JPH08260A - ピリミジンアナログ耐性株を用いるバクテリアセルロースの製造方法 - Google Patents
ピリミジンアナログ耐性株を用いるバクテリアセルロースの製造方法Info
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- JPH08260A JPH08260A JP15820194A JP15820194A JPH08260A JP H08260 A JPH08260 A JP H08260A JP 15820194 A JP15820194 A JP 15820194A JP 15820194 A JP15820194 A JP 15820194A JP H08260 A JPH08260 A JP H08260A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 セルロース生産性酢酸菌に属するピリミジン
アナログ耐性株及び該耐性株を培養し、培地中にセルロ
ース性物質を生成蓄積させ、該物質を回収することから
成る該セルロース性物質の製造方法。 【効果】 セルロース性物質を高収率かつ経済的に生産
することができる。
アナログ耐性株及び該耐性株を培養し、培地中にセルロ
ース性物質を生成蓄積させ、該物質を回収することから
成る該セルロース性物質の製造方法。 【効果】 セルロース性物質を高収率かつ経済的に生産
することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アセトバクター属に属
しセルロース性物質を生産する能力を有する微生物(こ
の微生物を以後「セルロース生産性酢酸菌」と称する)
に属するピリミジンアナログ耐性株及び該株を用いるセ
ルロース性物質(バクテリアセルロース:BC)の製造
方法に関する。
しセルロース性物質を生産する能力を有する微生物(こ
の微生物を以後「セルロース生産性酢酸菌」と称する)
に属するピリミジンアナログ耐性株及び該株を用いるセ
ルロース性物質(バクテリアセルロース:BC)の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セルロース性物質は可食性であり食品分
野で利用されるほか水系分散性に優れているので食品、
化粧品又は塗料等の粘度の保持、食品原料生地の強化、
水分の保持、食品安定性向上、低カロリー添加物又は乳
化安定化助剤としての産業上利用価値がある。また、該
セルロース性物質の離解物はミクロフィブリルの構造的
物理的特徴に基づき高分子、特に水系高分子用補強剤と
して各種の産業用用途がある。このようなセルロース性
離解物を紙状または固型状に固化した物質は高い引張弾
性率を示すので、ミクロフィブリルの構造的特徴に基づ
くすぐれた機械特性が期待され、各種産業用素材として
の応用がある。
野で利用されるほか水系分散性に優れているので食品、
化粧品又は塗料等の粘度の保持、食品原料生地の強化、
水分の保持、食品安定性向上、低カロリー添加物又は乳
化安定化助剤としての産業上利用価値がある。また、該
セルロース性物質の離解物はミクロフィブリルの構造的
物理的特徴に基づき高分子、特に水系高分子用補強剤と
して各種の産業用用途がある。このようなセルロース性
離解物を紙状または固型状に固化した物質は高い引張弾
性率を示すので、ミクロフィブリルの構造的特徴に基づ
くすぐれた機械特性が期待され、各種産業用素材として
の応用がある。
【0003】従来より、アセトバクター属に属する微生
物を培養して、セルロースを生産する方法は知られてい
る。例えば、特開昭62−265990号公報、特開昭
61−221201号公報等に、その記載がある。セル
ロース生産性酢酸菌の培養を行なう際に適当とされてい
る栄養培地としては、炭素源、ペプトン、酵母エキス、
燐酸ナトリウム及びクエン酸からなる Schramm/Hestri
n 培地(Schramm ら、J. General Biology, 11, pp.123
〜129, 1954 )が知られている。しかしながら、上記栄
