JPH1192502A - 酸素富化条件下でのバクテリアセルロースの製造方法 - Google Patents

酸素富化条件下でのバクテリアセルロースの製造方法

Info

Publication number
JPH1192502A
JPH1192502A JP27368997A JP27368997A JPH1192502A JP H1192502 A JPH1192502 A JP H1192502A JP 27368997 A JP27368997 A JP 27368997A JP 27368997 A JP27368997 A JP 27368997A JP H1192502 A JPH1192502 A JP H1192502A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
culture
aeration
air
oxygen concentration
cellulose
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP27368997A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Shoda
誠 正田
Yasushi Sugano
靖史 菅野
Toru Koda
徹 幸田
Fumihiro Yoshinaga
文弘 吉永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bio Polymer Research Co Ltd
Original Assignee
Bio Polymer Research Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bio Polymer Research Co Ltd filed Critical Bio Polymer Research Co Ltd
Priority to JP27368997A priority Critical patent/JPH1192502A/ja
Publication of JPH1192502A publication Critical patent/JPH1192502A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 特定条件下での通気攪拌培養系に於いて、バ
クテリアセルロースの生産性が高い製造方法を提供する
こと。 【解決手段】 攪拌羽根による機械的攪拌を実質的に使
用しない通気攪拌培養系に於いて、21%より高い酸素
濃度を有する空気を通気すること、等を特徴とするバク
テリアセルロースの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、攪拌羽根による機
械的攪拌を実質的に使用しない等の特定の条件を有する
通気攪拌培養系に於いて、セルロース性物質を生産する
能力を有する微生物(以下、「セルロース生産菌」とい
う。)に属する菌体を酸素富化条件下で培養し、セルロ
ース性物質(以下、「バクテリアセルロース」又は「B
C」という。)を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】BC(バクテリアセルロース)は可食性
であり食品分野で利用されるほか水系分散性に優れてい
るので食品、化粧品又は塗料等の粘度の保持、食品原料
生地の強化、水分の保持、食品安定性向上、低カロリー
添加物又は乳化安定化助剤としての産業上利用価値があ
る。BCは木材パルプ等から製造されるセルロースに較
べ、フィブリルの断片幅が2ケタ程度も小さいことを特
徴とする。従って、BCの離解物はミクロフィブリルの
かかる構造的物理的特徴に基づき高分子、特に水系高分
子用補強剤として各種の産業用用途がある。このような
セルロース性離解物を紙状または固型状に固化した物質
は高い引張弾性率を示すのでミクロフィブリルの構造的
特徴に基づくすぐれた機械特性が期待され、各種産業用
素材としての応用がある。
【0003】BCの製造方法に関しては、特開昭62−
265990号、特開昭63−202394号及び特公
平6−43443号等にBCの製造方法に関する記載が
ある。セルロース生産菌の培養を行なう際に適当とされ
ている栄養培地としては、炭素源、ペプトン、酵母エキ
ス、燐酸ナトリウム及びクエン酸からなる Schramm/He
strin 培地(Schramm ら、J. General Biology, ll, p
p.123〜129, l954 )が知られている。また、このよう
な栄養培地に、培地中の特定栄養素によるセルロース生
成促進因子である、イノシトール、フィチン酸及びピロ
ロキノリンキノン(PQQ)(特公平5−1718号公
報;高井光男,紙パ技協誌,第42巻,第3号,第23
7〜244頁)等を添加したり、更には、カルボン酸又
はその塩(特願平5−191467号)、インベルター
