JP2816939B2 - バクテリアセルロースの製造方法 - Google Patents

バクテリアセルロースの製造方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アセトバクター属に属
しセルロース性物質を生産する能力を有する微生物(こ
の微生物を以後「セルロース生産性酢酸菌」と称する)
を用いるセルロース性物質(バクテリアセルロース:B
C)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】BCは可食性であり食品分野で利用され
るほか水系分散性に優れているので食品、化粧品又は塗
料等の粘度の保持、食品原料生地の強化、水分の保持、
食品安定性向上、低カロリー添加物又は乳化安定化助剤
としての産業上利用価値がある。BCは木材パルプ等か
ら製造されるセルロースに較べ、フィブリルの断片幅が
2桁程度も小さいことを特徴とする。従って、BCの離
解物はミクロフィブリルのかかる構造的物理的特徴に基
づき高分子、特に水系高分子用補強剤として各種の産業
用用途がある。このようなセルロース性離解物を紙状ま
たは固型状に固化した物質は高い引張弾性率を示すの
で、ミクロフィブリルの構造的特徴に基づくすぐれた機
械特性が期待され、各種産業用素材としての応用があ
る。
【0003】従来より、アセトバクター属に属する微生
物を培養して、セルロースを生産する方法は知られてい
る。例えば、特開昭62−265990号公報、特開昭
63−202394号公報及び特公平6−43443号
公報等に、その記載がある。セルロース生産性酢酸菌の
培養を行なう際に適当とされている栄養培地としては、
炭素源、ペプトン、酵母エキス、燐酸ナトリウム及びク
エン酸からなる Schramm/Hestrin 培地(Schramm ら、
J. General Biology, 11, pp.123〜129, 1954)が知ら
れている。しかしながら、上記栄養培地で振盪もしくは
通気攪拌培養を行なった場合、得られるセルロース生産
量は低く、生成速度も必ずしも満足のいくものではなか
った。また、上記栄養培地の他に、コーンスチープリカ
ー(CSL)や麦芽エキス等を加えた培地が知られてい
るが、これら天然栄養素(ペプトン、酵母エキス、CS
L、麦芽エキスなど)に含まれる特定成分がセルロース
生成促進に関与していることは知られていない。培地中
の特定栄養素によるセルロース生成促進因子として、現
在知られているものにはイノシトール、フィチン酸及び
ピロロキノリンキノン(PQQ)(特公平5−1718
号公報;高井光男,紙パ技協誌,第42巻,第3号,第
237〜244頁)等があるが、セルロース生成量はま
だ不十分であり、またこれらの振盪もしくは通気攪拌培
養における効果も明確ではなかった。また、本出願人
は、カルボン酸又はその塩(特願平5−191467
号)、インベルターゼ(特願平5−331491号)及
びメチオニン(特願平5−335764号)を培地中に
添加することによって、セルロース性物質の生産性が向
上することを見い出している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、セル
ロース生産性酢酸菌を用いて、経済的かつ高収率でセル
ロース性物質を生産させる新たな方法を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために種々の研究を行なった。その結果、
セルロース生産性酢酸菌をサポニンを添加した培地中で
培養することにより、セルロース性物質の生産性が向上
することを見出した。即ち、本発明は、セルロース生産
性酢酸菌を、サポニンを添加した培地中で培養し、培地
中にセルロース性物質を生成蓄積せしめ、該物質を採取
することから成る、セルロース性物質の製造方法を提供
する。
【0006】本発明において使用されるセルロース生産
性酢酸菌としては、例えば、BPR2001株に代表さ
れるアセトバクター・キシリナム・サブスピーシーズ・
シュクロファーメンタンス(Acetobacter xylinum subs
p. sucrofermentans) 、アセトバクター・キシリナム
Acetobacter xylinum )ATCC23768、アセト
バクター・キシリナムATCC23769、アセトバク
ター・パスツリアヌス(A. pasteurianus )ATCC1
0245、アセトバクター・キシリナムATCC148
51、アセトバクター・キシリナムATCC11142
及びアセトバクター・キシリナムATCC10821
等、並びにそれらの菌株より各種突然変異処理及び遺伝
子組み換え技術などによって誘導・育種して得られた菌
株、更にそれらにNTG(ニトロソグアニジン)を用い
た公知の方法によって化学的変異処理等することにより