養培地で振盪もしくは通気攪拌培養を行なった場合、得
られるセルロース生産量は低く、生成速度も必ずしも満
足のいくものではなかった。また、上記栄養培地の他
に、コーンスチープリカー(CSL)や麦芽エキス等を
加えた培地が知られているが、これら天然栄養素(ペプ
トン、酵母エキス、CSL、麦芽エキスなど)に含まれ
る特定成分がセルロース生成促進に関与していることは
知られていない。培地中の特定栄養素によるセルロース
生成促進因子として、現在知られているものにはイノシ
トール、フィチン酸及びピロロキノリンキノン(PQ
Q)(特公平5−1718号公報;高井光男,紙パ技協
誌,第42巻,第3号,第237〜244頁)等がある
が、セルロース生成量はまだ不十分であり、またこれら
の振盪もしくは通気攪拌培養における効果も明確ではな
かった。また、本出願人は、カルボン酸又はその塩(特
願平5−191467号)、インベルターゼ(特願平5
−331491号)及びメチオニン(特願平5−335
764号)を培地中に添加することによって、セルロー
ス性物質の生産性が向上することを見い出している。
物を培養して、セルロースを生産する方法は知られてい
る。例えば、特開昭62−265990号公報、特開昭
61−221201号公報等に、その記載がある。セル
ロース生産性酢酸菌の培養を行なう際に適当とされてい
る栄養培地としては、炭素源、ペプトン、酵母エキス、
燐酸ナトリウム及びクエン酸からなる Schramm/Hestri
n 培地(Schramm ら、J. General Biology, 11, pp.123
〜129, 1954 )が知られている。しかしながら、上記栄
養培地で振盪もしくは通気攪拌培養を行なった場合、得
られるセルロース生産量は低く、生成速度も必ずしも満
足のいくものではなかった。また、上記栄養培地の他
に、コーンスチープリカー(CSL)や麦芽エキス等を
加えた培地が知られているが、これら天然栄養素(ペプ
トン、酵母エキス、CSL、麦芽エキスなど)に含まれ
る特定成分がセルロース生成促進に関与していることは
知られていない。培地中の特定栄養素によるセルロース
生成促進因子として、現在知られているものにはイノシ
トール、フィチン酸及びピロロキノリンキノン(PQ
Q)(特公平5−1718号公報;高井光男,紙パ技協
誌,第42巻,第3号,第237〜244頁)等がある
が、セルロース生成量はまだ不十分であり、またこれら
の振盪もしくは通気攪拌培養における効果も明確ではな
かった。また、本出願人は、カルボン酸又はその塩(特
願平5−191467号)、インベルターゼ(特願平5
−331491号)及びメチオニン(特願平5−335
764号)を培地中に添加することによって、セルロー
ス性物質の生産性が向上することを見い出している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、セル
ロース生産性酢酸菌を用いて、経済的かつ高収率でセル
ロース性物質を生産させる新たな方法を提供することに
ある。
ロース生産性酢酸菌を用いて、経済的かつ高収率でセル
ロース性物質を生産させる新たな方法を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために種々の研究を行なった。特に、BC
生合成系を強化する為に、UDP−Gの前駆体であるU
TPの生合成系の強化を検討した。5−フルオロウラシ
ル等のピリミジンアナログは図1に示すように、dTM
P合成酵素等のピリミジン合成に関与する酵素を阻害す
ることが知られている。
的を達成するために種々の研究を行なった。特に、BC
生合成系を強化する為に、UDP−Gの前駆体であるU
TPの生合成系の強化を検討した。5−フルオロウラシ
ル等のピリミジンアナログは図1に示すように、dTM
P合成酵素等のピリミジン合成に関与する酵素を阻害す
ることが知られている。
【0006】従って、ピリミジンアナログ耐性を有する
変異株はこの拮抗阻害に対抗するためにdUMPの量が
増加していることが考えられる。即ち、dUMPの量が
増加された結果、Gln+2ATP+HCO3 - からの