ゼ(特願平5−331491号)及びメチオニン(特願
平5−335764号)を添加することによって、セル
ロース性物質の生産性が向上することが見い出されてい
る。
【0004】さて,培養系に於いて空気中の酸素が菌体
に移動する際の気泡から液相への酸素移動は次式によっ
て示される。
【0005】
【数1】dCL /dt=KL a(C* −CL )=HKL
a(PG −PL ) dCL /dt: 酸素移動速度(mmol/L・hr) KL a: 酸素移動容量係数(hr-1) CL : 培養液中の溶存酸素濃度(mmol/L) C* : 気泡の酸素分圧と平衡な溶存酸素濃度(mmol
/L) H : ヘンリー定数 PG : 気相中の酸素分圧(加圧及び酸素濃度を増す
ことにより高まる) PL : 液相中の酸素分圧
【0006】BCの生産においては、BC濃度が高まる
と培養液の粘度が上昇して培養液中への酸素移動が困難
になり、所要の酸素供給を確保するためには攪拌速度や
通気量を高めるなどの対処が必要となる。しかしこれら
の方法では多くの動力が必要となり、経済的でない。そ
こでこれまで酸素要求量を充足させるために、攪拌羽根
の形状の改善、発酵槽形状の改善などが行われて来た
(特願平7−31787号)。更に、発酵槽内の内圧を
高めることによって、酸素供給を確保するための攪拌に
要する所要動力が大幅に低減されたり、発酵槽の気相中
の二酸化炭素の分圧を一定以下の値に維持することによ
ってBCの生産速度及び収率が向上することが見出され
ている(WO97/12987)。
【0007】又、特開昭62−87099号公報には気
泡塔型培養槽を使用した微生物の培養によるセルロース
の製造方法が記載されているが、通気中の酸素を富化状
態にすることについては何等技術的な関心が向けられて
おらず、解決すべき技術的課題としてとり上げられても
いない。従って、開示されている各実施例に於いても通
気中の酸素濃度の数値は具体的に記載されていない。
又、BCの生産速度も約0.3g/L・日程度と小さい
ものであった。尚、従来より、微生物を培養する培養形
式としては、静置、振盪もしくは通気攪拌培養等が用い
られてきた。また、培養操作法としては、いわゆる回分
発酵法、流加回分発酵法、反復回分発酵法及び連続発酵
法等が使用されてきた。攪拌手段としては、例えばイン
ペラー(攪拌羽根)、エアーリフト発酵槽、発酵ブロス
のポンプ駆動循環、及びこれら手段の組合せ等が使用さ
れている。インペラーの種類としては、門型羽根、ター
ビン羽根、ヘリカルリボン羽根及びスクリュー羽根等が
知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、BCを
例えば、攪拌羽根による機械的攪拌を実質的に使用しな
い通気攪拌培養によって製造する場合に於いて等、通気
中の酸素濃度の増加がバクテリアセルロースの生産に与
える影響については、これまで未だ詳細には検討されて
いない。本発明者等は、特定の条件を有する通気攪拌培
養系に於いて、通気中の酸素濃度を高めることによっ
て、バクテリアセルロースの生産性(生産速度)が予想
外に向上することを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、攪拌羽
根による機械的攪拌を実質的に使用しない通気攪拌培養
系に於いて、21%より高い酸素濃度を有する空気を通
気することを特徴とするバクテリアセルロースの製造方
法に係わる。ここで、「攪拌羽根による機械的攪拌を実
質的に使用しない」とは、通気攪拌培養系に於いて、剪
断応力を伴う攪拌羽根による機械的攪拌を主な攪拌手段
としては使用せずに、エアーリフト発酵槽等の気泡塔型
培養槽又は発酵ブロスのポンプ駆動循環等を培養液の主
な攪拌手段として使用することを意味する。従って、補
助的な手段としての攪拌羽根の使用までも除外するもの
ではない。
【0010】このような通気攪拌培養系の好適例とし
て、気泡塔型培養槽、特にエアーリフト発酵槽を備えた
エアーリフト型培養装置を挙げることができる。エアー
リフト発酵槽は気泡塔型培養槽の一種であり、いかなる
動力駆動装置も持たず、空気を多量に含むブロスが上昇
し、空気の少ない高密度の部分が下にくるような比重差
による循環系が形成されて連続発酵を可能にしている装
置である。エアーリフト発酵槽には外部熱交換器を用い
る外部循環型や内部循環型があり、本発明ではどちらの
タイプでも使用することができる。
【0011】本発明はまた、表面が平滑な粒状のバクテ
リアセルロース凝集体を実質的に形成し得るような通気
攪拌培養系に於いて、21%より高い酸素濃度を有する
空気を通気することを特徴とするバクテリアセルロース
の製造方法に係わる。例えば、攪拌羽根による機械的攪
拌を主たる攪拌手段とするような通気攪拌培養系では、
BCの表面が平滑な粒状凝集体(ペレット)は実質的に
形成されず、BCは機械的剪断力により主にパルプ状の
形態となるので、このような培養系はこの本発明の通気
