JPH08268249A - 摩擦係数算出装置 - Google Patents

摩擦係数算出装置

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JPH08268249A
JPH08268249A JP7204695A JP7204695A JPH08268249A JP H08268249 A JPH08268249 A JP H08268249A JP 7204695 A JP7204695 A JP 7204695A JP 7204695 A JP7204695 A JP 7204695A JP H08268249 A JPH08268249 A JP H08268249A
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friction coefficient
wheel
braking
wheel deceleration
deceleration
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JP7204695A
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Hirobumi Higashida
博文 東田
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Denso Ten Ltd
Original Assignee
Denso Ten Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アンチロック制御開始時から安定した車両制
御を行うために、車両の制動初期において摩擦係数を算
出する摩擦係数算出装置を提供する。 【構成】 摩擦係数算出装置21は、車輪速度センサ1
a〜1dによって検出された車輪速度信号に基づく車輪
速度から車輪減速度および車体速度を算出する。ブレー
キペダルが踏まれたことを検出するスイッチ7から信号
が入力されると、摩擦係数算出装置21は予め定める期
間の車輪減速度に基づいて前記期間以後のブレーキトル
クを算出し、当該ブレーキトルクと実際の車輪減速度と
の差分に基づいて摩擦係数を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の制動時に車輪に
対する制動力を制御し、車輪がロック状態となることを
防止するアンチロック制御装置に好適に利用される路面
−車輪間の摩擦係数を算出する摩擦係数算出装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車は、ブレーキをかけたと
きに車輪がロックされると、走行が不安定となり操舵性
が損なわれる。特に、車両の急制動時、および路面−車
輪間の摩擦係数μが低い路面における制動時には、車輪
がロックされる可能性が高くなる。このため、制動時に
車輪がロックしないようにブレーキの制動油圧を減圧、
増圧、または保持することによって、車輪と路面との摩
擦係数が大きくなるように制動力を制御して制動距離を
短縮するアンチロック制御装置が広く利用されるように
なっている。
【0003】アンチロック制御を行う際に基準とされる
スリップ率Sは、 S={(車体速度−車輪速度)/車体速度}×100(%) …(1) として求められる。
【0004】図6は、一般的な路面−車輪間の摩擦係数
μとスリップ率Sとの関係を示すグラフである。前記摩
擦係数μとスリップ率Sとは、曲線50として示される
ようにスリップ率Sが0から増加するに従って、摩擦係
数μが急激に増加する。スリップ率Sが8〜30%とな
るときに摩擦係数μは最大値をとり、スリップ率Sが8
〜30%以上となると減少する。したがって、アンチロ
ック制御装置においては、スリップ率Sが摩擦係数μの
最大値μ1をとるスリップ率S1を含む斜線部の領域A
に含まれるようにブレーキの制動油圧を増減する。
【0005】従来のアンチロック制御装置においては、
各車輪に設けられた車輪速度センサによって測定された
各車輪速度から車体速度を推定してスリップ率Sを求め
ているので、走行中の路面に対する正確なスリップ率S
