JP2004277414A - 食用キノコ由来のエストロゲン様活性物質 - Google Patents
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Abstract
【課題】食品素材中から十分な量のエストロゲン様活性物資を抽出し、それを使用した健康食品、医薬品等を提供すること。
【解決手段】食用キノコから抽出されるエストロゲン様活性物質を用いる。
【選択図】なし
【解決手段】食用キノコから抽出されるエストロゲン様活性物質を用いる。
【選択図】なし
Description
本発明は食用キノコ、食用キノコ形成菌の菌糸体及び菌糸体の培養液由来のエストロゲン様活性物質及びその用途に関する。
骨粗鬆症は、女性の閉経後、いわゆる更年期のホルモンバランスの乱れ、特にエストロゲン不足が引き金となった骨代謝異常により引き起こされることが知られている。骨粗鬆症の治療には、ホルモン療法、特にエストロゲン補充療法が有効とされており、人工エストロゲンを投与する療法等が効果を上げている。しかしながら、人工エストロゲンの投与療法には、子宮ガン等のような無視できない副作用が指摘されている。
このような中で高齢化社会の到来、医療費負担の増額等に伴って、経口摂取によって効果が期待される健康食品が代替医療として注目を集めている。特に生活習慣病、老年性疾患、各種ホルモン性疾患に対応可能な機能性を有する健康食品への期待が近年急速に高まっている。
近年、これら健康食品の経口摂取による骨粗鬆症のようなホルモン性疾患治療の試みが積極的に行われており、例えば、大豆やライ麦に含まれるエストロゲン受容体との相互作用物質を、単体または他の化合物と組み合わせて使用する食品用素材等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、現在のところ、大豆やライ麦以外の食品素材中から十分な量のエストロゲン様活性物質は抽出されていない。
国際公開第99/44621号パンフレット
そこで、本発明の課題は、食品素材中から十分な量のエストロゲン様活性物質を抽出し、それを使用した健康食品、医薬品等を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、以下の構成を採用することにより、課題を解決することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
本発明は、以下の構成を有する。
(1)食用キノコから抽出されるエストロゲン様活性物質。
(2)食用キノコ形成菌の菌糸体から抽出されるエストロゲン様活性物質。
(3)食用キノコ形成菌の菌糸体の培養液から抽出されるエストロゲン様活性物質。
(4)食用キノコが、エリンギ、エノキタケ、ウスヒラタケ、ムキタケ、マイタケ及びクロアワビタケから選ばれる少なくとも1種である前記(1)〜(3)のいずれか1項記載のエストロゲン様活性物質。
(5)食用キノコが、エリンギである前記(1)〜(3)のいずれか1項記載のエストロゲン様活性物質。
(6)凍結乾燥及び有機溶剤抽出から選ばれる少なくとも1つの方法によって得られることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1記載のエストロゲン様活性物質。
(7)前記(1)〜(6)のいずれか1項記載のエストロゲン様活性物質を含有する加工食品。
(8)前記(1)〜(6)のいずれか1項記載のエストロゲン様活性物質を含有する健康食品。
(9)健康食品が、骨粗鬆症の予防食品である前記(8)項記載の健康食品。
(10)前記(1)〜(6)のいずれか1項記載のエストロゲン様活性物質を含有する医薬品。
(11)医薬品が、骨粗鬆症の治療薬である前記(10)項記載の医薬品。
(1)食用キノコから抽出されるエストロゲン様活性物質。
(2)食用キノコ形成菌の菌糸体から抽出されるエストロゲン様活性物質。
(3)食用キノコ形成菌の菌糸体の培養液から抽出されるエストロゲン様活性物質。