攪拌培養系としては不適当である。本発明で使用する通
気攪拌培養系の中でも、直径が約0.5〜5mm、特に
0.5〜2mmのペレットを形成し得るようなものが好ま
しい。このような好適な系としては、既に述べたエアー
リフト型培養装置を用いた通気攪拌培養系を挙げること
ができる。
【0012】本発明のいずれの製造方法に於いても、通
気中の最高の酸素濃度は約30%以上が好ましく、約5
0%であるとより好ましい。通気中の酸素濃度は、培養
の全期間を通じて常に一定の富化状態に維持する必要は
なく、培養期間中に通気中の酸素濃度を変化させても良
い。又、培養中の或る特定の期間だけ通気の酸素富化状
態を維持することもできる。少なくとも、BC濃度が約
1g/Lより高くなる一定の期間、例えば培養開始後1
5時間以降に通気の酸素富化状態を維持することが望ま
しい。通気量は通常0.1〜4vvm の範囲で当業者が適
宜選択することができる。
【0013】又、本発明方法を実施するに際しては、前
述の培養形式・培養操作法に加えて、特願平6−192
287号に記載されている「培養装置と浮上分離装置及
びエッジフィルター等の分離装置の間で菌体を含む培養
液を循環させるセルロース性物質の製造方法であって、
該分離装置に於いて、生産物であるセルロース性物質を
菌体及び培養液から分離することを特徴とする、前記方
法」、及び特願平6−192288号に記載されている
「セルロース生産菌を培養してセルロース性物質を製造
する方法であって、培養期間中、培養系からの培養液の
引き抜き及び該引き抜き量とほぼ等容量の新たな培養液
の供給を連続的に行なうことによって、培養中の培養液
に於けるセルロース性物質の濃度を例えば10g/L以
下、又は酸素消費速度を15mmol/L/hr以上に保つこ
とができるように低く維持することを特徴とする前記製
造方法」を採ることもできる。
【0014】本発明において使用されるセルロース生産
菌は、例えば、BPR2001株に代表されるアセトバ
クター・キシリナム・サブスピーシーズ・シュクロファ
ーメンタンス(Acetobacter xylinum subsp. sucroferm
entans)、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter
xylinum )ATCC23768、アセトバクター・キシ
リナムATCC23769、アセトバクター・パスツリ
アヌス(A. pasteurianus )ATCC10245、アセ
トバクター・キシリナムATCC14851、アセトバ
クター・キシリナムATCC11142及びアセトバク
ター・キシリナムATCC10821等の酢酸菌、その
他に、アグロバクテリウム属、リゾビウム属、サルシナ
属、シュードモナス属、アクロモバクター属、アルカリ
ゲネス属、アエロバクター属、アゾトバクター属及びズ
ーグレア属並びにそれらをNTG(ニトロソグアニジ
ン)等を用いる公知の方法によって変異処理することに
より創製される各種変異株である。尚、BPR2001
株は、平成5年2月24日に通商産業省工業技術院生命
工学工業技術研究所特許微生物寄託センターに寄託され
(受託番号FERM P−13466)、その後199
4年2月7日付で特許手続上の微生物の寄託の国際的承
認に関するブダペスト条約に基づく寄託(受託番号FE
RM BP−4545)に移管されている。
【0015】NTG等の変異剤を用いての化学的変異処
理方法には、例えば、Bio Factors,Vol. 1, p.297−302
(1988)及び J. Gen. Microbiol, Vol. 135, p.2917−2
929(1989) 等に記載されているものがある。従って、当
業者であればこれら公知の方法に基づき本発明で用いる
変異株を得ることができる。また、本発明で用いる変異
株は他の変異方法、例えば放射線照射等によっても得る
ことができる。本発明の製造方法に用いる培地の組成物
中、炭素源としてはシュクロース、グルコース、フラク
トース、マンニトール、ソルビトール、ガラクトース、
マルトース、エリスリット、グリセリン、エチレングリ
コール、エタノール等を単独或いは併用して使用するこ
とができる。更にはこれらのものを含有する澱粉水解
物、シトラスモラセス、ビートモラセス、ビート搾汁、
サトウキビ搾汁、柑橘類を始めとする果汁等をシュクロ
ースに加えて使用することもできる。 また、窒素源と
しては硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸ア
ンモニウム等のアンモニウム塩、硝酸塩、尿素等有機或
いは無機の窒素源を使用することができ、或いはPep
tone、Soytone、Yeast−Extrac
t、大豆加水分解物などの含窒素天然栄養源を使用して
もよい。有機微量栄養素としてアミノ酸、ビタミン、脂
肪酸、核酸、2,7,9−トリカルボキシ−1Hピロロ
〔2,3,5〕−キノリン−4,5−ジオン、亜硫酸パ