を求めることができない。そのため、車輪をロックさせ
ないようにするために、求められたスリップ率Sよりも
低いスリップ率を基準にして制動油圧を制御しているの
で、車両における制動力が有効に利用されていない。
【0006】上述のようなアンチロック制御装置におけ
る問題点を解決するための技術が、以下の各公報に示さ
れている。第1の技術として、特開平4−118349
号公報に示されるアンチロック制御装置においては、ア
ンチロック制御を開始するときのマスタシリンダの出力
液圧の値によって路面の摩擦係数μを推定し、当該摩擦
係数μが高い場合、低い場合、中程度の場合にそれぞれ
対応するように定められた定数によってブレーキの制動
油圧の制御を行っている。
【0007】また第2の技術として、特開平6−144
194号公報に示されるアンチロック制御装置において
は、アンチロック制御開始時のブレーキの制動油圧を車
輪加減速度に対応する3段階の摩擦係数に応じた値で補
正して、基準制動油圧を定めている。
【0008】さらに第3の技術として、特開平3−67
766号公報に示されるアンチロック制御装置において
は、3段階の摩擦係数に対して初期の車輪ロック状態が
検出されたときに測定するブレーキの制動油圧の量と、
ブレーキの制動油圧が減少することによる車輪の再加速
のピーク値とを用いてそれぞれ重み付けを行い、測定さ
れた摩擦係数μに到達するように各重み付けを平均化す
ることによってアンチロック制御を行っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述した各公報におけ
るアンチロック制御装置においては、車両の制動初期に
おける車輪のロック時に摩擦係数μが不明であるので、
ある一定時間ブレーキの制動油圧を減圧し、減圧後の車
輪速度の落ち込み量および車輪の再加速の際の変化量な
どに基づいて予め用意されている3段階の摩擦係数から
推定している。
【0010】したがって、アンチロック制御開始時には
摩擦係数がいずれかの段階に予め設定されているので、
特に摩擦係数が低い路面を走行する際に、低い摩擦係数
であると設定されていないとアンチロック制御によって
車輪速度が急激に減少することとなり、車輪の走行安定
性および操舵性が損なわれる。また、予め定める摩擦係
数が低いかあるいは中程度である場合に、摩擦係数が高
い路面においてアンチロック制御が開始されると、ブレ
ーキ制動油圧が充分でないため制動距離が伸びることに
なる。
【0011】本発明の目的は、アンチロック制御開始時
から安定した車両制御を行うために、車両の制動初期に
おいて摩擦係数を算出する摩擦係数算出装置を提供する
ことである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、車両に搭載さ
れ、車両の車輪と走行面との摩擦係数を算出する摩擦係
数算出装置において、車輪速度を検出する車輪速度検出
手段と、前記車輪速度検出手段によって検出された車輪
速度に基づいて車体速度および車輪減速度を算出する計
算手段と、前記車輪に対して制動力を付与する制動手段
と、制動手段による制動開始から予め定める期間におけ
る車輪減速度の変化量に基づいて当該期間以後の制動力
を算出する制動力算出手段と、算出された制動力と前記
車輪減速度とから摩擦係数を算出する摩擦係数算出手段
とを含むことを特徴とする摩擦係数算出装置である。ま
た本発明は、前記摩擦係数算出手段は、前記変化量が、
予め定める値以下のときは摩擦係数を算出しないことを
特徴とする。また本発明は、前記摩擦係数算出手段は、
車輪減速度の変化量が、前記予め定める期間より長く選
ばれる期間変化しないときには、摩擦係数が低い値であ
ると判定することを特徴とする。また本発明は、前記摩
擦係数算出手段は、車輪減速度の変化量が変化せず、か
つ前記予め定める期間より長く選ばれる期間が経過した
時点での車輪減速度の値が予め定める値以下であるとき
には、摩擦係数が低い値であると判定することを特徴と
する。また本発明は、前記摩擦係数算出手段は、車輪減
速度の変化量が変化せず、かつ車輪速度が少なくとも車
体速度に基づいて定められるスリップ基準以下となって