(4)食用キノコが、エリンギ、エノキタケ、ウスヒラタケ、ムキタケ、マイタケ及びクロアワビタケから選ばれる少なくとも1種である前記(1)〜(3)のいずれか1項記載のエストロゲン様活性物質。
(5)食用キノコが、エリンギである前記(1)〜(3)のいずれか1項記載のエストロゲン様活性物質。
(6)凍結乾燥及び有機溶剤抽出から選ばれる少なくとも1つの方法によって得られることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1記載のエストロゲン様活性物質。
(7)前記(1)〜(6)のいずれか1項記載のエストロゲン様活性物質を含有する加工食品。
(8)前記(1)〜(6)のいずれか1項記載のエストロゲン様活性物質を含有する健康食品。
(9)健康食品が、骨粗鬆症の予防食品である前記(8)項記載の健康食品。
(10)前記(1)〜(6)のいずれか1項記載のエストロゲン様活性物質を含有する医薬品。
(11)医薬品が、骨粗鬆症の治療薬である前記(10)項記載の医薬品。
本発明により骨粗鬆症等のホルモン性疾患に有効な十分な量のエストロゲン様活性物質を食用キノコ、食用キノコ形成菌の菌糸体及び食用キノコ形成菌の菌糸体の培養液から抽出できる。また、本発明のエストロゲン様活性物質は、エストロゲン作用を有していることから、これを使用した健康食品、医薬品等が提供できる。
本発明について詳細に説明する。
本発明のエストロゲン様活性物質とは、食用キノコに由来するエストロゲン作用を有する物質のことである。キノコとは一般的に担子菌、子嚢菌などを含む真菌類に分類される菌類が生産する子実体のことである。本発明のエストロゲン様活性物質は、食用キノコや食用キノコを形成する菌の菌糸体に含有されているだけでなく、食用キノコ形成菌の菌糸体を液体培養した培養液中にも含有されることから、これらから抽出することで得られる。
本発明のエストロゲン様活性物質とは、食用キノコに由来するエストロゲン作用を有する物質のことである。キノコとは一般的に担子菌、子嚢菌などを含む真菌類に分類される菌類が生産する子実体のことである。本発明のエストロゲン様活性物質は、食用キノコや食用キノコを形成する菌の菌糸体に含有されているだけでなく、食用キノコ形成菌の菌糸体を液体培養した培養液中にも含有されることから、これらから抽出することで得られる。
本発明に用いられる食用キノコは、種苗法により分類される、ウスヒラタケ、エノキタケ、エリンギ、オオヒラタケ、クリタケ、クロアワビタケ、シイタケ、シロタモギタケ、タモギタケ、ツクリタケ、ナメコ、ヌメリスギタケ、ハタケシメジ、ヒメマツタケ、ヒラタケ、ブナシメジ、マイタケ、ムキタケ、ヤナギマツタケ及びヤマブシタケの20種類の担子菌類の子実体である。本発明では、これらから選ばれる少なくとも1種が利用でき、好ましくはエリンギ、エノキタケ、ウスヒラタケ、ムキタケ、マイタケ及びクロアワビタケから選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくはエリンギである。これらの子実体は、通常、食用のキノコとして販売されており、食品売り場で容易に入手できる。
これらの食用キノコは、食用に販売されている子実体であれば使用に際して特に問題はない。食用キノコ形成菌の菌糸体は、同様に食用に販売されている食用キノコから培養することで得られる。この培養は、食用キノコからその形成菌を一般的な手法で分離し、寒天培地等で前培養し、更に液体培地中で本培養して増殖させる方法を利用することができる。これら菌糸体を使用することで、自然条件等の影響を受けることなく安定的に食用キノコ由来のエストロゲン様活性物質を得ることができるので好ましい。菌糸体を得るための培養に使用される寒天培地及び液体培地に関しては、菌糸体が十分に増殖することが可能であれば特に制限はない。前記寒天培地に関しては、一般的な真菌分離用の培地であるポテトエキスとグルコースを含有する培地を用いることで、培養時の増殖が良好になる。また、前記液体培地に関しては、麦芽エキス、酵母エキス、スクロースを組み合わせた培地を用いることで、培養時の増殖が速くなるため好ましい。食用キノコの菌糸体の培養液は、培養系から培養菌糸体を濾過等の一般的な手法によって分離することで得られる。
