JP4606076B2 - 固体酸化物形燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、固体電解質を用いた固体酸化物形燃料電池(SOFC)に関する。
従来より、固体酸化物形燃料電池のセルデザインとして、平板型、円筒型などが提案されている。
平板型セルは、板状の電解質の表面及び裏面に燃料極及び空気極をそれぞれ配置したものであり、こうして形成されたセルはセパレーターを介して複数個積層された状態で使用される。セパレーターは各セルに供給される燃料ガスと酸化剤ガスとを完全に分離する役割を果たしており、各セルとセパレーターとの間にはガスシールが施されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、この平板型セルでは、セルに対して圧力をかけてガスシールを施すため、セルが振動や熱サイクルなどに対して脆弱であるなどの欠点があり、実用化に大きな課題を有している。
一方、円筒型セルは、円筒形の電解質の外周面及び内周面に燃料極及び空気極をそれぞれ配置したものであり、円筒縦縞型、円筒横縞型などが提案されている(例えば、特許文献2)。ところが、円筒型セルは、ガスシール性に優れるという利点を有する一方、平板型セルに比べて構造が複雑であるため、製造プロセスが複雑になり、製造コストが高くなるという欠点がある。
さらに、次の問題もある。平板型セル及び円筒型セルのいずれも、性能を向上させるためには電解質の薄膜化が要求され、電解質材料のオーミックな抵抗の低減が必要となるが、電解質が薄すぎると脆弱化してしまい、耐振性や耐久性が低下するという問題があった。
このため、上述した平板型、円筒型に代わる燃料電池として、燃料極及び空気極を固体電解質からなる基板の同一面上に配置し、燃料ガス及び酸化剤ガスの混合ガスを供給することにより発電が可能な非隔膜式固体酸化物形燃料電池が提案されている(例えば、特許文献3)。この燃料電池によれば、燃料ガスと酸化剤ガスとを分離する必要がないため、セパレーター及びガスシールが不要となり、構造及び製造工程の大幅な簡略化を図ることができる。
また、この非隔膜式固体酸化物形燃料電池では、燃料極と空気極とが固体電解質の同一面上に近接して形成され、酸素イオンの伝導が固体電解質の主に表層付近で起こると考えられているため、平板型や円筒型のように電解質の厚みが電池の性能に直接影響することはない。したがって、電池の性能を維持したまま電解質の厚みを増すことができ、これによって脆弱性を改善することが可能となる。
特開平5−3045号公報(第1頁、第6図) 特開平5−94830号公報(第1頁、第1図) 特開平8−264195号公報(第2−3頁、第1図)
しかしながら、特許文献3の燃料電池では、次のような問題があった。この燃料電池では、一対の燃料極と空気極とを単電池セルと規定し、複数の単電池セルを電解質上に配置している。そして、隣接する単電池セル間の燃料極と空気極とをインターコネクタで接続している。ところが、この構造では、隣接する単電池セル間に電解質が存在しているため、発電時にはこの電解質が酸素イオンの移動する経路となり得る。そのため、単電池セル間の電解質と、この電解質を挟む燃料極及び空気極が燃料電池を構成して発電することになる。これにより、本来の単電池セルの起電力と、単電池セル間に形成される電池の起電力とが打ち消し合い、内部短絡状態となるため、燃料電池全体の起電力が下がり、電池性能が低下するという問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、電極を集積化する際に、高い発電出力を得ることができる固形酸化物形燃料電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池は、上記問題を解決するためになされたものであり、電解質と、当該電解質の一方面に配置され、燃料極及び空気極を有する複数の電極体とを備え、前記電解質は、隣接する前記電極体の間で分断されており、分断された端面同士が、絶縁性の結着剤により接合される