も車輪減速度が増加しないときには、摩擦係数が低い値
であると判定することを特徴とする。また本発明は、前
記摩擦係数算出手段は、車輪減速度が負の値となったと
きには摩擦係数を算出しないことを特徴とする。
【0013】
【作用】本発明に従えば、摩擦係数算出装置において
は、車輪速度検出手段によって検出された車輪速度に基
づいて計算手段が車体速度と車輪減速度とを算出する。
車両に対して制動力が付与され始めてから、予め定める
期間の車輪減速度の変化量に基づいて、制動力算出手段
によって当該期間以後の制動力が算出され、制動力と車
輪減速度とから摩擦係数が算出される。したがって、車
両に対して制動力が付与され始めてから予め定める期間
における車輪減速度の変化量に基づいて摩擦係数が算出
される。
【0014】また好ましくは、摩擦係数算出装置は、制
動手段による制動開始から予め定める期間における車輪
減速度の変化量が、予め定める値以下のときは摩擦係数
を算出しない。したがって、車輪減速度の変化量が少な
く、前記期間以後に制動力の値が、算出値を大きく外れ
る可能性がある場合には摩擦係数を算出しないので、算
出される摩擦係数の精度を上げることができる。
【0015】さらに好ましくは、摩擦係数算出装置は、
制動手段による制動開始から前記予め定める期間より長
く選ばれる期間、車輪減速度が同一の変化量で変化した
場合には、走行中の路面の摩擦係数が低い値であると判
定する。したがって、摩擦係数の算出が困難であるよう
な低摩擦係数の路面であっても摩擦係数を判定すること
ができる。
【0016】またさらに好ましくは、摩擦係数算出装置
は、制動手段による制動開始から予め定める期間での変
化量のままで車輪減速度が変化し、かつ前記予め定める
期間よりも長く選ばれる期間が経過した時点での車輪減
速度の値が予め定める値以下であるときには、走行中の
路面の摩擦係数が低い値であると判定する。したがっ
て、摩擦係数の算出が困難であるような低摩擦係数の路
面であっても摩擦係数を判定することができる。
【0017】またさらに好ましくは、摩擦係数算出装置
は、車輪減速度が制動手段による制動開始から予め定め
る期間での変化量のままで変化し、かつ車輪速度が少な
くとも車体速度に基づいて定められるスリップ基準以下
となっても車輪減速度が増加しない場合には、走行中の
路面の摩擦係数が低い値であると判定する。したがっ
て、摩擦係数の算出が困難であるような低摩擦係数の路
面であっても摩擦係数を判定することができる。
【0018】またさらに好ましくは、車輪減速度が負の
値となったときには、摩擦係数を算出しない。したがっ
て、制動手段によって制動が行われている間の路面状況
に対応した摩擦係数を算出することができる。
【0019】
【実施例】図1は本発明の一実施例である摩擦係数算出
装置21が含まれるアンチロック制御装置の電気的構成
を示すブロック図であり、図2は当該アンチロック制御
装置における制動油圧の配管経路図である。各車輪34
a〜34dに設けられている車輪速度センサ1a〜1d
は、車輪34a〜34dの回転速度をそれぞれ検出す
る。
【0020】これらの車輪速度センサ1a〜1dは、た
とえば車輪軸に固定された強磁性の検出板の周方向に、
等間隔で多数の切欠きと突起とを設け、その検出板の周
近傍に設けられた電磁ピックアップ、または光センサな
どによって、車輪の回転速度に比例した周波数の車輪速
度信号を導出するように構成されている。車輪速度セン
サ1a〜1dからの車輪速度信号は、アンチロック制御
回路4内の波形整形回路5a〜5dに与えられ、パルス
信号に波形整形された後、マイクロコンピュータなどで
実現される処理回路2に入力される。
【0021】処理回路2にはまた、ブレーキペダル30
が踏込まれたことを検出するスイッチ7からの出力が、
レベル変換回路8によってアンチロック制御回路4内に
おいて適合する電圧レベルに変換された後に入力され
る。アンチロック制御回路4内の各回路には、電源スイ
ッチ10を介して入力されるバッテリ11からの電圧
が、電源回路9で安定化された後に供給される。
【0022】処理回路2は、上述のようにして入力され
た各パルス信号に基づいて、三位置電磁制御弁32a〜
