JPH08283187A - 燐化合物又はパラジウム錯体の取得方法 - Google Patents

燐化合物又はパラジウム錯体の取得方法

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JPH08283187A
JPH08283187A JP7085348A JP8534895A JPH08283187A JP H08283187 A JPH08283187 A JP H08283187A JP 7085348 A JP7085348 A JP 7085348A JP 8534895 A JP8534895 A JP 8534895A JP H08283187 A JPH08283187 A JP H08283187A
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JP
Japan
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palladium
alcohol
phosphorus compound
water
catalyst
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Application number
JP7085348A
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English (en)
Inventor
Tomoyuki Mori
知行 森
Hiroshi Kameo
広志 亀尾
Shinji Isotani
真治 磯谷
Soichiro Saida
壮一郎 斉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/584Recycling of catalysts

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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 パラジウム化合物及び燐化合物よりなる触媒
並びに二酸化炭素の存在下に、共役アルカジエンと水と
からアルカジエノール類を製造するに当り、高沸点副生
物と触媒とを、触媒としての有効性を損なうことなく効
率的に分離して、パラジウム錯体及び燐化合物を共に高
い回収率で回収する。 【構成】 反応生成液の少なくとも一部を、炭素数1〜
8のアルコール及び水、好ましくは更に炭素数1〜8の
アセトンと接触させて燐化合物を晶出させる。反応生成
液の少なくとも一部を炭素数1〜8のアルコール及び水
の存在下に90℃以下で還元剤と接触させてパラジウム
錯体を晶出させる。 【効果】 パラジウムのメタル化を防止して、パラジウ
ム錯体及び燐化合物の溶解度を効果的に低減させること
ができ、これらを効率的に析出させて回収することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は燐化合物又はパラジウム
錯体の取得方法に係り、詳しくはパラジウム化合物及び
燐化合物よりなる触媒並びに二酸化炭素の存在下に、共
役アルカジエンと水とを反応させて、該共役アルカジエ
ンの水和二量化物であるアルカジエノール類を製造する
方法において、触媒として用いたパラジウム化合物及び
燐化合物からなる錯体触媒を効率的に回収する方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】アルカジエノール類、特にオクタジエノ
ールは、n−オクタノール及びそのエステル等を製造す
るための中間体として、化学工業的に重要な化合物であ
る。
【0003】従来、アルカジエノール類の製造法として
は、パラジウム化合物と、ホスフィン又はホスファイト
よりなる触媒並びに二酸化炭素の存在下で共役アルカジ
エンと水とを反応させる方法(特公昭50−10565
号公報)が提案されている。この方法によりアルカジエ
ノール類を製造するための反応を液相系で行なう場合に
おいては、上記触媒成分に共役アルカジエンと水とを同
時に接触させ、生成するアルカジエノール類を蒸留等の
手段により触媒から分類する作業が連続的に又は回分的
に実施される。そして、少なくともパラジウム化合物と
ホスフィン、ホスファイトとを含有する触媒液は再び反
応に循環使用される。
【0004】しかしながら、特公昭50−10565号
公報に開示されるような共役アルカジエンと水とからア
ルカジエノール類を製造する反応においては、副反応に
より高沸点物質が生成し、これが循環使用される触媒液
中に次第に蓄積することは不可避である。この触媒液中
に蓄積する高沸点物質はそれ自体不必要な希釈物質であ
るばかりでなく、触媒活性に対して化学的な抑制作用を
示したり、徒らに触媒液の粘度を上昇させたりして反応
の進行を著しく阻害するようになる。
【0005】一方で、触媒液中にはパラジウム、燐化合
物等の高価な物質が含有されているので、これらの触媒
成分を有効に利用しない場合の経済的損失は極めて大き
い。それ故、触媒活性を損なうことなく、経済的な手段
で、蓄積した高沸点物質を触媒液から分離、除去して触
媒を回収することは、本方法によるアルカジエノール類
の製造を工業的に有利に実施するための最も重要な課題
の一つとなっている。
【0006】従来、触媒液を循環使用する方法の改良技
術として、反応生成液の一部を塩基性物質と接触させて
反応生成液中に含有される高沸点副生物を抽出分離した
後、触媒を含有する抽残液を反応系に循環する方法(特
公昭61−6807号公報)や、反応生成液の少なくと