UTP生合成系が強化されている可能性がある訳であ
る。驚くべきことに、各種実験の結果、本発明者は、5
−フルオロウラシル等のピリミジンアナログに耐性を有
するセルロース生産性酢酸菌の変異株が大変優れたセル
ロース性物質の生産性を示すことを見出した。即ち、本
発明は、セルロース生産性酢酸菌に属するピリミジンア
ナログ耐性株、該耐性株を培養し、培地中にセルロー
ス、セルロース性物質を生成蓄積せしめ該物質を採取す
ることから成るセルロース性物質の製造方法及び該製造
方法により得ることのできるセルロース性物質を提供す
る。
変異株はこの拮抗阻害に対抗するためにdUMPの量が
増加していることが考えられる。即ち、dUMPの量が
増加された結果、Gln+2ATP+HCO3 - からの
UTP生合成系が強化されている可能性がある訳であ
る。驚くべきことに、各種実験の結果、本発明者は、5
−フルオロウラシル等のピリミジンアナログに耐性を有
するセルロース生産性酢酸菌の変異株が大変優れたセル
ロース性物質の生産性を示すことを見出した。即ち、本
発明は、セルロース生産性酢酸菌に属するピリミジンア
ナログ耐性株、該耐性株を培養し、培地中にセルロー
ス、セルロース性物質を生成蓄積せしめ該物質を採取す
ることから成るセルロース性物質の製造方法及び該製造
方法により得ることのできるセルロース性物質を提供す
る。
【0007】本発明において使用されるピリミジンアナ
ログ耐性株は、セルロース生産性酢酸菌、例えば、アセ
トバクター・スピーシーズ(Acetobacter
sp.)BPR2001、アセトバクター・キシリナム
(Acetobacterxylinum)ATCC2
3768、アセトバクター・キシリナムATCC237
69、アセトバクターパスツリアヌス(A.paste
urianus)ATCC10245、アセトバクター
キシリナムATCC14851、アセトバクターキシリ
ナムATCC11142及びアセトバクター・キシリナ
ムATCC10821等、並びにそれらの菌株より各種
突然変異処理及び遺伝子組み換え技術などによって誘導
・育種して得られた菌株等にNTG(ニトロソグアニジ
ン)を用いて公知の方法によって化学的変異処理するこ
とにより創製することができる。
ログ耐性株は、セルロース生産性酢酸菌、例えば、アセ
トバクター・スピーシーズ(Acetobacter
sp.)BPR2001、アセトバクター・キシリナム
(Acetobacterxylinum)ATCC2
3768、アセトバクター・キシリナムATCC237
69、アセトバクターパスツリアヌス(A.paste
urianus)ATCC10245、アセトバクター
キシリナムATCC14851、アセトバクターキシリ
ナムATCC11142及びアセトバクター・キシリナ
ムATCC10821等、並びにそれらの菌株より各種
突然変異処理及び遺伝子組み換え技術などによって誘導
・育種して得られた菌株等にNTG(ニトロソグアニジ
ン)を用いて公知の方法によって化学的変異処理するこ
とにより創製することができる。
【0008】この中でも、アセトバクター・スピーシー
ズBPR2001(Acetobacter sp.
BPR2001)株と命名された株の分類学的性質は、
形態は桿菌、グラム染色性は陰性、胞子形成能は陰性、
酸素に対する態度は好気性、カタラーゼ反応陽性、オキ
シダーゼ反応陰性、エタノールからの酢酸生成は陽性、
酢酸塩の酸化は陽性、乳酸塩の酸化は陽性であり、本発
明のピリミジンアナログ耐性株の創製に好適である。従
って、アセトバクター・スピーシーズに属するピリミジ
ンアナログ耐性株が本発明の好ましい態様の一つであ
る。尚、アセトバクター・スピーシーズBPR2001
株は、平成5年2月24日に通商産業省工業技術院生命
工学工業技術研究所特許微生物寄託センターに寄託され
(受託番号FERM P−13466)、その後199
4年2月7日付で特許手続上の寄託の国際的承認に関す
るブダペスト条約に基づく寄託(受託番号FERM B
P−4545)に移管されている。
ズBPR2001(Acetobacter sp.