32dおよびホイールシリンダ33a〜33dによって
構成されるアクチュエータ13a〜13dを駆動制御
し、アンチロック制御動作を行う。すなわち、ソレノイ
ドリレー駆動回路14を介してリレー15のリレーコイ
ル15aを励磁し、これによってリレースイッチ15b
が導通する。リレースイッチ15bを介して、前記各ア
クチュエータ13a〜13dの一方の入力には、共通に
ハイレベルの電圧が印加される。アクチュエータ13a
〜13dの他方の入力には、それぞれソレノイド駆動回
路12a〜12dを介して、処理回路2からの制御出力
が与えられる。これによって三位置電磁制御弁32a〜
32dは、制動油圧を増圧、減圧、または保持のいずれ
かの状態に制御する。
【0023】また処理回路2は、モータリレー駆動回路
18を介して、リレー16のリレーコイル16aに出力
を導出し、導出された出力によってリレー16のリレー
スイッチ16bに接続される制動油圧発生のためのモー
タ17が駆動制御される。さらにまた処理回路2は、ア
ンチロック制御に異常が発生したときには、ランプ駆動
回路20を介して警告灯19を点灯する。
【0024】さらに処理回路2における摩擦係数算出装
置21は、車輪速度信号から車輪速度Vwを算出し、車
輪速度Vwから車体速度Vbと車輪加速度または車輪減
速度と車体加速度とを算出する。また、車輪減速度の変
化量からブレーキトルクを算出し、算出された各数値お
よびブレーキトルクに基づいて摩擦係数μを算出する。
【0025】図2を参照して、ブレーキペダル30が踏
込まれると、マスタシリンダ31内に制動油圧が発生
し、当該制動油圧は管路P1〜P4を経由して前記三位
置電磁制御弁32a〜32dに供給され、さらに管路P
5〜P8を介してホイールシリンダ33a〜33dに供
給される。したがって、車輪34a〜34dは制動さ
れ、車体速度が低下する。
【0026】アンチロック制御回路4は、アンチロック
制御を開始すべき条件を満たしていると判断すると、モ
ータ17によって発生させた制動油圧を、管路P9を介
してマスタシリンダ31に与えるとともに、前記三位置
電磁制御弁32a〜32dを増圧、減圧、または保持の
いずれかに制御し、ホイールシリンダ33a〜33dの
制動油圧を制御する。これによって車輪34a〜34d
のスリップ率は、高い摩擦制動力が路面に対して作用す
る値に制御される。
【0027】上述したアンチロック制御装置において、
車輪加速度を求める式としては、たとえば前輪の場合で
は、以下の式(2)のように示されることは、すでに広
く知られている。
【0028】
【数1】
【0029】式(2)において、wfは前輪の車輪速度
(m/S)であり、vは車体速度(m/S)である。ま
た、dwf/dtは前輪の車輪加速度(m/S2)であ
り、Ifは前輪の慣性モーメント(kgmS2)であ
り、μfは前輪−路面間の摩擦係数であり、μrは前輪
のころがり摩擦係数である。Wは車重(kg)であり、
Lは前輪軸と後輪軸との軸間距離(m)であり、L2は
車両の重心から後輪軸までの距離(m)であり、hは車
両の重心の地上高さ(m)であり、gは重力加速度
(9.8m/S2 )であり、dv/dtは進行方向に対
する車体加速度(m/S2 )であり、Rfは前輪のタイ
ヤの有効半径(m)であり、μbはブレーキパッドの摩
擦係数であり、Pfは前輪のホイールシリンダ圧力(k
g)であり、rは前輪のブレーキドラムの半径(m)で
ある。
【0030】式(2)において、ころがり摩擦係数μr
は値が小さいので無視するとして、車体加速度dv/d
tが dv/dt ≒ −μf・g …(3) であるとすると、
【0031】
【数2】
【0032】式(4)において、TB=2μb・Pf・
rであって、ブレーキトルクと称される。また、(W・
h・Rf・μf2 /L)+(W・L2・Rf・μf/
L)は路面トルクTRとなる。
【0033】ここで、車両の制動初期においては、前記
スリップ率SがS≒0であるので、前輪−路面間の摩擦
係数μfをμf≒0とすると、式(4)は、
【0034】
【数3】
【0035】となる。すなわち、車輪加速度dwf/d
tの変化率は、ブレーキトルクTBの変化率と値が同一