この構成によれば、隣接する電極体間における電解質が分断されているため、電極体間の酸素イオン伝導の経路を遮断することができる。その結果、各電極体と電解質とによる本来の起電力が、隣接する電極体間で発生し逆作用となる起電力によって、打ち消されて低下するのを防ぐことができ、電池性能の低下を確実に防止することができる。また、上述した分断された電解質は、結着剤を介して接合されるので、電解質間の酸素イオンの伝導をより確実に防止することができるとともに、単電池セルの集積化ができ、大面積化を図ることができる。
また、上記のように電解質を分断する代わりに、電解質の一方面において、隣接する電極体の間に、これらを仕切る溝を形成することもできる。このようにしても、電極体間での酸素イオン伝導に対する内部抵抗が大きくなり、電池性能の低下を防止することができる。
らに、電解質の他方面に基板を配置し、これによって分断された電解質を支持するようにすることもできる。こうすることで、分断された電解質が固定され、電池が脆弱化するのを防止することも可能となる。
なお、上記燃料電池においては、電極体が複数個配置されているが、インターコネクタを電池上に配置して電極体を接続してもよいし、電池上にはインターコネクタを配置せず、この電池をセットする装置側にインターコネクタを配置し、電池が装置にセットされたときに装置側のインターコネクタで電極体が接続されるようにしてもよい。
上記燃料電池において、インターコネクタは、印刷を用いると、その形成が容易になる。
また、本発明の上記目的は、電解質と、当該電解質の一方面に配置され、燃料極及び空気極を有する複数の電極体とを備え、前記電解質において、隣接する前記電極体の間には、これらを仕切る溝が形成されている固体酸化物形燃料電池によっても達成される。
さらに、本発明の前記目的は、電解質と、当該電解質の一方面に配置され、燃料極及び空気極を有する複数の電極体とを備え、隣接する前記電極体間の前記電解質における酸素イオン伝導に対する内部抵抗が、前記電極体における燃料極と空気極との間の前記電解質における酸素イオン伝導に対する内部抵抗よりも大きいことを特徴とする固体酸化物形燃料電池によっても達成される。
本発明に係る固形酸化物形燃料電池によれば、高い発電出力を得ることができる。
(第1実施形態)
以下、本発明に係る固体酸化物形燃料電池の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係る燃料電池の断面図であり、図2はこの燃料電池の概略平面図である。
図1及び図2に示すように、この燃料電池は、2個の単電池セルC(ここでは、2個を表示C,C)を備えており、各単電池セルCはインターコネクタ1によって直列に接続されている。
各単電池セルCは、矩形の板状に形成された電解質3と、この電解質3の一方面上に配置される一対の燃料極5及び空気極7と備えている。各単電池セルCの電解質3は、隣接する単電池セルCの電解質3と所定間隔をおいて配置されており、両電解質3間の隙間には結着剤9が充填されている。両電解質3間の間隔Sは例えば10〜5000μmとすることが好ましく、10〜500μmとすることがさらに好ましい。また、各電解質3上の燃料極5及び空気極7は帯状に形成され、所定間隔をおいて配置されている。このとき、燃料極5と空気極7との間の間隔Lは、例えば1〜5000μmとすることが好ましく、10〜500μmとすることがさらに好ましい。また、この燃料電池において両端に配置された電極、つまり一方の単電池セルCの燃料極5、及び他方の単電池セルCの空気極7には電流を取り出すための集電部8がそれぞれ形成されている。なお、各電解質3上の燃料極5及び空気極7が、本発明の電極体に相当する。
インターコネクタ1は、上述のように隣接する単電池セルC間を接続しており、具体的には一方の単電池セルCの空気極7と他方の単電池セルCの燃料極5とを接続している。
次に、上記のように構成された燃料電池の材質について説明する。まず、電解質3の材料としては、固体酸化物形燃料電池の電解質として公知のものを使用することができ、例えば、サマリウムやガドリニウム等をドープしたセリア系酸化物、ストロンチウムやマグネシウムをドープしたランタン・ガレード系酸化物、スカンジウムやイットリウムを含むジルコニア系酸化物などの酸素イオン伝導性セラミックス材料を用いることができる。なお、電解質3は、基板として用いられるため、ある程度の強度が必要なことから、その厚みは、例えば200μm〜1000μmであることが好ましい。
