JPH08264195A

JPH08264195A - コージェネレーション用非隔膜式固体電解質型燃料電池

Info

Publication number: JPH08264195A
Application number: JP7091477A
Authority: JP
Inventors: Takashi Hibino; 高士日比野; Kenichi Ushiki; 建一宇敷; Yoshitaka Kuwabara; 好孝桑原
Original assignee: Agency of Industrial Science and Technology
Current assignee: National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date: 1995-03-23
Filing date: 1995-03-23
Publication date: 1996-10-11
Anticipated expiration: 2013-10-15
Also published as: JP2810977B2

Abstract

(57)【要約】【目的】固体電解質シートの同一表面上に触媒能の違
う二種類の電極をプリントし、低級炭化水素と空気の混
合ガス中でも発電できる燃料電池を構成することによ
り、電池装置の簡易化、電解質薄膜化の不要性、及び二
酸化炭素の低減を可能にする。【構成】安定化ジルコニアやペロブスカイト型酸化物
から成る電解質シートの同一表面上に炭化水素の部分酸
化反応に対して触媒能が異なる二種類の電極を交互にプ
リントし、単電池間をインターコネクターで接続するこ
とで電池を直列化し、また裏面にも同様な操作を行うこ
とにより電池を並列化した燃料電池スタックに炭化水素
と空気の混合ガスを１０００℃から７００℃で供給し、
発電をするとともに水素と一酸化炭素を得る。【効果】装置構造の簡易さ、電解質薄膜化の不要性、
二酸化炭素の低排出性及びケミカルコジェネレーション
などが可能となり、燃料電池の実用化を容易にし、また
その設置場所や利用用途を広げる波及効果を持つ。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、装置構造が単純で、内
部抵抗を容易に低減できる固体電解質型燃料電池に関す
るものである。さらに詳しくは、本発明は、燃料ガスと
空気の混合ガス中でも安定に発電することを可能とする
ことにより、従来装置からガスシール材とセパレーター
を取り除き、電解質を特殊な方法により薄膜化しなくて
もよく、同時に二酸化炭素を排出しないかわりにより有
用な化学物質を生成できる新しい高温型燃料電池に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の固体電解質型燃料電池は、アノー
ド室にメタンをはじめとした燃料ガス、カソード室に空
気を別々に供給する隔膜方式でなければ、発電すること
ができなかった（エネルギー・資源，Ｖｏｌ．１３，Ｎ
ｏ．３，３６−４３（１９９２）、及び特開平５−７４
４６８号公報）。

【０００３】このために、ガスシール材やセパレーター
を必要とし装置が複雑になるばかりか（特開平５−６２
６９２号公報、特開平５−６２６９３号公報）、これら
セラミックス材料間の固相反応により電池の寿命が短か
った。

【０００４】また、従来の固体電解質型燃料電池は、そ
の内部抵抗を下げるために、固体電解膜を特殊な方法に
より数μｍの厚さまで薄膜化しなければならず、これに
より極めて高価なものであった（Ｐｒｏｃｅｅｄｉｎｇ
ｓｏｆｔｈｅｔｈｉｒｄｉｎｔｅｒｎａｔｉｏ
ｎａｌｓｙｍｐｏｓｉｕｍｏｎｓｏｌｉｄｏｘ
ｉｄｅｆｕｅｌｃｅｌｌｅｓ，ｅｄｉｔｅｄｂｙ
Ｓ．Ｃ．ＳｉｎｇｈａｌＷｅｓｔｉｎｇｈｏｕｓｅ
ＳｃｉｅｎｃｅａｎｄＴｅｃｈｎｏｌｏｇｙＣ
ｅｎｔｅｒ，Ｐｉｔｔｓｂｕｒｇｈ，Ｐｅｎｎｓｙｌｖ
ａｎｉａ，ＵＳＡ，６６５−７８１（１９９３））。

【０００５】さらに、従来の固体電解質型燃料電池は、
メタンの完全燃焼のエネルギーを電力に変換しているた
め、地球温暖化の原因物質である二酸化炭素を排出して
いた。その他、室温型燃料電池に関して、電解質として
アルミナを、電極として白金とＳｒＲｕＯｘを使用し、
水素と酸素の混合ガスを導入する電池も開発されている
が、これらは、いわゆる第一世代燃料電池に属するもの
であり、本発明のものとは基本構成を異にするものであ
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記従
来技術を鑑みて、セラミックス部品をできるだけ少なく
した装置構造を持ち、内部抵抗を容易な、しかも安価な
方法で低減でき、同時に地球温暖化の原因物質である二
酸化炭素を排出せず、より有用な化学物質を生成する燃
料電池を開発することを目標として検討を積み重ねた結
果、安定化ジルコニアまたはペロブスカイト型酸化物の
電解質シートの同一表面上にパラジウム・白金・ニッケ
ルまたはロジウム電極と金電極をプリントし、低級炭化
水素と空気の混合ガスを導入することにより所期の目的
が達成されることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。