であって符号が異なる。なお、−dwf/dt=aとな
るように車輪減速度aを定める。
【0036】図3は、前記アンチロック制御装置による
アンチロック制御動作を説明するためのタイミングチャ
ートである。当該タイミングチャートでは、時刻t0に
おいてブレーキペダル30が踏まれて制動の開始が指示
されると、ブレーキトルクTBを定める前輪のホイール
シリンダ圧力Pfが増加を始める。ブレーキトルクTB
の増加によって、車輪速度wfが減少する。時刻t0か
ら時刻t1までの期間T1においては、車体速度vは変
化していない。期間T1において、車輪減速度aは0か
らa1まで変化し、期間T1における車輪減速度aの勾
配を求めることができる。前述したように期間T1で車
輪減速度aとブレーキトルクTBとは時間軸に対して対
称であるので、車輪減速度aの勾配から期間T1以後の
ブレーキトルクTBを推定することができる。期間T1
以後の実際の車輪減速度aと、ブレーキトルクTBとみ
なす推定ブレーキトルクTSとを式(4)に代入して摩
擦係数μfに関する2次方程式を解くことによって摩擦
係数μfを求める。
【0037】時刻t1から時刻t2までの期間T2にお
いて、車輪減速度aの増加とともにスリップ率Sが増加
し始めると、摩擦係数μfが急激に増加する。また、期
間T2において、車輪減速度aはブレーキトルクTBを
示す軸を横軸にとると摩擦係数μfの2次関数となる。
この場合、2次関数における係数は全て車両モデルから
与えられるので、摩擦係数μfを求めることができる。
【0038】時刻t2において摩擦係数μfがピーク値
μ1となると、車輪減速度aも極小値a2となる。時刻
t2以降摩擦係数μfが減少すると、車輪減速度aは急
激に増加する。車輪減速度aの増加によって車輪速度w
fが大きく減少し、車体速度vとの差が大きくなると前
記アンチロック制御装置によるアンチロック制御が行わ
れるが、摩擦係数μfのピーク値μ1および対応するス
リップ率S1が既に求められているので、適切な減圧量
でアンチロック制御を行うことができる。
【0039】また、車体加速度dv/dtが式(3)で
示されるとすると車体速度vnは、前回推定した車体速
度をv(n−1)とした場合、 vn = v(n−1)+ dv / dt …(6) とすることができるので、車輪速度wfから車体速度v
を推定するよりも正確に車体速度vを求めることができ
る。摩擦係数算出装置21において、車輪速度vは予め
定める時間ごとに算出される。したがって、車両が走行
中の路面におけるスリップ率Sを実際の路面状況に近い
値として求めることができ、アンチロック制御時におけ
る減圧開始判定の精度を上げることができる。
【0040】以上のように、車両の制動制御の初期に車
輪減速度aの勾配に基づいて以後のブレーキトルクTB
を算出し、実際の車輪減速度との差分に基づいて前輪−
路面間の摩擦係数μfを算出した後に最初のアンチロッ
ク制御を行うので、たとえば低い摩擦係数の路面を走行
中にアンチロック制御が開始されたとしても車輪速度w
fが大きく落ち込むことがなく、操舵性および安定性を
向上させることができる。
【0041】また、初回のアンチロック制御時以降にお
いて、車体速度vnを前回の制御時に測定した車体速度
v(n−1)から算出するので、車輪速度wfから車体
速度vを推定するよりも正確に車体速度を算出すること
ができる。そのため、摩擦係数μfのピーク近辺に対応
するスリップ率に正確に制御することができるので、車
両の制動力を有効に利用することができ、制動距離、操
舵性および安定性を向上させることができる。
【0042】前述した摩擦係数算出装置21の処理で
は、摩擦係数μfの算出のために用いているのは推定ブ
レーキトルクTSであるので、実際のブレーキトルクT
Bが緩やかに上昇するような場合では、実際のブレーキ
トルクTBの値が推定ブレーキトルクTSの値と大きく
外れる可能性があり、正確に摩擦係数μfを算出するこ
とができない。
【0043】そのため、摩擦係数算出装置21では、車
輪減速度aの勾配が予め定める値よりも大きい場合のみ
摩擦係数μfの算出を行うようにしてもよい。
【0044】上述のように摩擦係数算出装置21の処理
を行うと、指定されたブレーキトルクTSと実際のブレ
