JPWO2007063854A1 - バクテリアセルロースの製造方法 - Google Patents

バクテリアセルロースの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、安価な培地成分を用いてバクテリアセルロースを製造することができるバクテリアセルロースの製造方法に関する。この方法では、キノコ収穫後の廃菌床および石突を圧搾または水抽出することによって、あるいはキノコ子実体の水煮残渣液を得ることによって、キノコ由来の水溶性成分を含む水溶液を得る。前記水溶液を希釈および滅菌し、セルロース生産菌培養用の培地を調製する。前記媒地中でセルロース生産菌を培養することで、バクテリアセルロースを製造する。

Description

本発明は、バクテリアセルロースの製造方法に関する。
セルロースは地球上で最も豊富な天然高分子物質であり、古くから様々な分野で利用されている。セルロースは植物細胞壁の主成分であり、現在工業的に使用されているセルロースの大部分は高等植物由来のものである。
一方、バクテリアの中にもセルロースを生産するものが知られている。そのようなバクテリアとしては、グルコノアセトバクター属、アグロバクテリウム属、リゾビウム属、サルチナ属、シュードモナス属、アクロモバクター属、アルカリゲネス属、エロバクター属、アゾトバクター属などがある。この中でも、グルコノアセトバクター属の一種はセルロースを菌体外に大量に生産することが知られている。
グルコノアセトバクター属の一種は、培養すると培地表面にゲル状のセルロース膜を生産する。このようなバクテリア(以後、「セルロース生産菌」という)が生産するセルロースは、バクテリアセルロースと呼ばれている。
このバクテリアセルロースは植物セルロースとは異なり、ヘミセルロースやリグニンを全く含まない純粋なセルロースである。また、バクテリアセルロースは形成する繊維の太さが植物セルロースと異なることも知られている。植物セルロースはセルロース分子鎖が多数集束することでミクロフィブリルと呼ばれる非常に細い繊維を形成し、このミクロフィブリルがさらに束になって高次構造を形成する。一方、バクテリアセルロースは、セルロース生産菌から分泌されたセルロースのミクロフィブリルが、そのままの太さで微細な網目構造を形成している。広葉樹パルプの繊維の太さは直径30μm程度であるのに対し、バクテリアセルロースのミクロフィブリルの太さは直径0.1μm程度である。
このように、バクテリアセルロースは、植物セルロースでは見られない特徴を有することから、工業材料としての様々な可能性が期待されている。例えば、バクテリアセルロースの利用法として、バクテリアセルロース膜の微細な網目構造や保水性の良さを生かして、分離膜や医療用パッドなどへの利用が検討されている。また、バクテリアセルロース膜を機械的処理により裁断することで、製紙原料として利用することも可能となる。機械的処理によって得られたバクテリアセルロース繊維を木材パルプに混ぜると、紙の強度や弾性率が向上することが知られている。
従来、バクテリアセルロースの製造方法としては、果汁、廃糖蜜、古紙、パルプ廃液などを原料とする方法が試みられている。これらの方法では、前記原料を培地としてセルロース生産菌を培養する。しかしながら、これらの方法では、培養前に前記原料に含まれる多糖を加水分解し、分解生成した単糖を糖アルコールへ変換することなどの前処理を必要とするため、製造コストが高くなるという問題がある。
そこで、製造効率を向上させるため、多くの研究者によってセルロース生産菌培養用培地の成分検討が進められてきた。例えば、特許文献1および特許文献2の方法が報告されている。特許文献1の方法では標準培地に動物の血清を添加することで、また、特許文献2の方法では標準培地に加水分解コラーゲンを添加することで、バクテリアセルロースの生産効率を高めることに成功している。
また、非特許文献1では、マンニトールがバクテリアセルロース生産に有効であることが記載されている。
ところで、今日、キノコの生産および加工において、キノコ収穫後の廃菌床、石突およびキノコ子実体の水煮残渣液などの廃棄物が大量に生じている。これらの廃棄物は、堆肥、燃料、家畜飼料または家畜敷料などとして再利用されている。しかしながら、これらの廃棄物にはキノコの菌糸由来の水溶性成分(特に、糖および糖アルコール)が豊富に残存していると考えられるが、これらの水溶性成分を有効的に利用している例はほとんどなく、未利用資源となっている。
特開2000−4895号公報 特開2005−80571号公報 Yasumitsu Uraki et al., Holzforschung, Vol.56(2002), No.4, 341-347.