BPR2001)株と命名された株の分類学的性質は、
形態は桿菌、グラム染色性は陰性、胞子形成能は陰性、
酸素に対する態度は好気性、カタラーゼ反応陽性、オキ
シダーゼ反応陰性、エタノールからの酢酸生成は陽性、
酢酸塩の酸化は陽性、乳酸塩の酸化は陽性であり、本発
明のピリミジンアナログ耐性株の創製に好適である。従
って、アセトバクター・スピーシーズに属するピリミジ
ンアナログ耐性株が本発明の好ましい態様の一つであ
る。尚、アセトバクター・スピーシーズBPR2001
株は、平成5年2月24日に通商産業省工業技術院生命
工学工業技術研究所特許微生物寄託センターに寄託され
(受託番号FERM P−13466)、その後199
4年2月7日付で特許手続上の寄託の国際的承認に関す
るブダペスト条約に基づく寄託(受託番号FERM B
P−4545)に移管されている。
【0009】NTG等の変異剤を用いての化学的変異処
理方法には、例えば、Bio Factors,Vol. 1, p.297−302
(1988), J. Gen. Microbiol, Vol. 135, p.2917−292
9 (1989) 及び FEMS Microbiol Lett., Vol. 71, p.33
7−343 (1990)等に記載されているものがある。従っ
て、当業者であればこれら公知の方法に基づき本発明の
ピリミジンアナログ耐性株を得ることができる。本発明
のピリミジンアナログ耐性株は他の変異方法、例えば放
射線照射等によっても得ることができる。本発明の一例
である5−フルオロウラシル耐性株であるBPR300
1I株は1994年6月10日付で通商産業省工業技術
院生命工学工業技術研究所特許微生物寄託センターに寄
託され、受託番号FERM P−14362を付されて
いる。尚、本発明の範囲が寄託されたこの菌株に限定さ
れないことは言うまでもない。株は本発明の一具体例に
すぎないものであり、セルロース生産性酢酸菌に属し、
dTMP合成酸素等のピリミジン合成に関与する酵素の
阻害剤に対して実質的に耐性を示す株であれば、本発明
の「セルロース生産性酢酸菌のピリミジンアナログ耐性
株」に包含されるものである。その他の例として、例え
ば同様にBPR2001株から得られたBPR3001
G株、BPR3001H株、BPR3001J株及びB
PR3001K株がある。ピリミジンアナログの他の例
としては、5−フルオロUDP、5−フルオロUDP−
ガラクトース、2−アミノ−6−メルカプトウリジン、
6−アザウラシル及び6−メルカプトピリミジンを挙げ
ることができる。
理方法には、例えば、Bio Factors,Vol. 1, p.297−302
(1988), J. Gen. Microbiol, Vol. 135, p.2917−292
9 (1989) 及び FEMS Microbiol Lett., Vol. 71, p.33
7−343 (1990)等に記載されているものがある。従っ
て、当業者であればこれら公知の方法に基づき本発明の
ピリミジンアナログ耐性株を得ることができる。本発明
のピリミジンアナログ耐性株は他の変異方法、例えば放
射線照射等によっても得ることができる。本発明の一例
である5−フルオロウラシル耐性株であるBPR300
1I株は1994年6月10日付で通商産業省工業技術
院生命工学工業技術研究所特許微生物寄託センターに寄
託され、受託番号FERM P−14362を付されて
いる。尚、本発明の範囲が寄託されたこの菌株に限定さ
れないことは言うまでもない。株は本発明の一具体例に
すぎないものであり、セルロース生産性酢酸菌に属し、
dTMP合成酸素等のピリミジン合成に関与する酵素の
阻害剤に対して実質的に耐性を示す株であれば、本発明
の「セルロース生産性酢酸菌のピリミジンアナログ耐性
株」に包含されるものである。その他の例として、例え
ば同様にBPR2001株から得られたBPR3001
G株、BPR3001H株、BPR3001J株及びB
PR3001K株がある。ピリミジンアナログの他の例
としては、5−フルオロUDP、5−フルオロUDP−
ガラクトース、2−アミノ−6−メルカプトウリジン、
6−アザウラシル及び6−メルカプトピリミジンを挙げ