も一部からパラジウム錯体を析出させた後、該錯体を再
び反応系へ供する方法(特公平2−174736号公
報)が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公昭
61−6807号公報に開示される方法では、循環され
る触媒の活性がやや低いものとなるおそれがあった。
【0008】また、特公平2−174736号公報に開
示される方法では、パラジウムの回収率は高いが、助触
媒として使用される燐化合物の回収率が低いという問題
があった。また、この方法は、反応生成液を高濃度に濃
縮して、パラジウムの高い回収率を得るものであるが、
濃縮のために極めて高い真空度が必要であり、工業的な
実現は困難であった。
【0009】本発明は上記従来の問題点を解決し、パラ
ジウム化合物及び燐化合物よりなる触媒並びに二酸化炭
素の存在下に、共役アルカジエンと水とからアルカジエ
ノール類を製造する方法において、反応で副生する高沸
点物質と触媒とを、触媒としての有効性を損なうことな
く効率的に分離して、燐化合物、又は、燐化合物を含む
パラジウム錯体を高い回収率で回収する方法を提供する
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の燐化合物の取
得方法は、パラジウム化合物及び燐化合物よりなる触媒
並びに二酸化炭素の存在下に共役アルカジエンと水とを
反応させてアルカジエノール類を製造する方法におい
て、反応により得られる反応生成液の少なくとも一部
を、炭素数1〜8のアルコール及び水と接触させて燐化
合物を晶出させることを特徴とする。
【0011】請求項2の燐化合物の取得方法は、請求項
1に記載の方法において、反応生成液の少なくとも一部
を、炭素数1〜8のアルコール、炭素数1〜8のケトン
及び水と接触させることを特徴とする。
【0012】請求項3の燐化合物の取得方法は、請求項
1又は2に記載の方法において、アルコールが炭素数1
〜4のアルコールであることを特徴とする。
【0013】請求項4の燐化合物の取得方法は、請求項
3に記載の方法において、アルコールがメタノール、エ
タノール又はイソプロピルアルコールであることを特徴
とする。
【0014】請求項5の燐化合物の取得方法は、請求項
2ないし4のいずれか1項に記載の方法において、ケト
ンがアセトンであることを特徴とする。
【0015】請求項6の燐化合物の取得方法は、請求項
1ないし5のいずれか1項に記載の方法において、燐化
合物がトリアリールホスフィンであることを特徴とす
る。
【0016】請求項7のパラジウム錯体の取得方法は、
パラジウム化合物及び燐化合物よりなる触媒並びに二酸
化炭素の存在下に共役アルカジエンと水とを反応させて
アルカジエノール類を製造する方法において、反応によ
り得られる反応生成液の少なくとも一部を、炭素数1〜
8のアルコール及び水の存在下に、90℃以下の温度で
還元剤と接触させてパラジウム錯体を晶出させることを
特徴とする。
【0017】請求項8のパラジウム錯体の取得方法は、
請求項7に記載の方法において、アルコールが炭素数1
〜4のアルコールであることを特徴とする。
【0018】請求項9のパラジウム錯体の取得方法は、
請求項8に記載の方法において、アルコールがメタノー
ル、エタノール又はイソプロピルアルコールであること
を特徴とする。
【0019】請求項10のパラジウム錯体の取得方法
は、請求項7ないし9のいずれか1項に記載の方法にお
いて、燐化合物がトリアリールホスフィンであることを
特徴とする。
【0020】以下に本発明を詳細に説明する。
【0021】まず、本発明の燐化合物又はパラジウム錯
体の取得方法が適用される、アルカジエノール類の製造
方法について説明する。
【0022】本発明において、水と反応させてアルカジ
エノール類を製造し得る共役アルカジエンとしては、
1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエ
ン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、イソプレ
ン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、1,3−オ
クタジエン等が挙げられる。原料が1,3−ブタジエン
である場合、通常、容易に入手可能なものとして、精製
1,3−ブタジエン及び所謂BBP(ブテンーブタジエ
ン留分)、即ち、ナフサ分解生成物中のC4 留分混合物
などが挙げられる。
【0023】BBPを原料とする場合は、原料BBP中
に含有されるアセチレン類及びアレン類を予め分解除去
しておくことが望ましい。1,3−ブタジエン原料中の
アセチレン類及びアレン類の総濃度は、可能な限り低い
ことが望ましいが、通常、1,3−ブタジエンに対して
1.0重量%以下程度が好ましい。アセチレン類及びア
レン類を低減する方法には特に制限はなく、公知の諸法
を適宜採用可能である。
【0024】一方、他の原料である水としては、水和二
量化反応に影響を与えない程度の純度の水が適宜使用さ
れる。前段の反応器に供給する水の使用量については、
特に制限はないが、共役アルカジエン1モルに対し、通
常、0.5〜10モル、好ましくは1〜5モルの範囲と
するのが望ましい。
【0025】反応の主触媒として使用されるパラジウム
化合物の形態及び原子価状態は、必ずしも限定されるも
のではなく、例えば、ビス(t−ブチルイソニトリル)
パラジウム(0)、ビス(t−アミルイソニトリル)パ
ラジウム(0)、ビス(シクロヘキシルイソニトリル)
パラジウム(0)、ビス(フェニルイソニトリル)パラ