従来のバクテリアセルロースの製造方法においては、依然として製造コストが高いという問題がある。
前記従来の製造方法および特許文献に記載された製造方法では、ヘストリン−シュラム(Hestrin-Schramm)培地(以下、「HS培地」と略記する)のような標準培地が必要なため、これらの培地を購入または調製しなければならない。また、前記原料(炭素源)、血清および加水分解コラーゲンなども購入または調製しなければならない。このような培地構成成分は、それぞれ大量に使われる上、高価であるため、バクテリアセルロースの製造コストを押し上げる要因になっている。したがって、これらの培地構成成分として、一成分でも低価格のものを用いることができれば製造コスト低減に大きく貢献できる。
本発明の目的は、安価にバクテリアセルロースを製造することができるバクテリアセルロースの製造方法およびそれに用いるセルロース生産菌培養用培地を提供することである。
本発明の第一は、以下に示すバクテリアセルロースの製造方法に関する。
[1]キノコの子実体または菌糸体の処理物を含む培地中でセルロース生産菌を培養するステップを有するバクテリアセルロースの製造方法。
[2]前記処理物は、キノコの子実体または菌糸体の、圧搾液または抽出液である、[1]記載のバクテリアセルロースの製造方法。
[3]前記処理物は、キノコ廃菌床圧搾液、キノコ廃菌床抽出液、キノコ石突圧搾液、または、キノコ水煮残渣液、のいずれかである、[1]記載のバクテリアセルロースの製造方法。
[4]前記キノコはタモギタケ(Pleurotus cornucopiae)である、[1]〜[3]のいずれかに記載のバクテリアセルロースの製造方法。
[5]前記セルロース生産菌はグルコノアセトバクター・キシリヌス(Gluconacetobacter xylinus)である、[1]〜[3]のいずれかに記載のバクテリアセルロースの製造方法。
[6]前記処理物はマンニトールを含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のバクテリアセルロースの製造方法。
本発明の第二は、以下に示すセルロース生産菌培養用培地に関する。
[7]キノコの子実体または菌糸体の処理物を含むセルロース生産菌培養用培地。
本発明によれば、安価にバクテリアセルロースを製造することができる。
本発明では、バクテリアセルロース製造における培地の原料は、キノコの生産および加工時の廃棄物を用いることができる。これらの廃棄物は、生産元または加工元からほぼ無償で調達できるので、原料コストを限りなく低く抑えることができる。
また、本発明では、廃菌床などのキノコの生産および加工時の廃棄物を有効的に利用することができる。
各培地中の水溶性糖類の分析結果を示すグラフ 各培地におけるバクテリアセルロースの収量を示すグラフ
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明者らは、バクテリアセルロース製造の原料として、キノコの生産時および加工時の廃棄物中に残存する水溶性成分に着目した。そこで、本発明者らは、廃棄物中の水溶性成分を原料としてバクテリアセルロースを製造することができないか、と鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至ったのである。
本発明に係るバクテリアセルロースの製造方法は、キノコから得られた処理物を含む培地中でセルロース生産菌を培養することを特徴とする(ここで「処理物」とは、水溶性成分を得る処理をキノコに対して行った結果得られたものをいう)。具体的には、キノコ由来の水溶性成分を含む溶液(例えば、圧搾液や抽出液など)やキノコ由来の水溶性成分の乾燥物(例えば、圧搾液や抽出液を乾燥させたもの)などが例として挙げられる。
