JPH082732B2 - 自動車用空調装置 - Google Patents

自動車用空調装置

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JPH082732B2
JPH082732B2 JP63317351A JP31735188A JPH082732B2 JP H082732 B2 JPH082732 B2 JP H082732B2 JP 63317351 A JP63317351 A JP 63317351A JP 31735188 A JP31735188 A JP 31735188A JP H082732 B2 JPH082732 B2 JP H082732B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、車室内の熱環境状態に応じて吹出範囲ある
いは風速分布を可変制御する自動車用空調装置に関す
る。
従来の技術 従来、吹出範囲あるいは風速分布を可変制御する自動
車用空調装置としては、実開昭56-28419号公報に開示さ
れたものが提案されている。この空調装置は、吹出口に
配設されたフィンの角度を変化させることにより、吹出
風を対象乗員に集中させる集中吹出モードを実行した
り、あるいは吹出風を車室内に拡散させる拡散吹出モー
ドを実行するものであって、室温が設定室温に近接しな
い状態においては、集中吹出モードにより涼感を確保す
るものである。
又、特開昭56-160213号公報に開示されたものにあっ
ては、室温と設定室温との偏差に応じて、集中吹出モー
ドと拡散吹出モードとを切り換えるものであり、いずれ
も乗員周囲の温度が高い場合など、乗員にとって不快な
熱負荷条件下では、集中吹出モードを実行する。これに
より、乗員をより迅速に快適にし、一方乗員周囲の温度
がほぼ快適な温度近辺では、拡散吹出モードにより乗員
への風速を低下させるか、あるいは風速変化を脈動的に
発生させることにより、乗員の快適感を維持するもので
ある。
発明が解決しようとする課題 しかしながら、かかる従来の装置にあっては、前述の
ように乗員周囲温度との関係において、単に集中吹出モ
ード、拡散吹出モード、及び集中吹出モードと拡散吹出
モードとを切り換える脈動風制御を行っているに過ぎな
いことから、以下のような問題点が発生することが判明
した。
すなわち、室温が設定室温に近接した後、前記拡散吹
出モードのみを行った場合、あるいは脈動風において拡
散吹出モードの比率が大きい場合等においては、発汗さ
せた汗の蒸発が不充分となり、乗員に不快感が生じてし
まう。又、前記脈動風における集中吹出モードの比率が
大きい場合には、皮膚温が過剰に低下し、これによて不
快感が生ずる。
又、日射量等の熱負荷が大きい場合には、発汗量が多
いため乗員において、発汗があることが充分に感じられ
る状態となる。このとき、前記脈動風における拡散吹出
モードが長いと、発汗が充分に蒸発しないうちに、拡散
吹出モードに切り替わり、多量の発汗に起因する不快が
生ずるおそれもあった。
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたも
のであり、乗員の皮膚表面に生ずる微小な発汗と、多量
の発汗とを適性に蒸発させることにより、快適性の向上
を図った自動車用空調装置を提供することを目的とする
ものである。
課題を解決するための手段 前記課題を解決するために本発明にあっては、車室内
に空調風を給送する空調装置本体と、前記空調風の吹出
範囲又は風速分布を連続的に可変調整する吹出状態可変
手段とを備えた空調装置において、前記車室内外の熱環
境状態を検出する熱環境検出手段を設けるとともに、該
熱環境検出手段の出力に応じて、前記吹出範囲あるいは
風速分布の少なくとも一方を可変制御する制御手段を設
けてある。
そして、前記熱環境検出手段には、車室内に着座する