ジウム(0)、ビス(p−トリルイソニトリル)パラジ
ウム(0)、ビス(2,6−ジメチルフェニルイソニト
リル)パラジウム(0)、テトラキス(トリフェニルホ
スフィン)パラジウム(0)、テトラキス(トリフェニ
ルホスフアイト)パラジウム(0)、トリス(ジベンジ
リデンアセトン)二パラジウム(0)、(1,5−シク
ロオクタジエン)(無水マレイン酸)パラジウム
(0)、ビス(ノルボルネン)(無水マレイン酸)パラ
ジウム(0)、ビス(無水マレイン酸)(ノルボルネ
ン)パラジウム(0)、(ジベンジリデンアセトン)
(ビピリジル)パラジウム(0)、(p−ベンゾキノ
ン)(o−フェナンスロリン)パラジウム(0)等の0
価パラジウム錯体;塩化パラジウム(II)、硝酸パラジウ
ム(II)、テトラアンミンジクロロパラジウム(II)、ジナ
トリウムテトラクロロパラジウム(II)等のパラジウム無
機塩;酢酸パラジウム(II)、安息香酸パラジウム(II)、
α−ピコリン酸パラジウム(II)等のパラジウムカルボン
酸塩;ビス(アセチルアセトン)パラジウム(II)、ビス
(8−オキシキノリン)パラジウム(II)等のパラジウム
キレート化合物;ビス(アリル)パラジウム(II)、(η
−アリル)(η−シクロペンタジエニル)パラジウム(I
I)、(η−シクロペンタジエニル)(1,5−シクロオ
クタジエン)パラジウム(II)テトラフルオロ硼酸塩、ビ
ス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)酢酸塩、ジ−μ−
クロロ−ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)二パ
ラジウム(II)、ビス(トリ−n−ブチルホスフィン)パ
ラジウム(II)酢酸塩、2,2−ビピリジルパラジウム(I
I)酢酸塩等の2価パラジウム錯体などが挙げられる。
【0026】パラジウム化合物の使用量は、通常、共役
アルカジエン1モル当りパラジウム原子に換算して0.
00001〜1グラム原子、好ましくは0.0001〜
0.5グラム原子の範囲で適宜決定される。
【0027】一方、共触媒として使用する燐化合物とし
ては、トリオクチルホスフィン、トリブチルホスフィ
ン、ジメチルオクチルホスフィン等のトリアルキルホス
フィン、トリシクロヘキシルホスフィン等のトリシクロ
アルキルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリト
リルホスフィン、トリキシリルホスフィン、トリメシチ
ルホスフィン、トリス(テトラメチルフェニル)ホスフ
ィン、ジフェニル−p−クロロフェニルホスフィン、ト
リス(p−メトキシフェニル)ホスフィン等のトリアリ
ールホスフィン、ジフェニルエチルホスフィン、ジメチ
ルフェニルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)
メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン
等の第3アルキルアリールホスフィン、ジオクチルオク
トキシホスフィン、ジブチルブトキシホスフィン等のア
ルキルホスフィナイト、ジフェニルフェノキシホスフィ
ン、ジトリルトリルオキシホスフィン、ジキシリルキシ
リルオキシホスフィン等のアリールホスフィナイト、ジ
フェニルエトキシホスフィン、ジエチルフェノキシホス
フィン等のアルキルアリールホスフィナイト、オクチル
ジオクトキシホスフィン、ブチルジブトキシホスフィン
等のアルキルホスホナイト、フェニルジフェノキシホス
フィン、トリルジトリルオキシホスフィン、キシリルジ
キシリルオキシホスフィン等のアリールホスホナイト、
フェニルジエトキシホスフィン、エチルジフェノキシホ
スフィン等のアルキルアリールホスホナイト、トリオク
チルホスファイト、トリブチルホスファイト、ジメチル
オクチルホスファイト等のトリアルキルホスファイト、
トリシクロヘキシルホスファイト等のトリシクロアルキ
ルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリトリ
ルホスファイト、トリキシリルホスファイト等のトリア
リールホスファイト、ジフェニルエチルホスファイト、
ジメチルフェニルホスファイト等のアルキルアリールホ
スファイトが例示される。
【0028】上記の中では、反応時のアルカジエノール
の選択率の高いものが好ましく、これには燐の各結合手
に7以上の炭素を持つものが該当する。具体的には、ト
リトリルホスフィン、トリキシリルホスフィン、トリメ
シチルホスフィン、トリ(テトラメチルフェニル)ホス
フィン等が好ましい。
【0029】また、燐化合物としては下記一般式又は
で示される環式ホスファイト類も使用し得る。
【0030】
【化1】
【0031】これらの燐化合物は、通常、パラジウム化
合物のパラジウム1グラム原子に対して0.1〜100
モル程度、好ましくは1〜50モル程度の割合で使用さ
れるが、必ずしも上記範囲に限定されるものではない。
【0032】本発明の共役アルカジエンと水との反応
は、上記の如きパラジウム化合物及び燐化合物を触媒と
して使用し、二酸化炭素の存在下に行われる。
【0033】本発明で使用される二酸化炭素は、反応系
で二酸化炭素として存在するものであれば良く、特にそ
の供給形態は問わない。例えば、分子状の二酸化炭素、
炭酸、炭酸塩、重炭酸塩、或いは二酸化炭素又は炭酸と
アミンとの付加物等を用いることができる。二酸化炭素
の使用量の上限は経済的な理由により決定されるもので
あり、過剰に使用しても特に反応が阻害されることはな
い。通常、二酸化炭素はパラジウム化合物のパラジウム