なお、本明細書で「キノコ」という用語は、「子嚢菌類や担子菌類の肉眼的な大きさの子実体」の意味ではなく、「大型の子実体を形成する子嚢菌類および担子菌類」の意味で用いる。すなわち、本明細書における「キノコ」は、子実体だけでなく菌糸体も含む。
キノコから処理物を得る方法は、キノコからマンニトールやグルコースなどの水溶性成分を得られるのであれば、特に限定されない。処理物は乾燥物でも水溶液の状態でもよいが、水溶液の方が作業効率の点から好ましい。すなわち、圧搾法によって得られる圧搾液や水抽出法によって得られる抽出液などを、処理物としてそのまま用いることができる。これらの簡便な方法を用いることにより人的コストを抑えることができる。なお、処理物を乾燥物として得た場合は、水溶液にすることで前記圧搾液や抽出液などと同じように扱うことができる。
このような処理物を得る具体的な方法としては、例えば、キノコ収穫後の廃菌床を圧搾して圧搾液を得る方法、廃菌床から水(冷水または熱水)で抽出して抽出液を得る方法、キノコ収穫後に菌床上に残った石突を圧搾して圧搾液を得る方法、キノコ子実体を水煮して煮汁(水煮残渣液)を得る方法、などが挙げられる。この場合、圧搾液、抽出液および水煮残渣液が処理物に相当する。廃菌床にはキノコの菌糸だけでなくオガ粉やフスマなどが含まれるが、廃菌床全体の処理物であっても構わない。また、廃菌床ではなく、種菌接種後かつキノコ収穫前の菌床であっても、もちろん構わない。
上記方法によって得られた処理物には、用いるキノコの種類および処理物を得る方法によって異なるが、マンニトール、グリセロール、グルコース、フルクトース、トレハロース、アラビトールおよびイノシトールなどの水溶性成分(糖および糖アルコールなど)が含まれている。これらの水溶性成分は、種によりその量および割合が異なるものの、多くのキノコに含まれている(日本食品工業学会誌, Vol.31, No.12, 765-771)。これらの中では、マンニトール、グリセロールおよびグルコースの割合が大きく、特にマンニトールの割合が大きいことが好ましい。非特許文献1に示されたように、マンニトールを含む培地はバクテリアセルロースの生産に好適であると考えられる。実際、本発明に係るバクテリアセルロースの製造方法は、一般的に用いられているHS培地を用いた方法に比べてバクテリアセルロースの収量が多くなることが示されている(実施例参照)。
上記方法によって得られた処理物は、濃度調整または滅菌するだけでそのまま培地とすることができる。培地の濃度は、培養するセルロース生産菌が生育できる条件を適宜選択すればよい。例えば、グルコノアセトバクター・キシリヌスを培養する場合は、ブリックス(Brix)濃度をHS培地と等しい3.4%にすればよい。なお、生育不良が出ない限り、培地のブリックス濃度は特に限定されない。
なお、本発明に係る培地は、キノコの処理物、またはそれを濃度調整したものもしくは滅菌したものを含むが、さらに任意成分が含まれていてもよい。任意成分としては、例えば、炭素源(例えば、グルコースなど)、窒素源(例えば、アミノ酸など)、金属イオン源(例えば、塩化カルシウムの水和塩など)、ビタミン類(例えば、リボフラビンなど)などの微生物培養用培地に配合されることがある添加物などが挙げられる。また、本発明に係る培地は、HS培地などの培地が混合されていてもよい。
本発明において処理されるキノコの種類は、前記処理物を得ることができるものであれば特に限定されないが、キノコの水煮残渣液を使用できるので、食用キノコであることが好ましい。また、廃菌床および石突から処理物を得ることができるので、栽培キノコであることがより好ましい。食用栽培キノコとしては、例えば、タモギタケ(Pleurotus cornucopiae:Golden Oyster)、エノキタケ(Flammulina velutipes:Velvet Foot)、ヒラタケ(Pleurotus ostreatus:Oyster Mushroom)、シロタモギタケ(Hypsizygus ulmarius:Elm Oyster)などが挙げられる。