乗員が熱環境情報として申告する温冷感、風速感、快適
感のうち少なくとも1つを制御手段に入力する入力手段
を含んでいる。
作用 前記構成において、空調装置本体を作動させると、車
室内に空調風が給送される。一方、入力手段以外の熱環
境検出手段は車室内の熱環境状態を検出し、制御手段に
出力する。すると、該制御手段は、吹出状態可変手段の
吹出範囲、又は風速分布の切換時間を所定の範囲内に制
御し、あるいは熱負荷の高い場合には最大風速を所定の
範囲内に制御する。したがって、空調風の吹出範囲や風
速分布は、車室内の熱環境状態に応じて制御される。こ
のため、熱負荷の小さい場合に車室内に着座する乗員の
皮膚表面に生ずる微小の発汗や、熱負荷の大きい場合に
生ずる多量の発汗は、熱環境状態に応じて変化する空調
風により、乗員に察知されることなく蒸発する。
又、乗員が熱環境情報として申告した温冷感、風速
感、快適感のいずれかが制御手段に入力されると、該制
御手段は前記申告に基づき、吹出状態可変手段の吹出範
囲や風速分布を変化させ、これにより乗員が体感する熱
環境に直接的に合致した吹出状態となる。
実施例 以下本発明の一実施例について図面に従って説明す
る。
すなわち第2図に示したように空調装置本体20は、ブ
ロアユニット21、クーリングユニット22、ヒータユニッ
ト23を連結して構成されている。前記ブロアユニット21
には、外気吸入口24と内気吸入口25とを開閉するインテ
ークドア26及びブロアファンモータ27を駆動源とするブ
ロアファン28が設けられており、前記インテークドア26
には、インテークドア・アクチュエータ29が連係されて
いる。前記クーリングユニット22内にはエバポレータ30
が、又、前記ヒータユニット23内にはエンジン冷却水を
熱源とするヒータコア31が置設されており、該ヒータコ
ア31の前面にはエアミックスドア・アクチュエータ32に
連係されたエアミックスドア33が枢設されている。さら
にヒータユニット23には、ベンチレータ吹出口34、デフ
ロスタ吹出口35、足元吹出口36が形成されており、各吹
出口34,35,36の基端部には、ベントドア・アクチュエー
タ37に連係されたベントドア38、及びデフロスタ・足元
切り替えドア・アクチュエータ39に連係されたデフロス
タ・足元切り替えドア40が枢支されている。前記ベンチ
レータ吹出口34は、前席1,2に着座する図示しない乗員
の前方に配設されたインストルメントパネル3に複数形
成されており、このベンチレータ吹出口34内には、第3
図(A)に示した吹出可変装置4が設けられている。
該吹出可変装置4には、前記吹出口34の上壁1と下壁
2間に、軸5……により、ルーバ6、7、8が枢支され
ており、前記軸5の上端部には、ピン9により短尺リン
ク10,11,12の一端が固着されている。該短尺リンク10,1
1,12の他端には、各々異なる長さを有する長尺リンク1
3,14,15の一端が枢支されており、該長尺リンク13,14,1
5の他端は、モータ16の回転軸17に固着された回動リン
ク18の上面に枢支されている。
そして、前記モータ16を作動させて、回動リンク18を
所定角回転させることにより、各ルーバ6,7,8は第3図
(B)に実線で示した集中吹出モードと、点線で示した
拡散吹出モードを形成するように構成されている。
一方、制御手段たるコントローラ41の入力部には、熱
環境検出手段としての外気温センサ42、室温センサ43、
室温設定器44、及び日射量センサ45の検出信号が入力さ
れるようになっており、又コントローラ41の出力部から
は、前記各アクチュエータ29,32,37,39、ブロアファン
・モータ27,及び前記吹出可変装置4のモータ16に制御
信号を出力するように構成されている。
次に以上の構成に係る本実施例の作動について、第1
図に示したフローチャートに従って説明する。
すなわち、図外の空調スイッチをONにすると、空調装
