JPH09308495A - バクテリアセルロースの連続的製造方法 - Google Patents

バクテリアセルロースの連続的製造方法

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JPH09308495A
JPH09308495A JP8148487A JP14848796A JPH09308495A JP H09308495 A JPH09308495 A JP H09308495A JP 8148487 A JP8148487 A JP 8148487A JP 14848796 A JP14848796 A JP 14848796A JP H09308495 A JPH09308495 A JP H09308495A
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cellulose
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sugar
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Takaaki Narutomi
隆昭 成富
Toru Koda
徹 幸田
Michi Narutomi
みち 成富
Hisato Yano
壽人 矢野
Fumihiro Yoshinaga
文弘 吉永
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Bio Polymer Research Co Ltd
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Bio Polymer Research Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P19/00Preparation of compounds containing saccharide radicals
    • C12P19/04Polysaccharides, i.e. compounds containing more than five saccharide radicals attached to each other by glycosidic bonds

Abstract

(57)【要約】 【課題】 バクテリアセルロース(BC)の製造方法に
於いて、BCの高い生産速度と収率を達成すること。 【解決手段】 セルロース生産菌を連続培養して、培養
液中の残糖の濃度を20g/L以下に維持しつつ、かつ
0.4g/L/hr以上の生産速度でセルロース性物質を
製造する方法、及び糖に対する見かけの基質親和性を高
める因子を含有する培地を用いてセルロース生産菌を培
養して、セルロース性物質を製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続培養における
培養液中の残糖濃度を一定値以下に維持しつつ、高生産
速度で、セルロース性物質を生産する能力を有する微生
物(以下、「セルロース生産菌」という。)に属する菌
体を用いてセルロース性物質(以下、「バクテリアセル
ロース」又は「BC」という。)を連続的に製造する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】BC(バクテリアセルロース)は可食性
であり食品分野で利用されるほか水系分散性に優れてい
るので食品、化粧品又は塗料等の粘度の保持、食品原料
生地の強化、水分の保持、食品安定性向上、低カロリー
添加物又は乳化安定化助剤としての産業上利用価値があ
る。BCは木材パルプ等から製造されるセルロースに較
べ、フィブリルの断片幅が2ケタ程度も小さいことを特
徴とする。従って、BCの離解物はミクロフィブリルの
かかる構造的物理的特徴に基づき高分子、特に水系高分
子用補強剤として各種の産業用用途がある。このような
セルロース性離解物を紙状または固型状に固化した物質
は高い引張弾性率を示すのでミクロフィブリルの構造的
特徴に基づくすぐれた機械特性が期待され、各種産業用
素材としての応用がある。
【0003】BCの製造方法に関しては、特開昭62−
265990号、特開昭63−202394号及び特公
平6−43443号等にBCの製造方法に関する記載が
ある。セルロース生産菌の培養を行なう際に適当とされ
ている栄養培地としては、炭素源、ペプトン、酵母エキ
ス、燐酸ナトリウム及びクエン酸からなる Schramm/He
strin 培地(Schramm ら、J. General Biology, ll, p
p.123〜129, 1954 )が知られている。また、このよう
な栄養培地に、培地中の特定栄養素によるセルロース生
成促進因子である、イノシトール、フィチン酸及びピロ