本発明において使用されるセルロース生産菌の種類は、培地中においてセルロースを生産できるものであれば特に限定されない。例えば、グルコノアセトバクター属、アグロバクテリウム属、リゾビウム属、サルチナ属、シュードモナス属、アクロモバクター属、アルカリゲネス属、エロバクター属、アゾトバクター属などに属するバクテリアを挙げることができる。この中でも、グルコノアセトバクター・キシリヌス(Gluconacetobacter xylinus:旧名Acetobacter xylinum)が好ましい。
次に、培養方法について説明する。
培養方法は、通常の細菌における培養方法を適用することができる。例えば、静置培養、振盪培養または通気攪拌培養などが挙げられる。培養操作法としては、例えば、回分培養法、流加回分培養法、反復回分培養法または連続培養法などを用いることができる。攪拌手段としては、例えば、インペラー(攪拌羽根)、エアーリフト型培養装置、培養ブロスのポンプ駆動循環などを単独または組み合わせて使用することができる。
培養装置も、通常の細菌における培養装置を適用することができる。例えば、槽内を一定の温度に保温しうる攪拌機付きジャーファーメンターなどを用いることができる。
培養条件は、培養するセルロース生産菌が生育できる条件を適宜選択すればよい。例えば、グルコノアセトバクター・キシリヌスを培養する場合は、培養温度は室温、例えば、10〜40℃、好ましくは25〜35℃の範囲とすればよい。培地のpHは、3〜7、好ましくは4〜6の範囲とすればよいが、水溶液の状態のキノコ由来の処理物は弱酸性(pH5.0〜5.5)であるため、そのままの状態でグルコノアセトバクター・キシリヌスの培養には好適である。もちろん任意のアルカリおよび酸を用いてpH調整をしてもよい。
培養期間は、通常の培養期間でよい。例えば、グルコノアセトバクター・キシリヌスを用いる場合、約7日間でゲル上のバクテリアセルロース膜を得ることができる。
本発明に係るバクテリアセルロースの製造方法によって製造されるバクテリアセルロースは、そのまま回収してもよいし、回収物中に含まれる不純物を除去する処理を行ってもよい。不純物を除去する方法としては、例えば、水洗、加圧脱水、希酸洗浄、アルカリ洗浄、次亜塩素酸ソーダまたは過酸化水素などの漂白剤による処理、リゾチームなどの菌体溶解酵素による処理、ラウリル硫酸ソーダまたはデオキシコール酸などの界面活性剤による処理、あるいは加熱洗浄などを単独または組み合わせて行えばよい。
本発明に係るバクテリアセルロースの製造方法は、培地の原料としてキノコの生産および加工時の廃棄物を用いることができる。これらの廃棄物は、生産元または加工元からほぼ無償で調達できるので、原料コストを限りなく低く抑えることができる。また、キノコの菌床栽培は通年行われているため、各廃棄物を安定して調達することができる。さらに、廃棄物からの培地調製は、圧搾、水抽出などの簡便な操作で可能であるため、人的コストも低く抑えることができる。なお、培地を調製した後の残渣は、堆肥、燃料、家畜飼料、家畜敷料などの従来の廃棄物の再利用用途にそのまま用いることが可能である。
また、本発明に係るバクテリアセルロースの製造方法は、キノコの生産および加工時の廃棄物を上記従来の廃棄物の再利用用途に用いる際に、前記廃棄物の輸送コストの抑制、および前記廃棄物の保存性の向上を実現することができる。廃菌床の含水率は約70%、石突および子実体の含水率は約90%であるが、これらの廃棄物を上記再利用用途に用いるためには、輸送コストおよび保存性の点から考慮すると、これらの廃棄物から水分を除去することが望ましい。本発明に係るバクテリアセルロースの製造方法では、圧搾法によって処理物を得ることによって、廃棄物の再利用を妨げることなく廃棄物の水分を除去することができる。
