JPH0833494A - バクテリアセルロースの循環型連続製造方法及び分離方法 - Google Patents

バクテリアセルロースの循環型連続製造方法及び分離方法

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JPH0833494A
JPH0833494A JP19228794A JP19228794A JPH0833494A JP H0833494 A JPH0833494 A JP H0833494A JP 19228794 A JP19228794 A JP 19228794A JP 19228794 A JP19228794 A JP 19228794A JP H0833494 A JPH0833494 A JP H0833494A
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JP19228794A
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Naoki Tawara
直樹 田原
Toru Koda
徹 幸田
Tadahiko Hagamida
忠彦 羽上田
Yasushi Morinaga
康 森永
Hisato Yano
壽人 矢野
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Bio Polymer Research Co Ltd
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Bio Polymer Research Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 培養装置と分離装置の間で菌体を含む培養液
を循環させるセルロース性物質の製造方法であって、該
分離装置に於いて、生産物であるセルロース性物質を菌
体及び培養液から分離することを特徴とする前記製造方
法、及び浮上分離装置又はエッジフィルターを用いたセ
ルロース性物質の分離方法。 【効果】 セルロース性物質を効率よく分離・生産する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セルロース性物質を生
産する能力を有する微生物(以降、「セルロース生産
菌」と称する)に属する菌体を用いるセルロース性物質
(バクテリアセルロース:BC)の循環型連続製造方法
に関する。本発明は特に、分離装置に於いて、生産物で
あるセルロース性物質を菌体及び培地から分離すること
を含む該製造方法に関する。本発明は又、分離装置を用
いたセルロース性物質の分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】BC(バクテリアセルロース)は可食性
であり食品分野で利用されるほか水系分散性に優れてい
るので食品、化粧品又は塗料等の粘度の保持、食品原料
生地の強化、水分の保持、食品安定性向上、低カロリー
添加物又は乳化安定化助剤としての産業上利用価値があ
る。BCは木材パルプ等から製造されるセルロースに較
べ、フィブリルの断片幅が2ケタ程度も小さいことを特
徴とする。従って、BCの離解物はミクロフィブリルの
かかる構造的物理的特徴に基づき高分子、特に水系高分
子用補強剤として各種の産業用用途がある。このような
セルロース性離解物を紙状または固型状に固化した物質
は高い引張弾性率を示すのでミクロフィブリルの構造的
特徴に基づくすぐれた機械特性が期待され、各種産業用
素材としての応用がある。従来より、微生物を培養する
際には、静置、振盪もしくは通気攪拌培養等が用いられ
てきた。また、培養操作法としては、いわゆる回分発酵
法、流加回分発酵法、反復回分発酵法及び連続発酵法等
が使用されてきた。尚、攪拌手段としては、例えばイン
ペラー、エアーリフト発酵槽、発酵ブロスのポンプ駆動
循環、及びこれら手段の組合せ等が使用されている。
【0003】BCの製造方法に関しては、特開昭62−
265990号、特開昭63−202394号及び特公
平6−43443号等に記載がある。セルロース生産菌
の培養を行なう際に適当とされている栄養培地として
は、炭素源、ペプトン、酵母エキス、燐酸ナトリウム及
びクエン酸からなる Schramm/Hestrin 培地(Schramm
ら、J. General Biology, ll, pp.123〜129, l954 )が
知られている。また、このような栄養培地に培地中の特
定栄養素によるセルロース生成促進因子である、イノシ
トール、フィチン酸及びピロロキノリンキノン(PQ
Q)(特公平5−1718号公報;高井光男,紙パ技協