ロキノリンキノン(PQQ)(特公平5−1718号公
報;高井光男,紙パ技協誌,第42巻,第3号,第23
7〜244頁)等を添加したり、更には、カルボン酸又
はその塩(特願平5−191467号)、インベルター
ゼ(特願平5−331491号)及びメチオニン(特願
平5−335764号)を添加することによって、セル
ロース性物質の生産性が向上することが見い出されてい
る。又、特定の範囲の酸素移動容量係数(KLa)の条
件下でセルロース生産菌を培養する方法(特願平7−3
1787号)、炭素源の培養液中濃度を一定値以上に維
持しながらセルロース生産菌を培養する方法(特願平7
−276407)、及び培養の或る段階に於いて、発酵
槽の内圧を一定値以上に維持しながらセルロース生産菌
を培養する方法(特願平7−276408)等も提案さ
れている。また、従来より、微生物を培養する培養形式
としては、静置、振盪もしくは通気攪拌培養等が用いら
れてきた。また、培養操作法としては、いわゆる回分培
養法、流加回分培養法、反復回分培養法及び連続培養法
等が使用されてきた。尚、攪拌手段としては、例えばイ
ンペラー(攪拌羽根)、エアーリフト発酵槽、発酵ブロ
スのポンプ駆動循環、及びこれら手段の組合せ等が使用
されている。インペラーの種類としては、門型羽根、タ
ービン羽根、ヘリカルリボン羽根及びスクリュー羽根等
が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】経済的かつ高収率なB
Cの製造方法として、培養期間中、培養系からの培養液
の引き抜き及び該引き抜き量とほぼ等容量の新たな培養
液の供給を連続的に行なうことによって、培養中の培養
液に於けるセルロース性物質の濃度を一定値以下、又は
酸素消費速度を一定値以上に保つことができるように低
く維持することを特徴とするBCの製造方法が特願平6
−192288号に記載されている。しかしながら、該
方法によって、培養中にBCが蓄積することによって培
養液の粘度が増加するのに伴ない必要な酸素の供給が困
難になる、という欠点が解決され、高い生産速度は達成
されたものの、希釈率(即ち、培地の供給速度)が比較
的高いため、引き抜き液中に未利用の糖が多く残ってし
まい、結果としてBC生産の収率に未だ課題を残してい
た。そこで、本発明者等は、上記課題を解決すべく検討
した結果、本発明を完成させたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、セルロ
ース生産菌を連続培養して、培養液(引き抜き液)中の
残糖の濃度を20g/L以下、好ましくは8g/L以下
に維持しつつ、かつ0.4g/L/hr以上の生産速度で
セルロース性物質を製造する方法に係わる。本発明の製
造方法に於いて、希釈率を制御することによって培養液
中の糖濃度を一定値以下に維持したまま、BCを含む培
養液を連続的に培養系から引き抜くことによって、セル
ロース生産菌の連続培養におけるBCの収率を向上させ
るものである。ここで「連続的」とは、「断続的」又は
「間欠的」をも含むものであって、培養系に対する培養
液の供給・引き抜きをペリスタティックポンプ等を用い
て一定の流量で常時継続的に行なう態様に限らず、一定
時間の間隔で培養液の供給・引き抜きを行なう態様もか
かる概念に包含されるものである。いずれの場合も、引
き抜き液中の残糖の濃度をモニタリングしながら、その
値に応じて、供給量及び引き抜き量を適宜決めていくこ
とによって、かかる培養液中の糖濃度を低い範囲に維持
することができる。培養液中の残糖の濃度を20g/L
以下に維持する具体的な方法の例としては、例えば菌体
としてBPR3001A株を用いた場合には希釈率を
0.12/hr以下にすることが挙げられる。ここで、
「希釈率」は以下のように定義する。 D=F/V ここで、D:希釈率(/hr) F:培地供給速度(L/hr) V:発酵槽内の培養液量(L)
【0006】更に、本発明は、フルクトース等の糖に対
する菌体の見かけの基質親和性を高める(即ち、基質親
和定数(Ks )を小さくする。)ような因子を含有する
培地を用いてセルロース生産菌を培養して、セルロース
性物質を製造する方法に係わる。かかる因子の例とし
て、乳酸、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸、ピル
ビン酸及びグリセロール並びにこれらの混合物等を挙げ
ることができる。培地中のかかる因子の濃度は、当業者
が適宜選択することができるが、通常、1〜30g/L
である。
【0007】ここで、基質親和定数(Ks )とは、微生
物と或る基質との親和性を表すものであり、最大比増殖
速度の半分の比増殖速度を示すときの基質濃度に等し
い。すなわち、或る基質に対して基質親和性が高いほ
ど、基質親和定数の値は小さくなる。 Monod式によれ
