JPH0827448A - 接着剤用ラテックス及びそれを用いたクロロプレン系接着剤組成物 - Google Patents

接着剤用ラテックス及びそれを用いたクロロプレン系接着剤組成物

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JPH0827448A
JPH0827448A JP6318644A JP31864494A JPH0827448A JP H0827448 A JPH0827448 A JP H0827448A JP 6318644 A JP6318644 A JP 6318644A JP 31864494 A JP31864494 A JP 31864494A JP H0827448 A JPH0827448 A JP H0827448A
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正 林
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来のラテックス系接着剤では得られなかっ
た常温接着力、高温接着力、軟化温度、耐水性等の接着
物性とラテックス安定性の両物性ともに優れた接着剤用
ラテックス及びそれを用いた接着剤組成物を提供する。 【構成】 クロロプレン単量体とカルボキシル基含有ビ
ニル単量体との共重合体であって、分子量の異なる該共
重合体を含む2種類以上のラテックスの混合物からなる
接着剤用ラテックス及びそれを用いたクロロプレン系接
着剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、クロロプレン単量体と
カルボキシル基含有ビニル単量体との共重合体であっ
て、分子量の異なる該共重合体を含む2種類以上のラテ
ックスの混合物からなる接着剤用ラテックスに関し、さ
らに詳しくは2種類以上のラテックスを混合することで
高い接着性能が得られ、かつ優れたラテックス安定性を
有する接着剤用ラテックス及びそれを用いた接着剤組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】クロロプレンとアクリル酸、メタクリル
酸のごときカルボキシル基含有ビニル単量体との共重合
体ラテックスを製造する方法は、特開昭61−1271
0号、特開昭62−257918号などで知られてい
る。また、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子を
乳化・分散剤として用いた接着剤用ラテックスを製造す
る方法及びそれを用いた接着剤については、特公昭52
−13983号、特公昭61−29968号などで知ら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法で製造されたラテックスを単独で用いた場合に下
記のような問題がある。
【0004】1)連鎖移動剤を用いた1度の重合で得ら
れる該共重合体を含むラテックス単独では十分な接着物
性を得ることができない。例えば、有機溶剤可溶部が重
量平均分子量が50万〜80万である該共重合体単独
や、5%クロロホルム溶液が有機溶剤不溶部を含まない
溶液でその溶液粘度が500mPa・s以上である該共
重合体単独では常温強度が満足するものではなく、ま
た、有機溶剤可溶部の重量平均分子量が20万〜50万
である該共重合体単独や、5%クロロホルム溶液が有機
溶剤不溶部を含まない溶液でその溶液粘度が500mP
a・s以下である該共重合体単独では高温剥離強度等で
表される耐熱性に劣るものである。
【0005】2)ロジン酸アルカリ金属塩のごとき高い
pH域において良好なラテックス安定性を有する乳化剤
を用いて製造を行った場合には、クロロプレン系接着剤
として必須の副成分である粘着付与剤、金属酸化物など
を配合する際の僅かなpHの変動でゴムが析出するため
pHの調整を極めて慎重に行わなければならず操作上煩
わしい。また、ポリビニルアルコールのごとき水溶性高
分子を用いて製造を行った場合には、その保護コロイド
性から優れたラテックスの安定性を示すが、水溶性高分
子であるために接着剤として使用した際にその耐水性が
著しく低下する。
【0006】本発明は、上記した問題点に鑑みてなされ
たものであり、その目的は、従来のラテックス系接着剤
では得られなかった常温接着力、高温接着力、軟化温
度、耐水性等の接着物性とラテックス安定性の両物性と
もに優れた接着剤組成物及びその目的に適した接着剤用
ラテックスを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、クロロプレン単