1グラム原子に対して1モル以上、好ましくは10モル
以上使用される。
【0034】共役アルカジエンと水との反応は、反応を
円滑に行うために、共役アルカジエンと水とを、これら
両者を少なくとも部分的に溶解する溶媒中に混合して行
うのが好ましく、かかる反応溶媒としては、従来より公
知の種々の溶媒を使用できる。例えば、ジエチルエーテ
ル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコ
ールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメ
チルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチル
ケトン、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、
エチル−n−ブチルケトン等のケトン類、アセトニトリ
ル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル
類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等
の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等
のアルカン類、ヘキセン、オクテン等のアルケン類、ジ
メチルスルホキシド等のスルホキシド類、スルホラン等
のスルホン類、ニトロベンゼン、ニトロメタン等のニト
ロ化合物、ピリジン、α−ピロリン等のピリジン誘導
体、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピ
ルアミン等のアミン類、アセトアミド、プロピオンアミ
ド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミ
ド類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イ
ソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t
−ブタノール、n−オクタノール等のアルコール類、蟻
酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等のカルボン酸類などが
例示される。かかる溶媒を使用する場合には、これらを
単独で用いても、混合溶媒として用いても良い。
【0035】共役アルカジエンと水との反応温度は、室
温から約180℃までの広い範囲から選択することがで
きるが、好ましくは50〜130℃、より好ましくは6
0〜100℃の範囲である。また、反応圧力は、常圧か
ら約200kg/cm2 までの広い範囲から選択するこ
とができるが、3〜70kg/cm2 の範囲とするのが
好ましい。反応に際しては、特公昭50−10565号
公報に開示されているように、反応系内に二酸化炭素の
他にヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを共存させるこ
とも可能である。
【0036】本発明においては、以上に説明した反応原
料、反応条件にて共役アルカジエンと水とを反応させ
て、アルカジエノール類を生成させる。この反応により
得られる反応生成液中には、触媒、主生成物であるアル
カジエノール、副生成物のアルカトリエン類、ジアルカ
ジエニルエーテル類、有機カルボン酸及びエステル類、
並びに溶媒、未反応の共役アルカジエン及び水等が含有
されている。原料共役アルカジエンが1,3−ブタジエ
ンの場合、主生成物としてはオクタ−2,7−ジエン−
1−オールが、副生成物としてはオクタ−1,7−ジエ
ン−3−オール、オクタトリエン類、ジオクタジエニル
エーテル類及び有機カルボン酸等が生成する。なお、副
生成物の生成量は、反応条件に依存し、通常、共役アル
カジエンの基準でそれぞれ数モルパーセント内外であ
る。
【0037】本発明方法においては、上記反応生成液の
少なくとも一部を、炭素数1〜8のアルコール及び水、
好ましくは、炭素数1〜8のアルコール、炭素数1〜8
のケトン及び水と接触させて燐化合物を晶出させる。
【0038】なお、この晶析処理に先立ち、反応生成液
中のアルカジエノール類の一部又は大部分を蒸留等の手
段で分離して反応生成液を濃縮することにより、反応生
成液に対する燐化合物の溶解量を低減するのが好まし
い。また、反応に溶媒を使用した場合には、反応生成液
から溶媒も蒸留分離しておくことが好ましい。このと
き、高沸点副生物は、一般に、濃縮された反応生成液中
に残留するようになる。本発明においては、このような
濃縮処理を行うことにより、パラジウム錯体がパラジウ
ム換算濃度で10〜10000重量ppm、好ましくは
50〜10000重量ppm、燐化合物濃度が0.1〜
40重量%、好ましくは1〜30重量%程度となるよう
に濃縮しておくことが好ましい。以下、このような濃縮
処理を施した反応生成液を「抜出触媒液」と称する場合
がある。
【0039】晶析処理に用いる炭素数1〜8のアルコー
ルとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコ
ール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミル
アルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコー
ル、オクチルアルコール、エチレングリコール、エチレ
ングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール
モノエチルエーテル、グリセリン等が挙げられる。これ
らのうち、好ましいものは、メチルアルコール、エチル
アルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリ
コールモノエチルエーテルなどの炭素数1〜4のアルコ
ール、特に好ましいものはメタノール、エタノール、イ
ソプロパノールである。
【0040】一方、炭素数1〜8のケトンとしては、例
えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケト
ン、メチルイソプロピルケトン、エチル−n−ブチルケ
トン、イソプロピル−n−ブチルケトン等が挙げられ
る。これらのうち、好ましいものは、アセトン、メチル
エチルケトン等の炭素数1〜4のケトンである。
【0041】これらのアルコール及びケトンは、単独で
用いても良く、また、各々混合物として用いても良い。
【0042】本発明において、上記アルコール及びケト
ンは、有機相である反応生成液、好ましくは抜出触媒液
と水相の一部或いは全部とを混合するために使用され、
この結果、系全体への燐化合物の溶解度が低く押えられ
る。
【0043】晶析処理におけるアルコール、ケトン及び
水の使用量は、抜出触媒液に対してアルコール、ケトン
及び水の合計量で通常0.1重量倍以上、好ましくは、
1〜50重量倍程度である。ケトンを使用する場合のア
ルコール及び水の合計量に対するケトンの割合(ケトン
/アルコール及び水の合計量)は重量比で0.1/9
9.9以上、特に1/99〜1/1とするのが好まし
い。また、アルコールに対する水の割合(水/アルコー
ル)は、重量比で0.1/99.9以上、特に1/99
〜40/60とするのが好ましい。
【0044】抜出触媒液に対するアルコール、ケトン及
び水の合計量、アルコールに対する水の割合が多過ぎる
と、二相分離した有機相の割合が増え、有機相側に燐化
合物が多量に溶解し、その回収率を低下させる。また、
抜出触媒液に対するアルコール、ケトン及び水の合計
量、アルコールに対する水の割合が少な過ぎると、溶解
する燐化合物が比較的高濃度になり、やはり、回収率が
低下する。また、アルコール及び水の合計に対するケト
ンの割合が少な過ぎると二相分離した有機相の割合が増
え、有機相側に燐化合物が多量に溶解し、多過ぎると溶
解する燐化合物が比較的高濃度になり、いずれの場合も
燐化合物の回収率が低下する。
【0045】また、本発明方法においては、上記反応生
成液の少なくとも一部、特に、上記した抜出触媒液を炭
素数1〜8のアルコール及び水の存在下に、90℃以下
の温度で還元剤と接触させてパラジウム錯体を晶出させ
る。
【0046】この還元処理に用いる炭素数1〜8のアル
コールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルア
ルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ア
ミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコ
ール、オクチルアルコール、エチレングリコール、エチ
レングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコー
ルモノエチルエーテル、グリセリン等が挙げられる。こ
れらのうち、好ましいものは、メチルアルコール、エチ
ルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコー
ル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテルなどの炭素数1〜4のア
ルコール、特に好ましいものはメタノール、エタノー
ル、イソプロパノールである。
【0047】これらのアルコールは、単独で用いても良
く、また、各々混合物として用いても良い。
【0048】本発明において、上記アルコールは、有機
相である反応生成液、好ましくは抜出触媒液と水相の一
部或いは全部とを混合するために使用され、この結果、
系全体へのパラジウム錯体の溶解度が低く押えられる。
【0049】還元処理におけるアルコール及び水の使用
量は、抜出触媒液に対してアルコール及び水の合計量で
通常0.1重量倍以上、好ましくは、1〜50重量倍程
度である。また、アルコールに対する水の割合(水/ア
ルコール)は、重量比で0.1/99.9以上、特に1
/99〜40/60とするのが好ましい。
【0050】抜出触媒液に対するアルコール及び水の合
計量、アルコールに対する水の割合が多過ぎると、二相
分離した有機相の割合が増え、有機相側にパラジウム錯
体が多量に溶解し、その回収率を低下させる。また、抜
出触媒液に対するアルコール及び水の合計量、アルコー
ルに対する水の割合が少な過ぎると、溶解するパラジウ
ム錯体が比較的高濃度になり、やはり、回収率が低下す
る。
【0051】本発明において用いられる還元剤としては
水素原子放出性の還元剤が好適であり、例えば、分子状
水素、ナトリウムボロハイドライド、リチウムアルミニ
ウムハイドライド、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、ギ
酸、ギ酸エステル、イソプロピルアルコール等が挙げら
れる。
【0052】該還元剤の使用量としては、通常、パラジ
ウムに対して1〜1000倍当量、好ましくは10〜1
00倍当量の範囲である。
【0053】本発明における具体的な還元処理条件は、
他の処理温度、圧力、時間等の条件に相互に依存する
が、好ましい処理温度は0〜90℃、特に好ましくは0