【０００７】本発明が解決しようとする課題は、ガスシ
ール材とセパレーターを装置から取り除き、電解質を特
殊な方法により薄膜化しなくてもよく、同時に二酸化炭
素の排出量を低減できる新たな燃料電池を構成すること
である。

【０００８】すなわち、本発明は、装置構造の簡易さに
よる長寿命、電解質薄膜化の不要性による低コスト、二
酸化炭素の低排出性による環境保全、水素と一酸化炭素
の生成によるケミカルコジェネレーションなどを可能と
した高温型燃料電池を提供することを目的とするもので
ある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、電解質シート
の同一表面上に炭化水素の部分酸化反応に対して触媒能
が違う二つの電極をプリントし、燃料ガスと空気の混合
ガス中でも発電できるようにする。すなわち、上記課題
を解決するための本発明の態様は、安定化ジルコニアま
たはペロブスカイト型酸化物の固体電解質シートの同一
表面上にパラジウム・白金・ニッケルまたはロジウム電
極と金電極をプリントした単純な構造を持ち、メタンを
はじめとする低級炭化水素と空気の混合ガスを導入する
ことにより、均一ガス中でも電圧が得られ、電流を安定
に取り出すことが可能な非隔膜式固体電解質型燃料電
池、である。

【００１０】本発明において、電解質としては、安定化
ジルコニアまたはペロブスカイト型酸化物のセラミック
スシートが使用される。安定化ジルコニアは酸化ジルコ
ニウムの４価のジルコニウムイオンの一部を３価のイッ
トリウムイオンで置換したものであり、また、ペロブス
カイト型酸化物は酸化セリウムバリウムの４価のセリウ
ムイオンの一部をイットリウムイオンをはじめとする３
価のイオンで置換したものである。これらを加圧成形
し、千数百度で焼結して、厚さ１ｍｍのシートを形成す
る。固体電解質シートの同一表面上にパラジウム・白金
・ニッケルまたはロジウム電極と金電極をスクリーン印
刷または蒸着法によりプリントし、各電池間をインター
コネクターで接続することにより、燃料電池の直列化が
可能である。また、これらの電極を、電解質シートの表
と裏の両面に交互にプリントし、表と裏面の末尾のある
同一電極間をインターコネクターで接続することによ
り、燃料電池の並列化が可能である。各電池間を接続す
る手段は、電極と同様に金をインターコネクターとして
使用すればよく、新たな材料を必要としない。また、上
記パラジウム・白金・ニッケルまたはロジウム電極と金
電極間の距離は、特に限定されるものではないが、１ｍ
ｍ〜１μｍが好適な例としてあげられる。

【００１１】本発明において、作動条件としては、上記
装置を７００〜１０００℃といった高温領域に加熱し、
各低級炭化水素と酸素の部分酸化反応が起こる最適の組
成比を持った混合ガスを導入するものであり、電池出力
端子から電力を取り出し、同時に電池出口から水素と一
酸化炭素を回収するものである。上記各種炭化水素とし
ては、メタン、エタン、プロパンが好適なものとしてあ
げられるが、これに限らず、これと同効のものであれば
同様に使用できることはいうまでもない。

【００１２】

【作用】低級炭化水素と空気の混合ガスを高温（７００
〜１０００℃）で導入することにより、燃料ガスと空気
の混合ガス中にもかかわらず、燃料電池を発電できるこ
とが可能である。これにより、従来の燃料電池と異な
り、固体電解質を薄膜化することなく、単に二つの電極
間の距離を狭めるだけで、電池の内部抵抗を減少させる
ことが可能となる。また、同一表面上の各電池間をイン
ターコネクターで接続することにより、電圧が加算さ
れ、電池の直列化が可能となり、加えて、表面と裏面の
末尾にある同一電極間をインターコネクターで接続する
ことにより、電池の内部抵抗が低減でき、電池の並列化
が可能となる。さらに、燃料電池を発電することによ
り、電力と同時に水素と一酸化炭素を得ることが可能で
あり、電池放電時の出口ガス成分として、水素と一酸化
炭素が生成され、二酸化炭素の排出を低減するばかり
か、ケミカルコジェネレーションを可能とする。