誌,第42巻,第3号,第237〜244頁)等を添加
したり、更には、カルボン酸又はその塩(特願平5−1
91467号)、インベルターゼ(特願平5−3314
91号)及びメチオニン(特願平5−335764号)
を添加することによって、セルロース性物質の生産性が
向上することが見い出されている。ところで、従来に於
いて、通気攪拌培養を利用してのBCの連続的な製造方
法についてはこれまで具体的な報告がなされていない。
更に、これまでのBCの製造方法にあっては、菌体を含
む培養液から生産物であるBCを積極的に分離し、BC
が実質的に除去される一方で、菌体を有効に含む培養液
を循環させて更に培養するというプロセスはこれまで報
告がなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の通気攪拌培養に
おける回分及び流加発酵法にあっては、セルロース生産
菌の培養によって培養液中にBCが蓄積されてくるのに
伴い、培養期間の後半には培養液の粘度が増加し、その
結果、培養系全体を均一かつ充分に攪拌混合することが
著しく困難になる為、酸素の供給(通気)が不充分とな
って菌によるBCの生産速度が低下すると共に、通気
(培養系へのバブルの供給)及び攪拌に多大な動力を要
していたのである。また、従来は生産されたBCを分離
する際に、濾過又は遠心分離が主に用いられてきたが、
例えば濾過ではBCの濾滓に菌体が捕捉されてしまう
し、遠心分離ではBCとともに菌体も一緒に沈澱してし
まう等、これまでBCと菌体という固体どうしを有効に
分離する手段がなかった。その為、BCの回収後に、こ
れらの不純物を取り除く為の煩雑な後処理が必要であっ
た。本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消
して、セルロース生産菌を用いた、経済的かつ高収率で
BCを製造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために種々の研究を行ない、新たな製造方
法を見出し、上記課題を解決したのである。即ち、本発
明は、培養装置と分離装置の間で菌体を含む培養液を循
環させるセルロース性物質の製造方法であって、該分離
装置に於いて、生産物であるセルロース性物質を菌体及
び培養液から分離することを特徴とする、前記方法に係
わる。本発明方法にあっては、培養期間中、培養系から
の培養液の引き抜き及び該引き抜き量とほぼ等容量の培
養液の供給を連続的に行うことによって、培養中の培養
液に於けるセルロース性物質の濃度を低く維持すること
が好ましい。培養液の供給は、分離装置から戻される培
養液及びそれに適宜補充される新たな培養液で賄う。培
養中の培養液に於けるBCの濃度は、菌体の種類、培地
の組成及びその他の培養条件に依って当業者が適宜選択
することができるが、通常約20g/L以下とするのが
好ましく、更に約10g/L以下とするのが好ましい。
その結果、培養系の粘度の増加を防ぎ、BC生産性の向
上に加え、所要動力の低減化を図ることが出来る。
【0006】本発明に於いて「連続的」とは、「断続
的」又は「間欠的」をも含むものであって、培養系に対
する培養液の供給・引き抜きをペリスタティックポンプ
等を用いて一定の流量で常時継続的に行なう態様に限ら
ず、一定時間の間隔で培養液の供給・引き抜きを行なう
態様もかかる概念に包含されるものである。いずれの場
合も、培養液中のBCの濃度をモニタリングしながら、
その値に応じて、供給量及び引き抜き量、更には供給さ
れる培養液中の糖及びその他の培地成分量を適宜決めて
いくことによって、系内の菌体数及び増殖速度等をコン
トロールし、BCの濃度を低い範囲に維持することがで
きる。培養液の引き抜き量及び供給量は互いにほぼ等し
い量にするのが、培養系全体の液量を一定に保つ意味で
好ましいが、必要に応じ、特に短期間であれば、それら
の量を互いに独立して変動させることも可能である。
【0007】本発明のBCの製造方法に使用する培養装
置としては、すでに述べた従来から用いられてきた各種
の方式を採用することができる。本発明のBCの製造方
法に使用する分離装置としては、本発明方法の生産物で
あるBCを菌体及び培養液の双方から有効に分離できる
ものでなくてはならない。この点に関して、本発明者等
は、浮上分離装置又はエッジフィルターを用いた分離方
法によってかかる目的が達せられることを見出した。こ
のうち浮上分離はBCが気泡を抱き培養液の液面に浮上
する一方で、菌体には気泡が付着しない為に、菌体は培
養液中に漂ようか又は沈降し、その結果、BCと菌体と
を非常に有効に分離し得るものである。
【0008】即ち、浮上分離とは、固体粒子に気泡を付