ーキトルクTBとが大きく異なる値となる可能性がある
ときには摩擦係数μfの算出を行わないので、算出され
る摩擦係数μfの精度を向上させることができる。
【0045】図4は、摩擦係数算出装置21の他の処理
を説明するためのタイミングチャートである。
【0046】摩擦係数μが低い路面(たとえば0.2〜
0.3)を走行中に制動が行われた場合、摩擦係数μに
よるトルク差が小さいため実際に測定される車輪加速度
dwf/dtとブレーキトルクTBのみによる車輪加速
度dwf/dtとの差がほとんど生じず、車輪減速度a
がブレーキトルクTBを示す曲線と時間軸に対して対称
となるため、摩擦係数μfが大きくなり始めるタイミン
グが判りにくい。そのため、摩擦係数算出装置21にお
いては、予め定める各条件をそれぞれ満たしたときに走
行中の路面の摩擦係数が低いと判断するようにしてもよ
い。
【0047】図4のタイミングチャートを参照して、時
刻t10においてブレーキペダル30が踏まれて制動の
開始が指示されると、ブレーキトルクTBを定める前輪
のホイルシリンダ圧力Pfが増加を始める。時刻t11
において、ホイールシリンダ圧力Pfが最大値となる。
ブレーキトルクTBの増加によって、車輪速度wfが減
少する。
【0048】摩擦係数算出装置21は、前記予め定める
条件の1つとして、制動初期の時刻t10から時刻t1
2までの期間T12における車輪減速度aの勾配のまま
時刻t10から時刻t11までの期間T11において、
車輪減速度aが単調に増加すると、低い摩擦係数μの路
面であると判断する。たとえば、期間T11の時間とし
ては前記ホイールシリンダ圧力Pfが最大値をとるまで
に要する時間である150msec〜200msecの
値が選ばれ、時刻t11になっても車輪加速度aが減少
しないときには低い摩擦係数μの路面であると判断す
る。
【0049】また、第2の条件として、期間T12にお
ける車輪減速度aの勾配が変化せずに単調に減少し、時
刻t11において車輪減速度aの値が予め定める値a1
1以下となると低い摩擦係数μの路面であると判断す
る。たとえば、前記予め定める値a11としては、1G
以上の値たとえば1.5〜2.0Gの値が選ばれる。
【0050】さらに、車輪減速度aの勾配が期間T12
における勾配のまま変化しない場合において、車体速度
vを推定して式(1)に基づいてスリップ率Sを算出
し、スリップ率Sが予め定める値D1以上になっても、
車輪減速度aが回復しないときに、低い摩擦係数μの路
面であると判断する。たとえば、前記予め定める値D1
としては、スリップ率Sがそれ以上になると車体の操舵
性が損なわれるとされる15〜20%の値が選ばれる。
【0051】以上のように、摩擦係数μの算出が困難で
ある摩擦係数μが低い路面において、予め条件を定めて
おき、条件を満たした場合には低い摩擦係数の路面であ
ると判断するので、アンチロック制御の開始時には摩擦
係数μが定められることとなり、特に走行中の路面の摩
擦係数が低い場合に車輪速度を急激に減少させることな
く、アンチロック制御を行うことができる。なお、摩擦
係数算出装置21においては、上述した3つの条件のう
ち少なくとも1つの条件によって摩擦係数μの判断が行
われるようにしてもよい。
【0052】図5は、摩擦係数算出装置21のさらに他
の処理を説明するためのタイミングチャートである。
【0053】ブレーキトルクTBが生じてる間は、かな
らず車輪減速度aは正の値となり、車輪減速度aが負の
値となったときには、運転手がブレーキを緩めたと判断
することができるので、摩擦係数算出装置21において
はブレーキトルクTBおよび摩擦係数μを算出しないよ
うにしてもよい。
【0054】図5のタイミングチャートを参照すると、
時刻t20において制動の開始が指示されると、ブレー
キトルクTBを定める前輪のホイルシリンダ圧力Pfが
増加を始める。ブレーキトルクTBの増加によって、車
輪速度wfが減少する。時刻t20から時刻t21まで
の期間T21における車輪減速度aの勾配に基づいて、
時刻t21以降の推定ブレーキトルクTS1が算出され
る。
【0055】時刻t22において、ブレーキペダル30