本発明のエストロゲン様活性物質は、有機溶媒抽出及び凍結乾燥から選ばれる少なくとも1つの方法で得られる。抽出に使用する有機溶媒としてはメタノール、エタノール等のアルコール系溶媒が、その後の操作も容易となるため好ましい。これら製造方法のなかでも、食用キノコ、食用キノコ形成菌の菌糸体または菌糸体の培養液を凍結乾燥し、その後に有機溶媒によって抽出する方法が好ましい。また、更に抽出操作後にエバポレーション等の一般的な手法により有機溶媒を除去することによって濃縮が行える。製造するに当たっては子実体、菌糸体または菌糸体の培養液をそのままの状態で用いるよりも凍結乾燥して用いることで、非常に抽出が容易になる。また、凍結乾燥後に粉砕等の手法により粉末化して使用すると更に抽出が行い易い。また更に精製が必要な場合は限外濾過、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等の手法を組み合わせて高度に精製を行うことができる。
本発明のエストロゲン様活性物質は、食用キノコから抽出され、濃縮されているので、濃縮状態のまま使用することもできるが、更に加工して使用することができる。これらの使用形態は目的により自由に選択できる。
本発明のエストロゲン様活性物質を食品に添加して加工食品にするだけでなく、健康食品として使用することができる。健康食品として使用する場合には、エストロゲン様活性物質をそのまま健康食品素材として使用するだけでなく、他の生薬等の天然素材やビタミン類、ミネラル類、アミノ酸または糖質等を組み合わせて複合健康食品にすることができる。なお、組み合わせて使用する素材はこられに限定するものではなく、エストロゲン様活性を損なう性質のもの以外との組み合わせであれば、自由に選択することができる。さらにこの健康食品は、骨粗鬆症の予防に有効であるために、骨粗鬆症の予防食品として利用できる。健康食品、予防食品の形状に関しては、特に制限はなく、エストロゲン様活性物質の吸収を著しく損なう形状でなければ粉体、タブレット、カプセル、シート、液体(ドリンク)、ゲル状等その他いかなる形状であってもなんら問題はない。
本発明のエストロゲン様活性物質を医薬品として使用する場合には、粉末、タブレット、カプセル等の形状にしたエストロゲン様活性物質を経口により投与するだけでなく、液状にし、点滴、注射器等で直接体内に注入することで、骨粗鬆症の治療薬として使用できる。
以下、本発明について実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、実施例、比較例において使用した材料の略号を以下に示す。またエストロゲン様活性の評価方法及びサンプル調製方法を以下に示す。
以下、評価系添加濃度(ppm)、抽出物濃度(ppm)は、重量百万分率を示し、抽出率(%)は重量%を示す。
以下、評価系添加濃度(ppm)、抽出物濃度(ppm)は、重量百万分率を示し、抽出率(%)は重量%を示す。
FBS:ウシ胎児血清(Fetal bovine serum)の略。
cFBS:活性炭処理FBS(charcoal treatedFBS)の略。
PBS:10mM−リン酸緩衝生理食塩液(phosphate buffer saline)の略。pH7.4。
DMSO:ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)の略。
cFBS:活性炭処理FBS(charcoal treatedFBS)の略。
PBS:10mM−リン酸緩衝生理食塩液(phosphate buffer saline)の略。pH7.4。
DMSO:ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)の略。
エストロゲン様活性評価方法