ルプ廃液、リグニンスルホン酸等を添加してもよい。
【0016】生育にアミノ酸等を要求する栄養要求性変
異株を使用する場合には、要求される栄養素を補添する
ことが必要である。無機塩類としてはリン酸塩、マグネ
シウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩、コバルト
塩、モリブデン酸塩、赤血塩、キレート金属類等が使用
される。更に、前述のセルロース生成促進因子を適宜培
地中に添加することもできる。例えば、酢酸菌を生産菌
として用いる場合には、培養のpHは3ないし7に、好
ましくは5付近に制御する。培養温度は10〜40℃、
好ましくは25〜35℃の範囲で行う。これら培地中の
各成分の組成割合及び培地に対する菌体の接種等は培養
方法に応じて当業者が適宜選択し得るものである。
【0017】本発明の方法によって製造されるBCは、
小さいペレット状であり、これらは本物質中に含まれる
菌体を含むセルロース性物質以外の不純物を取り除く処
理を施すことが出来る。本発明の方法によって、生産さ
れたセルロース性物質は捕集装置にて回収し系外へ取り
出すことができる。捕集装置は、従来知られている固液
分離装置が利用でき、例えば網、ストレーナー、分離膜
遠心分離機や固液分離槽等がある。これらの捕集装置を
2つ以上並列に配置することにより連続的にセルロース
性物質を回収する事が出来る。不純物を取り除くために
は、水洗、加圧脱水、希酸洗浄、アルカリ洗浄、次亜塩
素酸ソーダ及び過酸化水素などの漂白剤による処理、リ
ゾチームなどの菌体溶解酵素による処理、ラウリル硫酸
ソーダ、デオキシコール酸などの界面活性剤による処
理、常温から200℃の範囲の加熱洗浄などを単独及び
併用して行い、セルロース性物質から不純物をほぼ完全
に除去することができる。このようにして得られた本発
明でいうセルロース性物質とは、セルロース及び、セル
ロースを主鎖としたヘテロ多糖を含むもの及びβ−1,
3、β−1,2等のグルカンを含むものである。ヘテロ
多糖の場合のセルロース以外の構成成分はマンノース、
フラクトース、ガラクトース、キシロース、アラビノー
ス、ラムノース、グルクロン酸等の六炭糖、五炭糖及び
有機酸等である。尚、これ等の多糖が単一物質である場
合もあるし2種以上の多糖が水素結合等により混在して
もよい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下の実施例により、本発明をさ
らに詳細に説明する。
【0019】比較例 前培養として125mlのCSL−Fru培地(表1)の
入った500l容のバッフル付フラスコにBPR200
1を植菌し、28℃で2日間振盪培養した。次に、この
シード菌液1.5lを、培養装置として内径230mm、
高さ1350mmの50L容槽に高さ800mmのドラフト
チューブの付いた張り込み36L(CSL−Fru培
地)のエアーリフト型培養装置(図1)に無菌的に植菌
し、培養した。培養中の内圧は1.5atm で通気速度は
1vvm とした。培養中はpH5.0、温度30℃になる
ように制御した。結果を図2に示す。80時間培養した
後のBC蓄積量は2.2g/L、OD600は8、残糖
濃度は26g/Lであった。培養中の生産速度は29mg
/L・hであった。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】ビタミン混合物 化合物 mg/L イノシトール 200 ナイアシン 40 ピリドキシンHCl 40 チアミンHCl 40 パントテン酸カルシウム 20 リボフラビン 20 p−アミノ安息香酸 20 葉 酸 0.2 ビオチン 0.2
【0022】
【表3】塩類混合液 FeSO4 ・7H2 O 360mg/L CaCl2 ・2H2 O 1470mg/L Na2 MoO2 ・2H2 O 242mg/L ZnSO4 ・7H2 O 173mg/L MnSO4 ・5H2 O 139mg/L CuSO4 ・5H2 O 5mg/L
【0023】実施例 比較例と同じ培養装置及び菌株、培地を用い、培養中の
通気中の酸素濃度を変えて培養した。培養初期の通気中
の酸素濃度は21%、最高で50%にまで酸素濃度を高
くした。培養中の通気酸素濃度及び通気速度を図3に示
す。培養結果を図4に示す。75時間の培養でBC蓄積
量は6.5g/L、OD600は15、残糖は0になっ
た。ただし、培養28時間以降のBC蓄積量の変化は小
さいので、実際に有効な培養時間である28時間目まで
の生産速度は200mg/L・hであった。即ち、空気の
2.5倍の酸素濃度で通気したこの条件下でのBC生産
性は、空気のみを通気して培養した比較例の生産性の
6.5倍以上にも達することが判明した。
【0024】参考例 比較例と同じ培養装置を用い、Static gassing out法で
L aを測定した。模擬液には、水道水、攪拌羽根を用
いた機械的攪拌による通気攪拌培養液から調製した0.