創製された各種変異株(特願平6−127994号、特
願平6−151729号、特願平6−158201号及
び特願平6−167573号)を挙げることができる。
【0007】この中で、BPR2001株と命名された
株は、形態は桿菌、グラム染色性は陰性、胞子形成能は
陰性、酸素に対する態度は好気性、カタラーゼ反応陽
性、オキシダーゼ反応陰性、エタノールからの酢酸生成
は陽性、酢酸塩の酸化は陽性、乳酸塩の酸化は陽性とい
う、菌学的性質を有している。尚、BPR2001株
は、平成5年2月24日に通商産業省工業技術院生命工
学工業技術研究所特許微生物寄託センターに寄託され
(受託番号FERM P−13466)、その後199
4年2月7日付で特許手続上の寄託の国際的承認に関す
るブダペスト条約に基づく寄託(受託番号FERM B
P−4545)に移管されている。NTG等の変異剤を
用いての化学的変異処理方法には、例えば、Bio Factor
s,Vol. 1, p.297−302 (1988), J. Gen. Microbiol, V
ol. 135, p.2917−2929 (1989) 及び FEMS Microbiol L
ett., Vol. 71, p.337−343 (1990)等に記載されてい
るものがある。
【0008】サポニンは、植物界に分布する配糖体で多
環式化合物をアグリコンとする化合物の総称である。例
えば大豆及び大豆からつくられるきな粉や豆蜜等の成分
の一つである。大多数が無定形粉末で、水、メタノー
ル、熱希エタノールに溶けやすく、その他の有機溶媒に
は溶けない。サポニンの糖成分はD−グルコース、D−
ガラクトース、L−アラビノースがふつうであるが、メ
チルペントース、ウロン酸、デオキシ糖も得られてい
る。アグリコンはサポゲニンとよばれ、2種類ある。そ
の1つはトリテルペンに、他はステロイドに属する。前
者をもつサポニンをトリテルペノイドサポニンといい、
概して酸性でセレン脱水素反応によりサポタリン(1,
2,7−トリメチルナフタレン)を生ずる。代表的なも
のはヘデリンである。ステロイドをもつサポニンはステ
ロイドサポニンとよばれ、ふつう中性でジギトニンはそ
の一例である。尚、サポニンの構造等については、Bios
ci. Biotech. Biochem., 57(4), 546-550, 1993 等に記
載されている。サポニン源としては、大豆等より分離し
たサポニンそのものを培地に添加してもよいし、更には
サポニンを含有する大豆等植物の抽出液を培地に添加し
てもよい。サポニンは、培養の途中から添加することも
可能であるが、培養の初めから添加することが好まし
い。添加濃度としては、約20〜100mg/dlが好まし
い。
【0009】本発明の製造方法に用いる培地の組成物
中、炭素源としてはシュクロース、グルコース、フラク
トース、マンニトール、ソルビトール、ガラクトース、
マルトース、エリスリット、グリセリン、エチレングリ
コール、エタノール等を単独或いは併用して使用するこ
とができる。更にはこれらのものを含有する澱粉水解
物、シトラスモラセス、ビートモラセス、ビート搾汁、
サトウキビ搾汁、柑橘類を始めとする果汁等をシュクロ
ースに加えて使用することもできる。 また、窒素源と
しては硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸ア
ンモニウム等のアンモニウム塩、硝酸塩、尿素等有機或
いは無機の窒素源を使用することができ、或いはBac
t−Peptone、Bact−Soytone、Ye
ast−Extract、豆濃などの含窒素天然栄養源
を使用してもよい。有機微量栄養素としてアミノ酸、ビ
タミン、脂肪酸、核酸、2,7,9−トリカルボキシ−
1Hピロロ〔2,3−5〕−キノリン−4,5−ジオン
を添加してもよい。生育にアミノ酸等を要求する栄養要
求性変異株を使用する場合には、要求される栄養素を補
添することが必要である。無機塩類としてはリン酸塩、
マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩、コ
バルト塩、モリブデン酸塩、赤血塩、キレート金属類等
が使用される。更に、前述のセルロース生成促進因子を
適宜培地中に添加することもできる。
【0010】培養のpHは3ないし7に、好ましくは5
付近に制御する。培養温度は10〜40℃、好ましくは
25〜35℃の範囲で行う。培養槽に供給する酸素濃度
は1〜100%、望ましくは21〜80%であれば良
い。これら培地中の各成分の組成割合及び培地に対する
菌体の接種等は培養方法に応じて当業者が適宜選択し得
るものである。本発明方法では、培養形式に制限を受け
ず、静置、振盪もしくは通気攪拌培養のいずれでもよ
い。振盪もしくは通気攪拌下での培養であってもセルロ