エストロゲン様活性の評価にはエストロゲンに対して依存的に増殖するヒト乳ガン由来MCF−7細胞(ATCC,JCRB0134)を用いた。直径90mmの培養シャーレ中で、Biofluids製FBSを10重量%添加したシグマアルドリッチジャパン(株)製RPMI−1640培地(製品番号R8755)で、前記細胞を24時間前培養した。その後、培地を除去し、0.2重量%トリプシン(trypsin)/PBSで細胞を剥離回収し、前記培地で4×104cell/mlに調製し、これを用いて、1ml/wellで24wellプレートに播種した。24時間培養後、FBS無添加のRPMI−1640培地に培地交換し、更に24時間培養後にcFBSを1重量%添加したRPMI−1640培地で培地交換すると同時に対象サンプルを添加した。この状態で5日間培養し(2日に1回培地交換)、血球計算盤を用いた細胞数測定により細胞増殖数を評価した。
エストロゲン様活性の評価にはエストロゲンに対して依存的に増殖するヒト乳ガン由来MCF−7細胞(ATCC,JCRB0134)を用いた。直径90mmの培養シャーレ中で、Biofluids製FBSを10重量%添加したシグマアルドリッチジャパン(株)製RPMI−1640培地(製品番号R8755)で、前記細胞を24時間前培養した。その後、培地を除去し、0.2重量%トリプシン(trypsin)/PBSで細胞を剥離回収し、前記培地で4×104cell/mlに調製し、これを用いて、1ml/wellで24wellプレートに播種した。24時間培養後、FBS無添加のRPMI−1640培地に培地交換し、更に24時間培養後にcFBSを1重量%添加したRPMI−1640培地で培地交換すると同時に対象サンプルを添加した。この状態で5日間培養し(2日に1回培地交換)、血球計算盤を用いた細胞数測定により細胞増殖数を評価した。
抽出物の調製方法
子実体、菌糸体または菌糸体の培養液を凍結乾燥し、これを有機溶媒に2日間浸す操作を3回行い、得られた抽出液を濃縮乾固した。得られた乾燥物が抽出物である。なお、有機溶媒として実施例1〜5においてはメタノールを使用し、実施例6においてはエタノールを使用した。
子実体、菌糸体または菌糸体の培養液を凍結乾燥し、これを有機溶媒に2日間浸す操作を3回行い、得られた抽出液を濃縮乾固した。得られた乾燥物が抽出物である。なお、有機溶媒として実施例1〜5においてはメタノールを使用し、実施例6においてはエタノールを使用した。
実施例1
市販のエリンギ子実体A、エノキタケ子実体、ウスヒラタケ子実体、ムキタケ子実体、マイタケ子実体及びクロアワビタケ子実体から、上記抽出物の調製方法によって抽出物を得た。これらの抽出物をエストロゲン様活性評価系中での抽出物濃度が1ppmで、かつ該評価系内のDMSO濃度が同じになるようにDMSOに溶解し、評価系に添加して細胞の増殖実験を行った。その結果を表1に示す。
市販のエリンギ子実体A、エノキタケ子実体、ウスヒラタケ子実体、ムキタケ子実体、マイタケ子実体及びクロアワビタケ子実体から、上記抽出物の調製方法によって抽出物を得た。これらの抽出物をエストロゲン様活性評価系中での抽出物濃度が1ppmで、かつ該評価系内のDMSO濃度が同じになるようにDMSOに溶解し、評価系に添加して細胞の増殖実験を行った。その結果を表1に示す。
実施例2
実施例1で得たエリンギ子実体Aの抽出物をエストロゲン様活性評価系中での抽出物濃度が0.0001〜10ppmで、かつ該評価系内のDMSO濃度が同じになるようにDMSOに溶解し、評価系に添加して細胞の増殖実験を行った。結果を表2に示す。
実施例1で得たエリンギ子実体Aの抽出物をエストロゲン様活性評価系中での抽出物濃度が0.0001〜10ppmで、かつ該評価系内のDMSO濃度が同じになるようにDMSOに溶解し、評価系に添加して細胞の増殖実験を行った。結果を表2に示す。
比較例1