25%のBC懸濁液、同0.5%のBC懸濁液、及び実
施例の本発明製造方法による培養液から調製した0.5
%のBC懸濁液を用いた。測定結果を表4に示す。
【0025】
【表4】 種々のBC懸濁液で測定したエアーリフト培養槽のKL a ─────────────────────────────────── 通気速度 1vvm 2vvm ─────────────────────────────────── 水 60 120 (/h) エアーリフトで調製 0.5%BC 40 100 機械的攪拌で調製 0.5%BC 20 30 〃 0.25%BC 30 60 ───────────────────────────────────
【0026】機械式攪拌による通気攪拌培養液から調製
したBC懸濁液に比べ、実施例の方法によりエアーリフ
ト型培養装置を用いて調製したBC懸濁液では酸素移動
容量係数であるKL aの減少を小さくすることができ
た。すなわち、機械的攪拌を伴わない方法で攪拌して培
養した本発明によるBCの懸濁液では、攪拌羽根を用い
て機械的な剪断により攪拌した場合のBC懸濁液よりも
酸素移動に対する抵抗を小さくすることができた。これ
は、本発明方法で製造されるBCが直径約1〜2mmのペ
レット状であることが大きな要因であると考えられ、こ
の為に、通気中の酸素濃度の増加分に対して予想外の顕
著なBC生産性の向上が得られたものと思われる。
【0027】Static gassing out法によるKL aの測定
方法:窒素を通気することにより溶存酸素濃度をおよそ
0%飽和状態とした前述の模擬液に、次に酸素分圧20
〜21%の空気を通気し、これによって上昇する溶存酸
素濃度を溶存酸素電極を用いて測定する。KL aは前記
(数1)式より求められる。
【0028】尚、図中、BC蓄積量(g/L)は、培養
終了後、培養液中の固形物を集積し、水洗して培地成分
を除去した後、INNaOH水溶液中で80℃、20分
間処理して菌体を除去し、さらに、洗浄液が中性付近に
なるまで生成セルロースを水洗した後、80℃で12時
間真空乾燥して乾燥重量を測定することで求めた。また
収率又は消費糖収率(%)は以下のようにして求めた。
【0029】
【数2】消費糖収率(%)の計算 YBC=BC/(RCMF−RCBF)*100 YBC : 消費糖収率(%) BC : BC蓄積量(g/L) RCMF: 培地の糖濃度(g/L) RCBF: 培養後の培地の糖濃度(g/L)
【0030】
【発明の効果】本発明方法によって、通気攪拌培養に於
けるBCの生産速度及び収率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法で用いるエアーリフト型培養装置
の一具体例である。
【図2】 従来の酸素富化しない条件方法に於けるBC
の蓄積量等を示す。
【図3】 本発明方法に於ける通気酸素濃度及び通気速
度を示す。
【図4】 本発明方法に於けるBCの蓄積量等を示す。
【符号の説明】
1 植菌用ノズル 2 ガス出口 3 ノズル 4 センサーノズル 5,6 温度調節用水入口及び出口 7 サンプリング用ノズル 8 温度センサー用ノズル 9 ドレイン 10 観察窓 11 ドラフトチューブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉永 文弘 神奈川県川崎市高津区坂戸3丁目2番1号 株式会社バイオポリマー・リサーチ内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 攪拌羽根による機械的攪拌を実質的に使
    用しない通気攪拌培養系に於いて、21%より高い酸素
    濃度を有する空気を通気することを特徴とするバクテリ
    アセルロースの製造方法。
  2. 【請求項2】 通気攪拌培養系としてエアーリフト型培
    養装置を使用する請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 表面が平滑な粒状のバクテリアセルロー
    ス凝集体を実質的に形成し得るような通気攪拌培養系に
    於いて、21%より高い酸素濃度を有する空気を通気す
    ることを特徴とするバクテリアセルロースの製造方法。
  4. 【請求項4】 酸素濃度が最高で約50%である空気を
    通気する、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか一項に記載
    の製造方法によって得ることのできるバクテリアセルロ
    ース。
JP27368997A 1997-09-19 1997-09-19 酸素富化条件下でのバクテリアセルロースの製造方法 Pending JPH1192502A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27368997A JPH1192502A (ja) 1997-09-19 1997-09-19 酸素富化条件下でのバクテリアセルロースの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27368997A JPH1192502A (ja) 1997-09-19 1997-09-19 酸素富化条件下でのバクテリアセルロースの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1192502A true JPH1192502A (ja) 1999-04-06