置本体20ともにコントローラ41は起動し、以降の処理判
別に用いられる定数A〜Hのセットがなされる(ステッ
プ101)。次に各センサ42,43,45及び室温設定器44か
ら、外気温Ta、室温Tic、室温設定値Tset、日射量S等
が読み込まれ、同時に乗員風速感申告Vtが読み込まれる
(ステップ102)。該乗員風速感申告Vtは、乗員の風速
感についての情報であって、乗員の風に対する好み、す
なわち「風をもっと欲しい」、「少し風が欲しい」、中
間位置、「少し風が嫌いだ」、「風が嫌いだ」の5段階
入力で、公知のプッシュスイッチ等の入力手段たる入力
装置(図示省略)を用いて乗員の風に対する情報をコン
トローラ41に入力する。
次に、室温Ticと室温設定値Tsetの差Tic-Tsetに応じ
てブロアファンモータ27の印加電圧設定値Vfanが決定さ
れる(ステップ103)。引き続き、目標吹出温度Tofが、
Tof=A・Ta+B・Tic+C・Tset+D・S+E(A〜E
=定数)として計算され(ステップ104)、このTofを用
いてX=F・Tof2+G・Tof+ofH(F〜H=定数)とし
てエアミックスドア開度Xが計算され(ステップ10
5)、さらに次ステップ106では、目標吹出温度Tofのレ
ベルに応じて、下記に示したヒータ、バイレベル、ベン
トの吹出口モードのいずれかが選択される。
ヒータモード:足元吹出口36とデフロスタ吹出口35
とを開成する。
バイレベルモード:ベンチレータ吹出口34と足元吹出口
36を開成する。
ベントモード:ベンチレータ吹出口34のみを開成す
る。
そして次ステップ107では、前ステップ106で選択され
た吹出口モードがベントモードであるか否かを判別し、
この判別がNOであれば、従前のステップにおいて計算さ
れたブロアファン印加電圧設定値Vfanがブロアモータ27
に印加され(ステップ120)、又、ヒータ及びバイレベ
ルの各モードに応じた吹出口を開成すべく該当するアク
チュエータ37,39に制御信号が出力される(ステップ12
1)。
一方、ステップ107での判別がYESであってベントモー
ドであれば、ステップ108へ進み室温Ticを第1の切換温
度と比較する。
該第1の切換温度は設定温度29℃と30℃とを有するヒ
ステリシスで構成されており、室温Ticが29℃より高い
温度から変化してきて、29℃に到達していなければON状
態と定義し、30℃より低い温度から変化してきて、30℃
に到達していなければOFF状態と定義する。そして室温T
icがON状態であればステップ117の集中吹出制御により
集中吹出モードを実行し、乗員の全身に強い風速感を与
えて、通常暑いと申告する乗員の快適性を向上させ、又
OFF状態であればステップ109の判別を行う。
該ステップ109では、日射量Sを切換日射量と比較す
る。この切換日射量は設定日射量120kcal/m2と300kcal/
m2とを有するヒステリシスで構成されており、120kcal/
m2より高い日射量から変化してきて、120kcal/m2に到達
していなければON状態と定義し、300kcal/m2より低い日
射量から変化してきて、300kcal/m2に到達していなけれ
ばOFF状態と定義する。そして日射量がON状態であれ
ば、ステップ117へ進み、OFF状態であればステップ110
に進み室温Ticを第2の切換温度と比較する。
該第2の切換温度は設定温度26℃と27℃とを有するヒ
ステリシスで構成されており、室温Ticが26℃より高い
温度から変化してきて、26℃に到達していなければON状
態と定義し、27℃より低い温度から変化してきて、27℃
に到達していなければOFF状態と定義する。そして室温T
icがOFF状態であればステップ119で拡散吹出制御を実行
し、ON状態であればステップ111で脈動切り換え時間の
設定、すなわち、集中吹出制御と拡散吹出制御とを非周
期的に繰り返す集中拡散切換制御を行うにあたって集中
