JP2003306442A - 抗酸化能と免疫賦活能とを有する製剤と製造方法 - Google Patents

抗酸化能と免疫賦活能とを有する製剤と製造方法

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JP2003306442A
JP2003306442A JP2002114422A JP2002114422A JP2003306442A JP 2003306442 A JP2003306442 A JP 2003306442A JP 2002114422 A JP2002114422 A JP 2002114422A JP 2002114422 A JP2002114422 A JP 2002114422A JP 2003306442 A JP2003306442 A JP 2003306442A
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fermented crude
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Nobuo Yamaguchi
宣夫 山口
Hisako Izumi
久子 泉
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ISHIKAWA TENNEN YAKKO BUSSHITS
ISHIKAWA TENNEN YAKKO BUSSHITSU KENKYU CENTER
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CHLORELLAS SUPPLY KK
ISHIKAWA TENNEN YAKKO BUSSHITS
ISHIKAWA TENNEN YAKKO BUSSHITSU KENKYU CENTER
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体内に摂取された場合に生体内細胞に対し
抗酸化能と免疫賦活能とを共に発揮する生薬製剤を提供
する。 【解決手段】 発酵させた生薬を含む、抗酸化能と免疫
賦活能とを有する発酵生薬製剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体内由来細胞に
おける抗酸化能及び免疫賦活能を共に有する発酵生薬製
剤及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】免疫賦活薬は、生体免疫機能を担う免疫
担当細胞の数及び/又は機能を増強する作用を有し、病
原体等の外来性異物に対する生体防御、癌の治療及び医
原性免疫不全状態における免疫増強治療等に有効に用い
ることができる薬剤である。免疫賦活薬は、近年、内科
的及び/又は外科的治療効果を高める上で有用な薬剤と
して期待されており、現在より優れた免疫賦活能を有す
る製剤が求められている。
【0003】一方、生体免疫機能を担っている免疫担当
細胞、特に食細胞、好中球等の貪食細胞は、その細胞質
内で、外来性異物の消化分解にとって必須の要素である
活性酸素を産生する。しかし、外来性異物の侵入レベル
が低い時には、活性酸素が外来性異物に作用することが
できず、この活性酸素が内在性構成細胞に作用して障害
的に働くことが知られている。そのため生体内で免疫担
当細胞のもつ免疫機能を有効に増強するためには、免疫
担当細胞により産生される活性酸素の適時適切なレベル
の調節が求められる。そこで、免疫担当細胞が産生する
活性酸素を適切なレベルに低減させることができる有効
な抗酸化能を有する製剤が求められている。ところで、
有用な薬効を有する製剤を生薬の残渣物から得ること
は、リサイクルの徹底上好ましいことであり、その製造
方法の開発が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、生体内に摂
取された場合に生体内細胞に対する抗酸化能と免疫賦活
能とを共に有する生薬製剤を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を行った。そして生薬を発酵さ
せてそれをマウスに経口的に摂取させた後にマウスの腹
腔内から食細胞を取り出し、その食細胞の活性酸素生成
能を測定する方法により上記発酵生薬の抗酸化能を評価
した。その結果、当該発酵生薬が生体内貪食細胞に対す
る抗酸化能を発揮することを見出した。さらに本発明者
は、上記発酵生薬を投与したマウスにおいて、有効な免
疫賦活効果が示されることも見出した。本発明者らはこ
れらの知見に基づいて本発明を完成させた。
【0006】すなわち、本発明は、発酵させた生薬を含
む、抗酸化能と免疫賦活能とを有する発酵生薬製剤であ
る。この発酵生薬製剤は、生体内細胞における殺菌作用
を損なわないことを特徴とする。この場合の生体内細
胞、例えば貪食細胞としては、好中球、好酸球、単球、
食細胞、多形核白血球、クッパー細胞、ランゲルハンス
細胞、ミクログリア細胞等が挙げられる。上記抗酸化能
は、生体内細胞から産生されるスーパーオキシドジスム
ターゼの活性を低減又は消失させるものであることが好
ましい。
【0007】さらに本発明の発酵生薬製剤においては、
免疫賦活能が、免疫担当細胞数、サイトカイン産生細胞
数、及び抗体産生細胞数からなる群より選択される少な
くとも1つを増加させることができるものであることが
好ましい。
【0008】また、上記発酵生薬製剤の材料となる生薬
は、限定するものではないが、例えば十全大補湯、補中
益気湯及び小青竜湯などであることが好ましい。本発明
はさらに、生薬を発酵させて発酵生薬を得ることを特徴
とする、上記発酵生薬製剤の製造方法にも関する。本発
明は、上記発酵生薬製剤を含む免疫賦活剤にも関する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明に係る発酵生薬製剤は、発酵させた
生薬(以下、「発酵生薬」という)を有効成分として含
有するものであり、生体内リンパ球に対する免疫賦活能
を備えるだけでなく、生体内細胞に対する抗酸化能をも
共に有することを特徴とする。
【0011】1.発酵生薬 本発明において発酵対象の生薬は、限定するものではな
いが、以下に示すものが挙げられる: 人参(ニンジン)、黄耆(オウギ)、蒼朮(ソウジュ
ツ)、当帰(トウキ)、茯苓(ブクリョウ)、地黄(ジ
オウ)、川きゅう(センキュウ)、芍薬(シャクヤ
ク)、桂皮(ケイヒ)、甘草(カンゾウ)、半夏(ハン
ゲ)、五味子(ゴミシ)、細辛(サイシン)、麻黄(マ
オウ)、乾姜(カンキョウ)、陳皮(チンピ)、大棗
(タイソウ)、紫胡(サイコ)、生姜(ショウキョ
ウ)、升麻(ショウマ)、茴香(ウイキョウ)、延胡索
(エンゴサク)、黄今(オウゴン)、黄柏(オウバ
ク)、黄連(オウレン)、何首烏(カシュウ)、葛根
(カッコン)、桔梗(キキョウ)、菊花(キクカ)、杏
仁(キョウニン)、苦参(クジン)、荊芥(ケイガ
イ)、紅花(コウカ)、香附子(コウブシ)、粳米(コ
ウベイ)、厚朴(コウボク)、牛膝(ゴシツ)、呉茱萸
(ゴシュユ)、牛蒡子(ゴボウシ)、胡麻(ゴマ)、山
梔子(サンシシ)、山茱萸(サンシュユ)、山椒(サン
ショウ)、山薬(サンヤク)、地骨皮(ジコッピ)、紫
根(シコン)、車前子(シャゼンシ)、辛夷(シン
イ)、前胡(ゼンコ)、川骨(センコツ)、桑白皮(ソ
ウハクヒ)、蘇木(ソボク)、蘇葉(ソヨウ)、大黄
(ダイオウ)、沢瀉(タクシャ)、竹如(チクジョ)、知
母(チモ)、丁子(チョウジ)、釣藤鈎(チョウトウコ
ウ)、猪苓(チョレイ)、天南星(テンナンショウ)、天
麻(テンマ)、天門冬(テンモンドウ)、冬瓜子(トウ
ガシ)、桃仁(トウニン)、独活(ドクカツ)、忍冬
(ニンドウ)、貝母(バイモ)、麦芽(バクガ)、麦門
冬(バクモンドウ)、薄荷(ハッカ)、浜防風(ハマボ
ウフウ)、百合(ビャクゴウ)、白止(ビャクシ)、白
朮(ビャクジュツ)、枇杷葉(ビワヨウ)、檳榔子(ビ
ンロウジ)、附子(ブシ)、防己(ボウイ)、防風(ボ
ウフウ)、牡丹皮(ボタンピ)、麻子仁(マシニン)、
木通(モクツウ)、木香(モッコウ)、意苡仁(ヨクイ
ニン)、竜眼肉(リュウガンニク)、竜胆(リュウタ
ン)、連翹(レンギョウ)、蓮肉(レンニク)。
【0012】上記生薬は、天然からそのまま単離した成
分であってもよいし、抽出、粉砕、微粉末化又は凍結乾