量体とカルボキシル基含有ビニル単量体との共重合体で
あって、分子量の異なる該共重合体を含む2種類以上の
ラテックスの混合物からなる接着剤用ラテックスを用い
ることによって、得られる接着剤組成物が良好な接着物
性を示すことを見いだし、本発明を完成するに至ったも
のである。
【0008】以下、本発明についてさらに詳細に説明す
る。
【0009】本発明である接着剤用ラテックスは、クロ
ロプレン単量体とカルボキシル基含有ビニル単量体との
共重合体であって、分子量の異なる該共重合体を含む2
種類以上のラテックスの混合物からなるものである。
【0010】本発明においては、分子量の異なる所定の
共重合体を含む2種類以上のラテックスの混合物からな
ることにより、常温接着力、高温接着力、軟化温度、耐
水性等の接着物性とラテックス安定性の点で優れている
接着剤用ラテックスが得られる。
【0011】本発明において混合されるラテックスは、
クロロプレン単量体とカルボキシル基含有ビニル単量体
との共重合体と、それ以外には乳化・分散剤、連鎖移動
剤、重合停止剤、水等の通常配合されるものを含むもの
である。さらに、それぞれのラテックスにおけるクロロ
プレン単量体とカルボキシル基含有ビニル単量体との共
重合体の分子量が異なるものである。
【0012】混合に用いられるクロロプレン単量体とカ
ルボキシル基含有ビニル単量体との共重合体は、それぞ
れの共重合体の分子量が異なるものであれば、有機溶剤
可溶部の重量平均分子量については特に限定するもので
はないが、連鎖移動剤を用いた1度の重合で得られる該
重合体では十分な接着物性を得ることができないため、
連鎖移動剤の添加量を調節して得られる有機溶剤可溶部
の重量平均分子量が20万〜50万であるクロロプレン
単量体とカルボキシル基含有ビニル単量体との共重合体
と、有機溶剤可溶部の重量平均分子量が50万〜80万
であるクロロプレン単量体とカルボキシル基含有ビニル
単量体との共重合体を混合することが好ましい。
【0013】また、5%クロロホルム溶液が有機溶剤不
溶部を含まない溶液でその溶液粘度が500mPa・s
以上であるクロロプレン単量体とカルボキシル基含有ビ
ニル単量体との共重合体と、5%クロロホルム溶液が有
機溶剤不溶部を含まない溶液でその溶液粘度が500m
Pa・s以下であるクロロプレン単量体とカルボキシル
基含有ビニル単量体との共重合体を混合することが好ま
しい。ここに、5%クロロホルム溶液が有機溶剤不溶部
を含まない溶液でその溶液粘度が500mPa・s以上
であるとは、例えば、B型粘度計を使用し、23℃の温
度条件下、12rpm、60秒間、No.3ローターに
おいて測定を行った結果、その溶液粘度が500mPa
・s以上であることをいう。
【0014】混合される共重合体の乾燥重量比は特に限
定するものではないが、良好な接着物性を示す接着剤用
ラテックスを得るためには、例えば、有機溶剤可溶部の
重量平均分子量が20万〜50万であるクロロプレン単
量体とカルボキシル基含有ビニル単量体との共重合体
と、有機溶剤可溶部の重量平均分子量が50万〜80万
であるクロロプレン単量体とカルボキシル基含有ビニル
単量体との共重合体の乾燥重量比が90:10〜10:
90の割合で混合することが好ましく、また、5%クロ
ロホルム溶液が有機溶剤不溶部を含まない溶液でその溶
液粘度が500mPa・s以上であるクロロプレン単量
体とカルボキシル基含有ビニル単量体との共重合体と、
5%クロロホルム溶液が有機溶剤不溶部を含まない溶液
でその溶液粘度が500mPa・s以下であるクロロプ
レン単量体とカルボキシル基含有ビニル単量体との共重
合体の乾燥重量比が90:10〜10:90の割合で混
合することが好ましい。
【0015】上記のように、分子量の異なるクロロプレ
ン単量体とカルボキシル基含有ビニル単量体との共重合
体を含むラテックスを混合する方法は特に限定するもの
ではなく、適宜実施すればよい。
【0016】共重合体に用いられるカルボン酸のカルボ
キシル基含有ビニル単量体としては特に限定するもので
はなく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル
酸、マレイン酸、クロトン酸等の不飽和脂肪酸等があげ
られる。
【0017】クロロプレン単量体とカルボキシル基含有
ビニル単量体との共重合体を得るための重合方法として
は特に限定するものではなく通常用いられる方法であれ
ばよい。例えば、クロロプレンとカルボキシル基含有ビ
ニル単量体及び必要に応じてその他の共重合可能なエチ
レン性不飽和単量体を酸性雰囲気下乳化重合等の方法が
あげられる。