の踏み込みが中断されブレーキが緩められると、ホイル
シリンダ圧力Pfが減少し始める。そのため、車輪速度
wfの減少が停止する。時刻t23において、車輪減速
度aが0となると、推定ブレーキトルクTS1および摩
擦係数μfの算出を中止する。車輪減速度aは、時刻t
23以降負の値となって車輪速度wfが上昇する。時刻
t24において、車体速度vと車輪速度wfとが等しく
なり車輪減速度が0となる。
【0056】時刻t25において、再びブレーキペダル
30が踏み込まれると、ブレーキトルクTBを決定する
ホイルシリンダ圧力Pfが増加を始め、車輪速度wfが
減少する。時刻t25から車輪減速度aが極値をとる時
刻t26までの期間T22では、期間T21の場合と同
様に車輪減速度aの勾配に基づいて、時刻t26以降の
推定ブレーキトルクTS2を算出する。時刻t27にお
いて、摩擦係数μがピーク値μ21となると、車輪減速
度aは極小値a21となる。摩擦係数μのピークが判明
したので、推定ブレーキトルクTS2の算出が中止され
る。時刻t27以降、車輪速度wfと車体速度vの差が
広がり、スリップ率が一定の基準以上となるとアンチロ
ック制御が行われる。
【0057】以上のように、アンチロック制御を開始す
る前に車輪減速度aが負の値となったときには、ブレー
キが緩められたとして摩擦係数μの算出を中止し、制動
が再開されると再び摩擦係数の算出を行うので、走行中
の路面状況に対応した摩擦係数を算出することができ、
安定したアンチロック制御を行うことができる。
【0058】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、制動手段
による制動開始から予め定める期間における車輪減速度
の変化量に基づいて摩擦係数を算出するので、たとえば
制動手段による制動開始後、最初にアンチロック制御を
行う際に算出した摩擦係数を用いて制御を行うことがで
き、摩擦係数が低い路面を走行中にアンチロック制御が
開始されたとしても車輪速度が大きく落込むことがな
く、操舵性および安定性を向上させることができる。
【0059】また本発明によれば、制動手段による制動
開始から予め定める期間における車輪減速度の変化量が
予め定める値以下のときは摩擦係数を算出しないので、
実際の制動力の値が、算出した制動力の値から大きく外
れるような場合において誤った摩擦係数の値を算出する
ことがなく、算出される摩擦係数の精度を向上させるこ
とができる。
【0060】さらに本発明によれば、制動手段による制
動開始から前記予め定める期間より長く選ばれる期間、
車輪減速度が同一の変化量で変化した場合には、走行面
の摩擦係数が低い値であると判定するので、摩擦係数の
算出が困難な低摩擦係数である走行制御を行う場合であ
っても、適切な制御を行うことができる。
【0061】またさらに本発明によれば、制動手段によ
る制動開始から予め定める期間の変化量のままで車輪減
速度が変化し、かつ前記予め定める期間より長く選ばれ
る期間が経過した時点での車輪減速度の値が予め定める
値以下であるときには、走行中の路面の摩擦係数が低い
値であると判定するので、摩擦係数の算出が困難な低摩
擦係数である走行面においても摩擦係数を算出すること
ができ、たとえば算出した摩擦係数を用いてアンチロッ
ク制御を行う場合であっても、適切なアンチロック制御
を行うことができる。
【0062】またさらに本発明によれば、車輪減速度が
制動手段による制動開始から予め定める期間の変化量の
ままで変化し、かつ車輪速度が少なくとも車体速度に基
づいて予め定められるスリップ基準以下となっても、車
輪減速度が増加しない場合には走行中の路面の摩擦係数
が低い値であると判定するので、摩擦係数の算出が困難
な低摩擦係数である走行面においても摩擦係数を算出す
ることができ、たとえば算出した摩擦係数を用いてアン
チロック制御を行う場合であっても、適切な制御を行う
ことができる。
【0063】またさらに本発明によれば、車輪減速度が
負の値となったときには摩擦係数を算出せずに、車輪減
速度が正の値であるときに摩擦係数を算出しているの
で、制動手段によって制動が行われている間の路面状況
に対応した摩擦係数を算出することができる。また、算