燥などの処理を行った成分であってもよい。上記生薬の
抽出物としては、例えば各種の水系溶剤及び有機溶剤抽
出物が挙げられるが、特に熱水抽出物が好ましい。具体
的な抽出物の調製例としては、上記生薬を水系溶剤又は
有機溶剤、例えば熱水で抽出し、得られた抽出液を濾過
する方法が挙げられる。この抽出物は必要に応じて凍結
乾燥させ、乾燥粉末として用いることができる。
【0013】なお、上記生薬は、1種類を使用してもよ
いし、又は複数の生薬を混合した複合生薬として使用し
てもよい。該複合生薬は、混合する生薬のうちの1種類
以上に、限定するものではないが抽出、粉砕又は微粉末
化等の処理方法により処理した生薬を用いたものであっ
てもよい。このような複合生薬に用いる、上記の抽出、
粉砕又は微粉末化等の処理方法により処理した1種類以
上の生薬は、全種類が同一の処理方法によって処理され
た生薬であってもよいし、一部の種類が同一の処理方法
によって処理された生薬であってもよいし、全て別個の
処理方法によって処理された生薬であってもよい。
【0014】上記複合生薬製剤としては、限定するもの
ではないが、以下のものが挙げられる: 十全大補湯、当帰六黄湯、補中益気湯、葛根湯、葛根湯
加川きゅう辛夷、乙字湯、安中散、十味敗毒湯、八味地
黄丸、大柴胡湯、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、柴胡加竜骨牡
蛎湯、半夏瀉心湯、黄連解毒湯、半夏厚朴湯、五苓散、
小青竜湯、防己黄ぎ湯、消風散、当帰芍薬散、加味逍遥
散、桂枝茯苓丸、桂枝加竜骨牡蛎湯、麻黄湯、麦門冬
湯、四逆散、苓桂朮甘湯、桂枝湯、七物降下湯、荊芥連
翹湯、清上防風湯、防風通聖散、女神散、芍薬甘草湯、
平胃散、大黄甘草湯、当帰飲子、六味丸、治打撲一方、
小建中湯、大建中湯、辛夷清肺湯、牛車腎気丸、柴苓
湯、茯苓飲合半夏厚朴湯、黄連湯、当帰建中湯、桂枝茯
苓丸加よく苡仁、麻子仁丸、麻黄附子細辛湯、桂枝加芍
薬大黄湯、清暑益気湯、桔梗湯。
【0015】上記例示した複合生薬は当技術分野で公知
であり、複合生薬中に含まれる生薬の種類及び配合量も
一般的に知られている(参考文献:漢方治療マニュア
ル、1996年、六法出版社)。本発明で利用する場合、限
定するものではないが、十全大補湯、補中益気湯及び小
青竜湯等の補剤又は瀉剤が好ましい。
【0016】本発明の発酵生薬製剤として製造すること
が好ましい3種の複合生薬(十全大補湯、補中益気湯及
び小青竜湯)は、例えば、以下に示す量の各種の生薬を
熱水抽出した後乾燥エキスにし、賦形剤を加えて調製し
たものである。
【0017】十全大補湯(以下「JTT」と略す)は、人
参(ニンジン3.0 g)、黄耆(オウギ3.0 g)、蒼朮(ソ
ウジュツ3.0 g)、当帰(トウキ3.0 g)、茯苓(ブクリ
ョウ3.0 g)、地黄(ジオウ3.0 g)、川きゅう(センキ
ュウ3.0 g)、芍薬(シャクヤク3.0 g)、桂皮(ケイヒ
3.0 g)及び甘草(カンゾウ1.5 g)を含む複合生薬であ
る。
【0018】小青竜湯(以下「SRT」と略す)は、半夏
(ハンゲ6.0 g)、甘草(カンゾウ3.0 g)、桂皮(ケイ
ヒ3.0 g)、五味子(ゴミシ3.0 g)、細辛(サイシン3.
0 g)、芍薬(シャクヤク3.0 g)、麻黄(マオウ3.0 g)
及び乾姜(カンキョウ3.0 g)を含む複合生薬である。
【0019】補中益気湯(以下「HET」と略す)は、人
参(ニンジン4.0g)、蒼朮(ソウジュツ4.0 g)、黄耆
(オウギ4.0 g)、当帰(トウキ3.0 g)、陳皮(チンピ
2.0 g)、大棗(タイソウ2.0 g)、紫胡(サイコ2.0
g)、甘草(カンゾウ1.5 g)、生姜(ショウキョウ0.5
g)及び升麻(ショウマ1.0g)を含む複合生薬である。
上記複合生薬は、例えば(株)ツムラ、(株)カネボ
ウ、(株)栃本天海堂から市販されている。
【0020】上記生薬の発酵生薬の調製は、先ず、原材
料(生薬)を繊維分解酵素と混合し、約30〜45℃、好ま
しくは40℃にて、4〜10日間、好ましくは5日間孵置す
る。繊維分解酵素としては、セルラーゼ、アミラーゼな
どを用いることができる。また原材料と繊維成分分解酵
素の混合比率は、重量で約100対5とすることが好まし
い。続いて、得られた混合物を溶解液と残渣に分離後、
残渣に再度酵素処理を繰り返す。酵素処理は合計2〜5
回程度行う。その後、酵母菌を主成分とする発酵微生物
を添加し、約30〜45℃にて、約10〜14日間発酵処理を進
める。発酵微生物としては、セルロース、デンプン等の
糖体を分解する微生物を利用することができ、酵母菌の
他、限定するものではないが、乳酸菌などが挙げられ
る。酵母としては、サッカロマイセス・セレビシエ(Sa
ccharomyces cerevisiae)など、乳酸菌としては、ラク
トバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophi
lus)、ラクトバチルス・キュラタス(Lactobacillus c
urratus)、ラクトバチルス・ファルシミニス(Lactoba
cillus farciminis)などを利用することができる。こ
の際、原材料溶解物と発酵微生物の重量比は、例えば約
100対5とすることが好ましい。しかしこの重量比は発
酵完了時間を変動させる可能性はあるが、発酵処理の成
否を左右するものではないため、適宜変更することがで
きる。
【0021】複合生薬(例えばJTT、SRT及びHET)の発
酵生薬を製造する上では、混合する複数種類の生薬を、
それぞれ単独で発酵させてから混合してもよいし、その
一部の種類を適宜組み合わせて発酵させてから他の種類
の生薬と混合してもよいし、その全種類の生薬を混合し
て発酵させてもよい。
【0022】2.発酵生薬の抗酸化能 上述のようにして製造された発酵生薬は、生体内におい
て抗酸化能を発揮する。この抗酸化能は、生体内細胞に
対する抗酸化能、好ましくは生体内細胞が産生する活性
酸素又は酸化物質を低減させる抗酸化能として評価する
ことができる。
【0023】本発明において「抗酸化能」とは、活性酸
素又は酸化物質の活性を低減又は消失させる能力を指
す。本発明において、活性酸素又は酸化物質(例えば、
スーパーオキシドジスムターゼ等)の「活性」とは、そ
れらの物質の酵素活性、反応性、酸化還元能、存在量又
は含有率を指す。
【0024】活性酸素は、強い殺菌作用を示すことが知
られており、活性酸素としては、例えば・O2 -(スーパ
ーオキシドアニオン)、H2O2(過酸化水素)、・OH(ヒ
ドロキシラジカル)、1O2(一重項酸素)、NOx(窒素酸
化物)などがある。活性酸素は、生体防御、特に貧食細
胞が関与する防御に必須なものであるが、それが過剰に
産生されると、生体の正常な細胞に対して有害な影響を
与えることが示されている。またNOxは、不安定なラジ
カルであり、スーパーオキシドと速やかに反応して、ス
ーパーオキシナイトライト(ONOO-)を形成し、その結
果、血管内皮由来弛緩因子の弛緩作用が失われることな
どが知られている。そのため、現在では、生体内の活性
酸素量を低減するための食品及び薬品、すなわち抗酸化
食品及び抗酸化剤に関する研究が多く行われている。本
発明は、そのような抗酸化能を有する発酵生薬を提供す
るものである。
【0025】本発明者は、発酵生薬の抗酸化能を評価す
るために、生体内細胞を利用して抗酸化能の評価を試み
た。該評価方法において、生体内細胞としては、貪食細
胞が挙げられ、貪食細胞には、限定するものではない
が、好中球、好酸球、単球、大食細胞、多形核白血球、
クッパー細胞、ランゲルハンス細胞、ミクログリア細胞
などが含まれる。貪食細胞は、生体防御機能を有する細
胞であり、細菌、真菌、老化した自己赤血球、死んだ組
織細胞、異物などの貪食を主に行う。その貪食の際に、
貪食細胞は、活性酸素を産生して、捕捉した異物などを
破壊することが知られている。本発明者は、上記評価方
法において、生体内細胞、特に貪食細胞の産生する活性
酸素量に対して、生体内に摂取された発酵生薬が及ぼす
影響を測定した。
【0026】上記評価方法は、例えば以下のステップを
含むものである。 (a) 発酵生薬を試験動物に投与するステップ、(b) 上記
試験動物から生体内細胞を採取するステップ、及び(c)
採取した生体内細胞の活性酸素量を測定するステップ。