燃料極5は、例えば、金属触媒と酸化物イオン導電体からなるセラミックス粉末材料との混合物を用いることができる。このとき用いられる金属触媒としては、ニッケル、鉄、コバルトや、貴金属(白金、ルテニウム、パラジウム等)等の還元性雰囲気中で安定で、水素酸化活性を有する材料を用いることができる。また、酸化物イオン導電体としては、蛍石型構造又はペロブスカイト型構造を有するものを好ましく用いることができる。蛍石型構造を有するものとしては、例えばサマリウムやガドリニウム等をドープしたセリア系酸化物、スカンジウムやイットリウムを含むジルコニア系酸化物などを挙げることができる。また、ペロブスカイト型構造を有するものとしてはストロンチウムやマグネシウムをドープしたランタン・ガレード系酸化物を挙げることができる。上記材料の中では、酸化物イオン導電体とニッケルとの混合物で、燃料極5を形成することが好ましい。なお、酸化物イオン導電体からなるセラミックス材料とニッケルとの混合形態は、物理的な混合形態であってもよいし、ニッケルへの粉末修飾などの形態であってもよい。また、上述したセラミックス材料は、1種類を単独で、或いは2種類以上を混合して使用することができる。また、燃料極5は、金属触媒を単体で用いて構成することもできる。
空気極7を形成するセラミックス粉末材料としては、例えば、ペロブスカイト型構造等を有するCo,Fe,Ni,Cr又はMn等からなる金属酸化物を用いることができる。具体的には(Sm,Sr)CoO,(La,Sr)MnO,(La,Sr)CoO,(La,Sr)(Fe,Co)O,(La,Sr)(Fe,Co,Ni)Oなどの酸化物が挙げられ、好ましくは、(La,Sr)MnOである。上述したセラミックス材料は、1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用することができる。
燃料極5及び空気極7は、セラミックス粉末材料により形成することができる。このとき用いられる粉末の平均粒径は、好ましくは10nm〜100μmであり、さらに好ましくは50nm〜50μmであり、特に好ましくは100nm〜10μmである。なお、平均粒径は、例えば、JISZ8901にしたがって計測することができる。
結着剤は、絶縁性を有したものであることが好ましく、ガラス系や、アルミナ系のものを使用することができる。
また、インターコネクタ1は、Pt,Au,Ag,Ni,Cu,SUS等の導電性金属、或いは金属系材料,又はLa(Cr,Mg)O,(La,Ca)CrO,(La,Sr)CrOなどのランタン・クロマイト系等の導電性セラミックス材料によって形成することができ、これらのうちの1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
上記燃料極5、及び空気極7は、上述した材料を主成分として、さらにバインダー樹脂、有機溶媒などが適量加えられることにより形成される。より詳細には、上記主成分とバインダー樹脂との混合において、上記主成分が50〜95重量%となるように、バインダー樹脂等を加えることが好ましい。また、結着剤9やインターコネクタ1も、上述した材料に上記添加物を加えることにより形成される。そして、これら空気極3、燃料極5の膜厚は焼結後に1μm〜500μmとなるように形成するが、10μm〜100μmとすることが好ましい。
上記のように構成された燃料電池は、次のように発電が行われる。まず、各単電池セルCの一方面上に、メタンやエタンなどの炭化水素からなる燃料ガスと酸素などの酸化剤ガスとの混合ガスを高温の状態(例えば、400〜1000℃)で供給する。これにより、燃料極5と空気極7との間の電解質3の主に表層付近で、イオン伝導が起こって発電が行われる。