ることができる。
【0010】本発明の製造方法に用いる培地の組成物
中、炭素源としてはシュクロース、グルコース、フラク
トース、マンニトール、ソルビトール、ガラクトース、
マルトース、エリスリット、ガドニット、グリセリン、
エチレングリコール、エタノール等を単独或いは併用し
て使用することができる。更にはこれらのものを含有す
る澱粉水解物、シトラスモラセス、ビートモラセス、ビ
ート搾汁、サトウキビ搾汁、柑橘類を始めとする果汁等
をシュークロスに加えて使用することもできる。また、
窒素源としては硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、
リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、硝酸塩、尿素
等有機或いは無機の窒素源を使用することができ、或い
はBact−Peptone、Bact−Soyton
e、Yeast−Extract、豆濃などの含窒素天
然栄養源を使用してもよい。有機微量栄養素としてアミ
ノ酸、ビタミン、脂肪酸、核酸、2,7,9−トリカル
ボキシ−1Hピロロ〔2,3−5〕−キノリン−4,5
−ジオンを添加してもよい。生育にアミノ酸等を要求す
る栄養要求性変異株を使用する場合には、要求される栄
養素を補添することが必要である。無機塩類としてはリ
ン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガ
ン塩、コバルト塩、モリブデン酸塩、赤血塩、キレート
金属類等が使用される。
中、炭素源としてはシュクロース、グルコース、フラク
トース、マンニトール、ソルビトール、ガラクトース、
マルトース、エリスリット、ガドニット、グリセリン、
エチレングリコール、エタノール等を単独或いは併用し
て使用することができる。更にはこれらのものを含有す
る澱粉水解物、シトラスモラセス、ビートモラセス、ビ
ート搾汁、サトウキビ搾汁、柑橘類を始めとする果汁等
をシュークロスに加えて使用することもできる。また、
窒素源としては硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、
リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、硝酸塩、尿素
等有機或いは無機の窒素源を使用することができ、或い
はBact−Peptone、Bact−Soyton
e、Yeast−Extract、豆濃などの含窒素天
然栄養源を使用してもよい。有機微量栄養素としてアミ
ノ酸、ビタミン、脂肪酸、核酸、2,7,9−トリカル
ボキシ−1Hピロロ〔2,3−5〕−キノリン−4,5
−ジオンを添加してもよい。生育にアミノ酸等を要求す
る栄養要求性変異株を使用する場合には、要求される栄
養素を補添することが必要である。無機塩類としてはリ
ン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガ
ン塩、コバルト塩、モリブデン酸塩、赤血塩、キレート
金属類等が使用される。
【0011】培養のpHは3ないし7に、好ましくは5
付近に制御する。培養温度は10〜40℃、好ましくは
25〜35℃の範囲で行う。培養槽に供給する酸素濃度
は1〜100%、望ましくは21〜80%であれば良
い。これら培地中の各成分の組成割合及び培地に対する
菌体の接種等は培養方法に応じて当業者が適宜選択し得
るものである。本発明の製造方法に於いてピリミジンア
ナログ耐性株を使用することにより、従来の方法と比較
して約六割もセルロース性物質の収率が向上することが
判明した。本発明方法では、培養方法に制限を受けず、
静置、振盪もしくは通気攪拌培養のいずれでもよい。振
盪もしくは通気攪拌下での培養であってもセルロース生
産性に影響を及ぼさないことも本発明方法の特徴の1つ
である。また、いわゆる回分発酵法、フィード回分発酵
法、反復回分発酵法及び連続発酵法のいずれも使用する
ことができる。更に攪拌手段としては従来公知の手段、
例えばインペラー、エアーリフト発酵槽、発酵ブロスの
ポンプ駆動循環、及びこれら手段の組合せ等から任意に
選択することができる。