【0027】上記ステップ(a) は、発酵生薬を試験動物
に投与するステップである。当該試験動物としては、哺
乳動物を利用することができ、例えばラット、マウス、
ウサギなどが挙げられる。
【0028】発酵生薬を試験動物に投与する場合、その
投与経路、投与量、投与間隔などは、その発酵生薬の性
質、試験動物の種類などに応じて任意に変更することが
できる。投与経路は、経口投与であってもよいし、静脈
内、筋内、皮下、腹腔内投与などの非経口投与であって
もよい。発酵生薬を評価する場合には、発酵生薬を経口
投与することが好ましい。
【0029】上記ステップ(b) は、ステップ(a) で発酵
生薬を投与した試験動物から生体内細胞を採取するステ
ップである。生体内細胞の採取には、当技術分野で一般
的ないずれの手法も用いることができる。例えば、好中
球を採取するには、オイスターグリコーゲンなどの刺激
剤を上記試験動物の腹腔内に投与することによって、該
試験動物の腹腔内に好中球が滲出するため、それを採取
すればよい。
【0030】生体内細胞として例えば肝クッパー細胞を
採取するには、上記試験動物から無菌的に肝臓を採取
し、RPMI1640などの培地中で肝組織をハサミで細かく切
断し、ナイロンメッシュを通して大きな細胞塊を取り除
くことにより採取することができる。
【0031】また、ランゲルハンス細胞を採取するに
は、上記試験動物から無菌的に上皮組織を採取し、上皮
組織をハサミで細かく切断し、RPMI1640などの培地を入
れたカルチャーディッシュに移し、ピンセットでほぐし
た後、針をつけたシリンジ内に出し入れして細胞塊を細
かくほぐし、ナイロンメッシュを通して大きな細胞塊を
取り除くことにより採取することができる。
【0032】さらに脾マクロファージを採取するには、
上記試験動物から無菌的に脾臓を採取し、脾臓をハサミ
で細かく切断し、RPMI1640などの培地を入れたカルチャ
ーディッシュに移し、ピンセットでほぐした後、細胞を
含む培養液を針をつけたシリンジ内に出し入れして細胞
塊を細かくほぐし、ナイロンメッシュを通して大きな細
胞塊を取り除くことにより採取することができる。
【0033】採取した生体内細胞は、当技術分野で公知
の任意のバッファー中に懸濁して細胞浮遊液を調製す
る。上記評価方法において好ましいバッファーとして
は、限定するものではないが、HEPESバッファー(17mM
HEPES, 120mM NaCl, 5mM Glucose, 5mM KCl, 1mM CaC
l2, 1mM MgCl2)、PBSなどが挙げられる。ステップ(c)
は、採取した生体内細胞の産生する活性酸素量を測定す
るステップである。
【0034】活性酸素量の測定は、当技術分野で公知の
活性酸素測定方法であればいずれの方法も採用すること
ができる。例えば、・O2 -の測定方法として、チトクロ
ムc法及びNBT(ニトロブルーテトラゾリウム)法、・O
Hの測定方法として、p−ニトロソジメチルアニリン法
及びメチオナール法、1O2の測定方法として、フラン誘
導体法及びコレステロール法などが知られている。具体
的に説明すると、上記チトクトムc法は、細胞外に放出
された・O2 -が不安定な状態にあり、外液中に酸化型チ
トクロームcが存在すれば即座にO2に還元されるという
性質を利用して、酸化型チトクロームcが・O2 -を還元
して酸化型から変化した還元型チトクロームcの量を測
定することにより、間接的に・O2 -量を測定するもので
ある。
【0035】ここで、還元型チトクロームcが550nmの
可視光線に対して吸光を有することから、チトクローム
cを加えた生体内細胞浮遊液の550nmでの吸光度を測定
し、以下の式により産出された・O2 -を測定する。な
お、19.1×103は還元型チトクロームcの550nmでのモル
吸光係数を示す。 産出された・O2 -量(mmol/ml)=550nmにおける吸光度
の上昇(ΔA550-540nm)/19.1×103 例えば、試験動物から調製した生体内細胞浮遊液にチト
クロームcを添加して、その混合液の上清の吸光度を55
0nm及び540nmにて測定し、得られた結果を上記式に当て
はめて産出された・O2 -量を求める。
【0036】またNBT(ニトロブルーテトラゾリウム)
法は、NBTが・O2 -により還元されて水不溶性の青色のホ
ルマザンを生じることを利用したものである。例えば、
上記試験動物から調製した生体内細胞浮遊液をカバーガ
ラス上にとり、約37℃に保温しておいた湿潤室(湿った
ガーゼを敷いたペトリ皿)に入れて約37℃にて約25分間
放置した後、カバーガラスを取り出し、生理的食塩水で
凝血塊を洗い流す。カバーガラスの一辺をろ紙にあてて
生理的食塩水をよく取り除き、NBT溶液1滴をのせたス
ライドガラス上に、カバーガラスを細胞が付着した面を
下にしてかぶせ、湿潤室に入れて約37℃にて約20分間放
置する。その後、カバーガラスを取り出して乾燥させ、
メタノールで1分間固定し、水洗する。続いて、1%サ
フラニン液につけて約5分間放置した後、水洗及び乾燥
させると、ホルマザンを含む陽性細胞は膨潤し、細胞質
全体が青黒く慢性に着色して、核網が不明瞭になる。細
胞100〜300個を観察し、陽性率を算出する。
【0037】その他のp−ニトロソジメチルアニリン
法、メチオナール法、フラン誘導体法及びコレステロー
ル法は当技術分野で公知であり、文献などに記載の方法
に従って活性酸素量を測定することが可能である。
【0038】上記評価方法においては、上記ステップ
(b) で採取された生体内細胞に対し、活性酸素量を測定
する前に、さらに活性酸素の産生を誘導するステップを
行ってもよい。活性酸素産生の誘導は、例えば活性酸素
産生誘導刺激剤を用いることにより行う。かかる活性酸
素産生誘導刺激剤としては、限定するものではないが、
ホルボールミリステートアセテート(PMA;・O2 -産出誘
導刺激剤)、細菌性リポポリサッカライド(LPS;NOx産
出誘導刺激剤)が挙げられる。活性酸素産生誘導刺激剤
は、用いる刺激剤の種類、試験動物の種類、誘導させる
活性酸素量などを考慮して、任意の量及び濃度で生体内
細胞と混合する。例えば、10-6M PMAを用いる場合に
は、生体由来の食細胞1,000,000〜2,000,000個当たりPM
A5〜10μlを添加し、活性酸素量の測定に供する。
【0039】本発明の上記の抗酸化能測定においては、
未処理対照群において測定される活性酸素量と比較した
場合に、評価対象である発酵生薬を投与した群において
測定される活性酸素量が有意差を有して低減していれ
ば、当該発酵生薬が抗酸化能を有するものとする。上記
評価方法により、本発明に係る発酵生薬は抗酸化能を有
することが示される。
【0040】さらに、上記評価方法においては、上記ス
テップ(c) と併行して、発酵生薬が生体内細胞の殺菌作
用に及ぼす影響を測定するステップをさらに行ってもよ
い。このステップは、採取した生体内細胞に微生物を取
り込ませ、該生体内細胞が殺菌した微生物の量を測定す
ることにより行う。このステップにより、発酵生薬の抗
酸化能によって、生体内細胞が本来有する殺菌作用が損
なわれないかどうかを評価することができる。
【0041】上記評価方法において利用可能な微生物
は、生体内細胞によって殺菌又は貪食されるものであれ
ば特に限定されず、例えば細菌、放線菌などの原核生
物、菌類、原虫などの真核生物が挙げられる。
【0042】上記ステップでは、最初に、採取した生体
内細胞に微生物を添加し、培養することにより、生体内
細胞に微生物を取り込ませる。生体内細胞に添加する微
生物の量は、細胞1,000,000〜10,000,000個当たり微生
物10,000,000〜50,000,000個である。培養に使用する培
養液としては、限定するものではないが、ハンクス平衡
塩類溶液などが挙げられる。また培養温度は、30〜37
℃、好ましくは37℃である。培養時間は、生体内細胞の
10〜30%が細胞1個当たり約5〜15個以上の微生物をそ
の細胞質内に貪食しているかどうかを基準として決定す
る。細胞質内の微生物数は、例えば顕微鏡下で観察する
ことにより計数することができる。例えば限定するもの
ではないが、微生物として真菌類を用いる場合には、生
体内細胞の90%以上が5個以上の真菌類を細胞質内に貪
食していれば培養を終了してよい。
【0043】続いて、培養液中の過剰な微生物を、例え