着させる重力分離プロセスである。気泡の付着した粒子
(スカム)は液体より密度が小さく、液表面まで上昇
し、スカムフロートとしてたまる。本プロセスのカギを
握っているのは次の2つの因子、すなわち適切な大きさ
の微気泡を多量に発生させることと、固体粒子に微粒子
を付着させることである。気泡を発生するには次の5つ
の方法がある。 a.分散空気浮上法: 空気吹込み装置と高速攪拌装置
を組合せたもの。 b.溶解空気(真空)浮上法: 大気圧で水に空気を飽
和させ、浮上分離室で減圧すると、過飽和の空気が気泡
として溶液より発生する。 c.マイクロフローテーション: ポンプで送られた空
気を、流体静圧頭、例えば15mで溶解する。水が液表
面に上昇するにつれて気泡が発生する。 d.電解浮上法: 溶液に浸漬した2つの電極間に、
(低電圧)直流を流すと、水の電気分解により、水素お
よび酸素の気泡が発生する。 e.溶解空気(加圧)浮上法: 空気を大気圧より高い
圧力下で溶解する。ついで圧を大気圧まで下げると、気
泡が液側より発生する。
【0009】本発明方法においては、浮上分離手段とし
ていずれの方法も採りうるが、菌体等になるべくダメー
ジを与えないためには、分散空気浮上法、溶解空気(真
空)浮上法及び溶解空気(加圧)浮上法が好ましい。浮
上分離に際しての、空気注入量、注入速度、空気圧等の
各種条件は当業者が適宜選択し得るものである。一方、
本発明方法で用いられるエッジフィルターは、化学工学
便覧改訂5版,丸善(1988)、第722頁、図15
・33に記載されているようなものである。例えば、断
面が三角形のワイヤをコイル状に巻いた円筒形のフィル
ターであって、直立している筒状の胴体と、胴体の中に
同軸的に収容されており、胴体の内部を環状チャンバと
内部チャンバとに仕切る筒状のフィルターと、環状チャ
ンバに固形物を含む原液を供給すべく胴体の一端に設け
られた原液入口部と、フィルターの外周面に堆積する固
形物をかき取るべく当該外周面に当接しており、フィル
ターの母線に沿って配列されているスクレーパと、スク
レーパの外側においてスクレーパに固定されており、フ
ィルターの母線に斜めに螺旋状に配列された案内板と、
環状チャンバから固形物を排出すべく胴体の他端に設け
られた固形物出口部と、フィルターの内部チャンバから
濾過されたドレインを排出すべく胴体に設けられたドレ
イン出口部と、フィルターとスクレーパ及び案内板の組
合せとのいずれか一方を他方に対して相対的に回転させ
る回転手段とを備えるフィルター装置、特にスクレーパ
及び案内部材の組合せが、フィルターの外周面に堆積す
る固形物をかき取るべく当該外周面に当接しており、フ
ィルターの母線に斜めに螺旋状に配列したスクレーパに
よって構成されるフィルター装置が好ましい。
【0010】このような装置は、ワイヤの濾過面に堆積
した固形物の排出を連続的に行い、加えて脱水率の平均
化を図り、脱水率を向上させ得るものである。かかる装
置の一例は、本出願人名義の特願平5−145218号
(平成5年6月16日出願)に記載されている。このよ
うなエッジフィルターを用いて本発明方法を実施する際
の各種操作条件は当業者であれば適宜設定することがで
きる。浮上分離装置又はエッジフィルターは各種培養条
件に応じて適宜選択しうるが、培養液中のBC濃度が低
い場合は浮上分離装置を有利に使用でき、高いBCの回
収率を得ることが出来る。一方、エッジフィルターでは
BCの回収率はやや劣るものの、培養液中のBC濃度が
高い場合でも処理することが出来る。このような分離装
置でBCを実質的に除去された菌体を含む培養液は再び
培養装置に循環される。培養装置と分離装置の間でのか
かる循環は、当該技術分野に於ける通常の手段によって
行なうことができる。この際、必要に応じて適宜培養液
に各種成分又は菌体を補充したり、適宜pHを調節する
こともできる。また、BCが培養液中に高濃度に生産さ
れた場合には、分離装置に培養液を導入する前に希釈す
ることも可能である。また、分離されたBCは適宜分離
装置から回収することも出来る。尚、本発明の分離方法
は連続又は間欠(反復回分)的に行なうことが出来、培
養と連動させてもよいし、分離のみに使用することもで
きる。その際にBCの分離装置によってBCが実質的に
除去された菌体を含む培養液は廃液として処分すること
もできる。
【0011】本発明において使用されるセルロース生産
菌は、例えば、BPR2001株に代表されるアセトバ
クター・キシリナム・サブスピーシーズ・シュクロファ
ーメンタンス(Acetobacter xylinum subsp. sucroferm
entans)、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter
xylinum )ATCC23768、アセトバクター・キシ
リナムATCC23769、アセトバクター・パスツリ
アヌス(A. pasteurianus )ATCC10245、アセ
トバクター・キシリナムATCC14851、アセトバ
クター・キシリナムATCC11142及びアセトバク
ター・キシリナムATCC10821等の酢酸菌、その
他に、アグロバクテリウム属、リゾビウム属、サルシナ
属、シュードモナス属、アクロモバクター属、アルカリ
ゲネス属、アエロバクター属、アゾトバクター属及びズ
ーグレア属並びにそれらNTG(ニトロソグアニジン)
等を用いて公知の方法によって変異処理することにより
創製される各種変異株である。尚、BPR2001株
は、平成5年2月24日に通商産業省工業技術院生命工
学工業技術研究所特許微生物寄託センターに寄託され
(受託番号FERM P−13466)、その後199
4年2月7日付で特許手続上の寄託の国際的承認に関す
るブダペスト条約に基づく寄託(受託番号FERM B
P−4545)に移管されている。
【0012】NTG等の変異剤を用いての化学的変異処
理方法には、例えば、Bio Factors,Vol. l, p.297−302
(1988)及び J. Gen. Microbiol, Vol. 135, p.2917−2
929(1989) 等に記載されているものがある。従って、当
業者であればこれら公知の方法に基づき本発明で用いる
変異株を得ることができる。また、本発明で用いる変異
株は他の変異方法、例えば放射線照射等によっても得る
ことができる。本発明の製造方法に用いる培地の組成物
中、炭素源としてはシュクロース、グルコース、フラク
トース、マンニトール、ソルビトール、ガラクトース、
マルトース、エリスリット、グリセリン、エチレングリ
コール、エタノール等を単独或いは併用して使用するこ
とができる。更にはこれらのものを含有する澱粉水解
物、シトラスモラセス、ビートモラセス、ビート搾汁、
サトウキビ搾汁、柑橘類を始めとする果汁等をシュクロ
ースに加えて使用することもできる。 また、窒素源と
しては硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸ア
ンモニウム等のアンモニウム塩、硝酸塩、尿素等有機或
いは無機の窒素源を使用することができ、或いはBac
t−Peptone、Bact−Soytone、Ye
ast−Extract、豆濃などの含窒素天然栄養源
を使用してもよい。有機微量栄養素としてアミノ酸、ビ
タミン、脂肪酸、核酸、2,7,9−トリカルボキシ−
1Hピロロ〔2,3,5〕−キノリン−4,5−ジオ
ン、亜硫酸パルプ廃液、リグニンスルホン酸等を添加し
てもよい。
【0013】生育にアミノ酸等を要求する栄養要求性変
異株を使用する場合には、要求される栄養素を補添する
ことが必要である。無機塩類としてはリン酸塩、マグネ
シウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩、コバルト
塩、モリブデン酸塩、赤血塩、キレート金属類等が使用
される。更に、前述のセルロース生成促進因子を適宜培
地中に添加することもできる。例えば、酢酸菌を生産菌
として用いる場合には培養のpHは3ないし7に、好ま
しくは5付近に制御する。培養温度は10〜40℃、好
ましくは25〜35℃の範囲で行う。培養装置に供給す
る酸素濃度は1〜100%、望ましくは21〜80%で
あれば良い。これら培地中の各成分の組成割合及び培地
に対する菌体の接種等は培養方法に応じて当業者が適宜
選択し得るものである。また、培養液の循環速度・量等
も当業者が適宜設定することができる。
【0014】本発明の方法によって製造されるBCは菌
体がかなり除去されている為、直ちに次の工程に進むこ
ともでき、回収後に、さらに本物質中に含まれる菌体を
含むセルロース性物質以外の不純物を取り除く処理を施
すことが出来るが、その場合でも、分離されたBCはそ
の中に含まれる菌体量が実質的に低減されたものとなる
のでその後の溶菌等の後処理における薬剤の使用量を低
減することができ、その結果、洗浄工程等を省略するこ
ともできる。更に、不純物を取り除くためには、水洗、
加圧脱水、希酸洗浄、アルカリ洗浄トルエン及び酢酸エ
チルなどの極性有機溶媒による処理、次亜塩素酸ソーダ
及び過酸化水素などの漂白剤による処理、リゾチームな
どの菌体溶解酵素による処理、ラウリル硫酸ソーダ、デ
オキシコール酸などの界面活性剤による処理、常温から
200℃の範囲の加熱洗浄などを単独及び併用してほど
こすことによりセルロース性物質から不純物をほぼ完全