吹出と拡散吹出との切換時間の設定を行う。
該脈動切り換え時間設定は、日射量Sの値により集中
吹出モードと拡散吹出モードの切り換え時間を設定する
処理であり、日射量が多いほど、拡散吹出モードの時間
を短くし、集中吹出モードの時間を長くする一方、日射
量が少ない場合には、拡散吹出モードの時間を長くし、
集中吹出モードの時間を短くする。そして、この実施例
では、日射量が200kcal/m2以下である場合には、実線で
示した集中吹出モードへの切り換えを行うことなく、点
線で示した拡散吹出モードのみを実行するように構成さ
れている。
次のステップ112では、ステップ111で設定された吹出
モード切り換え時間tUENTを乱数R(=0.5〜1.5)によ
って、ランダム化する。すなわち、乗員に各モードの切
り換え時間を悟られないようにすることによりって、次
の切り換え時間に対する期待感をなくすことができ、こ
れによって周期的な変動感からより自然らしい変動感に
するのである。
そして、次のステップ113では、乗員風速感申告Vtに
基づいて、風速感補正係数Rwを決定する。つまり、風が
欲しい場合には、より集中吹出モードの維持時間が長く
なるように設定し、風が嫌いな場合にはより拡散吹出モ
ードが長くなるように設定するのである。
さらに、ステップ114では先にランダム化された切り
換え時間tUENT′に、前記風速補正係数Rwを乗じて、切
換時間tUENT″を演算する。次のステップ15では、前記
切換時間tUENT″が5秒未満か否かを判別し、5秒未満
であれば、吹出モードに切り換え時間が余りにも短く、
乗員に繁雑な印象を与えることから、ステップ116でこ
れを回避すべく切換時間を0秒に設定し直し、実質的に
この吹出モードを省略する。
一方、5秒以上であれば吹出モードの切換を行っても
繁雑な印象が生ずるおそれはないことからステップ118
に進む。
そして、次のステップ118では、前記ステップ111〜11
4で設定されたランダムな切り換え時間をもって、集中
吹出モードと拡散吹出モードとを交互に実行する集中拡
散切換制御が行われ、該集中拡散切換制御に応じた電圧
がブロアファンモータ27に印加される(ステップ120)
とともに、吹出可変装置4のモータ16に制御信号が出力
される。(ステップ121)。これによって、ベンチレー
タ吹出口34からは、吹出範囲が狭く風速が大きい集中風
と、吹出範囲が広く風速が小さい拡散風とがランダムな
切換時間をもって、交互に吹き出される。
したがって、拡散吹出モード時には、風速が低下する
ことから、乗員の皮膚表面には乗員によって察知できな
い程度の微小の発汗が生ずるが、この発汗は、拡散吹出
モードに引き続いて行われる集中吹出モード時の強い風
速により蒸発し、これによって皮膚温低下がなされ乗員
に快さを与える。
このとき、拡散吹出モードと集中吹出モードの切り換
え設定時間は、基本的にはステップ111において日射量
との関係において設定されていることから、発汗に対す
る蒸発量が適性となり、蒸発が不充分となって不快が生
じたり、皮膚温が低下し過ぎて不快が生じたりするよう
なことはなく、常に快適性を維持することができる。
又、日射量が大きい場合には、発汗量が多いため乗員
において、発汗があることが充分に感じられる状態とな
る。しかし、前述のように拡散吹出モードと集中吹出モ
ードの切り換え設定時間は、ステップ111において日射
量との関係において設定されていることから、日射量が
大きい場合には、前記切り換え設定時間における集中吹
出モードが長くなって、多量の発汗を充分に蒸発させる
ことが可能となる。よって日射量、すなわち車室内の熱
負荷の如何に拘わらず、乗員の皮膚表面に生ずる発汗
を、乗員に察知されることなく除去することができ、快
適性を維持することができるのである。
加えて、本実施例においては、集中吹出モードと拡散
吹出モードとの切換が車室内の熱環境条件のみならず、
申告された乗員の風速感によっても制御されることか