ース生産性に影響を及ぼさないことも本発明方法の特徴
の1つである。また、培養操作方法としても、いわゆる
回分発酵法、流加回分発酵法、反復回分発酵法及び連続
発酵法のいずれも使用することができる。更に攪拌手段
としては従来公知の手段、例えばインペラー、エアーリ
フト発酵槽、発酵ブロスのポンプ駆動循環、及びこれら
手段の組合せ等から任意に選択することができる。
【0011】本発明の方法によって生成されるセルロー
ス性物質はそのまま回収してもよく、さらに本物質中に
含まれる菌体を始めとするセルロース性物質以外の物質
を取り除く処理をほどこしてもよい。不純物を取り除く
ためには水洗、加圧脱水、希酸洗浄、アルカリ洗浄、次
亜塩素酸ソーダ及び過酸化水素などの漂白剤による処
理、リゾチームなどの菌体溶解酵素による処理、ラウリ
ル硫酸ソーダ、デオキシコール酸などの界面活性剤によ
る処理、常温から200℃の範囲の加熱洗浄などを単独
及び併用してほどこすことによりセルロース性物質から
不純物を除去することができる。このようにして得られ
た本発明でいうセルロース性物質とは、セルロース及
び、セルロースを主鎖としたヘテロ多糖を含むもの及び
β−1,3、β−1,2等のグルカンを含むものであ
る。ヘテロ多糖の場合のセルロース以外の構成成分はマ
ンノース、フラクトース、ガラクトース、キシロース、
アラビノース、ラムノース、グルクロン酸等の六炭糖、
五炭糖及び有機酸等である。なおこれ等の多糖が単一物
質である場合もあるし2種以上の多糖が水素結合等によ
り混在してもよい。
【0012】
【実施例】以下の実施例により、本発明をさらに詳細に
説明する。実施例1 前述のATCC10245、ATCC11142及びA
TCC14851の各セルロース生産性酢酸菌を用い
て、下記組成:
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】 ビタミン混合物 化合物 mg/L イノシトール 200 ナイアシン 40 ピリドキシンHCl 40 チアミンHCl 40 パントテン酸カルシウム 20 リボフラビン 20 p−アミノ安息香酸 20 葉 酸 0.2 ビオチン 0.2
【0015】CSL−Suc培地にサポニン(「サポニ
ン、大豆製」(和光純薬工業株式会社製))を0、1、
50、100及び500mg/dl添加して、300ml斜め
バッフルフラスコ(培地張込み75ml、植菌量10%)
を用いて28℃、150rpmで4日間培養後のBC蓄積
量と対消費糖収率で評価した。得られた結果を図1に示
す。
【0016】尚、上記実施例中、BC蓄積量(g/L)
は、培養終了後、培養液中の固形物を集積し、水洗して
培地成分を除去した後、INNaOH水溶液中で80
℃、20分間処理して菌体を除去した。さらに、洗浄液
が中性付近になるまで生成セルロースを水洗した後、8
0℃で12時間真空乾燥して乾燥重量を測定することで
求めた。また収率(%)は以下のようにして求めた。 対消費糖収率(%)の計算 対消費糖収率は、対消費糖収率として以下のように計算
した。
【数1】YBC=BC/(RCMF−RCBF)*100 YBC :対消費糖収率(%) BC :BC蓄積量(g/L) RCMF:培地の糖濃度(g/L) RCBF:培養後の培地の糖濃度(g/L)
【0017】
【発明の効果】本発明方法によるセルロース性物質の生
産において、サポニンを培地に適量添加することによっ
て、セルロース性物質蓄積量が約1.1〜5倍に向上
し、対消費糖収率も約0.5〜7%増加した。このこと
は、本発明方法がセルロース性物質を効率よくかつ安価
に製造できることを示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種ATCC株の本発明方法に於けるBC蓄積
量及び対消費糖収率を示すグラフである。尚、図中、黒
丸はATCC10245株、白丸はATCC11142
株及び黒三角はATCC14851株を表す。
フロントページの続き (72)発明者 吉永 文弘 神奈川県川崎市高津区坂戸3丁目2番1 号 株式会社バイオポリマー・リサーチ 内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12P 19/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース生産性酢酸菌を、サポニンを
    添加した培地中で培養し、培地中にセルロース性物質を
    生成蓄積せしめ、該物質を採取することから成る、セル
    ロース性物質の製造方法。
  2. 【請求項2】 サポニンを培地中に20〜100mg/dl
    添加することを特徴とする、請求項1記載の製造方法。
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