出される摩擦係数の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である摩擦係数算出装置21
を備えるアンチロック制御装置の電気的構成を示すブロ
ック図である。
【図2】図1に示すアンチロック制御装置における制動
油圧の配管経路図である。
【図3】前記アンチロック制御装置によるアンチロック
制御動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】摩擦係数算出装置21における他の処理を説明
するためのタイミングチャートである。
【図5】摩擦係数算出装置21におけるさらに他の処理
を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】一般的な路面−車輪間の摩擦係数μとスリップ
率Sとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1a〜1d 車輪速度センサ 2 処理回路 3a,3b 加速度センサ 4 アンチロック制御回路 13a〜13d アクチュエータ 21 摩擦係数算出装置

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に搭載され、車両の車輪と走行面と
    の摩擦係数を算出する摩擦係数算出装置において、 車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、 前記車輪速度検出手段によって検出された車輪速度に基
    づいて車体速度および車輪減速度を算出する計算手段
    と、 前記車輪に対して制動力を付与する制動手段と、 制動手段による制動開始から予め定める期間における車
    輪減速度の変化量に基づいて当該期間以後の制動力を算
    出する制動力算出手段と、 算出された制動力と前記車輪減速度とから摩擦係数を算
    出する摩擦係数算出手段とを含むことを特徴とする摩擦
    係数算出装置。
  2. 【請求項2】 前記摩擦係数算出手段は、前記変化量
    が、予め定める値以下のときは摩擦係数を算出しないこ
    とを特徴とする請求項1記載の摩擦係数算出装置。
  3. 【請求項3】 前記摩擦係数算出手段は、車輪減速度の
    変化量が、前記予め定める期間より長く選ばれる期間変
    化しないときには、摩擦係数が低い値であると判定する
    ことを特徴とする請求項1記載の摩擦係数算出装置。
  4. 【請求項4】 前記摩擦係数算出手段は、車輪減速度の
    変化量が変化せず、かつ前記予め定める期間より長く選
    ばれる期間が経過した時点での車輪減速度の値が予め定
    める値以下であるときには、摩擦係数が低い値であると
    判定することを特徴とする請求項1記載の摩擦係数算出
    装置。
  5. 【請求項5】 前記摩擦係数算出手段は、車輪減速度の
    変化量が変化せず、かつ車輪速度が少なくとも車体速度
    に基づいて定められるスリップ基準以下となっても車輪
    減速度が増加しないときには、摩擦係数が低い値である
    と判定することを特徴とする請求項1記載の摩擦係数算
    出装置。
  6. 【請求項6】 前記摩擦係数算出手段は、車輪減速度が
    負の値となったときには摩擦係数を算出しないことを特
    徴とする請求項1記載の摩擦係数算出装置。
JP7204695A 1995-03-29 1995-03-29 摩擦係数算出装置 Withdrawn JPH08268249A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015196426A (ja) * 2014-03-31 2015-11-09 日信工業株式会社 車両用ブレーキ制御装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015196426A (ja) * 2014-03-31 2015-11-09 日信工業株式会社 車両用ブレーキ制御装置

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