ら、乗員の個人差に応じて快適感を維持することが可能
となるのである。
第4図(A),(B)は本発明の第2実施例に係るフ
ローチャートを示すものであり、ステップ401では、定
数A〜H、及び集中吹出モードから拡散吹出モードへ移
行するための基準時間tvoのセットが行われる。次のス
テップ402では、集中吹出モードに設定してから、拡散
吹出モードへ移行するまでの移行時間tvを計測するとと
もに、該集中吹出モードから拡散吹出モードへ移行した
際、吹出可変装置4に設けられたモータ16の消費電流が
低下する信号を検出して、拡散吹出モードへ移行し終わ
った時刻を計測し、これから集中吹出モードから拡散吹
出モードへの移行時間tvを計測するのである。
次に、前記ステップ402に続くステップ403では、外気
温Ta、室温Tic、設定室温Tset、日射量S、と共に乗員
風速感申告Vtが読み込まれ、このステップ403以降は、
第1実施例のステップ103〜110と同様の処理が行われ
る。
そして、ステップ110に続くステップ411では、乗員の
風速感情報に基づいて脈動範囲M、すなわち集中吹出モ
ードと拡散吹出モードとを非周期的に繰り返す集中拡散
吹出切換制御を行うにあたってその集中吹出と拡散吹出
とを繰り返す範囲を設定する。つまり、この実施例で
は、「風が嫌だ」、「少し風が嫌だ」、中間位置、「少
し風が欲しい」、「風が欲しい」等の乗員風速感申告に
基づいて脈動範囲Mを設定する。例えば「風が嫌だ」の
申告があれば第3図に示したルーバ6,7,8がその拡散吹
出モード位置に固定されて拡散吹出モードのみが実行さ
れ、「少し風が嫌だ」の申告があれば拡散吹出モード位
置からその拡散吹出モード位置と集中吹出モード位置と
の中間位置との範囲に脈動範囲が設定される。
又、「少し風が嫌だ」と「少し風が欲しい」の中間位
置であれば、拡散吹出モード位置と集中吹出モード位置
の範囲で脈動が設定され、「少し風が欲しい」の申告が
あれば前記中間位置と集中吹出モード位置との間で脈動
が設定され、さらに「風が欲しい」の申告があればルー
バ6,7,8が集中吹出モード位置に固定されて集中吹出モ
ードのみを実行し、いずれの場合にも第4図(B)に示
すように、ルーバ6,7,8は集中吹出モード位置もしくは
集中吹出モード位置に近い位置を脈動開始点MSとし、拡
散吹出モード位置もしくは拡散吹出モード位置に近い位
置を脈動終了点MEとして作動する。
該脈動吹出は具体的には、吹出可変装置4の各ルーバ
6,7,8の回動範囲を可変制御するものであり、特にルー
バ6,7,8を拡散吹出モード位置から該拡散吹出モード位
置と集中吹出モード位置との中間的な位置まで回動させ
る場合には、ルーバ6,7,8が集中吹出モード位置まで回
動することなく、同一風量であっても低風速の脈動範囲
となり、逆に前記中間位置と集中吹出モード位置との間
で各ルーバ6,7,8を回動させた場合には、同一風量であ
っても、最大風速が高い高風速の脈動範囲となり、いず
れの場合にも乗員の好みに応じた風速感を得られるよう
になる。
次のステップ412では脈動範囲の時間設定値を、前記
ステップ411で設定された値に補正する処理が行われ
る。すなわち、前述した冒頭のステップ401で、集中吹
出モードから拡散吹出モードへ移行するための基準時間
tvo(例えば5秒)のセットが行われたが、前記ステッ
プ411の処理が行われることにより、集中吹出モードか
ら拡散吹出モードへの移行に要する時間は、実際には前
記基準時間tvoと一致しない状態となる。そこで、ts=M
s×tv/tvo,tE=ME×tv/tvoとして、脈動開始点(集
中吹出モード位置)tsと、脈動終了点(拡散吹出モード
位置)tEとを演算し、この脈動開始点tsと脈動終了点tE
とをもってステップ413の集中拡散切換制御を行うこと
により、ステップ411で設定された範囲の脈動風が実際
に形成されたのである。