Family

ID=17531191

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27368997A Pending JPH1192502A (ja) 1997-09-19 1997-09-19 酸素富化条件下でのバクテリアセルロースの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1192502A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2079845A2 (en) 2006-10-02 2009-07-22 Arterion AB Artificial vessels
US8034975B2 (en) 2007-05-18 2011-10-11 Ajinomoto Co., Inc. Method of manufacturing succinic acid and ammonium succinate solutions
JP2014209878A (ja) * 2013-04-19 2014-11-13 大江生醫股▲ふん▼有限公司TCICo.Ltd バイオセルロース膜の製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2079845A2 (en) 2006-10-02 2009-07-22 Arterion AB Artificial vessels
US8034975B2 (en) 2007-05-18 2011-10-11 Ajinomoto Co., Inc. Method of manufacturing succinic acid and ammonium succinate solutions
JP2014209878A (ja) * 2013-04-19 2014-11-13 大江生醫股▲ふん▼有限公司TCICo.Ltd バイオセルロース膜の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3341017B2 (ja) 新規セルロース生産菌
FI85502C (fi) Foerfarande foer framstaellning av polyoler genom pao industriell skala baserad fermentation av socker.
JPH11255806A (ja) 微細繊維状セルロース濃縮物の凍結乾燥方法
JP3800628B2 (ja) バクテリアセルロースの製造方法
US6013490A (en) Method for cultivating apparatus for the production of bacterial cellulose in an aerated and agitated culture
JPH1192502A (ja) 酸素富化条件下でのバクテリアセルロースの製造方法
JP3062725B2 (ja) 通気攪拌培養によるバクテリアセルロースの製造方法及び培養装置
JPH10201495A (ja) セルロース生産菌とその他の微生物との混合培養によるバクテリアセルロースの製造方法
JPH09308495A (ja) バクテリアセルロースの連続的製造方法
JPH0833494A (ja) バクテリアセルロースの循環型連続製造方法及び分離方法
JPH0833495A (ja) バクテリアセルロースの連続的製造方法
JPH05292986A (ja) トレハロースの製造法
JP3785686B2 (ja) 通気攪拌培養によるバクテリアセルロースの高酸素移動容量係数下での製造方法
JPH0994094A (ja) 高菌体培養によるバクテリアセルロースの製造方法
JP2767551B2 (ja) Pqq非生成株を用いるバクテリアセルロースの製造方法
JP2981837B2 (ja) バクテリアセルロース離解物の製造方法
JP4089000B2 (ja) 湿潤バクテリアセルロースの保存方法
JPH09220457A (ja) 高非ニュートン流体攪拌用門型羽根
JP2929065B2 (ja) サルファ剤耐性株を用いるバクテリアセルロースの製造方法
JP3096838B2 (ja) ピリミジンアナログ耐性株を用いるバクテリアセルロースの製造方法
JPH10146198A (ja) セルロース生成促進因子添加によるバクテリアセルロースの製造方法
JP2926210B2 (ja) バクテリアセルロース離解物
JP2816939B2 (ja) バクテリアセルロースの製造方法
JPH08127601A (ja) 濾水度調整剤
JPH11137163A (ja) パン類の製造方法