〜70℃の範囲であり、分子状水素を用いる場合の処理
圧力は水素分圧で通常0.1kg/cm2 G以上、好ま
しくは、1〜100kg/cm2 Gの範囲である。ま
た、処理時間は通常0〜10時間、好ましくは、0〜3
時間の範囲である。
【0054】これらの処理条件のうち、特に、処理温度
は90℃以下である必要がある。処理温度が90℃を超
えると、パラジウム錯体がメタル化してしまうという問
題がある。また、分子状水素を用いる場合の水素処理圧
力が0.1kg/cm2 Gより低い場合には、期待され
るパラジウム錯体の晶出量を達成することができない。
逆に、水素処理圧力が100kg/cm2 Gを超える
と、水素ガス圧縮機の電気代が高くなり、容器の耐圧能
力も高くする必要性が生じ、工業的に不利である。ま
た、処理時間は長過ぎると水素処理反応器の内容積が大
きくなってしまい設備建設費が高騰する。
【0055】なお、還元処理により、パラジウム錯体を
晶出させた後、更に液温を下げることにより、該錯体の
晶出量を増加させることができる。
【0056】還元処理に用いられる水素は、高純度の水
素ガスが好ましいが、メタン、窒素などの不純物を含有
していても良い。
【0057】なお、上記燐化合物の晶析処理を還元処理
によるパラジウム錯体の晶析処理と同時に行っても良
い。即ち、本発明方法において、アルコール及び水の存
在下での還元処理により、反応生成液、好ましくは抜出
触媒液からパラジウム錯体及び燐化合物を同時に晶出さ
せ、濾過又はデカンテーション等の公知技術により容易
に分離回収することができる。分離回収されたパラジウ
ム錯体及び燐化合物の一部又は全部は、必要に応じて前
記反応溶媒に溶解して再び共役アルカジエンと水との反
応に使用することができる。
【0058】
【作用】反応生成液をアルコール及び水、或いは更にケ
トンと接触させることにより、燐化合物の溶解度を効果
的に低減して、燐化合物を効率的に析出させて回収する
ことができる。また、アルコール及び水の存在下に90
℃以下の温度で還元処理することにより、パラジウムの
メタル化を防止して、パラジウム錯体及び燐化合物の溶
解度を効果的に低減させることができ、これらを効率的
に析出させて回収することができる。
【0059】なお、本発明において、触媒として使用さ
れるパラジウム化合物は、多くの場合、反応系において
錯体の形態となる。また、触媒としてパラジウム錯体を
用いた場合、このパラジウム錯体が反応系内で異なる形
態のパラジウム錯体となる場合もある。いずれの場合に
おいても、パラジウム化合物は、反応生成液からパラジ
ウム錯体として回収される。
【0060】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0061】実施例1 10リットル容のステンレス製の電磁誘導撹拌機付きオ
ートクレーブに、ビス(アセチルアセトン)パラジウム
2.86g(9.4mmol)、トリ(o−トリル)ホ
スフィン34.4g(113mmol)、1,3−ブタ
ジエン1000g、水320g及びアセトン2587g
を仕込み、二酸化炭素で20kg/cm2 Gに加圧し、
75℃で3時間反応させた。
【0062】反応生成液より常圧蒸留でアセトンを分離
し、蒸留残液を静置後油水分離し、ヒドロキシオクタジ
エン類とパラジウム触媒を含む油相を得た。
【0063】次いで、この油相を減圧薄膜蒸発装置に連
続的に供給し、ヒドロキシオクタジエン類を含む流出液
と、パラジウム触媒、ジオクタジエニルエーテル等の高
沸点成分を含む蒸留残液とに分離した。薄膜蒸発装置
は、圧力20mmHg、ヒータ温度140℃、液温13
0℃、触媒液基準の滞留時間1分で操作した。
【0064】この蒸留分離で得られた、パラジウム原子
49.55mg、トリ−(o−トリル)ホスフィン1.
4gを含有する、パラジウム濃度7079重量ppm、
トリ−(o−トリル)ホスフィン濃度20重量%のジオ
クタジエニルエーテルを主体とする蒸発残液(抜出触媒
液)7gに、溶媒としてメタノール58g、水25g、
アセトン10gを添加した。この液全てを内容積200
mlの電磁誘導撹拌式オートクレーブ中に仕込み、70
℃、水素圧25kg/cm2 Gで3時間水素処理した。
その後、処理液(この処理液はパラジウム原子4.95
5mg、トリ−(o−トリル)ホスフィン140mgを
含有する)10gを抜き出し、15℃まで冷却した。2
時間後、この水素処理液を孔径0.1μmのメンブラン
フィルターで濾過したところ、9.85gの濾液が得ら
れ、メンブランフィルター上には黄色結晶が得られた。
【0065】濾液中のパラジウム濃度をICP発光分光
法により測定したところ、17重量ppmであり、パラ
ジウムとして0.167mgが濾液中に存在した。一
方、メンブランフィルター上にはメタル状のパラジウム
は認められず、このことから、フィルター上の黄色結晶
中には、水素処理液中のパラジウムの97%が含有され
て回収されたことが確認された。
【0066】また、濾液中のトリ−(o−トリル)ホス
フィン濃度をガスクロマトグラフィーで測定したとこ
ろ、0.14重量%であり、13.79mgのトリ−
(o−トリル)ホスフィンが濾液中に存在した。このこ
とから、フィルター上の黄色結晶中には、水素処理液中
のトリ−(o−トリル)ホスフィンの90%が含有され
ていることが確認された。
【0067】実施例2 実施例1と同様の方法で得られたパラジウム原子67m
g、トリ−(o−トリル)ホスフィン4.00gを含有
する、パラジウム濃度3350重量ppm、トリ−(o
−トリル)ホスフィン濃度20重量%のジオクタジエニ
ルエーテルを主体とする蒸発残液(抜出触媒液)20.