そして、ステップ412に続くステップ413以降では第1
実施例と同様の処理が実行される。
したがって、この第2実施例によれば、脈動範囲が申
告された乗員の風速感によって制御されることから、乗
員の個人差に応じた脈動ぜの形成が可能となるのであ
る。
なお、乗員の風速感情報及びその申告は5段階評価に
よることなく、「暑い」、「寒い」といった簡単な表現
語で情報を入力してもよいし、その入力装置に対しての
操作の回数を算出して、操作回数で制御してもよい。さ
らに、操作回数のみならず、操作した時刻が現在に近い
ほど重みをおいて評価し、現在の乗員の熱環境状態をよ
り適格に判断するような構成とすることも可能である。
又、乗員の風速感についての情報に限らず、快適感、
温冷感、あるいは自然らしさや爽快感等、種々の快適性
評価指標を用いて、乗員から情報を入力すれば、一層乗
員の個人差に応じた快適性の確保が可能となる。
発明の効果 以上説明したように本発明は、車室内の熱環境状態に
応じて、前記吹出状態可変手段の吹出範囲あるいは風速
分布の少なくとも一方を可変制御するようにしたことに
より、空調風の吹出範囲や風速分布は、車室内の熱環境
状態に応じて制御され、その結果、熱負荷の小さい場合
に車室内に着座する乗員の皮膚表面に生ずる微小の発汗
や、熱負荷の大きい場合に生ずる多量の発汗を、熱環境
状態に応じて変化する空調風により、乗員に察知される
ことなく蒸発させることができる。
このため、熱負荷が小さいときに皮膚表面に生ずる微
小の発汗を過剰な皮膚温の低下なく除去することができ
るとともに、日射量等の熱負荷が大きいときに、乗員の
発汗量が多くなった際には、充分な蒸発による皮膚温低
下に伴って乗員に快さを与えることができ、これによっ
て空調気流快適性の向上を図ることができる。
さらに、車室内に着座する乗員が熱環境情報として入
力する温冷感、風速感、快適感のうち少なくともいずれ
か1つに応じても前記吹出状態可変手段の制御を行うよ
うにしたことから、該吹出状態可変手段を、乗員が体感
する熱環境に直接的に合致した吹出状態にすることがで
きる。このため、吹出状態の変化が車室内の熱環境条件
のみならず、申告された乗員の体感によっても制御さ
れ、これによって乗員の個人差に応じた快適感の維持を
図ることを可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
第1図(A),(B)は本発明の第1実施例を示すフロ
ーチャート、第2図は同実施例の全体概念図、第3図
(A)は同実施例の吹出可変装置を示す斜視図、第3図
(B)は同装置の作動状態を示す説明図、第4図は
(A),(B)は本発明の第2実施例を示すフローチャ
ートである。 4……吹出可変装置(吹出状態可変手段)、20……空調
装置本体、34……ベンチレータ吹出口、41……コントロ
ーラ(制御手段)、42……外気温センサ(熱環境検出手
段)、43……室温センサ(熱環境検出手段)、45……日
射量センサ(熱環境検出手段)。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車室内に空調風を給送する空調装置本体
    と、前記空調風の吹出範囲又は風速分布を連続的に可変
    調整する吹出状態可変手段とを備えた空調装置におい
    て、 前記車室内外の熱環境状態を検出する熱環境検出手段を
    設けるとともに、 該熱環境検出手段の出力に応じて、前記吹出範囲あるい
    は風速分布の少なくとも一方を可変制御する制御手段を
    設けてなり、 前記熱環境検出手段には、車室内に着座する乗員が熱環
    境情報として申告する温冷感、風速感、快適感のうち少
    なくとも1つを制御手段に入力する入力手段を含んでい
    ることを特徴とする自動車用空調装置。
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