ば、基質親和定数Ks と最大比増殖速度μmax 、比増殖
速度μ、残存基質濃度Sとの間には以下の関係が成り立
つ。 μ=μmax ×S/(Ks +S) ここで、 μ:比増殖速度(/hr) μmax :最大比増殖速度(/hr) S:残存基質濃度(g/L) Ks :基質親和定数(g/L) 連続培養では定常状態において希釈率Dと比増殖速度μ
が等しいとみなせるため、定常状態での培養液基質濃度
と希釈率との関係から、特定の微生物と或る基質に関し
て、参考例に示すように Lineweaver-Burk plot を用い
て実験的にKsを算出することができる。
【0008】本発明方法を実施するに際しては、前述の
培養形式・培養操作法に加えて、特願平6−19228
7号に記載されている「培養装置と浮上分離装置及びエ
ッジフィルター等の分離装置の間で菌体を含む培養液を
循環させるセルロース性物質の製造方法であって、該分
離装置に於いて、生産物であるセルロース性物質を菌体
及び培養液から分離することを特徴とする、前記方法」
を採ることもできる。
【0009】本発明において使用されるセルロース生産
菌は、例えば、BPR2001株に代表されるアセトバ
クター・キシリナム・サブスピーシーズ・シュクロファ
ーメンタンス(Acetobacter xylinum subsp. sucroferm
entans)、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter
xylinum )ATCC23768、アセトバクター・キシ
リナムATCC23769、アセトバクター・パスツリ
アヌス(A. pasteurianus )ATCC10245、アセ
トバクター・キシリナムATCC14851、アセトバ
クター・キシリナムATCC11142及びアセトバク
ター・キシリナムATCC10821等の酢酸菌、その
他に、アグロバクテリウム属、リゾビウム属、サルシナ
属、シュードモナス属、アクロモバクター属、アルカリ
ゲネス属、アエロバクター属、アゾトバクター属及びズ
ーグレア属並びにそれらをNTG(ニトロソグアニジ
ン)等を用いる公知の方法によって変異処理することに
より創製される各種変異株である。尚、BPR2001
株は、平成5年2月24日に通商産業省工業技術院生命
工学工業技術研究所特許微生物寄託センターに寄託され
(受託番号FERM P−13466)、その後199
4年2月7日付で特許手続上の寄託の国際的承認に関す
るブダペスト条約に基づく寄託(受託番号FERM B
P−4545)に移管されている。
【0010】NTG等の変異剤を用いての化学的変異処
理方法には、例えば、Bio Factors,Vol. 1, p.297−302
(1988)及び J. Gen. Microbiol, Vol. 135, p.2917−2
929(1989) 等に記載されているものがある。従って、当
業者であればこれら公知の方法に基づき本発明で用いる
変異株を得ることができる。また、本発明で用いる変異
株は他の変異方法、例えば放射線照射等によっても得る
ことができる。上述の方法によって創製されるセルロー
ス生産菌の中でも、通気攪拌培養することによって、ポ
リスチレン換算の重量平均重合度が1.6×104
上、好ましくは1.7×104 以上である高重合度のバ
クテリアセルロースを製造するか、又は、静置培養する
ことによって、ポリスチレン換算の重量平均重合度が
2.0×104 以上である高重合度のバクテリアセルロ
ースを製造する菌株が好ましい。本発明で使用し得る高
重合度のバクテリアセルロースの生産菌のうち、BPR
3001Aは、平成7年6月12日付で通商産業省工業
技術院生命工学工業技術研究所特許微生物寄託センター
に寄託され、受託番号FERM P−14982を付さ
れている。一般的に、高分子材料の強度や弾性率は、高
分子の重合度が高いほど、高いものとなることが知られ
ている。バクテリアセルロースの場合にも同様で、高重
合度のバクテリアセルロースを原料として得られた各種
製品は、相対的に低い重合度のバクテリアセルロースを
原料として得られたものと比較して、その強度や弾性率
が高い。従って、高強度や弾性率のものを製造したい場
合には、先に述べたような高重合度のバクテリアセルロ
ースを用いた方が高い効果が得られる。
【0011】本発明におけるBC等の各種セルロースの
重量平均重合度は、検出器としてRIを内蔵したGPC
システム(Tosoh HLC−8020)を用いて以下のよ
うにして測定する。各種セルロース試料を発煙硝酸−五
酸化リン溶液で W.J. Alexander, R.L. Mitchell, Anal
ytical chemistry 21, 12, 1497-1500 (1949) の方法に
よりニトロ化する。コントロールとして同時にニトロ化