0gに、イソプロピルアルコール70.0g、水10.
0gを添加した。この液全量を内容積200mlの電磁
誘導撹拌式オートクレーブ中にて、70℃、水素圧50
kg/cm2 Gで3時間水素処理した。処理液を抜き出
し、15℃まで冷却した。2時間後、この水素処理液を
孔径0.1μmメンブランフィルターで濾過したとこ
ろ、98.33gの濾液が得られ、メンブランフィルタ
ー上には実施例1と同様、黄色結晶が得られた。
【0068】濾液中のパラジウム濃度をICP発光分光
法により測定したところ、15重量ppmであり、パラ
ジウムとして1.47mgが濾液中に存在した。また、
メンブランフィルター上にはメタル状のパラジウムは認
められなかった。濾液中へのパラジウムのロス率は2%
であったので、水素処理液から黄色結晶中へのパラジウ
ムの回収率は98%となる。
【0069】また、濾液中のトリ−(o−トリル)ホス
フィン濃度をガスクロマトグラフィーで測定したとこ
ろ、1.10重量%であり、1.08gのトリ−(o−
トリル)ホスフィンが濾液中に存在した。濾液中へのト
リ−(o−トリル)ホスフィンのロス率は27%であっ
たので、黄色結晶中へのトリ−(o−トリル)ホスフィ
ンの回収率は73%となる。
【0070】比較例1 実施例1と同様の方法で得られたパラジウム原子351
mg、トリ−(o−トリル)ホスフィン20gを含有す
る、パラジウム濃度3511重量ppm、トリ−(o−
トリル)ホスフィン濃度20重量%のジオクタジエニル
エーテルを主体とする蒸発残液(抜出触媒液)100g
を、内容積200mlの電磁誘導撹拌式オートクレーブ
中にて、70℃、水素圧20kg/cm2 Gで3時間水
素処理した。処理液を抜き出し、孔径0.1μmメンブ
ランフィルターで濾過したところ、82.5gの濾液が
得られ、メンブランフィルター上に黄色結晶が得られ
た。
【0071】濾液中のパラジウム濃度をICP発光分光
法により測定したところ、558重量ppmであり、パ
ラジウムとして46.03mgが濾液中に存在した。濾
液へのパラジウムのロス率は13%であるので、水素処
理液からの黄色結晶中へのパラジウムの回収率は87%
になる。
【0072】また、濾液中のトリ−(o−トリル)ホス
フィン濃度をガスクロマトグラフィーで測定したとこ
ろ、10.5重量%であり、9.39gのトリ−(o−
トリル)ホスフィンが濾液中に存在した。濾液中へのト
リ−(o−トリル)ホスフィンのロス率は46.9%で
あるので、水素処理液から黄色結晶中へのトリ−(o−
トリル)ホスフィンの回収率は53.1%となる。
【0073】比較例2 実施例1と同様の方法で得られたパラジウム原子300
mg、トリ−(o−トリル)ホスフィン20gを含有す
る、パラジウム濃度3000重量ppm、トリ−(o−
トリル)ホスフィン濃度20重量%のジオクタジエニル
エーテルを主体とする蒸発残液(抜出触媒液)100g
を、内容積200mlの電磁誘導撹拌式オートクレーブ
中にて、110℃、水素圧20kg/cm2 Gで3時間
水素処理した。処理液を抜き出し、孔径0.1μmメン
ブランフィルターで濾過したところ、82.50gの濾
液が得られた。
【0074】濾液中のパラジウム濃度をICP発光分光
法により測定したところ、132重量ppmであり、パ
ラジウムとして10.9mgが濾液中に存在した。ま
た、メンブランフィルター上にはメタル状のパラジウム
を含有する黒色沈澱物が濾別された。
【0075】この黒色沈澱物をアセトンで洗い、パラジ
ウム錯体を完全に除去した後、残査をICP発光分光法
により分析したところ、39mgのパラジウムが含まれ
ていた。メタル化によるロス率及び濾液へのロス率を合
計すると水素処理液中のパラジウムの17重量%であっ
たので、回収率は83%となる。
【0076】また、濾液中のトリ−(o−トリル)ホス
フィン濃度をガスクロマトグラフィーで測定したとこ
ろ、10.5重量%であり、9.39gのトリ−(o−
トリル)ホスフィンが濾液中に存在した。濾液中へのト
リ−(o−トリル)ホスフィンのロス率は46.9%で
あるので水素処理液からのトリ−(o−トリル)ホスフ
ィンの回収率は53.1%となる。
【0077】実施例3〜7 蒸発残液(抜出触媒液)中のパラジウム濃度及びホスフ
ィン濃度、ホスフィンの種類及び水素処理時の溶媒の種
類及び量比等を表1に示すものに変えたこと以外は、実
施例1と同様に操作を行い、濾液中のホスフィン濃度を
実施例1と同様にして測定し、各々回収率を求めた。
【0078】結果を実施例1,2及び比較例1,2の結
果と共に表1に示した。
【0079】なお、本実施例及び後掲の実施例8,9に
おいては、ホスフィン濃度の測定を行なって回収率を求
めているが、前述の如く、ホスフィンの回収率が高い場
合には、同様にパラジウム錯体の回収率も高く、従っ
て、ホスフィンの回収率を調べることにより、十分にパ
ラジウム錯体の回収効率の良否を判断することができ
る。
【0080】
【表1】
【0081】実施例8 メタノールと水とを重量比7:3で混合した混合溶媒A
を調製し、実施例1で得られた蒸発残液(抜出触媒液)
が全体の20重量%になるように、混合溶媒Aと蒸発残
液とアセトンとを200ml容の丸底フラスコに仕込ん
で混合し、その後、実施例1と同様にして水素処理を行
った後、15℃まで冷却した。2時間後、孔径0.1μ