ばフラッシングして除去する。次いで、さらに60〜120
時間培養する。この際、必要であれば培養前に新たな培
養液を1〜3ml程度添加してもよい。
【0044】培養終了後、生体内細胞の細胞質内に貪食
された微生物の数が、上述の培養時間の決定において基
準とした微生物数(すなわち約5〜15個)のおよそ50%
以下に減少している場合に、その細胞を殺菌能力陽性細
胞と判定する。例えば微生物として真菌類を用い、かつ
基準とする微生物数を5個とした場合、ある生体内細胞
の細胞質内に貪食された真菌類の数が、2個(基準とす
る真菌数の40%に相当)以下に減少している場合には、
その細胞を殺菌能力陽性細胞と判定することができる。
【0045】上記のようにして評価した生体内細胞のう
ち10%以上が殺菌能力陽性細胞と判定された場合には、
評価対象の発酵生薬は、生体内細胞の殺菌作用を大きく
低減するものではなく、すなわち生体内細胞の殺菌作用
を損なわないと評価される。上記評価方法により、本発
明に係る発酵生薬は、生体内細胞の殺菌作用を損なわな
いものであると評価された。
【0046】3.発酵生薬の免疫賦活能 上述の「1.発酵生薬」において製造された発酵生薬
は、さらに免疫賦活能を有する。本発明において、「免
疫賦活能」とは、生体の免疫機能を促進する活性を意味
し、例えば免疫担当細胞増加活性、サイトカイン産生細
胞増加活性、抗体産生細胞増加活性、サイトカイン産生
能増強活性、免疫担当細胞活性化活性、感染防御活性等
が挙げられる。ここで、本発明における「免疫担当細
胞」とは、免疫反応を担う能力を有している細胞を意味
し、限定するものではないがマクロファージ、食細胞、
T細胞、B細胞、NK細胞、抗原提示細胞、プラズマ細
胞、樹状細胞等が挙げられる。また本発明における「サ
イトカイン産生細胞」とは、免疫応答・炎症反応・造血
応答などの生体防御や恒常性の維持に関与する細胞の増
殖、分化又は走化性を制御するサイトカイン分子を産生
する細胞、例えばコロニー刺激因子、造血因子、インタ
ーフェロン、腫瘍壊死因子、モノカイン、ケモカイン、
インターロイキン等に分類される分子を産生する細胞を
意味する。これらの具体的な例としては、IL-2、IFN-
γ、TNF-β等を産生するヘルパーT細胞亜集団(Th1)、
及びIL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-13等を産生するヘル
パーT細胞亜集団(Th2)、IL-12等を産生するマクロファ
ージ等が挙げられる。本発明においてある特定のサイト
カインを産生する細胞と言った場合、該細胞には該サイ
トカインを産生する複数種の細胞を包含してもよい。さ
らに本発明における「抗体産生細胞」とは、ある特定の
抗原に対して抗体を産生することができる細胞を意味す
る。本発明における免疫賦活能は、好ましくは、担癌状
態、癌に対する化学療法時及び手術侵襲時等における免
疫低下に対し、免疫活性の改善をもたらすものである。
【0047】本発明に係る発酵生薬の免疫賦活能の評価
は、上述の「1.発酵生薬」において製造された発酵生
薬が、免疫担当細胞増加活性、サイトカイン産生細胞増
加活性、抗体産生細胞増加活性、サイトカイン産生能増
強活性、免疫担当細胞活性化活性又は感染防御活性等の
免疫機能増強活性を有するかどうかを確認することによ
って行うことができる。この免疫機能増強活性の確認
は、一般的な免疫活性の測定法に従って行えばよいが、
一般的には、上記発酵生薬を生体、例えばヒト又は試験
動物に経口投与又は非経口投与して、生体内での免疫機
能の増強を検出することによって行うことができる。こ
のような生体内での免疫機能の増強の検出は、上記発酵
生薬を投与したヒトを含む動物から血液等の体液を採取
するか、又は上記発酵生薬を投与した試験動物から脾
臓、骨髄若しくは胸腺等の組織を採取し、その体液又は
組織に含有される免疫担当細胞の数、又は抗体、補体若
しくはサイトカイン等の免疫機能に関与する成分の量を
測定して、その増加を確認することにより行うことがで
きる。また免疫機能増強活性の確認は、それらの体液又
は組織から得られる免疫担当細胞について、in vitroで
の免疫機能の増強を検出することによっても行うことが
できる。免疫機能増強活性の確認は、限定するものでは
ないが具体的には例えば以下のような活性を測定するこ
とによっても行うことができる:
【0048】(1) in vitroにおける免疫担当細胞のサイ
トカイン産生能の増強 本発明に係る発酵生薬存在下における、in vitroでの
未処置又はLPS(リポ多糖)刺激したヒト末梢血単核細胞
のIL-1β産生量の増大 本発明に係る発酵生薬存在下における、in vitroでの
未処置又はPHA(フィトヘマグルチニン)刺激したヒト末
梢血単核細胞のIL-2及びIFN-γ産生量の増大
【0049】(2) 細胞性免疫の増強 本発明に係る発酵生薬を経口投与したマウスから摘出
した脾臓細胞における、ヘマグルチニンに対する遅延型
過敏反応の増強 本発明に係る発酵生薬存在下における、in vitroリン
パ球混合培養系における脾臓細胞増殖の促進 本発明に係る発酵生薬存在下における、マイトマイシ
ンC(MMC)処理脾臓細胞のin vitroでの細胞障害性T細胞
活性の増強
【0050】(3) NK活性の増強 本発明に係る発酵生薬を経口投与した、シスプラチン
(CDDP)投与した担癌マウス脾臓細胞における、細胞傷害
性T細胞活性の減少抑制
【0051】(4) 液性免疫の増強 本発明に係る発酵生薬を経口投与したマウスから摘出
した脾臓細胞における、綿羊赤血球に対するIgM及びIgG
抗体産生細胞数の増加 本発明に係る発酵生薬を経口投与した担癌マウスから
摘出した脾臓細胞における、綿羊赤血球に対する抗体産
生量の増大 本発明に係る発酵生薬を腹腔内投与したマウスにおけ
る補体系の活性化 本発明に係る発酵生薬を経口投与したマウスから採取
した、腹腔内細胞及び骨髄細胞の貪食能のin vitroにお
ける亢進 本発明に係る発酵生薬を経口投与又は腹腔内投与した
マウスから採取した、食細胞の貪食能のin vitroにおけ
る亢進
【0052】(5) 細胞性免疫及び液性免疫の増強 本発明に係る発酵生薬を経口投与したマウスから摘出
した脾臓細胞における、免疫担当細胞数の増加。
【0053】本発明においては、免疫機能増強活性の確
認は、例えば以下のようにして行うことができる。本発
明の1つの実施形態として、免疫機能増強活性は免疫担
当細胞数の増加に基づいて判断できる。免疫担当細胞数
の測定は、通常用いられる公知の方法を使用して行うこ
とができるが、例えば、以下のような実験によって行う
こともできる。
【0054】まず、上述の「1.発酵生薬」において製
造された発酵生薬をマウスに投与し、マウスにおいて免
疫担当細胞数が増加することを確認する。この確認のた
めには、被験体として用いるマウスを後天的免疫不全状
態として、予め免疫機能を低下させておくことが好まし
い。このようなマウスの後天的免疫不全状態は、マウス
に免疫抑制剤、例えば癌に対する化学療法剤(例えば、
マイトマイシンC(MMC):協和発酵社製)を投与するこ
とによって達成することができる。ここでマウスを適切
に後天的免疫不全状態とするためには、まず予備実験と
して、免疫抑制剤の適切な投与量を決定することが好ま
しい。MMCの用量設定に関する予備実験は例えば以下の
通りに行うことができる。
【0055】試験動物としては、純系の清浄条件下(SP
F条件下)で飼育したマウスを使用し、4群の実験群、
すなわち免疫抑制剤無投与正常群(正常対照)、免
疫抑制剤腹腔内投与群(例えばMMC 0.08 mg/kg)、免
疫抑制剤腹腔内投与群(例えばMMC 0.5 mg/kg)、免
疫抑制剤腹腔内投与群(例えばMMC 3mg/kg)、を準備
する。〜の各群のマウスにそれぞれ免疫抑制剤を投
与し、その3日後にマウスを頚椎脱臼して安楽死させ、
脾臓を摘出する。摘出した脾臓から白血球を細胞毎に遊
離させた生理食塩水を調製する。この脾臓由来細胞の調
製溶液は、上記「2.発酵生薬の抗酸化能」に記載した
脾マクロファージの採取方法に従って行えばよい。次い
でその脾臓由来細胞の調製溶液に含まれる白血球細胞数
を計数し、1ml当りの白血球細胞数を算出する。その算
出数に基づき、マウスを後天的免疫不全状態とするため
に用いる適切な免疫抑制剤の投与量を設定する。免疫抑