以下、実施例を参照しながら本発明を詳細に説明するが、本発明はこの実施例により限定されるものではない。
(培地調製)
処理物の原料は、タモギタケ収穫後の廃菌床(カラマツオガ粉+フスマ)、タモギタケ石突およびタモギタケの子実体を用いた。処理物は、廃菌床からは圧搾、冷水抽出および熱水抽出によって、石突からは圧搾によって、子実体からは水煮によって、水溶液として得た。得られた処理物は、対照として用いたHS培地とブリックス濃度が等しくなるように、それぞれのブリックス濃度を3.4%に調整した。以上の方法で得られた処理物をさらに滅菌したものを培地とした。
以下、各原料からの培地の調製方法についてより具体的に説明する。
まず、廃菌床を圧搾することによって培地を調製した場合である。タモギタケ収穫後の廃菌床を約500kNにて圧搾し、圧搾液を得た。得られた圧搾液をろ過し、ブリックス濃度を3.4%に調整し、オートクレーブで滅菌することで、培地を得た。
次に、廃菌床から冷水抽出することによって培地を調製した場合である。タモギタケ収穫後の廃菌床に脱イオン水を加え、室温で1時間攪拌した。得られた抽出液をろ過し、ブリックス濃度を3.4%に調整し、オートクレーブで滅菌することで、培地を得た。
次に、廃菌床から熱水抽出することによって培地を調製した場合である。タモギタケ収穫後の廃菌床に脱イオン水を加え、1時間煮沸した。得られた抽出液をろ過し、ブリックス濃度を3.4%に調整し、オートクレーブで滅菌することで、培地を得た。
次に、石突を圧搾することによって培地を調製した場合である。タモギタケ収穫後に菌床上に残った石突をミキサーで粉砕した。粉砕された石突を圧搾し、圧搾液を得た。得られた圧搾液をろ過し、ブリックス濃度を3.4%に調整し、オートクレーブで滅菌することで、培地を得た。
最後に、子実体を水煮することによって培地を調製した場合である。タモギタケを水煮加工した際に生じた煮汁を得た。得られた煮汁をろ過し、ブリックス濃度を3.4%に調整し、オートクレーブで滅菌することで、培地を得た。
図1は、各培地についての糖分析の結果を示すグラフである。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による糖分析の結果、各培地には、マンニトール、グリセロール、グルコース、フルクトース、トレハロース、アラビトール、イノシトールなどが含まれていることがわかった。廃棄物の種類および処理方法によって、各糖および糖アルコールの濃度は多少異なっていたが、組成はほぼ共通であった。全ての培地において最も含有割合が大きかったのはマンニトールであった。ブリックス濃度を等しく調整した各培地における上記7種の糖類の合計含有割合は、1.2%(菌床圧搾)、1.0%(冷水抽出)、1.1%(熱水抽出)、0.9%(石突圧搾)および1.1%(水煮残渣液)であった。対照として、カラマツオガ粉のみの抽出液についても糖分析を行ったが、前記各処理物で含有量が多かったグリセロールでも0.03%しか含まれていなかった。
(培養)
セルロース生産菌として、グルコノアセトバクター・キシリヌス(Gluconacetobacter xylinus)ATCC−10245株を用いた。前培養はHS寒天培地を用いて行い、次いで、深底シャーレ(直径9cm)中の40mLの前記各培地に前記前培養液を1白金耳接種した。また、対照実験としてHS培地における培養を行うため、深底シャーレ(直径9cm)中の40mLのHS培地(グルコース2.0%、ペプトン0.5%、イースト抽出物0.5%、リン酸2ナトリウム0.15%およびクエン酸0.27%を滅菌水に溶解したもの:pH=6.0)にも接種した。培養温度は29℃、培養期間は1週間とし、静置培養を行った。
(バクテリアセルロースの定量)