【００１３】

【実施例】次に、本発明の実施例を図面に基づき具体的
に説明するが、本発明は当該実施例のみに限定されるも
のではない。実施例１図１は、本発明装置の実施例の一例であって、１は安定
化ジルコニアやプロブスカイト型酸化物より成る固体電
解質シートであり、２はパラジウム・白金・ニッケルま
たはロジウムをはじめとした炭化水素の部分酸化反応に
触媒能を持つ電極であり、３は金をはじめとした触媒能
を持たない電極であり、４は電池間を接続するインター
コネクターであり、それらが交互に配列している。

【００１４】この装置を１０００℃から７０００℃に加
熱し、燃料ガスと空気の混合ガスを手前から導入した。

【００１５】実施例として、電解質シート９ｍｍ角、各
電極面積０．０９ｃｍ²の燃料電池にメタンと空気混合
ガス（メタン：酸素比＝２：１）を温度９５０℃で導入
した際の結果を以下に示す。

【００１６】図２の単電池の放電曲線から分かるよう
に、混合ガス中にもかかわらず、電池から数１００ｍＶ
の電圧が発生し、しかも電流を安定に取り出すことがで
きた。

【００１７】また、二つの電極間の距離を狭めることに
より、電流電圧曲線の傾きが小さくなり、電池の内部抵
抗が減少したことが分かった。

【００１８】図３の直列電池の放電曲線から分かるよう
に、同一表面上の二つの単電池をつなくごとにより、電
圧が加算され電池に直列効果が現れた。

【００１９】図４の並列電池の放電曲線から分かるよう
に、表面と裏面の二つの単電池をつなくごとにより、電
池の内部抵抗を低減でき電池に並列効果が現れた。

【００２０】表１の本燃料電池放電時の出口ガス組成か
ら分かるように、放電生成物としては水素と一酸化炭素
がほとんとであり、二酸化炭素はわずかしか発生してい
なかった。

【００２１】

【表１】

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の燃料電池
は、装置構造の簡易さ、電解質薄膜化の不要性、二酸化
炭素の低排出性などが可能となり、燃料電池の実用化を
容易にし、またその設置場所や利用用途を広げる波及効
果を持つ。

【図面の簡単な説明】

【図１】本燃料電池及びその使用方法を示した説明図で
ある。

【図２】本燃料電池の９５０℃における発電特性に及ぼ
す電極間距離の効果を示した説明図である。

【図３】本燃料電池の９５０℃における直列効果を示し
た説明図である。

【図４】本燃料電池の９５０℃における並列効果を示し
た説明図である。

【符号の説明】

１固体電解質シート２触媒能を持つ電極３触媒能を持たない電極４単電池間をつなぐインターコネクター

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】安定化ジルコニアまたはペロブスカイト
型酸化物の固体電解質シートの同一表面上にパラジウム
・白金・ニッケルまたはロジウム電極と金電極をプリン
トした単純な構造を持ち、メタンをはじめとする低級炭
化水素と空気の混合ガスを導入することにより、均一ガ
ス中でも電圧が得られ、電流を安定に取り出すことが可
能な非隔膜式固体電解質型燃料電池。
【請求項２】低級炭化水素と空気の混合ガスを温度７
００〜１０００℃といった高温領域で導入する請求項１
記載の非隔膜式固体電解質型燃料電池。
【請求項３】パラジウム・白金・ニッケルまたはロジ
ウム電極と金電極間の距離を狭めることにより、固体電
解質を薄膜化することなく、燃料電池の内部抵抗を減少
することを可能とした請求項１記載の非隔膜式固体電解
質型燃料電池。
【請求項４】固体電解質シートの同一表面上にパラジ
ウム・白金・ニッケルまたはロジウム電極と金電極をそ
れぞれ交互にプリントし、各電池間をインターコネクタ
ーで接続することにより、燃料電池の直列化を可能とし
た請求項１記載の非隔膜式固体電解質型燃料電池。
【請求項５】固体電解質シートの表と裏の両面にパラ
ジウム・白金・ニッケルまたはロジウム電極と金電極を
それぞれ交互にプリントし、表と裏面の末尾にある同一
電極間をインターコネクターで接続することにより、燃
料電池の並列化を可能とした請求項１記載の非隔膜式固
体電解質型燃料電池。
【請求項６】燃料電池を発電することにより、電力と
同時に水素と一酸化炭素を得ることを可能とした請求項
１記載の非隔膜式固体電解質型燃料電池。