代表的なエストロゲン化合物である17β−エストラジオール(17β−estradiol:以下E2と略す。)をエストロゲン様活性評価系中での濃度が1〜100nMで、かつ該評価系内のDMSO濃度が同じになるようにDMSOに溶解し、評価系に添加して細胞の増殖実験を行った。結果を表3に示す。
代表的なエストロゲン化合物である17β−エストラジオール(17β−estradiol:以下E2と略す。)をエストロゲン様活性評価系中での濃度が1〜100nMで、かつ該評価系内のDMSO濃度が同じになるようにDMSOに溶解し、評価系に添加して細胞の増殖実験を行った。結果を表3に示す。
実施例3
市販のエリンギ子実体Aに代えて、市販の7種類のエリンギ子実体B〜Hについて実施例1と同様に抽出物の調製を行い、これらの抽出物を得た。これらの抽出物をエストロゲン様活性評価系中での抽出物濃度が1ppmで、かつ該評価系内のDMSO濃度が同じになるようにDMSOに溶解し、評価系に添加して細胞の増殖実験を行った。結果を表4に示す。
市販のエリンギ子実体Aに代えて、市販の7種類のエリンギ子実体B〜Hについて実施例1と同様に抽出物の調製を行い、これらの抽出物を得た。これらの抽出物をエストロゲン様活性評価系中での抽出物濃度が1ppmで、かつ該評価系内のDMSO濃度が同じになるようにDMSOに溶解し、評価系に添加して細胞の増殖実験を行った。結果を表4に示す。
実施例4
市販のエリンギ子実体Aから分離したエリンギA菌糸体をPDA寒天シャーレ培地(D−グルコース:20g、ポテト浸出液末:4g、寒天:15g、イオン交換水:1リットル)に一白金耳植菌し、30℃で5日間培養を行った。続いてシャーレ上に蔓延した菌体を培地ごと直径12mmの円形に17枚打ち抜き、121℃でオートクレーブ滅菌済みのSMY液体培地(スクロース:10g、麦芽エキス:10g、酵母エキス:4g、イオン交換水:1リットル)150mlの入った坂口フラスコに添加し、30℃×120rpmの振とう条件で一晩振とうし、菌体を均一に分散させた。次に、オートクレーブ滅菌した4リットルのSMY培地の入ったジャーファーメンター(容量5リットル)に分散した菌体を無菌的に全量植菌した。ジャーファーメンターでの培養は30℃×100rpmで2リットル/minの速度で通気し7日間行った。
市販のエリンギ子実体Aから分離したエリンギA菌糸体をPDA寒天シャーレ培地(D−グルコース:20g、ポテト浸出液末:4g、寒天:15g、イオン交換水:1リットル)に一白金耳植菌し、30℃で5日間培養を行った。続いてシャーレ上に蔓延した菌体を培地ごと直径12mmの円形に17枚打ち抜き、121℃でオートクレーブ滅菌済みのSMY液体培地(スクロース:10g、麦芽エキス:10g、酵母エキス:4g、イオン交換水:1リットル)150mlの入った坂口フラスコに添加し、30℃×120rpmの振とう条件で一晩振とうし、菌体を均一に分散させた。次に、オートクレーブ滅菌した4リットルのSMY培地の入ったジャーファーメンター(容量5リットル)に分散した菌体を無菌的に全量植菌した。ジャーファーメンターでの培養は30℃×100rpmで2リットル/minの速度で通気し7日間行った。
ジャーファーメンターによる培養が終了した後に培養液から培養菌糸体を濾過により分離し、その凍結乾燥物29.0gを実施例1と同様に抽出物の調製を行い、6.9gのエリンギA培養菌糸体の抽出物を得た。この抽出物をエストロゲン様活性評価系中での抽出物濃度が1ppmで、かつ該評価系内のDMSO濃度が同じになるようにDMSOに溶解し、評価系に添加して細胞の増殖実験を行った。結果を表5に示す。
実施例5
実施例4と同様の手法で培養した培養液から菌糸体を濾過により除去し、得られた培養液を凍結乾燥後、その凍結乾燥物46.0gを実施例1と同様に調製を行い、34.4gのエリンギA菌糸体培養液の抽出物を得た。この抽出物をエストロゲン様活性評価系中での抽出物濃度が1ppmで、かつ該評価系内のDMSO濃度が同じになるようにDMSOに溶解し、評価系に添加して細胞の増殖実験を行った。結果を表6に示す。