に除去することができる。このようにして得られた本発
明でいうセルロース性物質とは、セルロース及び、セル
ロースを主鎖としたヘテロ多糖を含むもの及びβ−1,
3、β−1,2等のグルカンを含むものである。ヘテロ
多糖の場合のセルロース以外の構成成分はマンノース、
フラクトース、ガラクトース、キシロース、アラビノー
ス、ラムノース、グルクロン酸等の六炭糖、五炭糖及び
有機酸等である。なおこれ等の多糖が単一物質である場
合もあるし2種以上の多糖が水素結合等により混在して
もよい。
【0015】
【実施例】実施例1 以下の条件で、本発明の製造方法を実施した。前培養と
して、125mlCSL−Fru培地の入った500ml容
のバッフル付フラスコにBPR2001株を植菌し、2
8℃、3日間振とう培養した。次に、この菌液を2リッ
トルのCSL−Fru培地が入った3リットル容のジャ
ーに全量添加した。その後、以下に示すように各本培養
を行なった。 ・本発明(循環培養): 初糖40g/L、48時間か
ら連続的に培養液を添加すると共に、同量の培養液を引
き抜く。培養時間240時間。培養液中のBC濃度は約
3g/L以下の値となるように添加糖濃度を制御。BC
を培養液から分離した後、残りの培養液を培養装置に戻
す。培養液からのBCの分離装置及び条件は以下の通
り。 加圧浮上分離装置:フローテーションテスターMS90
00型(宮本製作所製) 操作条件:引き抜いた培養液が500mlになったところ
で加圧浮上分離装置で分離(全量加圧法,3kg/cm
2 G,5分通気)し、BCを分離した後、培養液を培養
装置に戻す。これを断続的に繰り返した。 この際、通気量は660ml/分とし、攪拌は溶存酸素が
充足されるように300〜1000rpm に制御して行な
った。 尚、対照として、BCの培養液からの分離及び培養液の
循環を省き、他の条件は同一とした「連続培養」を行な
った。得られた結果を、以下に示す。
【0016】
【表1】 (1)BC濃度を約3g/L以下に制御した培養結果 連続培養 本発明(循環培養) 平均BC生産速度(g/day) 4.4 7.6 合計消費糖(g) 244 304 消費糖収率(%) 18 25 最高蓄積(g/L) 2.2 2.8 最終蓄積(g/L) 1.6 2.6 ─────────────────────────────────
【0017】実施例2 実施例1と同様にBPR2001株を前培養し、その
後、本発明及び対照の連続培養」を培養液中のBC濃度
が約10g/L以下の値となるように添加糖濃度を制御
して実施した。尚、培養液からのBCの分離装置及び条
件は以下の通り。 分離装置:スクレパー付エッジフィルター 操作条件:操作圧力2kg/cm2 G,目開き10μmワイ
ヤーフィルター 実施例1と同様に引き抜いた培養液が500mlになった
ところで処理をし、これを断続的にくりかえした。
【0018】
【表2】 (2)BC濃度を約10g/L以下に制御した培養結果 連続培養 本発明(循環培養) 平均BC生産速度(g/day) 8.0 13.0 合計消費糖(g) 552 650 消費糖収率(%) 15 20 最高蓄積(g/L) 5.0 10.2 最終蓄積(g/L) 3.5 9.4 ─────────────────────────────────
【0019】以上の結果から明らかなように、本発明方
法のように循環型の連続培養とすることによって、消費
糖収率が高くなり、BCの生産速度が格段に向上し、培
養液も有効に再利用できることが判明した。尚、培養時
間の経過に応じた培養液中のBCの濃度変化を図1に、
得られたBC総量を図2に示す。図中、白三角は実施例
1の連続培養、黒三角は実施例1の循環培養、白丸は実
施例2の連続培養、黒丸は実施例2の循環培養について
それぞれ得られた値を示すものである。
【0020】実施例3 BPR2001株をCSL−Fru培地を用いて通気攪
拌培養して得られた培養液(BC含量3g/L)622
gから以下の条件で、本発明の浮上分離法にてBCと該
菌体を分離した。得られた浮上物をスカム、液を処理液
と称する。このスカムと処理液について分析した結果を
表3に示した。 浮上分離条件:回分式、全量加圧法、空気溶解条件は3
kg/cm2 G、通気5分 浮上分離装置:加圧式浮上分離装置MS9000型(宮
本製作所製)
【0021】
【表3】 ──────────────────────────────────── OD600nm 液重量 全菌体量 菌体分配 BC分配 (g) (OD600nm×液重量) 率(%)*1 率 (%)*2 ──────────────────────────────────── スカム 1.26 155.5 190.5 43.4 99.8 処理液 0.6 466.5 248.2 56.6 0.2 ────────────────────────────────────