したコットンリンターを用いる。セルロースニトロ化物
はTHF(和光純薬 1級)に0.05%濃度で溶かし
たのち、1.0μmポアサイズのフィルターで濾過す
る。GPCの溶離液にもTHFを用いる。流速は0.5
ml/min 、圧力は10〜13kg f/cm2 、サンプル注入
量は100μl とする。カラムはTSKgel GMH
−HR(S)(7.5ID×300mm×2本)とガード
カラム(HHR(S))(Tosoh Co., Ltd.) を用い35
℃で測定する。分子量算出のためにスタンダードポリス
チレン(Tosoh) を用いポリスチレン換算の相対分子量を
求める。2×107 から2630の分子量のポリスチレ
ンを用い、溶出時間(t)と分子量の対数(logM)
について、3次式:(logM=At3 +Bt2 +Ct
+D)による近似を行いスタンダード曲線を作製する。
分子量はTosoh のデータ処理専用機(SC−8020)
に内蔵されたプログラム(ver.3,10)により重
量平均分子量を計算する。これらの分子量の値からニト
ロ化後の置換度を考慮して重量平均重合度を計算する。
【0012】本発明の製造方法に用いる培地の組成物
中、炭素源としてはシュクロース、グルコース、フルク
トース、マンニトール、ソルビトール、ガラクトース、
及びマルトース等の糖類を単独或いは併用して使用する
ことができる。更にはこれらのものを含有する澱粉水解
物、シトラスモラセス、ビートモラセス、ビート搾汁、
サトウキビ搾汁、柑橘類を始めとする果汁等をシュクロ
ースに加えて使用することもできる。また、窒素源とし
ては硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アン
モニウム等のアンモニウム塩、硝酸塩、尿素等有機或い
は無機の窒素源を使用することができ、或いはBact
−Peptone、Bact−Soytone、Yea
st−Extract、豆濃などの含窒素天然栄養源を
使用してもよい。有機微量栄養素としてアミノ酸、ビタ
ミン、脂肪酸、核酸、2,7,9−トリカルボキシ−1
Hピロロ〔2,3,5〕−キノリン−4,5−ジオン、
亜硫酸パルプ廃液、リグニンスルホン酸等を添加しても
よい。
【0013】生育にアミノ酸等を要求する栄養要求性変
異株を使用する場合には、要求される栄養素を補添する
ことが必要である。無機塩類としてはリン酸塩、マグネ
シウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩、コバルト
塩、モリブデン酸塩、赤血塩、キレート金属類等が使用
される。更に、前述のセルロース生成促進因子を適宜培
地中に添加することもできる。例えば、酢酸菌を生産菌
として用いる場合には、培養のpHは3ないし7に、好
ましくは5付近に制御する。培養温度は10〜40℃、
好ましくは25〜35℃の範囲で行う。培養装置に供給
する酸素濃度は1〜100%、望ましくは21〜80%
であれば良い。これら培地中の各成分の組成割合は培養
方法に応じて当業者が適宜選択し得るものである。
【0014】本発明の方法によって製造されるBCはそ
のまま回収してもよく、さらに本物質中に含まれる菌体
を含むセルロース性物質以外の不純物を取り除く処理を
施すことが出来る。不純物を取り除くためには、水洗、
加圧脱水、希酸洗浄、アルカリ洗浄、次亜塩素酸ソーダ
及び過酸化水素などの漂白剤による処理、リゾチームな
どの菌体溶解酵素による処理、ラウリル硫酸ソーダ、デ
オキシコール酸などの界面活性剤による処理、常温から
200℃の範囲の加熱洗浄などを単独及び併用して行
い、セルロース性物質から不純物をほぼ完全に除去する
ことができる。このようにして得られた本発明でいうセ
ルロース性物質とは、セルロース及び、セルロースを主
鎖としたヘテロ多糖を含むもの及びβ−1,3、β−
1,2等のグルカンを含むものである。ヘテロ多糖の場
合のセルロース以外の構成成分はマンノース、フラクト
ース、ガラクトース、キシロース、アラビノース、ラム
ノース、グルクロン酸等の六炭糖、五炭糖及び有機酸等
である。尚、これ等の多糖が単一物質である場合もある
し2種以上の多糖が水素結合等により混在してもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下の実施例により、本発明をさ
らに詳細に説明する。
【0016】
【実施例】実施例1 BPR3001A株を以下の条件で連続培養した。培養条件 前培養として、112.5mlのCSL−Fru培地(培
地組成は表1)が入った500ml容斜めバッフル付き三
角フラスコにBPR3001A株のRoux培養菌液を1
2.5ml接種し、28℃、180rpm で3日間振盪培養
した。この培養液をホモジナイザーで10,000rpm
、1分間無菌的に離解したもの12.5mlを112.