以上のように本実施形態に係る燃料電池では、各単電池セルCの電解質3が所定間隔をおいて配置されているため、次のような効果がある。すなわち、上記燃料電池では、各単電池セルCの電解質3が隙間を介して分離して配置され、しかもその隙間Sには結着剤が設けられている。したがって、従来例と異なり、単電池セルC間に電解質が存在しないため、燃料電池トータルの電圧が大きく低下するのを防止することができ、高い発電出力を得ることができる。
次に、上述した燃料電池の製造方法の一例を、図3を参照しつつ説明する。まず、上述した材料からなる電解質基板を準備する。続いて、上述した燃料極5、及び空気極7用の粉末材料を主成分として、これらそれぞれにバインダー樹脂、有機溶媒などを適量加えて混練し、燃料極ペースト、空気極ペーストをそれぞれ作製する。各ペーストの粘度は、次に説明するスクリーン印刷法に適合するように10〜10mPa・s程度であることが好ましい。同様に、結着剤用ガラスペースト、及びインターコネクタ用ペーストも、上述した粉末材料にバインダ−樹脂等の添加物を加えて作製しておく。このペーストの粘度は上述したものと同じである。
次に、2つの電解質基板3を所定間隔Sをおいて配置し、燃料極ペーストをスクリーン印刷法により各電解質基板3上に帯状に塗布した後、所定の時間及び温度で乾燥・焼結し、燃料極5を形成する(図3(a))。続いて、各電解質基板3上の燃料極5と対向する位置それぞれに、空気極ペーストをスクリーン印刷法によって塗布し、所定時間及び温度で乾燥・焼結することにより、空気極7を形成する。こうして、2個の単電池セルCが形成される(図3(b))。次に、電解質基板の間の隙間に結着剤用のガラスペースト9を充填し、所定時間及び温度で乾燥・焼結することにより、両電解質基板3を結着する(図3(c))。最後に、両単電池セルCを直列に接続するように、単電池セルC間にインターコネクタ用ペーストをスクリーン印刷法によって線状に塗布し、インターコネクタ1を形成するとともに、両端の電極に集電部8を形成する。以上の工程により、図1及び図2に示すような燃料電池が完成する。
なお、上記の説明では、両電解質3の間に結着剤9を充填しているが、結着剤9は必ずしも必要ではなく、両電解質3の間には隙間が形成されることにより、本発明の目的を達成することができる。結着剤以外でも電解質の間に隙間を形成した状態で両者の位置を固定できるような接続手段で電解質を固定することもできる。
また、電解質3の他方面に基板を配置し、この基板によって各電解質3を支持するようにすることもできる。こうすることで、電解質3を薄くした場合でも、脆弱化を防止することができる。このとき用いられる基板は、例えば、アルミナ系、シリカ系、チタン系等のセラミックス系材料、或いはSUSで構成することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図4は、第2実施形態に係る固体酸化物形燃料電池の断面図、図5はこの燃料電池の概略平面図である。
図4及び図5に示すように、この実施形態に係る燃料電池では、一枚の電解質基板3上に、一対の燃料極5と空気極7とからなる電極体E,Eが2個形成されている。各電極体Eの間には、これらを仕切る溝Vが形成されており、溝Vを挟んで隣接する電極体E及び電解質3が、単電池セルを構成する。また、この溝Vをまたぐように、一方の電極体Eの空気極7と、これに隣接する他方の電極体Eの燃料極5とがインターコネクタ1によって接続されている。
この実施形態における電解質3、燃料極5、空気極7、及びインターコネクタ1を形成する材料は、上記第1実施形態で示したものと同じであるため、詳しい説明を省略する。また、発電方法も第1実施形態と同様である。
以上のように、本実施形態によれば、両電極体E,Eの間の電解質3に、残りの電解質3の厚さRよりも深い溝深さD(例えばD=800μm,R=200μm)となる溝Vを形成しているため、両電極体E,E間の電解質3における酸素イオン伝導に対する内部抵抗が大きくなる。その結果、内部短絡が極力抑えられ、電圧の低下を防止することができる。