【0022】
【表註】
*1 菌体分配率(%)=(スカムもしくは処理液中の全
菌体量)/(元液中の全菌体量)×100 *2 BC分配率(%)=(スカムもしくは処理液中の全
BC量)/(元液中の全BC量)×100
【0023】実施例4 BPR2001株をCSL−Fru培地を用いて通気攪
拌培養して得られた培養液(BC含量7g/L)30kg
から以下の条件で、本発明のエッジフィルターにてBC
と該菌体を分離した。得られた濃縮液と濾液について分
析した結果を表4に示した。 分離条件:処理流量30L/Hr、操作圧力2kg/cm2
G、目開き10μmワイヤーフィルター エッジフィルター:スクレーパー付エッジフィルター
【0024】
【表4】 ──────────────────────────────────── OD600nm 液重量 全菌体量 菌体分配 BC分配 (g) (OD600nm×液重量) 率(%)*1 率 (%)*2 ──────────────────────────────────── 濃縮液 9.6 8000 83250 27.3 42.6 濾液 9.3 22000 183740 72.7 57.4 ────────────────────────────────────
【0025】
【表註】
*1 菌体分配率(%)=(濃縮液もしくは濾液中の全菌
体量)/(元液中の全菌体量)×100 *2 BC分配率(%)=(濃縮液もしくは濾液中のBC
量)/(元液中のBC量)×100
【0026】
【表5】
【0027】
【表6】 ビタミン混合物 化合物 mg/L イノシトール 200 ナイアシン 40 ピリドキシンHCl 40 チアミンHCl 40 パントテン酸カルシウム 20 リボフラビン 20 p−アミノ安息香酸 20 葉 酸 0.2 ビオチン 0.2
【0028】尚、上の表1及び表2中、BCの量(g/
L)は、培養液中の固形物を集積し、水洗して培地成分
を除去した後、0.1NNaOH水溶液中で80℃、2
0分間処理して菌体を除去した。さらに、洗浄液が中性
付近になるまで生成セルロースを水洗した後、80℃で
12時間真空乾燥して乾燥重量を測定することで求め
た。
【0029】
【発明の効果】本発明方法によるセルロース性物質の製
造において、セルロース生産菌の培養と、それらが生産
するBCの菌体からの分離が結合してなされ、菌体を含
む培養液を容易に再利用できる為、BCの製造を非常に
効率よく行なうことができる。よってBCの生産性が一
段と向上する。また、本発明の分離装置を用いたBCの
分離方法によって、培養液からBCが有効に分離除去さ
れ、その後の溶菌等の後処理に於ける薬剤の使用量を低
減することができ、洗浄工程等を省略することも可能と
なってコストの削減にもつながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法における培養液中のBCの濃度変化
を示すグラフである。
【図2】本発明方法によって得られたBC総量の経時変
化を示すグラフである。
【図3】分離装置としてエッジフィルターを用いた本発
明の製造方法を実施する循環システムを示す概念図であ
る。
【図4】分離装置として浮上分離装置を用いた本発明の
製造方法を実施する循環システムを示す概念図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森永 康 神奈川県川崎市高津区坂戸3丁目2番1号 株式会社バイオポリマー・リサーチ内 (72)発明者 矢野 壽人 神奈川県川崎市高津区坂戸3丁目2番1号 株式会社バイオポリマー・リサーチ内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 培養装置と分離装置の間で菌体を含む培
    養液を循環させるセルロース性物質の製造方法であっ
    て、該分離装置に於いて、生産物であるセルロース性物
    質を菌体及び培養液から分離することを特徴とする、前
    記方法。
  2. 【請求項2】 分離装置が浮上分離装置である請求項1
    に記載の方法。
  3. 【請求項3】 分離装置がエッジフィルターである請求
    項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 浮上分離装置を用いたセルロース性物質
    の分離方法。
  5. 【請求項5】 エッジフィルターを用いたセルロース性
    物質の分離方法。
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