【0018】クロロプレン単量体とカルボキシル基含有
ビニル単量体の重合の割合は特に限定するものではない
が、メタクリル酸をクロロプレン100重量部に対し
0.1〜10重量部が好ましく、さらに0.5〜4重量
部が好ましい。
【0019】ここに、共重合可能なエチレン性不飽和単
量体としては特に限定するものではなく、例えば、エチ
レン、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、2,3
−ジクロロブタジエン、1−クロロブタジエン等の通常
クロロプレンの共重合に用いられる単量体があげられ
る。この共重合可能なエチレン性不飽和単量体として
は、必要に応じて、例えば、20重量部以下の量が用い
られる。
【0020】重合に使用する乳化・分散剤としては特に
限定するものではなく、例えば、スルフォン酸型の乳化
剤、ノニオン型の乳化剤が用いられ、例えば炭素数が8
〜20個のアルキルスルフォネート、アルキルアリール
サルフェート、ナフタリンスルフォン酸ナトリウムとホ
ルムアルデヒドとの縮合物、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、
ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアシル
エステル等であり、好ましくはアルキルジフェニルエー
テルジスルフォン酸のアルカリ金属塩及びトリエタノー
ルアミン塩、ドデシルベンゼンスルフォン酸のアルカリ
金属塩及びトリエタノールアミン塩、ラウリル硫酸のア
ルカリ金属塩及びトリエタノールアミン塩等が用いられ
る。
【0021】重合開始剤としては、通常用いられる有機
または無機の過酸化物であれば特に限定するものではな
く、例えば、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫
酸アンモニウム等を用いればよい。
【0022】重合温度は特に限定するものではないが、
0〜80℃の範囲で行うことができ、8〜40℃の範囲
が好ましい。
【0023】重合停止剤としては、通常用いられる停止
剤であれば特に限定するものではなく、例えば、フェノ
チアジン、2,6−ターシャリーブチルヒドロキシルト
ルエン、ヒドロキシルアミン等を用いればよい。
【0024】連鎖移動剤としては、例えば、アルキルメ
ルカプタン、ハロゲン化炭化水素、アルキルザントゲン
ジスルフィド及びイオウ等の分子量調節剤を添加し、分
子量がコントロールされる。
【0025】接着剤用ラテックスにラテックス安定性を
付与するために、乳化・分散剤を添加することが好まし
い。乳化・分散剤を添加する時期としては特に限定する
ものではなく、重合仕込み時に一括添加する方法、重合
中に添加する方法及び重合終了時に添加する方法がある
が、安定性をより付与するため、重合中に転化率が50
〜90%に達した時点で添加するのが好ましい。使用す
る添加量としては特に限定するものではないが、仕込み
単量体100重量部に対して1〜10重量部、好ましく
は3〜5重量部が用いられる。5重量部以上ではラテッ
クス安定性は確保できるが、接着剤として供した場合に
耐水性の低下を示す。
【0026】ここに、乳化・分散剤としては特に限定す
るものではなく、例えば、ロジン酸のアルカリ金属塩、
スルフォン酸型の乳化剤、ノニオン型の乳化剤等があげ
られ、例えば、炭素数が8〜20個のアルキルスルフォ
ネート、アルキルアリールサルフェート、ナフタリンス
ルフォン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの縮合物、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチ
レンアルキルフェノール、ソルビタン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンアシルエステル等であり、アルキル
ジフェニルエーテルジスルフォン酸のアルカリ金属塩及
びトリエタノールアミン塩、ドデシルベンゼンスルフォ
ン酸のアルカリ金属塩及びトリエタノールアミン塩、ラ
ウリル硫酸のアルカリ金属塩及びトリエタノールアミン
塩等が好ましい。
【0027】本発明において、それぞれ分子量の異なる
クロロプレン単量体とカルボキシル基含有ビニル単量体
との共重合体を得る方法は特に限定するものではなく、
例えば、連鎖移動剤を変量して得る方法等があげられ
る。
【0028】このようにして得られた接着剤用ラテック
スは単独でも接着剤として用いることができるが、さら
に粘着付与剤及び金属酸化物を添加することによって接