次に、上記燃料電池の製造方法について図6を参照しつつ説明する。ここで、使用する燃料極用ペースト、空気極用ペースト、及びインターコネクタ用ペーストは、第1実施形態で示したものと同じである。まず、一枚の電解質基板3を準備し、この一方面の2箇所に燃料極用ペーストを帯状に塗布して燃料極5を形成する(図6(a))。続いて、各燃料極5と対向する位置それぞれに空気極用ペーストを塗布して空気極7を形成し、これによって燃料極5と空気極7とからなる2個の電極体E,Eが形成される(図6(b))。次に、電解質基板3上の両電極体E,Eの間に溝Vを形成する(図6(c))。このとき、溝Vは、例えば、ブラスト加工、レーザ加工、切削加工等で形成することができる。最後に、一方の電極体Eの燃料極5と他方の電極体Eの空気極7との間にインターコネクタ用ペーストを塗布してインターコネクタ1を形成した後、両端の電極に集電部8を形成すると、図4及び図5に示す燃料電池が完成する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態は、インターコネクタによって接続された電極体間の電解質における酸素イオン伝導に対する内部抵抗を大きくするために構成されたものであるが、これに限定されるものではない。例えば、隣接する電極体の間の距離を大きくすることでも、電極体間の電解質における酸素イオン伝導に対する内部抵抗を大きくすることができる。また、隣接する電極体の間で、電解質を、酸素イオンが伝導しにくい性質に変質させることでも、上記目的を達成することができる。
また、上記各実施形態におけるインターコネクタは、各図面において各電極の側面に接するように説明がなされているが、インターコネクタの端部が各電極の上面に掛かるように構成されていても構わないものである。
また、上記実施形態では、各ペーストの塗布にスクリーン印刷法を用いているが、これに限定されるものではなく、ドクターブレード法、スプレーコート法、スピンコート法、リソグラフィー法、電気泳動法、ロールコート法、グラビアロ−ルコ−ト法、ディスペンスコート法、CVD,EVD,スパッタリング法、転写法等の印刷方法等、その他一般的な印刷法を用いることができる。また、印刷後の後工程として、CIP(静水圧プレス)、HIP(熱間静水圧プレス)、ホットプレス、その他の一般的なプレス工程を用いることができる。
さらに、上記各実施形態では、各単電池セルCを2個ずつ形成しているが、これに限定されるものではなく、3個以上形成することができるのは勿論である。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。
実施例として図1及び図2に示す固体酸化物形燃料電池を作製する。まず、粉末をプレス成形し、焼成作製した電解質基板を2枚準備した。この電解質基板は、5mm×10mmの大きさで厚みが1mmである。また、この電解質基板は、セリア系の電解質であり、その材質はCe0.9Gd0.11.9(GDC)でセリアにガドリニウムがドープされている。
また、燃料極材料としてNiO粉末(0.01〜10μm、平均粒径1μm)、SDC(Ce0.8Sm0.21.9)粉末(粒径0.01〜10μm、平均粒径0.1μm)を重量比で7:3となるように混合した後、セルロース系バインダー樹脂を添加して、上記混合物の割合が80重量%となる燃料極ペーストを作製した。つまり、上記混合物と、バインダー樹脂との重量比が80:20となるようにした。燃料極ペーストの粘度は、溶剤にて希釈することでスクリーン印刷に適した5×10mPa・s程度とした。
続いて、空気極材料としてSSC(Sm0.5Sr0.5CoO)粉末(0.1〜10μm、平均粒径1μm)を使用し、セルロース系バインダー樹脂を添加して、上記粉末の割合が80%となるように空気極ペーストを作製した。つまり、SSC粉末と、バインダー樹脂との重量比が80:20になるようにした。空気極ペーストの粘度は、燃料極と同様に、溶剤にて希釈しスクリーン印刷に適した5×10mPa・s程度とした。
また、単電池セル間を接続するインターコネクタ用の材料としては、Au粉末(0.1〜5μm、平均粒径2.5μm)を使用し、これにセルロース系バインダを混合してインターコネクタ用ペーストを作製した。インターコネクタ用ペーストの粘度はスクリーン印刷に適した5×10mPa・sとした。また、結着剤用の材料として、高融点ガラスにセルロース系バインダを混合したペーストを作製した。ペーストの粘度は、上記と同様に5×10mPa・sとした。