5mlのCSL−Fru培地(培地組成は表1)が入った
500ml容斜めバッフル付き三角フラスコ6本に接種
し、28℃、180rpm で24時間振盪培養した。次
に、1440mlのCSL−Fru培地が入った3リット
ル容のジャー3台にこの菌液を160mlずつ接種して回
分培養を開始した。この時の初発糖濃度は40g/L、
初発CSL濃度は4v/v%とした。培養中は、培養温
度は30℃、pHは5±0.1で制御した。また、通気
量は800ml/分とし、攪拌は溶存酸素が充足されるよ
うに200〜1200rpm に制御した。連続培養には、
1)表1記載のCSL−Fru培地の糖濃度を30g/
Lに変更した培地、2)1)の培地に乳酸を7.5g/
L添加した培地、3)1)の培地に10g/Lのエタノ
ールを添加した培地、の3種類の培地を供給培地として
使用した。回分培養開始後20時間目から上記3種類の
培地を各ジャーに希釈率0.034(/hr)で36時間
供給してBC生産を行った。また、希釈率0.069、
0.102(/hr)でも同様の培養を行った。培地供給
量及び培養液引き抜き量は培地供給量と培養液引き抜き
量が等しくなるように重量測定しながら制御した。その
結果得られた、希釈率とBC生産速度及び引き抜き液中
の残糖量との関係、並びに希釈率と消費糖収率及び投入
糖収率との関係を、それぞれ図1及び図2に示した。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】ビタミン混合物 化合物 mg/L イノシトール 200 ナイアシン 40 ピリドキシンHCl 40 チアミンHCl 40 パントテン酸カルシウム 20 リボフラビン 20 p−アミノ安息香酸 20 葉 酸 0.2 ビオチン 0.2
【0019】
【表3】塩類混合液 FeSO4 ・7H2 O 360mg/L CaCl2 ・2H2 O 1470mg/L Na2 MoO2 ・2H2 O 242mg/L ZnSO4 ・7H2 O 173mg/L MnSO4 ・5H2 O 139mg/L CuSO4 ・5H2 O 5mg/L
【0020】尚、図1中、引き抜き液中の残糖濃度は、
引き抜き液を適宜希釈して、0.45μmの酢酸セルロ
ース膜で濾過したものを高速液体クロマトグラフ(日本
分光社製HPLC、分離カラム: Shodex Asahipak NH2
P-50 4E )で測定して求めた。更に、連続培養中のBC
生産速度(g/L/hr)を計算する為のBC蓄積量は、
引き抜き液中の固形物を集積し、水洗して培地成分を除
去した後、1NNaOH水溶液中で80℃、20分間処
理して菌体を除去した。さらに、洗浄液が中性付近にな
るまで生成セルロースを水洗した後、80℃で12時間
真空乾燥して乾燥重量を測定することで求めた。
【0021】又、図2中の、消費糖収率(%)及び投入
糖収率(%)は以下のようにして求めた。消費糖収率(%)の計算 いま、糖濃度がFruin(g/L)である培地を供給速
度F(L/hr)で供給している連続培養系において、時
間t0 のとき、発酵槽内に体積V(L)の培養液が存在
し、その培養液中のBC濃度がBC0 (g/L)、糖濃
度がFru0 (g/L)であったとする。t時間経過し
た時間t1 のとき、培養液中のBC濃度がBC1 (g/
L)、糖濃度がFru1 (g/L)になっていたとし、
t時間のうちにv(L)引き抜かれた引き抜き液中のB
C濃度がBCout (g/L)、残糖濃度がFru
out (g/L)であったとする、消費糖収率Yc(%)
は、 Yc=(P1 −P0 +Pout ) /(S0 +Sin−S1
out ) * 100 で表される。ここで、 Yc:消費糖収率(%) P0 :時間t0 における発酵槽内の全BC量(g)(P
0 =BC0 * V) P1 :時間t1 における発酵槽内の全BC量(g)(P
1 =BC1 * V) Pout :時間t0 から時間t1 にかけて引き抜かれた引
き抜き液中の全BC量(g)(Pout =BCout * v) S0 :時間t0 における発酵槽内の全糖量(g)(S0
=Fru0 * V) S1 :時間t1 における発酵槽内の全糖量(g)(S1
=Fru1 * V) Sin:時間t0 から時間t1 にかけて供給された全糖量
(g)(Sin=Fruin * v) Sout :時間t0 から時間t1 にかけて引き抜かれた引
き抜き液中の全残糖量(g)(Sout =Fru