着物性が向上する。
【0029】ここに、粘着付与剤としては特に限定する
ものではなく、例えば、フェノール系樹脂、テルペン系
樹脂、ロジン誘導体樹脂、石油系炭化水素等があげら
れ、例えば、水添ロジン、水添ロジンのペンタエリスリ
トールエステル、重合ロジン、ロジンを主成分とするロ
ジン変性樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フ
ェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、天然テル
ペン樹脂が使用される。
【0030】これらの樹脂は、クロロプレン単量体とカ
ルボキシル基含有ビニル単量体との共重合体100重量
部に対し10〜60重量部、好ましくは20〜40重量
部を用いる。10重量部より少ない場合では粘着性が不
足し十分に接着性能を満足した接着剤とはいえず、60
重量部より多い場合にも粘着性を低下させてしまう。添
加方法としては、有機溶剤に予め溶解して添加してもよ
いが好ましくは、乳化分散したエマルジョンの形態で添
加する。
【0031】本発明における金属酸化物(水酸化物)と
は第II族〜第III族の金属陽イオンの酸化物であ
り、例えば、酸化(水酸化)マグネシウム、酸化(水酸
化)カルシウム、酸化(水酸化)亜鉛等があげられる。
これらの金属酸化物(水酸化物)は、クロロプレン単量
体とカルボキシル基含有ビニル単量体との共重合体10
0重量部に対し1〜5重量部を用いる。1重量部以下で
は十分な接着性能を発現させることができない。また5
重量部より多い場合には粘着性を低下させる。添加方法
としては、乳化分散したエマルジョンの形態で添加する
方法が好ましい。
【0032】本発明である接着剤用ラテックス及び接着
剤組成物の構成を上記の通りとすることにより、従来の
ラテックス系接着剤では得られなかった常温接着力及び
高温接着力、軟化温度、耐水性等の接着物性とラテック
ス安定性の両物性ともに優れたものである。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0034】実施例1〜3、比較例1〜3 表1に示す組成割合で撹拌機付10リットルオートクレ
ーブ中12℃で重合を行い共重合体ラテックスA、B及
びCを得た。この重合は全て窒素雰囲気中、過硫酸カリ
ウム水溶液を連続的に滴下して行った。転化率は約98
%以上で停止剤を加えて重合を停止した。得られたラテ
ックスの性状を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】得られた共重合体ラテックスを表2に示す
組成割合で粘着付与剤及び金属酸化物を配合して接着剤
組成物とした(実施例1〜3、比較例1〜3)。
【0037】
【表2】
【0038】作成した接着剤組成物について常温剥離強
度、高温剥離強度、軟化温度、耐水性、配合安定性及び
機械安定性を下記条件にて測定した。
【0039】<常温剥離強度>60番研磨布にて表面仕
上げしたSBRゴム板(150mm×25mm、昭和ゴ
ム社製)と9号綿帆布(150mm×25mm)のそれ
ぞれの片面に接着剤組成物を刷毛にて約625g/m2
(wet)塗布後、60℃×10分間加熱乾燥を行いハ
ンドローラーを用いて圧締を行った。恒温室において2
3℃×3日間養生して試験片を作成した。試験片を23
℃、引張り速度200mm/minの条件でテンシロン
型引張り試験機を用いて180゜剥離強度を測定した。
【0040】<高温剥離強度>常温剥離強度測定と同様
にして作成した試験片を用いて80℃、引張り速度20
0mm/minの条件でテンシロン型引張り試験機を用
いて180゜剥離強度を測定した。
【0041】<軟化温度>60番研磨布にて表面仕上げ
したSBR(150×25mm、昭和ゴム製)の片面に
接着剤組成物を刷毛にて625g/m2を塗布後、60
℃×10分間加熱乾燥を行い、図1に示すように斜線部
分をポリエチレンシートで覆い、中心部で折り曲げて図
2に示すように斜線部分を切り捨てて接着部分が25×
25mmとなるようにハンドローラーで圧締を行った。
恒温室において23℃×3日間養生して試験片を作成し
た。180゜剥離を行うように試験片の片端を恒温層内
に釣り下げ、他の一端に衝撃を与えないように500g
の重りを取り付け、恒温層内の温度を38℃に保ち15
分間放置してから、5分間に2℃の割合で温度を上昇さ
せた。接着剤が軟化して、重りの荷重に耐えられなくな
り、重りが落下したときの温度(℃)を整数値で読み取
り、接着剤の軟化温度とした。120℃を最終温度と
し、落下しないときは“120℃以上”で示す。また、