付近に制御する。培養温度は10〜40℃、好ましくは
25〜35℃の範囲で行う。培養槽に供給する酸素濃度
は1〜100%、望ましくは21〜80%であれば良
い。これら培地中の各成分の組成割合及び培地に対する
菌体の接種等は培養方法に応じて当業者が適宜選択し得
るものである。本発明の製造方法に於いてピリミジンア
ナログ耐性株を使用することにより、従来の方法と比較
して約六割もセルロース性物質の収率が向上することが
判明した。本発明方法では、培養方法に制限を受けず、
静置、振盪もしくは通気攪拌培養のいずれでもよい。振
盪もしくは通気攪拌下での培養であってもセルロース生
産性に影響を及ぼさないことも本発明方法の特徴の1つ
である。また、いわゆる回分発酵法、フィード回分発酵
法、反復回分発酵法及び連続発酵法のいずれも使用する
ことができる。更に攪拌手段としては従来公知の手段、
例えばインペラー、エアーリフト発酵槽、発酵ブロスの
ポンプ駆動循環、及びこれら手段の組合せ等から任意に
選択することができる。
【0012】本発明の方法によって生成されるセルロー
ス性物質はそのまま回収してもよく、さらに本物質中に
含まれる菌体を始めとするセルロース性物質以外の物質
を取り除く処理をほどこしてもよい。不純物を取り除く
ためには水洗、加圧脱水、希酸洗浄、アルカリ洗浄トル
エン及び酢酸エチルなどの極性有機溶媒による処理、次
亜塩素酸ソーダ及び過酸化水素などの漂白剤による処
理、リゾチームなどの菌体溶解酵素による処理、ラウリ
ル硫酸ソーダ、デオキシコール酸などの界面活性剤によ
る処理、常温から200℃の範囲の加熱洗浄などを単独
及び併用してほどこすことによりセルロース性物質から
不純物を除去することができる。このようにして得られ
た本発明でいうセルロース性物質とは、セルロース及
び、セルロースを主鎖としたヘテロ多糖を含むもの及び
β−1,3、β−1,2等のグルカンを含むものであ
る。ヘテロ多糖の場合のセルロース以外の構成成分はマ
ンノース、フラクトース、ガラクトース、キシロース、
アラビノース、ラムノース、グルクロン酸等の六炭糖、
五炭糖及び有機酸等である。なおこれ等の多糖が単一物
質である場合もあるし2種以上の多糖が水素結合等によ
り混在してもよい。
ス性物質はそのまま回収してもよく、さらに本物質中に
含まれる菌体を始めとするセルロース性物質以外の物質
を取り除く処理をほどこしてもよい。不純物を取り除く
ためには水洗、加圧脱水、希酸洗浄、アルカリ洗浄トル
エン及び酢酸エチルなどの極性有機溶媒による処理、次
亜塩素酸ソーダ及び過酸化水素などの漂白剤による処
理、リゾチームなどの菌体溶解酵素による処理、ラウリ
ル硫酸ソーダ、デオキシコール酸などの界面活性剤によ
る処理、常温から200℃の範囲の加熱洗浄などを単独
及び併用してほどこすことによりセルロース性物質から
不純物を除去することができる。このようにして得られ
た本発明でいうセルロース性物質とは、セルロース及
び、セルロースを主鎖としたヘテロ多糖を含むもの及び
β−1,3、β−1,2等のグルカンを含むものであ
る。ヘテロ多糖の場合のセルロース以外の構成成分はマ
ンノース、フラクトース、ガラクトース、キシロース、
アラビノース、ラムノース、グルクロン酸等の六炭糖、
五炭糖及び有機酸等である。なおこれ等の多糖が単一物
質である場合もあるし2種以上の多糖が水素結合等によ
り混在してもよい。
【0013】
【実施例】以下の実施例により、本発明をさらに詳細に
説明する。実施例1 以下に記載する方法で、BPR2001株を用いて本発
明のピリミジンアナログ耐性株を創製した。BPR2001株の変異処理 菌体をCSL−Fru培地(1) で28℃、3時間培養
し、菌体を増した。この前培養液を集菌後、10mM燐酸
緩衝液(pH6.0)で洗浄し、10μgNTG/ml(10
mM燐酸緩衝液)中で30℃、30分間で変異処理した。
変異処理した菌体を集菌し、前記のように洗浄し、次に
CSL−Fru培地で28℃、一夜培養し変異を固定化
した。この結果、生存率約0.24%で変異株を得た。ピリミジンアナログ耐性株の取得 上記で変異処理したBPR2001株(約40,000
コロニー)を最小培地(2) 1リットル当たり5mmolの5