制剤を投与しない正常対照における白血球細胞数(正常
値)を100%としたときに、白血球細胞数の有意な減少
が認められる値、例えば正常値の33%、に相当する白血
球細胞数を示す免疫抑制剤投与群で使用した免疫抑制剤
投与量を、マウスを後天的免疫不全状態(免疫抑制状
態)とするための免疫抑制剤投与量として設定する。
【0056】次に、上記で設定した投与量の免疫抑制剤
を使用して後天的免疫不全状態としたマウスに発酵生薬
を投与して、その脾臓から得られる免疫担当細胞数を測
定する。実験群は、免疫抑制剤無投与の正常群(正常
対照)、並びに、担癌状態とする免疫抑制剤投与群
(対照群)、免疫抑制剤投与+生薬投与群及び免疫
抑制剤投与+該生薬の発酵生薬投与群とし、及びは
免疫賦活能を測定すべき発酵生薬の数に合わせた数を準
備する。各実験群には、マウス10匹程度を用いること
が好ましい。発酵生薬又は生薬の投与は、免疫抑制剤を
投与した日から毎日一定量を与えることが好ましい。
【0057】発酵生薬又は生薬の投与終了後、例えば7
日目に、各群のマウスから脾臓を摘出し、該脾臓から遊
離白血球を調製し、該調製液に含まれる免疫担当細胞の
数を測定する。測定対象とする免疫担当細胞は、当業者
が測定可能な種類の免疫担当細胞を適宜選択することが
できるが、好ましくはT細胞、B細胞、食細胞、ナチュ
ラルキラー細胞、及び/又はサイトカイン保持細胞であ
る。これらの測定対象とする細胞の種類数は1種類であ
ってもよいが、より多い方が好ましい。この免疫担当細
胞の数の測定は、当業者であれば公知の方法を用いて行
うことができる。本発明では、例えば、CD陽性細胞が
有する細胞表面マーカー(CD3、CD19又はCD5
6等の各種CD抗原)、又はサイトカイン保持細胞が有
するサイトカインを、抗原抗体反応を利用して検出する
ことによって行うことができる。このような検出は、こ
れらの細胞表面マーカー又はサイトカインに対するモノ
クローナル抗体と蛍光色素とを結合させた試薬(ベクト
ンディッキンソン(Becton-Dickinson)社製、USA)を
使用し、FACS(fluorescence activated cellsorti
ng;ベクトンディッキンソン(Becton-Dickinson)社製、
USA)により行うことができる。そしてこの検出に基
づき、各種CD抗原陽性細胞、又はサイトカイン保持細
胞の数を測定することができる。発酵生薬をマウスに投
与した場合、上記のようにして測定された少なくとも1
種の免疫担当細胞の数が対照群及び生薬投与群と比較し
て増加、好ましくは有意に増加していれば、その発酵生
薬は免疫賦活効果を有する。
【0058】本発明の発酵生薬は、このような該発酵生
薬を投与した際の免疫担当細胞数の測定において、免疫
担当細胞数の増加が認められることから、免疫抑制剤投
与により引き起こされる免疫担当細胞数の低下を回復さ
せることができる免疫賦活効果を有するものである。
【0059】本発明の別の実施形態としては、免疫機能
増強活性を、抗体産生細胞数の増加に基づいて判断する
こともできる。抗体産生細胞数の測定は、通常用いられ
る公知の方法を使用して行うことができるが、例えば、
以下のような実験によって行うこともできる。
【0060】上記免疫担当細胞数の測定において設定し
たのと同量の免疫抑制剤を投与して後天的免疫不全状態
としたマウスに、さらに発酵生薬を投与し、その脾臓に
含まれる抗体産生細胞数を測定する。実験群としては、
免疫担当細胞数の測定において設定したのと同じセット
か、又は免疫抑制剤無投与の正常群(正常対照)を含
めないセットを準備する。各実験群には、マウス10匹
程度を用いることが好ましい。さらに各実験群のマウス
には、免疫抑制剤投与の1日後に、抗原として綿羊赤血
球を腹腔内へ接種する(例えば2×108個)。発酵生薬又
は生薬の投与は、免疫抑制剤を投与した日から毎日一定
量を与えることが好ましい。
【0061】発酵生薬又は生薬の投与終了開始後、例え
ば5日目に、各群のマウスから脾臓を摘出し、該脾臓の
細胞がばらばらになるように遊離細胞を調製する。この
調製も、上記「2.発酵生薬の抗酸化能」に記載した脾
マクロファージの採取方法に従って行えばよい。このよ
うにして調製した遊離細胞(一定細胞数、例えば1×106
細胞を含む)を抗原(例えば綿羊赤血球を1×108個)と
共に培養し(例えば1時間)、脾細胞中の抗体産生細胞
から抗体を分泌させ、その後に補体を添加して溶血反応
を促す。その結果、抗体産生細胞の周囲には溶血反応が
生じ、透明斑点として肉眼で識別できるようになる。こ
の透明斑点数を数えることにより、抗体産生細胞数を測
定することができる。発酵生薬をマウスに投与した場
合、上記のようにして測定される抗体産生細胞の数が対
照群及び生薬投与群と比較して増加、好ましくは有意に
増加していれば、その発酵生薬は免疫賦活効果を有す
る。
【0062】本発明の発酵生薬は、このような該発酵生
薬を投与した際の抗体産生細胞数の測定において、抗体
産生細胞数の増加が認められることから、免疫抑制剤投
与により引き起こされる抗体産生細胞数の低下を回復さ
せることができる免疫賦活効果を有するものである。
【0063】4.本発明の発酵生薬製剤 本発明者は、本発明の発酵生薬が、抗酸化能を有するこ
と、生体内細胞のもつ殺菌作用に対し影響がないこと、
及び免疫賦活能を有することを確認した。従って本発明
に係る発酵生薬は、生体内において免疫賦活能を有し、
かつ抗酸化能をも有するものであってさらに生体内細胞
が元来有する殺菌作用をも損なうことがない薬剤であ
る。本発明の発酵生薬は、さらに、安全性が高く、また
加熱などの加工手段を加えてもその効果は失われること
なく安定であるため、様々な用途に有用である。
【0064】上述のように製造された発酵生薬は、抗酸
化能及び免疫賦活能を有する薬剤であるため、抗酸化機
能及び免疫賦活作用をもたらす製剤として医薬組成物及
び食品などに含有させて使用することができる。
【0065】発酵生薬を有効成分として含む医薬組成
物、すなわち発酵生薬製剤は、医薬的に許容される担体
又は添加物を共に含むものであってもよい。このような
担体及び添加物の例として、水、医薬的に許容される有
機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニ
ルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸
ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルス
ターチナトリウム、ペクチン、キサンタンガム、アラビ
アゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、グリセリン、プロ
ピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリ
ン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン
酸、ヒト血清アルブミン、マンニトール、ソルビトー
ル、ラクトース、医薬添加物として許容される界面活性
剤などの他、リポゾームなどの人工細胞構造物などが挙
げられる。使用される添加物は、医薬組成物の剤形に応
じて上記の中から適宜又は組み合わせて選択される。本
発明に係る発酵生薬製剤は、経口的又は非経口的に投与
することができる。
【0066】上記発酵生薬製剤を経口的に投与する場合
は、錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤などの固形製剤、あるい
は液剤、懸濁剤、シロップ剤などの液体製剤等として発
酵生薬を製剤化すればよい。特に顆粒剤及び散剤は、カ
プセル剤として単位投与剤形としてもよいし、また液体
製剤の場合には使用する際に再溶解させる乾燥生成物に
してもよい。
【0067】上記剤形のうち経口用固形製剤は、通常そ
れらの組成物中に薬学上一般に使用される結合剤、賦形
剤、滑沢剤、崩壊剤、湿潤剤などの添加剤を含有する。
また、経口用液体製剤は、通常それらの組成物中に薬学
上一般に使用される安定剤、緩衝剤、矯味剤、保存剤、
芳香剤、着色剤などの添加剤を含有する。
【0068】本発明の発酵生薬製剤を非経口的に投与す
る場合は、注射剤又は坐剤等とすることができる。例え