落下しないがズレを生じる場合、最終温度でのズレの長
さ(mm)を測定した。
【0042】<耐水性>常温剥離強度測定と同様にして
作成した試験片を純水中23℃×3日間浸漬し後、直ち
に余分な水分を拭き取り23℃、引張り速度200mm
/minの条件でテンシロン型引張り試験機を用いて1
80゜剥離強度を測定した。
【0043】<ラテックス安定性> <配合安定性>接着剤用ラテックスに配合を行うことに
よるゴム析出物の有無を観察した。
【0044】<機械安定性>接着剤組成物の機械安定性
をマーロン試験法を用いてゴム凝固率を測定した。
【0045】これらの測定結果を表3に示す。表3の結
果より、共重合体ラテックス単独では常温剥離強度は良
好であるが軟化温度が低く、また軟化温度は高いが常温
強度が劣ってしまう、また常温強度が低いために耐水性
の低下も認められるのに比べて、トルエン可溶部の重量
平均分子量が20万〜50万である共重合体ラテックス
であるラテックスAとトルエン可溶部の重合平均分子量
が50万〜80万の共重合体ラテックスであるラテック
スB,Cを混合してなる接着剤用ラテックスを用いた接
着剤組成物は、良好な常温剥離強度、高温剥離強度及び
高い軟化温度を示し、耐水性も向上することが認められ
る。
【0046】
【表3】
【0047】実施例4、比較例4〜6 表4に示す組成割合で撹拌機付10リットルオートクレ
ーブ中12℃で重合を行い共重合体ラテックスD,E及
びFを得た。重合は全て窒素雰囲気中、過硫酸カリウム
水溶液を連続的に滴下して行った。転化率は約98%以
上で停止剤を加えて重合を停止した。
【0048】
【表4】
【0049】得られた共重合体ラテックスを表5に示す
組成割合で粘着付与剤配及び金属酸化物を配合して接着
剤組成物とした(実施例4、比較例4〜6)。
【0050】
【表5】
【0051】作成した接着剤の常温剥離強度、高温剥離
強度、軟化温度、耐水性及びラテックス安定性について
実施例1〜3及び比較例1〜3と同様の条件にて測定し
た。
【0052】これらの測定結果を表6に示す。表6に示
すように本発明の接着剤用ラテックスを用いて作成した
接着剤組成物は優れたラテックス安定性と耐水性を有
し、しかも良好な常温剥離強度及び高温剥離強度、高い
軟化点を有していた。比較例6としてあげた水溶性高分
子を乳化・分散剤として用いた接着剤組成物ではラテッ
クス安定性は優れているものの非常に耐水性が劣ってい
た。
【0053】
【表6】
【0054】実施例5〜6、比較例7〜11 表7に示す組成割合で撹拌機付10リットルオートクレ
ーブ中12℃で重合を行い共重合体ラテックスG、H、
I及びJを得た。この重合は全て窒素雰囲気中、過硫酸
カリウム水溶液を連続的に滴下して行った。転化率は約
98%以上で停止剤を加えて重合を停止した。得られた
ラテックスの性状を表7に示す。
【0055】
【表7】
【0056】得られた共重合体ラテックスを表8に示す
組成割合で粘着付与剤及び金属酸化物を配合して接着剤
組成物とした(実施例5〜6、比較例7〜11)。
【0057】
【表8】
【0058】作成した接着剤組成物について常温剥離強
度、高温剥離強度、軟化温度、耐水性、配合安定性及び
機械安定性を実施例1〜3及び比較例1〜3と同様の条
件にて測定した。
【0059】これらの測定結果を表9に示す。表9の結
果より、共重合体ラテックス単独では常温剥離強度は良
好であるが軟化温度が低く、また軟化温度は高いが常温
強度が劣ってしまう、また常温強度が低いために耐水性
の低下も認められるのに比べて、5%クロロホルム溶液
が有機溶剤不溶部を含まない溶液で溶液粘度が500m
Pa・s以上の共重合体ラテックスであるラテックス
H,Iと5%クロロホルム溶液が有機溶剤不溶部を含ま
ない溶液で溶液粘度が500mPa・s以下の共重合体
ラテックスであるラテックスGを混合してなる接着剤用
ラテックスを用いた接着剤組成物は、良好な常温剥離強
度、高温剥離強度及び高い軟化温度を示し、耐水性も向
上することが認められた。
【0060】
【表9】
【0061】実施例7、比較例12〜14 表10に示す組成割合で撹拌機付10リットルオートク
レーブ中12℃で重合を行い共重合体ラテックスK、L
及びMを得た。重合は全て窒素雰囲気中、過硫酸カリウ
ム水溶液を連続的に滴下して行った。転化率は約98%
以上で停止剤を加えて重合を停止した。
【0062】
【表10】
【0063】得られた共重合体ラテックスを表11に示
す組成割合で粘着付与剤配及び金属酸化物を配合して接
着剤組成物とした(実施例7、比較例12〜14)。
【0064】
【表11】
