する位置ずれ算出手段と、 該位置ずれ算出手段の出力信号に基づいて前記マルチプ
    ローブヘッドを前記記録媒体に対して相対的に移動させ
    るプローブ移動手段とを含むことを特徴とする記録再生
    装置。
  2. 【請求項2】 前記プローブ移動手段が前記マルチプロ
    ーブヘッドを前記記録媒体に対して相対的に移動させる
    方向に、前記各プローブをそれぞれ移動させる第2のプ
    ローブ移動手段と、 前記メモリ手段に格納された前記各位置検出信号と前記
    位置ずれ算出手段で算出された前記位置ずれ量との差に
    基づいて前記各プローブを前記方向にそれぞれ移動させ
    るよう前記第2のプローブ移動手段を駆動する駆動手段
    とをさらに含む請求項1記載の記録再生装置。
  3. 【請求項3】 前記位置ずれ算出回路が、前記各プロー
    ブのうち互いに隣り合う一組のプローブについて位置ず
    れ量を算出することを特徴とする請求項1または請求項
    2記載の記録再生装置。
  4. 【請求項4】 前記位置ずれ算出回路が、前記各プロー
    ブのうち互いに離れた一組のプローブについて位置ずれ
    量を算出することを特徴とする請求項1または請求項2
    記載の記録再生装置。
  5. 【請求項5】 前記位置ずれ算出回路が、前記各プロー
    ブのうち互いに隣り合う複数組のプローブについてそれ
    ぞれ算出した各位置ずれ量の平均値を算出することを特
    徴とする請求項1または請求項2記載の記録再生装置。
  6. 【請求項6】 前記位置ずれ算出回路が、前記各プロー
    ブのうち互いに離れた複数組のプローブについてそれぞ
    れ算出した各位置ずれ量の平均値を算出することを特徴
    とする請求項1または請求項2記載の記録再生装置。
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