ば注射剤は、発酵生薬を溶液、懸濁液、乳液などに溶解
又は懸濁して調製されるものであり、通常単位投与量ア
ンプル又は多投与量容器の形態で提供される。また注射
剤は、使用する際に適当な担体、例えば発熱物質不含の
滅菌水に再溶解させる粉剤であってもよい。注射手法と
しては、例えば点滴静脈内注射、静脈内注射、筋肉内注
射、腹腔内注射、皮下注射、皮内注射が挙げられる。こ
れらの非経口投与剤形は、通常それらの組成物中に薬学
上一般的に使用される乳化剤、懸濁剤などの添加剤を含
有する。
【0069】上記発酵生薬製剤に配合する発酵生薬量
は、使用する生薬の種類などにより異なるが、例えば、
総重量を基準として30〜5重量%、好ましくは15〜10重
量%である。
【0070】また、その投与量は、投与対象の年齢及び
体重、投与経路、投与回数により異なり、広範囲に変更
することができる。例えば、発酵生薬の有効量と適切な
希釈剤及び薬学的に使用しうる担体との組み合わせとし
て投与される有効量は、経口的に投与する場合には、1
日につき体重1kg当たり1000〜200mgであり、1日から
3日の間隔で投与される。
【0071】本発明に係る発酵生薬製剤を投与する対象
としては、限定するものではないが、ヒト、家畜、愛玩
動物、実験(試験)動物でありうる。
【0072】発酵生薬製剤を有効成分として含有する医
薬組成物は、その抗酸化能及び免疫賦活能によって、免
疫能調節剤、循環器系機能改善剤、動脈硬化阻止、抗腫
瘍剤、抗感染症剤、抗寄生虫剤、免疫賦活剤等として投
与することができる。本発明の発酵生薬製剤は、例え
ば、後天性免疫不全症候群又は慢性疲労症候群等の免疫
担当細胞の量的・質的増強が求められる疾患の治療又は
予防に特に有効である。また本発明の発酵生薬製剤は、
癌の治療若しくは骨髄移植のための化学療法又は外科的
手術等の侵襲術を施した後の白血球減少を含む免疫低
下、後天的免疫不全症、感染症罹患の際の免疫力増強の
ためにも非常に有効である。本発明の医薬組成物を投与
する対象疾患は、上記疾患単独であってもそれらを複数
併発したものであってもよい。さらに本発明の発酵生薬
製剤は、免疫増強作用を有する他の薬剤、例えばマクロ
ファージコロニー刺激因子、顆粒球−マクロファージコ
ロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポ
エチン及び血小板増殖因子等の造血因子、サイトカイ
ン、又は免疫賦活効果若しくは抗酸化能を有する天然物
質(例えば、クロレラ、プロポリス、アガリクス、サポ
ニン、ビタミンC、ロイヤルゼリー、メシマコブ等)を
さらに含有してもよい。また本発明の発酵生薬製剤は、
それらの免疫増強作用を有する他の薬剤と併用して使用
してもよい。あるいは本発明の発酵生薬製剤は、他の治
療用薬剤を含有するか又は他の治療用薬剤と併用して使
用してもよい。例えば癌治療の際に本発明の発酵生薬製
剤を抗癌剤と併用することにより、抗癌剤の使用による
白血球減少等の副作用を低減することもできる。
【0073】また本発明に係る発酵生薬製剤は、医薬組
成物としての用途に限定されず、その他、例えば食品又
は飼料等に配合されてもよい。本発明の発酵生薬が配合
された食品及び飼料は、抗酸化作用と免疫賦活作用とを
共に誘導することができる健康補助製品として有用であ
る。
【0074】発酵生薬を配合する食品としては、米飯
類、菓子類、麺類、カマボコ・チクワ等の水産練り製
品、ハム・ソーセージ等の畜肉加工品、清涼飲料・果実飲
料等の飲料類、マヨネーズ・ドレッシング・味付け調味
液等の調味料等が挙げられるが、これらに限定されな
い。これらの食品には、通常の食品に使用される着色
料、香料、甘味料、酸味料等を適宜配合してもよい。食
品に配合する発酵生薬の量は、例えば1000〜100g/kgで
あり、好ましくは50g/kgである。
【0075】発酵生薬を配合する飼料としては、家畜・
家禽・魚類用の粉状、練り製品状又はペレット状の飼料
等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの飼
料には、通常の飼料に使用される着色料、香料等を適宜
配合してもよい。飼料に配合する発酵生薬の量は、例え
ば2000〜200g/kgであり、好ましくは50g/kgである。
【0076】
【実施例】以下、実施例により本発明の発酵生薬製剤の
抗酸化能及び免疫賦活能をさらに具体的に説明する。但
し、本発明はこれら実施例にその技術的範囲が限定され
るものではない。
【0077】〔実施例1〕発酵生薬製剤の製造 十全大補湯(JTT)は、人参(ニンジン3.0 g)、黄耆
(オウギ3.0 g)、蒼朮(ソウジュツ3.0 g)、当帰(ト
ウキ3.0 g)、茯苓(ブクリョウ3.0 g)、地黄(ジオウ
3.0 g)、川きゅう(センキュウ3.0 g)、芍薬(シャク
ヤク3.0 g)、桂皮(ケイヒ3.0 g)及び甘草(カンゾウ
1.5 g)からなる複合生薬を熱水抽出した後、乾燥エキ
スにした。
【0078】小青竜湯(SRT)は、半夏(ハンゲ6.0
g)、甘草(カンゾウ3.0 g)、桂皮(ケイヒ3.0 g)、
五味子(ゴミシ3.0 g)、細辛(サイシン3.0 g)、芍薬
(シャクヤク3.0 g)、麻黄(マオウ3.0 g)及び乾姜
(カンキョウ3.0 g)からなる複合生薬を熱水抽出した
後、乾燥エキスにした。
【0079】補中益気湯(HET)は、人参(ニンジン4.0
g)、蒼朮(ソウジュツ4.0 g)、黄耆(オウギ4.0
g)、当帰(トウキ3.0 g)、陳皮(チンピ2.0 g)、大
棗(タイソウ2.0 g)、紫胡(サイコ2.0 g)、甘草(カ
ンゾウ1.5 g)、生姜(ショウキョウ0.5 g)及び升麻
(ショウマ1.0g)からなる複合生薬を熱水抽出した後、
乾燥エキスにした。
【0080】上記3種の複合生薬をそれぞれ独自に分別
し、複合生薬とセルラーゼ(和光純薬、東京)を重量比
100対5で混合し、40℃にて5日間孵置した。続いて、
得られた混合物を溶解液と残渣に分離し、残渣をさらに
3回セルラーゼ処理した。次に、発酵菌(Saccharomyce
s cerevisiae)を添加し(重量比100対5)、40℃にて
7日間孵置して発酵した。
【0081】〔実施例2〕好中球を利用することによる
発酵生薬製剤の抗酸化能の評価 実施例1で調製した発酵生薬製剤の抗酸化能について評
価するため、以下の実験を行った。 (1)被検薬 実施例1で調製した十全大補湯(JTT)、補中益気湯(HE
T)、小青竜湯(SRT)、及び各々の発酵物を10mg/0.2ml蒸
留水となるように調製した。
【0082】(2)試薬 細胞浮遊液を調製するためのHEPESバッファー(17mM HE
PES, 120mM NaCl, 5mMGlucose, 5mM KCl, 1mM CaCl2, 1
mM MgCl2)は、濾過滅菌したものを用いた。O2 -産出誘
導刺激剤としては、PMA(Sigma社製)をDMSOで10-6Mと
なるように調製したものを用いた。還元剤としては、フ
ェリチトクローム-C(cyt-C,Sigma社製)をHEPESバッ
ファーで1mMとなるように調製したものを用いた。マウ
ス腹腔内へ好中球を滲出させるための刺激剤としては、
オイスターグリコーゲン10 w/v%水溶液を120℃で20分
オートクレーブ滅菌したものを用いた。
【0083】(3)産出された活性酸素量の測定 好中球を利用する好酸化能力の評価方法を確立するため
以下の実験を行った。マウス(C57BL/6NCrj)に上記
(1)で調製した被検薬0.2mlを経口投与した。投与の2
4時間後に、グリコーゲンオイスター水溶液2mlを腹腔内
注射した。その6時間後、頚椎脱臼して安楽死させたマ
ウスより腹腔滲出細胞(好中球)を回収し、1500rpm、
4℃で5分間遠心して2回洗浄した。HEPESバッファー
中に1×106細胞/mlとなるように細胞浮遊液を調製した
後、cyt-C 100μl及びPMA 10μlを加えて37℃の恒温槽
にて軽く振盪させながら20分間培養した。培養後直ちに
氷中につけて反応を停止させ、1500rpm、4℃で10分間
遠心した。上清の吸光度を550nm及び540nmにて測定し、
生成された活性酸素量を算出した。活性酸素量の測定
は、オイスターグリコーゲンによる刺激から6時間後に
行った。
【0084】JTT、HET、SRT、及びその発酵物を投与し
た場合において、マウスの腹腔滲出好中球により産出さ