【0065】作成した接着剤の常温剥離強度、高温剥離
強度、軟化温度、耐水性及びラテックス安定性について
実施例1〜3及び比較例1〜3と同様の条件にて測定し
た。
【0066】これらの測定結果を表12に示す。表12
に示すように本発明の接着剤用ラテックスを用いて作成
した接着剤組成物は優れたラテックス安定性と耐水性を
有し、しかも良好な常温剥離強度及び高温剥離強度、高
い軟化点を有していた。比較例12としてあげた水溶性
高分子を乳化・分散剤として用いた接着剤組成物ではラ
テックス安定性は優れているものの非常に耐水性が劣っ
ていた。
【0067】
【表12】
【図面の簡単な説明】
【図1】 軟化温度の測定に用いるスチレン−ブタジエ
ンゴムの試験片。
【図2】 軟化温度の測定に用いるスチレン−ブタジエ
ンゴムの試験片。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロロプレン単量体とカルボキシル基含
    有ビニル単量体との共重合体であって、分子量の異なる
    該共重合体を含む2種類以上のラテックスの混合物から
    なることを特徴とする接着剤用ラテックス。
  2. 【請求項2】 ラテックスの混合物が有機溶剤可溶部の
    重量平均分子量が20万〜50万であるクロロプレン単
    量体とカルボキシル基含有ビニル単量体との共重合体
    と、有機溶剤可溶部の重量平均分子量が50万〜80万
    であるクロロプレン単量体とカルボキシル基含有ビニル
    単量体との共重合体であることを特徴とする請求項1記
    載の接着剤用ラテックス。
  3. 【請求項3】 有機溶剤可溶部の重量平均分子量が20
    万〜50万である該共重合体と有機溶剤可溶部の重量平
    均分子量が50万〜80万である該重合体の乾燥重量比
    が90:10〜10:90であることを特徴とする請求
    項1又は請求項2記載の接着剤用ラテックス。
  4. 【請求項4】 ラテックスの混合物が5%クロロホルム
    溶液において有機溶剤不溶部を含まない溶液で溶液粘度
    が500mPa・s以上であるクロロプレン単量体とカ
    ルボキシル基含有ビニル単量体との共重合体と、5%ク
    ロロホルム溶液において有機溶剤不溶部を含まない溶液
    でその溶液粘度が500mPa・s以下であるクロロプ
    レン単量体とカルボキシル基含有ビニル単量体との共重
    合体のラテックス混合物であることを特徴とする請求項
    1記載の接着剤用ラテックス。
  5. 【請求項5】 5%クロロホルム溶液が有機溶剤不溶部
    を含まない溶液でその溶液粘度が500mPa・s以上
    である該共重合体と、5%クロロホルム溶液が有機不溶
    部を含まない溶液でその溶液粘度が500mPa・s以
    下である該重合体の乾燥重量比が90:10〜10:9
    0であることを特徴とする請求項1又は請求項4記載の
    接着剤用ラテックス。
  6. 【請求項6】 クロロプレン単量体とカルボキシル基含
    有ビニル単量体との共重合体が、ラテックス安定性を付
    与する乳化・分散剤を用いて得られた共重合体であるこ
    とを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか記載
    の接着剤用ラテックス。
  7. 【請求項7】 ラテックス安定性を付与する乳化・分散
    剤がアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸Naで
    あることを特徴とする請求項6記載の接着剤用ラテック
    ス。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし請求項7記載の接着剤用
    ラテックスを含有することを特徴とするクロロプレン系
    接着剤組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし請求項7記載の接着剤用
    ラテックス100重量部に対し、粘着付与剤10〜60
    重量部及び金属酸化物又は金属水酸化物1〜5重量部か
    らなることを特徴とするクロロプレン系接着剤組成物。
  10. 【請求項10】 粘着付与剤がフェノール系樹脂、テル
    ペン系樹脂、ロジン誘導体樹脂又は石油系炭化水素から
    選ばれたものであることを特徴とする請求項9記載のク
    ロロプレン系接着剤組成物。
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