−フルオロウラシルを含むプレートに塗抹した。(約
3,000コロニー/プレート) 28℃、7日間培養し出現したコロニー67株のうち、
5−フルオロウラシルに耐性を示し、BC生産性が向上
した26株を得た。以下に代表的な株につき、5−フル
オロウラシル耐性の程度を示す。
説明する。実施例1 以下に記載する方法で、BPR2001株を用いて本発
明のピリミジンアナログ耐性株を創製した。BPR2001株の変異処理 菌体をCSL−Fru培地(1) で28℃、3時間培養
し、菌体を増した。この前培養液を集菌後、10mM燐酸
緩衝液(pH6.0)で洗浄し、10μgNTG/ml(10
mM燐酸緩衝液)中で30℃、30分間で変異処理した。
変異処理した菌体を集菌し、前記のように洗浄し、次に
CSL−Fru培地で28℃、一夜培養し変異を固定化
した。この結果、生存率約0.24%で変異株を得た。ピリミジンアナログ耐性株の取得 上記で変異処理したBPR2001株(約40,000
コロニー)を最小培地(2) 1リットル当たり5mmolの5
−フルオロウラシルを含むプレートに塗抹した。(約
3,000コロニー/プレート) 28℃、7日間培養し出現したコロニー67株のうち、
5−フルオロウラシルに耐性を示し、BC生産性が向上
した26株を得た。以下に代表的な株につき、5−フル
オロウラシル耐性の程度を示す。
【0014】
【表1】
【0015】実施例2 実施例1で得られた26株につき、以下の方法で培養を
行ない、BC蓄積量及び対消費糖収率を求めた。前培養
として、50mlCSL−Fru培地の入った250ml容
ルーフラスコに菌株を植菌し、28℃、3日間静置培養
した。次に、ルーフラスコを良く振り菌膜から菌体を剥
し、この菌液を75mlCSL−Fru培地の入った30
0ml容三角フラスコ(バッフル付き)に7.5ml植菌し
た。28℃、4日間、150rpm で振盪することによっ
て本培養した。この結果、以下に示すように、これらの
5−フルオロウラシル耐性株がBPR2001株に較べ
て優れたBC生産性を示すことが判った。
行ない、BC蓄積量及び対消費糖収率を求めた。前培養
として、50mlCSL−Fru培地の入った250ml容
ルーフラスコに菌株を植菌し、28℃、3日間静置培養
した。次に、ルーフラスコを良く振り菌膜から菌体を剥
し、この菌液を75mlCSL−Fru培地の入った30
0ml容三角フラスコ(バッフル付き)に7.5ml植菌し
た。28℃、4日間、150rpm で振盪することによっ
て本培養した。この結果、以下に示すように、これらの
5−フルオロウラシル耐性株がBPR2001株に較べ
て優れたBC生産性を示すことが判った。
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】
【表4】 ビタミン混合物 化合物 mg/L イノシトール 200 ナイアシン 40 ピリドキシンHCl 40 チアミンHCl 40 パントテン酸カルシウム 20 リボフラビン 20 p−アミノ安息香酸 20 葉 酸 0.2 ビオチン 0.2
【0019】
【表5】
【0020】尚、上の表2中、BC蓄積量(g/l)
は、培養終了後、培養液中の固形物を集積し、水洗して
培地成分を除去した後、INNaOH水溶液中で80
℃、20分間処理して菌体を除去した。さらに、洗浄液
が中性付近になるまで生成セルロースを水洗した後、8
0℃で12時間真空乾燥して乾燥重量を測定することで
求めた。また収率(%)は以下のようにして求めた。 対消費糖収率(%)の計算 対消費糖収率は、対消費糖収率として以下のように計算
した。
は、培養終了後、培養液中の固形物を集積し、水洗して
培地成分を除去した後、INNaOH水溶液中で80
℃、20分間処理して菌体を除去した。さらに、洗浄液
が中性付近になるまで生成セルロースを水洗した後、8
0℃で12時間真空乾燥して乾燥重量を測定することで
求めた。また収率(%)は以下のようにして求めた。 対消費糖収率(%)の計算 対消費糖収率は、対消費糖収率として以下のように計算
した。
【数1】YBC=BC/(RCMF−RCBF)*100 YBC :対消費糖収率(%) BC :BC蓄積量(g/l) RCMF:培地の糖濃度(g/l) RCBF:培養後の培地の糖濃度(g/l)