mメンブランフィルターで濾過し、濾液中のトリ−(o
−トリル)ホスフィン濃度をガスクロマトグラフィーで
測定して、この結果からトリ−(o−トリル)ホスフィ
ンの回収率を算出した。アセトンの量比を種々変えて同
様の実験を行い、結果を図1に示した。
【0082】実施例9 実施例1で得られた蒸発残液(抜出触媒液)が全体の2
0重量%、アセトンが全体の15重量%、メタノールと
水とを混合した混合溶媒Bが全体の65重量%になるよ
うに200ml丸底フラスコに仕込んで混合し、その
後、実施例1と同様にして水素処理を行った後、15℃
まで冷却した。2時間後、孔径0.1μmメンブランフ
ィルターで濾過し、濾液中のトリ−(o−トリル)ホス
フィン濃度をガスクロマトグラフィーで測定して、この
結果からトリ−(o−トリル)ホスフィンの回収率を算
出した。混合溶媒Bのメタノールと水の重量比を種々変
えて同様の実験を行い、結果を図2に示した。
【0083】なお、上記実施例で回収された黄色結晶を
再びオートクレーブに入れ、実施例1におけると同様の
1,3−ブタジエンの水和二量化反応に用いたところ、
その触媒活性は殆ど低下していないことが確認された。
【0084】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の燐化合物又
はパラジウム錯体の取得方法によれば、パラジウム化合
物及び燐化合物よりなる触媒並びに二酸化炭素の存在下
に、共役アルカジエンと水とからアルカジエノール類を
製造する方法において、反応で副生する高沸点物質と触
媒とを、触媒としての有効性をを損なうことなく効率的
に分離して、燐化合物、或いは、パラジウム錯体及び燐
化合物を共に高い回収率で回収することができ、回収し
た燐化合物、或いは、パラジウム錯体及び燐化合物を反
応系に有効再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例8の結果を示すグラフである。
【図2】実施例9の結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉田 壮一郎 岡山県倉敷市潮通3丁目10番地 三菱化学 株式会社水島開発研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パラジウム化合物及び燐化合物よりなる
    触媒並びに二酸化炭素の存在下に共役アルカジエンと水
    とを反応させてアルカジエノール類を製造する方法にお
    いて、反応により得られる反応生成液の少なくとも一部
    を、炭素数1〜8のアルコール及び水と接触させて燐化
    合物を晶出させることを特徴とする燐化合物の取得方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法において、反応生
    成液の少なくとも一部を、炭素数1〜8のアルコール、
    炭素数1〜8のケトン及び水と接触させることを特徴と
    する燐化合物の取得方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の方法において、
    アルコールが炭素数1〜4のアルコールであることを特
    徴とする燐化合物の取得方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の方法において、アルコ
    ールがメタノール、エタノール又はイソプロピルアルコ
    ールであることを特徴とする燐化合物の取得方法。
  5. 【請求項5】 請求項2ないし4のいずれか1項に記載
    の方法において、ケトンがアセトンであることを特徴と
    する燐化合物の取得方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1項に記載
    の方法において、燐化合物がトリアリールホスフィンで
    あることを特徴とする燐化合物の取得方法。
  7. 【請求項7】 パラジウム化合物及び燐化合物よりなる
    触媒並びに二酸化炭素の存在下に共役アルカジエンと水
    とを反応させてアルカジエノール類を製造する方法にお
    いて、反応により得られる反応生成液の少なくとも一部
    を、炭素数1〜8のアルコール及び水の存在下に、90
    ℃以下の温度で還元剤と接触させてパラジウム錯体を晶
    出させることを特徴とするパラジウム錯体の取得方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の方法において、アルコ
    ールが炭素数1〜4のアルコールであることを特徴とす
    るパラジウム錯体の取得方法。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の方法において、アルコ
    ールがメタノール、エタノール又はイソプロピルアルコ
    ールであることを特徴とするパラジウム錯体の取得方
    法。
  10. 【請求項10】 請求項7ないし9のいずれか1項に記
    載の方法において、燐化合物がトリアリールホスフィン
    であることを特徴とするパラジウム錯体の取得方法。
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