培地の表面に生成されたバクテリアセルロース膜を分離し、1M水酸化ナトリウム水溶液で煮沸処理後中和し、105℃のオーブンで15時間かけて乾燥させ、重量を測定した。図2はその結果を示すグラフである。前記各培地で培養したシャーレにおけるバクテリアセルロースの収量は、対照実験で行ったHS培地のシャーレにおける収量の1.2倍(菌床圧搾)、1.2倍(冷水抽出)、1.1倍(熱水抽出)、2.8倍(石突圧搾)および1.7倍(水煮残渣液)であった。これらのデータから、残渣1トンから0.2〜2.0kgのバクテリアセルロースを製造できることが試算された。
また、培養後に、菌床由来の各培地における前記7種の糖類の合計含有割合を分析したところ、0.28%(菌床圧搾)、0.21%(冷水抽出)、0.19%(熱水抽出)であり、培養前の培地に比べて各種の糖類が著しく減少していることがわかった。さらに、ここではデータを示さないが、マンニトール、グルコースおよびイノシトールは、7日間の培養でほぼ全量(95%以上)消費されていた。これらのことから、キノコの生産時および加工時に生じる廃棄物に残存する水溶性成分は、バクテリアセルロースの生産に有効であることが示唆された。
2005年11月29日出願の特願2005−344633の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。本願は、当該出願に基づく優先権を主張する。
本発明によって、バクテリアセルロースの製造コストを抑えることができるので、分離膜、医療用・化粧用パッド、スピーカーコーン、セルロース皮膜成形ペイント、増粘剤、紙、複合材料などの多様な用途に向けて、バクテリアセルロースを安価に提供することができる。

Claims (13)

  1. キノコの子実体または菌糸体の処理物を含む培地中でセルロース生産菌を培養するステップを有するバクテリアセルロースの製造方法。
  2. 前記処理物は、キノコの子実体または菌糸体の、圧搾液または抽出液である、請求項1記載のバクテリアセルロースの製造方法。
  3. 前記処理物は、キノコ廃菌床圧搾液、キノコ廃菌床抽出液、キノコ石突圧搾液、または、キノコ水煮残渣液、のいずれかである、請求項1記載のバクテリアセルロースの製造方法。
  4. 前記キノコはタモギタケ(Pleurotus cornucopiae)である、請求項1記載のバクテリアセルロースの製造方法。
  5. 前記キノコはタモギタケ(Pleurotus cornucopiae)である、請求項2記載のバクテリアセルロースの製造方法。
  6. 前記キノコはタモギタケ(Pleurotus cornucopiae)である、請求項3記載のバクテリアセルロースの製造方法。
  7. 前記セルロース生産菌はグルコノアセトバクター・キシリヌス(Gluconacetobacter xylinus)である、請求項1記載のバクテリアセルロースの製造方法。
  8. 前記セルロース生産菌はグルコノアセトバクター・キシリヌス(Gluconacetobacter xylinus)である、請求項2記載のバクテリアセルロースの製造方法。
  9. 前記セルロース生産菌はグルコノアセトバクター・キシリヌス(Gluconacetobacter xylinus)である、請求項3記載のバクテリアセルロースの製造方法。
  10. 前記処理物はマンニトールを含む、請求項1記載のバクテリアセルロースの製造方法。
  11. 前記処理物はマンニトールを含む、請求項2記載のバクテリアセルロースの製造方法。
  12. 前記処理物はマンニトールを含む、請求項3記載のバクテリアセルロースの製造方法。
  13. キノコの子実体または菌糸体の処理物を含むセルロース生産菌培養用培地。
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