【0021】
【発明の効果】本発明方法によるセルロース性物質の生
産において、セルロース生産性酢酸菌のピリミジンアナ
ログ耐性株を用いることによって、セルロース性物質の
生産性が従来法と比べて著しく向上する。このことは、
本発明方法がセルロース性物質を効率よくかつ安価に製
造できることを示している。
産において、セルロース生産性酢酸菌のピリミジンアナ
ログ耐性株を用いることによって、セルロース性物質の
生産性が従来法と比べて著しく向上する。このことは、
本発明方法がセルロース性物質を効率よくかつ安価に製
造できることを示している。
【図1】核酸(ピリミジン)合成経路を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 19/04 C12R 1:02)
Claims (4)
- 【請求項1】 セルロース生産性酢酸菌に属するピリミ
ジンアナログ耐性株。 - 【請求項2】 セルロース生産性酢酸菌に属する5−フ
ルオロウラシル耐性株。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載の耐性株を培養
し、培地中にセルロース性物質を生成蓄積させ、該物質
を回収することから成る該セルロース性物質の製造方
法。 - 【請求項4】 請求項3の方法によって得ることのでき
るセルロース性物質。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15820194A JP3096838B2 (ja) | 1994-06-17 | 1994-06-17 | ピリミジンアナログ耐性株を用いるバクテリアセルロースの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15820194A JP3096838B2 (ja) | 1994-06-17 | 1994-06-17 | ピリミジンアナログ耐性株を用いるバクテリアセルロースの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08260A true JPH08260A (ja) | 1996-01-09 |
JP3096838B2 JP3096838B2 (ja) | 2000-10-10 |
Family
ID=15666492
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15820194A Expired - Fee Related JP3096838B2 (ja) | 1994-06-17 | 1994-06-17 | ピリミジンアナログ耐性株を用いるバクテリアセルロースの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3096838B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1997040135A1 (fr) * | 1996-04-23 | 1997-10-30 | Bio-Polymer Research Co., Ltd. | Nouvelles bacteries produisant de la cellulose |
-
1994
- 1994-06-17 JP JP15820194A patent/JP3096838B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1997040135A1 (fr) * | 1996-04-23 | 1997-10-30 | Bio-Polymer Research Co., Ltd. | Nouvelles bacteries produisant de la cellulose |
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---|---|
JP3096838B2 (ja) | 2000-10-10 |
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