次に、電解質基板3を1mmの間隔をおいて配置した。そして、スクリーン印刷法によって、各電解質基板3上に燃料極ペーストを塗布した。このとき、幅500μm、長さ7mm、塗布厚み20μmの燃料極5が各電解質3上に形成されるように、燃料極ペーストを塗布した。そして、130℃で15分間乾燥した後、1450℃で1時間焼結した。続いて、上記各電解質基板3の同一面上に、空気極ペーストをスクリーン印刷法によって塗布した。このとき、幅500μm、長さ7mm、塗布厚み20μm、燃料極5との間隔200μmである空気極7が各電解質3上に形成されるように空気極ペーストを塗布した。そして、燃料極5と同様に、130℃で15分間乾燥した後、1200℃で1時間焼結した。
続いて、両電解質基板3間の隙間に結着剤9を充填し、130℃で5分間乾燥し、1000℃で1時間焼結して結着させた。最後に、インターコネクタ用ペーストをスクリ−ン印刷法で塗布し(長さ3mm、幅2μm、厚み30μm、上記単電池セルCを直列に接続した。こうして、実施例に係る固体酸化物形燃料電池を製造した。
また、この実施例と対比する比較例を次のように製造した。この比較例では、図7及び図8に示すように、一枚の電解質基板3上に、3mmの間隔をおいて燃料極5と空気極7とからなる2個の電極体E,Eを形成し、これらをインターコネクタ1で接続した。すなわち、両電極体E,Eは同一の電解質基板3上に形成されている。なお、電解質基板3の材料、及び燃料極5、空気極7、インターコネクタ1の材料、寸法は、上記実施例と同じである。
こうして製造された実施例及び比較例に対して、次のような評価実験を行った。すなわち、メタンと酸素との混合ガスを800℃で導入し、CH+1/2O→2H+COの反応を起こさせることで、燃料極5である酸化ニッケルを還元処理し、電流−電圧特性の評価を行った。なお、還元処理を行うには、上記混合ガスの代わりに水素ガスを導入してもよい。
その結果、比較例で940mVの起電力であったのに対し、実施例では1312mVの起電力を得ることができた。したがって、実施例では比較例に比べ高い電圧を得ることができるのを確認した。また、出力も、比較例が3.72mWであるのに対し、実施例では9.31mWを得ることができた。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の第1実施形態の断面図である。 図1に示す燃料電池の概略平面図である。 図1に示す燃料電池の製造方法の一例を示す図である。 本発明に係る固体酸化物形燃料電池の第2実施形態の断面図である。 図4に示す燃料電池の概略平面図である。 図4に示す燃料電池の製造方法の一例を示す図である。 比較例に係る燃料電池の断面図である。 図7の概略平面図である。
符号の説明
1 インターコネクタ
3 電解質
5 燃料極
7 空気極
9 結着剤

Claims (5)

  1. 電解質と、
    当該電解質の一方面に配置され、燃料極及び空気極を有する複数の電極体とを備え、
    前記電解質は、隣接する前記電極体の間で分断されており、分断された端面同士が、絶縁性の結着剤により接合される、固体酸化物形燃料電池。
  2. 電解質と、
    当該電解質の一方面に配置され、燃料極及び空気極を有する複数の電極体とを備え、
    前記電解質の一方面において、隣接する前記電極体の間には、これらを仕切る溝が形成されている固体酸化物形燃料電池。
  3. 前記複数の電極体を接続するインターコネクタをさらに備えている、請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池。
  4. 前記インターコネクタは、印刷により形成されている請求項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  5. 前記電解質は、当該電解質の他方面に配置される基板によって支持される請求項1から4のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池。
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