out * v) t:経過時間(hr)(t=t1 −t0 ) v:時間t0 から時間t1 にかけて引き抜かれた引き抜
き液量(v=F* t)
【0022】投入糖収率(%)の計算 投入糖収率Ytは次式から求めた。 Yt=(P1 −P0 +Pout )/Sin * 100 ここで、 Yt:投入糖収率(%) P0 :時間t0 における発酵槽内の全BC量(g)(P
0 =BC0 * V) P1 :時間t1 における発酵槽内の全BC量(g)(P
1 =BC1 * V) Pout :時間t0 から時間t1 にかけて引き抜かれた引
き抜き液中の全BC量(g)(Pout =BCout * v) Sin:時間t0 から時間t1 にかけて供給された全糖量
(g)(Sin=Fruin * v) t:経過時間(hr)(t=t1 −t0 ) v:時間t0 から時間t1 にかけて引き抜かれた引き抜
き液量(v=F* t)
【0023】参考例 実施例に示した実験において、3種類の供給培地を用い
た連続培養での希釈率Dと定常状態での引き抜き液中の
残糖濃度Sの関係を調べた。 Monod式を変形した次式に
従って、引き抜き液中の残糖濃度の逆数(1/S)と希
釈率Dの逆数(1/D)をプロットした(図3)。 1/μ=1/D=(Ks /μmax) *(1/S)+(1/
μmax) この解析法では得られた直線のX軸切片が(−1/
s )に等しい。最小自乗法によって(1/S):(1
/D)プロットの直線のX軸切片を求めた。得られた結
果を以下の表4に示す。エタノール及び乳酸を供給培地
に添加すると、基質親和定数が小さくなっており、これ
は糖に対する見かけの親和性が高まっていることを示し
ている。
【0024】
【表4】 連続培養におけるBPR3001A株の フラクトースに対する見かけの基質親和定数(Ks ) ────────────────────────────── 培地 基質親和定数(Ks ) (g/L) ────────────────────────────── CSL−Fru(対照) 9 エタノール添加CSL−Fru 5.6 乳酸添加CSL−Fru 3.3 ──────────────────────────────
【0025】
【発明の効果】図1の結果から明らかなように、セルロ
ース生産菌の連続培養において、本発明に従い乳酸及び
エタノール等の糖に対する菌体の見かけの基質親和性を
高めるような因子を添加した培地を用いると、これらの
因子を添加しない対照のCSL−Fru培地に比べて、
同一希釈率に於いて、BCの生産速度が向上すると共
に、引き抜き液中の残糖濃度も低下する、という従来技
術では達成できなかった効果を奏功することができた。
更に、図2から、上記因子の培地への添加によって、消
費糖収率及び投入糖収率のいずれも向上することが判
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 希釈率とBC生産速度及び引き抜き液中の残
糖量との関係を示す。
【図2】 希釈率と消費糖収率及び投入糖収率との関係
を示す。
【図3】 定常の状態での引き抜き液中の残糖濃度
(S)の逆数(1/S)と希釈率の逆数(1/D)をプ
ロットしたものを示す。
フロントページの続き (72)発明者 矢野 壽人 神奈川県川崎市高津区坂戸3丁目2番1号 株式会社バイオポリマー・リサーチ内 (72)発明者 吉永 文弘 神奈川県川崎市高津区坂戸3丁目2番1号 株式会社バイオポリマー・リサーチ内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース生産菌を連続培養して、培養
    液中の残糖の濃度を20g/L以下に維持しつつ、かつ
    0.4g/L/hr以上の生産速度でセルロース性物質を
    製造する方法。
  2. 【請求項2】 糖に対する見かけの基質親和性を高める
    因子を含有する培地を用いてセルロース生産菌を培養し
    て、セルロース性物質を製造する方法。
  3. 【請求項3】 前記因子が、乳酸、エタノール、アセト
    アルデヒド、酢酸、ピルビン酸及びグリセロール並びに
    それらの混合物から成る群から選択される、請求項2に
    記載の方法。
JP8148487A 1996-05-21 1996-05-21 バクテリアセルロースの連続的製造方法 Pending JPH09308495A (ja)

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