れた活性酸素量は、JTT及びその発酵物、HET及びその発
酵物、並びにSRT及びその発酵製剤を投与した場合に、
それぞれ1.24及び0.62(×10- 5mmol)、1.25及び0.84
(×10-5mmol)、並びに2.88及び1.50(×10-5mmol)で
あった。これに対して対照群では2.85(×10-5mmol)で
あった。図1に、産出された活性酸素量をグラフで示し
ている。
【0085】上記3種の発酵生薬製剤のいずれについて
も、該発酵生薬製剤を投与すると、対照群及び非発酵生
薬と比較して、活性酸素の産出が減少することが確認さ
れた。
【0086】〔実施例3〕食細胞を利用することによる
発酵生薬製剤の殺菌作用に対する影響の評価 食細胞を利用して発酵生薬製剤が殺菌作用に及ぼす影響
を評価するため以下の実験を行った。
【0087】マウス(C57BL/6NCrj)に上記実施例2の
(1)で調製した被検薬0.2mlを1日置きに5回経口投
与した。最終投与の24時間後に、グリコーゲンオイスタ
ー水溶液2mlを腹腔内注射した。その6時間後に、頚椎
脱臼して安楽死させたマウスより腹腔滲出細胞を回収
し、1500rpm、4℃で5分間遠心して2回洗浄した。そ
の後ペトリ皿にて、90分培養(ハンクス平衡塩類溶液+
FCS中、37℃)し、皿底に非付着性の細胞を除き、3回
フラッシングしてから、真菌の1種であるカンジダ・ア
ルビカンス(Candida albicans;1,000,000/ml)0.25ml
を添加し、更に90分培養した。この時点において、食細
胞の97%は5個以上の真菌を細胞質内に貪食していた。
その後、余剰の真菌をフラッシングしながら除き、新た
な培養液(1ml)を加えて、6時間培養した。培養終了
後、顕微鏡下でペトリ皿底の20視野を数え、細胞質内
に真菌が2個以下の細胞を殺菌能力陽性細胞とした。こ
の結果を表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】表1に示す通り、JTT、HET及びSRTの発酵
物をそれぞれ投与した場合、いずれも30%を超える殺
菌能力陽性細胞比率を示した。また発酵物を投与した場
合のそれらの値は、JTT、HET及びSRT(非発酵生薬)投
与群に対してそれぞれ比較しても高い値である。従っ
て、本発明の発酵生薬製剤は、生体内細胞の殺菌作用を
損なうものではないことがわかる。
【0090】〔実施例4〕発酵生薬製剤の免疫担当細胞
増加活性の評価 発酵生薬製剤をマウスに投与することにより、マウスの
免疫担当細胞数が増加することを確認する実験を行っ
た。この確認のために、被験体として用いるマウスを後
天的免疫不全状態とした。このようなマウスの後天的免
疫不全状態(免疫抑制状態)は、マウスに化学療法剤
(マイトマイシンC(MMC):協和発酵社製)を投与する
ことにより誘導した。
【0091】(1) 化学療法剤の用量設定 マウスを後天的免疫不全状態とするために、まず予備実
験として、化学療法剤MMCの適切な投与量を決定する必
要がある。MMCの用量設定に関する予備実験は以下の通
りに行った。
【0092】試験動物としては、純系の清浄条件下(SP
F条件下)で飼育したマウス(C57BL/6系)を使用した。
実験群としては、それぞれ7匹からなるC57BL/6系雌性
マウス(生後8週齢)の群を4群用意した。これらの群
を次の投与条件群、すなわちMMC無投与正常群(正常
対照)、MMC 0.08 mg/kgの腹腔内投与群、MMC 0.
5 mg/kgの腹腔内投与群、MMC 3mg/kgの腹腔内投与
群、として設定した。
【0093】〜の各群のマウスにそれぞれの投与条
件に従ってMMCを投与した。MMC投与3日後に、マウスを
頚椎脱臼して安楽死させ、摘出した脾臓から単核遊離白
血球を調製して生理食塩水に浮遊させた。調製した生理
食塩水中の単核遊離白血球について、光学顕微鏡下で白
血球細胞数を計数し、脾重量補正を行って1ml当りの白
血球細胞数を算出した。その結果、脾臓由来白血球細胞
は化学療法剤の用量依存的な減少を示した(図2)。こ
の測定結果に基づき、マウスを後天的免疫不全状態とす
るために用いるMMCの投与量は、MMCを投与しない正常対
照における脾臓由来白血球細胞数(正常値)と比較した
ときの脾臓由来白血球細胞数の比率が33%となるMMC投
与群において使用したMMC投与量、すなわち3mg/kgとし
た。
【0094】(2) 薬理効果試験I 次に、上記(1)で設定した投与量の化学療法剤を使用し
てマウスを後天的免疫不全状態とし、さらに発酵生薬製
剤を投与して免疫担当細胞数を測定した。
【0095】C57BL/6系雌性マウス(生後8週齢)を清浄
環境下(SPF条件)で飼育した。実験群としては、それ
ぞれ10匹からなる該マウスの群を8群用意した。これ
らの群を、以下の〜の投与条件群として設定した。 MMC無投与の正常群(正常対照;癌細胞も移植せず) MMC 3mg/kgを皮下注射した群(MMC対照群) MMC 3mg/kgを皮下注射+十全大補湯(JTT)を経口投与
した群 MMC 3mg/kgを皮下注射+十全大補湯(JTT)発酵物を経
口投与した群 MMC 3mg/kgを皮下注射+補中益気湯(HET)を経口投与
した群 MMC 3mg/kgを皮下注射+補中益気湯(HET)発酵物を経
口投与した群 MMC 3mg/kgを皮下注射+小青竜湯(SRT)を経口投与し
た群 MMC 3mg/kgを皮下注射+小青竜湯(SRT)発酵物を経口
投与した群
【0096】まず、〜の各群のマウスに、癌細胞
(赤白血球癌細胞、株名:EL-4)を腹腔内に0.1ml(5
×104個/ml)移植し、その後14〜21日間飼育して担
癌状態とした。次いで各マウスにマウス体重1kg当り3
mgの割合でMMCを皮下注射によって投与した。このMMC投
与により、〜の各群のマウスは後天的免疫不全状態
とされた。
【0097】続いて、十全大補湯(JTT)、補中益気湯(HE
T)、小青竜湯(SRT)、及び各々の発酵物について上記実
施例2の(1)で調製した被検薬0.2mlを、上記〜
の投与条件に従い、各群のマウスに対して、MMCを投与
した日から毎日、10日間、500mgずつ経口投与した。
【0098】被検薬の投与終了後7日目に、〜の各
群のマウスを頚椎脱臼して安楽死させ、脾臓を摘出し、
該脾臓から遊離白血球を調製した。次いで〜の各群
について得られた該遊離白血球調製液に含まれる免疫担
当細胞について、CD陽性細胞であるT細胞、B細胞、
食細胞及びナチュラルキラー細胞、並びにサイトカイン
保持細胞の数の測定を行った。この測定は、各CD陽性
細胞が有する細胞表面マーカー、又はサイトカイン保持
細胞が有するサイトカインを、抗原抗体反応を利用して
検出することによって行った。該細胞表面マーカーに
は、T細胞のマーカーとしてはCD3、CD4及びCD
8を、B細胞のマーカーとしてはCD19を、食細胞の
マーカーとしてはCD11を、ナチュラルキラー細胞の
マーカーとしてはCD56を利用した。サイトカイン保
持細胞を検出するための検出対象はIFNγ及びIL−
4とした。これらの細胞表面マーカー又はサイトカイン
に対するモノクローナル抗体と蛍光色素とを結合させた
試薬(ベクトンディッキンソン(Becton-Dickinson)社
製、USA)を、遊離白血球を含む調製液のアリコート
に添加し、抗原抗体反応を起こさせた。次いでこの反応
液についてFACS(fluorescence activated cell so
rting;ベクトンディッキンソン(Becton-Dickinson)社
製、USA)により検出される細胞数を計測した。この
結果、CD3+ T細胞、CD4+ T細胞、CD8+ T細
胞、CD19+ B細胞、CD11+ 食細胞、CD56+
NK細胞、IFNγ保持細胞及びIL−4保持細胞の数
を測定することができた。〜群について測定された
上記各細胞の数については、各群で用いた脾臓重量で補
正して、単位体積あたりの各細胞数の値を算出した。表
2では、それらの結果を、群で測定されたCD3+
細胞、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、CD19+
細胞、CD11+ 食細胞、CD56+ NK細胞、IFN
γ保持細胞、又はIL−4保持細胞の数をそれぞれ10
0%としたときの、〜群で得られた各細胞数の割合
(パーセンテージ)で示している。また、表2に示され