実施例4と同様の手法で培養した培養液から菌糸体を濾過により除去し、得られた培養液を凍結乾燥後、その凍結乾燥物46.0gを実施例1と同様に調製を行い、34.4gのエリンギA菌糸体培養液の抽出物を得た。この抽出物をエストロゲン様活性評価系中での抽出物濃度が1ppmで、かつ該評価系内のDMSO濃度が同じになるようにDMSOに溶解し、評価系に添加して細胞の増殖実験を行った。結果を表6に示す。
実施例6
本発明の骨粗鬆症に対する効果及びエストロゲン様活性の子宮への影響については、卵巣を摘出したSD系成熟雌ラットを用いて、下記の方法によって評価した(各群n=7)。
11週齢時に、卵巣を摘出したSD系成熟雌ラットを、1週間、予備飼育し、12週齢の段階から試験を開始し、各条件に応じて調整した評価用飼料を投与し続けた。なお、基本の飼料としてはAIN−93M(カルシウム欠乏食)を用い、これにエリンギの子実体、培養液の抽出物を混合し、評価用飼料としてラットに与えた。なお、ラットの飼育は、12週齢から75日間行ない、その後、屠殺解剖し、右大腿骨、子宮を摘出した。大腿骨を用いて、海綿骨密度の測定を行った。その結果を表7に示す。子宮の重量を測定し、その結果を表8に示す。
本発明の骨粗鬆症に対する効果及びエストロゲン様活性の子宮への影響については、卵巣を摘出したSD系成熟雌ラットを用いて、下記の方法によって評価した(各群n=7)。
11週齢時に、卵巣を摘出したSD系成熟雌ラットを、1週間、予備飼育し、12週齢の段階から試験を開始し、各条件に応じて調整した評価用飼料を投与し続けた。なお、基本の飼料としてはAIN−93M(カルシウム欠乏食)を用い、これにエリンギの子実体、培養液の抽出物を混合し、評価用飼料としてラットに与えた。なお、ラットの飼育は、12週齢から75日間行ない、その後、屠殺解剖し、右大腿骨、子宮を摘出した。大腿骨を用いて、海綿骨密度の測定を行った。その結果を表7に示す。子宮の重量を測定し、その結果を表8に示す。
表7より、エリンギの子実体、培養液抽出物を添加した群では、骨密度の改善効果が見られた。特に子実体抽出物を添加した群では、エストロゲンの約56%の改善であった。表8では、エリンギの子実体、培養液抽出物の添加による有意な子宮重量の増加は見られず、エストロゲン添加で子宮重量の有意な増加が認められた。これはエリンギの子実体、培養液抽出物が副作用の低い安全なエストロゲン様活性物質であることを示している。
Claims (11)
- 食用キノコから抽出されるエストロゲン様活性物質。
- 食用キノコ形成菌の菌糸体から抽出されるエストロゲン様活性物質。
- 食用キノコ形成菌の菌糸体の培養液から抽出されるエストロゲン様活性物質。
- 食用キノコが、エリンギ、エノキタケ、ウスヒラタケ、ムキタケ、マイタケ及びクロアワビタケから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項記載のエストロゲン様活性物質。
- 食用キノコが、エリンギである請求項1〜3のいずれか1項記載のエストロゲン様活性物質。
- 凍結乾燥及び有機溶剤抽出から選ばれる少なくとも1つの方法によって得られることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のエストロゲン様活性物質。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載のエストロゲン様活性物質を含有する加工食品。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載のエストロゲン様活性物質を含有する健康食品。
- 健康食品が、骨粗鬆症の予防食品である請求項8記載の健康食品。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載のエストロゲン様活性物質を含有する医薬品。
- 医薬品が、骨粗鬆症の治療薬である請求項10記載の医薬品。
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