る結果を図3にグラフとして示した。
【0099】
【表2】
【0100】表2及び図3に示される通り、十全大補湯
(JTT)、補中益気湯(HET)又は小青竜湯(SRT)の発酵物の
いずれを経口投与した場合でも、脾臓中のCD3+ T細
胞、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、CD19+ B細
胞、CD11+ 食細胞、CD56+ NK細胞、IFNγ
保持細胞及びIL−4保持細胞の細胞数の割合は、MMC
対照群及び非発酵生薬投与群と比較して増加した。すな
わち、十全大補湯(JTT)、補中益気湯(HET)、小青竜湯(S
RT)の発酵物は、いずれも経口投与することにより、MMC
投与により引き起こされた免疫担当細胞数の低下を回復
させることができる免疫賦活効果を有することが示され
た。
【0101】〔実施例5〕発酵生薬製剤の、脾細胞中の
抗体産生細胞数増加活性の評価(薬理効果試験II) 上記実施例4の(1)で設定したのと同じ投与量で化学療
法剤を使用して、マウスを後天的免疫不全状態とし、さ
らに発酵生薬製剤を投与して抗体産生細胞数を測定し
た。
【0102】C57BL/6系雌性マウス(生後8週齢)を清浄
環境下(SPF条件)で飼育した。実験群としては、それ
ぞれ10匹からなる該マウスの群を7群用意した。これ
らの群を、以下の〜の投与条件群として設定した。 MMC 3mg/kgを皮下注射した群(MMC対照群) MMC 3mg/kgを皮下注射+十全大補湯(JTT)を経口投与
した群 MMC 3mg/kgを皮下注射+十全大補湯(JTT)発酵物を経
口投与した群 MMC 3mg/kgを皮下注射+補中益気湯(HET)を経口投与
した群 MMC 3mg/kgを皮下注射+補中益気湯(HET)発酵物を経
口投与した群 MMC 3mg/kgを皮下注射+小青竜湯(SRT)を経口投与し
た群 MMC 3mg/kgを皮下注射+小青竜湯(SRT)発酵物を経口
投与した群
【0103】まず、〜の各群のマウスに、マウス体
重1kg当り3mgの割合でMMCを皮下注射によって投与し
た。このMMC投与により、〜の各群のマウスは後天
的免疫不全状態とされた。また、MMC投与の1日後に、
抗原として綿羊赤血球を腹腔内へ2×108個(0.2ml)接
種した。
【0104】さらに、十全大補湯(JTT)、補中益気湯(HE
T)及び小青竜湯(SRT)、並びに各々の発酵物について上
記実施例2の(1)で調製した被検薬0.2mlを、上記〜
の投与条件に従い、各群のマウスに対して、MMCを投与
した日から毎日10日間、500mgずつ経口投与した。
【0105】被検薬の投与終了開始後5日目に、〜
の各群のマウスを頚椎脱臼して安楽死させ、脾臓を摘出
し、該脾臓から遊離細胞を調製した。この調製した遊離
細胞(1×106個の脾細胞を含む)をシャーレ内において
抗原(綿羊赤血球;1×108個)と共に1時間培養し、脾
細胞中の抗体産生細胞から抗体を分泌させた。その後、
モルモット補体を添加して溶血反応を促した。その結
果、抗体産生細胞の周囲には溶血反応が生じ、透明斑点
として肉眼で識別された。この透明斑点数を抗体産生細
胞数として数えて測定した。このようにして測定され
た、1×106個の脾細胞中に含まれる抗体産生細胞の数
は、十全大補湯(JTT)及びその発酵物、補中益気湯(HET)
及びその発酵物、小青竜湯(SRT)及びその発酵物を投与
した場合について、それぞれ365個及び482個、399個及
び563個、並びに332個及び461個であった。これに対し
てMMC対照群では216個であった。この結果は図4にグラ
フで示した。このように、十全大補湯(JTT)、補中益気
湯(HET)及び小青竜湯(SRT)の各々の発酵物のいずれを投
与した場合でも、抗体産生細胞の数は、MMC対照群及び
非発酵生薬投与群と比較して増加した。従って、十全大
補湯(JTT)、補中益気湯(HET)及び小青竜湯(SRT)の発酵
物は、いずれも経口投与することにより、MMC投与によ
り引き起こされた抗体産生細胞数の低下を回復させるこ
とができる免疫賦活効果を有することが示された。この
抗体産生細胞数増加活性と、実施例4で示された免疫担
当細胞数増加活性とから、十全大補湯(JTT)、補中益気
湯(HET)及び小青竜湯(SRT)の発酵物は、免疫担当細胞数
を増加させるだけでなく、抗体産生能をも亢進させるこ
とが示された。
【0106】
【発明の効果】本発明により、発酵生薬を有効成分とし
て含み抗酸化能と免疫賦活能とを有する発酵生薬製剤、
該製剤の製造方法及び該製剤を含む免疫賦活剤が提供さ
れる。本発明の発酵生薬製剤は、免疫賦活能と抗酸化能
とを共に有するため、各種の疾患及び症状、特に感染
症、癌又は免疫不全に起因する疾患等の治療及び症状の
緩和に用いる上で、免疫機能を増強することができるだ
けでなく免疫担当細胞が生成する活性酸素に起因する毒
性をも回避することができ、非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】JTT、HET、SRT及びそれらの発酵物を投与した
場合に、マウスの腹腔滲出好中球より産出された活性酸
素量を示す。
【図2】MMC投与により後天的免疫不全状態となったマ
ウスの免疫機能の低下を示す。免疫機能は、各群のマウ
スの脾臓から得られた脾臓由来白血球細胞数として示
す。
【図3】JTT、HET、SRT及びそれらの発酵物を投与した
マウスの脾臓から得られた各種免疫担当細胞数を、正常
対照から得られる免疫担当細胞数に対するパーセンテー
ジで示す。
【図4】JTT、HET、SRT及びそれらの発酵物を投与した
マウスの脾臓から得られた、1×106個脾細胞中に含まれ
る抗体産生細胞数を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 35/78 A61K 35/78 J K N W A61P 37/04 A61P 37/04 39/06 39/06 (71)出願人 500072633 株式会社 クロレラサプライ 島根県出雲市長浜町1372―17 (72)発明者 山口 宣夫 石川県河北郡内灘町大清台61番地 (72)発明者 泉 久子 石川県金沢市福畠町ヌ108番地 Fターム(参考) 4C088 AA04 AB04 AB12 AB16 AB32 AB33 AB37 AB40 AB59 AB60 AB62 AB80 AB81 AC01 CA05 ZB09 ZC21

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発酵させた生薬を含む、抗酸化能と免疫
    賦活能とを有する発酵生薬製剤。
  2. 【請求項2】 生体内細胞における殺菌作用を損なわな
    い、請求項1記載の製剤。
  3. 【請求項3】 生体内細胞が貪食細胞である請求項2記
    載の製剤。
  4. 【請求項4】 貪食細胞が、好中球、好酸球、単球、食
    細胞、多形核白血球、クッパー細胞、ランゲルハンス細
    胞及びミクログリア細胞からなる群より選択される少な
    くとも1つである請求項3記載の製剤。
  5. 【請求項5】 抗酸化能が、生体内細胞から産生される
    スーパーオキシドジスムターゼの活性を低減又は消失さ
    せるものである、請求項1〜4のいずれか1項記載の製
    剤。
  6. 【請求項6】 免疫賦活能が、免疫担当細胞数、サイト
    カイン産生細胞数、及び抗体産生細胞数からなる群より
    選択される少なくとも1つを増加させることができるも
    のである、請求項1〜5のいずれか1項記載の製剤。
  7. 【請求項7】 生薬が、十全大補湯、補中益気湯及び小
    青竜湯からなる群より選択される少なくとも1つである
    請求項1〜6のいずれか1項記載の製剤。
  8. 【請求項8】 生薬を発酵させて発酵生薬を得ることを
    特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載の発酵生
    薬製剤の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7のいずれか1項記載の発酵
    生薬製剤を含む免疫賦活剤。
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